一軸偏心ねじポンプ
【課題】ステータを外筒とライニング部材とに容易に分別することが可能であり、締め代を容易に調整可能な一軸偏心ねじポンプの提供を目的とした。
【解決手段】ステータ２０は、内周面が雌ねじ型となるように一体形成された筒状のライナー部２２と外筒部２４とを有する。ライナー部２２の両端部には、径方向外側に向けて突出したフランジ部２６，２６が設けられており、これらの間に外筒装着部２８が設けられている。外筒部２４は、外筒装着部２８に非接着状態で装着されており、両端部がフランジ部２６，２６に当接している。ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を挿入あるいは脱離させることにより、締め代を調整することができる。
【解決手段】ステータ２０は、内周面が雌ねじ型となるように一体形成された筒状のライナー部２２と外筒部２４とを有する。ライナー部２２の両端部には、径方向外側に向けて突出したフランジ部２６，２６が設けられており、これらの間に外筒装着部２８が設けられている。外筒部２４は、外筒装着部２８に非接着状態で装着されており、両端部がフランジ部２６，２６に当接している。ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を挿入あるいは脱離させることにより、締め代を調整することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、外筒部とライニング部とに分割可能なステータを備えた一軸偏心ねじポンプに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、下記特許文献１に開示されているように、内周面を雌ねじ形状に形成したステータの内部に、雄ねじ形状に形成したロータを挿入した構造の一軸偏心ねじポンプと称されるポンプが提供されている。このポンプにおいて採用されているステータの多くは、金属製の外筒内にゴムや樹脂などによって形成されたライニング部材を挿入した構造とされている。従来技術において採用されているステータは、外筒とライニング部材とを接着などによって固定することにより、両者の位置ずれやライニング部材の位置ずれが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００５−３４４５８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従来技術の一軸偏心ねじポンプにおいては、ステータの経年的劣化に伴いロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代（ロータの外面とステータの内面との重なり）が低下して十分な性能を発揮できなくなると、ステータを交換することによる対応、あるいはロータを径の大きなものに交換することによる対応がとられている。締め代等の調整のためにロータを径の大きなものに交換する方策を採用した場合は、一軸偏心ねじポンプの分解作業が必要となり、その分だけ作業効率が低下してしまうという問題がある。
【０００５】
また、従来技術のステータが外筒とライニング部材とを接着により一体化した構造とされていることから、ステータの交換により対応する場合は、摩耗したライニング部材だけでなく外筒まで交換する必要がある。従って、環境問題への配慮、ランニングコスト等の観点からすると、ステータを構成する外筒とライニング部材とを容易に分別回収可能とし、摩耗したライニング部材を交換すること等によりロータとステータとの接触圧、及び締め代を回復させることが可能な構造であることが望ましい。
【０００６】
ライニング部材等の交換作業を行うことにより対応する場合は、一軸偏心ねじポンプの分解作業、組み立て作業を行わねばならない。また、従来技術の一軸偏心ねじポンプにおいては、組み立て作業時にライニング部材及びステータの中心軸を正確に合致させる作業も必要となる。従って、ライニング部材の交換頻度、及びライニング部材等の交換に伴うランニングコストをより一層抑制するためには、ライニング部材が極度に摩耗した場合を除き、ライニング部材の交換を行わなくても容易かつ精度良く締め代等を回復させることが可能であり、締め代等を回復させる作業を行う際にライニング部材及びステータの中心軸を合致させる必要がない構成であることが望ましい。
【０００７】
更に、一軸偏心ねじポンプにおいては、移送する流動物の温度変化、用途等に応じて締め代を適宜調整可能とすることが望まれている。具体的には、一軸偏心ねじポンプにおいては、食品等の流動物を移送した後、熱水等を移送することによりロータ、ステータ等の部材の洗浄を実施したいという要望がある。しかしながら、従来技術においては、ロータあるいはステータを交換せねば締め代等の調整が行えないため、熱水等を移送する際に締め代が過大とならないようにロータの外径及びステータの内径が設定されている。従って、従来技術の一軸偏心ねじポンプにおいては、低温の流動物を移送する際の締め代等を適切な状態とすることが非常に困難であった。
【０００８】
そこで、本発明は、ステータを外筒とライニング部材とに容易に分別することが可能であり、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を容易かつ精度良く調整することが可能な一軸偏心ねじポンプの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部と、前記外筒部を、少なくとも周方向一部に相当する領域において前記ライナー部の径方向にオフセットさせることが可能な調整手段とを有することを特徴とするものである。
【００１０】
かかる構成とした場合、外筒部の少なくとも周方向一部に相当する領域を調整手段によって径方向にオフセットさせることにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧及び締め代を調整することが可能である。これにより、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく、ライニング部材の摩耗、移送する流動物の温度変化、用途等に応じて締め代を適宜調整することが可能となる。また、これにより、ライニング部材の交換頻度及びランニングコストをより一層抑制することが可能である。
【００１１】
また、本発明者らが鋭意検討したところ、上述したように外筒部の周方向一部に相当する領域のみをオフセットさせた場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になり、ライニング部材が偏摩耗せず略均一に摩耗することが判明した。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライナー部の交換頻度及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整部材を用いることにより接触圧及び締め代を調整する作業を行ったときに、ライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行う必要がなく、締め代等の調整を容易かつ精度良く行うことが可能である。
【００１２】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いて締め代等を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて適切な作動状態とすることが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００１３】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とするものである。
【００１４】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段により、外筒部の内側に形成されるライナー部装着領域をライナー部の周方向の一部において径方向に拡大及び／又は縮小させることにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を調整することが可能である。これにより、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく適宜締め代を調整することが可能となる。
【００１５】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライニング部材が過度に摩耗した場合を除いてライニング部材の交換の必要がなく、移送する流動物の温度変化、用途等が変化した場合であってもライニング部材及びロータの交換の必要がない。これにより、ライニング部材の交換頻度を最小限に抑制し、メンテナンスに要する手間、ランニングコスト等を最小限に抑制することが可能である。
【００１６】
また、本発明者らが鋭意検討したところ、外筒部の内周面において周方向一部に相当する領域のみを拡大、縮小させた場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になることが判明した。このため、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段によってライナー部装着領域を拡大、縮小した状態において作動させた場合であってもライニング部材の偏摩耗が発生しない。従って、本発明によれば、ライナー部の交換頻度及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。
【００１７】
また、ライニング部材の偏摩耗が発生しないため、調整部材を用いて接触圧及び締め代を調整する作業を行った際に、ライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行う必要がない。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて容易に実施することが可能である。
【００１８】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いて締め代等を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて適切な作動状態とすることが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００１９】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、前記ライナー部の少なくとも周方向一部の領域に対して前記外筒部側から径方向に作用する押圧力を調整することにより、前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とするものである。
【００２０】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いることにより、外筒部側からライナー部の少なくとも周方向一部の領域に作用する押圧力を調整することにより、ライナー部装着領域を径方向に拡大及び／又は縮小させ、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を調整することが可能である。これにより、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく適宜締め代を調整することが可能となる。
【００２１】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライニング部材が過度に摩耗した場合を除き、ライニング部材の摩耗により締め代が低下した場合、移送する流動物の温度が変化した場合、用途が変化した場合等であっても、調整手段を用いて調整するだけで締め代を適正化することが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、ライニング部材の交換頻度を最小限に抑制し、メンテナンスに要する手間、ランニングコスト等を最小限に抑制することが可能である。
【００２２】
また、本発明者らが鋭意検討したところ、調整手段を用いてライナー部の周方向一部の領域に対して外筒部側から径方向に作用する押圧力を調整した場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になることが判明した。このため、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いて締め代等を調整した場合であっても、ライニング部材の偏摩耗が発生しない。従って、本発明によれば、ライナー部の交換頻度及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。
【００２３】
また、ライニング部材の偏摩耗が発生しないため、調整部材を用いて接触圧及び締め代を調整する作業を行った際に、ライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行う必要がない。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて容易に実施することが可能である。
【００２４】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いてライナー部の少なくとも周方向一部の領域に作用する押圧力を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて締め代等を容易に適正なものに調整することが可能となる。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００２５】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記調整手段が、前記ライナー部と前記外筒部との間に介在及び／又は脱離させることが可能なシムによって構成されていることが好ましい。
【００２６】
かかる構成によれば、シムの抜き差し、シムの厚みの調整、及びシムの枚数の調整等によりロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を最適な状態に調整することが可能である。
【００２７】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、前記外筒構成部材が、軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有するものであり、前記調整手段が、周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結する連結体によって構成されており、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることが望ましい。
【００２８】
かかる構成によれば、調整手段によってフランジ部同士の間隔を調整することにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を最適な状態に調整することが可能となる。
【００２９】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記連結体が、前記フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていてもよい。
【００３０】
かかる構成によれば、挟持部材によりフランジ部に作用する挟持力を調整することによりフランジ部同士の間隔を容易に調整し、締め代等を精度良く調整することが可能となる。
【００３１】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、前記ライナー部の少なくとも周方向一部であって、前記ライナー部の軸線方向に延びる領域において、前記ライナー部と前記外筒部との間にシムを介在及び／又は脱離させることが可能であることを特徴とするものである。
【００３２】
かかる構成とした場合、ライナー部と外筒部との間にシムを介在及び／又は脱離させることにより、外筒部の内周面のうち少なくとも周方向一部に相当する領域をライナー部の径方向にオフセットさせることが可能となる。言い換えれば、外筒部の内側に形成されるライナー部を装着するための領域（ライナー部装着領域）を、ライナー部の周方向の一部において、ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能である。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、シムをライナー部と外筒部との間に介在及び／又は脱離させることにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧及び締め代を調整することが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく、ライニング部材の摩耗、移送する流動物の温度変化、用途等に応じて締め代を適宜調整することが可能である。また、これにより、ライニング部材の交換頻度及びランニングコストをより一層抑制することが可能である。
