三次元地図作成方法および装置ならびに窓領域検出装置
【課題】二次元の地図データからは識別できないが電波伝搬に影響を与える電波障害物を識別でき、特に電波伝搬特性のシミュレーションに好適な三次元地図を作成する方法および装置ならびに窓領域検出装置を提供する。
【解決手段】本発明の三次元地図作成装置は、街並みを全方位カメラで撮影する撮影装置1と、街並み画像から平面透視投影画像を生成する画像生成部2と、対象エリアの地図データを記憶する地図データ記憶部3と、平面透視投影画像および地図データに基づいて、当該地図データのみからは識別できないが電波伝搬特性に影響を与える電波障害物として、建物の窓領域、建物の屋上に設置された看板領域および樹木領域を識別する電波障害物識別部4と、前記地図データに前記電波障害物に関する属性情報を付加して電波伝搬推定に好適な三次元地図データを作成する三次元地図作成部5とを含む。
【解決手段】本発明の三次元地図作成装置は、街並みを全方位カメラで撮影する撮影装置1と、街並み画像から平面透視投影画像を生成する画像生成部2と、対象エリアの地図データを記憶する地図データ記憶部3と、平面透視投影画像および地図データに基づいて、当該地図データのみからは識別できないが電波伝搬特性に影響を与える電波障害物として、建物の窓領域、建物の屋上に設置された看板領域および樹木領域を識別する電波障害物識別部4と、前記地図データに前記電波障害物に関する属性情報を付加して電波伝搬推定に好適な三次元地図データを作成する三次元地図作成部5とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元地図作成方法および装置ならびに窓領域検出装置に係り、特に、建物の窓、建物の屋上に設置された看板、あるいは街路樹に代表される樹木など、従来の地図データからは識別が難しいものの電波伝搬に大きな影響を及ぼす構造物を識別でき、電波伝搬推定におけるシミュレーション用に好適な三次元地図を作成する方法および装置ならびに窓領域検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PHSあるいは無線LANなどの無線通信システムでは、無線基地局から全方位に放射された電波が構造物で反射、透過、回折等を繰り返して受信点に到着し、到着した全ての電波の電界強度を加算して電界強度が算出される。非特許文献1には、無線通信システムにおいて、ある基地局の通信可能な範囲(サービスエリア)を推定するために、一の基地局から発射された電波の伝搬に関する特性を推定した電波伝搬特性推定データ(電波の軌跡、伝搬損失、受信信号強度など)をレイトレース(ray trace)法により計算する手法が開示されている。
【0003】
また、屋外の主要な道路上において各基地局からの電波の受信信号強度を推定する従来技術として、非特許文献2には、広域のエリアを対象にして複数の基地局によるカバレッジや干渉の影響を評価し、主に2次元の無線エリアを設計する携帯電話用エリア設計ツールが開示されている。具体的には、エリアの平均建物高や道路幅など、建物環境の代表的な数値を抽出し、非特許文献1の第15章に記載される統計的な手法(推定式)を用いて各基地局からの信号の強度を推定している。非特許文献2の技術では、建物データを含む地図データベースを加工して、例えば25m四方のメッシュごとに平均建物高が抽出された地図データ等が用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】細矢良雄(監修)、"電波伝搬ハンドブック"、リアライズ社、第2部 第15章 15.5、1999年
【非特許文献2】Planet EV、[平成22年5月18日検索]、インターネット<URL:http://mustafa.golam.googlepages.com/IntroductiontoPlanetEV.ppt>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電波伝搬推定では、評価対象エリアの地図データから障害物の属性情報として位置情報や高さ情報を取得し、これらの情報に基づいて電波伝搬が推定される。しかしながら、障害物がビルであっても、電波の衝突面にガラス窓が存在するか否か、ガラス窓が存在する場合にはさらに、衝突面に占めるガラス窓の割合によって反射率や透過率が異なる。しかしながら、上記の従来技術では建物のガラス窓が考慮されていなかったので、電波伝搬の推定精度が低下してしまう。
【0006】
また、建物の屋上には看板が設置されることがあり、このような看板も電波に対して障害物となる。しかしながら、このような看板は地図データには現れないので従来の電波伝搬推定では無視され、電波伝搬の推定精度が低下してしまう。
【0007】
さらに、樹木に関しても、大規模な森林であれば、その存在や位置を地図データから取得できるものの、街路樹や小規模な林などは地図データから把握できない。また、地図データから把握できたとしても、樹木の高さや葉の繁り具合は変化が大きいので、障害物として特定することが難しかった。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、地図データからは識別できないが電波伝搬に影響を与える電波障害物を識別でき、特に電波伝搬特性のシミュレーションに好適な三次元地図作成方法および装置ならびに窓領域検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0010】
(1)本発明の三次元地図作成装置は、対象エリアの地図データと、対象エリアの街並み画像を取得する手段と、地図データから認識できない電波障害物を前記街並み画像から識別する手段と、電波障害物の立体的な位置情報を前記街並み画像に基づいて算出する手段と、前記地図データおよび電波障害物の立体的な位置情報に基づいて三次元地図データを作成する三次元地図データ作成手段とを具備した。
【0011】
(2)本発明の窓領域検出装置は、街並みの平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、前記建物領域内で当該建物領域とのサイズ比が所定の条件を満足し、かつ同一形状のペアが存在する矩形領域を窓領域候補として検出する手段と、前記各窓領域候補の位置から水平方向および垂直方向へ探索し、当該窓領域候補に類似した形状の領域を窓領域に決定する手段と具備した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0013】
(1)本発明の三次元地図作成装置は、建物の窓領域、看板領域、樹木領域といった、従来の地図データからは取得できないものの電波伝搬特性を高い精度で推定するためには必要不可欠な電波障害物を地図データに登録し、これを電波伝搬特性のシミュレーションに利用できるので、電波伝搬特性を高い精度で推定できるようになる。
【0014】
(2)本発明の窓領域検出装置は、建物の平面には同一形状の窓が多数存在すること、窓は水平および垂直方向に規則的に配列されること、を利用して窓領域を検出するので、窓領域とそれ以外の壁領域等とを正確に識別できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る電波伝搬推定装置のブロック図である。
【図2】平面透視投影画像の一例を示した図である。
【図3】窓領域識別部(41)の機能ブロック図である。
【図4】窓領域の識別手順を模式的に示した図である。
【図5】窓領域の検出方法を模式的に示した図である。
【図6】看板領域識別部(42)の機能ブロック図である。
【図7】看板領域の識別手順を模式的に示した図である。
【図8】看板領域の検出方法を模式的に示した図(その1)である。
