説明

三次元映像表示方法および装置

【課題】見える方向に制限が無く、均質で鮮明な三次元映像を表示することができる三次元映像表示方法および装置を提供する。
【解決手段】蛍光空間11に入射する1本の光軸に沿って同方向から蛍光空間11に第1の光パルス12、および第1の光パルス12と異なる波長を有する第2の光パルス13を入射タイミングを所定時間ずらして入射すると、屈折率の波長分散により、第2の光パルス13が第1の光パルス23に追いつき、第1および第2のパルス12、13の重なる位置において両パルスの光子による強い多光子吸収が起こり、断面像が形成される。この断面像を位置をずらして複数形成することにより、三次元映像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光パルスを用いて蛍光空間内に三次元映像を表示する三次元映像表示方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療用CT装置、CAD装置等の分野では、大量の三次元情報を高速に表示する三次元ディスプレイの要求が高まっている。
【0003】
従来の三次元映像表示方法には、擬似的な三次元画像を二次元平面状に表示させるものが多い。例えば、三次元CG(Computer Graphics)は、陰影や色濃度のグラデーションなどを用いて立体を表現しており、二次元平面上の擬似的な三次元画像表現である。
【0004】
他に、二次元ディスプレイを用いて偏向メガネ等により左右の目に異なる映像を見せることにより立体視差を生じさせ、立体感を得るようにしたものがあるが、視点が限定される、長時間の使用による疲労感などの問題が挙げられる。更に、ホログラフィ技術による三次元表示の方法もあるが、ホログラムの作製に時間がかかる、静止画しか扱うことができない、等の問題が挙げられる。
【0005】
このため、現在、実際に三次元空間内に三次元映像を表示させる装置の必要性が高まってきている。実際に三次元空間内に三次元映像を表示させる方法として、体積走査法(奥行標本化法)が挙げられる。この方法は、具体的に(a)バリフォーカルミラー方式、(b)移動ディスプレイ方式、(c)移動スクリーン方式がある。
【0006】
上記(a)は、二次元画像を前後に振動する凹面ミラーの振動に同期して反射させる方法である。上記(b)は、立体画像の断面像を発光ダイオードディスプレイ等を高速で移動もしくは回転させることにより、三次元映像を表示させる方法である。上記(c)は、移動するスクリーンに立体画像の断面図を投影することで立体的に見せる方法である。
【0007】
また、これらとは別の方式として、(d)2枚の二次元レーザアレイを直角に配置し、レーザ光同士の交点において蛍光を発生させることによることで、三次元空間に画像を表示する方法もある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平5−224608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の(a)から(c)の技術においては、(a)バリフォーカルミラー方式は表現できる大きさや、多人数で見る場合には凹面ミラーを大きくしなければならないなどの問題点が挙げられる。(b)移動ディスプレイ方式と(c)移動スクリーン方式は、移動の方向により三次元映像が見える範囲に制限があったり解像度が異なったりする、像が不鮮明になりやすいなどの問題が挙げられる。
【0009】
また、(d)の技術はレーザ光として赤外光を使用しており、2つのレーザ光は表示媒体内を進行するにつれて少しずつ吸収され、光強度が減衰する。そのため、レーザアレイ側は明るく、反対側は暗い像になってしまう。表示媒体のサイズを大きくすると、この現象は更に顕著となる。
【0010】
従って、本発明の目的は、見える方向に制限が無く、均質で鮮明な三次元映像を表示することができる三次元映像表示方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、以下の三次元映像表示方法および装置を提供する。
【0012】
[1]第1の光パルスを所定の方向から真空ではない蛍光空間に入射させる第1のステップと、前記蛍光空間での伝搬速度が前記第1の光パルスよりも速い第2の光パルスを前記所定の方向と略同方向から前記蛍光空間に前記第1の光パルスと所定時間遅れて入射させ、前記蛍光空間内において前記第2の光パルスが前記第1の光パルスに追いつき、重なった位置で蛍光させる第2のステップと、を含むことを特徴とする三次元映像表示方法。
【0013】
[2]前記第1または前記第2の光パルスのいずれか一方に、断面情報が書き込まれたことを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0014】
[3]前記第1および第2のステップは、前記第1および第2の光パルスの前記蛍光空間への入射タイミングが制御されることにより、前記蛍光空間内の異なる複数の前記位置で蛍光させることを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0015】
[4]真空中の光速をc、前記第1の光パルスの波長をλ、前記第2の光パルスの波長をλ、波長λでの蛍光空間内の屈折率をn(λ)、光パルス1の時間幅をt、光パルス2の時間幅をt、としたとき、1×10−4[m]≦{c(tn(λ)+tn(λ))}/{n(λ)(n(λ)−n(λ))}≦1×10−2[m]を満たすことを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0016】
[5]前記第2のステップは、1つの前記第1の光パルスに対して所定の繰り返し周期で複数の前記第2の光パルスを前記蛍光空間に入射して前記蛍光空間内の複数の前記位置で蛍光させることを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0017】
[6]前記第1のステップは、所定の繰り返し周期で複数の前記第1の光パルスを前記蛍光空間に入射し、前記第2のステップは、前記所定の繰り返し周期と同一の繰り返し周期でN個の前記第2の光パルスからなる複数のパルス列を前記蛍光空間に入射して前記蛍光空間内のN個の前記位置で蛍光させることを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0018】
[7]前記第1のステップは、所定の繰り返し周期でM個の前記第1の光パルスを前記蛍光空間に入射し、前記第2のステップは、前記所定の繰り返し周期と同一の繰り返し周期でN個の前記第2の光パルスからなるM個のパルス列を前記蛍光空間に入射して前記蛍光空間内のN×M個の前記位置で蛍光させることを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0019】
[8]前記第2の光パルスへの前記断面情報の書込みは、空間光変調によって行うことを特徴とする前記[1]に記載の三次元映像表示方法。
【0020】
[9]第1の光パルスを所定の方向から真空ではない蛍光空間に入射させる第1の光パルス入射手段と、
前記蛍光空間での伝搬速度が前記第1の光パルスよりも速い第2の光パルスを前記所定の方向と略同方向から前記蛍光空間に前記第1の光パルスと所定時間遅れて入射させ、前記蛍光空間内において前記第2の光パルスが前記第1の光パルスに追いつき、重なった位置で蛍光させる第2の光パルス入射手段と、
を備えたことを特徴とする三次元映像表示装置。
【0021】
[10]前記第1および第2の光パルス入射手段は、光パルスを出射する1つの光パルス光源と、前記光パルス光源から出射された前記光パルスを2つの光パルスに分割し、前記2つの光パルスのうち一方の光パルスを前記第1の光パルスとし、他方の光パルスを第2の光パルスとする分割光学系と、を備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0022】
[11]前記第1の光パルス入射手段は、前記第1の光パルスを出射する第1の光パルス光源を備え、前記第2の光パルス入射手段は、前記第2の光パルスを出射する第2の光パルス光源を備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0023】
[12]前記第1または第2の光パルス入射手段は、断面像信号に応じて光パルスに前記断面情報を書き込んで前記第1の光パルス、または第2の光パルスを生成する空間光変調器を備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0024】
[13]前記空間光変調器は、液晶空間光変調器であることを特徴とする前記[12]に記載の三次元映像表示装置。
【0025】
[14]前記第1または第2の光パルス入射手段は、光路長の異なる複数の光路を有し、入射された光パルスを前記複数の光路に分配する分岐部と、前記複数の光路に設けられ、前記複数の光路に分配された複数の光パルスに断面情報を書き込む複数の空間光変調器と、前記断面情報が書き込まれた複数の前記第2の光パルスの光軸を一致させて前記複数の第2の光パルスを前記蛍光空間に入射する合流部とを備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0026】
[15]前記分岐部は、入射された光パルスを前記複数の光路を順次切り替えて分配する光路切替部である前記[14]に記載の三次元映像表示装置。
【0027】
[16]前記分岐部は、入射された光パルスを複数の光パルスに分割して前記複数の光路に分配する分割光学系である前記[14]に記載の三次元映像表示装置。
【0028】
[17]前記第1または第2の光パルス入射手段は、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの光路長を制御する光路長制御部を備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0029】
[18]前記第1または第2の光パルス入射手段は、厚みの異なる複数の光媒質を有し、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの光軸上に乗せる前記光媒質を切り替えることにより、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの前記蛍光空間に入射するタイミングを調節するタイミング制御部を備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0030】
[19]前記第1または第2の光パルス入射手段は、光パルスの波長を変換する波長変換器を備えたことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0031】
[20]前記第1および第2の光パルス入射手段は、前記第1および第2の光パルスの口径を拡大して前記蛍光空間に入射する拡大光学系を共有することを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0032】