【００３３】
また、上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果、外筒部の内周面において周方向一部に相当する領域のみをオフセットさせた場合、又はライナー部装着領域を、ライナー部の周方向の一部において、ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させた場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になることが判明した。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプは、外筒とライニング部材との間にシムを介挿及び／又は脱離させた状態において流動物の移送を行っても、ライニング部材が偏摩耗せず略均一に摩耗する。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、偏摩耗によるライナー部の交換頻度、及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。また、ライナー部の偏摩耗が生じないため、シムをライナー部と外筒部との間に介在及び／又は脱離させる際にライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行わなくてもよい。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて簡便に実施できる。
【００３４】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、シムを用いて締め代等を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて適切な作動状態とすることが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００３５】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、前記外筒構成部材が、軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有し、周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結体によって連結することにより前記外筒部を形成可能なものであり、前記連結体が、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることを特徴とするものである。
【００３６】
かかる構成とした場合、外筒部を構成する外筒構成部材のフランジ部同士の間隔を連結体を用いて調整することにより、外筒部の内周面のうち少なくとも周方向一部に相当する領域をライナー部の径方向にオフセットさせることが可能となる。言い換えれば、外筒部の内側に形成されるライナー部を装着するための領域（ライナー部装着領域）を、ライナー部の周方向の一部において、ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能である。また、ライナー部に対して作用する押圧力を、ライナー部の少なくとも周方向一部の領域において変化させることが可能である。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、連結体を用いて外筒構成部材のフランジ部同士の間隔を調整することにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧及び締め代を調整することができ、ステータあるいはロータの交換等を行う必要がない。また、これにより、ライニング部材の交換頻度及びランニングコストをより一層抑制することが可能である。
【００３７】
上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果によれば、外筒部の内周面において周方向一部に相当する領域のみをオフセットさせた場合、ライナー部の周方向の一部においてライナー部装着領域をライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させた場合、ライナー部に対して作用する押圧力を、ライナー部の少なくとも周方向一部の領域において変化させた場合のいずれの場合においても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になる。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプは、連結体を用いて外筒構成部材のフランジ部同士の間隔を調整した状態において流動物の移送を行っても、ライニング部材が偏摩耗せず略均一に摩耗する。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、偏摩耗によるライナー部の交換頻度、及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。また、ライナー部の偏摩耗が生じないため、シムをライナー部と外筒部との間に介在及び／又は脱離させる際にライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行わなくてもよい。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて容易に実施できる。
【００３８】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、連結体が、フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていることが好ましい。
【００３９】
かかる構成によれば、挟持部材によりフランジ部に作用する連結力を容易に調整することが可能となる。これにより、締め代等を精度良く調整することが可能となる。
【００４０】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記ライナー部の両端部に、径方向外側に向けて突出した鍔状部が設けられており、前記鍔状部の間に前記外筒部が配され、前記鍔状部に対して前記外筒部の端部が当接していることが好ましい。
【００４１】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライナー部の両端部に設けられた鍔状部同士の間に外筒部が配されており、更に外筒部の端部を鍔状部に対して当接させた構造とされている。そのため、外筒部がライナー部の軸方向への収縮を防止するための支柱的な役割を果たし、ライナー部の内径を略均一に維持させうる。これにより、ライナー部の偏摩耗を回避し、吐出量を安定化させることが可能となる。
【００４２】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記ステータの一端側が接続されるエンドスタッドと、前記ステータの他端側が接続されるポンプケーシングと、前記エンドスタッド及び前記ポンプケーシングを連結するステーボルトとを有し、前記エンドスタッド及び／又はポンプケーシングに、前記ステーボルトと螺合可能なナット部が設けられており、前記ステーボルトと前記ナット部とを相対的に回動させることにより、エンドスタッド及びポンプケーシングの間隔を変化させることが可能であることが望ましい。
【００４３】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、ステーボルトとナット部とを相対的に回動させることにより、エンドスタッド及びポンプケーシングの間隔を変化させることが可能であるため、上述した調整手段等による締め代調整を容易に実施することが可能である。
【００４４】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記ライナー部の外観形状が多角形状のものであってもよい。
【００４５】
かかる構成とすることにより、ライナー部の周方向への位置ずれを防止し、一軸偏心ねじポンプの稼働状態を一層安定化させることが可能となる。
【００４６】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記外筒部が前記ライナー部の外形に沿う形状に屈曲しているものであることが好ましい。
【００４７】
かかる構成とすることにより、ライナー部の周方向への位置ずれをより一層確実に防止可能となり、一軸偏心ねじポンプの稼働状態をさらに安定化させうる。
【発明の効果】
【００４８】
本発明によれば、ステータを外筒とライニング部材とに容易に分別することが可能であり、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を容易かつ精度良く調整することが可能な一軸偏心ねじポンプを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】本発明の一実施形態にかかる一軸偏心ねじポンプを示す断面図である。
【図２】（ａ）は図１のα部拡大図、（ｂ）は図１のβ部拡大図である。
【図３】ステータの分解斜視図である。
【図４】図１の一軸偏心ねじポンプにおいて採用されているステータを示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｄ）のＢ−Ｂ断面図、（ｄ）は（ａ）のＡ−Ａ断面図である。
【図５】図３のステータに採用されているライナー部を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｂ）のＤ−Ｄ断面図、（ｄ）は（ａ）のＣ−Ｃ断面図である。
【図６】外筒構成体をクランプ結合する際の把持部に対する挟持片の取り付け方法を説明する説明図である。
【図７】（ａ）はシムを装着した状態におけるステータの断面図、（ｂ）はシムを脱離させた状態におけるステータの断面図である。
【図８】（ａ），（ｂ）は挟持片の側面図、（ｃ）は（ａ）に示す挟持片を装着した状態におけるステータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００５０】
続いて、本発明の一実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ１０について、図面を参照しつつ詳細に説明する。一軸偏心ねじポンプ１０は、いわゆる回転容積型のポンプであり、図１に示すように、ステータ２０や、ロータ５０、動力伝達機構７０などを備えた構成とされている。また、一軸偏心ねじポンプ１０は、金属製で筒状のポンプケーシング１２とエンドスタッド１３とを備え、両者を接続して一体化した構造とされている。具体的には、一軸偏心ねじポンプ１０においては、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３のそれぞれにスイベルナット１２ｘ，１３ｘが設けられている。ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３は、スイベルナット１２ｘ，１３ｘに対して接続されたステーボルト１８を介して接続され、一体化されている。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、スイベルナット１２ｘ，１３ｘを回動させることにより、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の間隔を拡大及び縮小させることが可能である。
【００５１】
一軸偏心ねじポンプ１０は、エンドスタッド１３に第１開口１４ａを有し、ポンプケーシング１２の外周部分に第２開口１４ｂを有する。第一開口１４ａは、一軸偏心ねじポンプ１０の軸方向に貫通した貫通孔とされている。第２開口１４ｂは、ポンプケーシング１２の長手方向中間部分に位置する中間部１２ａにおいてポンプケーシング１２の内部空間に連通している。
【００５２】
第１，２開口１４ａ，１４ｂは、それぞれ一軸偏心ねじポンプ１０の吸込口および吐出口として機能する部分である。さらに詳細に説明すると、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０は、ロータ５０を正方向に回転させることにより、第１開口１４ａが吐出口として機能し、第２開口１４ｂが吸込口として機能するように流体を圧送することが可能である。またこれとは逆に、一軸偏心ねじポンプ１０は、ロータ５０を逆方向に回転させることにより、第１開口１４ａが吸込口として機能し、第２開口１４ｂが吐出口として機能するように流体を圧送させることが可能である。
【００５３】
図１及び図２に示すように、ポンプケーシング１２は、一軸偏心ねじポンプ１０の組み立て状態においてエンドスタッド１３側を向く部分（端部１２ｂ）に、断面形状が段状になるように形成された嵌込部１２ｃを有する。また、エンドスタッド１３についても、一軸偏心ねじポンプ１０の組み立て状態においてポンプケーシング１２側を向く部分（端部１３ａ）に、断面形状が段状になるように形成された嵌込部１３ｂを有する。嵌込部１２ｃ，１３ｂは、それぞれ後に詳述するステータ２０のフランジ部２６を嵌め込むために設けられた部分である。嵌込部１２ｃ，１３ｂの幅ｈ１（軸方向の長さ）は、フランジ部２６の厚み（軸方向の長さ）と略同一であり、嵌込部１２ｃ，１３ｂが設けられた部分における開口径ｈ２は、フランジ部２６の外径と略同一である。
【００５４】
一軸偏心ねじポンプ１０は、ポンプケーシング１２とエンドスタッド１３との間に、ステータ２０を取り付けるためのステータ取付部１５を有する。一軸偏心ねじポンプ１０は、ステータ取付部１５にステータ２０を配した状態でステーボルト１８を装着することにより、ポンプケーシング１２とエンドスタッド１３とがステータ２０を介して連結され、上述した第１，２開口１４ａ，１４ｂ間を繋ぐ一連の流路が形成された状態になる。
【００５５】
ステータ２０は、一軸偏心ねじポンプ１０において最も特徴的な部分であり、図１、図３及び図４に示すように、ライナー部２２と外筒部２４とシム２５とに大別される。ライナー部２２は、ゴムに代表される弾性体や樹脂などにより、一体的に形成されたものである。ライナー部２２の材質は、一軸偏心ねじポンプ１０を用いて移送する被搬送物である流体の種類や性状などにあわせて適宜選択することが可能であるが、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム、あるいはシリコーンゴムを好適に使用することが可能である。また、ライナー部２２の特性としては、ＪＩＳ Ｋ６２６２に記載されている測定方法を用い、小形試験片を圧縮割合を２５％とした条件下で圧縮し、１００℃の温度雰囲気下に７２時間に亘ってさらした際の圧縮永久歪みが２０％以下であるゴム素材により形成されていることが好ましい。また、ライナー部２２の硬度は、ＪＩＳ Ｋ６２５３に記載されいているタイプＡデュロメータによる２３±１℃の温度雰囲気下における測定により、６０〜８０の範囲内であることが好ましい。
【００５６】
ライナー部２２は、径方向外側に向けて突出したフランジ部２６，２６（鍔状部）を軸方向の両端部に有し、フランジ部２６，２６間に外筒部２４を装着するための外筒装着部２８を備えた筒体である。ライナー部２２は、フランジ部２６，２６及び外筒装着部２８を一体的に形成したものであり、フランジ部２６，２６と外筒装着部２８との境界部分には段差３０を有する。フランジ部２６，２６は外観形状（断面形状）が略円形とされており、外筒装着部２８は外観形状（断面形状）が多角形状（本実施形態では略正十角形状）とされている。また、上述したようにフランジ部２６，２６の厚みは、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の端部１２ｂ，１３ａに設けられている嵌込部１２ｃ，１３ｂの幅ｈ１と同一あるいは幅ｈ１以上とされている。フランジ部２６，２６の厚みは、幅ｈ１に対して５％〜１５％厚いことが望ましい。これにより、フランジ部２６，２６がポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の間において強固に圧着固定され、シールされた状態になる。また、フランジ部２６，２６の外径は、それぞれポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の端部１２ｂ，１３ａに設けられている嵌込部１２ｃ，１３ｂの開口径ｈ２と略同一とされている。
【００５７】
ライナー部２２の内周面３２は、ｎ条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ライナー部２２の内周面３２は、多段の雌ねじ形状とされている。さらに具体的には、ライナー部２２の内部には、ライナー部２２の長手方向に沿って伸び、所定のピッチでねじれた雌ねじ形状の貫通孔３４が設けられている。貫通孔３４は、ライナー部２２の長手方向のいずれの位置において断面視しても、その断面形状（開口形状）がほぼ長円形となるように形成されている。
【００５８】
