説明

一次元シンボル検出のための二次元シンボル検出器

本発明は、記録担体上の一次元の連続したトラックに沿って記録された一次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するためのシンボル検出装置であって、隣接したトラックのシンボルは異なる位相関係を有する、シンボル検出装置に関する。一次元チャネルデータストリームのシンボル値のシンボル検出についての二次元シンボル検出方式の使用を可能にするために、−少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの位相関係を検出するための位相検出手段(31)と、−前記検出された位相関係に基づいて、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答(gk,2D)を再計算することによって、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルのシンボル位置におけるHF基準レベルを決定するための処理手段(30)であって、前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答(gk,2D)は、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボル間の位相差はないと仮定したときのHFインパルス応答を表している、処理手段と、−前記HF基準レベル(REFk,i)及び前記記録担体から読み出されるHF信号値(HFk,i)を用いた、前記少なくとも2つの隣接したトラックのうちの少なくとも1つの前記シンボルのシンボル検出のための二次元シンボル検出手段(6)とを有する装置が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録担体上の一次元の連続したトラックに沿って記録される一次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するためのシンボル検出装置であって、隣接したトラックのシンボルは異なる位相関係を有する、検出装置に関する。更に、本発明は、対応するシンボル検出方法、再生装置及び方法、並びに、これらの方法を実現するためのコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
二次元光記憶においては、結合検出(joint detection)が、複数のビット行(又は、更に一般的には一シンボル行)に対して実行される。理想的には、この目的のためには二次元Viterbi検出器が用いられる。複雑さを処理するために、単一のViterbi検出器によって検出される行の数は、制限される。実際的なケースについては、二次元の幅広いらせんは、例えば、ヨーロッパ特許出願02292937.6(PHNL021237)において開示されているように、2つか3つだけの行を有するいわゆるストライプの連結とみなされる。この結合検出の利点は、検出手順において、検出されるべきビット(又はシンボル)と関連したより多くのエネルギーが用いられるということである。
【0003】
上記の方法は、検出手順において、検出されるべきビットと関連したより多くのエネルギーが用いられるという利点を提供するので、従来型の一次元の場合においてもこの方法を使用することが望ましい。この時点では、「ラジアルエネルギー」又は「隣接エネルギー」は「ノイズ」として取り扱われ、(例えば隣接したトラック間の相互相関を最小化する最小平均二乗アルゴリズムに基づいて)クロストークキャンセル回路によって解消される。しかし、一次元の場合における二次元検出器の適用が考慮されると、以下の課題が現れる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の場合では、ビットは、接線方向に沿ったらせんの一次元フォーマットに構成されている。隣接したトラックのビットは、検出対象である中央トラック上のビットとは全く関係を持たない、即ち、固定した位相関係もない。書込みの最中のチャネルクロックは(理想的には)一定であるが、隣接したトラック間の位相関係は、時間に対して変化する(隣接したトラックの異なった半径に起因する円周の変化によって生じる)。これは、ΔO=2πtとして書かれることができ、ここでtはトラックピッチである。(例としての)典型値t=143nmについては、円周の変化ΔO=899nmである。これが165nmのビット周期と比較されると、ディスクの1つの円周には、隣接したトラック間に5.4ビットの「スリップ」が存在することが分かる。このことは、この影響に起因する位相変化が、局所的にかなり遅いことを意味する。それでもやはり、これは変化しているので、静的なビットオーダリング(static bit ordering)を仮定する二次元Viterbi検出器による結合検出は、適用されることができない。これは、ラジアルクロストークと関連したエネルギーから利益を得る意図を持った、一次元ディスクフォーマットへの二次元検出器の直接の適用を不可能にする。
【0005】
本発明の目的は、二次元シンボル検出方式が一次元チャネルデータストリームのシンボル値のシンボル検出のために適用されることができるようにするシンボル検出装置及び方法を提供することである。更に、対応する再生装置及び方法並びにこれらの方法を実現するためのコンピュータープログラムが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明による請求項1に記載のシンボル検出装置によって達成される。該シンボル検出装置は、
−少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの位相関係を検出するための位相検出手段と、
−前記検出された位相関係に基づいて、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を再計算することによって、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルのシンボル位置におけるHF基準レベルを決定するための処理手段であって、前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答は、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボル間の位相差はないと仮定したときのHFインパルス応答を表している、処理手段と、