[21]前記蛍光空間は、前記第1および第2の光パルスの波長に対して透明な、蛍光体、又は蛍光体を含む気体若しくは液体若しくは固体からなることを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0033】
[22]前記蛍光空間は、蛍光体を含み、かつ第1の光パルス及び第2の光パルスの波長に対して透明な重水素置換された有機溶剤からなることを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0034】
[23]前記蛍光空間は、前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとが重なった前記位置で最も強い多光子吸収を起こすことを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0035】
[24]前記第1および第2の光パルス入射手段は、前記第1および第2の光パルスのうち波長が短い方の光パルスの光強度は、波長の長い方の光パルスよりも低く、前記蛍光空間は、前記第1および第2の光パルスに対して透明であり、前記蛍光空間の二光子吸収準位への励起エネルギーが、波長の長い方の光パルスの2光子分のエネルギーよりも大きく、波長の短い方の光パルスの1光子を足したエネルギーに等しい、もしくはそれよりも小さいことを特徴とする前記[23]に記載の三次元映像表示装置。
【0036】
[25]前記蛍光空間は、前記第1および第2の光パルスの入射側と反対側に、前記第1および第2の光パルスの波長のみをカットし、それ以外の波長を有する光を透過するノッチフィルタを有することを特徴とする前記[9]に記載の三次元映像表示装置。
【0037】
[26]前記タイミング制御部は、円盤状の形状を有し、前記円盤状の形状の厚さ方向に平行な回転軸を中心に回転運動を行うことにより、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの光軸上に乗せる前記光媒質を切り替えることを特徴とする[18]に記載の三次元映像表示装置。
【0038】
[27]前記タイミング制御部の重心は、前記回転運動の回転中心と略一致していることを特徴とする[26]に記載の三次元映像表示装置。
【0039】
[28]前記タイミング制御部において、前記厚みの異なる複数の光媒質のうち、厚みの略同一な前記光媒質同士が、前記回転中心に対して対称に配置されていることを特徴とする[27]に記載の三次元映像表示装置。
【0040】
なお、上記の各態様において、略同方向とは、第2の光パルスが、蛍光空間内で第1の光パルスに追いつき、重なりを経て追い越しするような方向のことを意味し、両パルスの蛍光空間への入射方向は、完全に同軸かつ同方向である必要はない。
【発明の効果】
【0041】
本発明によれば、見える方向に制限が無く、均質で鮮明な三次元映像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
[本発明の原理]
本発明は、多光子吸収現象(特に二光子吸収現象)を利用するものである。蛍光体に光エネルギーを与える際に、ひとつひとつの光子ではエネルギーが足りずに吸収が起こらない場合でも、複数の光子のエネルギーが足し合わされて吸収が起こる場合があり、これを多光子吸収という。
【0043】
図1(a)〜(c)は、本発明に係る三次元映像表示方法の基本的な原理を示す図である。図1(a)において、蛍光空間11に入射する1本の光軸に沿って同方向から蛍光空間11に波長λを有する第1の光パルス12、およびλと異なる波長λを有する第2の光パルス13を入射タイミングを所定時間ずらして入射する。
【0044】
ところで、媒質中を伝搬する光の速度は、光の波長により異なる。このような現象は屈折率の波長分散によるものであり、波長分散のうち、特に、波長が大きくなるに伴って速度が大きくなる場合を正常分散、波長が小さくなるに伴って速度が大きくなる場合を異常分散と呼ぶ。波長分散の度合いや、正常分散となるか異常分散となるかは、媒質固有の性質に依る。以下では、蛍光空間11内部は正常分散を示し、光の波長が大きくなるに伴って速度が大きくなるものとして説明する。また、第2の光パルスの波長は、第1の光パルスの波長よりも大きいものとする(λ<λ)。
【0045】
図1(a)に示すように、蛍光空間11の内部に第1の光パルス12、および第2の光パルス13が入射すると、互いの波長が異なるために、波長分散により、蛍光空間11内部での伝搬速度に差が生じる。具体的には、先に蛍光空間11に入射した第1の光パルス12は、後から入射した第2の光パルス13よりも波長が大きいため、速度が小さく、第1の光パルス12と第2の光パルス13の入射タイミングの差が十分に小さい場合は、第2の光パルス13に追いつかれ、追い越される。
【0046】
蛍光空間11は、蛍光体、または蛍光体を含む気体、液体あるいは固体で満たされている。蛍光体としては、二光子蛍光色素などの、高い二光子蛍光効率を示す物質が好ましい。
【0047】
第1の光パルス12が第2の光パルス13に追いつかれて互いに空間的に重なり合う位置においては、第1の光パルス12と第2の光パルス13の光子による二光子吸収が生じるため、第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なり合わない位置と比較して、蛍光空間11内の蛍光体は、より多くのエネルギーを得ることができる。エネルギーを得ることにより蛍光体中の電子が励起され、励起された電子が緩和する過程において蛍光を発する。ここで、第1の光パルス12と第2の光パルス13の光子による二光子吸収により得られるエネルギーが吸収エネルギーの大部分を占めるとすると、第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なり合う位置においてのみ蛍光が生じることとなる。
【0048】
図1(b)は、第1および第2の光パルス12、13の強度を表し(簡単のため、パルス強度およびパルス幅は等しいとして示す)、図1(c)は、蛍光強度分布を表す。それぞれ横軸は図1(a)と共通した光パルスの位置である。第1および第2の光パルス12、13は、図1(a)に示す蛍光空間11内での位置Bから重なり始め、位置Dで完全に重なり、位置Fで重なり終わる。この位置BからFまでの長さを重なり長さΔLとすると、図1(c)に示すように、重なり長さΔLの範囲で蛍光強度の分布が生じる。なお、重なりが最も大きくなる位置Dにおいて、二光子吸収が最も多く生じるため、蛍光強度が大きくなる。
【0049】
しかし、一般に、重なり長さΔLの全範囲において人間の眼が蛍光を認識できるわけではなく、蛍光強度分布の裾付近(位置B、F付近)に関しては、強度が小さいため感知することができない。そこで、例えば、図1(c)に示すように、蛍光強度分布の半値幅を人間の感知できる範囲とし、蛍光面厚さとする。
【0050】
第1の光パルス12と第2の光パルス13の重なり位置を調整することにより、蛍光空間11内での蛍光が生じる位置を調整することができる。重なり位置を変えるためには、第1の光パルス12と第2の光パルス13の蛍光空間11への入射タイミングの差を調整する。
【0051】
図2は、第1および第2の光パルスの入射タイミングの差と蛍光が生じる位置の関係を示す概念図である。図2中のL、L、Lは、第1の光パルス12a、12b、12cと第2の光パルス13a、13b、13cのそれぞれの光パルス組の入射前の間隔を表す。第1の光パルス12と第2の光パルス13の間隔(入射タイミングの差)が小さいほど、早い時刻において第2の光パルス13が第1の光パルス12に追いつくため、蛍光空間11の入射面に近い位置で蛍光が生じることになる。
【0052】
そのため、間隔がLの光パルス12a、13aの組により、蛍光空間11の入射口付近で蛍光が生じて断面像14aが形成され、間隔がLの光パルス12b、13bの組により、蛍光空間11の中央付近で蛍光が生じて断面像14bが形成され、間隔がLの光パルス12c、13cの組により、蛍光空間11の奥部付近で蛍光が生じて断面像14cが形成される。なお、断面像の形状は、第1の光パルス12と第2の光パルス13の重なる部分の形状による。そして、これらの固有の形状を有する断面像を組み合わせることにより、三次元映像を形成することができる。なお、断面像14a、14b、14cの形成されるタイミングは同時ではないが、各光パルスの組を十分短い間隔で入射させると、残像現象により、人間の眼には同時に表示されたかのように認識される。
【0053】
断面像の形状を所望の形状にするためには、2つの光パルス12、13の断面が重なり合う部分の形状を所望の形状にする必要がある。具体的には、例えば、第1の光パルス12の断面形状を蛍光空間11内の一定の範囲に及ぶ形状にしておき、第2の光パルス13の断面形状を所望の断面形状とする。これにより、第2の光パルス13の断面形状が断面像14a〜14cとして蛍光空間11に表示されることになる。更に、断面像の表示される位置に応じて対応する第2の光パルス13の断面形状を変化させることにより、所望の三次元映像が得られる。
【0054】
以下に、上記の現象の原理、および具体例について説明する。
【0055】
(蛍光発生の原理)
次に、多光子吸収による蛍光発生の原理について図3〜図7を参照して説明する。本発明に係る三次元映像表示方法は、蛍光空間内において2つの光パルスを重ね合わせ、その重なり合った点でのみ蛍光を発することにより、三次元空間における表示を可能とする。鮮明な三次元映像を得るためには、光る場所と、光らない場所との高いOn/Off比が求められる。本発明では、光パルスの波長と蛍光体の多光子吸収エネルギーを選択することによって、高いOn/Off比を得ることが可能である。ただし、On/Off比とは、第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なっている場所と重なっていない場所の蛍光強度比を表す。第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なっていない場所においては、第1の光パルス12の光子同士、第2のパルス13の光子同士の多光子吸収が起こり、重なっている場所においては、第1の光パルス12の光子同士、第2の光パルス13の光子同士による多光子吸収に加え、第1の光パルスの光子と第2の光パルスの光子による多光子吸収が生じる。
【0056】
第1の光パルス12の波長をλ、光強度をI、第2の光パルス13の波長をλ、光強度をIとし、第2の光パルス13が光パルス列であったときに、光パルス列に含まれる光パルスの数をN個とし、蛍光体の励起エネルギーをEa以上Eb以下とする。このとき、第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なった位置でのみ強く蛍光を生じるためには、
【数1】