図３及び図４に示すように、外筒部２４は、上述したライナー部２２の外筒装着部２８においてライナー部２２の外周を覆い、非接着状態で装着されるものである。具体的には、外筒部２４は、ライナー部２２の外周に押圧状態で装着されるものであり、接着剤を用いなくてもライナー部２２と一体化され、周方向及び軸方向の双方に位置決めされた状態になる。
【００５９】
図３に示すように、外筒部２４は、複数（本実施形態では２つ）の外筒構成体３６，３６と、クランプ３８，３８とによって構成されており、内側にライナー部装着領域２７を形成することができる。外筒構成体３６，３６は、それぞれライナー部２２の外筒装着部２８において周方向に略半分の領域に覆い被さる金属製の部材であり、外筒装着部２８に沿う形状となるように湾曲（屈曲）している。そのため、ライナー部装着領域２７内に外筒装着部２８が収まるように外筒構成体３６をライナー部２２に対して装着することにより、外筒構成体３６が周方向に回り止めされた状態になる。また、図４（ｃ）に示すように、外筒構成体３６の厚みは、ライナー部２２においてフランジ部２６と外筒装着部２８との間に形成された段差３０よりも大きい。そのため、外筒装着部２８に外筒構成体３６を装着すると、図１及び図４に示すように、外筒構成体３６がフランジ部２６よりもライナー部２２の径方向外側に向けて張り出した状態になる。
【００６０】
また、外筒構成体３６の長さは、外筒装着部２８の長さと略同一である。そのため、外筒装着部２８に外筒構成体３６を装着すると、図１、図２及び図４に示すようにライナー部２２の段差３０が形成された部分において外筒構成体３６の両端部がフランジ部２６，２６に対して当接した状態になる。そのため、外筒部２４は、ライナー部２２に対して外筒構成体３６を装着した状態において軸方向（長手方向）に向けて圧縮応力が作用した場合に、この応力を外筒構成体３６によって受け止め、ライナー部２２の圧縮変形や、ライナー部２２内に形成された貫通孔３４の変形を防止することが可能である。
【００６１】
外筒装着部２８の周方向両端部には、把持部４０，４０（フランジ部）が長手方向に向けて延びるように形成されている。把持部４０，４０の一端側には、ピン挿通孔４２，４２が設けられており、他端側には係合溝４４，４４が形成されている。ピン挿通孔４２，４２及び係合溝４４，４４は、それぞれ後に詳述するクランプ３８，３８を装着するために使用するものである。係合溝４４は、把持部４０の縁から斜め後方（前記他端側）に向けて延びるように形成されている。
【００６２】
クランプ３８は、断面形状が略「コ」字型の挟持片４６と、ピン４８とを備えている。挟持片４６は、外筒装着部２８に外筒構成体３６を装着する際に、重ね合わせた状態になっている把持部４０，４０を挟み込むようにして装着されるものである。挟持片４６は、把持部４０と略同一の長さを有し、その長手方向一端側にはピン挿通孔４６ａが設けられ、他端側には突起４６ｂが設けられている。挟持片４６は、図６において矢印Ｘによって示すように突起４６ｂを把持部４０において斜め方向に延びるように形成された係合溝４４に沿ってスライドさせ、突起４６ｂが係合溝４４の端部に突き当たった状態において、矢印Ｙによって示すように突起４６ｂを中心として回動させることにより、ピン挿通孔４６ａを把持部４０，４０側のピン挿通孔４２，４２と連通した状態とすることが可能である。この状態においてピン４８をピン挿通孔４６ａ，４２，４２に亘って挿通することにより、クランプ３８によって把持部４０，４０が挟持され、固定された状態（クランプ結合された状態）とすることが可能である。
【００６３】
図３に示すように、シム２５（調整手段，押圧力調整手段）は、金属製あるいは樹脂製の薄板によって構成されており、上述したライナー部２２と外筒部２４との間に介挿される部材である。シム２５の厚みは、ロータ５０の径の１／３０〜１／１００程度であることが好ましい。本実施形態においては、シム２５の厚みが０．１ｍｍ〜０．４ｍｍ程度とされている。また、シム２５の横幅は、上述したライナー部２２における外筒装着部２８の軸線方向の長さ、言い換えれば外筒部２４のライナー部装着領域２７の長さに相当する長さとされている。また、シム２５の縦幅は、ライナー部２２における外筒装着部２８の外周の長さの一部に相当する長さとされている。具体的には、シム２５の縦幅は、外筒装着部２８の外周の長さの１／１２〜１／８程度の長さとされている。言い換えれば、シム２５の縦幅は、外筒装着部２８の周方向に３０度分の長さから４５度分の長さに相当する長さとされている。
【００６４】
図３に示すように、シム２５は、ライナー部２２における外筒装着部２８の略全幅に亘って装着される。また、図３、図４及び図７（ａ）に示すように、シム２５は、外筒装着部２８の周方向に一部の領域（本実施形態では、外周の１／１２〜１／８程度の領域）に亘って装着される。また、シム２５は、一枚のみで装着する他、必要に応じて複数枚重ねた状態で装着することが可能である。さらに、既にシム２５が重ねた状態で装着されている場合に、そのうちの一部を必要に応じて脱離させることが可能である。シム２５は、外筒装着部２８上にそのまま配置することも可能であるが、外筒装着部２８から脱落を防止すること、一軸偏心ねじポンプ１０の作動に伴う振動等の影響による位置ずれを防止すること等を考慮し、粘着材等を用いて外筒装着部２８に装着することも可能である。
【００６５】
ステータ２０は、ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を挿入あるいは脱離させることにより、外筒部２４の周方向一部に相当する部分、すなわち外筒構成体３６をライナー部２２の径方向にオフセットさせることが可能である。
【００６６】
具体的には、シム２５が介挿されていない状況においては、図７（ｂ）に示すように外筒部２４の内周面全体がライナー部２２の外筒装着部２８に対して略密接した状態である。この状況において、ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を介挿させると、図７に示すようにシム２５が介挿された側の外筒構成体３６がライナー部２２の径方向外側に向けてオフセットされた状態になる。また、ライナー部２２及び外筒部２４の間からシム２５を脱離させると、外筒部２４の内周面全体がライナー部２２の外筒装着部２８に密着した状態になる。これにより、脱離させたシム２５の厚み分だけ外筒構成体３６がライナー部２２の径方向内側に向けてオフセットされた状態になる。このように、シム２５をライナー部２２及び外筒部２４の間に挿入あるいは脱離させることにより、外筒部２４の一部をライナー部２２の径方向に向けてオフセットさせることができる。
【００６７】
また、ステータ２０は、ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を挿入あるいは脱離させることにより、ライナー部装着領域２７をライナー部２２の少なくとも周方向一部においてライナー部２２の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能である。さらに、シム２５を挿入あるいは脱離させることにより、ライナー部２２の周方向一部の領域に対して外筒部２４側から径方向に作用する押圧力を調整することが可能である。具体的には、シム２５をライナー部２２と外筒部２４との間に挿入、脱離すると、シム２５が挿入、脱離された領域においてシム２５の厚み分だけライナー部装着領域２７が径方向に拡大あるいは縮小される。また、外筒部２４がライナー部２２に対して押圧状態となるように装着されるため、シム２５をライナー部２２と外筒部２４との間に挿入すると、シム２５が挿入された領域においてライナー部２２に作用する押圧力が局所的に上昇する。これとは逆に、シム２５を脱離させると、その分だけライナー部に作用する押圧力が局所的に低下する。
【００６８】
また、ライナー部２２と外筒部２４との間にシ介挿されるシム２５の枚数は必ずしも単一である必要はなく、複数枚重ねた状態で介挿されてもよい。シム２５を複数枚重ねた状態で介挿させる場合は、重ね合わせるシム２５の枚数を調整することにより外筒構成体３６のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小の程度、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランスを更に細かく調整することが可能である。
【００６９】
ステータ２０は、ライナー部２２に対して外筒構成体３６，３６を被せ、把持部４０，４０をクランプ３８，３８によって結合した状態とされて使用される。ステータ２０は、ポンプケーシング１２において第１開口１４ａに隣接する位置にあるステータ取付部１２ｂ内に組み込まれる。具体的には、ステータ２０は、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３に設けられた嵌込部１２ｃ，１３ｂにライナー部２２の両端に設けられたフランジ部２６，２６を差し込み、エンドスタッド１３と中間部１２ａとの間（ステータ取付部１２ｂ）に挟み込むとともに、エンドスタッド１３とポンプケーシング１２の本体部分とに亘ってステーボルト１８を取り付けて締め付けることにより固定されている。
【００７０】
上述したようにしてステータ２０が取り付けられると、図２（ａ）に示すように、ライナー部２２の一端側において一方のフランジ部２６がエンドスタッド１３と外筒部２４との間に挟み込まれた状態になる。また、図２（ｂ）に示すように、他端側においては、他方のフランジ部２６が中間部１２ａと外筒部２４との間に挟み込まれた状態になる。さらに、外筒部２４については、一端側においてフランジ部２６及びエンドスタッド１３の端部に当接し、他端側においてフランジ部２６及びポンプケーシング１２の端部に当接した状態になる。そのため、ステータ２０は、ライナー部２２及び外筒部２４の双方ともポンプケーシング１２のステータ取付部１２ｂ内において位置ずれ等を起こさない。
【００７１】
図１に示すように、ロータ５０は、金属製の軸体であり、ｎ−１条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ロータ５０は、１条で多段の偏心した雄ねじ形状とされている。ロータ５０は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状がほぼ真円形となるように形成されている。ロータ５０は、上述したステータ２０に形成された貫通孔３４に挿通され、貫通孔３４の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【００７２】
ロータ５０をステータ２０のライナー部２２に形成された貫通孔３４内に挿通すると、ロータ５０の外周面５２とステータ２０の内周面３２とが両者の接線にわたって当接した状態になる。また、この状態において、ステータ２０の内周面３２と、ロータ５０の外周面との間には、流体搬送路６０が形成される。
【００７３】
流体搬送路６０は、ステータ２０やロータ５０の長手方向に向けて螺旋状に延びている。また、流体搬送路６０は、ロータ５０をステータ２０の貫通孔３４内において回転させると、ステータ２０内を回転しながらステータ２０の長手方向に進む。そのため、ロータ５０を回転させると、ステータ２０の一端側から流体搬送路６０内に流体を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路６０内に閉じこめた状態でステータ２０の他端側に向けて移送し、ステータ２０の他端側において吐出させることが可能である。すなわち、ロータ５０を正方向に回転させると、第２開口１４ｂから吸い込んだ流体を圧送し、第１開口１４ａから吐出することが可能である。また、ロータ５０を逆方向に回転させると、第１開口１４ａから吸い込んだ流体を第２開口１４ｂから吐出することが可能である。
【００７４】
動力伝達機構７０は、ポンプケーシング１２の外部に設けられたモータなどの動力源（図示せず）から上述したロータ５０に対して動力を伝達するために設けられている。動力伝達機構７０は、動力接続部７２と偏心回転部７４とを有する。動力接続部７２は、ポンプケーシング１２の長手方向の一端側、さらに詳細には上述したエンドスタッド１３やステータ取付部１２ｂが設けられたのとは反対側（以下、単に「基端側」とも称す）に設けられた軸収容部１２ｃ内に設けられている。また、偏心回転部７４は、軸収容部１２ｃとステータ取付部１２ｂとの間に形成された中間部１２ａに設けられている。
【００７５】
動力接続部７２は、ドライブシャフト７６を有し、これが２つの軸受７８ａ，７８ｂによって自由に回転可能なように支持されている。ドライブシャフト７６は、ポンプケーシング１２の基端側の閉塞部分から外部に取り出されており、動力源に接続されている。そのため、動力源を作動させることにより、ドライブシャフト７６を回転させることが可能である。動力接続部７２が設けられた軸収容部１２ｃと中間部１２ａとの間には、例えばメカニカルシールやグランドパッキンなどからなる軸封装置８０が設けられており、これにより中間部１２ａ側から軸収容部１２ｃ側に被搬送物たる流体が漏れ出さない構造とされている。
【００７６】
偏心回転部７４は、上述したドライブシャフト７６とロータ５０とを動力伝達可能なように接続する部分である。偏心回転部７４は、連結軸８２と、２つの連結体８４，８６とを有する。連結軸８２は、従来公知のカップリングロッドや、スクリューロッドなどによって構成されいる。連結体８４は連結軸８２とロータ５０とを連結するものであり、連結体８６は連結軸８２とドライブシャフト７６とを連結するものである。連結体８４，８６は、いずれも従来公知のユニバーサルジョイントなどによって構成されており、ドライブシャフト７６を介して伝達されてきた回転動力をロータ５０に伝達し、ロータ５０を偏心回転させることが可能である。
【００７７】
一軸偏心ねじポンプ１０は、ステータ２０においてライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を介在あるいは脱離させ、外筒部２４（外筒構成体３６）のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランスを調整することにより、ロータ５０の外周面５２とライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代を調整することが可能である。
【００７８】
具体的には、ライナー部２２の摩耗等に伴いロータ５０の外周面５２とライナー部２２の内周面３２との接触圧及び締め代を向上させる必要がある場合には、外筒部２４をなす一部又は全部の外筒構成体３６をライナー部２２から取り外し、ライナー部２２の外周面にシム２５を配置する。シム２５が既に配置されている場合には、シム２５を更に重ねて配置する。シム２５は、ライナー部２２の外筒装着部２８の周方向一部の領域において、全幅（軸線方向全体）に亘って装着された状態になる。この状態において取り外した外筒構成体３６を装着することにより、シム２５が装着された領域において外筒構成体３６が径方向外側に向けてオフセットされた状態になる。また、シム２５が装着された領域においては、ライナー部装着領域２７が径方向に縮小し、ライナー部２２に作用する押圧力が局所的に高くなる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代が高くなる。
【００７９】
一方、流動物の温度が高い等の理由によりロータ５０の外周面５２とライナー部２２の内周面３２との接触圧及び締め代を低下させる必要がある場合には、外筒部２４をなす一部又は全部の外筒構成体３６をライナー部２２から取り外し、ライナー部２２の外周面に配置されているシム２５を取り除く。シム２５が複数重ねた状態で配置されている場合には、全てのシム２５を取り除く他、一部のシム２５を取り除くことが可能である。このようにしてシム２５を取り除いた後、外筒構成体３６を装着することにより、シム２５が取り除かれた分だけ外筒構成体３６が径方向内側に向けてオフセットされた状態になる。また、シム２５が取り除かれた領域においては、ライナー部装着領域２７が径方向に拡大し、ライナー部２２に作用する押圧力が低くなる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代が低くなる。
【００８０】
上述したように、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０においては、シム２５の脱着を行うことによりロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代を調整できる。また、外筒部２４をなす一部又は全部の外筒構成体３６を脱着することによりシム２５の脱着を行うことが可能であり、ステータ２０及びロータ５０を全て取り外して分解する必要がない。更に、一軸偏心ねじポンプ１０においては、スイベルナット１２ｘ，１３ｘを回動させることにより、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の間隔、すなわちステータ取付部１５を拡張及び縮小することができ、外筒構成体３６の脱着作業に手間を要しない。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、シム２５による締め代等の調整が容易に実施可能であり、メンテナンス性に優れている。
