説明

三価金属媒介均一発光近接アッセイ

(1)高いアッセイシグナル対バックグラウンド比(S/B)および広いアッセイシグナル対バックグラウンド範囲(S−B)を示し;(2)均一系であり;(3)非放射性であり;そして(4)リン酸特異的抗体を必要としない、インビトロのプロテインキナーゼアッセイ技術。このアッセイは、3価の金属イオン(例えばGa3+、Fe3+、Al3+、In3+、Ru3+、Sc3+、Y3+)を、増幅した発光近接アッセイアクセプタービーズまたはドナービーズの表面に、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA;カルボキシメチルリジンとも呼ばれる)、イミノ二酢酸(IDA)または適切に置換されたN含有複素環、例えばトリアゾ複素環(例えば1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンなどのトリアゾシクロノナネオノナン)などの適切なリンカーを媒介として、錯体形成させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、「TRIVALENT METAL MEDIATED HOMOGENEOUS LUMINESCENT PROXIMITY ASSAY」と題する、2004年9月17日に仮出願された、米国仮特許出願第60/610,799号明細書(この開示は、その全体を、そしてすべての目的のために、本明細書において参考として援用する)の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、生物学的アッセイ、特にキナーゼアッセイを実施するための材料と方法に関する。
【背景技術】
【0003】
種々の細胞内タンパク質基質および脂質基質のリン酸化は、非常に多くの細胞プロセス(例えば、成長、増殖、アポトーシス、分化および細胞周期の進行)の中で中心的な役割を果たす。キナーゼ(他のキナーゼを包含する細胞酵素のリン酸化の原因である酵素)および脂質は、潜在的治療介入のための主要な標的クラスとして同定されてきた。キナーゼは、チロシン(即ち、リン酸化がチロシンアミノ酸残基で起こる)キナーゼかまたは、セリン/トレオニン(即ち、リン酸化がセリンアミノ酸残基かまたはトレオニンアミノ酸残基のいずれかで起こる)キナーゼのいずれかに大まかに分類される。これまでに同定されたおよそ518のヒトキナーゼのうち、およそ85%がセリン/トレオニン(S/T)キナーゼであり、残りがチロシンキナーゼとして分類されている。(非特許文献1)。
【0004】
潜在的キナーゼ阻害化合物の存在下に高スループットのキナーゼ活性の測定を可能にする、非常に多くのインビトロアッセイが記載されてきた。既存の高スループットスクリーニング(HTS)キナーゼアッセイに関する懸念としては、いずれのHTSアッセイに関するもののように、検知試薬のコストおよびアッセイを有効にしそして最適化するための時間のコストが挙げられる。この目的のためには、非放射性アッセイは、放射性廃物の処分が非常に高価なので、高度に選好される。同様に、均一アッセイ(即ち、洗うステップを必要としないアッセイ)は、より少ない実験ステップしか必要とせず、それに伴いスクリーニングの人工産物の可能な供給源が縮小され、そして、高度なアッセイスループット、および装置の獲得および維持に関係する低い前払いおよび進行中の資金コストを典型的に提供して、よりHTSに従順である。
【0005】
これらの要求を満たす、一つの現在利用可能なインビトロキナーゼアッセイ技術が、Perkin Elmer LAS,Inc.のAlphaScreenTM(増幅発光近接均一アッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogenous Assay))である。AlphaScreenTMは、共役させられたドナービーズおよびアクセプタービーズ(直径がおよそ250nm)の間の生体分子相互作用に依存する。(非特許文献2)。AlphaScreenTMキナーゼアッセイについては、ビオチン化ペプチド基質またはタンパク質基質が、ドナービーズに結合され、そして、もしリン酸化されれば、リン酸特異的抗体(典型的にはリン酸−チロシン特異的)と共役したアクセプタービーズと近接するように導かれる。(非特許文献3)。お互いに約200nmの範囲内にあるドナービーズおよびアクセプタービーズは、520nmおよび620nmの間を発する光として読み取られる発光シグナルを発する。AlphaScreenTMキナーゼアッセイは、慣用的に10をこえるシグナル対バックグラウンド(S/B)比を示し(非特許文献3)、そして大きなタンパク質基質を用いて使用され得る。しかし、高品質な抗ホスホチロシン抗体が、検知をリン酸特異的抗体に依存するアッセイ技術では利用可能であるのに、一般的な抗ホスホセリン抗体または抗ホスホトレオニン抗体は概して、丈夫なシグナルを生成するには十分には高品質ではない。従って、ホスホ−配列特異的抗体が必要とされるが、これはアッセイの最適化および有効化に必要とされる時間を増加し、そしてアッセイの全コストを増す。リン酸特異的抗体の使用は、AlphaScreenTMの、特定のS/Tキナーゼのスクリーニングまたは高いアフィニティもしくは高い特異性の抗体が利用可能でない他の酵素クラスのスクリーニングにおける使用を、あらかじめ排除する。
【0006】
別の現在利用可能なインビトロ均一、非放射性キナーゼアッセイ技術が、Molecular Devices CorporationのIMAPTM(Immobilized Metal Affinity for Phosphate)である。IMAPTMは、表面に三価の金属イオンを錯体形成したナノ粒子を使用する。(非特許文献4)。三価の遷移金属(例えばGa3+、Fe3+、Al3+、In3+、Ru3+、Sc3+、Y3+)が高度のアフィニティおよび特異性をもってリン酸基に結合し得ることが知られるようになってからしばらく経つ。(非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7)。IMAPTMは、リン酸化に続いてIMAPTMナノ粒子が結合したときの、蛍光標識ペプチド基質の蛍光偏光の増加に依存する。このシステムは、リン酸抗体と違って、ペプチド基質の遊離リン酸基を周りのアミノ酸に関係なく結合できるという利点を有する。しかし、蛍光偏光法は分子の可動性の変化を測定するので、生物学的システムの中では最大のシグナル範囲(S−B)は典型的に約350mPに限られる。これは、約8の生物学的アッセイにおける理論的最大シグナル対バックグラウンド比(S/B)を与えるが、しかし実際はS/Bはしばしば2以下である(例えば非特許文献8を参照のこと)。そのうえ、基質がタンパク質または大きなタンパク質断片である状況では、大きな分子に本来そなわっている偏光度が高いので(即ち、B、バックグラウンドが著しく増加する)、S/Bは小さくなりすぎて使用可能ではない。低いシグナル対バックグラウンドを有するアッセイは、偽陽性を発生させる可能性がより高く、これはHTSプログラムの全体的丈夫さおよび再現性に著しく影響し得る。(非特許文献9)。
【非特許文献1】Manning,G.,Whyte,D.B.,Martinez,R.,Hunter,T.&Sudarsanam,S.,「The protein kinase complement of the human genome」,Science,2002年,第298巻,p.1912−34
【非特許文献2】Ullman,E.F.ら,「Luminescent oxygen channeling immunoassay: measurement of particle binding kinetics by chemiluminescence」,Proc Natl Acad Sci USA,1994年,第91巻,pp.5426−30
【非特許文献3】Warner,G.,Illy,C.,Pedro,L.,Roby,P.&Bosse,R.,「AlphaScreenTMkinase HTS platforms」,Curr.Med.Chem.,2004年,第11巻,pp.721−730
【非特許文献4】Sportsman,J.R.,Daijo,J.&Gaudet,E.A.,「Fluorescence polarization assays in signal transduction discovery」,Comb.Chem.High Throughput Screen,2003年,第6巻,pp.195−200