【数2】

【数3】

であることが必要であり、数式(1)、数式(2)、数式(3)を満たすとき、第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なる場所で、二光子吸収が起きる。ただし、cは光の速度、hはプランク定数である。
【0057】
またさらに、
【数4】

であるときは(図3参照)、励起エネルギーが、Ea以上Eb以下における蛍光体の二光子吸収定数をβとすると、蛍光強度は吸収の大きさに比例するので、第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なっている場所と重なっていない場所の蛍光強度比(On/Off比)は、
【数5】

のように表され、N=1、I=Iで最大値2となり、Nが増えるほどOn/Off比は低くなる。
【0058】
また、
【数6】

であるときには(図4参照)、三光子吸収エネルギーがEa以上Eb以下における蛍光体の三光子吸収定数をγとすると、
【数7】

となり、第2の光パルス13による三光子吸収が無視できるほど小さい範囲では、
【数8】

であれば、On/Off比は大きくなる。
【0059】
さらに、
【数9】

であれば(図5参照)、On/Off比は、
【数10】

となり、β>>γであるから、数式(7)よりもさらに大きくなる。
【0060】
さらに(図6参照)、
【数11】

もしくは(図7参照)、
【数12】

であれば、光パルス同士が重なっていない場所では、ほとんど多光子吸収が起こらないため、Offはほぼ0となる。
【0061】
つまり、高いOn/Off比を得るには、蛍光体と光パルスの関係が、数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(6)、数式(8)を満たすことが望ましく、数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(9)を満たすことはさらに望ましく、数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(11)、もしくは数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(12)を満たすことがもっとも望ましい。
【0062】
ただし、より鮮明な三次元映像を得るためには、高いOn/Off比以外に高い蛍光効率が求められる。第1の光パルス12と第2の光パルス13が重なることによって生じる蛍光効率は、
【数13】

に比例する。数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(6)、数式(8)、もしくは数式(1)、数式(2)、数式(3)、数式(9)、を満たす以外に、蛍光体の二光子吸収係数βと光パルスの強度I・Iが十分な大きさを有する必要がある。ただし、Φは蛍光体の量子効率を表す。
【0063】
(光パルスの波長分散による追い越し)
真空中の光速をc、第1の光パルス12の波長をλ、第2の光パルス13の波長λ、波長λでの蛍光空間11内の屈折率をn(λ)、第1の光パルス12の時間幅をt、第2の光パルス13の時間幅をt、とすると第1の光パルス12と第2の光パルス13の重なり時間ΔTは、
【数14】

重なり長さはΔLは、
【数15】

となる。
【0064】
ここで、人間の眼の空間分解能を考慮すると、ΔLは0.1mm以上であることが望ましく、また、10mmを超えると蛍光面が厚くなりすぎるため、
【数16】

を満たすことが望ましく、さらに、
【数17】

を満たすことがより望ましい。
【0065】
ここで、仮にλ=400nm、λ=800nmとし、蛍光空間11に水が満たされているとすると、それぞれの波長における水の屈折率は、
【数18】

=t=100fsであるとすると、
【数19】

となり、その半値幅をとると約1.3mmになる。つまり蛍光面厚さは、1.3mm程度となる。
【0066】
なお、第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の反対方向から入射させ、光パルスのすれ違いにより蛍光を起こす場合は、同様の計算により、蛍光面厚さは10μm程度となる。このことから、第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の同方向から入射させ、光パルスの追い越しにより蛍光を起こす場合は、第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の反対方向から入射させ、光パルスのすれ違いにより蛍光を起こす場合と比較して、100倍以上の蛍光面厚さを得ることができる。
【0067】
また、人間の眼の空間分解能が0.1mm程度であるため、厚さ10μmの蛍光面は、人間の眼には、厚さ0.1mmの蛍光面が実際の10分の1の明るさで存在しているように見える。そのため、第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の同方向から入射させ、光パルスの追い越しにより蛍光を起こす場合は、第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の反対方向から入射させ、光パルスのすれ違いにより蛍光を起こす場合と比較して、人間の眼には蛍光面が10倍程度明るく見える。
【0068】
(光パルスの入射タイミングと断面像の位置の関係)
真空中の光速をc、第1の光パルス12の波長をλ、第2の光パルスの波長λ、波長λでの蛍光空間11内の屈折率をn(λ)、第1の光パルス12の時間幅をt、第2の光パルス13の時間幅をt、第1の光パルス12と第2の光パルス13の距離をLとすると、第2の光パルス13が第1の光パルス12に追いつくまでの時間Tは、
【数20】

となり、重なり位置の入射面からの距離Xは、
【数21】

となる。加えて、断面像の間隔をΔX、パルス組ごとのLの差をL−L=L−L=ΔL(図2参照)とすると、
【数22】

となる。
【0069】
ここで、仮にλ=400nm、λ=800nm、t=t=100fsであるとして、蛍光空間11に水が満たされているとすると、上述の通り、蛍光面厚さは1.3mm程度となるので、隙間なく断面像を表示させるにはΔX=1.3×10−3であればよく、この場合、ΔLは、数式(22)より、
【数23】

