説明

三次元ゲーム装置及び情報記憶媒体

【課題】仮想三次元ゲーム空間内でのオブジェクトの姿勢や方向の把握を容易に行うこと。
【解決手段】プレーヤの操作するゲーム用操作手段と、操作手段からの入力信号及び所定のプログラムに基づき、仮想三次元空間内を移動するオブジェクトの移動及び姿勢の制御並びに三次元空間内のオブジェクトの視界情報を演算の少なくともいずれか一つを行うゲーム演算手段とを含み、仮想三次元ゲーム空間のゲーム画面をディスプレイ上に表示する三次元ゲーム装置であって、ゲーム演算手段は、オブジェクトの移動及び姿勢、視界情報の少なくともいずれか一つを演算し、三次元空間内でのオブジェクトの移動及び姿勢、視界情報に関する演算結果を反映させ、直線及び曲線の形で表示する姿勢方向表示手段を含み、オブジェクトの移動方向や姿勢を直線及び曲線を用いて表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元空間を移動するゲ−ムにおける視界方向と移動オブジェクトの姿勢把握に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想三次元空間内を移動し、ディスプレイ上に表示されるゲーム画面を見ながら、プレーヤが戦闘機をはじめとした様々な種類の移動体を操作するゲーム装置が知られている。
【0003】
ここ近年、このようなゲーム装置も技術の発展に伴い、より複雑で高度なゲーム設定や操作方法が必要となってきている。本出願人は、種々の航空機等をはじめとした様々な移動体の機能や行動をより高度に再現したゲーム装置の開発を行っている。
【0004】
このようなゲーム装置では高度になればなるほどそれに伴い、移動体の移動に伴う情報を数多く表示する必要が発生してきている。特に、三次元空間内を移動する航空機を操作するゲームにおいては、プレーヤが操作する航空機の高度や方位、航空機の地平線に対しての傾き、攻撃目標に対する距離、敵機に対する照準の設定、武器の残数等多種多様の表示が行われていた。
【0005】
とりわけ、三次元空間内での水平方向や空間内での視線方向及び傾き方向を把握するためには方位や傾き方向および傾き角度等を示す複数の表示物が必要であり、それに伴い画像レイアウトが複雑になり、またそれらの表示物の表示から直感的に移動体の視線方向や傾き方向を把握することが難しかった。
【0006】
図8は、従来の三次元空間を移動するゲ−ム(例えば非特許文献1)における視線方向と姿勢把握の表示方式を示した図である。図8は1人称視点の場合(コクピット視点)で、方位計1は移動体の方位を把握するための目盛りであって、例えば、NEは北東を、NNEは北北東を、ENEは東北東をそれぞれ示している。この目盛りにより、移動体は自分が向かっている方位を知ることができる。また、図の中央に示す円2内の目盛りは、移動体の傾きを把握するためのものであって、円中央の水平線2aは移動体の水平基準線を示している。ピッチ対照線2bは、移動体の傾きに合わせて動き、それに伴い傾き等を示す数値等が変化し、移動体の水平線2aと合わせて見ることによってピッチ角(上下の傾き角度)を確認できる。ピッチ対照線2bの左右にある数字はそれぞれ角度を示している。このように、操縦者は移動体の操縦をする場合、方位計1、水平線2a、ピッチ対照線2bなど方位・上下方向の角度を示す複数の表示物を見ながら操縦しなければならない。特に、戦闘機や潜水艦を使ったバトルゲ−ムの場合には、自機ないしは自艦の視線方向や姿勢把握が瞬時にできなければ、敵機を撃墜したり、敵艦を撃沈したりすることができず、また敵から容易に逃れることもできない。一方、図9は3人称視点(ビハインドビュー視点)の場合を示した図で、画像情報として移動体の方位は、1人称視点と比較すると方位計1が表示されていないので分からない。また、移動体の傾きは、表示画面に表示されている全体の風景から把握するしかなかった。
【0007】
【非特許文献1】ファイティングスタジオ編著,「プレイステーション完璧攻略法シリーズ6 エースコンバット 必勝攻略法」,株式会社双葉社,1995年7月31日第1刷発行,第6〜14頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、以上のような従来のゲーム装置の持つ課題に鑑みてその目的とするところは移動オブジェクトの移動方向や姿勢、視界方向の把握を容易に行うことを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、プレーヤが移動体の操作を行うゲーム用操作手段と、前記操作手段からの入力信号及び所定のプログラムに基づき、仮想三次元空間内を移動するオブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つを演算するゲーム演算手段とを含み、前記仮想三次元ゲーム空間のゲーム画面をディスプレイ上に表示する三次元ゲーム装置において、前記ゲーム演算手段は、オブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つを演算して、三次元空間内での移動及び姿勢、視界情報のいずれか一つを演算して、結果を反映させて直線及び曲線の形で表示する姿勢方向表示手段を含み、オブジェクトの移動方向や姿勢、もしくは視界情報の少なくともいずれか一つを直線及び曲線を用いて表示する三次元ゲーム装置である。
