説明

三方弁用のボンネット

流体制御デバイスは、バルブボディと、制御部材と、一体状のボンネットとを備えている。該バルブボディは流体のための流路を形成している。該制御部材は、前記バルブボディ内に配置されているとともに、少なくとも第一の位置と第二の位置と間で変位可能に構成されている。一体状のボンネットは、バルブボディに連結されているとともに、突出部を形成している。突出部は、流路の中に少なくとも部分的に突出し、制御部材が第一の位置と第二の位置との間に配置されたとき、流路に沿って流れている流体のうちの少なくとも一部を導くように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体制御デバイスに関するものであり、さらに詳細には、流体の流れを制御しボンネットを貫通して摺動可能に配設される制御部材を備えた流体制御デバイスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
あるプロセス用途において、流れを混合するため又は流れを分流するために二つ以上のパイプラインを接続する場合があることが一般に知られている。例えば、三つのパイプラインを接続することにより一般的な混合(流れの合流)サービスまたは分岐(流れの分流)サービスを提供することが可能である。このような用途に三方弁を用いることが可能である。一般的に、三方弁は三つの流れの接続をおこなう。例えば、二つの流れが流入口として一つの流れの流出口に接続されて混合がおこなわれ、三つのうちの一つの流れが流入口として残りの二つの流れが流出口として流れの分岐がおこなわれることがある。
【0003】
図1を参照すると、流れを分流する用途のための従来型の三方制御弁10が記載されている。この三方制御弁10は、バルブボディ12と、制御部材14と、アクチュエータ16(部分断面図に示されている)とを備えている。前記バルブボディ12には、流体のための流路18が形成されている。図示されているように、この流路18は、単一の流入口18aと、二つに分岐した流出口18b、18cとを有している。他の三方制御弁(図示せず)では、流路が単一の流出口と、かかる流出口に合流する二つの流入口を有していてもよい。いずれの構造であっても、制御部材14は、バルブボディ12内に配設され、流路18を流れる流体の流れを選択的に制御すべく、縦方向に変位可能に構成されている。アクチュエータ16(部分断面図に示されている)は、前記制御部材14を動作させることが可能に連結され、ある信号又は条件に応じてかかる制御部材14の位置を決めるように構成されている。これらの一般的な部品に加えて、図1に示されている従来型の三方制御弁10は、アクチュエータ16とバルブボディ12との間に配設されるボンネット20を備えている。このボンネット20は、アクチュエータ16をバルブボディ12に組み込み、制御部材14に対してシールするのみならず支持する役目をも負っている。従来、前記ボンネット20は、制御部材14のまわりをシールするためのパッキン組立体24を収納するためのパッキン用の孔22を有している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記制御部材14は、弁体28に連結される弁棒26を有している。この弁棒26は、ボンネット20を貫通して摺動可能に配設され、前記アクチュエータ16によって動作させられることが可能に接続されている。前記弁体28は、流路18を流れる流体の量を選択的に制御することができるように、バルブボディ12の流路18内に配設されている。この弁体28は、上側着座面28aと下側着座面28bとを有している。かかる弁体28は、上側着座位置または下側着座位置におかれているとき、流体が流れて行かないように流出口18b又は18cを閉じることができなければならない。このことを達成するために、図1に示された従来型の三方弁組立体10は、ケージ30内の上側窓部12aに隣接して形成された上側弁座32aと、流入口18aに隣接してクランプ締めされた弁座31内に形成されている下側弁座32bとを有する、バルブボディ12に配設されるケージ30を、さらに備えている。このケージ30は、前記バルブボディ12の流路18内に固定され、弁体28が弁棒26により、規定された軸に沿って移動するに従って、上側ケージ窓部12aから上側流出口18cへおよび下側ケージ窓部12bから下側流出口18bへ流れる、流体を制御するようになっている。 図1に示されている下側流出口18bからの流れを制限するために、弁体28の下側着座面28bは、下側着座位置におかれているとき、クランプ締めされた弁座31の着座面32bとの間でシール状態を形成するように接合する。同様に、図1に示されている上側流出口18cからの流れを制限するために、弁体28の上側着座面28aは、上側着座位置におかれているとき、弁ケージ28の上側着座面32aとの間でシール状態を形成するように接合するようになっている。
【0005】