−前記HF基準レベル及び前記記録担体から読み出されるHF信号値を用いた、前記少なくとも2つの隣接したトラックのうちの少なくとも1つの前記シンボルのシンボル検出のための二次元シンボル検出手段と、
を有する。
【0007】
本発明は、また、記録担体に記録された一次元チャネルデータストリームからのユーザデータストリームの再生のための再生装置であって、前記一次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するためのシンボル検出装置を有する再生装置にも関する。
【0008】
対応するシンボル検出方法及び対応する再生方法は、請求項12及び14に規定される。これらの方法を実現するためのコンピュータープログラムは、請求項15に規定される。本発明の好適な実施例は、従属請求項に規定される。
【0009】
本発明は、少なくとも2つの隣接したトラック間の相対的な位相に基づいてHF基準レベルを再計算するという考えに基づく、即ち、理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答が、事前に検出された少なくとも2つの隣接したトラックのシンボルの位相関係を用いて再計算される。このようにして、前記少なくとも2つの隣接したトラックのシンボルのシンボル位置におけるHF基準レベルが得られ、このとき、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記HF基準レベルは、全て同じ位相関係を持つ。このことは、シンボルが一次元チャネルデータストリームの一部であるにもかかわらず、二次元シンボル検出器の使用を許可する。このような二次元シンボル検出器は、より良い性能を持ち、記録担体の密度が増加されることができるようにトラックピッチ又はシンボル長さを低下させるのに使用されることができる。代わりに、二次元シンボル検出器は、市場に既に存在する媒体(例えば光学DVD及びBDフォーマット)の読出しの最中の、より大きいマージン(例えばティルト)を作るのに適用されることもできる。
【0010】
好適には、HF基準レベルを決定するために、トラックの相対位相情報に基づいてオリジナルの理想的な二次元インパルス応答をリサンプリングするためにリサンプリングが用いられる。更に、HFシンボル値及び再計算されたHFインパルス応答の値の両方が同じ位置で得られるように、記録担体から読み出された非同期入力シンボルも、同期出力シンボルにリサンプリングされる。リサンプリングは、線形補間と組み合わせられたルックアップテーブルの使用によって行われることができ、又は、完全な二次元リサンプリングアルゴリズムに基づいていることができる。一般的に、いかなるリサンプリング方式も用いられることができる。
【0011】
リサンプリングを行う2つの好適な手法がある。特に、理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答及び非同期入力シンボルの両方を物理格子の格子点にリサンプリングすること、又は、理想的なターゲットHFインパルス応答及び非同期入力シンボルの両方を状態格子の格子点にリサンプリングすること、である。物理格子は、前記少なくとも2つの隣接したトラックに沿ってシンボルが物理的に位置する位置を表し、状態格子は、理想的には異ならない二次元格子に従う定義に準拠して二次元シンボル検出器の状態が存在する位置を表す。前記少なくとも2つの隣接したトラックのうちの1つにおいて、状態格子の格子点と物理格子の格子点とは一致する一方で、他のトラックでは、接線方向にオフセットがある。
【0012】
他の実施例によれば、二次元シンボル検出手段によって検出される予備的シンボル値を用いて理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を更新するための更新手段が設けられる。好適には、理想的なターゲットHFインパルス応答のみが更新され、この応答のシフト及びリサンプリングが、他のHF基準レベルを計算するために用いられる。この利点は、実際のチャネルインパルス応答の(遅い)変化が、連続的な最適な検出性能を得るために、検出器によってトラッキングされることができるということである。理想的な反応だけを適応させる(そして、その後シフト及びリサンプリングをする)理由は、実現がより単純になり、これを実行するための既知の方式が適用されることができるということである。
【0013】
前記少なくとも2つの隣接したトラック上のタイミングの別々の回復のために、特に1つ又は複数のサンプリングレートコンバータを使用する、第1のリサンプリング手段が設けられ、これに応じて、1つ又は複数のフェーズロックループを使用して適応される。更に、サンプリングレートコンバータの入力位相信号を減ずることによって、又は、専用の位相エラー検出器によって、前記トラックの位相関係は、検出されたタイミングから検出されてもよい。
【0014】
トラック間の位相関係は、遅く変化するパラメータなので、前記少なくとも2つの隣接トラックの位相間の差を表す差信号をローパスフィルタリングすることが可能である。従って、特に、タイミング回復ループのバンド幅とは独立してローパスフィルタのカットオフをセットすることによって(ローパスフィルタからのいかなる影響があるためにもカットオフはPLLバンド幅より低くなければならないという制限はあるが)、高周波位相ジッタは除去されることができる。更に、別の実施例によれば、クロストークキャンセル手段が、前記少なくとも2つの隣接トラックに隣接するトラックから当該少なくとも2つの隣接トラックに導入されるクロストークのキャンセルのために設けられることができる。これは、シンボル検出の精度を向上させる。
【0015】