【００８１】
一軸偏心ねじポンプ１０においては、上述したようにしてシム２５を装着した状態及び脱離させた状態のいずれの状態において作動させても、ロータ５０とライナー部２２との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になる。従って、一軸偏心ねじポンプ１０において、ライナー部２２は、偏摩耗することなく略均一に摩耗する。また、ライナー部２２及び外筒部の間にシム２５を介挿させたとしても、ライナー部２２及びロータ５０の中心軸を合致させる作業を行う必要がない。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、ライナー部２２の交換頻度、及びメンテナンスに要する作業を最小限に抑制することが可能である。
【００８２】
一軸偏心ねじポンプ１０は、移送する流動物の温度、用途等の作動条件に応じてシム２５を装着あるいは脱離させることにより、締め代等を作動条件に適切な状態にして作動させることが可能である。従って、一軸偏心ねじポンプ１０によれば、締め代が過大となることによるステータ２０の破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００８３】
上述したシム２５の厚み、縦幅、横幅は、いずれも上述したものに限定される訳ではなく、適宜調整することが可能である。なお、シム２５の横幅を外筒装着部２８の軸線方向の長さよりも短くする場合には、複数のシム２５を外筒装着部２８の軸線方向に並べて配置する等の方策により、外筒装着部２８の軸線方向略全体に亘ってシム２５が装着された状態となるようにすることにより、上述した本実施形態のシム２５を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【００８４】
本実施形態では、シム２５をライナー部２２及び外筒部２４の間に介挿させる、あるいは脱離させることにより外筒部２４（外筒構成体３６）のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランスを調整するための調整部材として用いた例を示したが、本発明はこれに限定される訳ではない。具体的には、外筒構成体３６の周方向両端部に設けられた把持部４０，４０を把持するために設けられたクランプ３８を前述した調整部材として用いることが可能な構成としてもよい。具体的には、図８に示すように、対向する２面の挟持面４６ｐ，４６ｑの間隔が異なる把持片４６ｘ，４６ｙを用意し、締め代等に応じて把持片４６ｘ，４６ｙを使い分けることとしても良い。
【００８５】
具体的には、図８（ａ）に示す間隔がｄ１の把持片４６ｘを用いて外筒構成体３６，３６を連結した場合、図８（ｃ）に示すようにライナー部装着領域２７が拡大し、ライナー部２２に作用する押圧力が緩やかになる。また、ライナー部２２を包囲している外筒部２４の一部、すなわち外筒構成体３６が、ライナー部２２の径方向外側に向けてオフセットされた状態になる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代を低くなる。
【００８６】
逆に、図８（ｂ）に示す間隔がｄ１よりも小さなｄ２である把持片４６ｙを用いて外筒装着部２８を連結した場合は、図７（ｂ）に示すように外筒部２４の内周面全体がライナー部２２の外筒装着部２８に対して略密接した状態になる。この状態においては、把持片４６ｘを用いた場合に比べてライナー部装着領域２７が縮小し、ライナー部２２に作用する押圧力が高くなる。また、ライナー部２２を包囲している外筒部２４の一部、すなわち外筒構成体３６が、把持片４６ｘを用いた場合よりもライナー部２２の径方向内側に向けてオフセットされた状態になる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代が高くなる。
【００８７】
上述したように、締め代等に応じて間隔の異なる把持片４６ｘ，４６ｙを使い分ける場合についても、シム２５を併用することが可能である。把持片４６ｘ，４６ｙ及びシム２５を併用することにより、外筒部２４の一部たる外筒構成体３６のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランス調整をより一層精細に行うことが可能である。
【００８８】
また、一軸偏心ねじポンプ１０は、図８に示すような挟持面４６ｐ，４６ｑの間隔が異なるクランプ３８を用いる代わりに、外筒構成体３６の把持部４０の長手方向複数箇所においてボルト等によって構成された挟持力を調整可能な固定具４７を用いて固定する構成としても良い。このような構成とした場合は、固定具４７により把持部４０に作用する挟持力を調整することにより外筒構成体３６のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力を調整し、締め代等の適正化を図ることが可能である。なお、固定具４７を用いる場合についても、上述したシム２５を併用することにより、締め代等をより一層精細に調整することが可能となる。
【００８９】
上述したように、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０のステータ２０は、一体形成されたライナー部２２に対して外筒部２４が非接着状態で装着されている。具体的には、外筒構成体３６，２６の把持部４０，４０にクランプ３８を装着することによって発生する挟持力の影響により、外筒部２４に対してライナー部２２の径方向内側方向への押圧力が作用する。外筒部２４は、この押圧力によってライナー部２２の外周に押圧状態で装着されており、ライナー部２２の軸方向及び周方向に位置決めされた状態になっている。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、外筒構成体３６，３６及びクランプ３８，３８を取り外すことによりライナー部２２と外筒部２４とに容易に分別し、回収することが可能であり、環境問題に対して十分な配慮を払うことが可能となる。
【００９０】
また、一軸偏心ねじポンプ１０は、ライナー部２２の両端部に設けられたフランジ部２６の間に存在する外筒装着部２８が外筒部２４によって覆われ、外筒部２４の端部がフランジ部２６に対して当接した構造とされており、ライナー部２２が軸方向に収縮するのを防止しうる。すなわち、外筒部２４が、ライナー部２２の軸方向への収縮を防止するための支柱的役割を果たす。これにより、吐出圧の影響などによりステータ２０に対して軸方向への圧縮力が作用したとしてもライナー部２２の内径を部位によらず略均一に維持することが可能となり、ライナー部２２の偏摩耗を回避し、吐出量の安定化を図ることが可能となる。なお、本実施形態では、ライナー部２２の軸方向への収縮防止等の観点からライナー部２２の両端にフランジ部２６を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジ部２６のいずれか一方、又は双方を設けない構成としてもよい。
【００９１】
一軸偏心ねじポンプ１０は、外筒部２４が、周方向に複数の外筒構成体３６に分割可能なものであるため、ライナー部２２に対する外筒部２４の脱着作業を容易に実施可能である。また、上述した外筒部２４は、外筒構成体３６同士をクランプ３８を用いて結合（クランプ結合）させて一体化したものであり、把持部４０，４０に対して挟持片４６及びピン４８を着脱するだけで外筒部２４を着脱することが可能である。
【００９２】
なお、本実施形態では、外筒部２４を２つの外筒構成体３６によって構成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の外筒構成体３６によって構成されるものであってもよい。また、本実施形態では、外筒構成体３６，３６を周方向２カ所においてクランプ３８によって結合した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば外筒構成体３６，３６の周方向一端側を蝶番などによって連結し、他端側をクランプ３８や他の手法によって連結した構造とすることも可能である。さらに、本実施形態では、挟持片４６及びピン４８によって構成されたクランプ３８を外筒構成体３６，３６を結合するために用いた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外筒構成体３６，３６を位置ずれしないように固定可能なものであれば、他のいかなる手法によって外筒構成体３６，３６を結合することとしてもよい。
【００９３】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０は、ステータ２０の一端側にエンドスタッド１３が配置されており、ステータ２０がステーボルト１８によって発生する締結力を用いてエンドスタッド１３とともにポンプケーシング１２に一体に連結されている。また、ステータ２０は、外筒部２４がエンドスタッド１３及びポンプケーシング１２の端部１２ｂ，１３ａに当接した状態となっている。従って、ステータ２０を組み付けた状態において、ステーボルト１８による締結力がライナー部２２よりも外筒部２４に優先的に作用することになり、ライナー部２２に対して軸方向に大きな圧縮力が作用することや、ライナー部２２が圧縮変形することを防止できる。またこれにより、ライナー部２２の偏摩耗を防止し、吐出量を安定化することが可能となる。
【００９４】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０は、ポンプケーシング１２の端部１２ｂ及びエンドスタッド１３の端部１３ａに、フランジ部２６を嵌込可能な嵌込部１２ｃ，１３ｂが設けられており、これらに嵌め込まれたライナー部２２のフランジ部２６が、外筒部２４と、エンドスタッド１３及びポンプケーシング１２との間に挟み込まれている。これにより、ライナー部２２の軸方向への位置ずれを確実に防止することが可能であり、一軸偏心ねじポンプ１０の稼働状態をより一層安定化させることが可能である。
【００９５】
上述したように、ライナー部２２の外筒装着部２８は、外観形状が多角形状（本実施形態では略十角形）とされている。さらに、外筒構成体３６，３６は、ともに外筒装着部２８に沿う形状に屈曲しており、クランプ３８によって把持部４０を把持し、結合することにより外筒装着部２８と略同一形状（本実施形態では略正十角形）で筒状の外筒部２４が形成される。これにより、ライナー部２２に対して周方向への荷重が作用してもライナー部２２のみが周方向に位置ずれを起こすのを防止し、一軸偏心ねじポンプ１０の稼働状態の安定化を図ることが可能となる。
【００９６】
また、ライナー部２２が多角形状に形成されているため、シム２５を所望の位置及び領域に配置しやすい。さらに、外筒構成体３６がライナー部２２の外形に沿う形状に形成されているため、ライナー部２２の外周に形成された角を越えて複数の面に亘ってシム２５を配置した場合においても、シム２５を確実にライナー部２２の表面に沿う形状に屈曲させ、位置ずれ等しないように挟み込むことが可能である。
【００９７】
なお、本実施形態では、外筒部２４に対するライナー部２２の位置ずれ防止、シム２５の配置の容易化等を目的として、外筒装着部２８及び外筒部２４をそれぞれ多角形状に形成した例を例示したが、周方向への位置ずれ等を防止可能な他の構成を採用した場合や、周方向への位置ずれ等まで考慮しなくても良い場合などは、上述したものとは相違する構成としてもよい。具体的には、外筒装着部２８及び外筒部２４は、それぞれ略同一の断面形状を有するものであったが、例えば外筒装着部２８を略正十角形とし外筒部２４を略正十二角形とするなど、ライナー部２２の回り止めとして機能する範疇において両者の断面形状が相違していてもよい。
【００９８】
また、外筒部２４の内周側に突起を設けた構成とし、外筒装着部２８に外筒部２４を装着することにより前述した突起がライナー部２２の外周面に押圧された状態で接触するような構成としてもよい。かかる構成によれば、ライナー部２２の外周面及びシム２５に対して突起が引っかかり、ライナー部２２の周方向及び軸方向への位置ずれ、シム２５の脱落等を防止することが可能である。このように突起を設ける構成は、本実施形態のように外筒装着部２８や外筒部２４を多角形状とした場合だけでなく、ライナー部２２の外観形状が円筒状である場合のようにライナー部２２の位置ずれ、シム２５の脱落等が懸念される場合にも有効である。
【符号の説明】
【００９９】
１０ 一軸偏心ねじポンプ
１２ ポンプケーシング
１２ｂ 端部
１２ｃ 嵌込部
１３ エンドスタッド
１３ｂ 嵌込部
１５ ステータ取付部
２０ ステータ
２２ ライナー部
２４ 外筒部
２５ シム（調整手段）
２６ フランジ部（鍔状部）
２７ ライナー部装着領域
２８ 外筒装着部
３６ 外筒構成体
４６ 挟持片
５０ ロータ
【技術分野】
【０００１】
本発明は、外筒部とライニング部とに分割可能なステータを備えた一軸偏心ねじポンプに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、下記特許文献１に開示されているように、内周面を雌ねじ形状に形成したステータの内部に、雄ねじ形状に形成したロータを挿入した構造の一軸偏心ねじポンプと称されるポンプが提供されている。このポンプにおいて採用されているステータの多くは、金属製の外筒内にゴムや樹脂などによって形成されたライニング部材を挿入した構造とされている。従来技術において採用されているステータは、外筒とライニング部材とを接着などによって固定することにより、両者の位置ずれやライニング部材の位置ずれが防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００５−３４４５８７号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従来技術の一軸偏心ねじポンプにおいては、ステータの経年的劣化に伴いロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代（ロータの外面とステータの内面との重なり）が低下して十分な性能を発揮できなくなると、ステータを交換することによる対応、あるいはロータを径の大きなものに交換することによる対応がとられている。締め代等の調整のためにロータを径の大きなものに交換する方策を採用した場合は、一軸偏心ねじポンプの分解作業が必要となり、その分だけ作業効率が低下してしまうという問題がある。
【０００５】
また、従来技術のステータが外筒とライニング部材とを接着により一体化した構造とされていることから、ステータの交換により対応する場合は、摩耗したライニング部材だけでなく外筒まで交換する必要がある。従って、環境問題への配慮、ランニングコスト等の観点からすると、ステータを構成する外筒とライニング部材とを容易に分別回収可能とし、摩耗したライニング部材を交換すること等によりロータとステータとの接触圧、及び締め代を回復させることが可能な構造であることが望ましい。
【０００６】
ライニング部材等の交換作業を行うことにより対応する場合は、一軸偏心ねじポンプの分解作業、組み立て作業を行わねばならない。また、従来技術の一軸偏心ねじポンプにおいては、組み立て作業時にライニング部材及びステータの中心軸を正確に合致させる作業も必要となる。従って、ライニング部材の交換頻度、及びライニング部材等の交換に伴うランニングコストをより一層抑制するためには、ライニング部材が極度に摩耗した場合を除き、ライニング部材の交換を行わなくても容易かつ精度良く締め代等を回復させることが可能であり、締め代等を回復させる作業を行う際にライニング部材及びステータの中心軸を合致させる必要がない構成であることが望ましい。
【０００７】
更に、一軸偏心ねじポンプにおいては、移送する流動物の温度変化、用途等に応じて締め代を適宜調整可能とすることが望まれている。具体的には、一軸偏心ねじポンプにおいては、食品等の流動物を移送した後、熱水等を移送することによりロータ、ステータ等の部材の洗浄を実施したいという要望がある。しかしながら、従来技術においては、ロータあるいはステータを交換せねば締め代等の調整が行えないため、熱水等を移送する際に締め代が過大とならないようにロータの外径及びステータの内径が設定されている。従って、従来技術の一軸偏心ねじポンプにおいては、低温の流動物を移送する際の締め代等を適切な状態とすることが非常に困難であった。
【０００８】
そこで、本発明は、ステータを外筒とライニング部材とに容易に分別することが可能であり、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を容易かつ精度良く調整することが可能な一軸偏心ねじポンプの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部と、前記外筒部を、少なくとも周方向一部に相当する領域において前記ライナー部の径方向にオフセットさせることが可能な調整手段とを有することを特徴とするものである。
【００１０】