【0010】
また、姿勢方向表示手段が、移動体の移動方向や傾き、視界等のいずれか一つを演算した結果を反映する形で直線や曲線を用いて表示することとしてもよい。
【0011】
フライトシミュレータを例に取ってみると、機体の傾き情報や、機体の進行方向の情報を直線や曲線で表示する。特に機体の傾き情報を表示する場合、プレーヤに入力された機体の傾きデータを数値で持ち、その数値データをもとにゲーム演算手段により、直線の表示を行う。例えば、機体の傾きが大きければ、その値を反映する形で直線または曲線の表示を行う。
【0012】
今までのゲームにおいては、こういった機体の傾き情報等はゲーム画面上に数値で表示されプレーヤがプレイしている情報を瞬時に判別することは出来なかった。
【0013】
第1の発明等によれば、姿勢方向表示手段が、過去のゲームでは数値で表示して認識することが当然と思われていた情報を、線または曲線で表示することにより感覚的にプレーヤに認識させることができる。
【0014】
第2の発明は、第1の発明の三次元ゲーム装置において、姿勢方向表示手段がプレーヤが操作する移動体の移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つを演算する手段を含み、移動方向もしくは姿勢方向、もしくはその全てに対応した演算結果を直線及び曲線の形状を変形させて表示させる手段を持っている三次元ゲーム装置である。
【0015】
フライトシミュレータを例にとってみると、機体の傾き情報や機体の進行方向の情報を直線や曲線で表示する。特に機体の傾き情報を表示する場合、プレーヤに入力された機体の傾きデータを数値で持ち、その数値データをもとにゲーム演算手段により直線の表示を行う。
【0016】
この発明においては、ゲーム演算手段は、ゲームの進行もしくはプレーヤの操作に応じてリアルタイムに線の表示を行うこととしてもよい。その結果、機体の傾きに応じて直線が順次変化して表示される。
【0017】
例えば、機体が水平状態から上昇状態に移動していく場合、水平時に機体の傾きはないため、線は直線で表示される。しかし、機体が上昇するにつれて機体の傾きを反映して、直線の中心部が徐々に曲線を描きながら膨らんで直線が変形して表示される。
【0018】
また、同様に機体の左右方向の傾き方向に応じて、線を左右に傾かせながら、機体の上下方向に線を変形させて表示させることも可能である。
【0019】
第3の発明は、第1又は第2の発明の三次元ゲーム装置において、前記ゲーム演算手段が、三次元ゲーム空間内で設定された水平面と移動体の移動方向及び姿勢とがなす角度が一定の決められた範囲にあるかどうかを検知する手段を含んでいる三次元ゲーム装置である。
【0020】
前記検知手段による検知状況に応じて、姿勢方向表示手段により直線および曲線を円や多角形などの予め定められた図形に変形させる。機体を水平面に対して垂直に移動させるような場合、移動体の移動方向や姿勢方向と三次元ゲーム空間内で設定された水平面が一定の角度に達したことを判断した場合、姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線を検知状況に応じて変化させる。
【0021】
フライトシミュレータを例に取ってみると、前述したように水平から上昇する際の線の変形処理が行われ、機体と水平面が垂直になった場合で、垂直上昇が行われた垂直上昇の場合には、直線から線の表示を円に切り替える。
【0022】
また、垂直下降の場合は四角形、きりもみ垂直下降の場合は四角形を回転させながら表示させる。このようにすることにより機体の進行方向や姿勢方向をより直感的、感覚的にプレーヤが操作している状況を把握させることが可能となる。
【0023】
第4の発明は、第1〜第3の何れかの発明の三次元ゲーム装置において、円又は直線の描画時に、検知状況に応じて徐々に段階を追って変化させる三次元ゲーム装置である。
【0024】
具体的には、垂直上昇の場合には円、垂直下降の場合は四角形、きりもみ垂直下降の場合は四角形を回転させながら徐々に別の図形に変形させたり、もしくは表示された図形を扁平させて表示する。
【0025】
このようにすることにより機体の進行方向や姿勢方向、視界方向の少なくともいずれか一つをより直感的、感覚的にプレーヤが操作している状況を把握しやすくすることが可能となる。
【0026】