一般的に、いかなる二次元シンボル検出器も、二次元シンボル検出手段として使われることができる。しかし、好適には、Viterbi検出器が使用され、特に、反復的なストライプごとのシンボル検出(iterative stripe-by-stripe symbol detection)のためのトレリスに基づいたストライプごとのViterbi検出器(trellis-based stripe-wise Viterbi detector)が使用され、ここでストライプは、前記少なくとも2つのトラックを有する。これは、ストライプごとのシンボル検出方法を繰り返すことによって信頼性があるシンボル検出を可能にし、1回の繰返しは、ストライプに沿った、格子に基づくシンボル検出方法の適用を表す。連続した隣接したシンボル行間の干渉は、(考慮しているシンボル行についての)トレリスのブランチメトリックス(branch metrics)の計算のサイド情報として好適には考慮される。
【0016】
一般的に、本発明によるシンボル検出は、少なくとも2つの隣接したトラックに適用される。好適には、位相検出手段及び処理手段は、3つの隣接したトラックに同時に作用するように適応される。更に、二次元シンボル検出手段は、この場合、3行入力、及び、1行出力又は3行出力のいずれかにも適応される。第1のケースで2つの行を捨てることの理由は、これらの出力の予想されるビットエラーレートがより高いということである。なぜなら、結合検出が、隣接したトラックへの更なる信号リークを考慮しないからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、ここで、図を参照してより詳細に説明される。
【0018】
上記したように、例えばヨーロッパ特許出願第02292937.6号(PHNL021237)に説明されるような高密度二次元光記憶のためには、チャネルデータストリームのシンボルは、好適には六方格子に記憶される。(線形化された)チャネルの二次元インパルス応答は、中央タップについてはタップ値c=2、6つの最近接タップについてはタップ値c=1で、合理的なレベルの精度に近似されることができる。この7タップ応答の合計エネルギーは10に等しく、ここで、接線方向に沿った中央行(中央タップ及び2つの隣接タップ)のエネルギーは6、そして、接線方向の隣接したシンボル行の各々(それぞれが2つの隣接タップを有する)に沿ったエネルギーは2である。これは、図1に図式的に示される。
【0019】
二次元フォーマットの結合検出は、シンボルが二次元格子(好適には六方格子である。なぜならこれは、正方格子に勝る密度の利点を提供するからである)にオーダリングされるという事実によって可能である。この種の格子において、異なった行のシンボルは、互いに対して固定された位相関係を持つ。六方格子については、隣接した行のシンボルは、図2に示されるように180度シフトされる。
【0020】
この固定された位相関係は、いわゆるクラスタ(1つの中央シンボル及び6つの最近接シンボルによって形成される7つのシンボルの組)の定義を許可する。クラスタは、中央シンボルと同じ極性を有する最近接シンボルの数によって特徴付けられる。予想されるHF信号レベル(以下ではHF基準レベルとも呼ばれる)は、ここで、クラスタのシンボルを図1の二次元インパルス応答にマッピングすることによって計算されることができる。これは、図3において、この図の右側で典型的なクラスタについて示されているように示される。
【0021】
ストライプごとのViterbi検出は、限られた数の行hの状態及び接線方向の限られた数のシンボルを形成することによって行われる。例えば、3つの行及び2つのシンボルが、接線方向において選択される。トレリスは、1つの状態Σから次の状態Σに行くことによって形成される。2つの状態は、互いに部分的に重複している。これは、図4に図式的に示される。1つの状態から次の状態への遷移は、いわゆるブランチに沿って起きる。一連のブランチは、トレリスを通じるパスを形成している。
【0022】
各ブランチについて、コスト関数(「適合度」)が、限られた期間にわたって最も低い累積ブランチコスト(「パスコスト」と呼ばれる)を持つパスを最終的に選択するという目標をもって計算される。これが、「ベストフィット」を有するパスである。このいわゆる「ブランチメトリック」βm,nは、
【数1】

として計算されることができる:
【0023】
ここで、HFは高周波読出し信号(即ち記録担体に記録される読出しシンボルのシンボル値)であり、REFi,clは、図3に従って計算されることができる、クラスタに応じた基準レベルである。このシンボル検出方法は、BD(ブルーレイディスク)の2倍の密度まで、良いシミュレーション結果を示す。
【0024】
既知のシンボル検出器のブロック図が、図5に図式的に示される。クラスタレベルを計算するために、好適には固定された(いわゆる)ターゲット応答gが、計算ユニット1の基準レベルを計算するために用いられることができる。例えば、図1の「2-to-1」応答が、ターゲット応答gとして用いられることができる。(適応)等価器2が、主に、入来する再生信号HFを、ターゲット応答gに可能な限り良好にマッチする信号yに変換するために用いられる。有利には、二次元シンボル検出のためには、ヨーロッパ特許出願第02292937.6号(PHNL021237)において説明されたようなストライプごとの二次元Viterbiシンボル検出器6が用いられ、これは、ブランチβm,nの計算のためのブランチメトリック計算ユニット3と、パスメトリック計算ユニット4と、出力シンボル値aを得るためのバックトレーシングユニット5とを有する。
【0025】
別の手法は、シンボル決定又は予備シンボル決定(preliminary symbol decisions)を用いて、HFサンプルHFを、これらの対応するクラスタ種類に従ってビニングする(bin)ことである。ここでは、追加のビニング・平均化ユニット7が、図6に示されるように設けられる。ビニングされたサンプルは或る期間に対して平均化され、これにより、ブランチメトリック計算において基準レベルとして用いられることができる、特定のクラスタ種類についての予期される再生HF値が得られる。このような手法で、検出器は、チャネルに(ゆっくりと)適応し、適応等価器1の必要性を(部分的に)置換する。
【0026】
後者のアプローチは、個々のクラスタレベルが別個に採用されるのではなく、線形及び非線形のシンボル間干渉(ISI)についてのタップ値がチャネル推定を通じて適応され、パラメータ(数はより制限される)の当該セットから個々のクラスタレベルが導出されるような手順に修正されることができる。