【非特許文献5】Osterberg,R.,「Metal and hydrogen−ion binding properties of O−phosphoserine」,Nature,1957年,第179巻,pp.476−477
【非特許文献6】Muszynska,G.,Andersson,L.&Porath,J.,「Selective adsorption of phosphoproteins on gel−immobilized ferric chelate」,Biochemistry,1986年,第25巻,pp.6850−3
【非特許文献7】Posewitz,M.C.&Tempst,P.,「Immobilized gallium(III) affinity chromatography of phosphopeptides」,Anal Chem.,1999年,第71巻,pp.2883−2892
【非特許文献8】J.Biomolecular Screening,2003年,第8巻,6号,pp.694−700
【非特許文献9】Walters,W.P.&Namchuk,M.,「Designing screens:how to make your hits a hit」,Nat.Rev.Drug Dis.,2003年,第2巻,pp.259−266
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、潜在的キナーゼ阻害化合物の存在下での信頼できる高スループットのキナーゼ活性測定を促進する、改良されたインビトロアッセイ技術が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の概要)
本発明は、(1)高いアッセイシグナル対バックグラウンド比(S/B)および広いアッセイシグナル対バックグラウンド範囲(S−B)を示し;(2)均一系であり;(3)非放射性であり;そして(4)リン酸特異的抗体を必要としない、インビトロのキナーゼアッセイ技術を提供することによって、これらの論点と取り組む。本明細書において記載される発明は、タンパク質(または構成要素部分、例えばポリペプチドまたはペプチド)上の、または他の生体高分子(例えば、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、もしくはトリヌクレオチド、サイクリックヌクレオチドまたはリン酸基で置換したイノシトール)上のリン酸基の存在または欠如を認識するので、これはいかなるリン酸化反応酵素または脱リン酸反応酵素にも広く適用可能であり、そしてプロテインキナーゼおよび、リピドキナーゼ、ホスファターゼ、ホスホジエステラーゼおよびその他を包含する他の酵素類に対し、高度に丈夫で柔軟なアッセイ形式を提供する。
【0009】
一つの場合、アッセイは、増幅発光近接アッセイドナービーズおよびアクセプタービーズとキナーゼおよびキナーゼ阻害化合物候補を組み合わせる工程を含む。ビーズの内の一つ、概してドナービーズは、その表面に、タンパク質、脂質または核酸(またはそれらの構成要素部分、例えば、タンパク質では、ペプチド)などの、キナーゼによるリン酸化が可能な生体分子を結合している。もう一方のビーズ、概してアクセプタービーズは、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA;カルボキシメチルリジンとも呼ばれる)、イミノ二酢酸(IDA)または適切に置換されたN含有複素環、例えばトリアゾ複素環(例えば1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンなどのトリアゾシクロノナネオノナン)などの適切なリンカーを媒介として、その表面に錯体形成した三価の金属イオンを有する。化学発光シグナルが、ドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合(これは、キナーゼがその生体分子をリン酸化し、そして三価の金属イオンがリン酸基に結合する場合に起こる)に、発生する。もしキナーゼ阻害化合物候補がキナーゼ阻害化合物であるならば、キナーゼが阻害される程度に応じて、アッセイ組成物によって発せられた化学発光は、候補の阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に、減少または除外させられる。これは、キナーゼ阻害のしるしもしくは測定を、またはその両方を提供する。
【0010】
このようなアッセイを実施するために使用され得る組成物およびキットもまた提供される。
【0011】
上記のように、本発明は本明細書においては主としてプロテインキナーゼアッセイまたはタンパク質構成要素部分(ポリペプチドまたはペプチドを包含する)のキナーゼアッセイに関して記載されているが、これはいずれのリン酸化反応酵素または脱リン酸反応酵素
にも広く適用可能である。本発明の組成物および工程の代替の使用は、リピドキナーゼ、ホスファターゼおよびホスホジエステラーゼを含む他の型の酵素のためのアッセイにおいてである。
【0012】
PI3Kのようなリピドキナーゼについては、リン酸化反応はPI−4,5−P2からPI−3,4,5−Pである。PI(ホスファチジルイノシトール(phosphatidylinositol))自体もまた基質として使用され得る。いったんPIまたはPIP2がリン酸化されると、ビーズは増加させられた化学発光シグナルを示す。ホスファターゼおよびホスホジエステラーゼについては、アッセイは、ホスファターゼおよびホスホジエステラーゼはリン酸基を取り除くので、キナーゼアッセイとは逆に働く(例えばホスファターゼインヒビターまたはホスホジエステラーゼインヒビターは、対照に対して相対的に高い化学発光シグナルを発生する)。
【0013】
本発明のこれらおよび他の局面および利点が、以下に詳細に記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明の特定の実施形態への言及が、今詳しくなされる。特定の実施形態の例が付随する図面の中に例示されている。本発明はこれらの特定の実施形態に関連して記載されるのであるが、本発明をこのような特定の実施形態に限定する意図はないことが理解されよう。それどころか、代替物、改良物および同等物を、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神と範囲の範囲内に包含され得るとして、網羅することが意図される。以下の説明においては、非常に多くの特定の細目が、本発明の完全な理解を提供するために、示される。本発明は、これらの特定の細目の内のいくつかまたは全てがなくても実行され得る。他の例では、本発明を不必要に不明確にしないために、周知の工程作業は詳細には記載されていない。
【0015】
(序文)
本発明は、(1)高いアッセイシグナル対バックグラウンド比(S/B)および広いアッセイシグナル対バックグラウンド範囲(S−B)を示し;(2)均一系であり;(3)非放射性であり;そして(4)リン酸特異的抗体を必要としない、インビトロのキナーゼアッセイ技術を提供した。本明細書において記載される発明は、タンパク質、タンパク質(またはそれの構成要素部分、例えばポリペプチドまたはペプチド)上か、または他の生体高分子(例えば、モノヌクレオチド、ジヌクレオチド、もしくはトリヌクレオチド、サイクリックヌクレオチドまたはリン酸基で置換したイノシトール)上かのリン酸基の存在または欠如を認識するので、これはいずれのリン酸化反応酵素または脱リン酸反応酵素にも広く適用可能であり、そしてプロテインキナーゼおよび、リピドキナーゼ、ホスファターゼ、ホスホジエステラーゼおよびその他を包含する他の酵素類に対し、高度に丈夫で柔軟なアッセイ形式を提供する。
【0016】