となり、第1の光パルス12と第2の光パルス13の距離Lは、例えば、1.31
×10−5×n(n:1、2、3、・・・)であればよい。
【0070】
以下に、本発明の実施の形態に係る三次元映像表示方法をより具体的に説明する。
【0071】
[第1の実施の形態]
(三次元映像表示装置の構成)
図8は、本発明の第1の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。この三次元映像表示装置1は、一定の繰り返し周期で光パルスを出射する光パルス光源21と、光パルス光源21から出射された光パルスを第1の光パルス12と第2の光パルス13とに分割するビームスプリッタ22と、第1の光パルス12の光路長を変更する光路長制御部23と、第2の光パルス13の波長を変更する波長変換器25と、第2の光パルス13に断面像信号に応じた断面情報を書き込む空間光変調部26と、第1および第2の光パルス13をそれぞれビーム径を拡大して蛍光空間11に入射する拡大光学系27と、光路を形成する複数の反射ミラー36と、本装置の各部を制御する図示しない制御部とを備える。
【0072】
光パルス光源21には、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長800nmの光パルスレーザを用いる。
【0073】
波長変換器25は、ビームスプリッタ22で分割された第2の光パルス13の波長800nmを例えば波長1300nmに波長変換するものであり、例えば、OPA(Optical Parametric Amplifier)を用いることができる。
【0074】
光路長制御部23は、制御部の制御により、第1の光パルス12が光パルス光源21から蛍光空間11に至るまでの光路長を調整するものである。この光路長の調整により2つの光パルス12、13の光路長の差を変化させ、蛍光空間11への入射タイミングを制御することができる。
【0075】
具体的には、一対の鏡を組み合わせた切替ミラー24a〜24eを所定の間隔で配置し、そのうちのいずれかの切替ミラー24a〜24eを選択して、その選択した切替ミラー24a〜24eによって第1の光パルス12を反射させる。このとき、選択する切替ミラー24a〜24eによって光路長が変わるので、ビームスプリッタ22により分割された第1の光パルス12と第2の光パルス13が再び同光軸上に乗った際の間隔が変化し、それにより断面像が蛍光空間11に表示される位置が変化する。
【0076】
具体的には、選択する切替ミラー24a〜24eは、24a、24b、24c、24d、24eの順に光路長が大きくなり、それに伴い、ビームスプリッタ22により分割された第1の光パルス12と第2の光パルス13が蛍光空間11に入射する際の間隔が順に大きくなる。図2に示すように、第1の光パルス12と第2の光パルス13が蛍光空間11に入射する際の間隔が大きくなるほど、蛍光空間11内での断面像の形成される位置が蛍光空間11の入射面から遠くなる。図8においては、切替ミラー24a、24b、24c、24d、24eを選択した場合は、蛍光空間11においてそれぞれ断面像14a、14b、14c、14d、14eが形成される。切替ミラー24a〜24eの設置される間隔により、断面像14a〜14eの形成される間隔が変化する。なお、図8においては、5対の切替ミラー24a〜24eが備わっているものとして示したが、切替ミラーの数はこれに限定されるものではなく、蛍光空間11に形成される断面像の数も断面像14a〜14eの5つに限られない。
【0077】
空間光変調部26は、レンズにより入射した第2の光パルス13を拡大する拡大光学系262と、拡大された第2の光パルス13に断面像信号に対応した断面情報を書き込む空間光変調器261と、断面情報を書き込まれた第2の光パルス13をレンズにより縮小する縮小光学系263とを備える。
【0078】
空間光変調器261は、例えば、液晶空間光変調器を用いることができる。断面像信号に基づいて液晶空間光変調器の各画素に印加する電圧を制御することにより、断面像信号に対応した断面情報を第2の光パルス13に書き込み、所定の光パターンを有する第2の光パルス13を生成する。なお、空間光変調器として、マイクロミラーアレイを用いることもできる。
【0079】
光路長制御部23による光路長の変更タイミングと空間光変調部26による断面情報の書き込みタイミングとは、図示しない制御部によって同期するように制御される。
【0080】
蛍光空間11は、蛍光体、または蛍光体を含む気体、液体あるいは固体で満たされている。蛍光体としては、二光子蛍光色素などの、高い二光子蛍光効率を示す物質が好ましい。高い二光子蛍光効率を有する色素として、Rhodamine色素、Fluorescein色素、DiI色素、Coumarin色素などの一般的に知られているものを用いることができ、例えば、エタノール中にRhodamine 6Gを1wt%の濃度で分散させたものを蛍光空間11に満たして用いることができる。その他、特開2004−123668号公報、特開2004−224746号公報、特開2001−520637号公報、特開2004−29480号公報等に示された高い二光子蛍光効率を示す色素も本発明に適用可能である。ここで、蛍光空間11が有機溶剤に蛍光材料が分散したものである場合には、第1の光パルス及び第2の光パルスの波長に対して透明な重水素置換溶剤を溶媒に用いることが好ましい。第1の光パルスと第2の光パルスのうち波長が長い方の光パルスは、近赤外〜赤外波長である場合が多いと考えられるが、有機溶剤に二光子蛍光材料を分散させたものを蛍光空間とする場合、有機溶剤の多くは赤外領域に吸収を有するため、光パルスのエネルギーを有効活用することができない。従って、蛍光体を含む溶媒は、重水素化された溶媒であることが好ましい。
【0081】
また、蛍光空間11の第1および第2の光パルス12、13の入射面と反対側に、第1および第2の光パルス12、13の波長(800nm、および1300nm)のみをカットし、それ以外の波長を有する光を透過するノッチフィルタ15が設けられることが好ましい。これにより、観察者はノッチフィルタ15の側からもパルス光の影響を受けずに三次元映像を観賞することができる。
【0082】
以下に、本実施の形態に係る三次元映像表示装置1の動作例を示す。
【0083】
(三次元映像表示装置の動作)
まず、光パルス光源21から5つのパルス光が所定の間隔を置いて射出され、これらがビームスプリッタ22により分離されて、それぞれ5つの第1の光パルス12a〜12eと第2の光パルス13a〜13eとなる。
【0084】
第1の光パルス12a〜12eは光路長制御部23に入射し、第1の光パルス12a、12b、12c、12d、12eは、それぞれ切替ミラー24a、24b、24c、24d、24eの形成する光路を通る。
【0085】
一方、第2の光パルス13a〜13eは、波長変換器25により波長を変換され、その後、空間光変調部26により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、第1の光パルス12a〜12eと同光軸上に乗る。
【0086】
図9は、画像情報を書き込まれた第2の光パルスの形状の一例、図10は、第1の光パルスの形状の一例を示す。空間光変調部26により、断面情報が5つの第2のパルス13a〜13eに順次書き込まれ、第2のパルス13a〜13eは図9に示すような形状となる。なお、第1の光パルス14a〜14eは、断面情報を書き込まれないために、図10に示すようにいずれも同様の形状を有する。図10に示した形状は一例であるが、画像情報を書き込まれた第2のパルス13a〜13eの形状を全て含むような形状、および大きさを有することが好ましい。
【0087】
図11は、第1および第2の光パルスと断面像の関係を示す概念図である。図11中のL、L、L、L、Lは、第1の光パルス12と第2の光パルス13のそれぞれの光パルス組の蛍光空間11への入射前の間隔を表す。第1の光パルス12と第2の光パルス13の間隔(入射タイミングの差)が小さいほど、入射面に近い位置で第2の光パルス13が第1の光パルス12に追いつき、第1および第2の光パルス12a、13aの組は断面像14a、第1および第2の光パルス12b、13bの組は断面像14b、第1および第2の光パルス12c、13cの組は断面像14c、第1および第2の光パルス12d、13dの組は断面像14d、第1および第2の光パルス12e、13eの組は断面像14eをそれぞれ形成する。なお、第1および第2の光パルス12a〜12e、13a〜13eの組の入射順(断面像14a〜14eの形成される順)は、図11に示すものに限られない。
【0088】
図12は、断面像により構成される三次元映像の一例を示す。画像情報を書き込まれた第2のパルス13a〜13eがそれぞれ光路長を調整された第1の光パルス12a〜12eと蛍光空間11において順次重なると、図11に示すように断面像14a〜14hが表示され、これらが三次元映像14として表示される。なお、断面像の厚さ、間隔、数等は上記のものに限られず、数多くの断面像を隙間なく形成すれば、より解像度の高い詳細な三次元映像を形成することができる。
【0089】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、波長の異なる第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の同方向から入射させ、屈折率の波長分散に起因する光パルスの追い越しにより蛍光を発生させ、分解能や明るさが均質で鮮明な三次元映像14を表示することができる。
【0090】
また、第1の光パルス12と第2の光パルス13を蛍光空間11に同光軸上の反対方向から入射させ、光パルスのすれ違いにより蛍光を起こす場合と比較して、厚さ、明るさの大きい断面像14a〜14eを形成することができるので、断面像14a〜14eにより構成される三次元映像14の画質、明るさを向上させることができる。
【0091】
[第2の実施の形態]
第2の実施の形態は、光パルス光源を2つ用いる点において第1の実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0092】
(三次元映像表示装置の構成)
図13は、本発明の第2の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。本実施の形態に係る三次元営巣表示装置1は、光パルス光源として、第1の光パルス光源21aと、第2の光パルス光源21bを有する。
【0093】
第1の光パルス光源21aには、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長800nmの光パルスレーザを用い、第2の光パルス光源21bには、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長1300nmの光パルスレーザを用いる。第1および第2のパルス光源21a、21bは、同期して光パルスを射出するように構成されている。
【0094】
(三次元映像表示装置の動作)