【0027】
上記で説明されたように、隣接したトラックのシンボルの位相関係はディスク上で変化している。静的なシンボルオーダリングを仮定する二次元Viterbi検出器による結合検出は、適用されることができない。このことは、ラジアルクロストークに関連するエネルギーから利益を得る意図を持っての、二次元検出器の一次元ディスクフォーマットへの単純な適用を不可能にする。
【0028】
第1の、非常に直接的な解決策は、隣接したトラック間で固定された位相関係を持つ一次元フォーマットを規定することである。二次元システムとは異なり、データは、ディスク上で依然として単一のらせんに構成される。各状況において、数ビット(又はシンボル、上記の例では5.4ビット)の「ビットスリップ」が存在するので、ディスクの1周に記憶されることができるデータの量は、増加する半径に対して減少する。従って、このようなフォーマットが、いわゆるガードバンドによって分離されたゾーンに分けられたフォーマットである可能性は高い。しかし、この解決策は、CD、DVD及びBD等の利用可能な一次元フォーマットに適用されることができないという欠点を持つ。
【0029】
上述の欠点を回避する第2の解決策は、複数のスポット読出しを用いる。例えば図7に図式的に示されるような、現状技術のクロストークキャンセル(XTC)方式では、中央トラックTrは、中央スポットで読み出され、隣接トラックTr−1、Tr+1は、追加のサテライトスポット(satellite spots)で読み出される。隣接トラックから生じる信号は、中央スポットからの信号からフィルタリングされて減じられる。フィルタリングは、FIRフィルタ10で行われ、このフィルタから、係数は、中央スポットからの信号とサテライトスポットからの信号との間の相互相関を最小化するように(例えば判定基準12に基づくLMSアルゴリズム11を用いて)適応される。
【0030】
しかし、隣接した信号が利用可能な場合には、一旦隣接トラック間の位相関係が知られてブランチメトリック計算において考慮されたら、何らかの結合検出をすることが可能であるべきである。これが、本発明のアイデアのキーである。従って、シンボル検出領域で重なる2つの格子を規定することが提案される。即ち、状態格子(インデックスr,sを有する)及び物理ビット格子(インデックスp,qを有する)である。
【0031】
状態格子は、Viterbiの状態を規定するために用いられる。これは、規則的な、固定した格子(例えば直交格子)である。これは、いかなる他の格子であってもよい。しかし、六方格子は、二次元フォーマットでは六方格子がその最密充填特性のため物理格子として選択されるのとは異なり、一次元フォーマット(ここで実際の物理ビットは六方格子上にない)ではいかなる利点も提供しない。
【0032】
物理格子は、ディスク上でその上にシンボルが記憶される時間変化二次元格子である。実際、これは、或る数(例えば下記の例では3)の一次元の線から構成され、これらの線上に、シンボルは、等間隔で記憶され、ここで、一次元の線間の相対位相は変化することができる。これは、図8に図式的に示される。ここで、大きい黒いドットSLは、状態格子を表し、交点PLは、ディスク上の特定の位置における物理格子を規定する。この考えの説明のためには、3行(トラック)よりも多くを使用する必要はないが、この考えを3行よりも多くまで拡張することは可能である。更に、この考えは、2つの隣接した行にも適用可能である。1つの特定の行(例えば中央シンボル行)について、(後述するように)状態格子及び物理格子が重なる点に留意する必要がある。
【0033】
トラック間の位相関係は、各トラックに別個にタイミング回復をすることによって測定されることができ、3つの位相φ−1、φ及びφ+1を結果として生じる。実際は、任意のトラック間の相対的な位相関係は、以下により与えられる。
【数2】

【0034】
タイミング回復は、従来型のゼロクロッシングに基づいた方式であってよいが、以下で更に詳細に説明するように、(予備的に)検出されたシンボルを用いる判定帰還モード(decision directed mode)で動作してもよい。クロック回復が中央トラックTrに適用されるとき、及び、このクロックがViterbiの他のシンボル検出のために使われるとき、中央トラックの(物理格子の一部としての)物理的なシンボルベクトルは、状態格子と正確に重なる。なぜなら、サンプリングレートコンバータは、固定された非同期ADCクロックTsからの入力サンプルを、シンボル周波数T及び(中央トラックの)シンボル位相における同期サンプルに変換するからである。中央トラック上の格子の一致は、図8において示される。更に図8において示されるのは、隣接したトラックTr−1及びTr+1が、状態格子とは重ならない物理格子を有するということである。
【0035】
ここで、二次元Viterbi検出器は、3行/トラックの高さ及び接線方向の2つの重複する状態の合計状態長さ3を有する(これは例として示されたのであり、他の値も選択されることができる)二次元方式(図4を参照)について実現されたのと同じ手法で二次元状態で実現される。これは、図8のボックス20、21で示される。ボックス20、21の境界は、状態格子上の位置の間の正確に半分のところに選択される。上のトラック及び下のトラックにおいて、常に3つの物理的なシンボル位置が存在することが分かる(1つが左から入ると、1つが右から出る)。クロック回復が隣接したトラックTr−1及びTr+1に実行されるので、ディスク上の物理シンボルの位置におけるHFサンプルが得られる。隣接トラックからの回復されたクロックは、中央トラックから得られるクロックとほぼ同じ周波数を有するが、これらは、位相についてはかなり異なる可能性がある。位相情報は、Δφ+1及びΔφ−1について上記の方程式によって示されるような3つのトラック間の相対位相に基づいて基準レベルを再計算することによって、シンボル検出において間接的に使用される。タイミング回復を行う、3つのフェーズロックループ(PLL)31及び3つのサンプリングレートコンバータ(SRC)32を有するこの方式のブロック図が、図9に示される。
【0036】