一つの実施形態では、アッセイは、増幅発光近接アッセイドナービーズおよびアクセプタービーズとキナーゼおよびキナーゼ阻害化合物候補を組み合わせる工程を含む。ビーズの内の一つ、概してドナービーズは、その表面に、タンパク質、脂質または核酸(またはそれらの構成要素部分、例えば、タンパク質では、ペプチド)などの、キナーゼによるリン酸化が可能な生体分子を結合している。もう一方のビーズ、概してアクセプタービーズは、例えば、ニトリロ三酢酸(NTA;カルボキシメチルリジンとも呼ばれる)、イミノ二酢酸(IDA)または適切に置換されたN含有複素環、例えばトリアゾ複素環(例えば1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンなどのトリアゾシクロノナネオノナン)などの適切なリンカーを媒介として、その表面に錯体形成した三価の金属イオン(例えばGa3+、Fe3+、Al3+、In3+、Ru3+、Sc3+、Y3+)を有する。このキナーゼアッセイ中の、および本発明によるいずれのアッセイ中のビーズの表面成分も逆にし得ることが、例えば三価の金属イオンがドナービーズ上にあり得、そしてキナーゼの基質(リン酸化/脱リン酸のための生体分子)がアクセプタービーズ上にあり得るということが、理解されるべきである。
【0017】
化学発光シグナルは、ドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合(これは、キナーゼが生体分子をリン酸化し、そして三価の金属イオンがリン酸基に結合する場合に起こる)に、発生する。本適用の目的のために、化学発光(chemiluminescence)(形容詞、chemiluminescent)とは、いずれの蛍光光子またはりん光光子の放出も包含する、化合物(化学発光化合物)と一重項酸素を含む反応性化学物質種との化学反応に直接的または間接的に起因する光の放出をいう。もしキナーゼ阻害化合物候補が実際にキナーゼ阻害化合物であるならば、キナーゼが阻害される程度に応じて、アッセイ組成物によって放射せられる化学発光は、候補阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に、減少または除外させられる。これは、キナーゼ阻害の兆候もしくは測定を、またはその両方を提供する。
【0018】
このようなアッセイを実施するために使用され得る組成物およびキットもまた提供される。
【0019】
本発明は今、一つの実施形態、キナーゼアッセイ、主としてプロテインキナーゼアッセイに関して説明される。
【0020】
(三価金属媒介均一発光近接キナーゼアッセイ)
Fe3+を含む三価の遷移金属イオンが、高度のアフィニティおよび特異性をもってリン酸基に結合し得ることが知られるようになってからしばらく経っており、そしてこの事実は、キナーゼアッセイにおいて、特に上述のIMAPTM技術において利するよう使用されてきた。しかし、IMAPTM以外のキナーゼアッセイにおける三価金属イオンの使用は知られていない。一重項酸素のドナービーズでの発生およびアクセプタービーズへの伝搬は、上述のような、既存の増幅発光近接均一アッセイ技術の操作の鍵であるので、一重項イオン消光剤の存在は、現状技術によって禁忌とされる。上述したAlphaScreenTMアッセイ技術の供給業者は、AlphaScreenTM製品とともに提供される文献に、ある種の遷移金属イオン(Fe3+を含む)は、潜在的一重項酸素消光剤であることが示されており、そしてこれらの使用を回避することが強く勧められるとはっきりと言及している。A Practical Guide to Working with AlphaScreenTM,page 22, PerkinElmer, Inc.(2003)の全体を全ての目的につき本明細書において参考として援用する。それにもかかわらず、本発明者らは、上述の既存の増幅発光近接均一アッセイ技術において使用されるリン酸特異的抗体を、三価金属イオンと置き換えることが、より能力の高められたアッセイを提供することを思いがけなく発見した。
【0021】
図1は、本発明による三価金属媒介均一発光近接キナーゼアッセイを実施するために適切な、組成物100の成分を例示している。この近接アッセイは、共役させられたドナー102粒子とアクセプター104粒子との間の生体分子相互作用を利用することではたらく。一つの好ましい実施形態では、粒子は、Ullman,E.F.et al.,Luminescent oxygen channeling immunoassay: measurement of particle binding kinetics by chemiluminescence,Proc Natl Acad Sci USA 91,5426−30(1994)および米国特許第6,703,248号(これらはその全体を全ての目的について本明細書において参考として援用する)において記載されるようなポリマーのビーズである。これらの出版物によるビーズは、Perkin Elmer Life and Analytical Sciences (Boston,MA)から入手可能で、AlphaScreenTMビーズとして市販されている。ポリマーのビーズは、例えばポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルナフタレンおよびポリメタクリル酸の中の1種以上のポリマーから構成され得る。適切なビーズはラテックス粒子の形であり得る。さらにまた、ポリマーのビーズは、例えば約0.1重量%〜約25重量%の量で、高次のアルキル芳香族化合物および高次のアルキルオキシ芳香族化合物およびフルオロカーボンなどの可塑剤を含む。ビーズは,直径が約20nm〜100μm、例えば直径が約175nm〜275nm
であり得る。生物学的アッセイ、例えばキナーゼアッセイに使用される場合、ビーズは、適切な緩衝液などの水性媒体110に分散している。
【0022】
ドナービーズ102は、光源による、例えばレーザーによる励起(活性化)の直後に、周囲の酸素を一重項酸素に変換する光増感剤を組み込む。適切な光増感剤の例としては、エンドペルオキシドまたはフタロシアニンが挙げられる。ドナービーズはまた、生体分子106の結合を促進するために、表面被覆103を有する。概して表面被覆は、生体分子106上のリンカー108に対して相補的である。例えば、ドナービーズ表面被覆103は、例えばストレプトアビジンなどのアビジンであり、そして生体分子106上の相補的リンカー108はビオチンである。他の適切なリンカーとしては、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ、プロテインA、プロテインGおよび6×ヒスチジンで標識された分子のキレート化されたNi2+(chelated Ni2+ for 6x histidine tagged molecule)が挙げられる。適切なドナービーズは、AlphaScreenドナービーズであり、Perkin Elmer Life and Analytical Sciences(Boston,MA)から入手可能である。
【0023】
キナーゼアッセイについては、タンパク質、脂質または核酸(またはこれらの構成要素部分、例えばタンパク質については、ペプチド)などの生体分子106は、その生物学的活性を調節するキナーゼによるリン酸化が可能である。それはドナービーズの表面へ、ドナービーズ表面被覆103およびリンカー108を媒介として結合している。生体分子106は、個々のアッセイにおいて関心のあるキナーゼに基づいて選択される。例えば、アッセイの目的がプロテインセリン/トレオニンキナーゼPDK1の阻害因子を同定することであれば、生体分子106は、当技術分野で周知のような、PDK1によるリン酸化が可能なタンパク質(または構成要素部分)であるだろう。本発明のアッセイを適合させ得るキナーゼのいくつかの例は以下の通りである:キナーゼは、Aktキナーゼファミリー、Auroraキナーゼファミリー、PDK1,MAPKAP K2、Erkキナーゼファミリー、CAMKキナーゼファミリー、サイクリン依存性キナーゼファミリー(例えば、CDK1、CDK2、CDK4、CDK6)、RAFキナーゼファミリー、カゼインキナーゼファミリー、PKCファミリー、PKAファミリー、PKBファミリー、PKGファミリー、GSK3β、ROCK、SGK、RskファミリーおよびNekファミリーを含むプロテインセリン/トレオニンキナーゼ;FGFR、EGFR、PDGFR、c−Kit、IGFR、インスリンレセプター、TrkA、TrkB、TrkC、c−Metまたはc−Retなどのレセプターチロシンキナーゼ、およびSrc、Lck、Lyn、Fyn、Yes、Syk、Hck、AblおよびEphファミリーなどの細胞質チロシンキナーゼを含むプロテインチロシンキナーゼ;または、PI3キナーゼ、PI4キナーゼまたはPI5キナーゼなどのリピドキナーゼであり得る。
【0024】