第1の光パルス光源21aから出射された第1の光パルス12a〜12eは光路長制御部23に入射し、第1の光パルス12a、12b、12c、12d、12eは、それぞれ切替ミラー24a、24b、24c、24d、24eの形成する光路を通る。
【0095】
一方、第2の光パルス光源21bから出射された第2の光パルス13a〜13eは、空間光変調部25により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、第1の光パルス12a〜12eと同光軸上に乗る。
【0096】
その後、第1の光パルス12a〜12e、および第2の光パルス13a〜13e蛍光空間11に入射し、第1および第2の光パルス12a、13aの組は断面像14a、第1および第2の光パルス12b、13bの組は断面像14b、第1および第2の光パルス12c、13cの組は断面像14c、第1および第2の光パルス12d、13dの組は断面像14d、第1および第2の光パルス12e、13eの組は断面像14eをそれぞれ形成する。
【0097】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。なお、第1の光パルス光源21aと、第2の光パルス光源21bが互いに異なる波長の光パルスを射出するため、第1の実施の形態におけるビームスプリッタ22、および波長変換器25を必要としない。
【0098】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態は、光路長制御部23の構成において第1の実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0099】
(三次元映像表示装置の構成)
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。光路長制御部23は、一対の回転ミラーである回転ミラー28a〜28dと、一対の固定ミラーである固定ミラー29を有して構成される。
【0100】
図15は、回転ミラー、および固定ミラーの拡大図である。回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29は、それぞれ異なる第1の光パルス12の光路を形成する。回転ミラー28a〜28dは、孔の一部を塞ぐ突起部を内側に有する環形状を有し、回転角に応じて第1の光パルス12を反射したり通過させたりすることができる。また、固定ミラー29は、回転ミラー28a〜28dの列の後ろに配置される。
【0101】
入射側の回転ミラー28a〜28dを所定の位相差を設けて同速度で回転させ、いずれか1つの回転ミラー28a〜28dの突起部により光路が遮られると、その回転ミラー28a〜28dによって第1の光パルス12は反射され、その回転ミラー28a〜28dが形成する光路へとその進路を変更する。第1の光パルス12が全ての回転ミラー28a〜28dを通過した場合は、固定ミラー29によって第1の光パルス12は反射され、その固定ミラー29が形成する光路を進む。
【0102】
射出側の回転ミラー28a〜28dは、対になる入射側の回転ミラー28a〜28dと光路を形成するため、入射側と射出側の回転ミラー28a〜28dは、図15に示すように、同期して回転するように構成されている。
【0103】
光路長制御部23による光路長の変更タイミングと空間光変調部26による断面情報の書き込みタイミングとは、図示しない制御部によって同期するように制御される。
【0104】
具体的には、回転ミラー28a、28b、28c、28d、固定ミラー29の順に、形成する光路の光路長が大きくなり、それに伴い、第1の光パルス12と第2の光パルス13が蛍光空間11に入射する際の間隔が順に大きくなる。図14においては、回転ミラー28a、28b、28c、28d、固定ミラー29により光路が形成された場合は、蛍光空間11においてそれぞれ断面像14a、14b、14c、14d、14eが形成される。回転ミラー28a〜28d、固定ミラー29の設置される間隔により、断面像14a〜14eの形成される間隔が変化する。なお、図14、図15においては、4対の回転ミラー28a〜28dが備わっているものとして示したが、回転ミラーの数はこれに限定されるものではなく、蛍光空間11に形成される断面像の数も断面像14a〜14eの5つに限られない。
【0105】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、光路長制御部23が光利用効率の高い回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29により構成されているので、コントラストが高く、高輝度で鮮明な三次元映像を表示することができる。
【0106】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態は、光路長制御部23の代わりに回転光媒質30を用いる点において第1の実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0107】
(三次元映像表示装置の構成)
図16は、本発明の第4の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。光路長制御部23は、光軸に対する厚さの異なる複数の光媒質を有する回転光媒質30を有して構成される。
【0108】
図17は、回転光媒質の拡大図である。回転光媒質30は、同じ屈折率を有し、厚さの異なる光媒質30a〜30eを環状に配列して構成される。ここで、真空中の高速をcとすると、屈折率n、厚さdの板を通った光パルスは、空気中を通る光パルスよりも、時間にして(n−1)d/c秒だけ遅れることになる。これにより、回転光媒質30を空間光変調261の動作に同期して回転させることにより、第1の光パルス12を異なる厚さの光媒質30a〜30eを通過させ、蛍光空間11への入射タイミングを調整することができる。なお、回転光媒質30を構成する複数の光媒質は、それぞれ屈折率の異なるものであってもよい。
【0109】
具体的には、光媒質30a、30b、30c、30d、30eの順に厚さが増し、通過する第1の光パルス12の蛍光空間11への入射タイミングが遅れる。それに伴い、第1の光パルス12と第2の光パルス13が蛍光空間11に入射する際の間隔が順に大きくなる。図16においては、光媒質30a、30b、30c、30d、30eを第1の光パルス12が通過した場合は、蛍光空間11においてそれぞれ断面像14a、14b、14c、14d、14eが形成される。光媒質30a、30b、30c、30d、30eの厚さの差により、断面像14a〜14eの形成される間隔が変化する。なお、図17においては、5個の光媒質30a〜30eが備わっているものとして示したが、光媒質の数はこれに限定されるものではなく、蛍光空間11に形成される断面像の数も断面像14a〜14eの5つに限られない。
【0110】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、回転光媒質30は光路長を変化させて蛍光空間11への入射タイミングを調整する装置と比較してコンパクトであり、構成が単純であるので、三次元映像表示装置1の小型化が可能であり、また、製造コストを抑えることができる。
【0111】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態は、空間光変調部26を複数用いる点において第1の実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0112】
(三次元映像表示装置の構成)
図18は、本発明の第5の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。この三次元映像表示装置1は、一定の繰り返し周期で光パルスを出射する光パルス光源21と、光パルス光源21から出射された光パルスを第1の光パルス12と第2の光パルス13とに分割するビームスプリッタ22と、第2の光パルス13の波長を変更する波長変換器25と、ビームスプリッタ22によって分割された第2の光パルス13の光路Ra〜Reを選択する分岐部31と、光路Ra〜Reを進む第2の光パルス13にそれぞれ断面像信号に基づいた断面情報を書き込む複数の空間光変調部26と、第2の光パルス13の光路長を調整する遅延光路32と、第2の光パルス13の光路Ra〜Rhを合流させる合流部33と、第1および第2の光パルス13をそれぞれビーム径を拡大して蛍光空間11に入射する拡大光学系27と、光路を形成する複数の反射ミラー36と、本装置の各部を制御する図示しない制御部とを備える。
【0113】
分岐部31、および合流部33は、回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29から構成される。分岐部31、および合流部33に用いられる回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29の構成および動作は、第3の実施の形態において光路長制御部23に用いられる一対の回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29と同様である。
【0114】
分岐部31の回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29は、それぞれ異なる第2の光パルス12の光路Ra〜Reを形成し、合流部33の回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29は、それぞれ第2の光パルス12の光路Ra〜Reを合流させる。
【0115】
空間光変調部26は、分岐部31によって選択される光路Ra〜Re上にそれぞれ配置された空間光変調器261と、各空間光変調器261の前段に配置された拡大光学系262と、各空間光変調器261の後段に配置された縮小光学系263とを備える。
【0116】
遅延光路32は、各光路Ra〜Reを通る第2の光パルス13の光路長を調整することにより、第2の光パルス13の蛍光空間11への入射タイミングを調整するものであり、適宜の位置に配置された複数の反射ミラー321により構成される。
【0117】
なお、遅延光路32は、各光路Ra〜Re上に所定の厚さを有する光媒質を配置し、光媒質の厚さ、または屈折率により、第2の光パルス13の蛍光空間11への入射タイミングを調整する構成であってもよい。
【0118】
分岐部31の光路Ra〜Reを選択する動作、空間光変調器261の断面情報を書込む動作、および合流部33の光路Ra〜Reを合流させる動作は、図示しない制御部によって同期するように制御されている。
【0119】
(三次元映像表示装置の動作)
まず、光パルス光源21から5つのパルス光が所定の間隔を置いて射出され、これらがビームスプリッタ22により分離されて、それぞれ5つの第1の光パルス12a〜12eと第2の光パルス13a〜13eとなる。
【0120】