第5の発明は、第1〜第4の何れかの発明の三次元ゲーム装置において、オブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報のいずれか一つを演算する手段を含み、ここで演算された値もしくはゲームに関連する情報を姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線に付随して、その表示の傍らにその変化を具体的に示す簡略化された図形、もしくは文字を付随させて表示することにより機体の進行方向や姿勢方向の少なくともいずれか一つをより直感的、感覚的にかつ正確にプレーヤが操作している状況を把握させる三次元ゲーム装置である。
【0027】
例えば、機体が上昇するとそれに伴い機体の高度の値、また左右に傾く場合には、その傾きの数値の値等が変化する。それらの数値の変化は、本発明では姿勢方向指示手段により直線または曲線で表現される。これらの直線又は曲線の表示では、具体的な数値でのオブジェクトの移動方向または姿勢方向を示していない。
【0028】
そこで姿勢方向指示手段により表示される直線または曲線に付加して、同手段により図形や文字を添付し、機体の変化に伴ってそれらの数値を変化させて表示させる。
【0029】
このようにすることによりオブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つの情報から直感的、感覚的、かつ正確にプレーヤが操作している状況を把握しやすくすることが可能となる。
【0030】
第6の発明は、第1〜第5の何れかの発明の三次元ゲーム装置において、オブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つを演算する手段を含み、ここで演算された値もしくはゲームに関連する情報を姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線に反映させ、直線及び曲線の色彩を変化させ機体の進行方向や姿勢方向、視界方向の少なくともいずれか一つを直感的、感覚的にかつ正確にプレーヤが操作している状況を把握させる三次元ゲーム装置である。
【0031】
例えば、機体が上昇するとそれに伴い機体の高度の値、また左右に傾く場合にはその傾きの数値の値等が変化する。それらの数値の変化は、本発明では姿勢方向指示手段により直線または曲線で表現される。これらの直線又は曲線の表示では、オブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報が表示されるが、その他の機体の置かれている状況については、第5の発明の形で表示を行っている。
【0032】
さらに、直線もしくは曲線の表示の色彩を変化させることにより機体の置かれている状況を認識させる。
【0033】
例えば、敵戦闘機が自機の周囲に襲来したとき、もしくは機体の傾きが一定の限度角度を越えると、直線もしくは曲線の表示が危険を示す色彩、黄色赤や色などに変化させて表示させる。
【0034】
このようにすることによりオブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つに加えて、その他の自機に関する状況を直感的、感覚的、かつ正確にプレーヤが操作している状況を把握しやすくすることが可能となる。
【0035】
また、第7の発明は第1〜第6の何れかの発明の三次元ゲーム装置において、姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線を表示される画面の左右に問わず上部や下部の場所に表示し、プレーヤが操作している状況を直感的、感覚的に把握させる三次元ゲーム装置である。
【0036】
プレーヤがゲームを行っている際に、自機の状態把握のために表示される直線または曲線およびそれに付随する表示情報は、通常ゲーム画面の中央部に表示される。
【0037】
しかし、ゲームの進行場面によっては、これらの表示が他の表示と重なるのなどして見づらくなることがある。
【0038】
そこで、姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線の表示を他の表示と重ならないように画面の任意の場所に、線や曲線の表示の配置を変更して表示する。
【0039】
例えば、実際には画面の中央に表示される表示を画面の右下部などに縮小して表示することにより画面の表示を見にくくすることなく、プレーヤが操作している状況を直感的、感覚的に把握させることが可能となる。
【0040】
第8の発明は、第1〜第7の何れかの発明の三次元ゲーム装置において、姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線の表示される大きさを変更することを可能にすることにより、プレーヤが操作している状況を直感的、感覚的に把握させる三次元ゲーム装置である。