当業者にとって明らかなように、前記弁体28が上側弁座32aと下側弁座32bとの間の中間位置にあるとき、アクチュエータ16は、下側流出口18bおよび上側流出口18cを通る流れの量がさまざまな比率で変化し得るように、下側着座位置と上側着座位置の間で、弁体28を移動させることができるように構成されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様は、流体制御デバイス用のボンネットを備えている。このボンネットは、ほぼシリンダ形状の内面と、フランジと、突出部とを有している。かかるほぼシリンダ形状の内面は、制御部材を受けるための貫通孔を形成している。前記フランジは、アクチュエータとバルブボディとの間に結合されるように構成されている。前記突出部は、この流体制御デバイスを通過する流体の流れを導くようになっている。
【0007】
他の態様によれば、前記突出部は前記貫通孔とほぼ同軸上に並ぶように延びている。
【0008】
他の態様によれば、前記突出部は、ほぼ放物線状の断面部分を有している。
【0009】
他の態様によれば、前記突出部はほぼ円錐台状の断面部分を有している。
【0010】
さらに他の態様によれば、前記突出部は、制御部材に連結された弁体により着座されてシールを形成するように構成された外面を有している。
【0011】
さらに他の態様によれば、前記突出部は、バルブボディの中にまで少なくとも部分的に延びるように構成されている。
【0012】
さらに他の態様によれば、前記ほぼシリンダ形状の面は、パッキンを受けて制御部材をシールするためのパッキン用穴をさらに形成している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】中間位置に配設された弁体を有する、従来型の三方弁組立体を示す側断面図である。
【図2】本発明の原理に従って製造されたボンネットと、下側着座位置にある弁体とを有している、三方弁組立体を示す側断面図である。
【図3】弁体が中間位置におかれた状態の、図1の三方弁組立体を示す側横断面である。
【図4】弁体が上側着座位置におかれた状態の、図1の三方弁組立体を示す側断面図である。
【図5】他のケージ構成を有する本発明の原理に従って製造されたボンネットを備えた、三方弁組立体を示す側断面図である。
【図6】他のボンネットおよび弁体の構成を有する、本発明の原理に従って製造された三方弁を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2〜図4には、本発明の原理に従って製造され、流れを分流する用途のための三方制御弁組立体100を有する、流体制御デバイスが示されている。一般的に、前記三方制御弁組立体100は、バルブボディ110と、トリム組立体112と、アクチュエータ114(部分断面図で示されている)とを備えている。前記バルブボディ110には、流入口110aと、第一の流出口110bと、第二の流出口110cとが形成されている。後で詳述するように、前記アクチュエータ114は、矢印116により表わされ得る流体の流れを、流入口110aから、流出口110bおよび流出口110cのうちの一方または両方とに、選択的に導くために、該バルブボディ110内の一または複数の位置の間でトリム組立体112の制御部材113を移動させることができるように連結されている。
【0015】
図2〜図4を参照して、さらに三方制御弁組立体100の一つの形態を詳細に説明する。上述のバルブボディ110は、流入口110aと、第一の流出口110bと、第二の流出口を110cとを有している。これに加えて、前記バルブボディ110は、下側流路118と上側流路120とを有している。この下側流路118は、バルブボディ112内の中央に配設され、流入口110a、第一の流出口110bおよび第二の流出口110cの各々を連通させるように機能する。この下側流路118は、概ねシリンダ形状をした開口部をバルブボディ110内に有し、上側シリンダ形状面118aとシリンダ形状の下面118bとを規定している。図2〜図4に記載されている形態では、前記シリンダ形状の下面118bは雌ネジ山を有している。前記上側流路120は、流入口110aとは下側流路120の真反対側に配設されている。前記上側流路120は、概ねシリンダ形状をした開口部124と、段付きの肩部126とを有している。前記開口部124および肩部126はアクチュエータ114に連結されており、このアクチュエータ114はトリム組立体112の制御部材113を駆動する。
【0016】