第2の光パルス13a〜13eは、分岐部31の回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29により、それぞれ光路Ra〜Reを進み、空間光変調部26により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、合流部33の回転ミラー28a〜28d、および固定ミラー29により合流し、第1の光パルス12a〜12eと同光軸上に乗る。
【0121】
第1および第2の光パルス12a〜12e、13a〜13eは蛍光空間11に入射し、第1および第2の光パルス12a、13aの組は断面像14a、第1および第2の光パルス12b、13bの組は断面像14b、第1および第2の光パルス12c、13cの組は断面像14c、第1および第2の光パルス12d、13dの組は断面像14d、第1および第2の光パルス12e、13eの組は断面像14eをそれぞれ形成する。
【0122】
なお、図18においては、5個の空間光変調器261が備わっているものとして示したが、空間光変調器261の数はこれに限定されるものではなく、蛍光空間11に形成される断面像の数も断面像14a〜14eの5つに限られない。
【0123】
(第5の実施の形態の効果)
この第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、空間光変調部26に複数の空間光変調器261を用いることにより、各空間光変調器261はそれぞれ1つの断面情報を第2の光パルス13a〜13eに書き込む構成となっている。そのため、第2の光パルス13a〜13eの間隔が短い場合であっても、比較的容易に断面情報を書き込むことができる。
【0124】
[第6の実施の形態]
第6の実施の形態は、1つの第1の光パルス12と、複数の第2の光パルス13からなるパルス列131により、三次元映像14を形成する点において上記各実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、上記各実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0125】
(三次元映像表示装置の構成)
図19は、本発明の第6の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。この三次元映像表示装置1は、一定の繰り返し周期で第1および第2の光パルス12、13を出射する第1および第2の光パルス光源21a、21bと、第2の光パルス13の光路Ra〜Reを選択する分岐部31と、光路Ra〜Reを進む第2の光パルス13にそれぞれ断面像信号に基づいた断面情報を書き込む複数の空間光変調部26と、第2の光パルス13の光路長を調整する遅延光路32と、第2の光パルス13の光路Ra〜Rhを合流させる合流部33と、第1および第2の光パルス13をそれぞれビーム径を拡大して蛍光空間11に入射する拡大光学系27と、光路を形成する複数の反射ミラー36と、本装置の各部を制御する図示しない制御部とを備える。
【0126】
第1の光パルス光源21aには、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長800nmの光パルスレーザを用い、第2の光パルス光源21bには、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長1300nmの光パルスレーザを用いる。第1の光パルス光源21aが1個の第1の光パルス12aを射出するタイミングに合わせて、第2の光パルス光源21bは第2の光パルス13a〜13hを所定の周期で連続的に射出することにより光パルス列131を射出する。
【0127】
(三次元映像表示装置の動作)
まず、第1の光パルス光源21aが1個の第1の光パルス12aを射出するタイミングに合わせて、第2の光パルス光源21bが第2の光パルス13a〜13hからなるパルス列131を射出する。
【0128】
パルス列131を構成する第2の光パルス13a〜13hは、分岐部31の回転ミラー28a〜28g、および固定ミラー29により、それぞれ光路Ra〜Rhを進み、空間光変調部26により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、合流部33の回転ミラー28a〜28g、および固定ミラー29により合流して再びパルス列131となり、第1の光パルス12aと同光軸上に乗る。
【0129】
図20は、第1および第2の光パルスと断面像の関係を示す概念図である。第1の光パルス12aと第2の光パルス13a〜13hからなるパルス列131が蛍光空間11に入射すると、第2の光パルス13a〜13hは、第1の光パルス12aに順に追いつき、それぞれ断面像14a〜14hを形成し、三次元映像14を表示する。
【0130】
具体的には、第2の光パルス13a〜13hの順に、蛍光空間11に入射する前の第1の光パルス12aとの間隔(入射タイミングの差)が小さいため、第2の光パルス13a〜13hの順に入射面に近い位置で第1の光パルス12aに追いつき、第1および第2の光パルス12a、13aの組は断面像14a、第1および第2の光パルス12a、13bの組は断面像14b、第1および第2の光パルス12a、13cの組は断面像14c、第1および第2の光パルス12a、13dの組は断面像14d、第1および第2の光パルス12a、13eの組は断面像14e、第1および第2の光パルス12a、13fの組は断面像14f、第1および第2の光パルス12a、13gの組は断面像14g、第1および第2の光パルス12a、13hの組は断面像14h、をそれぞれ形成する。
【0131】
なお、図19においては、8個の空間光変調器261が備わっているものとして示したが、空間光変調器261の数はこれに限定されるものではなく、蛍光空間11に形成される断面像の数も断面像14a〜14hの8つに限られない。
【0132】
(第6の実施の形態の効果)
この第6の実施の形態によれば、1つの第1の光パルス12と、複数の第2の光パルス13からなるパルス列131により、複数の断面像を形成し、三次元映像14の表示を迅速に行うことができる。これにより、表示する三次元映像を短い間隔で連続的に切り替え、動画表示を行うことが容易になる。
【0133】
[第7の実施の形態]
第7の実施の形態は、分岐部31および合流部33の代わりに、分岐光学系34および合成光学系35を用いた点において第6の実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、第6の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0134】
(三次元映像表示装置の構成)
図21は、本発明の第7の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。分岐光学系34、および合成光学系35は、それぞれ複数のビームスプリッタ341、351、および反射ミラー342、352を有して構成され、それぞれ分岐部31、および合流部33と同様の役割を有する。
【0135】
(三次元映像表示装置の動作)
まず、光パルス光源21から8つのパルス光が所定の間隔を置いて射出され、これらがビームスプリッタ22により分離されて、それぞれ1つの第1の光パルス12aと1つの第2の光パルス13となる。
【0136】
次に、1つの第2の光パルス13は、波長変換器25により波長を変換された後、分岐光学系34のビームスプリッタ341により各所で分離され、5つの第2の光パルス13a〜13hとなる。
【0137】
第2の光パルス13a〜13hは、それぞれビームスプリッタ351、および反射ミラー352により形成される光路Ra〜Rhを進み、空間光変調部26により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、合成光学系35のビームスプリッタ351、および反射ミラー352により合流し、第1の光パルス12aと同光軸上に乗る。
【0138】
その後、第1の光パルス12aと第2の光パルス13a〜13hが蛍光空間11に入射すると、図20に示すようにして、第2の光パルス13a〜13hは、第1の光パルス12aに順に追いつき、それぞれ断面像14a〜14hを形成し三次元映像14を表示する。
【0139】
なお、図21においては、8個の空間光変調器261が備わっているものとして示したが、空間光変調器261の数はこれに限定されるものではなく、蛍光空間11に形成される断面像の数も断面像14a〜14hの8つに限られない。
【0140】
(第7の実施の形態の効果)
この第7の実施の形態によれば、ビームスプリッタ341、351を有して構成される分岐光学系34、合成光学系35を用いることにより、1つの第2の光パルス13を8つの第2の光パルス13a〜13hに分離するため、1つの光パルス光源21から1つの第1の光パルス12a、および8つの第2の光パルス13a〜13hを形成することが可能となる。
【0141】
[第8の実施の形態]
第8の実施の形態は、1つの第1の光パルス12と、複数の第2の光パルス13からなるパルス列131の組を複数組用いることにより、三次元映像を形成する点において上記各実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、上記各実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0142】
(三次元映像表示装置の構成)
図22は、本発明の第8の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。この三次元映像表示装置1は、一定の繰り返し周期で第1および第2の光パルス12、13を出射する第1および第2の光パルス光源21a、21bと、第2の光パルス13の光路Ra〜Reを選択する分岐部31と、光路Ra〜Reを進む第2の光パルス13にそれぞれ断面像信号に基づいた断面情報を書き込む複数の空間光変調部26と、第2の光パルス13の光路長を調整する遅延光路32と、第2の光パルス13の光路Ra〜Rhを合流させる合流部33と、第1および第2の光パルス13をそれぞれビーム径を拡大して蛍光空間11に入射する拡大光学系27と、光路を形成する複数の反射ミラー36と、本装置の各部を制御する図示しない制御部とを備える。
【0143】
第1の光パルス光源21aには、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長800nmの光パルスレーザを用い、第2の光パルス光源21bには、例えば、時間幅50フェムト秒、繰り返し周波数1kHz、波長1300nmの光パルスレーザを用いる。第1の光パルス光源21aが1個の第1の光パルス12aを射出するタイミングに合わせて、第2の光パルス光源21bは4つの第2の光パルス13a、13c、13e、13gを所定の周期で連続的に射出することによりパルス列131aを射出し、第1の光パルス光源21aが1個の第1の光パルス12bを射出するタイミングに合わせて、第2の光パルス光源21bは4つの第2の光パルス13b、13d、13f、13hを所定の周期で連続的に射出することによりパルス列131bを射出する。