かかる構成とした場合、外筒部の少なくとも周方向一部に相当する領域を調整手段によって径方向にオフセットさせることにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧及び締め代を調整することが可能である。これにより、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく、ライニング部材の摩耗、移送する流動物の温度変化、用途等に応じて締め代を適宜調整することが可能となる。また、これにより、ライニング部材の交換頻度及びランニングコストをより一層抑制することが可能である。
【００１１】
また、本発明者らが鋭意検討したところ、上述したように外筒部の周方向一部に相当する領域のみをオフセットさせた場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になり、ライニング部材が偏摩耗せず略均一に摩耗することが判明した。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライナー部の交換頻度及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整部材を用いることにより接触圧及び締め代を調整する作業を行ったときに、ライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行う必要がなく、締め代等の調整を容易かつ精度良く行うことが可能である。
【００１２】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いて締め代等を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて適切な作動状態とすることが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００１３】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とするものである。
【００１４】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段により、外筒部の内側に形成されるライナー部装着領域をライナー部の周方向の一部において径方向に拡大及び／又は縮小させることにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を調整することが可能である。これにより、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく適宜締め代を調整することが可能となる。
【００１５】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライニング部材が過度に摩耗した場合を除いてライニング部材の交換の必要がなく、移送する流動物の温度変化、用途等が変化した場合であってもライニング部材及びロータの交換の必要がない。これにより、ライニング部材の交換頻度を最小限に抑制し、メンテナンスに要する手間、ランニングコスト等を最小限に抑制することが可能である。
【００１６】
また、本発明者らが鋭意検討したところ、外筒部の内周面において周方向一部に相当する領域のみを拡大、縮小させた場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になることが判明した。このため、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段によってライナー部装着領域を拡大、縮小した状態において作動させた場合であってもライニング部材の偏摩耗が発生しない。従って、本発明によれば、ライナー部の交換頻度及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。
【００１７】
また、ライニング部材の偏摩耗が発生しないため、調整部材を用いて接触圧及び締め代を調整する作業を行った際に、ライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行う必要がない。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて容易に実施することが可能である。
【００１８】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いて締め代等を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて適切な作動状態とすることが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００１９】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、前記ライナー部の少なくとも周方向一部の領域に対して前記外筒部側から径方向に作用する押圧力を調整することにより、前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とするものである。
【００２０】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いることにより、外筒部側からライナー部の少なくとも周方向一部の領域に作用する押圧力を調整することにより、ライナー部装着領域を径方向に拡大及び／又は縮小させ、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を調整することが可能である。これにより、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく適宜締め代を調整することが可能となる。
【００２１】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライニング部材が過度に摩耗した場合を除き、ライニング部材の摩耗により締め代が低下した場合、移送する流動物の温度が変化した場合、用途が変化した場合等であっても、調整手段を用いて調整するだけで締め代を適正化することが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、ライニング部材の交換頻度を最小限に抑制し、メンテナンスに要する手間、ランニングコスト等を最小限に抑制することが可能である。
【００２２】
また、本発明者らが鋭意検討したところ、調整手段を用いてライナー部の周方向一部の領域に対して外筒部側から径方向に作用する押圧力を調整した場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になることが判明した。このため、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いて締め代等を調整した場合であっても、ライニング部材の偏摩耗が発生しない。従って、本発明によれば、ライナー部の交換頻度及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。
【００２３】
また、ライニング部材の偏摩耗が発生しないため、調整部材を用いて接触圧及び締め代を調整する作業を行った際に、ライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行う必要がない。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて容易に実施することが可能である。
【００２４】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、調整手段を用いてライナー部の少なくとも周方向一部の領域に作用する押圧力を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて締め代等を容易に適正なものに調整することが可能となる。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００２５】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記調整手段が、前記ライナー部と前記外筒部との間に介在及び／又は脱離させることが可能なシムによって構成されていることが好ましい。
【００２６】
かかる構成によれば、シムの抜き差し、シムの厚みの調整、及びシムの枚数の調整等によりロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を最適な状態に調整することが可能である。
【００２７】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、前記外筒構成部材が、軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有するものであり、前記調整手段が、周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結する連結体によって構成されており、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることが望ましい。
【００２８】
かかる構成によれば、調整手段によってフランジ部同士の間隔を調整することにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を最適な状態に調整することが可能となる。
【００２９】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記連結体が、前記フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていてもよい。
【００３０】
かかる構成によれば、挟持部材によりフランジ部に作用する挟持力を調整することによりフランジ部同士の間隔を容易に調整し、締め代等を精度良く調整することが可能となる。
【００３１】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、前記ライナー部の少なくとも周方向一部であって、前記ライナー部の軸線方向に延びる領域において、前記ライナー部と前記外筒部との間にシムを介在及び／又は脱離させることが可能であることを特徴とするものである。
【００３２】
かかる構成とした場合、ライナー部と外筒部との間にシムを介在及び／又は脱離させることにより、外筒部の内周面のうち少なくとも周方向一部に相当する領域をライナー部の径方向にオフセットさせることが可能となる。言い換えれば、外筒部の内側に形成されるライナー部を装着するための領域（ライナー部装着領域）を、ライナー部の周方向の一部において、ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能である。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、シムをライナー部と外筒部との間に介在及び／又は脱離させることにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧及び締め代を調整することが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、ステータあるいはロータの交換等を行うことなく、ライニング部材の摩耗、移送する流動物の温度変化、用途等に応じて締め代を適宜調整することが可能である。また、これにより、ライニング部材の交換頻度及びランニングコストをより一層抑制することが可能である。
【００３３】
また、上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果、外筒部の内周面において周方向一部に相当する領域のみをオフセットさせた場合、又はライナー部装着領域を、ライナー部の周方向の一部において、ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させた場合であっても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になることが判明した。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプは、外筒とライニング部材との間にシムを介挿及び／又は脱離させた状態において流動物の移送を行っても、ライニング部材が偏摩耗せず略均一に摩耗する。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、偏摩耗によるライナー部の交換頻度、及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。また、ライナー部の偏摩耗が生じないため、シムをライナー部と外筒部との間に介在及び／又は脱離させる際にライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行わなくてもよい。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて簡便に実施できる。
【００３４】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、シムを用いて締め代等を調整することにより、移送する流動物の温度、用途等に応じて適切な作動状態とすることが可能である。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプによれば、締め代が過大となることによるステータの破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００３５】
同様の知見に基づいて提供される本発明の一軸偏心ねじポンプは、雄ねじ型のロータと、前記ロータを挿通可能なステータとを有し、前記ステータが、雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、前記外筒構成部材が、軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有し、周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結体によって連結することにより前記外筒部を形成可能なものであり、前記連結体が、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることを特徴とするものである。
【００３６】
かかる構成とした場合、外筒部を構成する外筒構成部材のフランジ部同士の間隔を連結体を用いて調整することにより、外筒部の内周面のうち少なくとも周方向一部に相当する領域をライナー部の径方向にオフセットさせることが可能となる。言い換えれば、外筒部の内側に形成されるライナー部を装着するための領域（ライナー部装着領域）を、ライナー部の周方向の一部において、ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能である。また、ライナー部に対して作用する押圧力を、ライナー部の少なくとも周方向一部の領域において変化させることが可能である。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、連結体を用いて外筒構成部材のフランジ部同士の間隔を調整することにより、ロータの外面とステータの内面との接触圧及び締め代を調整することができ、ステータあるいはロータの交換等を行う必要がない。また、これにより、ライニング部材の交換頻度及びランニングコストをより一層抑制することが可能である。
【００３７】
上述したように、本発明者らが鋭意検討した結果によれば、外筒部の内周面において周方向一部に相当する領域のみをオフセットさせた場合、ライナー部の周方向の一部においてライナー部装着領域をライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させた場合、ライナー部に対して作用する押圧力を、ライナー部の少なくとも周方向一部の領域において変化させた場合のいずれの場合においても、ロータの外面とライナー部の内面との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になる。よって、本発明の一軸偏心ねじポンプは、連結体を用いて外筒構成部材のフランジ部同士の間隔を調整した状態において流動物の移送を行っても、ライニング部材が偏摩耗せず略均一に摩耗する。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、偏摩耗によるライナー部の交換頻度、及びランニングコストを最小限に抑制することが可能である。また、ライナー部の偏摩耗が生じないため、シムをライナー部と外筒部との間に介在及び／又は脱離させる際にライニング部材及びロータの中心軸を合致させる作業を行わなくてもよい。従って、本発明の一軸偏心ねじポンプは、締め代等の調整作業を極めて容易に実施できる。
【００３８】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、連結体が、フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていることが好ましい。