【図9】看板領域の検出方法を模式的に示した図(その2)である。
【図10】看板領域の検出手順を示したフローチャートである。
【図11】樹木領域識別部(43)の機能ブロック図である。
【図12】樹木領域を含む画像の一例を示した図である。
【図13】三次元地図の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の三次元地図作成方法を適用した電波伝搬推定装置の主要部の構成を示したブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0017】
電波伝搬推定装置は、車両等の移動体に搭載されて対象エリアの街並みを全方位カメラで撮影する撮影装置1と、街並み画像からパノラマ画像を生成し、さらに平面透視投影画像を生成する画像生成部2と、対象エリアの地図データを記憶する地図データ記憶部3と、前記平面透視投影画像および地図データに基づいて、当該地図データのみからは識別できないが電波伝搬特性に影響を与える電波障害物として、建物の窓領域、建物の屋上に設置された看板領域および樹木領域を識別する電波障害物識別部4と、前記地図データに前記電波障害物に関する属性情報を付加して電波伝搬推定に好適な三次元地図データを作成する三次元地図作成部5と、前記三次元地図データに基づいて電波伝搬特性を推定する電波伝搬特性推定部6とを主要な構成としている。
【0018】
前記撮影装置1において、全方位カメラ11は多数の撮像部を備えて全方位の静止画像を撮影する。位置検出部12は、撮影タイミングの現在位置(撮影位置)を例えばGPS信号により測位する。方位検知部13は、全方位カメラ11の向きを検知し、これに基づいて各撮影画像の向きを検知する。撮影された各静止画は、その撮影位置および方位と紐付けられて記憶部14に次々と記憶される。
【0019】
前記画像生成部2において、パノラマ画像生成部21は、全方位カメラ11で撮影された多数の静止画像に基づいてパノラマ画像を生成する。幾何変換部22は、前記パノラマ画像から、図2(a)に一例を示したように平面画像を生成し、さらに同図(b)に示したように、各被写体の正面を垂直方向から見込んだ平面透視投影画像を生成する。
【0020】
前記電波障害物識別部4において、窓領域識別部41は、画像の建物領域から窓領域を識別する。看板領域識別部42は、画像の建物領域から、その屋上に設置された看板を識別する。樹木領域識別部43は、街路樹などの樹木領域を識別する。
【0021】
図3は、前記窓領域識別部41の構成を示した機能ブロック図であり、空領域分離部411は、図4(a)に示した平面透視投影画像から、その色情報に基づいて、同図(b)に示したように空領域を分離する。本実施形態では、平面透視投影画像をRGB画像としてHSV色空間に変換し、H成分およびS成分に基づいて空領域と道路領域とが大まかに検出される。前記空領域は、画像の各x,y座標のS成分の値をIs(x,y)としたとき、次式(1)を満足し、かつ画面上部から連続している領域として識別される。
【0022】
【数1】
【0023】
建物境界検出部412は、前記空領域以外の領域(建物領域)を対象に、前記非特許文献4に開示されているMSER(maximally stable extremal regions)手法を適用し、同図(c)に垂直実線で示した建物境界を検出する。
【0024】
窓領域候補検出部413は、前記建物境界で挟まれた建物領域を対象に所定の大きさの矩形領域を探索し、これを窓領域候補として登録する。本実施形態では初めに、窓領域の大きさが建物領域の大きさに対して所定の比を有することに着目し、図4(d)に示したように、建物領域rbの相対領域に対して次式(2)を満足する矩形領域rwが抽出される。
【0025】
【数2】
【0026】
さらに、建物の壁面には一般的に同じ形状の窓が存在することに着目し、図4(e)に例示し、また図5(a)に模式的に示したように、大きや形状が類似している2箇所以上の矩形領域rwのペアが窓領域候補rwi(i=1,2,3…)として検出される。本実施形態では、最小2乗誤差を指標としたテンプレートマッチングを利用して、前記類似している矩形領域rwのペアが検出される。
【0027】
窓領域決定部414は、建物の窓が水平方向および垂直方向に整列することに着目し、図5(b)に模式的に示したように、前記各窓領域候補rwiの位置を基準に矩形領域を水平方向および垂直方向に優先探索し、類似形状の矩形領域が検出されると、図4(f)および図5(c)に示したように、前記窓領域候補および検出された矩形領域をいずれも窓領域に決定する。窓割合算出部415は、建物領域に占める前記窓領域の割合を算出する。
【0028】
以上のようにして窓領域の割合が決定されると、地図データの対応する建物に、その窓領域の割合および向き情報を属性情報として追加することで三次元地図データが生成される。本実施形態では、このような窓領域決定処理を、ある建物に対してすべての方向(一般的な建物の場合は4方向)から撮影された画像に対して処理を行ない、建物の方向別に窓領域の割合を算出する。なお、撮影データが存在しない方向の窓領域の割合は算出せずに、例えば他の方向の窓領域の割合の値を採用する。
【0029】
図6は、前記看板領域識別部42の構成を示したブロック図であり、本実施形態では、画面上部の各ピクセルから縦分割し、画面下部に向かって垂直方向に建物領域を検出する。その際に、水平エッジまたは垂直エッジが検出された場合は、それより画面の上部を空領域、画面の下部を建物及び建物上部の看板領域とする。縦分割した結果を横方向に統合することで、水平方向で連続する建物及び建物上部の看板領域を検出する。
【0030】
空領域分離部421は、前記空領域分離部411と同様に、図7(a)の平面透視投影画像から同図(b)のように空領域が分離された空領域分離画像を生成する。建物境界検出部422は、前記建物境界検出部412と同様に建物境界を検出する。すなわち、空領域と建物及び建物上部の看板領域とを分離するために、前記空領域以外の建物領域からエッジを検出する。本実施形態では、前記建物境界内の建物領域に対してCanny法を適用してエッジ検出が行われ、さらに建物は一般的に水平および垂直エッジで構成されるために、これら2種類のエッジのみを検出すべく、前記抽出されたエッジ情報にHaugh変換を適用することで、同図(c)に示したように、建物の水平エッジおよび垂直エッジが検出される。
【0031】
画像特徴量抽出部423は、短冊領域設定部423a、彩度検出部423bおよびテキスト量検出部423cを含み、建物領域の画像を垂直エッジ成分に基づいて複数に縦分割し、さらに各縦分割された領域でそれぞれの水平エッジ成分を境界とする短冊領域ごとに画像特徴量を抽出する。本実施形態では、第1に、看板は目立つことを重視するために彩度が大きくされていること、第2に、窓領域とは形状が異なって文字情報(テキスト)を多く含むこと、の2つの特徴を利用して建物領域を識別すべく、前記画像特徴量として「彩度情報」、ならびに水平および垂直エッジ成分以外の「非水平垂直エッジの割合」が抽出される。
【0032】
看板位置検出部424は、前記画像特徴量に基づいて看板領域の境界を検出する。看板領域決定部425は、前記看板領域の境界に基づいて看板領域を決定する。看板寸法取得部426は、前記看板領域の寸法を取得する。
【0033】
図8,9は、画像特徴量の抽出方法および看板領域の識別方法を模式的に示した図であり、図10は、その手順を示したフローチャートである。
【0034】