よって、トラック間の位相差がないことと、Δφ+1及びΔφ−1についての上記の式に示されるように、各トラック上のタイミング回復から3つの位相入力pが結果として生ずるということとを仮定すると、参照計算ブロック30への入力は理想的な二次元ターゲット応答gk,2Dである。オリジナルの理想的な二次元インパルス応答は、トラックの相対的な位相情報pに基づいてリサンプリングされることができる。これは、ルックアップテーブルを線形補間と組み合わせたものか若しくは完全な二次元リサンプリングアルゴリズム(例えばゼロの挿入及びミッシングサンプルを補間するために二次元ローパスフィルタリングすることに基づく)であってよく、又は、いかなる他の二次元リサンプリング方式であってもよい。リサンプリングをするには2つの可能性がある。
即ち、
−基準信号(第2のリサンプリング手段を使用して)及び入力信号(第1のリサンプリング手段を使用して)を物理格子にリサンプリングすること、又は、
−基準信号(第2のリサンプリング手段を使用して)及び入力信号(第1のリサンプリング手段を使用して)を状態格子にリサンプリングすること、である。
【0037】
両方のオプションは、以下で別個に議論される。どちらの場合でも、トラック方向に沿ってシフトされた二次元ターゲット応答gk,2Dのリサンプリングされたバージョンを必要とする。オリジナルの二次元インパルス応答及びリサンプリングされた二次元インパルス応答の例が、図10に与えられる。より明白にするために、一次元カットが、二次元ターゲット応答を通じて視覚化される。ここで、図10−Bに示されるリサンプリングされた二次元インパルス応答を得るために、図10−Aに示される直角格子上の可能な二次元インパルス応答が、シフトされてリサンプリングされる。
【0038】
まず、物理格子上のリサンプリングが説明される。この場合、状態は、サンプリング/物理格子に実際に定められる。まず、ブランチメトリックスを計算する方程式が、再び考慮される(ストライプの行の数が3であれば):
【数3】

【0039】
座標は、以下の説明に適応させるために変えられた。ここで、p,qは、qが行番号でありpがトラックに沿った座標である物理格子のインデックスである(状態の重複の位置ではp=0である)。状態が接線方向に1つのシンボル重複を有するとき、3つのHFサンプル及び3つの基準レベルが必要である。各基準レベルは、Viterbiの重なり合う状態Σ及びΣ(図11を参照)の各シンボルbr,sからの寄与の合計である。
【数4】

【0040】
ここで、gi,j(Δφ)は、Δφに亘ってシフトされるとともに位置i,jでサンプリングされる、トラックsについてのターゲット応答のバージョンであり、φがトラックの位相である。座標p,q及びr,sは、原点(0,0)が中央のシンボル位置(図10を参照)と重なるように選択されている。更に、br,s,m,nはΣからΣまでの特定のブランチに属するインデックス(r,s)のビットである。(インデックスは、物理座標としてではなく、実際にインデックスとして働く整数として用いられることに留意すべきである)。上記の計算は、基準信号が必要とされるあらゆる位置(p,q)についてなされなければならない。このような手法で、隣接したトラックへの中央トラックのエネルギーリークが組み込まれるが、隣接したトラックから中央トラックへのエネルギーリークも考慮される。この動作は、検出器の入力で、各サンプルについて(即ち各クロック周期Tについて)なされなければならない。しかし、これは、ICの場合には、シリコン領域及びハードウェア複雑性を増加させすぎることなく実現可能であるべきである。計算をより明らかにするために、これは、中央トラックの基準値の計算のための図12において、図式的に表される。外側トラック及び内側トラックについては、それぞれ、図13及び図14において同じ計算が表される。サンプルが、(説明目的のための)概算の数に過ぎない点に留意する必要がある。実際のリサンプリングされた値は、これらの値とは異なっているかもしれない。
【0041】
基準レベルが物理格子で利用可能なので、HFサンプルが同じ格子で必要である。中央トラックについては、これは単純である。即ち、入力信号は、正確に正しい位相でリサンプリングされ、入力サンプルが直接使われることができる。隣接したトラックについては、同様の推論が有効である:隣接した行のサンプルは、タイミング回復の結果であり、従って、これらは、理想的にはシンボルモーメントに位置し、これらはここでも直接用いられることができる(図9を参照)。
【0042】
次に、状態格子へのリサンプリングが説明される。この手順が状態格子上のリサンプリングに再公式化されるとき、以下が書かれることができる:
【数5】

ここで、
【数6】

【0043】
インデックスr,s及びp,qは、他の格子へのリサンプリングを反映するために交換される。外側トラック及び内側トラックについてのこの計算の対応する図は、図15及び図16である。中央トラックについての対応する図は、図12と同一である(なぜなら、このトラックは状態格子と物理格子とが重なる参照トラックとして選ばれたからである)。
【0044】
このとき基準レベルが状態格子で利用可能であるので、HFサンプルも状態格子で得られなければならない。これは、参照(ここでは中央の)行上のただ1つのPLL33だけを用い、このPLL33の位相情報を使用して、SRC32の出力における全てのサンプルが状態格子上にあるようにトラックの各々にサンプリングレート変換をすることにより、なされることができる。このとき、2つの追加の位相エラー検出器(PED)34、36が、参照トラック(ここでは中央トラック)に対する他のトラック(ここでは外側トラック)の位相差を導くために必要である。この構成は、図17に図式的に示される。ハードウェアの観点からはより複雑であるが、図9の構成を保ちつつ、位相値を減ずることにより(図9に示される実施例の)3つのPLL31から導出される相対位相情報に基づいて物理格子からのサンプルを状態格子に変換するために外側の行のSRC32と直列に2つの追加のSRCを追加することも可能である。
【0045】