アクセプタービーズ104は、一重項酸素の存在下で化学発光シグナルを発生する化学発光化合物を組み込む。このように、活性化されたドナー102ビーズおよびアクセプター104ビーズが密に近接する場合、即ち、ビーズ間の距離が、一重項酸素がその寿命の間に水溶液中を動く距離をこえない距離(例えば約200nmをこえない距離)である場合、化学発光シグナルは、発生する。一つの実施形態では、化学発光化合物は、チオキセン誘導体であり、そして520nmおよび620nmの間で放射される光として読み取られる化学発光シグナルを放射する。
【0025】
アクセプター粒子104は一般に、非特異的結合を防ぐために、デキストランまたはポリペプチドヒドロゲルの被覆などの表面被覆112を有する。これは、例えばアクセプター粒子104表面被覆112に共有結合したリンカー115を媒介として、ビーズ104表面に錯体形成する三価金属イオン114も有する。三価金属イオン114は、Ga3+、Fe3+、Al3+、In3+、Ru3+、Sc3+、Y3+のうちの少なくとも一つであり得る。
【0026】
三価金属イオンをクロマトグラフィー基体に錯体形成することが、6×His含有タンパク質の精製に典型的に使用される、二価Ni2+錯体形成ニトリロ三酢酸(NTA;カルボキシメチルリジンともいう)樹脂またはイミノ二酢酸(IDA)樹脂を三価金属で置換することによって、可能であることが示されている。Porath,J.,IMAC−immobilized metal ion affinity based chromatography.Trends Anal.Chem.7,254−259(1988)(この文献は、その全体を全ての目的について本明細書において参考として援用する)。三価の金属イオンは、この技術を二価Ni2+錯体形成ニトリロ三酢酸(NTA)AlphaScreenTMアクセプタービーズへ適用することによって、本発明によるアクセプタービーズとして適切なポリマービーズに錯体形成され得ることがわかった。加えて、以下に続く実施例においてさらに説明されるように、三価金属イオンは、AlphaScreenTM非共役、「未処理」アクセプタービーズなどのアクセプタービーズとして適切な樹脂に直接に結合され得る。AlphaScreenTMビーズは、Perkin Elmer Life and Analytical Sciences(Boston,MA)から入手可能である。
【0027】
三価金属イオンは、本発明によるアクセプタービーズとして適切なポリマービーズに、例えばトリアゾシクロノナネオノナンなどのトリアゾ複素環などの、適切に置換されたN含有複素環であるリンカー115を媒介としてもまた、錯体形成され得る。化合物1−アセタト−4−ベンジル−トリアゾシクロノナンは、タンパク質精製および他の応用法のためのNi/NTAの代替物として記載されてきた(D.L.Johnson and L.L.Martin,J.Am.Chem.Soc.2005,127,2018−2019(および関連するSupporting Information)、この文献は、その全体を全ての目的について本明細書において参考として援用する)。適切な置換は、トリアゾ複素環を、上記したようにデキストランまたはポリペプチドヒドロゲルの被覆などの、非特異的結合を防ぐ表面被覆112を概して有するアクセプタービーズ104の表面に結合するために、官能基を提供する。適切な置換基としては、カルボン酸基および遊離のアミンが挙げられる。このような適切なリンカー115の一つの特定の例は、1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7,−トリアザシクロノナン、
【0028】
【化1】

であり、この物質の調製は、以下に続く実施例において記載される。
【0029】
理論によって束縛されることは意図しないが、トリアゾ複素環リンカー115は、三価金属イオンとより強く錯体形成し得、それによって、アッセイで反応停止として使用される金属イオンキレート化剤(例えばEDTA)によるアクセプタービーズからのイオンの剥奪に抵抗すると考えられている。さらにまた、この型のリンカーの剛性はまた、錯体形成した金属イオンを、アクセプタービーズ表面から離して、ドナービーズの方に配向させ得、それによってアッセイからのシグナルを改善し得ると考えられている。
【0030】
上記したように、化学発光シグナルは、活性化されたドナービーズおよびアクセプタービーズが密に近接して保持される場合に、発生する。これは、ビーズ上の表面結合基の間で生物学的相互作用がある場合に達成され得る。アクセプタービーズ104上の三価金属イオン114は、生体分子がキナーゼによってリン酸化された場合、生体分子106のリン酸基116と結合して、ビーズを密に近接するよう保持する。しかし、もし候補化合物がキナーゼ阻害化合物である場合、これは生体分子のリン酸化をおよびそれとともに化学発光シグナルの発生を阻害し、キナーゼが阻害される程度に応じて、アッセイ組成物によって放射せられる化学発光は、候補阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に、減少または除外させられる。これは、キナーゼ阻害の兆候もしくは測定を、またはその両方を提供する。
【0031】
従って、本発明によるアッセイは、キナーゼ阻害化合物を検出するために実施され得る。本方法は、光増感剤および表面に結合した、キナーゼによるリン酸化が可能な未リン酸化生体分子を有するドナー粒子、ならびに粒子表面に錯体形成する三価金属イオンおよび化学発光化合物を有するアクセプター粒子を含有する組成物を提供する工程を含む。化学発光化合物は、光増感剤が活性化されそしてドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合、化学発光シグナルを発生することを特徴とする。キナーゼおよび候補キナーゼ阻害化合物は、候補化合物がない状態で、リン酸化が起こらないように組成物に導入される。これを行うためには多数の方法がある。リン酸化反応を開始するためには、3つの成分が存在しなければならない:キナーゼ、キナーゼの基質(例えば、リン酸化されるようなタンパク質(または構成要素部分)である生体分子)およびATPである。この3つのうちのいずれかの2つを組み合わせて、そして混合または化合物を含むウェルに添加する。阻害物候補は、リン酸化が起こるために必要な要素の全てが組み合わされる前に、加えられなければならない。そして次に第3の成分が加えられる。
【0032】
次に、候補化合物がキナーゼインヒビターであるか否かが、候補阻害化合物を欠く対照の組成物から放射される化学発光に対して相対的に減少したまたは除外させられた化学発光として観察される、候補阻害化合物によるキナーゼの阻害を検知することによって、決定され得る。
【0033】
AlphaScreenTM技術を用いて実施されるような、従来の発光近接アッセイにおいて、推奨される停止緩衝液は、広く知られた便利な金属キレート化剤であるEDTAを含むことには注意すべきである。本発明による三価金属イオン媒介発光近接アッセイは、三価金属イオンに対する、EDTAとアクセプタービーズへ三価金属イオンを錯体形成するために使用されるリンカーとの相対的アフィニティーに依存して、EDTAを含む停止緩衝液を使用してもよいし使用しなくてもよい。EDTAのアフィニティーがリンカーよりも大きい場合、反応停止緩衝液が添加されたときビーズから三価金属イオンが剥奪される危険性を回避するため、アッセイでは代替の反応停止緩衝液が使用され得る。例えば、IMAPTMバインディング緩衝液などの、EDTAを含有しない、非EDTA緩衝液が、このような例では金属イオン剥奪を回避するために使用され得る。このような例では、低pH溶液もまた許容可能な停止緩衝液を提供し得る。リンカーのアフィニティーがEDTAよりも大きい場合、EDTAが使用され得る。
【0034】
したがって、本発明のいくつかの実施形態では、例えばNTA三価金属イオンリンカーを使用しているものでは、EDTAが十分に強い金属キレート化剤でありアクセプタービーズからNTA錯体形成金属イオンを剥奪するかもしれないので、EDTA含有反応停止緩衝液は使用しない。他方では、EDTA含有反応停止緩衝液は、1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンなどのトリアゾ複素環リンカーが使用される本発明の実施形態では使用され得る。それは、このようなリンカーは、EDTAよりも強いアフィニティーで三価金属イオンと錯体形成し、それによってEDTAによってビーズから金属イオンが剥奪されるのを防ぐと考えられているからである。