ステップS31では、図8(a)に示した建物領域の画像から、垂直エッジで規定される所定の幅ごとに、同図(b)に示したように、建物領域の上端から次の水平エッジまでの短冊領域qが、前記短冊領域設定部423aにより一端側(図中左側)から順に定義される。ステップS32では、前記短冊領域qを対象に、前記目立ち度を代表できる「彩度」、ならびに前記テキスト量を代表できる「非水平垂直エッジの割合」が、前記彩度検出部423bおよびテキスト量検出部423cにより検出される。前記「彩度情報」としては、HSV色空間に変換後のS成分のカラーヒストグラムを利用できる。前記「非水平垂直エッジの割合」は、前記Hough変換後の直線群から集計される。
【0035】
ステップS33では、前記短冊領域qが建物領域の下端まで拡張されているか否かが判定され、最初は拡張されていないと判定されるのでステップS34へ進む。ステップS34では、図8(c)に示したように、前記短冊領域qの下端部が前記短冊領域設定部423aにより、さらに次の水平エッジまで拡張され、ステップS32へ戻って上記の処理が繰り返される。
【0036】
以上のようにして、短冊領域qを水平エッジ単位で拡張しながら「彩度情報」および「非水平垂直エッジの割合」の集計が繰り返され、図8(d)に示したように、短冊領域qが建物領域の下端まで拡張されたことが前記ステップS33へ検知されるとステップS35へ進む。この時点では、同図(e)に示したように、各短冊領域qに関して前記「彩度情報」および「非水平垂直エッジの割合」の集計が完了していることになる。
【0037】
ステップS35では、短冊領域qごとに「彩度情報」および「非水平垂直エッジの割合」が前記看板位置検出部424により比較され、その傾向が大きく変化する水平エッジの位置が看板領域の境界位置として検知される。ここでは、図9(f)に示したように、「広告募集」の看板の下端部に相当する水平エッジまで拡張された短冊領域qと、その次の水平エッジまで拡張された短冊領域qとの間で「彩度情報」や「非水平垂直エッジの割合」の傾向が大きく変化していると判定され、前記「広告募集」の看板の下端部が境界位置として検出される。
【0038】
ステップS36では、前記短冊領域qが建物領域の他端側(図中右側)までシフトされたか否かが判定される。完了していなければステップS37で短冊領域qを他端側へシフトし、ステップS11へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0039】
以上のようにして、建物領域の全域で前記境界線の検出が完了すると、ステップS38では、短冊領域qの水平方向の各位置で検知された境界位置が統合される。本実施形態であれば、理想的には図9(g)に示したように、「広告募集」の看板の下端部に境界線が集中するので、ステップS39では、同図(h)に示したように、当該境界線の統合位置と建物領域の上端とで挟まれた領域が、前記看板領域決定部425により看板領域に決定される。ステップS40では、前記看板領域の寸法が、その画像上での寸法および画像上での建物の高さや幅と、地図データから取得できる当該建物の高さや幅との比とに基づく比例計算により推定される。なお、看板領域に関しても、その向きは前記窓領域と同様に、連続するパノラマ画像の位置情報から道路の進行方向を検出し、看板領域を道路に平行な向きと推定される。これらの寸法情報や向き情報は、当該看板領域の立体的な位置情報とされる。
【0040】
図11は、前記樹木領域識別部43の構成を示した機能ブロック図である。空領域分離部431は、前記空領域分離部411、421と同様に、街並みの平面透視投影画像から空領域が分離された空領域分離画像を生成する。樹木領域検出部432は、前記平面透視投影画像から、色情報に基づいて樹木領域を検出する。道路領域検出部は、433は、前記平面透視投影画像から、色情報に基づいて道路領域を検出する。道路データ取得部434は、平面透視投影画像に表示されている道路の位置を検出して、その寸法(道幅)情報を地図データから取得する。
【0041】
樹木高推定部435は、前記樹木領域の画像上での高さおよび画像上での道路寸法と、地図データから取得できる道路の実寸法との比とに基づく比例計算により樹木高を推定する。具体的には、道路領域内に存在する白線の検出または撮影車の前方部から道路領域の端点を検出し、その画素値の情報に基づき推定する。なお、このような比例計算による推定が難しければ、各樹木を一律に標準高(例えば、10メートル)としても良いし、あるいは識別された樹木領域に調査員が赴いて樹木高を実測するようにしても良い。
【0042】
前記三次元地図生成部5は、地図データの対応する建物に、前記建物の方向別の窓領域の割合および向き、ならびに前記看板領域の位置、向きおよび寸法を建物の電波伝搬の属性情報として追加する。さらに地図データの対応する位置に、前記樹木領域の高さを電波伝搬の属性情報として追加する。図13は、前記各電波場外物に関する属性情報が追加された三次元地図データの一例を示した図である。
【0043】
なお、前記窓領域や看板領域の向きは、前記平面透視投影画像の生成にあたり、建物の平面は基本的に道路と平行であり、かつ建物の平面と窓領域や看板領域の向きとは一般的に平行であるという考察に基づいて、連続するパノラマ画像の位置情報から道路の進行方向を検出しておき、これら道路と平行な向きと推定される。前記窓領域や看板領域の位置情報や向き情報は、それらの立体的な位置情報として登録される。
【0044】
電波伝搬推定部6は、以上のようにして生成された三次元地図データに基づいて電波伝搬特性を推定する。以下、非特許文献1に開示された送受信間のレイトレースに基づく電界強度計算モデルを利用した推定方法について説明する。
【0045】
各レイ(電波)の電界強度は、反射、透過、回折されるごとに減衰し、また受信点までの延距離に応じて弱くなる。したがって、受信点に到達したi番目のレイの電界強度Eiは、i番目のレイに対する反射面jでの反射係数Ri,j、透過面mでの透過係数Ti,m、回折点lでの回折係数Di,l、送受信アンテナ特性GT(i),GR(i)および送信点から最初の回折点までの延距離Si,jを用いて表される。受信点での電界強度をEとすれば、電界強度Eは各レイEiの電界強度の総和として次式(3)で与えられる。
【0046】
【数3】
【0047】
ここで、PTは送信電力、Kは波長等で決まる定数であり、kは波数である。また、Si,jはl−1番目の回折点からl番目の回折点までの延距離である。以下、構造物の壁面が厚さのある平面と仮定した場合のRi,j,Ti,m,Di,lの算出方法を示す。
【0048】
(a)反射係数R
【0049】
建物の壁面が波長に比べて十分に大きいと仮定すれば、反射係数Rは広さが無限大で、厚さが無限長である反射面に平面波が斜め入射した時のフレネルの反射係数で表せる。例えば、媒質定数(誘電率、透磁率、導電率)の媒質1(ε1,μ1,σ1)から媒質2(ε2,μ2,σ2)へ電波が入射する場合、反射係数r//(TE入射)、r┴(TM入射)は次式(4),(5)で与えられる。
【0050】
【数4】
【0051】
【数5】
【0052】
ここで、n12は媒質1に対する媒質2の比複素屈折率であり、次式(6)で表される。なお、θは入射角、ωは入射波の各周波数を表している。
【0053】
【数6】
(b)透過係数T
【0054】
建物の壁面が波長に比べて十分に大きいと仮定すれば、透過係数Tは有限の厚さ(Δω)を持つ物質に平面波が斜め入射した時のフレネルの透過係数で表せる。例えば媒質1(ε1,μ1,σ1)から媒質2(ε2,μ2,σ2)を経て媒質3(ε3,μ3,σ3)へ電波が透過する場合、透過係数Tは次式(7)で表される。
【0055】
【数7】
【0056】