一般的に、位相検出手段は、PLLの位相検出手段と類似していることがありえる。しかし、PLLの場合には、位相エラーは、SRCの入力(=NCOの出力)からとられる。なぜなら、この位相信号は、同期シンボル周期Tに正確に正規化されるからである。従って、絶対エラー信号が、いかなる追加の手間も必要とせず抽出されることができる。PLLの位相検出器に類似した位相検出手段(即ちいわゆる署名信号を使用する位相検出器)が適用されると、良い位相エラー信号が得られるが、これはシンボル周期Tに直接は正規化されない。この正規化が明確になされることに留意すべきである。これは、SRCの出力が二次元検出器に供給されず、位相を検出するためにループの一部として使われるだけである、完全なPLLでありえる。
【0046】
更に、何らかの参照(例えばSRCの入力を減じるための減算ユニット)があることを必要とする。これは、シンボルaの形の基準入力であってもよい。即ち、図17においてaから位相検出器に、又は、中央PLLから位相検出器に行く破線によって示されるようなデータ補助位相検出であってよい。
【0047】
図9に示される解決策のブロック図は、図5に示されるような二次元結合検出の等価物である。当然、図6に示されたように、基準レベルを連続的に更新することも可能である。この方式の等価物が、図18に示される。ここでも、シンボル決定又は予備的シンボル決定が、基準レベル計算の基礎としての役目を果たす二次元応答を更新するために更新ユニット33によって使用されることができる。
【0048】
二次元ターゲット応答が1つだけ更新され、この応答のシフト及びリサンプリングが他の基準レベルを計算するために用いられることが分かる。種々の状態及び位相差についての全てのサンプルをビニングすることは、適当でないようである。なぜなら、少なくとも、合理的な時定数が基準レベル適応のために必要であるときに、多数のビニングは、平均算出がなされることができるサンプルの数を「希釈する」からである。
【0049】
中央トラックについては、物理格子及び状態格子が定義によって合致するということは知られている。なぜなら、このトラックの回復されたクロックが、更なるシンボル検出のために用いられるからである。更に、トラック間の位相差は、SRCの入力(SRCの入力信号は、単純に、それがシンボルをリサンプリングしなければならない現在の位相である)を減じることによって、又は、専用の位相エラー検出器(PED)によって、単純に抽出されることができる。トラック間の位相関係が、ゆっくり変化するパラメータであると知られているので、デジタルフィルタH1(z)によってこの信号にローパスフィルタリングを実行することが許可される。これは、各トラックに、また、トラック間の相対位相に、存在する高周波位相ジッタを除去するのに有利である可能性がある。これは、図19に図式的に示される。ここでは、判定帰還タイミング回復方式が使用される。この図においては、幅広の矢印のそれぞれは、複数の信号のベクトルであり、線のそれぞれは単一の信号である。また、二重線のブロック(例えばループフィルタLF、数値制御発振器NCO、…)は、同じ回路の複数の具体化形式である。この図において、d/dk(g)は、FIRフィルタの形のターゲット応答の導関数である。
【0050】
結合検出が、限られた数の3つの行、Tr−1、Tr及びTr+1に適用されるので、検出は依然として最善ではない手段によって行われる。より多くの行へのこの原理の拡張は、信号処理の複雑さの大きな増加に至るので、これは、不可能なステップではないが、可能性の高いステップではない。しかし、3行を有するストライプに基づくViterbiの境界を越えた2つのトラックに対して、図7で説明された従来型クロストークキャンセル(XTC)を行う可能性はある。これは、また、他のトラックTr−2及びTr+2も記録担体から読み取られなければならないことを意味する。「3つの行入力及び3つの行出力による結合検出」による一次元単一らせんフォーマットにおいては、Tr−2及びTr+2を有するXTCについて、2つの余分のスポットの使用を避ける手段がある。この種のフォーマットが、図20に示される。らせんの3回の回転について、トラックピッチは非常に大きい値(例えば1.5シンボル行)に非常に局所的に変更され、これにより、3回転ごとにガードバンドを作り、XTCの必要性を除去する。しかし、この種のフォーマットでは、事前に、幾つのシンボル行が一度に読み出されるのかということが知られていることを必要とする。
【0051】
シンボル検出のための上記した方式を使用し始めるときには、2つの可能性がある。即ち、
−1行出力及び3行入力による結合検出、及び、
−3行出力及び3行入力による結合検出、である。
【0052】
実際には、第1のケースでは、検出も全ての行について行われるが、中央の行だけが有効な出力として使われる。隣接したトラックのバイナリ出力は、単に捨てられる。隣接した行を捨てることの理由は、これらの出力の予想されるビットエラー率がより高いということである。なぜなら、結合検出は、トラックTr−2及びTr+2への更なる信号リークを考慮しないからである。更に、「シンボルスリップ」の問題も起こる。上記されたように、異なったトラックは、1つの円周上に異なった数のシンボルを含むので、1回転ごとに、隣接したトラックのシンボルスリップが何回も起こる。2つの状況がある。即ち、
−外側トラックTr+1のシンボルスリップがViterbiのトレリスのミッシングシンボルを引き起こす。
−内側トラックTr−1のシンボルスリップがViterbiのトレリスの複製されたシンボルを引き起こす。
【0053】
位相差Δφ+1及びΔφ−1を見ることによって、これらのシンボルスリップの位置を正確に特定することが可能である。シンボルスリップの位置で、「ミッシングシンボル」の状況又は「複製されたシンボル」の状況に応じて、位相は、+πから−πに移るか、その逆に移る(ここでは、図19において提案された位相差のローパスフィルタリングは有益である可能性がある。なぜなら、これがないと、トラックにおける位相ジッタのせいで、多くの遷移がバーストで起こるからである)。
【0054】