【0144】
(三次元映像表示装置の動作)
まず、第1の光パルス光源21aが1個の第1の光パルス12aを射出するタイミングに合わせて、第2の光パルス光源21bが4つの第2の光パルス13a、13c、13e、13gからなるパルス列131aを射出し、続けて、第1の光パルス光源21aが1個の第1の光パルス12bを射出するタイミングに合わせて、第2の光パルス光源21bが4つの第2の光パルス13b、13d、13f、13hからなるパルス列131bを射出する。
【0145】
パルス列131aを構成する第2の光パルス13a、13c、13e、13gは、分岐部31の回転ミラー28a〜28c、および固定ミラー29により、それぞれ光路Ra〜Rdを進む。一方、パルス列131bを構成する第2の光パルス13b、13d、13f、13hは、第2の光パルス13a、13c、13e、13gに続いて、分岐部31の回転ミラー28a〜28c、および固定ミラー29により、それぞれ光路Ra〜Rdを進む。即ち、第2の光パルス13a、13eは光路Ra、第2の光パルス13b、13fは光路Rb、第2の光パルス13c、13gは光路Rc、第2の光パルス13d、13hは光路Rdを進む。
【0146】
次に、第2の光パルス13a、13c、13e、13gは、空間光変調部26により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、合流部33の回転ミラー28a〜28c、および固定ミラー29により合流し、再びパルス列131aとなって第1の光パルス12aと同光軸上に乗り、続いて、第2の光パルス13b、13d、13f、13hは、空間光変調部26により断面像信号に対応した断面情報をそれぞれ書き込まれ、合流部33の回転ミラー28a〜28c、および固定ミラー29により合流し、再びパルス列131bとなって第1の光パルス12bと同光軸上に乗る。
【0147】
図23は、第1および第2の光パルスと断面像の関係を示す概念図である。第1の光パルス12aと、第2の光パルス13a、13c、13e、13gからなるパルス列131aが蛍光空間11に入射すると、第2の光パルス13a、13c、13e、13gは、第1の光パルス12aに順に追いつき、それぞれ断面像14a、14c、14e、14gを形成し、第1の光パルス12bと、第2の光パルス13b、13d、13f、13hからなるパルス列131bが蛍光空間11に入射すると、第2の光パルス13b、13d、13f、13hは、第1の光パルス12bに順に追いつき、それぞれ断面像14b、14d、14f、14hを形成し、三次元映像14が表示される。
【0148】
具体的には、第1の光パルス12aと第2の光パルス13a、13c、13e、13gの組においては、第2の光パルス13a、13c、13e、13gの順に、蛍光空間11に入射する前の第1の光パルス12aとの間隔(入射タイミングの差)が小さいため、第2の光パルス13a、13c、13e、13gの順に入射面に近い位置で第1の光パルス12aに追いつき、第1および第2の光パルス12a、13aの組は断面像14a、第1および第2の光パルス12a、13cの組は断面像14c、第1および第2の光パルス12a、13eの組は断面像14e、第1および第2の光パルス12a、13gの組は断面像14gをそれぞれ形成する。
【0149】
一方、第1の光パルス12bと第2の光パルス13b、13d、13f、13hの組においては、第2の光パルス13b、13d、13f、13hの順に、蛍光空間11に入射する前の第1の光パルス12bとの間隔(入射タイミングの差)が小さいため、第2の光パルス13b、13d、13f、13hの順に入射面に近い位置で第1の光パルス12bに追いつき、第1および第2の光パルス12b、13bの組は断面像14b、第1および第2の光パルス12b、13dの組は断面像14d、第1および第2の光パルス12b、13fの組は断面像14f、第1および第2の光パルス12b、13hの組は断面像14hをそれぞれ形成する。
【0150】
なお、本実施の形態は、1つの第1の光パルス12と、4つの光パルスからなる組を2組用いることにより、1つの三次元映像14を表示する構成としたが、これらの組の数は上記のものに限られず、また、第2の光パルス13の第1の光パルス12との組み合わせも上記のものに限られない(例えば、第1の光パルス12aと第2の光パルス13a〜13dとを1組とし、第1の光パルス12bと第2の光パルス13e〜13hとを1組としてもよい)。即ち、N個の第2の光パルスからなるM組のパルス列を用いて(1組のパルス列に1つの第1の光パルス12が対応)、M×N個の断面像14を形成する構成であればよい。
【0151】
(第8の実施の形態の効果)
この第8の実施の形態によれば、1つの第1の光パルス12と、複数の第2の光パルス13からなるパルス列131の組を複数組用いて、複数の断面像を形成することにより、第6の実施の形態と比較して、三次元映像14の表示速度は劣るものの、空間光変調器261の数を少なくして装置を小型化することができ、第1の実施の形態と比較して、空間光変調器261の数は増えるものの、三次元映像14の表示を迅速に行うことができる。
【0152】
[第9の実施の形態]
第9の実施の形態は、回転光媒質30の構成において第4の実施の形態と異なる。なお、他の構成部分、動作等、第4の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0153】
図17を一例とするように、回転光媒質30は、厚さの異なる複数の光媒質を有し、これらの複数の光媒質に第1の光パルス12を通過させることにより、第1の光パルス12の蛍光空間11への入射タイミングを調整する。
【0154】
しかし、これらの複数の光媒質は、それぞれ異なる厚さを有するために、その重さもそれぞれ異なる。そのため、各光媒質の配置によって回転光媒質30の重心が変化する。回転光媒質30を高速に、かつ安定して回転させ、第1の光パルス12の蛍光空間11への入射タイミングを正確に調整するためには、回転光媒質30の重心が回転軸上の回転中心の近くにあることが望ましい。
【0155】
図24、および図25は、本発明の第9の実施の形態に係る回転光媒質の拡大図である。
【0156】
図24は、回転光媒質30が、5種類の異なる厚さを有する光媒質30a〜30eをそれぞれ2つずつ有する場合の構成例を示す。ここで、光媒質30a、30b、30c、30d、30eの順に厚さが増す。同図に示すように、同じ厚さを有する光媒質が回転中心に対して対称な位置にそれぞれ配置されており、回転光媒質30の重心を回転中心に一致している。なお、完全に一致していなくてもよく、回転光媒質30が高速に、かつ安定して回転できる程度に近づいていればよい。
【0157】
図25は、回転光媒質30が、10種類の異なる厚さを有する光媒質30a〜30jを1つずつ有する場合の構成例を示す。ここで、光媒質30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30h、30i、30jの順に厚さが増す。同図に示すように、近い厚さを有する光媒質が回転中心に対して対称な位置にそれぞれ配置されており、回転光媒質30の重心を回転中心に近づけている。
【0158】
なお、複数の光媒質の数、および配置は上述したものに限られず、回転光媒質30の重心が回転中心の近くにあるようなものであればよい。また、所定の重さを有する重りを回転光媒質30上に設けて、重心を回転中心に近づけてもよい。
【0159】
(第9の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によれば、回転光媒質30を高速に、かつ安定して回転させ、第1の光パルス12の蛍光空間11への入射タイミングを正確に調整することができる。
【0160】
[他の実施の形態]
なお、本発明は、上記各実施の形態、および上記各実施例に限定されずに、その要旨を変更しない範囲内で種々変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態においては、空間光変調器25により第2の光パルス13に断面像信号に対応した断面情報を書き込む構成としたが、第1の光パルス12に断面情報が書き込まれる構成であってもよい。また、蛍光空間11において、第1の光パルス12が第2の光パルス13に追いつかれるとして説明したが、第2の光パルス12が第1の光パルス13に追いつかれる構成であってもよい。
【0161】
また、先に説明したように、蛍光空間11が、エタノールやアセトンなどの有機溶剤に蛍光材料が分散したものである場合には、第1の光パルス及び第2の光パルスの波長に対して透明な重水素置換溶剤を溶媒に用いることが好ましい。水素を重水素に置換した場合、溶媒としての特性に大きな変化がないため、蛍光空間としての性質を損なうことなく波長の選択性を向上させることができる。また、重水素以外では、水素を塩素やフッ素などに置換した場合でも吸収ピークのシフトが起こるため、波長の選択性の向上に利用できる。
【0162】
また、蛍光空間11内部は正常分散を示すものとして説明したが、異常分散を示す構成であってもよい。
【0163】
また、本発明の要旨を変更しない範囲内で各実施の形態および各実施例の構成要素の任意の組合せは可能である。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】(a)〜(c)は、本発明に係る三次元映像表示方法の基本的な原理を示す図である。
【図2】本発明に係る第1および第2の光パルスの入射タイミングの差と蛍光が生じる位置の関係を示す概念図である。
【図3】多光子吸収による蛍光発生の原理を示す1つ目の図である。
【図4】多光子吸収による蛍光発生の原理を示す2つ目の図である。
【図5】多光子吸収による蛍光発生の原理を示す3つ目の図である。
【図6】多光子吸収による蛍光発生の原理を示す4つ目の図である。
【図7】多光子吸収による蛍光発生の原理を示す5つ目の図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る画像情報を書き込まれた第2の光パルスの形状の一例をしめす模式図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る第1の光パルスの形状の一例をしめす模式図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る第1および第2の光パルスと断面像の関係を示す概念図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態に係る断面像により構成される三次元映像の一例を示す。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る回転ミラー、および固定ミラーの拡大図である。
【図16】本発明の第4の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図17】本発明の第4の実施の形態に係る回転光媒質の拡大図である。