ここで、r12は媒質1の媒質2に対するフレネルの反射係数であり、r23は媒質2の媒質3に対するフレネルの反射係数である。一方、t12は媒質1から媒質2に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数であり、t23は媒質2から媒質3に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数である。一般に、媒質i(εi,μi,σi)から媒質j(εj,μj,σj)へ電波が透過する場合のフレネルの透過係数t//(TE入射)、t┴(TM入射)は次式(8),(9)で与えられる。
【0057】
【数8】
【0058】
【数9】
【0059】
ここで、nijは媒質iに対する媒質jの比複素屈折率を表している。βはΔωおよび媒質1内の波長λ1の関数であり、次式(10)で表される。
【0060】
【数10】
(c)回折係数D
【0061】
幾何光学的に回折を扱える理論にGTD(Geometrical Theory of Diffraction)がある。建物の回折面となる壁面が波長に比べて十分に大きいと仮定すれば、回折係数Dはその形状が楔である媒質に電波が斜め入射した時のGTDによる回折で表せる。回折係数Dは、この場合次式(11)に示すダイアディックで与えられる。
【0062】
【数11】
【0063】
ここで、[β'0],[β0]および[φ'],[φ]は、それぞれβ'0,β0およびφ',φの単位ベクトルであり、Ds,Dhは次式(12)で与えられる
【0064】
【数12】
【0065】
上式(12)において、F(・)は次式で(13)で与えられるフレネル積分を表す。
【0066】
【数13】
【0067】
また、Lおよびa±(・)は、それぞれ次式(14),(15)の関数を表す。
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
【0070】
ここで、s'はl−1番目の回折点からl番目の回折点までの延距離si,lを表し、sはl番目の回折点からl+1番目の開設点までの延距離si,l+1を表している。またN±は、次式(16)を満足する最も近い整数で与えられる。
【0071】
【数16】
【0072】
これらの情報に対して、本実施形態には、窓の反射係数、透過係数、回折係数に基づいて壁と窓の混合の壁面のレイを算出する。また、建物上部の看板に対しては、これば金属製であるという前提でレイを算出する。樹木領域に関しても、樹木高と樹木の透過係数に基づいてレイを算出し、電波伝搬推定装置に同情報を組み込む。
【符号の説明】
【0073】
1…撮影装置,2…画像生成部,3…地図データ記憶部,4…電波障害物識別部,5…三次元地図作成部,6…電波伝搬特性推定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元地図作成方法および装置ならびに窓領域検出装置に係り、特に、建物の窓、建物の屋上に設置された看板、あるいは街路樹に代表される樹木など、従来の地図データからは識別が難しいものの電波伝搬に大きな影響を及ぼす構造物を識別でき、電波伝搬推定におけるシミュレーション用に好適な三次元地図を作成する方法および装置ならびに窓領域検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、PHSあるいは無線LANなどの無線通信システムでは、無線基地局から全方位に放射された電波が構造物で反射、透過、回折等を繰り返して受信点に到着し、到着した全ての電波の電界強度を加算して電界強度が算出される。非特許文献1には、無線通信システムにおいて、ある基地局の通信可能な範囲(サービスエリア)を推定するために、一の基地局から発射された電波の伝搬に関する特性を推定した電波伝搬特性推定データ(電波の軌跡、伝搬損失、受信信号強度など)をレイトレース(ray trace)法により計算する手法が開示されている。
【0003】
また、屋外の主要な道路上において各基地局からの電波の受信信号強度を推定する従来技術として、非特許文献2には、広域のエリアを対象にして複数の基地局によるカバレッジや干渉の影響を評価し、主に2次元の無線エリアを設計する携帯電話用エリア設計ツールが開示されている。具体的には、エリアの平均建物高や道路幅など、建物環境の代表的な数値を抽出し、非特許文献1の第15章に記載される統計的な手法(推定式)を用いて各基地局からの信号の強度を推定している。非特許文献2の技術では、建物データを含む地図データベースを加工して、例えば25m四方のメッシュごとに平均建物高が抽出された地図データ等が用いられる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】細矢良雄(監修)、"電波伝搬ハンドブック"、リアライズ社、第2部 第15章 15.5、1999年
【非特許文献2】Planet EV、[平成22年5月18日検索]、インターネット<URL:http://mustafa.golam.googlepages.com/IntroductiontoPlanetEV.ppt>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電波伝搬推定では、評価対象エリアの地図データから障害物の属性情報として位置情報や高さ情報を取得し、これらの情報に基づいて電波伝搬が推定される。しかしながら、障害物がビルであっても、電波の衝突面にガラス窓が存在するか否か、ガラス窓が存在する場合にはさらに、衝突面に占めるガラス窓の割合によって反射率や透過率が異なる。しかしながら、上記の従来技術では建物のガラス窓が考慮されていなかったので、電波伝搬の推定精度が低下してしまう。
【0006】
また、建物の屋上には看板が設置されることがあり、このような看板も電波に対して障害物となる。しかしながら、このような看板は地図データには現れないので従来の電波伝搬推定では無視され、電波伝搬の推定精度が低下してしまう。
【0007】
さらに、樹木に関しても、大規模な森林であれば、その存在や位置を地図データから取得できるものの、街路樹や小規模な林などは地図データから把握できない。また、地図データから把握できたとしても、樹木の高さや葉の繁り具合は変化が大きいので、障害物として特定することが難しかった。
【0008】
本発明の目的は、上記した従来技術の課題を解決し、地図データからは識別できないが電波伝搬に影響を与える電波障害物を識別でき、特に電波伝搬特性のシミュレーションに好適な三次元地図作成方法および装置ならびに窓領域検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた点に特徴がある。
【0010】
(1)本発明の三次元地図作成装置は、対象エリアの地図データと、対象エリアの街並み画像を取得する手段と、地図データから認識できない電波障害物を前記街並み画像から識別する手段と、電波障害物の立体的な位置情報を前記街並み画像に基づいて算出する手段と、前記地図データおよび電波障害物の立体的な位置情報に基づいて三次元地図データを作成する三次元地図データ作成手段とを具備した。
【0011】
(2)本発明の窓領域検出装置は、街並みの平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、前記建物領域内で当該建物領域とのサイズ比が所定の条件を満足し、かつ同一形状のペアが存在する矩形領域を窓領域候補として検出する手段と、前記各窓領域候補の位置から水平方向および垂直方向へ探索し、当該窓領域候補に類似した形状の領域を窓領域に決定する手段と具備した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下のような効果が達成される。
【0013】