1つの行出力による検出の場合には、シンボルスリップは、いかなる問題も生じさせない。なぜなら、中央の行の出力だけが用いられるからである。しかし、3つの行出力が要求されるときは、Viterbiのシンボル検出の適当な動作を保証するために何らかの動作がなされなければならない。変調符号がない場合、Viterbi検出器は、単純に、隣接したトラックの幾つかのシンボルを2回検出するか、又は、幾つかのシンボルをまったく検出せず、隣接したトラックにシンボルエラーを引き起こす。複製されたシンボルは、2回検出され、位相情報を用いて(+πから−πへの転換)、これらのシンボルをスキップすることが可能である。しかし、ミッシングシンボルについては、(ミッシングシンボルの正確な位置は位相情報から分かるが)、このミッシングシンボルの値は、決定されることができない。この課題に対する解決策は、ECCにおいて、ミッシングシンボルの位置で削除箇所を充填することによって得られる。この状況は、ディスクの1回転で何回かしか起こらないので、これは、ECCの性能をそれほど悪化させない(ここでは位相エラーのフィルタリングが有益である。なぜなら、これをしないと、交互になった、ミッシングシンボル及び重複シンボルのバーストが、各トラックの位相ジッタに起因して存在する可能性があり、ECC性能が劣化するからである)。
【0055】
符合化されたデータの場合には、状況はより複雑になる。データが変調エンコーダ(例えばEFM又は17PPエンコーダ)によって変調符合化されるとき、Viterbiのトレリスは、コードの制約(特にd制約)に違反する状態に対してブランチを提供しないことによって、この変調符号を反映する。これは、隣接したトラックのうちの1つでシンボルが2回検出されるか又は全く検出されないと、コード制約の違反に至るブランチは、再考されなければならないということを意味する。これがされない場合、何らかのエラー伝搬が起こる可能性がある。
【0056】
本発明は、クロストークキャンセル(XTC)の代わりとして動作するために、CD、DVD及びBDのような現在既知であるフォーマットのためのドライブにおいて適用されることができる。更に、本発明は、新しいフォーマット(例えばPortable Blue)において適用されることができ、ここで、二次元検出のより良い性能が、小さいディスク上の密度を増加させるようにトラックピッチ又はシンボル長を減少させるために用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】或る特定の密度についての異なった行/トラックにわたるエネルギー分布を算出するための単純な線型モデルを示す。
【図2】六方格子の隣接した行上のシンボル間の固定した位相関係を示す。
【図3】理想的なターゲット応答の単純な線型モデルに基づく、予想される高基準レベルの計算を示す。
【図4】ストライプごとのViterbi検出の概略図を示す。
【図5】固定ターゲット応答による、既知のViterbi検出器のブロック図を示す。
【図6】適応基準レベルを有する既知のViterbi検出器のブロック図を示す。
【図7】既知のクロストークキャンセル装置のブロック図を示す。
【図8】状態格子と物理格子との間の関係を示す。
【図9】物理格子上の検出のために使われることができる本発明によるシンボル検出装置のブロック図を示す。
【図10】シフトされた二次元 HFインパルス応答の可能な結果を示す。
【図11】基準レベルの計算のための座標定義を示す。
【図12】物理格子へのリサンプリングが適用される場合の中央トラックについての基準レベル計算の概略図を示す。
【図13】物理格子へのリサンプリングが適用される場合の外側トラックについての基準レベル計算の概略図を示す。
【図14】物理格子へのリサンプリングが適用される場合の内側トラックについての基準レベル計算の概略図を示す。
【図15】状態格子へのリサンプリングが適用される場合の外側トラックについての基準レベル計算の概略図を示す。
【図16】状態格子へのリサンプリングが適用される場合の内側トラックについての基準レベル計算の概略図を示す。
【図17】状態格子上の検出のために使われることができる、本発明によるシンボル検出装置のブロック図を示す。
【図18】本発明によるシンボル検出装置の他の実施例のブロック図を示す。
【図19】隣接したトラックの間の位相差の計算を示す。
【図20】新しい一次元単一らせんフォーマットの実施例を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録担体上の一次元の連続したトラックに沿って記録された一次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するためのシンボル検出装置であって、隣接したトラックのシンボルは異なる位相関係を有する、シンボル検出装置において、
−少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの位相関係を検出するための位相検出手段と、
−前記検出された位相関係に基づいて、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を再計算することによって、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルのシンボル位置におけるHF基準レベルを決定するための処理手段であって、前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答は、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボル間の位相差はないと仮定したときのHFインパルス応答を表している、処理手段と、
−前記HF基準レベル及び前記記録担体から読み出されるHF信号値を用いた、前記少なくとも2つの隣接したトラックのうちの少なくとも1つの前記シンボルのシンボル検出のための二次元シンボル検出手段と、
を有するシンボル検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシンボル検出装置において、更に、
前記記録担体から読み出される非同期入力シンボルを同期出力シンボルにリサンプリングするための第1のリサンプリング手段を有し、前記処理手段は、リサンプリングによって前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を再計算するための第2のリサンプリング手段を有する、シンボル検出装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシンボル検出装置において、