【００３９】
かかる構成によれば、挟持部材によりフランジ部に作用する連結力を容易に調整することが可能となる。これにより、締め代等を精度良く調整することが可能となる。
【００４０】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記ライナー部の両端部に、径方向外側に向けて突出した鍔状部が設けられており、前記鍔状部の間に前記外筒部が配され、前記鍔状部に対して前記外筒部の端部が当接していることが好ましい。
【００４１】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、ライナー部の両端部に設けられた鍔状部同士の間に外筒部が配されており、更に外筒部の端部を鍔状部に対して当接させた構造とされている。そのため、外筒部がライナー部の軸方向への収縮を防止するための支柱的な役割を果たし、ライナー部の内径を略均一に維持させうる。これにより、ライナー部の偏摩耗を回避し、吐出量を安定化させることが可能となる。
【００４２】
本発明の一軸偏心ねじポンプにおいては、前記ステータの一端側が接続されるエンドスタッドと、前記ステータの他端側が接続されるポンプケーシングと、前記エンドスタッド及び前記ポンプケーシングを連結するステーボルトとを有し、前記エンドスタッド及び／又はポンプケーシングに、前記ステーボルトと螺合可能なナット部が設けられており、前記ステーボルトと前記ナット部とを相対的に回動させることにより、エンドスタッド及びポンプケーシングの間隔を変化させることが可能であることが望ましい。
【００４３】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、ステーボルトとナット部とを相対的に回動させることにより、エンドスタッド及びポンプケーシングの間隔を変化させることが可能であるため、上述した調整手段等による締め代調整を容易に実施することが可能である。
【００４４】
本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記ライナー部の外観形状が多角形状のものであってもよい。
【００４５】
かかる構成とすることにより、ライナー部の周方向への位置ずれを防止し、一軸偏心ねじポンプの稼働状態を一層安定化させることが可能となる。
【００４６】
また、本発明の一軸偏心ねじポンプは、前記外筒部が前記ライナー部の外形に沿う形状に屈曲しているものであることが好ましい。
【００４７】
かかる構成とすることにより、ライナー部の周方向への位置ずれをより一層確実に防止可能となり、一軸偏心ねじポンプの稼働状態をさらに安定化させうる。
【発明の効果】
【００４８】
本発明によれば、ステータを外筒とライニング部材とに容易に分別することが可能であり、ロータの外面とステータの内面との接触圧、及び締め代を容易かつ精度良く調整することが可能な一軸偏心ねじポンプを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【００４９】
【図１】本発明の一実施形態にかかる一軸偏心ねじポンプを示す断面図である。
【図２】（ａ）は図１のα部拡大図、（ｂ）は図１のβ部拡大図である。
【図３】ステータの分解斜視図である。
【図４】図１の一軸偏心ねじポンプにおいて採用されているステータを示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｄ）のＢ−Ｂ断面図、（ｄ）は（ａ）のＡ−Ａ断面図である。
【図５】図３のステータに採用されているライナー部を示す図であり、（ａ）は正面図、（ｂ）は側面図、（ｃ）は（ｂ）のＤ−Ｄ断面図、（ｄ）は（ａ）のＣ−Ｃ断面図である。
【図６】外筒構成体をクランプ結合する際の把持部に対する挟持片の取り付け方法を説明する説明図である。
【図７】（ａ）はシムを装着した状態におけるステータの断面図、（ｂ）はシムを脱離させた状態におけるステータの断面図である。
【図８】（ａ），（ｂ）は挟持片の側面図、（ｃ）は（ａ）に示す挟持片を装着した状態におけるステータの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００５０】
続いて、本発明の一実施形態に係る一軸偏心ねじポンプ１０について、図面を参照しつつ詳細に説明する。一軸偏心ねじポンプ１０は、いわゆる回転容積型のポンプであり、図１に示すように、ステータ２０や、ロータ５０、動力伝達機構７０などを備えた構成とされている。また、一軸偏心ねじポンプ１０は、金属製で筒状のポンプケーシング１２とエンドスタッド１３とを備え、両者を接続して一体化した構造とされている。具体的には、一軸偏心ねじポンプ１０においては、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３のそれぞれにスイベルナット１２ｘ，１３ｘが設けられている。ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３は、スイベルナット１２ｘ，１３ｘに対して接続されたステーボルト１８を介して接続され、一体化されている。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、スイベルナット１２ｘ，１３ｘを回動させることにより、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の間隔を拡大及び縮小させることが可能である。
【００５１】
一軸偏心ねじポンプ１０は、エンドスタッド１３に第１開口１４ａを有し、ポンプケーシング１２の外周部分に第２開口１４ｂを有する。第一開口１４ａは、一軸偏心ねじポンプ１０の軸方向に貫通した貫通孔とされている。第２開口１４ｂは、ポンプケーシング１２の長手方向中間部分に位置する中間部１２ａにおいてポンプケーシング１２の内部空間に連通している。
【００５２】
第１，２開口１４ａ，１４ｂは、それぞれ一軸偏心ねじポンプ１０の吸込口および吐出口として機能する部分である。さらに詳細に説明すると、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０は、ロータ５０を正方向に回転させることにより、第１開口１４ａが吐出口として機能し、第２開口１４ｂが吸込口として機能するように流体を圧送することが可能である。またこれとは逆に、一軸偏心ねじポンプ１０は、ロータ５０を逆方向に回転させることにより、第１開口１４ａが吸込口として機能し、第２開口１４ｂが吐出口として機能するように流体を圧送させることが可能である。
【００５３】
図１及び図２に示すように、ポンプケーシング１２は、一軸偏心ねじポンプ１０の組み立て状態においてエンドスタッド１３側を向く部分（端部１２ｂ）に、断面形状が段状になるように形成された嵌込部１２ｃを有する。また、エンドスタッド１３についても、一軸偏心ねじポンプ１０の組み立て状態においてポンプケーシング１２側を向く部分（端部１３ａ）に、断面形状が段状になるように形成された嵌込部１３ｂを有する。嵌込部１２ｃ，１３ｂは、それぞれ後に詳述するステータ２０のフランジ部２６を嵌め込むために設けられた部分である。嵌込部１２ｃ，１３ｂの幅ｈ１（軸方向の長さ）は、フランジ部２６の厚み（軸方向の長さ）と略同一であり、嵌込部１２ｃ，１３ｂが設けられた部分における開口径ｈ２は、フランジ部２６の外径と略同一である。
【００５４】
一軸偏心ねじポンプ１０は、ポンプケーシング１２とエンドスタッド１３との間に、ステータ２０を取り付けるためのステータ取付部１５を有する。一軸偏心ねじポンプ１０は、ステータ取付部１５にステータ２０を配した状態でステーボルト１８を装着することにより、ポンプケーシング１２とエンドスタッド１３とがステータ２０を介して連結され、上述した第１，２開口１４ａ，１４ｂ間を繋ぐ一連の流路が形成された状態になる。
【００５５】
ステータ２０は、一軸偏心ねじポンプ１０において最も特徴的な部分であり、図１、図３及び図４に示すように、ライナー部２２と外筒部２４とシム２５とに大別される。ライナー部２２は、ゴムに代表される弾性体や樹脂などにより、一体的に形成されたものである。ライナー部２２の材質は、一軸偏心ねじポンプ１０を用いて移送する被搬送物である流体の種類や性状などにあわせて適宜選択することが可能であるが、フッ素ゴム、フロロシリコーンゴム、あるいはシリコーンゴムを好適に使用することが可能である。また、ライナー部２２の特性としては、ＪＩＳ Ｋ６２６２に記載されている測定方法を用い、小形試験片を圧縮割合を２５％とした条件下で圧縮し、１００℃の温度雰囲気下に７２時間に亘ってさらした際の圧縮永久歪みが２０％以下であるゴム素材により形成されていることが好ましい。また、ライナー部２２の硬度は、ＪＩＳ Ｋ６２５３に記載されいているタイプＡデュロメータによる２３±１℃の温度雰囲気下における測定により、６０〜８０の範囲内であることが好ましい。
【００５６】
ライナー部２２は、径方向外側に向けて突出したフランジ部２６，２６（鍔状部）を軸方向の両端部に有し、フランジ部２６，２６間に外筒部２４を装着するための外筒装着部２８を備えた筒体である。ライナー部２２は、フランジ部２６，２６及び外筒装着部２８を一体的に形成したものであり、フランジ部２６，２６と外筒装着部２８との境界部分には段差３０を有する。フランジ部２６，２６は外観形状（断面形状）が略円形とされており、外筒装着部２８は外観形状（断面形状）が多角形状（本実施形態では略正十角形状）とされている。また、上述したようにフランジ部２６，２６の厚みは、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の端部１２ｂ，１３ａに設けられている嵌込部１２ｃ，１３ｂの幅ｈ１と同一あるいは幅ｈ１以上とされている。フランジ部２６，２６の厚みは、幅ｈ１に対して５％〜１５％厚いことが望ましい。これにより、フランジ部２６，２６がポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の間において強固に圧着固定され、シールされた状態になる。また、フランジ部２６，２６の外径は、それぞれポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の端部１２ｂ，１３ａに設けられている嵌込部１２ｃ，１３ｂの開口径ｈ２と略同一とされている。
【００５７】
ライナー部２２の内周面３２は、ｎ条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ライナー部２２の内周面３２は、多段の雌ねじ形状とされている。さらに具体的には、ライナー部２２の内部には、ライナー部２２の長手方向に沿って伸び、所定のピッチでねじれた雌ねじ形状の貫通孔３４が設けられている。貫通孔３４は、ライナー部２２の長手方向のいずれの位置において断面視しても、その断面形状（開口形状）がほぼ長円形となるように形成されている。
【００５８】
図３及び図４に示すように、外筒部２４は、上述したライナー部２２の外筒装着部２８においてライナー部２２の外周を覆い、非接着状態で装着されるものである。具体的には、外筒部２４は、ライナー部２２の外周に押圧状態で装着されるものであり、接着剤を用いなくてもライナー部２２と一体化され、周方向及び軸方向の双方に位置決めされた状態になる。
【００５９】
図３に示すように、外筒部２４は、複数（本実施形態では２つ）の外筒構成体３６，３６と、クランプ３８，３８とによって構成されており、内側にライナー部装着領域２７を形成することができる。外筒構成体３６，３６は、それぞれライナー部２２の外筒装着部２８において周方向に略半分の領域に覆い被さる金属製の部材であり、外筒装着部２８に沿う形状となるように湾曲（屈曲）している。そのため、ライナー部装着領域２７内に外筒装着部２８が収まるように外筒構成体３６をライナー部２２に対して装着することにより、外筒構成体３６が周方向に回り止めされた状態になる。また、図４（ｃ）に示すように、外筒構成体３６の厚みは、ライナー部２２においてフランジ部２６と外筒装着部２８との間に形成された段差３０よりも大きい。そのため、外筒装着部２８に外筒構成体３６を装着すると、図１及び図４に示すように、外筒構成体３６がフランジ部２６よりもライナー部２２の径方向外側に向けて張り出した状態になる。
【００６０】
また、外筒構成体３６の長さは、外筒装着部２８の長さと略同一である。そのため、外筒装着部２８に外筒構成体３６を装着すると、図１、図２及び図４に示すようにライナー部２２の段差３０が形成された部分において外筒構成体３６の両端部がフランジ部２６，２６に対して当接した状態になる。そのため、外筒部２４は、ライナー部２２に対して外筒構成体３６を装着した状態において軸方向（長手方向）に向けて圧縮応力が作用した場合に、この応力を外筒構成体３６によって受け止め、ライナー部２２の圧縮変形や、ライナー部２２内に形成された貫通孔３４の変形を防止することが可能である。
【００６１】
外筒装着部２８の周方向両端部には、把持部４０，４０（フランジ部）が長手方向に向けて延びるように形成されている。把持部４０，４０の一端側には、ピン挿通孔４２，４２が設けられており、他端側には係合溝４４，４４が形成されている。ピン挿通孔４２，４２及び係合溝４４，４４は、それぞれ後に詳述するクランプ３８，３８を装着するために使用するものである。係合溝４４は、把持部４０の縁から斜め後方（前記他端側）に向けて延びるように形成されている。
【００６２】
クランプ３８は、断面形状が略「コ」字型の挟持片４６と、ピン４８とを備えている。挟持片４６は、外筒装着部２８に外筒構成体３６を装着する際に、重ね合わせた状態になっている把持部４０，４０を挟み込むようにして装着されるものである。挟持片４６は、把持部４０と略同一の長さを有し、その長手方向一端側にはピン挿通孔４６ａが設けられ、他端側には突起４６ｂが設けられている。挟持片４６は、図６において矢印Ｘによって示すように突起４６ｂを把持部４０において斜め方向に延びるように形成された係合溝４４に沿ってスライドさせ、突起４６ｂが係合溝４４の端部に突き当たった状態において、矢印Ｙによって示すように突起４６ｂを中心として回動させることにより、ピン挿通孔４６ａを把持部４０，４０側のピン挿通孔４２，４２と連通した状態とすることが可能である。この状態においてピン４８をピン挿通孔４６ａ，４２，４２に亘って挿通することにより、クランプ３８によって把持部４０，４０が挟持され、固定された状態（クランプ結合された状態）とすることが可能である。
【００６３】
図３に示すように、シム２５（調整手段，押圧力調整手段）は、金属製あるいは樹脂製の薄板によって構成されており、上述したライナー部２２と外筒部２４との間に介挿される部材である。シム２５の厚みは、ロータ５０の径の１／３０〜１／１００程度であることが好ましい。本実施形態においては、シム２５の厚みが０．１ｍｍ〜０．４ｍｍ程度とされている。また、シム２５の横幅は、上述したライナー部２２における外筒装着部２８の軸線方向の長さ、言い換えれば外筒部２４のライナー部装着領域２７の長さに相当する長さとされている。また、シム２５の縦幅は、ライナー部２２における外筒装着部２８の外周の長さの一部に相当する長さとされている。具体的には、シム２５の縦幅は、外筒装着部２８の外周の長さの１／１２〜１／８程度の長さとされている。言い換えれば、シム２５の縦幅は、外筒装着部２８の周方向に３０度分の長さから４５度分の長さに相当する長さとされている。
【００６４】
図３に示すように、シム２５は、ライナー部２２における外筒装着部２８の略全幅に亘って装着される。また、図３、図４及び図７（ａ）に示すように、シム２５は、外筒装着部２８の周方向に一部の領域（本実施形態では、外周の１／１２〜１／８程度の領域）に亘って装着される。また、シム２５は、一枚のみで装着する他、必要に応じて複数枚重ねた状態で装着することが可能である。さらに、既にシム２５が重ねた状態で装着されている場合に、そのうちの一部を必要に応じて脱離させることが可能である。シム２５は、外筒装着部２８上にそのまま配置することも可能であるが、外筒装着部２８から脱落を防止すること、一軸偏心ねじポンプ１０の作動に伴う振動等の影響による位置ずれを防止すること等を考慮し、粘着材等を用いて外筒装着部２８に装着することも可能である。
【００６５】
ステータ２０は、ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を挿入あるいは脱離させることにより、外筒部２４の周方向一部に相当する部分、すなわち外筒構成体３６をライナー部２２の径方向にオフセットさせることが可能である。
【００６６】
具体的には、シム２５が介挿されていない状況においては、図７（ｂ）に示すように外筒部２４の内周面全体がライナー部２２の外筒装着部２８に対して略密接した状態である。この状況において、ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を介挿させると、図７に示すようにシム２５が介挿された側の外筒構成体３６がライナー部２２の径方向外側に向けてオフセットされた状態になる。また、ライナー部２２及び外筒部２４の間からシム２５を脱離させると、外筒部２４の内周面全体がライナー部２２の外筒装着部２８に密着した状態になる。これにより、脱離させたシム２５の厚み分だけ外筒構成体３６がライナー部２２の径方向内側に向けてオフセットされた状態になる。このように、シム２５をライナー部２２及び外筒部２４の間に挿入あるいは脱離させることにより、外筒部２４の一部をライナー部２２の径方向に向けてオフセットさせることができる。