(1)本発明の三次元地図作成装置は、建物の窓領域、看板領域、樹木領域といった、従来の地図データからは取得できないものの電波伝搬特性を高い精度で推定するためには必要不可欠な電波障害物を地図データに登録し、これを電波伝搬特性のシミュレーションに利用できるので、電波伝搬特性を高い精度で推定できるようになる。
【0014】
(2)本発明の窓領域検出装置は、建物の平面には同一形状の窓が多数存在すること、窓は水平および垂直方向に規則的に配列されること、を利用して窓領域を検出するので、窓領域とそれ以外の壁領域等とを正確に識別できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る電波伝搬推定装置のブロック図である。
【図2】平面透視投影画像の一例を示した図である。
【図3】窓領域識別部(41)の機能ブロック図である。
【図4】窓領域の識別手順を模式的に示した図である。
【図5】窓領域の検出方法を模式的に示した図である。
【図6】看板領域識別部(42)の機能ブロック図である。
【図7】看板領域の識別手順を模式的に示した図である。
【図8】看板領域の検出方法を模式的に示した図(その1)である。
【図9】看板領域の検出方法を模式的に示した図(その2)である。
【図10】看板領域の検出手順を示したフローチャートである。
【図11】樹木領域識別部(43)の機能ブロック図である。
【図12】樹木領域を含む画像の一例を示した図である。
【図13】三次元地図の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の三次元地図作成方法を適用した電波伝搬推定装置の主要部の構成を示したブロック図であり、ここでは、本発明の説明に不要な構成は図示が省略されている。
【0017】
電波伝搬推定装置は、車両等の移動体に搭載されて対象エリアの街並みを全方位カメラで撮影する撮影装置1と、街並み画像からパノラマ画像を生成し、さらに平面透視投影画像を生成する画像生成部2と、対象エリアの地図データを記憶する地図データ記憶部3と、前記平面透視投影画像および地図データに基づいて、当該地図データのみからは識別できないが電波伝搬特性に影響を与える電波障害物として、建物の窓領域、建物の屋上に設置された看板領域および樹木領域を識別する電波障害物識別部4と、前記地図データに前記電波障害物に関する属性情報を付加して電波伝搬推定に好適な三次元地図データを作成する三次元地図作成部5と、前記三次元地図データに基づいて電波伝搬特性を推定する電波伝搬特性推定部6とを主要な構成としている。
【0018】
前記撮影装置1において、全方位カメラ11は多数の撮像部を備えて全方位の静止画像を撮影する。位置検出部12は、撮影タイミングの現在位置(撮影位置)を例えばGPS信号により測位する。方位検知部13は、全方位カメラ11の向きを検知し、これに基づいて各撮影画像の向きを検知する。撮影された各静止画は、その撮影位置および方位と紐付けられて記憶部14に次々と記憶される。
【0019】
前記画像生成部2において、パノラマ画像生成部21は、全方位カメラ11で撮影された多数の静止画像に基づいてパノラマ画像を生成する。幾何変換部22は、前記パノラマ画像から、図2(a)に一例を示したように平面画像を生成し、さらに同図(b)に示したように、各被写体の正面を垂直方向から見込んだ平面透視投影画像を生成する。
【0020】
前記電波障害物識別部4において、窓領域識別部41は、画像の建物領域から窓領域を識別する。看板領域識別部42は、画像の建物領域から、その屋上に設置された看板を識別する。樹木領域識別部43は、街路樹などの樹木領域を識別する。
【0021】
図3は、前記窓領域識別部41の構成を示した機能ブロック図であり、空領域分離部411は、図4(a)に示した平面透視投影画像から、その色情報に基づいて、同図(b)に示したように空領域を分離する。本実施形態では、平面透視投影画像をRGB画像としてHSV色空間に変換し、H成分およびS成分に基づいて空領域と道路領域とが大まかに検出される。前記空領域は、画像の各x,y座標のS成分の値をIs(x,y)としたとき、次式(1)を満足し、かつ画面上部から連続している領域として識別される。
【0022】
【数1】
【0023】
建物境界検出部412は、前記空領域以外の領域(建物領域)を対象に、前記非特許文献4に開示されているMSER(maximally stable extremal regions)手法を適用し、同図(c)に垂直実線で示した建物境界を検出する。
【0024】
窓領域候補検出部413は、前記建物境界で挟まれた建物領域を対象に所定の大きさの矩形領域を探索し、これを窓領域候補として登録する。本実施形態では初めに、窓領域の大きさが建物領域の大きさに対して所定の比を有することに着目し、図4(d)に示したように、建物領域rbの相対領域に対して次式(2)を満足する矩形領域rwが抽出される。
【0025】
【数2】
【0026】
さらに、建物の壁面には一般的に同じ形状の窓が存在することに着目し、図4(e)に例示し、また図5(a)に模式的に示したように、大きや形状が類似している2箇所以上の矩形領域rwのペアが窓領域候補rwi(i=1,2,3…)として検出される。本実施形態では、最小2乗誤差を指標としたテンプレートマッチングを利用して、前記類似している矩形領域rwのペアが検出される。
【0027】
窓領域決定部414は、建物の窓が水平方向および垂直方向に整列することに着目し、図5(b)に模式的に示したように、前記各窓領域候補rwiの位置を基準に矩形領域を水平方向および垂直方向に優先探索し、類似形状の矩形領域が検出されると、図4(f)および図5(c)に示したように、前記窓領域候補および検出された矩形領域をいずれも窓領域に決定する。窓割合算出部415は、建物領域に占める前記窓領域の割合を算出する。
【0028】
以上のようにして窓領域の割合が決定されると、地図データの対応する建物に、その窓領域の割合および向き情報を属性情報として追加することで三次元地図データが生成される。本実施形態では、このような窓領域決定処理を、ある建物に対してすべての方向(一般的な建物の場合は4方向)から撮影された画像に対して処理を行ない、建物の方向別に窓領域の割合を算出する。なお、撮影データが存在しない方向の窓領域の割合は算出せずに、例えば他の方向の窓領域の割合の値を採用する。
【0029】
図6は、前記看板領域識別部42の構成を示したブロック図であり、本実施形態では、画面上部の各ピクセルから縦分割し、画面下部に向かって垂直方向に建物領域を検出する。その際に、水平エッジまたは垂直エッジが検出された場合は、それより画面の上部を空領域、画面の下部を建物及び建物上部の看板領域とする。縦分割した結果を横方向に統合することで、水平方向で連続する建物及び建物上部の看板領域を検出する。
【0030】
空領域分離部421は、前記空領域分離部411と同様に、図7(a)の平面透視投影画像から同図(b)のように空領域が分離された空領域分離画像を生成する。建物境界検出部422は、前記建物境界検出部412と同様に建物境界を検出する。すなわち、空領域と建物及び建物上部の看板領域とを分離するために、前記空領域以外の建物領域からエッジを検出する。本実施形態では、前記建物境界内の建物領域に対してCanny法を適用してエッジ検出が行われ、さらに建物は一般的に水平および垂直エッジで構成されるために、これら2種類のエッジのみを検出すべく、前記抽出されたエッジ情報にHaugh変換を適用することで、同図(c)に示したように、建物の水平エッジおよび垂直エッジが検出される。
【0031】