【0041】
プレーヤが、ゲームを行っている際に自機の状態把握のために表示される直線または曲線およびそれに付随する表示情報は、通常ゲーム画面の中央部に表示される。
【0042】
しかし、ゲームの進行場面によっては、これらの表示が他の表示と重ねるなどして見づらくなることがある。
【0043】
そこで、姿勢方向表示手段により表示される直線及び曲線の表示を他の表示と重ならないように線の大きさを拡大もしくは縮小して大きさを変更して表示する。
【0044】
例えば、実際には画面の中央に表示される表示を縮小して表示することにより画面の表示を見にくくすることなく、プレーヤが操作している状況を直感的、感覚的に把握させることが可能となる。
【0045】
また、第6の発明と組み合わせて、大きさを変更した表示を画面の任意の場所に移動させて表示しても構わない。
【0046】
第9の発明は、第1〜第8の何れかの発明の三次元ゲーム装置において、プレーヤが操作するオブジェクト以外のオブジェクトに付随する特徴情報もしくはその相関関係を検知して表示される直線、または曲線を歪ませて変形させたり色彩を変更したり、半透明に変更したり、表示そのものを消してしまったり、表示の大きさを変更し、プレーヤが操作している状況を直感的、感覚的に把握させる三次元ゲーム装置である。
【0047】
例えば、自機が敵機と接近した状況や地面に近づいている状況、また敵機が妨害電波を発している状況などを判別手段が検知し、予め設定された状況に至ったかどうかを判別する。
【0048】
表示を変更するような状況を検知した場合、ゲーム演算手段により表示される直線または曲線の表示を、歪ませたり、色彩を変更させたり半透明に変更したり、表示そのものを消してしまったりすることにより、自機の置かれている状況を直感的、感覚的に把握させることができる。
【0049】
第10の発明は、プレーヤの操作するゲーム用操作手段と前記操作手段からの入力信号及び所定のプログラムに基づき、仮想三次元空間内を移動するオブジェクトの移動及び姿勢の制御並びに三次元ゲーム空間内のオブジェクトの視界情報を演算の少なくともいずれか一つを行うゲーム演算手段とを含み、前記仮想三次元ゲーム空間のゲーム画面をディスプレイ上に表示する三次元ゲーム装置において、前記ゲーム演算手段は、プレーヤが操作を行うオブジェクトもしくは自動的に操作されるオブジェクトと他の一つ又は複数のオブジェクトに関連付けられた、位置情報、敵味方を識別する情報、表示を妨害することを可能と判断するための情報などの様々な特徴データを定められた判断基準により判別し、その判別結果をもとに直線又は曲線の少なくともいずれか一つを表示し、その形状もしくは色彩、大きさ等を変更する三次元ゲーム装置である。
【0050】
例えば、自機が敵機と接近した状況や、地面に近づいている状況、また敵機が妨害電波を発している状況などを判別手段が検知し、予め設定された状況に至ったかどうかを判別する。
【0051】
表示を変更するような状況を検知した場合、ゲーム演算手段により表示される直線または曲線の表示を行う。さらに判別手段が検知した状況に応じて直線及び曲線の表示の変更を行う。
【0052】
具体的には、自機が敵機から妨害電波を受けている場合には、妨害電波を受けていることを示す直線もしくは曲線の表示を行い、さらに感覚的にそのことを把握させるため、線そのものの形状を波線状に表示することも出来る。
【0053】
また、自機が敵機を発見した場合には、敵機を発見したことを示す直線もしくは曲線の表示を行い、敵機が存在する方向を示すような形状に直線または曲線を変形させ、さらに危険を示す赤色や黄色等線に表示色を変更してもよい。
【0054】
第11の発明は、プレーヤが移動体の操作を行うゲーム用操作手段と前記操作手段からの入力信号及び所定のプログラムに基づき、仮想三次元空間内を移動するオブジェクトの移動及び姿勢の制御および三次元ゲーム空間内のオブジェクトの視界情報の少なくともいずれか一つを演算するゲーム演算手段とを含み、前記仮想三次元ゲーム空間のゲーム画面をディスプレイ上に表示する三次元ゲーム装置において、前記ゲーム演算手段はオブジェクトの移動及び姿勢、位置、方向、方位、視界、視点、オブジェクトに付随する情報の少なくともいずれか一つを演算し、三次元空間内での移動及び姿勢もしくは視界情報のいずれか一つを演算して、結果を反映させて直線及び曲線の形で表示する姿勢方向表示手段を含み、オブジェクトの移動方向や姿勢もしくは視界情報の少なくともいずれか一つを直線及び曲線を用いて表示する、情報記憶媒体である。
【0055】