【0035】
(本発明の実施形態)
本発明は、例えば以下のような、組成物、キットまたは方法として実施され得る:
以下を含む組成物:光増感剤を含むドナー粒子;化学発光化合物を含むアクセプター粒子であって、化学発光化合物は、光増感剤が活性化されてそしてドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合、化学発光シグナルを発生することを特徴とするアクセプター粒子;ドナー粒子またはアクセプター粒子のうちの一つの表面に錯体形成された三価金属イオン。
【0036】
粒子表面に錯体形成された三価金属イオンならびに光増感剤および化学発光化合物のうちの一つを含むポリマー粒子を含む組成物。粒子は、光増感剤および化学発光化合物のうちの他方を含む第2の粒子が密に近接してそして光増感剤が活性化される場合、化学発光シグナルを発生することを特徴とし得る。
【0037】
アッセイに使用されるキットであって、キットは、包装されたものの組み合わせで、以下を含む:アッセイを実施するための試薬であって、試薬は、光増感剤を含むドナー粒子;化学発光化合物を含むアクセプター粒子であって、化学発光化合物は、光増感剤が活性化されてそしてドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合、化学発光シグナルを発生することを特徴とするアクセプター粒子;ドナー粒子またはアクセプター粒子のうちの一つの表面に錯体形成された三価金属イオンを含む試薬。キットはまた、以下に記載される本発明の態様による、キナーゼ阻害化合物を検知する方法などの、三価金属媒介均一発光近接アッセイを実施するための使用説明書を含み得る。
【0038】
キナーゼ阻害化合物を検知する方法であって、この方法は以下を含む:光増感剤およびキナーゼによるリン酸化が可能な表面結合未リン酸化生体分子を含むドナー粒子ならびに粒子表面へ錯体形成した三価金属イオンおよび化学発光化合物(化学発光化合物は、光増感剤が活性化されてそしてドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合、発光シグナルを発生することを特徴とする)を含むアクセプター粒子を含む組成物を提供する工程;候補キナーゼ阻害化合物を組成物に導入する工程;キナーゼを組成物に導入する工程;そして、候補阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に減少した化学発光として観察される、候補阻害化合物によるキナーゼの阻害を検知することによって、候補キナーゼ阻害化合物がキナーゼ阻害化合物であることを決定する工程。
【0039】
ホスファターゼ阻害化合物またはホスホジエステラーゼ阻害化合物を検知する方法であって、この方法は以下を含む:光増感剤およびホスファターゼまたはホスホジエステラーゼによる脱リン酸が可能な表面結合リン酸化生体分子を含むドナー粒子ならびに粒子表面へ錯体形成した三価金属イオンおよび化学発光化合物(化学発光化合物は、光増感剤が活性化されそしてドナー粒子およびアクセプター粒子が密に近接する場合、発光シグナルを発生することを特徴とする)を含むアクセプター粒子を含む組成物を提供する工程;ホスファターゼまたはホスホジエステラーゼを組成物に導入する工程;候補ホスファターゼ阻害化合物または候補ホスホジエステラーゼ阻害化合物を組成物に導入する工程;そして、候補阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に増加した化学発光として観察される、候補阻害化合物によるホスファターゼまたはホスホジエステラーゼの阻害を検知することによって、候補ホスファターゼ阻害化合物または候補ホスホジエステラーゼ阻害化合物がホスファターゼ阻害化合物またはホスホジエステラーゼ阻害化合物であることを決定する工程。
【0040】
本発明の組成物、キットまたは方法のいずれについても以下のことが成立する:活性化された光増感剤は、光源による励起の直後に周囲の酸素を一重項酸素に変換し得る。光源は、レーザーであり得る。光増感剤は、エンドペルオキシドであり得る。化学発光化合物は、チオキセン誘導体であり得る。アクセプター粒子およびドナー粒子は、水性媒体中に分散され得る。密な近接とは,一重項酸素がその寿命の間に水溶液中を動く距離をこえない距離(例えば約200nmをこえない距離)にあることである。粒子は、ポリマービーズであり得る。ポリマービーズは、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリ塩化ビニル、ポリビニルナフタレンおよびポリメタクリル酸からなる群から選択されるポリマーを含み得る。ポリマービーズは、約0.1重量%〜約25重量%の、高次アルキル芳香族化合物と高次アルキルオキシ芳香族化合物とフルオロカーボンとからなる群から選択される可塑剤を含み得る。ある場合では、ポリマービーズは、直径が約20nm〜約100μmであり得る。また他の場合では、ポリマービーズは、直径が約175nm〜約275nmであり得る。ビーズは代わりになるべきものとして、ラテックス粒子を含み得る。ある場合、三価金属イオンは、アクセプター粒子表面へ錯体形成され得る;また他の場合、ドナー粒子表面へ錯体形成され得る。三価金属イオンは、ドナー粒子またはアクセプター粒子のうちの一つの表面に、カルボキシメチルリジンおよび1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーのうちの一つなどの、例えば1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーなどの、N含有リンカーを媒介として、錯体形成され得る。ドナー粒子はさらに、キナーゼによるリン酸化が可能な生体分子の結合を促進する表面被覆を含み得る。被覆は、相補結合対のうちの一つを含み得る。ドナービーズはさらに、生体分子の生物学的活性を調節するキナーゼによるリン酸化が可能な生体分子である、タンパク質、脂質、核酸およびこれらの構成要素部分からなる群から選択される表面結合生体分子を含み得る。キナーゼは、プロテインセリン/トレオニンキナーゼ、プロテインチロシンキナーゼおよびリピドキナーゼからなる群から選択され得る。例えば、キナーゼは、Aktキナーゼファミリー、Auroraキナーゼファミリー、PDK1,MAPKAP K2、Erkキナーゼファミリー、CAMKキナーゼファミリー、サイクリン依存性キナーゼ、RAFキナーゼファミリー、カゼインキナーゼファミリー、PKCファミリー、PKAファミリー、PKBファミリー、PKGファミリー、GSK3β、ROCK、SGK、RskファミリーおよびNekファミリーからなる群から選択されるプロテインセリン/トレオニンキナーゼであり得;またはキナーゼは、レセプターチロシンキナーゼおよび細胞質チロシンキナーゼからなる群から選択されるプロテインチロシンキナーゼであり得;またはキナーゼは、FGFR、EGFR、PDGFR、c−Kit、IGFR、インスリンレセプター、TrkA、TrkB、TrkC、c−Metおよびc−Retからなる群から選択されるレセプターチロシンキナーゼであり得;またはキナーゼは、Src、Lck、Lyn、Fyn、Yes、Syk、Hck、AblおよびEphファミリーからなる群から選択される細胞質チロシンキナーゼであり得;またはキナーゼは、PI3キナーゼ、PI4キナーゼおよびPI5キナーゼからなる群から選択されるリピドキナーゼであり得る。生体分子はさらに、ドナービーズ上の表面被覆に相補的なリンカーを含み得る。ドナービーズ被覆は、アビジンを、例えばストレプトアビジンを含み得、そして生体分子上の相補的リンカーは、ビオチンを含み得る。アクセプタービーズ上の三価金属イオンとドナービーズ上のリン酸化生体分子のリン酸基との間の生物学的相互作用は、ビーズを密に近接させて保持し得る。三価金属イオンは、Ga3+、Fe3+、Al3+、In3+、Ru3+、Sc3+およびY3+からなる群から選択され得る。本発明の方法では、候補キナーゼ阻害化合物は、キナーゼ導入の前または導入と同時に導入され得、そしてATPがさらに組成物に導入され得る。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、本発明の特定の態様と成分材料とそれらの調製とを例示するために提供される。実施例は、さらに本発明を例示するのに役に立つが、いかなる方法でも本発明の範囲を限定するつもりはない。