上述のように、前記トリム組立体112は、前記制御部材113を有し、さらに、ケージ115とボンネット117とを有している。前記ケージ115は、動作中の制御部材113の適切な位置調整を維持するよう機能する。この制御部材113は、弁棒128と、ウェブ部130と、弁体132とを有している。この弁棒128は、前記アクチュエータ114へ作用可能に連結されバルブボディ110に対して鉛直方向に沿って変位する、ほぼシリンダ形状をしたロッドを有している。詳細には図示されていないが、前記アクチュエータ114は、弁棒128を通じて制御部材114を変位させることができるいかなるタイプのアクチュエータから構成されていてもよい。例えば、前記アクチュエータ114は、ネジ駆動式のアクチュエータ、ラックとピニオン式のアクチュエータ、ダイヤフラム式のアクチュエータまたはその他のタイプのアクチュエータであってもよい。前記アクチュエータ114の下方で、弁棒128は、バルブボディ110の上側流路120をとおり抜けて、ウェブ部130で終端している。このウェブ部130は、ハブ136と、複数のウェブ138とを有している。 図4において最も分かり易く示されているように、ウェブ138は、ハブ136から半径方向外側に向けて延び、複数の開口部140を形成している。 この開口部140は、図2および図3に矢印で示されているように、弁体112を通過して流体116を流すことを可能とする。前記ウェブ138は弁体132で終端している。
【0017】
図3においてより明確に特定できるように、前記弁体132は、内面142と、外面144と、上側リム146と、下側リム148とを具備した中空のほぼシリンダ形状をした部材から構成されている。 この上側リム146と下側のリム148は、前記弁体132の上側開放端部および下側開放端部を形成している。 前記上側リム146は上側面146aと円錐台形状の面146bとを有しており、これらの面は図3において明らかにされている。前記上側リム146の円錐台形状の面146bは、前記外面144の内側に配設され、上側面146aから内面142に向けて先細になっている。同様に、前記下側リム148は、下側面148aと円錐台形状の面148bとを有している。 この下側リム148の円錐台形状の面148bは、内面142の外側に配設され、外面144から下側面148aに向かって先細になっている。
【0018】
前記ケージ115は、中空の概ねシリンダ形状をした部材で構成されており、この中空の概ねシリンダ形状をした部材は、上述のように、前記制御部材113、さらに詳細には弁体132を摺動可能に受容するようになっている。 前記ケージ115は、上部150と、下部152と、複数のケージ窓部154とを有している。 これらのケージ窓部154は、前記上部150と下部152との間に形成されている。 後でより詳細に説明されるように、前記ケージ窓部154により、流体は、第一の流出口110bおよび第二の流出口110cに対する弁体132の位置に応じて、弁体132を通り抜けて流れることができるようになっている。 前記ケージ115の上部150は、外面150aと内面150bとを有している。 前記外面150aは、前記バルブボディ110の下側流路118の上側シリンダ形状面118aとシール状態で係合している。 前記上部150の内面150bは、弁体132と軸方向に沿って一直線上に並ぶ配置を維持するべく補助するように、前記制御部材113の弁体132と摺動可能な状態になっている。 前記ケージ115の下部152は、外面152aと内面152bとを有している。 この内面152bは、円錐台形状の着座面153を有している。 後でより詳細に説明されるように、この円錐台形状の着座面153は、弁体132の下側リム148の円錐台形状の面148bに当接されるように構成されている。 前記外面152aは、バルブボディ110の下側流路118のシリンダ形状をした下面118aの雌ネジ山121と係合するための、雄ネジ山を有している。この螺合により、前記ケージ115がバルブボディ110内に固定され、このことにより、前記制御部材114が、ボンネット117を含むトリム組立体112のその他の部分に対して、移動可能となっている。
【0019】
図4に、より分かり易く表されているように、前記ボンネット117は、上側シリンダ形状部158と下側湾曲部160と外周フランジ部162とを備えた、一体状の部材である。 このボンネット117には、相互に連通するネジ切りされた穴164と、パッキン用の穴166と、貫通孔168とが形成されている。 前記ネジ切りされた穴164は、上側シリンダ形状部158に配設されている。 前記パッキン用穴166および貫通孔168は、下側湾曲部160に配置されている。 前記制御部材113の弁棒128は、ウェブ部130からボンネット117を通りアクチュエータ114まで延びている。 前記パッキン用穴166は、パッキン170を収納しており、このパッキン170はバルブボディ110内の流体116がボンネット117を通ってアクチュエータ114まで漏洩しないように弁棒128のまわりにシールを形成している。 前記ネジ切りされた穴166は、パッキン用穴168内にパッキン170を保持するために、ネジ切りされた穴166に螺合するパッキン用ナット172を受容するようになっている。
【0020】
前記ボンネット117の下側湾曲部160は、外側着座面174により形成される断面が放物線形状の突出部を有している。 この下側湾曲部160は、上側流路120を越えてバルブボディ110の中まで延びている。 図4に示されているように、外側着座面174は、前記弁体132の上側リム146上の円錐台形状の面146bに、より当接されるように構成されている。このことは、制御弁組立体100の動作に関連させて、より詳細に述べる。