【図18】本発明の第5の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図19】本発明の第6の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図20】本発明の第6の実施の形態に係る第1および第2の光パルスと断面像の関係を示す概念図である。
【図21】本発明の第7の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図22】本発明の第8の実施の形態に係る三次元映像表示装置の構成図である。
【図23】本発明の第8の実施の形態に係る第1および第2の光パルスと断面像の関係を示す概念図である。
【図24】本発明の第9の実施の形態に係る回転光媒質の拡大図である。
【図25】本発明の第9の実施の形態に係る回転光媒質の拡大図である。
【符号の説明】
【0165】
1 三次元映像表示装置
11 蛍光空間
12、12a〜12h 第1の光パルス
13、13a〜13h 第2の光パルス
14 三次元映像
14a〜14h 断面像
15 ノッチフィルタ
21 光パルス光源
21a 第1の光パルス光源
21b 第2の光パルス光源
22 ビームスプリッタ
23 光路長制御部
24a〜24e 切替ミラー
25 波長変換器
26 空間光変調部
261 空間光変調器
262 拡大光学系
263 縮小光学系
27 拡大光学系
28a〜28g 回転ミラー
29 固定ミラー
30 回転光媒質
30a〜30j 光媒質
31 分岐部
32 遅延光路
321 反射ミラー
33 合流部
34 分岐光学系
341 ビームスプリッタ
342 反射ミラー
35 合成光学系
351 ビームスプリッタ
352 反射ミラー
36 反射ミラー
Ra〜Rh 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光パルスを所定の方向から真空ではない蛍光空間に入射させる第1のステップと、
前記蛍光空間での伝搬速度が前記第1の光パルスよりも速い第2の光パルスを前記所定の方向と略同方向から前記蛍光空間に前記第1の光パルスと所定時間遅れて入射させ、前記蛍光空間内において前記第2の光パルスが前記第1の光パルスに追いつき、重なった位置で蛍光させる第2のステップと、
を含むことを特徴とする三次元映像表示方法。
【請求項2】
前記第1または前記第2の光パルスのいずれか一方に、断面情報が書き込まれたことを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項3】
前記第1および第2のステップは、前記第1および第2の光パルスの前記蛍光空間への入射タイミングが制御されることにより、前記蛍光空間内の異なる複数の前記位置で蛍光させることを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項4】
真空中の光速をc、前記第1の光パルスの波長をλ、前記第2の光パルスの波長をλ、波長λでの蛍光空間内の屈折率をn(λ)、光パルス1の時間幅をt、光パルス2の時間幅をt、としたとき、1×10−4[m]≦{c(tn(λ)+tn(λ))}/{n(λ)(n(λ)−n(λ))}≦1×10−2[m]を満たすことを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項5】
前記第2のステップは、1つの前記第1の光パルスに対して所定の繰り返し周期で複数の前記第2の光パルスを前記蛍光空間に入射して前記蛍光空間内の複数の前記位置で蛍光させることを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項6】
前記第1のステップは、所定の繰り返し周期で複数の前記第1の光パルスを前記蛍光空間に入射し、
前記第2のステップは、前記所定の繰り返し周期と同一の繰り返し周期でN個の前記第2の光パルスからなる複数のパルス列を前記蛍光空間に入射して前記蛍光空間内のN個の前記位置で蛍光させることを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項7】
前記第1のステップは、所定の繰り返し周期でM個の前記第1の光パルスを前記蛍光空間に入射し、
前記第2のステップは、前記所定の繰り返し周期と同一の繰り返し周期でN個の前記第2の光パルスからなるM個のパルス列を前記蛍光空間に入射して前記蛍光空間内のN×M個の前記位置で蛍光させることを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項8】
前記第2の光パルスへの前記断面情報の書込みは、空間光変調によって行うことを特徴とする請求項1に記載の三次元映像表示方法。
【請求項9】
第1の光パルスを所定の方向から真空ではない蛍光空間に入射させる第1の光パルス入射手段と、
前記蛍光空間での伝搬速度が前記第1の光パルスよりも速い第2の光パルスを前記所定の方向と略同方向から前記蛍光空間に前記第1の光パルスと所定時間遅れて入射させ、前記蛍光空間内において前記第2の光パルスが前記第1の光パルスに追いつき、重なった位置で蛍光させる第2の光パルス入射手段と、
を備えたことを特徴とする三次元映像表示装置。
【請求項10】
前記第1および第2の光パルス入射手段は、光パルスを出射する1つの光パルス光源と、
前記光パルス光源から出射された前記光パルスを2つの光パルスに分割し、前記2つの光パルスのうち一方の光パルスを前記第1の光パルスとし、他方の光パルスを第2の光パルスとする分割光学系と、
を備えたことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項11】
前記第1の光パルス入射手段は、前記第1の光パルスを出射する第1の光パルス光源を備え、
前記第2の光パルス入射手段は、前記第2の光パルスを出射する第2の光パルス光源を備えたことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項12】
前記第1または第2の光パルス入射手段は、断面像信号に応じて光パルスに前記断面情報を書き込んで前記第1の光パルス、または第2の光パルスを生成する空間光変調器を備えたことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項13】
前記空間光変調器は、液晶空間光変調器であることを特徴とする請求項12に記載の三次元映像表示装置。
【請求項14】
前記第1または第2の光パルス入射手段は、光路長の異なる複数の光路を有し、入射された光パルスを前記複数の光路に分配する分岐部と、前記複数の光路に設けられ、前記複数の光路に分配された複数の光パルスに断面情報を書き込む複数の空間光変調器と、前記断面情報が書き込まれた複数の前記第2の光パルスの光軸を一致させて前記複数の第2の光パルスを前記蛍光空間に入射する合流部とを備えたことを特徴とする請求項10に記載の三次元映像表示装置。
【請求項15】
前記分岐部は、入射された光パルスを前記複数の光路を順次切り替えて分配する光路切替部である請求項14に記載の三次元映像表示装置。
【請求項16】
前記分岐部は、入射された光パルスを複数の光パルスに分割して前記複数の光路に分配する分割光学系である請求項14に記載の三次元映像表示装置。
【請求項17】
前記第1または第2の光パルス入射手段は、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの光路長を制御する光路長制御部を備えたことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項18】
前記第1または第2の光パルス入射手段は、厚みの異なる複数の光媒質を有し、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの光軸上に乗せる前記光媒質を切り替えることにより、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの前記蛍光空間に入射するタイミングを調節するタイミング制御部を備えたことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項19】
前記第1または第2の光パルス入射手段は、光パルスの波長を変換する波長変換器を備えたことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項20】
前記第1および第2の光パルス入射手段は、前記第1および第2の光パルスの口径を拡大して前記蛍光空間に入射する拡大光学系を共有することを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項21】
前記蛍光空間は、前記第1および第2の光パルスの波長に対して透明な、蛍光体、又は蛍光体を含む気体若しくは液体若しくは固体からなることを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項22】
前記蛍光空間は、蛍光体を含み、かつ第1の光パルス及び第2の光パルスの波長に対して透明な重水素置換された有機溶剤からなることを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項23】
前記蛍光空間は、前記第1の光パルスと前記第2の光パルスとが重なった前記位置で最も強い多光子吸収を起こすことを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項24】
前記第1および第2の光パルス入射手段は、前記第1および第2の光パルスのうち波長が短い方の光パルスの光強度は、波長の長い方の光パルスよりも低く、
前記蛍光空間は、前記第1および第2の光パルスに対して透明であり、前記蛍光空間の二光子吸収準位への励起エネルギーが、波長の長い方の光パルスの2光子分のエネルギーよりも大きく、波長の短い方の光パルスの1光子を足したエネルギーに等しい、もしくはそれよりも小さいことを特徴とする請求項23に記載の三次元映像表示装置。
【請求項25】
前記蛍光空間は、前記第1および第2の光パルスの入射側と反対側に、前記第1および第2の光パルスの波長のみをカットし、それ以外の波長を有する光を透過するノッチフィルタを有することを特徴とする請求項9に記載の三次元映像表示装置。
【請求項26】
前記タイミング制御部は、円盤状の形状を有し、前記円盤状の形状の厚さ方向に平行な回転軸を中心に回転運動を行うことにより、前記第1の光パルス、または前記第2の光パルスの光軸上に乗せる前記光媒質を切り替えることを特徴とする請求項18に記載の三次元映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−15446(P2008−15446A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272936(P2006−272936)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】