【0042】
(実施例1)
材料と方法
AlphaScreenTMストレプトアビジンドナービーズ、AlphaScreenTMNi2+−キレートアクセプタービーズおよびAlphaScreenTM非共役、「未処理」アクセプタービーズは、Perkin Elmer Life and Analytical Sciences(Boston、MA)から購入した。IMAPTMバインディング緩衝液は、5×濃縮物としてMolecular Devices(Sunnyvale、CA)から購入した。三価金属イオン塩は、Sigma Aldrich、St.Louis、MO(FeCl)およびAlfa Aesar、Ward Hill、MA(GaClおよびAlCl)から購入した。Akt3キナーゼおよびビオチン化Crosstide基質は、Upstate、Charlottesville、VAから購入した。シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよびカルボキシメチル−L−リジンは、Sigma Aldrichから購入した。本明細書において記載される他の溶液は、VWR International、West Chester、PAから入手した研究等級の材料から製造した。初めに、AlphaScreenTMアクセプタービーズに三価金属イオンを錯体形成させる2つの方法が開発されそして以下に記載される。
【0043】
(方法1)(Ni2+キレートAlphaScreenTMビーズ上のNi2+の三価の金属イオンとの置換)
1)250μg(50μlの5mg/ml)のNi2+キレートアクセプタービーズを遠心(4℃下13,000×gで20分間)によりペレット化する。
【0044】
2)ペレット化したビーズを、1mLストリップ緩衝液(500mM NaCl、100mM EDTA、50mM TrisHCl、pH8)中に再懸濁する。ボルテックスし、超音波処理しそして暗所下37℃で1時間インキュベートする。
【0045】
3)0.1M TrisHCl、pH8で3回洗う(4℃下13,000×gで20分間)。
【0046】
4)1mLの100mM M3+溶液(例えば、FeCl、GaClまたはGaNO)中に再懸濁する。ボルテックスし、超音波処理しそして暗所下37℃で1時間インキュベートする。
【0047】
5)1mLのストレージ緩衝液(25mM HEPES/100mM NaCl、pH7.4)中で2回洗う。
【0048】
6)最後に洗ったものを100μlのストレージ緩衝液中に再懸濁する。
【0049】
(方法2)(三価金属イオンのAlphaScreenTMアクセプタービーズへのNTA(カルボキシメチルリジン)を媒介とした直接結合)
1)以下のものを1.5ml微量遠心管中に混合する
400μgの未処理AlphaScreenTMアルデヒドアクセプタービーズ(40μlの20mg/ml)
10μlの1%Tween−20
8μlのNaCNBH(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)溶液(25mg/ml)
400μgのカルボキシメチルリジン(40μlの20mg/mlの0.1M MOPS、pH8溶液)
62μlの0.1M MOP、pH8
2)反応を、震とう下、暗所下37℃で48〜60時間、インキュベートする。
【0050】
3)10μlの1M Tris−HCl、pH7.5を加えることで、反応をブロックする。暗所下37℃で1時間インキュベートする。
【0051】
4)ビーズをペレット化し、上清をデカントしそしてボルテックスしながら200μlの0.1M Tris−HCl、pH8中に再懸濁する。
【0052】
5)ステップ4を2回繰り返す。
【0053】
6)ビーズを、1.5mM NaOH中に調製した100mM M3+溶液(例えば、FeCl、GaClまたはGaNO)中に再懸濁する。暗所下37℃で1時間インキュベートする。
【0054】
7)ペレット化(4℃下13,000×gで20分間)により洗いそして200μlの0.1M Tris−HCl、pH8中に再懸濁する。
【0055】
8)ステップ7を2回繰り返す。
【0056】
9)最後の洗浄後、ペレットをアクセプタービーズストレージ緩衝液(25mM HEPES/100mM NaCl、pH7.4)中に再懸濁する。
【0057】
(結果)
(方法1)
(プロトコール)。ビオチン化Crosstideペプチド(552μMのストック溶液)およびATP(10mMのストック溶液)を、コンプリートリアクション緩衝液(CRB:10mM TrisHCl、10mM MgCl、0.01%BSA、1mM DTT、pH7.2)中で、それぞれ1μMおよび20μMに希釈し、2×濃縮基質/ATP溶液を作製した。Akt3キナーゼ(Upstate、およそ2μMのストック溶液)をCRB中で20nMに希釈し、2×濃縮キナーゼ溶液を作製した。10μlの2×基質/ATP溶液を、10μlのCRBのみかまたは10μlの2×Akt3キナーゼ溶液かのいずれかに混合し(最終アッセイ濃度:10nM Akt3、10μM ATP、500nM Crosstide)そして室温下で2時間インキュベートした。対照として、いくつかの反応物を、潜在的なキナーゼ一般のインヒビターである、スタウロスポリン5μMと15分間プレインキュベートした。反応を、30μlの、AlphaScreenTMストレプトアビジンドナー(10μg/ml)ビーズおよび三価金属イオン錯体形成アクセプター(20μg/ml)ビーズの混合物の3×濃縮IMAPTMバインディング緩衝液の溶液を添加することで停止した。各条件に対する発光カウントを、Packard Fusion Alphaで読み取り、そして図1および図2に示した(図1および図2に示された値は4反復の平均である)。
【0058】
(方法2)
(プロトコール)。ビオチン化Crosstideペプチド(552μMのストック溶液)およびATP(10mMのストック溶液)を、コンプリートリアクション緩衝液(CRB:10mM TrisHCl、10mM MgCl、0.01%BSA、1mM DTT、pH7.2)中で、1μMに希釈し、2×濃縮基質/ATP溶液を作製した。この溶液をその後、一続きの1:1希釈し、ペプチド濃度は固定されているが(1μM)、ATP濃度は異なる(20μM、10μM、5μMおよび2.5μM)溶液を作製した。Akt3キナーゼ(Upstate,およそ2μMのストック溶液)を、CRBで一続きで希釈し、2×濃縮キナーゼ溶液(20nM、10nM、5nMおよび2.5nM)を作製した。
【0059】
10μlの2×基質/ATP溶液のそれぞれを、10μlのCRBのみかまたは10μlの2×Akt3キナーゼ溶液濃度のそれぞれのいずれかに混合し(最終アッセイ濃度:1.25nM〜10nM Akt3、1.25μM〜10μM ATP、500nM Crosstide)、そして室温下で1時間および2時間インキュベートした。対照としていくつかの反応物を、5μMのスタウロスポリンと15分間プレインキュベートした。反応を、最後の2時間のインキュベーション期間の後に、最初に15μlのAlphaScreenTMストレプトアビジンドナー(0.1μg/μl)ビーズの混合物の3×濃縮IMAPTMバインディング緩衝液の溶液の添加、それに続けて15μlのFe3+錯体形成アクセプター(0.2μg/μl)ビーズの3×濃縮IMAPTMバインディング緩衝液の溶液の添加により停止した。それぞれの条件に対する発光カウントを、Packard Fusion Alphaで読み取り、図3〜図6に示した。
【0060】
(考察)
この結果は、三価金属イオン(M3+)置換AlphaScreenTMアクセプタービーズが、キナーゼアッセイを迅速に最適化し有効化するための強力で単純な方法をであり得ることを、明確に示す。M3+置換ビーズは容易に作製され、最初の実験において約20のS/B比でCrosstideのリン酸化を検知するのに成功した。
【0061】
(実施例2)(三価金属イオンのAlphaScreenTMアクセプタービーズへの1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンを媒介とした直接結合)