【0021】
詳細に述べれば、動作中、前記アクチュエータ114は、弁棒128および弁体132を含む制御部材112を、バルブボディ110、ケージ115およびボンネット117に対して変位させ、流体116の流量を制御するように動作可能となっている。前記アクチュエータ114は、前記制御部材113を図2に示されている下側着座位置、図3に示されている中間位置、および図4に示されている上側着座位置の間で移動させるように、動作可能となっている。 図2に示されている下側着座位置では、前記弁体132の下側リム148上の円錐台形状の面148bは、前記ケージ115の下部152上の円錐台形状の着座面153とシール状態を形成するように係合している。 ここに記載する形態では、前記弁体132の下側リム148の円錐台形状の面148bと、前記ケージ115上の円錐台形状の着座面153とは、ほぼ平行に配置されている。したがって、リム148およびケージ115はほぼ二次元の流体密封シールを形成する。したがって、この位置では、弁体132は、第一の流出口110bへの流体116の流れを妨げる。したがって、図2において矢印で表されているいるように、流体116は、前記流入口110aに流入し、前記ウェブ部130の開口部140を通り抜けて中空の弁体132を通り、前記上側リム146を越え、流出口110cから外方へと流出してゆく。 流体116は、前記上側リム146を通り抜けると、前記ボンネット117の下側湾曲部160から離れて曲がり、前記第二の流出口110cの中へ、流れに沿って分散していく。したがって、前記ボンネット117の下側湾曲部160は、その流れ経路に沿って流体116の流れを制御し、第二の流出口110cの中へと、導く働きをしている。
【0022】
これに代えて、図4に示されているように、制御部材114が上側着座位置にある場合、弁体132の上側リム146上の円錐台形状の面146bは、ボンネット117の下側湾曲部160の外側着座面174とシール状態を形成するように係合している。 前記下側湾曲部160の放物線状の断面形状によって、外側着座面174とリム146との間にシール状態を形成する係合が、最適化におこなわれる。ここに記載の形態では、前記外側着座面174は、係合点において上側リム146上の円錐台形状の面146bとほぼ平行に配設されている。したがって、リム146およびボンネット117は、ほぼ二次元の流体密封シールを形成する。したがって、この位置では、前記弁体132は、前記ボンネット117との間にシールを形成し、前記第二の流出口110bへの流体116の流れを妨げる。これに加えて、前記弁体132がケージ窓部154の上方に少なくとも部分的に上昇することによって、流体116が、前記ケージ115の下部152を通り、ケージ窓部154の少なくとも一つを通り、前記第一の流出口110bの中へと導かれるようになっている。
【0023】
前記弁体132の下側リム148が、ケージ115上の円錐台形状の着座面153とシール状態を形成するよう接合するように構成された円錐台形状の着座面148bを有する形態のものとして開示され、前記上側リム146bがボンネット117の外側着座面174をシール状態を形成するよう接合するように構成された円錐台形状の着座面146bを有している形態のものとして開示されているが、弁組立体100にかかる他の形態としては円錐台形状の面を有していなくともよい。 例えば、一つの他の形態としては、軸方向の端部面146a、148aのみを有したリム146、148を備えたものであってもよい。このように構成すると、前記リム146および148がそれぞれ対応するボンネット117およびケージ115の円錐台形状の着座面153に対して、リングシールを形成することになる。このようなリングシールは、実質的に一次元であり得る。 他の形態では、リム146、148は、ボンネット117およびケージ115とシール状態を形成するよう係合するように構成された球状の面を有しているものであってもよいし、または、与えられた用途に対して望むように流体を導くために、上述の構成部品の間に一次元または二次元のシールを形成することができる、その他のいかなる形状を有するようなものであってよい。
【0024】
図3には、図4に示されている上側着座位置と、図2に示されている下側着座位置との間に位置する中間の位置におかれた制御部材113が示されている。この中間の着座位置では、前記上側リム146および下側リム148は、それぞれ対応して、ボンネット117の外側着座面174およびケージ115の円錐台形状の着座面153から離脱している。従って、流体116が流入口110aに流入すると、その一部は、ウェブ部130の開口部140を通り抜け、中空の弁体132を通り、上側リム146を越え、第二の流出口110cから外へ流出してゆく。 図2に関して上述したのと同様に、流体116は、前記上側リム146を通り抜けると、前記ボンネット117の下側湾曲部160から離れて曲がり、前記第二の流出口110cの中へ流れに沿って分散してゆく。 流体116のその他のは、ケージ115の下部152を通り、ケージ窓部154の少なくとも一つを通り、第一の流出口110bの中へと流れる。 このボンネット117に対する弁体132の位置、さらに詳細にいえば弁体132の上側リム146の位置により、第二の流出口110cの中に流れ込む流体116の量が制御されることになる。同様に、ケージ115の円錐台形状の着座面153に対する弁体132の位置、さらに詳細には弁体132の下側リム148の位置により、ケージ窓115を通り、第一の流出口110bの中へ流れ込む流体116の量が制御される。