第12の発明は、プレーヤの操作するゲーム用操作手段と前記操作手段からの入力信号及び所定のプログラムに基づき、仮想次元空間内を移動するオブジェクトの移動及び姿勢の制御および三次元ゲーム空間内のオブジェクトの視界情報を演算の少なくともいずれか一つを行うゲーム演算手段とを含み、前記仮想三次元空間のゲーム画面をディスプレイ上に表示する三次元ゲーム装置において、前記ゲーム演算手段は、オブジェクトと他の一つまたは複数のオブジェクトの持つ特徴データを判別する手段を含み、その判別結果を反映させて直線または曲線の少なくともいずれか一つを表示し、オブジェクトの特徴データに応じて、直線または曲線の表示形態を変更する、情報記憶媒体である。
【発明の効果】
【0056】
本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握の表示方式は、1本の目盛りのついた帯状の線ですべて把握できる。特に、帯状の線が直線の場合には、移動体が水平状態にあることを把握でき、その線が曲線の場合には、移動体が一定の角度を持って移動していることを把握できる。
【0057】
また、本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握の表示方式は、1本の目盛りのついた曲線または直線の変化と共に色彩で表示するので、移動体の置かれた状況を容易に判断でき、操縦者はその状況に応じて移動体を操縦することができる。
【0058】
本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握の表示方式は、移動体が上下方向の時は1本の目盛りのついた帯状の曲線または直線の変化で上下に表示し、移動体が左右方向の時はその帯状の曲線で左右に表示するので、操縦者は移動体の方位と傾きを容易に把握できる。
【0059】
さらに、本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握の表示方式は、移動体が真上もしくは真下に向かっている時は1本の目盛りのついた曲線を円形で表示するので、操縦者は移動体の方位と傾きを容易に把握できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、図面に基づいて本発明の実施例を詳細に説明する。図1は、本発明の三次元空間での位置把握をするための画像情報をディスプレイ装置に画像表示した図である。すなわち、三次元空間における移動体の視線方向と姿勢把握をするための情報を、1本の目盛りのついた帯状の線で表現する。フライトシミュレ−タ装置を実施例として説明すると、帯状の線6は、図1に示すように、ディスプレイ装置の表示画面の中央に太線で表示され、移動体の傾き(姿勢)を把握するためのものである。そして、この帯状の線6には、移動体の方位(視線方向)を把握するための目盛り7が等間隔に表示されており、Wは西を、NWは北西を、SWは南西をそれぞれ示している。その他の画像表示、例えば、速度計3、高度計4、レーダーマップ5等は従来のものと同様である。
【0061】
次に、本発明の三次元空間における移動体の視線方向と姿勢把握を画像情報として、一本の目盛りのついた帯状の線で表示する方法について説明する。図2は、自機の視線方向と姿勢把握のための表示形式を示すフローチャートである。まず、自機の姿勢を角度で求める。以下、計算式の説明などにおいて自機の姿勢を表す角度を各軸毎にangle_X、angle_Y、angle_Zと表現する。そして、描画する線のXZ座標デ−タを生成する。その計算式は、次のとおりである。
計算式:x+z=R(Rは任意の定数値)
自機の向く点は、x=R*sin(angle_y)
z=R*cos(angle_y)
次に、自機のピッチ角(X軸角)をもとに、円のY座標デ−タを生成する。その計算式は、次のとおりである。
計算式:y=f(angle_x) (f( )は、任意の関数)
このようにして求められたXYZ座標軸デ−タは、カメラの座標・角度デ−タをもとに、これら三次元座標を表示画面上の二次元座標に変換を行う。この二次元座標への変換が行われた後に、任意のパラメ−タの値により、表示する曲線の色を決める。例えば、安全に飛行している時は、緑色に、墜落しかけている時は、赤色というように、自機の置かれている状況に応じて帯状の線6の色を変えることができる。ここまでの過程が、地面に対して水平に表示される帯状の線を表示するプロセスである。そして、描く曲線の色が決められた後に、円(曲線)及び目盛りの描画処理を行なう。これらのプロセスで、自機の視線方向を把握するための目盛りと方位を表示することが行なわれる。
【0062】