三価金属イオンは、AlphaScreenTMアクセプタービーズへ、1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンまたは別のN含有複素環を媒介として、上記の方法2においてNTAを媒介とした結合のために記載されているのと同じ方法で、結合し得る。簡単には、未処理AlphaScreenTMアルデヒドアクセプタービーズを、緩衝作用を受けた1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナン、Tween−20およびNaCNBH(シアノ水素化ホウ素ナトリウム)の溶液に混合し得る。反応を、震とう下で、暗所下37℃下で48時間〜60時間インキュベートし、次に、暗所下37℃下で1時間再びインキュベートする前に、1M Tris−HCl、pH7.5の添加によってブロックする。ビーズを次にペレット化し、上清をデカントし、ペレット化したビーズを0.1M Tris−HCl、pH8に再懸濁する。ペレット化工程および再懸濁工程を2回繰り返し、ビーズを1.5mM NaOH中に調製した100mM M3+溶液(例えば、FeCl、GaClまたはGaNO)中に再懸濁し、そして暗所下37℃下で1時間インキュベートする。ビーズを、次に、0.1M Tris−HCl、pH8中で数回ペレット化および再懸濁することによって洗浄し、最終的にアクセプタービーズストレージ緩衝液(25mM HEPES/100mM NaCl、pH7.4)中に再懸濁する。
【0062】
(実施例3)(1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンの合成)
1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンは、いずれの適切な技術によっても入手し得または調製し得、そして例えば、A.Warden,B.Graham,M.T.W.Hearn,L.Spiccia Org.Letters,2001,3,2855−2858(およびAssociated Supporting Information)(この文献はその全体を全ての目的について本明細書において参考として援用する)に見られる手順の以下の変形により合成されている。1,4,7−トリアザシクロノナン tris HCl(2.0g)を、水(12mL)に溶解した。水酸化ナトリウム(1.3g)を、部分ごとに30分にわたり加え、結果として生じた溶液を、室温下で1時間攪拌した。混合物を、真空中で濃縮し白色のペーストとし、これをさらにトルエンから数回濃縮乾燥した。トルエンを、結果として生じた残渣に加え、生じた懸濁液を、数分間超音波処理し、次に白色の固体を除去するためにデカントした。ジメチル酢酸ジメチルホルムアミドを、トルエン溶液に加え、そして混合物を、4時間加熱還流した。反応混合物を、室温まで冷却しそして濃縮しわずかに黄色のオイルとした。このオイルを、アセトニトリル(5mL)中に溶解し、そしてN−(3−ブロモプロピル)フタルイミド(2.1g)を加え、濃い黄色の溶液とした。この溶液を、一晩中攪拌すると白色の沈殿物を生じ、これをろ過によって採取し、アセトニトリルおよびエーテルを用いて洗浄し(ろ液からは、追加の固体を回収した)2.2g(理論値の67%)の1−(N−(3−プロピル)フタルイミド)−1,4,7−トリアザシクロノナンオルトアミジニウムブロマイドを得た。LC/MS Rt=1.4分、m/z=327であった。1−(N−(3−プロピル)フタルイミド)−1,4,7−トリアザシクロノナンオルトアミジニウムブロマイド(870mg)を、水(10mL)中に溶解し、そして一晩中加熱還流し、次に真空中で濃縮した。残渣の水をトルエンと共蒸発させることで取り除き、粘着性の黄色オイルとし、これを直ちにアセトニトリルに溶解した。5分間の超音波処理の後、炭酸ナトリウム(2g)とブロモ酢酸エチル(0.29mL)を加え、そして生じた混合物を2日間加熱還流した。室温まで冷却した後、固体をろ過によって除去し、そしてろ液を真空中で濃縮し、黄色のオイルとした。このオイルを水に溶解しそしてクロロホルム中に抽出した。混合された有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過しそして濃縮して499mgのわずかに黄色のオイルとした。このオイルを5M HCl(11mL)中に溶解しそして20時間93℃下で加熱した。この溶液を室温まで冷却し、次に一晩中冷蔵庫中に置き、白色の沈殿物を形成させた。固体をろ過によって除去し、そしてろ液を濃縮しオイル状の残渣とし、これを臭化水素酸(4mL)および酢酸(4mL)中に溶解した。2層が観察されるまでエーテルを加え、そして混合物を冷蔵庫に3日間保管した。この結果生じた白色の固体を、窒素のブランケット下のろ過によって採取し、そして水で洗浄した。この固体をさらに真空中で乾燥し、300mgの表題の化合物を得た。LC/MS Rt=0.3分 m/z=245であった。NMR(1H、300MHz)は、公表されているデータと同じであった。
【0063】
(代替の実施形態)
上記したように、本発明は本明細書において主としてプロテインキナーゼアッセイに言及して記載されるが、これはいずれのリン酸化反応酵素または脱リン酸反応酵素にも広く適用可能である。本発明の組成物および工程の代替の使用は、リピドキナーゼ、ホスファターゼおよびホスホジエステラーゼを含む、他の型の酵素のアッセイにおいてである。
【0064】
PI3Kのような、リピドキナーゼについては、生理学的反応は、PI−4,5−P2〜PI−3,4,5−Pである。PI(ホスファチジルイノシトール)自体もまた基質として使用され得る。一旦PIまたはPIP2がリン酸化されれば、ビーズはリン酸の付加によって増加したシグナルを示す。
【0065】
ホスファターゼおよびホスホジエステラーゼについて、アッセイは、ホスファターゼおよびホスホジエステラーゼがリン酸基を取り除くので、キナーゼアッセイとは逆に働く(例えばホスファターゼインヒビターまたはホスホジエステラーゼインヒビターは、対照に対して相対的に高い化学発光シグナルを発生する)。
【0066】
(結論)
本発明は、数個の好ましい実施形態に関して記載されたが、これは上で与えられた特定のものに限定されるべきではない。上記の好ましい実施形態の多くの変形形態が使用され得る。それゆえに、本発明は、以下の特許請求の範囲に言及して広く解釈されるべきである。
【0067】
本明細書において引用された全ての参考文献は、その全体を全ての目的について参考として援用する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】図1は、本発明による三価金属媒介均一発光近接キナーゼアッセイを実施するのに適切な組成物の成分を示す。
【図2】図2は、方法1においてテストされた各条件に対する発光カウントを示すグラフである。
【図3】図3は、方法1においてテストされた各条件に対する発光カウントを示すグラフである。
【図4】図4は、方法2においてテストされた各条件に対する発光カウントを示すグラフである。
【図5】図5は、方法2においてテストされた各条件に対する発光カウントを示すグラフである。
【図6】図6は、方法2においてテストされた各条件に対する発光カウントを示すグラフである。
【図7】図7は、方法2においてテストされた各条件に対する発光カウントを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光増感剤を含むドナー粒子;
化学発光化合物を含むアクセプター粒子であって、該化合物は、該光増感剤が活性化されてそして該ドナー粒子および該アクセプター粒子が密に近接する場合、化学発光シグナルを発生することを特徴とするアクセプター粒子;および
ドナー粒子またはアクセプター粒子のうちの一つの表面に錯体形成する三価金属イオン
を含む組成物。
【請求項2】
活性化された光増感剤が、光源による励起によって、周囲の酸素を一重項酸素に変換する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記光源がレーザーである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記光増感剤がエンドペルオキシドである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記化学発光化合物がチオキセン誘導体である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