【0025】
図5には、本発明の原理に従って製造された、三方弁組立体200の他の形態が示されている。 かかる三方弁組立体200は、図2〜図4に関して先に述べた三方弁組立体100とほぼ同じであるので、同様の構成部品は同様の参照番号に100を加えた番号で表す。
【0026】
この三方弁組立体200は、バルブボディ210と、トリム組立体212と、アクチュエータ214とを備えている。 図5に示されている三方弁組立体200の形態と図2〜図4に示されている三方弁組立体との間の主要な差は、トリム組立体212およびバルブボディ210の連携動作および構成であるので、これらの構成部品の詳細な説明のみを述べる。
【0027】
かかるバルブボディ210は、流入口210aと、第一の流出口210bと、第二の流出口210cとを有している。これに加えて、バルブボディ210は、下側流路218と、上側流路220とを有している。 前記下側流路218は、バルブボディ212内の中央に配設され、流入口210aと、第一の流出口210bと、第二の流出口210cとの間の連通を可能にしている。 この下側流路218は、シリンダ形状の上面218aおよびシリンダ形状の下面218bを形成するバルブボディ210内の、概ねシリンダ形状をした開口部を有している。 図5に示されている形態では、シリンダ形状をした上面218aは雌ネジ山を有している。
【0028】
トリム組立体212は、制御部材213と、ケージ215と、ボンネット217とを有している。 この制御部材213およびボンネット217は、上述の制御部材113およびボンネット117と同一である。 前記ケージ215は、前記制御部材213を摺動可能に受容する中空の概ねシリンダ形状をした部材を有している。 このケージ215は、上部250と、下部252と、複数のケージ窓部254とを有している。 ケージ窓部254は、上部250と下部252との間に形成されている。 これらのケージ窓部254により、流体が流入口210aと第一の流出口210bとの間を流れることが可能となっている。 前記ケージ215の下部252は、外面252aと内面252bとを有している。この内面252bは、図2〜図4に記載され示された円錐台形状の着座面と同一の円錐台形状の着座面253を有している。 このケージ215の上部250は、外面250aと内面250bとを有している。この内面250bは、制御部材と軸方向に沿って一直線上に並ぶ配置を維持するように補助すべく、制御部材214と摺動可能に係合するようになっている。 前記外面250aは、バルブボディ210の下側流路218のシリンダ形状をした上面218bの雌ネジ山と係合するための、雄ネジ山を有している。この螺合により前記ケージ215がバルブボディ210内に固定され、このことにより、前記制御部材214がボンネット217を含むトリム組立体212のその他の部分に対して移動可能となる。したがって、明らかなように、かかる三方弁組立体200は、組み立てた後、上述の三方弁組立体100と実質的に同様に動作するので、これ以上の説明は行わない。
【0029】
図6は、本発明の原理に基づく、三方弁組立体300の他の形態を示す部分断断面図である。この三方弁組立体300は、バルブボディ310とトリム組立体312とを備えている。 図6に示されている三方弁組立体300は、明らかにアクチュエータを備えていないが、言うまでもなく、この三方弁組立体300は、任意の所望の用途に適応することができるように、いかなるタイプのアクチュエータとも結合できるように、構成されてよい。
【0030】
上述のように、この三方弁組立体300は、バルブボディ310とトリム組立体312とを有している。 前記バルブボディ310は、流入口310aと、第一の流出口31Obと、第二の流出口310cとを有している。これに加えて、前記バルブボディ310は下側流路318と上側流路320とを有している。この下側流路318は、前記バルブボディ312内の中央に配設され、流入口310aと、第一の流出口310bと、第二の流出口310cとの間の連通を可能なものとしている。前記下側流路318は、シリンダ形状をした上面318aおよびシリンダ形状をした下面318bを形成するバルブボディ310内の概ねシリンダ形状をした開口部を有している。 図6に図示されている形態では、シリンダ形状をした下面318bは、リップ部319と肩部321とを備えている。このリップ319は、下側流路318のシリンダ形状の下面318bの半径方向内側に向けて延びている。