図3は、本発明の三次元空間における移動体の視線方向と姿勢把握を画像情報として、1本の目盛りのついた帯状の線で表示するための基本原理を示したものである。図中左側には、それぞれ機体の姿勢を側面と背面から示している。図中中央には、三次元空間内の機体位置と視線方向を円筒形8を用いて示している。この図は、表示画面を視点8a(機体位置)を中心とした三次元座標の各軸に沿った円筒形8から考え、視線8bと底面8cとの角度及び傾きから、円筒形8の一部を底面8cと水平に帯状に切り取り、表示画面に投影している。図中右側には、表示画面に1本の目盛りのついた帯状の線を示している。この切り取った表示画面に、1本の目盛りのついた帯状の線で表示することによって、方位が把握でき、またその帯状の線の傾きや歪みから水平面との角度を把握することができる。図3(a)は、機体の姿勢に示すように、機体が底面8c(地面)に平行で、その姿勢は水平状態を示している。この場合、円筒形の三次元空間内の機体位置と視線は、機体位置8aに対して視線8bは水平状態であり、画像情報として表示画面には帯状の線6は水平に表示される。図3(b)は、機体の姿勢に示すように、機体が底面8cに平行だが、左に傾いている状態を示している。この場合、円筒形の三次元空間内の機体位置と視線は、機体位置8aに対して視線8bは水平状態であるが、画像情報として表示画面には帯状の線6は左に傾いて表示される。図3(c)は、機体の姿勢に示すように、機体が斜めに上昇している状態を示している。この場合、円筒形の三次元空間内の機体位置と視線は、機体位置8aに対して視線8bは斜め上方に向いている状態であり、画像情報として表示画面には帯状の線6は上方に向いた曲線に変化して表示される。
【0063】
図4及び図5は、本発明の三次元空間を移動するゲ−ムにおける視線方向と姿勢把握において1人称視点(コクピット視点)の場合を示した図である。図4の(a)から図5の(f)まで、いずれの図も三次元空間における視線方向と姿勢把握を1本の目盛りのついた帯状の線で表示画面に表示するものである。図4(a)は、機体が水平に飛行している状態を示している。図4(b)は、機体が上昇して飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に上向きの曲線で表示され、目盛りは内側にあるため、機体の方位と傾きは南方向(S)へ上昇して飛行している状態を示している。図4(c)は、機体が真上に向かって飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に円で表示され、目盛りは内側にあるため、機体の方位と傾きは真上へ上昇して飛行している状態を示している。図5(d)は、機体が下降して飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に下向きの曲線で表示され、目盛りは外側にあるため、機体の方位と傾きは北方向(N)へ下降して飛行している状態を示している。図5(e)は、機体が真下に向かって飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に円で表示され、目盛りは外側にあるため、機体の方位と傾きは真下に向かって飛行している状態を示している。図5(f)は、機体を傾けて飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に左向きの曲線で表示され、目盛りは外側にあるため、機体の方位と傾きは西方向(W)へ左に傾いて飛行している状態を示している。
【0064】
図6及び図7は、本発明の三次元空間を移動するゲ−ムにおける視線方向と姿勢把握において3人称視点(ビハインドビュ−視点)の場合を示した図である。図6の(a)から図7の(f)まで、いずれの図も三次元空間における視線方向と姿勢把握を1本の目盛りのついた帯状の線で表示画面に表示した図である。図6(a)は、機体が水平に飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6はディスプレイ装置の表示画面に横長の楕円形で表示され、目盛りは外側にあるため、機体の方位と傾きは北方向(N)へ水平に飛行している状態を示している。図6(b)は、機体が上昇して飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に上向きの曲線で表示され、目盛りは内側にあるため、機体の方位と傾きは北方向(N)へ上昇して飛行している状態を示している。図6(c)は、機体が真上に向かって飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に略半円で表示され、目盛りは内側にあるため、機体の方位と傾きは真上へ上昇して飛行している状態を示している。図7(d)は、機体が下降して飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に下向きの曲線で表示され、目盛りは外側にあるため、機体の方位と傾きは北方向(N)へ下降して飛行している状態を示している。図7(e)は、機体が真下に向かって飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に略半円で表示され、目盛りは外側にあるため、機体の方位と傾きは真下に向かって飛行している状態を示している。図7(f)は、機体を傾けて飛行している状態を示している。この場合、帯状の線6は表示画面に縦長の細い楕円形で表示され、目盛りは内側にあるため、機体の方位と傾きは北方向(N)へ右に傾いて飛行している状態を示している。