前記粒子が水性媒体中に分散されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
密に近接する距離が、一重項酸素が水性溶液中をその寿命の間に動く距離をこえない、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記距離が200nmをこえない、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記粒子がポリマービーズである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記三価金属イオンが前記アクセプター粒子表面に錯体形成している、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記三価金属イオンが前記ドナー粒子表面に錯体形成している、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記三価金属イオンが、前記ドナー粒子または前記アクセプター粒子のうちの一つの表面に、N含有リンカーを媒介として、錯体形成している、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記三価金属イオンが、前記ドナー粒子または前記アクセプター粒子のうちの一つの表面に、カルボキシメチルリジンおよび1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーのうちの一つを媒介として、錯体形成している、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記三価金属イオンが、Ga3+、Fe3+、Al3+、In3+、Ru3+、Sc3+およびY3+からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
光増感剤を含むドナー粒子;
化学発光化合物を含むアクセプター粒子であって、該化合物は、該光増感剤が活性化されてそして該ドナー粒子および該アクセプター粒子が密に近接する場合、化学発光シグナルを発生することを特徴とするアクセプター粒子;および
アクセプター粒子の表面に、1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーを媒介として、錯体形成する三価金属イオン
を含む組成物。
【請求項16】
アッセイに使用されるキットであって、該キットは、包装されたものの組み合わせで:アッセイを実施するための試薬であって、該試薬は、光増感剤を含むドナー粒子;化学発光化合物を含むアクセプター粒子であって、該化合物は、該光増感剤が活性化されてそして該ドナー粒子および該アクセプター粒子が密に近接する場合、発光シグナルを発生することを特徴とするアクセプター粒子;およびドナー粒子またはアクセプター粒子のうちの一つの表面に錯体形成された三価金属イオンを含む試薬を含むキット。
【請求項17】
前記三価金属イオンが、前記ドナー粒子または前記アクセプター粒子のうちの一つの表面に、N含有リンカーを媒介として、錯体形成している、請求項16に記載のキット。
【請求項18】
前記三価金属イオンが、前記ドナー粒子または前記アクセプター粒子のうちの一つの表面に、カルボキシメチルリジンおよび1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーのうちの一つを媒介として、錯体形成している、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
前記三価金属イオンが、前記アクセプター粒子の表面に、1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーを媒介として、錯体形成している、請求項18に記載のキット。
【請求項20】
さらに三価金属媒介均一発光近接アッセイを実施するための使用説明書を含む、請求項16に記載のキット。
【請求項21】
キナーゼ阻害化合物を検知する方法であって、該方法は:
光増感剤およびキナーゼによるリン酸化が可能な表面結合未リン酸化生体分子を含むドナー粒子ならびに粒子表面へ錯体形成した三価金属イオンおよび化学発光化合物(該化合物は、該光増感剤が活性化されてそして該ドナー粒子および該アクセプター粒子が密に近接する場合、発光シグナルを発生することを特徴とする)を含むアクセプター粒子を含む組成物を提供する工程;
候補キナーゼ阻害化合物を組成物に導入する工程;
キナーゼを組成物に導入する工程;および、
該候補阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に減少した化学発光として観察される、候補阻害化合物によるキナーゼの阻害を検知することによって、該候補キナーゼ阻害化合物がキナーゼ阻害化合物であることを決定する工程
を包含する。
【請求項22】
前記三価金属イオンが、前記アクセプター粒子の表面に、N含有リンカーを媒介として、錯体形成している、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記三価金属イオンが、前記アクセプター粒子の表面に、カルボキシメチルリジンおよび1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーのうちの一つを媒介として、錯体形成している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記三価金属イオンが、前記アクセプター粒子の表面に、1−プロピルアミノ−4−アセタト−1,4,7−トリアザシクロノナンリンカーを媒介として、錯体形成している、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記候補キナーゼ阻害化合物が前記キナーゼの導入の前に導入される、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記候補キナーゼ阻害化合物および前記キナーゼが同時に導入される、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
ホスファターゼ阻害化合物またはホスホジエステラーゼ阻害化合物を検知する方法であって、該方法は:
光増感剤およびホスファターゼまたはホスホジエステラーゼによる脱リン酸が可能な表面結合リン酸化生体分子を含むドナー粒子、ならびに粒子表面へ錯体形成した三価金属イオンおよび化学発光化合物(該化合物は、該光増感剤が活性化されそして該ドナー粒子および該アクセプター粒子が密に近接する場合、発光シグナルを発生することを特徴とする)を含むアクセプター粒子を含む組成物を提供する工程;
ホスファターゼまたはホスホジエステラーゼを組成物に導入する工程;
候補ホスファターゼ阻害化合物または候補ホスホジエステラーゼ阻害化合物を組成物に導入する工程;および、
該候補阻害化合物を欠く対照の組成物から発せられる化学発光に対して相対的に増加した化学発光として観察される、候補阻害化合物によるホスファターゼまたはホスホジエステラーゼの阻害を検知することによって、該候補ホスファターゼ阻害化合物または候補ホスホジエステラーゼ阻害化合物がホスファターゼ阻害化合物またはホスホジエステラーゼ阻害化合物であることを決定する工程
を包含する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−513794(P2008−513794A)
【公表日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−532672(P2007−532672)
【出願日】平成17年9月19日(2005.9.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/034026
【国際公開番号】WO2006/034417
【国際公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(506361100)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス, インコーポレイテッド (44)
【Fターム(参考)】