【0031】
上述のトリム組立体と同様に、トリム組立体312は、制御部材313と、ケージ315と、ボンネット317とを備えている。 前記制御部材313は、弁棒323とウェブ部330と弁体332とを有する一体状の本体を備えている。 前記弁棒323は、アクチュエータ(図示せず)に駆動可能に結合されるように構成された、細長いほぼシリンダ形状のロッドの形態をしている。 前記ウェブ部330は、複数の開口部340を形成する複数のウェブ338を有している。かかるウェブ338は、弁棒323と弁体323との間で半径方向に沿って延びている。 前記弁体323は、ケージ315内に摺動可能に配設され、図2〜図4に関して前述した形態と同様の形態で、三方弁組立体300を流れる流体の流れを、制御するようになっている。さらに詳細に言えば、弁体332と、ウェブ部330のウェブ338間の開口部340とが一緒になって、流体の流れを制御するように構成されている。 前記弁体323は、上側リム346と下側リム348とを有したほぼシリンダ形状をした本体を備えている。 図2〜図5に関して上述した弁体132、232と同様に、弁体323の上側リム346が円錐台形状の内面346bを有し、下側リム348が外側円錐台形状の面348bを有している。 上述のように、円錐台形状の内面346bおよび外側円錐台形状の面348bは、それぞれ対応して、ボンネット317およびケージ315をシール状態を形成するように係合するべく構成されている。
【0032】
図6の断面図に示されているように、ウェブ338はかなり複雑な幾何学形状を有することによって、かなり複雑な幾何学形状を有する開口部340を形成しており、図示されている形態で、これらの幾何学形状は、そこを流れる流体の流れを制御するように構成されている。詳細にいえば、ウェブ338、すなわち開口部340は、流体の流れを流線型にすることにより効率的な三方弁組立体300を実現するように構成されている。各ウェブ338は、内周部338aと外周部338bとを有している。 この内周部338aは、弁棒323に一体状に連結されている。 前記外周部338bは、弁体323に一体状に連結されている。 前記内周部338aは、外周部338bの軸方向の寸法より著しく小さな軸方向の寸法を有している。したがって、図6に示されているように、各ウェブ338は、上面341および下面343により部分的に形成された概ね三角形状をした縦断面を有している。 前記上面341は、隣接するウェブ338の間に円周方向に延びる凹面を有している。 前記下面343は、隣接するウェブ338の間に延びる部分円錐台形状の面を有している。したがって、ウェブ338は、弁棒323、弁体332ならびにウェブ338の上面341および下面343の間に形成される、概ね三角形状をした縦断面を有しているような開口部340を形成している。したがって、特筆すべき点は、凹面ならびに円錐台形状の上面341および下面343のそれぞれ対応する角度により、干渉が削減され層流が促進されて、制御部材313を流れる流体の流れが良好なものとなるということである。
【0033】
同様に、ボンネット317は、バルブボディ310を流れる流体の流れを制御するように構成されている。このボンネット317は、上側シリンダ形状部358、下側湾曲部360および外周フランジ部362を有する一体状の部材である。制御部材313の弁棒323は、ウェブ部330から前記ボンネット317を通りアクチュエータ(図示せず)にまで延びている。このアクチュエータは上側シリンダ形状部358に対向する位置に設けられている。部分断面図で示されているが、上側シリンダ形状部358は、ボンネット317内にパッキンを保持するためにパッキンナットを螺合するように構成されているという点において、上述のものと同様である。
【0034】
前記ボンネット317の下側湾曲部360は、外側着座面374を有する突出部を備えている。 この外側着座面374は、上部374aと、中間部374bと、端部374cと、端面374dとを有している。この上部374aはほぼシリンダ形状である。前記中間部374bは、ほぼ円錐台状で、前記上部374aから端部374cの方向に向かって先細になっている。また、前記端部374cは、ほぼ円錐台で、中間部374bから端面374dに向かって先細になっている。前記中間部374bは、端部374cが先細になる角度よりも小さな角度で先細になっている。したがって、上述の外側着座面374の形状により形成される下側湾曲部360の断面は、おおむね放物線形状を示すことになる。しかしながら、この断面は、直線的に先細になってゆく部分から構成される。したがって、動作中、弁体323の上側リム346上の円錐台形状の内面346bは、ボンネット317の着座面374と選択的にシール状態を形成するように接合することができる。さらに詳細に述べると、図6には、円錐台形状の内面346bが着座面374の中間部374bとシール状態を形成するように接合してそれとの間に実質的に二次元のシールを形成していることが示されている。