画像特徴量抽出部423は、短冊領域設定部423a、彩度検出部423bおよびテキスト量検出部423cを含み、建物領域の画像を垂直エッジ成分に基づいて複数に縦分割し、さらに各縦分割された領域でそれぞれの水平エッジ成分を境界とする短冊領域ごとに画像特徴量を抽出する。本実施形態では、第1に、看板は目立つことを重視するために彩度が大きくされていること、第2に、窓領域とは形状が異なって文字情報(テキスト)を多く含むこと、の2つの特徴を利用して建物領域を識別すべく、前記画像特徴量として「彩度情報」、ならびに水平および垂直エッジ成分以外の「非水平垂直エッジの割合」が抽出される。
【0032】
看板位置検出部424は、前記画像特徴量に基づいて看板領域の境界を検出する。看板領域決定部425は、前記看板領域の境界に基づいて看板領域を決定する。看板寸法取得部426は、前記看板領域の寸法を取得する。
【0033】
図8,9は、画像特徴量の抽出方法および看板領域の識別方法を模式的に示した図であり、図10は、その手順を示したフローチャートである。
【0034】
ステップS31では、図8(a)に示した建物領域の画像から、垂直エッジで規定される所定の幅ごとに、同図(b)に示したように、建物領域の上端から次の水平エッジまでの短冊領域qが、前記短冊領域設定部423aにより一端側(図中左側)から順に定義される。ステップS32では、前記短冊領域qを対象に、前記目立ち度を代表できる「彩度」、ならびに前記テキスト量を代表できる「非水平垂直エッジの割合」が、前記彩度検出部423bおよびテキスト量検出部423cにより検出される。前記「彩度情報」としては、HSV色空間に変換後のS成分のカラーヒストグラムを利用できる。前記「非水平垂直エッジの割合」は、前記Hough変換後の直線群から集計される。
【0035】
ステップS33では、前記短冊領域qが建物領域の下端まで拡張されているか否かが判定され、最初は拡張されていないと判定されるのでステップS34へ進む。ステップS34では、図8(c)に示したように、前記短冊領域qの下端部が前記短冊領域設定部423aにより、さらに次の水平エッジまで拡張され、ステップS32へ戻って上記の処理が繰り返される。
【0036】
以上のようにして、短冊領域qを水平エッジ単位で拡張しながら「彩度情報」および「非水平垂直エッジの割合」の集計が繰り返され、図8(d)に示したように、短冊領域qが建物領域の下端まで拡張されたことが前記ステップS33へ検知されるとステップS35へ進む。この時点では、同図(e)に示したように、各短冊領域qに関して前記「彩度情報」および「非水平垂直エッジの割合」の集計が完了していることになる。
【0037】
ステップS35では、短冊領域qごとに「彩度情報」および「非水平垂直エッジの割合」が前記看板位置検出部424により比較され、その傾向が大きく変化する水平エッジの位置が看板領域の境界位置として検知される。ここでは、図9(f)に示したように、「広告募集」の看板の下端部に相当する水平エッジまで拡張された短冊領域qと、その次の水平エッジまで拡張された短冊領域qとの間で「彩度情報」や「非水平垂直エッジの割合」の傾向が大きく変化していると判定され、前記「広告募集」の看板の下端部が境界位置として検出される。
【0038】
ステップS36では、前記短冊領域qが建物領域の他端側(図中右側)までシフトされたか否かが判定される。完了していなければステップS37で短冊領域qを他端側へシフトし、ステップS11へ戻って上記の各処理が繰り返される。
【0039】
以上のようにして、建物領域の全域で前記境界線の検出が完了すると、ステップS38では、短冊領域qの水平方向の各位置で検知された境界位置が統合される。本実施形態であれば、理想的には図9(g)に示したように、「広告募集」の看板の下端部に境界線が集中するので、ステップS39では、同図(h)に示したように、当該境界線の統合位置と建物領域の上端とで挟まれた領域が、前記看板領域決定部425により看板領域に決定される。ステップS40では、前記看板領域の寸法が、その画像上での寸法および画像上での建物の高さや幅と、地図データから取得できる当該建物の高さや幅との比とに基づく比例計算により推定される。なお、看板領域に関しても、その向きは前記窓領域と同様に、連続するパノラマ画像の位置情報から道路の進行方向を検出し、看板領域を道路に平行な向きと推定される。これらの寸法情報や向き情報は、当該看板領域の立体的な位置情報とされる。
【0040】
図11は、前記樹木領域識別部43の構成を示した機能ブロック図である。空領域分離部431は、前記空領域分離部411、421と同様に、街並みの平面透視投影画像から空領域が分離された空領域分離画像を生成する。樹木領域検出部432は、前記平面透視投影画像から、色情報に基づいて樹木領域を検出する。道路領域検出部は、433は、前記平面透視投影画像から、色情報に基づいて道路領域を検出する。道路データ取得部434は、平面透視投影画像に表示されている道路の位置を検出して、その寸法(道幅)情報を地図データから取得する。
【0041】
樹木高推定部435は、前記樹木領域の画像上での高さおよび画像上での道路寸法と、地図データから取得できる道路の実寸法との比とに基づく比例計算により樹木高を推定する。具体的には、道路領域内に存在する白線の検出または撮影車の前方部から道路領域の端点を検出し、その画素値の情報に基づき推定する。なお、このような比例計算による推定が難しければ、各樹木を一律に標準高(例えば、10メートル)としても良いし、あるいは識別された樹木領域に調査員が赴いて樹木高を実測するようにしても良い。
【0042】
前記三次元地図生成部5は、地図データの対応する建物に、前記建物の方向別の窓領域の割合および向き、ならびに前記看板領域の位置、向きおよび寸法を建物の電波伝搬の属性情報として追加する。さらに地図データの対応する位置に、前記樹木領域の高さを電波伝搬の属性情報として追加する。図13は、前記各電波場外物に関する属性情報が追加された三次元地図データの一例を示した図である。
【0043】
なお、前記窓領域や看板領域の向きは、前記平面透視投影画像の生成にあたり、建物の平面は基本的に道路と平行であり、かつ建物の平面と窓領域や看板領域の向きとは一般的に平行であるという考察に基づいて、連続するパノラマ画像の位置情報から道路の進行方向を検出しておき、これら道路と平行な向きと推定される。前記窓領域や看板領域の位置情報や向き情報は、それらの立体的な位置情報として登録される。
【0044】
電波伝搬推定部6は、以上のようにして生成された三次元地図データに基づいて電波伝搬特性を推定する。以下、非特許文献1に開示された送受信間のレイトレースに基づく電界強度計算モデルを利用した推定方法について説明する。
【0045】
各レイ(電波)の電界強度は、反射、透過、回折されるごとに減衰し、また受信点までの延距離に応じて弱くなる。したがって、受信点に到達したi番目のレイの電界強度Eiは、i番目のレイに対する反射面jでの反射係数Ri,j、透過面mでの透過係数Ti,m、回折点lでの回折係数Di,l、送受信アンテナ特性GT(i),GR(i)および送信点から最初の回折点までの延距離Si,jを用いて表される。受信点での電界強度をEとすれば、電界強度Eは各レイEiの電界強度の総和として次式(3)で与えられる。
【0046】
【数3】
【0047】
ここで、PTは送信電力、Kは波長等で決まる定数であり、kは波数である。また、Si,jはl−1番目の回折点からl番目の回折点までの延距離である。以下、構造物の壁面が厚さのある平面と仮定した場合のRi,j,Ti,m,Di,lの算出方法を示す。
【0048】
(a)反射係数R
【0049】