【0065】
このように三次元空間における視線方向と姿勢把握において、1人称視点の場合も3人称視点の場合も、ディスプレイ装置の表示画面に1本の目盛りのついた帯状の線で機体の方位と傾きを表示することが可能となる。これにより、操縦者は機体の位置を瞬時に把握できるので、敵機を撃墜することも、逆に敵機から逃れることも、また機体の方位と傾きを機体の置かれている状況から建て直すこともできる。
【0066】
以上が本発明の実施例の説明であるが、移動体は機体(戦闘機)に限られることはなく、潜水艦でも良い。いずれにしても、三次元空間を舞台とする様々な分野のゲーム(シューティングゲーム、ドライブゲーム、ロールプレイングゲーム等)やシミュレーション装置等で適用される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の三次元空間での位置把握をするための画像情報を表示した図である。
【図2】本発明における移動体の視線方向と姿勢把握のための表示方式を示すフローチャ−トである。
【図3】本発明の三次元空間における移動体の視線方向と姿勢把握のための表示方式の基本原理を示した図である。
【図4】本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握のための表示方式において、1人称視点の場合を示した図である。
【図5】本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握のための表示方式において、1人称視点の場合を示した図である。
【図6】本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握のための表示方式において、3人称視点の場合を示した図である。
【図7】本発明の三次元空間における視線方向と姿勢把握のための表示方式において、3人称視点の場合を示した図である。
【図8】従来の三次元空間を移動するゲ−ムにおける視線方向と姿勢把握の表示方式を示した図である。
【図9】従来の三次元空間を移動するゲ−ムにおける視線方向と姿勢把握の表示方式を示した図である。
【符号の説明】
【0068】
1 方位計
2 円
2a 水平線
2b ピッチ対照線
3 速度計
4 高度計
5 レーダーマップ
6 帯状の線
7 目盛り
8 円筒形
8a 機体の位置
8b 視線
8c 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
東西南北の方位が規定された仮想三次元空間内を三次元的に移動可能な移動体の移動及び姿勢を制御して、前記移動体の移動方向を視線方向とするカメラから見た前記仮想三次元空間であるゲーム空間の画像を生成して表示する三次元ゲーム装置であって、
前記視線方向に対する相対的な前記仮想三次元空間の方位を演算処理し、該演算処理した前記仮想三次元空間の方位を表す1本の線を、前記ゲーム空間の画像上に表示する制御を行う線表示制御手段を備え、
前記線表示制御手段は、前記視線方向が真上又は真下の場合に、前記線を円として表示制御することを特徴とする三次元ゲーム装置。
【請求項2】
コンピュータに、東西南北の方位が規定された仮想三次元空間内を三次元的に移動可能な移動体の移動及び姿勢を制御させて、前記移動体の移動方向を視線方向とするカメラから見た前記仮想三次元空間であるゲーム空間の画像を生成させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、
前記プログラムは、
前記視線方向に対する相対的な前記仮想三次元空間の方位を演算処理し、該演算処理した前記仮想三次元空間の方位を表す1本の線を、前記ゲーム空間の画像上に表示する制御を行う線表示制御手段として前記コンピュータを機能させるとともに、
前記線表示制御手段が、前記視線方向が真上又は真下の場合に、前記線を円として表示制御させるように前記コンピュータを機能させるためのプログラムである、
ことを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−12353(P2008−12353A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257770(P2007−257770)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【分割の表示】特願平11−147357の分割
【原出願日】平成11年5月26日(1999.5.26)
【出願人】(000134855)株式会社バンダイナムコゲームス (1,157)
【Fターム(参考)】