【0035】
しかしながら、前記弁体332がボンネット317から離れると、流体は、流入口310aの中に流入し、制御部材313のウェブ部330を通り、流出口310cへと抜けてゆく。この流体は、前記バルブボディ332の上側リム346を通り抜けるとき、着座面の374から離れて曲がる。ボンネット317の着座面374の概ね湾曲形状部により、流れに対して概ね平行になっている偏向面を提供することで、流体の流れを流線型にする補助をしている。このことにより、干渉が削減され、層流が促進され、効率的な三方弁組立体300が実現される。
【0036】
上述の弁組立体100、200と同様に、図6に記載の三方弁組立体300のケージ315は、制御部材313と軸方向に沿って一直線上に並ぶ配置を維持するように補助すべく、弁体323を摺動可能に受容するようになっている。さらに詳細にいえば、ケージ315は、上部350、下部352および複数のケージ窓部354を有する中空状の概ねシリンダ形状の部材を備えている。このケージ窓部354は、上部350と下部352との間に形成されている。これらのケージ窓部354により、流体が流入口310aと第一の流出口310bとの間を流れることが可能となっている。 前記ケージ115の下部352は、外面352aと内面352bとを有している。 前記内面352bは着座面353を有している。 前記外面352aは環状の凹部355とフランジ357とを有している。環状の凹部355は、バルブボディ310の下側流路318のシリンダ形状の下面318b上のリップ319を受けるようになっている。 前記フランジ357は、バルブボディ310の下側流路318のシリンダ形状の下面318b上で肩部321と軸方向にそって係合するようになっている。 環状の凹部355とリップ319との間の係合および肩部321とフランジ357との間の係合により、下側流路318内にケージ315が固定されている。
【0037】
前記ケージ315の上部350は、外面350aと内面350bとを有している。内面350bは、制御部材と軸方向に沿って一直線上に並ぶ配置を維持するように補助すべく制御部材313と摺動可能に係合している。外面350aは、下側流路318のシリンダ形状の上面318aとシール状態を形成するように係合している。したがって、明らかなように、図6に示されている三方弁組立体300は、組み立てたあと、上述の三方弁組立体100、200と実質的に同様に動作するので、さらなる説明は行わないこととする。
【0038】
言うまでもなく、上記に記載された弁組立体のさまざまな形態の詳細な説明は例示することを意図したものであり、本発明は、前記した記載の形態に限定されることを意図したものでなく、記載の形態に対するさらなる変形を含むものである。たとえば、上記に記載された三方弁組立体の形態が概ね放物線状に形成されたボンネットを有するものとして開示されているが、三方弁組立体の他の形態は、本発明の原理に属する半球状のボンネット、異形形状のボンネットまたはその他の幾何学形状のボンネットを有するものであってもよい、さらに、図2〜図5に示されている形態が、バルブボディ110および215にそれぞれ対応して螺合されるケージ115および215を有するものとして開示されているが、これらの弁組立体100、200の他の形態は、本発明の原理に属する、図6に関して図示および記載した係合に類似するスナップばめにより、または、接着剤、締まりばめもしくはその他のデバイスにより、バルブボディ110、210に結合されるケージ115、215を有していてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体制御デバイスのためのボンネットであって、
制御部材を受容するための貫通孔が形成されたほぼシリンダ形状をした内面と、
アクチュエータとバルブボディとの間が連結されるように構成されたフランジと、
前記流体制御デバイスを流れる流体の流れを導くための突出部と、
を備えた、ボンネット。
【請求項2】
前記突出部が前記貫通孔とほぼ同軸上に並んで延びている、請求項1記載のボンネット。
【請求項3】
前記突出部がほぼ放物線状をした断面部分を有している、請求項1記載のボンネット。
【請求項4】
前記突出部がほぼ円錐台状の断面部分を有している、請求項1記載のボンネット。
【請求項5】
前記突出部が、前記制御部材に連結された弁体を受容してシールを形成するように構成された、外面を有している、請求項1記載のボンネット。
【請求項6】
前記突出部が少なくとも部分的に前記バルブボディの中にまで延びるように構成されている、請求項1記載のボンネット。
【請求項7】
前記ほぼシリンダ形状をした面が、パッキンを受容して前記制御部材をシールするためのパッキン用穴を、さらに形成している、請求項1記載のボンネット。
【請求項8】
流体制御デバイスであって、
流体のための流路が形成されたバルブボディと、
前記バルブボディ内に配設され、少なくとも第一の位置と第二の位置との間で変位するように構成された制御部材と、