建物の壁面が波長に比べて十分に大きいと仮定すれば、反射係数Rは広さが無限大で、厚さが無限長である反射面に平面波が斜め入射した時のフレネルの反射係数で表せる。例えば、媒質定数(誘電率、透磁率、導電率)の媒質1(ε1,μ1,σ1)から媒質2(ε2,μ2,σ2)へ電波が入射する場合、反射係数r//(TE入射)、r┴(TM入射)は次式(4),(5)で与えられる。
【0050】
【数4】
【0051】
【数5】
【0052】
ここで、n12は媒質1に対する媒質2の比複素屈折率であり、次式(6)で表される。なお、θは入射角、ωは入射波の各周波数を表している。
【0053】
【数6】
(b)透過係数T
【0054】
建物の壁面が波長に比べて十分に大きいと仮定すれば、透過係数Tは有限の厚さ(Δω)を持つ物質に平面波が斜め入射した時のフレネルの透過係数で表せる。例えば媒質1(ε1,μ1,σ1)から媒質2(ε2,μ2,σ2)を経て媒質3(ε3,μ3,σ3)へ電波が透過する場合、透過係数Tは次式(7)で表される。
【0055】
【数7】
【0056】
ここで、r12は媒質1の媒質2に対するフレネルの反射係数であり、r23は媒質2の媒質3に対するフレネルの反射係数である。一方、t12は媒質1から媒質2に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数であり、t23は媒質2から媒質3に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数である。一般に、媒質i(εi,μi,σi)から媒質j(εj,μj,σj)へ電波が透過する場合のフレネルの透過係数t//(TE入射)、t┴(TM入射)は次式(8),(9)で与えられる。
【0057】
【数8】
【0058】
【数9】
【0059】
ここで、nijは媒質iに対する媒質jの比複素屈折率を表している。βはΔωおよび媒質1内の波長λ1の関数であり、次式(10)で表される。
【0060】
【数10】
(c)回折係数D
【0061】
幾何光学的に回折を扱える理論にGTD(Geometrical Theory of Diffraction)がある。建物の回折面となる壁面が波長に比べて十分に大きいと仮定すれば、回折係数Dはその形状が楔である媒質に電波が斜め入射した時のGTDによる回折で表せる。回折係数Dは、この場合次式(11)に示すダイアディックで与えられる。
【0062】
【数11】
【0063】
ここで、[β'0],[β0]および[φ'],[φ]は、それぞれβ'0,β0およびφ',φの単位ベクトルであり、Ds,Dhは次式(12)で与えられる
【0064】
【数12】
【0065】
上式(12)において、F(・)は次式で(13)で与えられるフレネル積分を表す。
【0066】
【数13】
【0067】
また、Lおよびa±(・)は、それぞれ次式(14),(15)の関数を表す。
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
【0070】
ここで、s'はl−1番目の回折点からl番目の回折点までの延距離si,lを表し、sはl番目の回折点からl+1番目の開設点までの延距離si,l+1を表している。またN±は、次式(16)を満足する最も近い整数で与えられる。
【0071】
【数16】
【0072】
これらの情報に対して、本実施形態には、窓の反射係数、透過係数、回折係数に基づいて壁と窓の混合の壁面のレイを算出する。また、建物上部の看板に対しては、これば金属製であるという前提でレイを算出する。樹木領域に関しても、樹木高と樹木の透過係数に基づいてレイを算出し、電波伝搬推定装置に同情報を組み込む。
【符号の説明】
【0073】
1…撮影装置,2…画像生成部,3…地図データ記憶部,4…電波障害物識別部,5…三次元地図作成部,6…電波伝搬特性推定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象エリアの地図データと、
前記対象エリアの街並み画像を取得する手段と、
前記地図データから認識できない電波障害物を前記街並み画像から識別する手段と、
前記電波障害物の立体的な位置情報を前記街並み画像に基づいて算出する手段と、
前記地図データおよび前記電波障害物の立体的な位置情報に基づいて三次元地図データを作成する三次元地図データ作成手段とを具備したことを特徴とする三次元地図作成装置。
【請求項2】
前記街並み画像を取得する手段は、
街並みの全方位画像を取得する手段と、
前記全方位画像を平面透視投影画像に変換する手段とを具備し、
前記平面透視投影画像を街並み画像として出力することを特徴とする請求項1に記載の三次元地図作成装置。
【請求項3】
前記電波障害物を識別する手段が、
前記街並み画像から建物の窓領域を識別する窓領域識別手段を具備し、
前記立体的な位置情報が、前記窓領域の向きおよび建物に占める窓領域の割合の情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元地図作成装置。
【請求項4】
前記電波障害物を識別する手段が、
前記街並み画像から看板領域を識別する看板領域識別手段を具備し、
前記立体的な位置情報が、前記看板領域の向き情報および高さ情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元地図作成装置。
【請求項5】
前記電波障害物を識別する手段が、
前記街並み画像から樹木領域を識別する樹木領域識別手段を具備し、
前記空間的な位置情報が、前記樹木領域の高さ情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元地図作成装置。
【請求項6】
前記窓領域検出手段が、
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、
前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、
前記建物領域内で当該建物領域とのサイズ比が所定の条件を満足し、かつ同一形状のペアが存在する矩形領域を窓領域候補として検出する手段と、
前記各窓領域候補の位置から水平方向および垂直方向へ探索し、当該窓領域候補に類似した形状の領域を窓領域に決定する手段と、
前記建物領域に占める前記窓領域の割合を算出する手段とを含むことを特徴とする請求項3に記載の三次元地図作成装置。
【請求項7】
前記看板領域識別手段が、
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、
前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、
前記建物領域を垂直エッジ成分に基づいて複数の短冊領域に分割し、各短冊領域の水平エッジ成分を境界とする領域ごとに画像特徴量を抽出する手段と、
短冊領域ごとに前記画像特徴量の変化が顕著な水平エッジを看板位置として検出する手段と、
前記短冊領域ごとに検出された水平エッジ位置を結合して看板領域の下端位置とし、当該下端位置と前記建物領域の上端位置とで挟まれた領域を看板領域に決定する手段と、
前記街並み画像に基づいて、前記看板領域の寸法情報を取得する手段とを含むことを特徴とする請求項4に記載の三次元地図作成装置。
【請求項8】
前記画像特徴量を抽出する手段が、
彩度情報を検出する手段およびテキスト量を検出する手段の少なくとも一方を具備し、
前記テキスト量を検出する手段は、非水平垂直エッジ情報を検出することを特徴とする請求項7に記載の三次元地図作成装置。
【請求項9】
前記樹木領域識別段が
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて樹木領域を検出する樹木領域検出手段と、