前記第2のリサンプリング手段は、前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を物理格子の格子点にリサンプリングするように適応され、前記物理格子の前記格子点は、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボル位置を表しており、前記第1のリサンプリング手段は、前記位相検出手段の出力に基づいて、前記少なくとも2つの隣接したトラックからの前記非同期入力シンボルを前記物理格子の前記格子点にリサンプリングするように適応される、シンボル検出装置。
【請求項4】
請求項2に記載のシンボル検出装置において、
前記第2のリサンプリング手段は、前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を状態格子の格子点にリサンプリングするように適応され、前記状態格子の前記格子点は、前記少なくとも2つの隣接したトラックにおいて固定された位相関係を有する位置を表しており、前記第1のリサンプリング手段は、前記少なくとも2つの隣接したトラックのうちの1つの特定の参照トラックについての前記位相検出手段の前記出力に基づいて、前記少なくとも2つの隣接したトラックからの前記非同期入力シンボルを前記状態格子の前記格子点にリサンプリングするように適応される、シンボル検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載のシンボル検出装置において、更に、
前記二次元シンボル検出手段によって検出される予備シンボル値の使用により前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を更新するための更新手段を有するシンボル検出装置。
【請求項6】
請求項2に記載のシンボル検出装置において、
前記第1のリサンプリング手段は、特に1つ又は複数のサンプリングレートコンバータを使用した、前記少なくとも2つの隣接したトラック上のタイミングの別個の回復に適応されるとともに前記検出されたタイミングから前記トラックの前記位相関係を検出するように適応される、シンボル検出装置。
【請求項7】
請求項1に記載のシンボル検出装置において、
前記処理手段は、前記少なくとも2つの隣接したトラックの位相間の差を表す差信号をフィルタリングするためのローパスフィルタを有する、シンボル検出装置。
【請求項8】
請求項1に記載のシンボル検出装置において、更に、
前記少なくとも2つの隣接したトラックに隣接したトラックから当該少なくとも2つの隣接したトラックに導入されるクロストークのキャンセルのためのクロストークキャンセル手段を有するシンボル検出装置。
【請求項9】
請求項1に記載のシンボル検出装置において、
前記二次元シンボル検出手段は、Viterbi検出器を有し、特に、反復的なストライプごとのシンボル検出のための、トレリスに基づくストライプごとのViterbi検出器を有し、ストライプは前記少なくとも2つのトラックを有する、シンボル検出装置。
【請求項10】
請求項1に記載のシンボル検出装置において、
前記位相検出手段は、3つの隣接したトラックの前記シンボルの前記位相関係を検出するように適応され、前記処理手段は、前記3つの隣接したトラックの前記シンボルの前記シンボル位置におけるHF基準レベルを決定するように適応される、シンボル検出装置。
【請求項11】
請求項10に記載のシンボル検出装置において、
前記二次元シンボル検出手段は前記3つの隣接したトラックの前記シンボルのシンボル検出に適応される、シンボル検出装置。
【請求項12】
記録担体上の一次元の連続したトラックに沿って記録される一次元チャネルデータストリームのシンボル値を検出するためのシンボル検出方法であって、隣接したトラックのシンボルは異なる位相関係を有する、方法において、
−少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの位相関係を検出するステップと、
−前記検出された位相関係に基づいて、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルの理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答を再計算することによって、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボルのシンボル位置におけるHF基準レベルを決定するステップであって、前記理想的な二次元ターゲットHFインパルス応答は、前記少なくとも2つの隣接したトラックの前記シンボル間の位相差はないと過程したときのHFインパルス応答を表している、ステップと、
−二次元シンボル検出手段の使用による、前記HF基準レベル及び前記記録担体から読み出されるHF信号値を用いた、前記少なくとも2つの隣接したトラックのうちの少なくとも1つの前記シンボルのシンボル検出のステップと、
を有する方法。
【請求項13】
記録担体に記録された一次元チャネルデータストリームからのユーザデータストリームの再生のための再生装置において、前記チャネルデータストリームのシンボル値を検出するための請求項1に記載のシンボル検出装置を有する再生装置。
【請求項14】
記録担体に記録された一次元チャネルデータストリームからのユーザデータストリームの再生のための再生方法において、前記チャネルデータストリームのシンボル値を検出するための請求項12に記載のシンボル検出方法を有する再生方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるとコンピュータに請求項12又は14に記載の方法のステップを実行させる、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2007−526592(P2007−526592A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501427(P2007−501427)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050720
【国際公開番号】WO2005/088631
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】