前記バルブボディに結合され、前記流路の中にまで延び、前記制御部材が前記第一の位置と前記第二の位置との間に配置されたとき、前記流路に沿って流れる流体のうちの少なくとも一部を導くように構成されたボンネットと、
を備えている流体制御デバイス。
【請求項9】
前記ボンネットに、前記制御部材の一部を摺動可能に受ける貫通孔が形成されている、請求項8記載の流体制御デバイス。
【請求項10】
前記ボンネット内の前記貫通孔が、パッキンを受けて前記制御部材をシールするためのパッキン用穴を有している、請求項9記載の流体制御デバイス。
【請求項11】
前記ボンネットは、前記制御部材が前記第二の位置に置かれたとき、前記制御部材によりシール状態を形成するよう当接されるように構成された着座面を有する、請求項8記載の流体制御デバイス。
【請求項12】
前記ボンネットが前記着座面を形成する突出部を有しており、該突出部が前記バルブボディの中にまで少なくとも部分的に延びている、請求項9記載の流体制御デバイス。
【請求項13】
前記突出部がほぼ放物線状の断面部分を有している、請求項12記載の流体制御デバイス。
【請求項14】
前記突出部がほぼ円錐台状の断面部分を有している、請求項12記載の流体制御デバイス。
【請求項15】
前記制御部材が、前記バルブボディ内に摺動可能に配設される弁体を有しており、該弁体は、前記制御部材が前記第二の位置におかれているとき、前記ボンネットの前記着座面にシール状態を形成するよう当接するように構成されている、請求項8記載の流体制御デバイス。
【請求項16】
前記バルブボディ内に固定され、前記弁体を摺動可能に導くケージをさらに備えている、請求項15記載の流体制御デバイス。
【請求項17】
前記ケージは、前記制御部材が少なくとも前記第二の位置におかれているとき、前記バルブボディを流体が流れることを可能とする少なくとも一つのケージ窓部を有している、請求項16に記載の流体制御デバイス。
【請求項18】
前記弁体は、前記制御部材が少なくとも前記第一の位置におかれているとき、前記弁体を流体が流れることを可能とする弁体開口部が形成されたウェブ付き弁体を有している、請求項16記載の流体制御デバイス。
【請求項19】
流体制御デバイスであって、
流体のための流路が形成されたバルブボディと、
前記バルブボディに配置され、少なくとも第一の位置と第二の位置との間で変位するように構成された制御部材と、
前記バルブボディに連結され、突出部が形成された一体状のボンネットとを備えており、
前記突出部は、少なくとも部分的に前記流路の中にまで延び、前記制御部材が前記第一の位置と前記第二の位置との間におかれたとき、前記流路に沿って流れる流体のうちの少なくとも一部を導くように構成されている、流体制御デバイス。
【請求項20】
前記突出部がほぼ放物線状の断面部分を有している、請求項19記載の流体制御デバイス。
【請求項21】
前記突出部がほぼ円錐台状の断面部分を有している、請求項19記載の流体制御デバイス。
【請求項22】
前記ボンネットには、前記制御部材の一部を摺動可能に受ける貫通孔が形成されている、請求項19記載の流体制御デバイス。
【請求項23】
前記ボンネット内の前記貫通孔が、パッキンを受けて前記制御部材をシールするためのパッキン用穴を有している、請求項22記載の流体制御デバイス。
【請求項24】
前記突出部は、前記制御部材が前記第二の位置におかれているとき、前記制御部材によりシール状態を形成するよう当接されるように構成された着座面を形成している、請求項19記載の流体制御デバイス。
【請求項25】
前記制御部材が前記バルブボディ内に摺動可能に配設される弁体を有しており、該弁体は、前記制御部材が前記第二の位置におかれているとき、前記突出部の前記着座面にシール状態を形成するよう当接するように構成されている、請求項24記載の流体制御デバイス。
【請求項26】
前記バルブボディ内に固定され、前記弁体を摺動可能に導くケージをさらに備えている、請求項25記載の流体制御デバイス。
【請求項27】
前記ケージは、前記制御部材が少なくとも前記第二の位置におかれているとき、前記バルブボディをながれる流体の流れを可能とする少なくとも一つのケージ窓部を有している、請求項26記載の流体制御デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−502912(P2010−502912A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526793(P2009−526793)
【出願日】平成19年8月10日(2007.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/075720
【国際公開番号】WO2008/030686
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(591055436)フィッシャー コントロールズ インターナショナル リミテッド ライアビリティー カンパニー (183)
【Fターム(参考)】