【００６７】
また、ステータ２０は、ライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を挿入あるいは脱離させることにより、ライナー部装着領域２７をライナー部２２の少なくとも周方向一部においてライナー部２２の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能である。さらに、シム２５を挿入あるいは脱離させることにより、ライナー部２２の周方向一部の領域に対して外筒部２４側から径方向に作用する押圧力を調整することが可能である。具体的には、シム２５をライナー部２２と外筒部２４との間に挿入、脱離すると、シム２５が挿入、脱離された領域においてシム２５の厚み分だけライナー部装着領域２７が径方向に拡大あるいは縮小される。また、外筒部２４がライナー部２２に対して押圧状態となるように装着されるため、シム２５をライナー部２２と外筒部２４との間に挿入すると、シム２５が挿入された領域においてライナー部２２に作用する押圧力が局所的に上昇する。これとは逆に、シム２５を脱離させると、その分だけライナー部に作用する押圧力が局所的に低下する。
【００６８】
また、ライナー部２２と外筒部２４との間にシ介挿されるシム２５の枚数は必ずしも単一である必要はなく、複数枚重ねた状態で介挿されてもよい。シム２５を複数枚重ねた状態で介挿させる場合は、重ね合わせるシム２５の枚数を調整することにより外筒構成体３６のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小の程度、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランスを更に細かく調整することが可能である。
【００６９】
ステータ２０は、ライナー部２２に対して外筒構成体３６，３６を被せ、把持部４０，４０をクランプ３８，３８によって結合した状態とされて使用される。ステータ２０は、ポンプケーシング１２において第１開口１４ａに隣接する位置にあるステータ取付部１２ｂ内に組み込まれる。具体的には、ステータ２０は、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３に設けられた嵌込部１２ｃ，１３ｂにライナー部２２の両端に設けられたフランジ部２６，２６を差し込み、エンドスタッド１３と中間部１２ａとの間（ステータ取付部１２ｂ）に挟み込むとともに、エンドスタッド１３とポンプケーシング１２の本体部分とに亘ってステーボルト１８を取り付けて締め付けることにより固定されている。
【００７０】
上述したようにしてステータ２０が取り付けられると、図２（ａ）に示すように、ライナー部２２の一端側において一方のフランジ部２６がエンドスタッド１３と外筒部２４との間に挟み込まれた状態になる。また、図２（ｂ）に示すように、他端側においては、他方のフランジ部２６が中間部１２ａと外筒部２４との間に挟み込まれた状態になる。さらに、外筒部２４については、一端側においてフランジ部２６及びエンドスタッド１３の端部に当接し、他端側においてフランジ部２６及びポンプケーシング１２の端部に当接した状態になる。そのため、ステータ２０は、ライナー部２２及び外筒部２４の双方ともポンプケーシング１２のステータ取付部１２ｂ内において位置ずれ等を起こさない。
【００７１】
図１に示すように、ロータ５０は、金属製の軸体であり、ｎ−１条で単段あるいは多段の雌ネジ形状とされている。本実施形態においては、ロータ５０は、１条で多段の偏心した雄ねじ形状とされている。ロータ５０は、長手方向のいずれの位置で断面視しても、その断面形状がほぼ真円形となるように形成されている。ロータ５０は、上述したステータ２０に形成された貫通孔３４に挿通され、貫通孔３４の内部において自由に偏心回転可能とされている。
【００７２】
ロータ５０をステータ２０のライナー部２２に形成された貫通孔３４内に挿通すると、ロータ５０の外周面５２とステータ２０の内周面３２とが両者の接線にわたって当接した状態になる。また、この状態において、ステータ２０の内周面３２と、ロータ５０の外周面との間には、流体搬送路６０が形成される。
【００７３】
流体搬送路６０は、ステータ２０やロータ５０の長手方向に向けて螺旋状に延びている。また、流体搬送路６０は、ロータ５０をステータ２０の貫通孔３４内において回転させると、ステータ２０内を回転しながらステータ２０の長手方向に進む。そのため、ロータ５０を回転させると、ステータ２０の一端側から流体搬送路６０内に流体を吸い込むと共に、この流体を流体搬送路６０内に閉じこめた状態でステータ２０の他端側に向けて移送し、ステータ２０の他端側において吐出させることが可能である。すなわち、ロータ５０を正方向に回転させると、第２開口１４ｂから吸い込んだ流体を圧送し、第１開口１４ａから吐出することが可能である。また、ロータ５０を逆方向に回転させると、第１開口１４ａから吸い込んだ流体を第２開口１４ｂから吐出することが可能である。
【００７４】
動力伝達機構７０は、ポンプケーシング１２の外部に設けられたモータなどの動力源（図示せず）から上述したロータ５０に対して動力を伝達するために設けられている。動力伝達機構７０は、動力接続部７２と偏心回転部７４とを有する。動力接続部７２は、ポンプケーシング１２の長手方向の一端側、さらに詳細には上述したエンドスタッド１３やステータ取付部１２ｂが設けられたのとは反対側（以下、単に「基端側」とも称す）に設けられた軸収容部１２ｃ内に設けられている。また、偏心回転部７４は、軸収容部１２ｃとステータ取付部１２ｂとの間に形成された中間部１２ａに設けられている。
【００７５】
動力接続部７２は、ドライブシャフト７６を有し、これが２つの軸受７８ａ，７８ｂによって自由に回転可能なように支持されている。ドライブシャフト７６は、ポンプケーシング１２の基端側の閉塞部分から外部に取り出されており、動力源に接続されている。そのため、動力源を作動させることにより、ドライブシャフト７６を回転させることが可能である。動力接続部７２が設けられた軸収容部１２ｃと中間部１２ａとの間には、例えばメカニカルシールやグランドパッキンなどからなる軸封装置８０が設けられており、これにより中間部１２ａ側から軸収容部１２ｃ側に被搬送物たる流体が漏れ出さない構造とされている。
【００７６】
偏心回転部７４は、上述したドライブシャフト７６とロータ５０とを動力伝達可能なように接続する部分である。偏心回転部７４は、連結軸８２と、２つの連結体８４，８６とを有する。連結軸８２は、従来公知のカップリングロッドや、スクリューロッドなどによって構成されいる。連結体８４は連結軸８２とロータ５０とを連結するものであり、連結体８６は連結軸８２とドライブシャフト７６とを連結するものである。連結体８４，８６は、いずれも従来公知のユニバーサルジョイントなどによって構成されており、ドライブシャフト７６を介して伝達されてきた回転動力をロータ５０に伝達し、ロータ５０を偏心回転させることが可能である。
【００７７】
一軸偏心ねじポンプ１０は、ステータ２０においてライナー部２２と外筒部２４との間にシム２５を介在あるいは脱離させ、外筒部２４（外筒構成体３６）のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランスを調整することにより、ロータ５０の外周面５２とライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代を調整することが可能である。
【００７８】
具体的には、ライナー部２２の摩耗等に伴いロータ５０の外周面５２とライナー部２２の内周面３２との接触圧及び締め代を向上させる必要がある場合には、外筒部２４をなす一部又は全部の外筒構成体３６をライナー部２２から取り外し、ライナー部２２の外周面にシム２５を配置する。シム２５が既に配置されている場合には、シム２５を更に重ねて配置する。シム２５は、ライナー部２２の外筒装着部２８の周方向一部の領域において、全幅（軸線方向全体）に亘って装着された状態になる。この状態において取り外した外筒構成体３６を装着することにより、シム２５が装着された領域において外筒構成体３６が径方向外側に向けてオフセットされた状態になる。また、シム２５が装着された領域においては、ライナー部装着領域２７が径方向に縮小し、ライナー部２２に作用する押圧力が局所的に高くなる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代が高くなる。
【００７９】
一方、流動物の温度が高い等の理由によりロータ５０の外周面５２とライナー部２２の内周面３２との接触圧及び締め代を低下させる必要がある場合には、外筒部２４をなす一部又は全部の外筒構成体３６をライナー部２２から取り外し、ライナー部２２の外周面に配置されているシム２５を取り除く。シム２５が複数重ねた状態で配置されている場合には、全てのシム２５を取り除く他、一部のシム２５を取り除くことが可能である。このようにしてシム２５を取り除いた後、外筒構成体３６を装着することにより、シム２５が取り除かれた分だけ外筒構成体３６が径方向内側に向けてオフセットされた状態になる。また、シム２５が取り除かれた領域においては、ライナー部装着領域２７が径方向に拡大し、ライナー部２２に作用する押圧力が低くなる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代が低くなる。
【００８０】
上述したように、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０においては、シム２５の脱着を行うことによりロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代を調整できる。また、外筒部２４をなす一部又は全部の外筒構成体３６を脱着することによりシム２５の脱着を行うことが可能であり、ステータ２０及びロータ５０を全て取り外して分解する必要がない。更に、一軸偏心ねじポンプ１０においては、スイベルナット１２ｘ，１３ｘを回動させることにより、ポンプケーシング１２及びエンドスタッド１３の間隔、すなわちステータ取付部１５を拡張及び縮小することができ、外筒構成体３６の脱着作業に手間を要しない。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、シム２５による締め代等の調整が容易に実施可能であり、メンテナンス性に優れている。
【００８１】
一軸偏心ねじポンプ１０においては、上述したようにしてシム２５を装着した状態及び脱離させた状態のいずれの状態において作動させても、ロータ５０とライナー部２２との接触圧、及び締め代が部位によらず略均一になる。従って、一軸偏心ねじポンプ１０において、ライナー部２２は、偏摩耗することなく略均一に摩耗する。また、ライナー部２２及び外筒部の間にシム２５を介挿させたとしても、ライナー部２２及びロータ５０の中心軸を合致させる作業を行う必要がない。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、ライナー部２２の交換頻度、及びメンテナンスに要する作業を最小限に抑制することが可能である。
【００８２】
一軸偏心ねじポンプ１０は、移送する流動物の温度、用途等の作動条件に応じてシム２５を装着あるいは脱離させることにより、締め代等を作動条件に適切な状態にして作動させることが可能である。従って、一軸偏心ねじポンプ１０によれば、締め代が過大となることによるステータ２０の破損、及び締め代が過小となることによる流動物の移送性能の低下を防止することが可能である。
【００８３】
上述したシム２５の厚み、縦幅、横幅は、いずれも上述したものに限定される訳ではなく、適宜調整することが可能である。なお、シム２５の横幅を外筒装着部２８の軸線方向の長さよりも短くする場合には、複数のシム２５を外筒装着部２８の軸線方向に並べて配置する等の方策により、外筒装着部２８の軸線方向略全体に亘ってシム２５が装着された状態となるようにすることにより、上述した本実施形態のシム２５を用いた場合と同様の作用効果が得られる。
【００８４】
本実施形態では、シム２５をライナー部２２及び外筒部２４の間に介挿させる、あるいは脱離させることにより外筒部２４（外筒構成体３６）のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランスを調整するための調整部材として用いた例を示したが、本発明はこれに限定される訳ではない。具体的には、外筒構成体３６の周方向両端部に設けられた把持部４０，４０を把持するために設けられたクランプ３８を前述した調整部材として用いることが可能な構成としてもよい。具体的には、図８に示すように、対向する２面の挟持面４６ｐ，４６ｑの間隔が異なる把持片４６ｘ，４６ｙを用意し、締め代等に応じて把持片４６ｘ，４６ｙを使い分けることとしても良い。
【００８５】
具体的には、図８（ａ）に示す間隔がｄ１の把持片４６ｘを用いて外筒構成体３６，３６を連結した場合、図８（ｃ）に示すようにライナー部装着領域２７が拡大し、ライナー部２２に作用する押圧力が緩やかになる。また、ライナー部２２を包囲している外筒部２４の一部、すなわち外筒構成体３６が、ライナー部２２の径方向外側に向けてオフセットされた状態になる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代を低くなる。
【００８６】
逆に、図８（ｂ）に示す間隔がｄ１よりも小さなｄ２である把持片４６ｙを用いて外筒装着部２８を連結した場合は、図７（ｂ）に示すように外筒部２４の内周面全体がライナー部２２の外筒装着部２８に対して略密接した状態になる。この状態においては、把持片４６ｘを用いた場合に比べてライナー部装着領域２７が縮小し、ライナー部２２に作用する押圧力が高くなる。また、ライナー部２２を包囲している外筒部２４の一部、すなわち外筒構成体３６が、把持片４６ｘを用いた場合よりもライナー部２２の径方向内側に向けてオフセットされた状態になる。これにより、ロータ５０の外周面５２及びライナー部２２の内周面３２との接触圧、及び締め代が高くなる。
【００８７】
上述したように、締め代等に応じて間隔の異なる把持片４６ｘ，４６ｙを使い分ける場合についても、シム２５を併用することが可能である。把持片４６ｘ，４６ｙ及びシム２５を併用することにより、外筒部２４の一部たる外筒構成体３６のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力のバランス調整をより一層精細に行うことが可能である。
【００８８】
また、一軸偏心ねじポンプ１０は、図８に示すような挟持面４６ｐ，４６ｑの間隔が異なるクランプ３８を用いる代わりに、外筒構成体３６の把持部４０の長手方向複数箇所においてボルト等によって構成された挟持力を調整可能な固定具４７を用いて固定する構成としても良い。このような構成とした場合は、固定具４７により把持部４０に作用する挟持力を調整することにより外筒構成体３６のオフセット量、ライナー部装着領域２７の拡大縮小、及びライナー部２２に作用する押圧力を調整し、締め代等の適正化を図ることが可能である。なお、固定具４７を用いる場合についても、上述したシム２５を併用することにより、締め代等をより一層精細に調整することが可能となる。
【００８９】
上述したように、本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０のステータ２０は、一体形成されたライナー部２２に対して外筒部２４が非接着状態で装着されている。具体的には、外筒構成体３６，２６の把持部４０，４０にクランプ３８を装着することによって発生する挟持力の影響により、外筒部２４に対してライナー部２２の径方向内側方向への押圧力が作用する。外筒部２４は、この押圧力によってライナー部２２の外周に押圧状態で装着されており、ライナー部２２の軸方向及び周方向に位置決めされた状態になっている。従って、一軸偏心ねじポンプ１０は、外筒構成体３６，３６及びクランプ３８，３８を取り外すことによりライナー部２２と外筒部２４とに容易に分別し、回収することが可能であり、環境問題に対して十分な配慮を払うことが可能となる。
【００９０】
また、一軸偏心ねじポンプ１０は、ライナー部２２の両端部に設けられたフランジ部２６の間に存在する外筒装着部２８が外筒部２４によって覆われ、外筒部２４の端部がフランジ部２６に対して当接した構造とされており、ライナー部２２が軸方向に収縮するのを防止しうる。すなわち、外筒部２４が、ライナー部２２の軸方向への収縮を防止するための支柱的役割を果たす。これにより、吐出圧の影響などによりステータ２０に対して軸方向への圧縮力が作用したとしてもライナー部２２の内径を部位によらず略均一に維持することが可能となり、ライナー部２２の偏摩耗を回避し、吐出量の安定化を図ることが可能となる。なお、本実施形態では、ライナー部２２の軸方向への収縮防止等の観点からライナー部２２の両端にフランジ部２６を設けた構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フランジ部２６のいずれか一方、又は双方を設けない構成としてもよい。