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて道路領域を検出する道路領域検出手段と、
前記地図データから前記道路領域の幅データを取得する道路データ取得手段と、
前記平面透視投影画像上での前記樹木領域および道路領域のサイズ比および前記道路領域の幅データに基づいて前記樹木領域の高さを推定する樹木高推定手段とを含むことを特徴とする請求項5に記載の三次元地図作成装置。
【請求項10】
対象エリアの街並み画像を取得し、
前記対象エリアの地図データから認識できない電波障害物を前記街並み画像から識別し、
前記電波障害物の立体的な位置情報を前記街並み画像に基づいて算出し、
前記地図データおよび前記電波障害物の立体的な位置情報に基づいて三次元地図データを作成することを特徴とする三次元地図作成方法。
【請求項11】
前記電波障害物が、建物の窓領域、建物上部の看板領域および樹木領域の少なくとも一つであることを特徴とする請求項10に記載の三次元地図作成方法。
【請求項12】
街並みの平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、
前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、
前記建物領域内で当該建物領域とのサイズ比が所定の条件を満足し、かつ同一形状のペアが存在する矩形領域を窓領域候補として検出する手段と、
前記各窓領域候補の位置から水平方向および垂直方向へ探索し、当該窓領域候補に類似した形状の領域を窓領域に決定する手段と具備したことを特徴とする窓領域検出装置。
【請求項1】
対象エリアの地図データと、
前記対象エリアの街並み画像を取得する手段と、
前記地図データから認識できない電波障害物を前記街並み画像から識別する手段と、
前記電波障害物の立体的な位置情報を前記街並み画像に基づいて算出する手段と、
前記地図データおよび前記電波障害物の立体的な位置情報に基づいて三次元地図データを作成する三次元地図データ作成手段とを具備したことを特徴とする三次元地図作成装置。
【請求項2】
前記街並み画像を取得する手段は、
街並みの全方位画像を取得する手段と、
前記全方位画像を平面透視投影画像に変換する手段とを具備し、
前記平面透視投影画像を街並み画像として出力することを特徴とする請求項1に記載の三次元地図作成装置。
【請求項3】
前記電波障害物を識別する手段が、
前記街並み画像から建物の窓領域を識別する窓領域識別手段を具備し、
前記立体的な位置情報が、前記窓領域の向きおよび建物に占める窓領域の割合の情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元地図作成装置。
【請求項4】
前記電波障害物を識別する手段が、
前記街並み画像から看板領域を識別する看板領域識別手段を具備し、
前記立体的な位置情報が、前記看板領域の向き情報および高さ情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元地図作成装置。
【請求項5】
前記電波障害物を識別する手段が、
前記街並み画像から樹木領域を識別する樹木領域識別手段を具備し、
前記空間的な位置情報が、前記樹木領域の高さ情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の三次元地図作成装置。
【請求項6】
前記窓領域検出手段が、
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、
前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、
前記建物領域内で当該建物領域とのサイズ比が所定の条件を満足し、かつ同一形状のペアが存在する矩形領域を窓領域候補として検出する手段と、
前記各窓領域候補の位置から水平方向および垂直方向へ探索し、当該窓領域候補に類似した形状の領域を窓領域に決定する手段と、
前記建物領域に占める前記窓領域の割合を算出する手段とを含むことを特徴とする請求項3に記載の三次元地図作成装置。
【請求項7】
前記看板領域識別手段が、
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、
前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、
前記建物領域を垂直エッジ成分に基づいて複数の短冊領域に分割し、各短冊領域の水平エッジ成分を境界とする領域ごとに画像特徴量を抽出する手段と、
短冊領域ごとに前記画像特徴量の変化が顕著な水平エッジを看板位置として検出する手段と、
前記短冊領域ごとに検出された水平エッジ位置を結合して看板領域の下端位置とし、当該下端位置と前記建物領域の上端位置とで挟まれた領域を看板領域に決定する手段と、
前記街並み画像に基づいて、前記看板領域の寸法情報を取得する手段とを含むことを特徴とする請求項4に記載の三次元地図作成装置。
【請求項8】
前記画像特徴量を抽出する手段が、
彩度情報を検出する手段およびテキスト量を検出する手段の少なくとも一方を具備し、
前記テキスト量を検出する手段は、非水平垂直エッジ情報を検出することを特徴とする請求項7に記載の三次元地図作成装置。
【請求項9】
前記樹木領域識別段が
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて樹木領域を検出する樹木領域検出手段と、
前記平面透視投影画像から色情報に基づいて道路領域を検出する道路領域検出手段と、
前記地図データから前記道路領域の幅データを取得する道路データ取得手段と、
前記平面透視投影画像上での前記樹木領域および道路領域のサイズ比および前記道路領域の幅データに基づいて前記樹木領域の高さを推定する樹木高推定手段とを含むことを特徴とする請求項5に記載の三次元地図作成装置。
【請求項10】
対象エリアの街並み画像を取得し、
前記対象エリアの地図データから認識できない電波障害物を前記街並み画像から識別し、
前記電波障害物の立体的な位置情報を前記街並み画像に基づいて算出し、
前記地図データおよび前記電波障害物の立体的な位置情報に基づいて三次元地図データを作成することを特徴とする三次元地図作成方法。
【請求項11】
前記電波障害物が、建物の窓領域、建物上部の看板領域および樹木領域の少なくとも一つであることを特徴とする請求項10に記載の三次元地図作成方法。
【請求項12】
街並みの平面透視投影画像から色情報に基づいて空領域を分離する手段と、
前記空領域が分離された平面透視投影画像からエッジ成分に基づいて建物領域の境界を検出する手段と、
前記建物領域内で当該建物領域とのサイズ比が所定の条件を満足し、かつ同一形状のペアが存在する矩形領域を窓領域候補として検出する手段と、
前記各窓領域候補の位置から水平方向および垂直方向へ探索し、当該窓領域候補に類似した形状の領域を窓領域に決定する手段と具備したことを特徴とする窓領域検出装置。
【図3】
【図6】
【図10】
【図11】
【図13】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【図6】
【図10】
【図11】
【図13】
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図12】
【公開番号】特開2012−43185(P2012−43185A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183909(P2010−183909)
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]