【００９１】
一軸偏心ねじポンプ１０は、外筒部２４が、周方向に複数の外筒構成体３６に分割可能なものであるため、ライナー部２２に対する外筒部２４の脱着作業を容易に実施可能である。また、上述した外筒部２４は、外筒構成体３６同士をクランプ３８を用いて結合（クランプ結合）させて一体化したものであり、把持部４０，４０に対して挟持片４６及びピン４８を着脱するだけで外筒部２４を着脱することが可能である。
【００９２】
なお、本実施形態では、外筒部２４を２つの外筒構成体３６によって構成した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに多数の外筒構成体３６によって構成されるものであってもよい。また、本実施形態では、外筒構成体３６，３６を周方向２カ所においてクランプ３８によって結合した例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば外筒構成体３６，３６の周方向一端側を蝶番などによって連結し、他端側をクランプ３８や他の手法によって連結した構造とすることも可能である。さらに、本実施形態では、挟持片４６及びピン４８によって構成されたクランプ３８を外筒構成体３６，３６を結合するために用いた例を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、外筒構成体３６，３６を位置ずれしないように固定可能なものであれば、他のいかなる手法によって外筒構成体３６，３６を結合することとしてもよい。
【００９３】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０は、ステータ２０の一端側にエンドスタッド１３が配置されており、ステータ２０がステーボルト１８によって発生する締結力を用いてエンドスタッド１３とともにポンプケーシング１２に一体に連結されている。また、ステータ２０は、外筒部２４がエンドスタッド１３及びポンプケーシング１２の端部１２ｂ，１３ａに当接した状態となっている。従って、ステータ２０を組み付けた状態において、ステーボルト１８による締結力がライナー部２２よりも外筒部２４に優先的に作用することになり、ライナー部２２に対して軸方向に大きな圧縮力が作用することや、ライナー部２２が圧縮変形することを防止できる。またこれにより、ライナー部２２の偏摩耗を防止し、吐出量を安定化することが可能となる。
【００９４】
本実施形態の一軸偏心ねじポンプ１０は、ポンプケーシング１２の端部１２ｂ及びエンドスタッド１３の端部１３ａに、フランジ部２６を嵌込可能な嵌込部１２ｃ，１３ｂが設けられており、これらに嵌め込まれたライナー部２２のフランジ部２６が、外筒部２４と、エンドスタッド１３及びポンプケーシング１２との間に挟み込まれている。これにより、ライナー部２２の軸方向への位置ずれを確実に防止することが可能であり、一軸偏心ねじポンプ１０の稼働状態をより一層安定化させることが可能である。
【００９５】
上述したように、ライナー部２２の外筒装着部２８は、外観形状が多角形状（本実施形態では略十角形）とされている。さらに、外筒構成体３６，３６は、ともに外筒装着部２８に沿う形状に屈曲しており、クランプ３８によって把持部４０を把持し、結合することにより外筒装着部２８と略同一形状（本実施形態では略正十角形）で筒状の外筒部２４が形成される。これにより、ライナー部２２に対して周方向への荷重が作用してもライナー部２２のみが周方向に位置ずれを起こすのを防止し、一軸偏心ねじポンプ１０の稼働状態の安定化を図ることが可能となる。
【００９６】
また、ライナー部２２が多角形状に形成されているため、シム２５を所望の位置及び領域に配置しやすい。さらに、外筒構成体３６がライナー部２２の外形に沿う形状に形成されているため、ライナー部２２の外周に形成された角を越えて複数の面に亘ってシム２５を配置した場合においても、シム２５を確実にライナー部２２の表面に沿う形状に屈曲させ、位置ずれ等しないように挟み込むことが可能である。
【００９７】
なお、本実施形態では、外筒部２４に対するライナー部２２の位置ずれ防止、シム２５の配置の容易化等を目的として、外筒装着部２８及び外筒部２４をそれぞれ多角形状に形成した例を例示したが、周方向への位置ずれ等を防止可能な他の構成を採用した場合や、周方向への位置ずれ等まで考慮しなくても良い場合などは、上述したものとは相違する構成としてもよい。具体的には、外筒装着部２８及び外筒部２４は、それぞれ略同一の断面形状を有するものであったが、例えば外筒装着部２８を略正十角形とし外筒部２４を略正十二角形とするなど、ライナー部２２の回り止めとして機能する範疇において両者の断面形状が相違していてもよい。
【００９８】
また、外筒部２４の内周側に突起を設けた構成とし、外筒装着部２８に外筒部２４を装着することにより前述した突起がライナー部２２の外周面に押圧された状態で接触するような構成としてもよい。かかる構成によれば、ライナー部２２の外周面及びシム２５に対して突起が引っかかり、ライナー部２２の周方向及び軸方向への位置ずれ、シム２５の脱落等を防止することが可能である。このように突起を設ける構成は、本実施形態のように外筒装着部２８や外筒部２４を多角形状とした場合だけでなく、ライナー部２２の外観形状が円筒状である場合のようにライナー部２２の位置ずれ、シム２５の脱落等が懸念される場合にも有効である。
【符号の説明】
【００９９】
１０ 一軸偏心ねじポンプ
１２ ポンプケーシング
１２ｂ 端部
１２ｃ 嵌込部
１３ エンドスタッド
１３ｂ 嵌込部
１５ ステータ取付部
２０ ステータ
２２ ライナー部
２４ 外筒部
２５ シム（調整手段）
２６ フランジ部（鍔状部）
２７ ライナー部装着領域
２８ 外筒装着部
３６ 外筒構成体
４６ 挟持片
５０ ロータ
【特許請求の範囲】
【請求項１】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部と、
前記外筒部を、少なくとも周方向一部に相当する領域において前記ライナー部の径方向にオフセットさせることが可能な調整手段とを有することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項２】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、
前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項３】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、
前記ライナー部の少なくとも周方向一部の領域に対して前記外筒部側から径方向に作用する押圧力を調整することにより、前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項４】
前記調整手段が、前記ライナー部と前記外筒部との間に介在及び／又は脱離させることが可能なシムによって構成されている請求項１〜３のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項５】
前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、
前記外筒構成部材が、軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有するものであり、
前記調整手段が、周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結する連結体によって構成されており、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項６】
前記連結体が、前記フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていることを特徴とする請求項５に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項７】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、
前記ライナー部の少なくとも周方向一部であって、前記ライナー部の軸線方向に延びる領域において、前記ライナー部と前記外筒部との間にシムを介在及び／又は脱離させることが可能であることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項８】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、
前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、
前記外筒構成部材が、
軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有し、
周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結体によって連結することにより前記外筒部を形成可能なものであり、
前記連結体が、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項９】
連結体が、フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていることを特徴とする請求項８に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１０】
前記ライナー部の両端部に、径方向外側に向けて突出した鍔状部が設けられており、
前記鍔状部の間に前記外筒部が配され、前記鍔状部に対して前記外筒部の端部が当接していることを特徴とする請求項１〜９のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１１】
前記ステータの一端側が接続されるエンドスタッドと、
前記ステータの他端側が接続されるポンプケーシングと、
前記エンドスタッド及び前記ポンプケーシングを連結するステーボルトとを有し、
前記エンドスタッド及び／又はポンプケーシングに、前記ステーボルトと螺合可能なナット部が設けられており、
前記ステーボルトと前記ナット部とを相対的に回動させることにより、エンドスタッド及びポンプケーシングの間隔を変化させることが可能であることを特徴とする請求項１〜１０のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１２】
前記ライナー部の外形が多角形状であることを特徴とする請求項１〜１１のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１３】
前記外筒部が前記ライナー部の外形に沿う形状に屈曲していることを特徴とする請求項１２に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部と、
前記外筒部を、少なくとも周方向一部に相当する領域において前記ライナー部の径方向にオフセットさせることが可能な調整手段とを有することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項２】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、
前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項３】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部が非接着状態で収容されるライナー部装着領域を形成する外筒部と、
前記ライナー部の少なくとも周方向一部の領域に対して前記外筒部側から径方向に作用する押圧力を調整することにより、前記ライナー部装着領域を前記ライナー部の少なくとも周方向一部において前記ライナー部の径方向に拡大及び／又は縮小させることが可能な調整手段とを有することを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項４】
前記調整手段が、前記ライナー部と前記外筒部との間に介在及び／又は脱離させることが可能なシムによって構成されている請求項１〜３のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項５】
前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、
前記外筒構成部材が、軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有するものであり、
前記調整手段が、周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結する連結体によって構成されており、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項６】
前記連結体が、前記フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていることを特徴とする請求項５に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項７】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、
前記ライナー部の少なくとも周方向一部であって、前記ライナー部の軸線方向に延びる領域において、前記ライナー部と前記外筒部との間にシムを介在及び／又は脱離させることが可能であることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項８】
雄ねじ型のロータと、
前記ロータを挿通可能なステータとを有し、
前記ステータが、
雌ねじ型の内周面を有する筒状のライナー部と、
前記ライナー部の外周を包囲するように配され、前記ライナー部に対して非接着状態で装着された外筒部とを有し、
前記外筒部が、周方向に複数の外筒構成部材に分割可能なものであり、
前記外筒構成部材が、
軸線方向に延びるフランジ部を周方向両端部に有し、
周方向に隣接する前記外筒構成部材のフランジ部同士を連結体によって連結することにより前記外筒部を形成可能なものであり、
前記連結体が、前記フランジ部同士の間隔を調整可能なものであることを特徴とする一軸偏心ねじポンプ。
【請求項９】
連結体が、フランジ部を挟持する挟持部材によって構成されていることを特徴とする請求項８に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１０】
前記ライナー部の両端部に、径方向外側に向けて突出した鍔状部が設けられており、
前記鍔状部の間に前記外筒部が配され、前記鍔状部に対して前記外筒部の端部が当接していることを特徴とする請求項１〜９のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１１】
前記ステータの一端側が接続されるエンドスタッドと、
前記ステータの他端側が接続されるポンプケーシングと、
前記エンドスタッド及び前記ポンプケーシングを連結するステーボルトとを有し、
前記エンドスタッド及び／又はポンプケーシングに、前記ステーボルトと螺合可能なナット部が設けられており、
前記ステーボルトと前記ナット部とを相対的に回動させることにより、エンドスタッド及びポンプケーシングの間隔を変化させることが可能であることを特徴とする請求項１〜１０のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１２】
前記ライナー部の外形が多角形状であることを特徴とする請求項１〜１１のいずれかに記載の一軸偏心ねじポンプ。
【請求項１３】
前記外筒部が前記ライナー部の外形に沿う形状に屈曲していることを特徴とする請求項１２に記載の一軸偏心ねじポンプ。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２０１２−１３７０３８（Ｐ２０１２−１３７０３８Ａ）
【公開日】平成２４年７月１９日（２０１２．７．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−２９０３６６（Ｐ２０１０−２９０３６６）
【出願日】平成２２年１２月２７日（２０１０．１２．２７）
【出願人】（０００２３９７５８）兵神装備株式会社 (76)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年７月１９日（２０１２．７．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年１２月２７日（２０１０．１２．２７）
【出願人】（０００２３９７５８）兵神装備株式会社 (76)
【Ｆターム（参考）】
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