説明

三次元造形製品の製造装置

【課題】粉末及び造形物を積載している基板をテーブル面上に上下方向空間を形成した状態にて容易に設置することができる三次元造形製品の製造装置の構成を提供すること。
【解決手段】粉末12及び造形物13を基板3上に積載する三次元造形製品の製造装置において、テーブル2上に枠体7を立設し、当該枠体7から突接した支柱4及び/又は当該枠体7の頂部に備えた突条8によって基板3を支持する際に、基板3の重心が存在するような配置状態による支持が可能とする一方、基板3の裏面に設けた凹状30を2本以上の交差し合う前記支柱4及び/又は突条8に嵌合させるか、又は2本以上の凹状30を前記支柱4及び/又は突条8に嵌合させ、かつ前記凹状30のうちの少なくとも1本の長手方向両側にて、支柱4に備えた突部5及び/又は枠体7の壁部を基板3の水平方向周囲部に当接させることによって、前記課題を達成し得る三次元造形製品の製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に移動可能なテーブル上に積載した金属又は非金属による粉末に対し、各層毎に、電磁波を照射することによって焼結させながら積層し、所定の三次元造形製品を製作する三次元造形製品製造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
金属又は非金属粉末をレーザー光線などの電磁波又は電子線の放射に基づく焼結によって三次元造形製品を成形する技術分野においては、色々な構成が提案されているが、何れの場合においても、
(a)粉末の落下に伴う撒布及び撒布された粉末の上側表面又はその近傍を摺動する平坦化工程、
(b)造形領域に対するレーザー光線などの電磁波又は電子線を照射することによって、当該照射領域を焼結する工程、
(c)前記(b)の焼結が行われた端部及び/又は上面を回転工具によって切削しながら端部及び/又は上面の成形を行う工程
を不可欠としており、前記(a)、(b)、(c)を繰り返すことによって最終的に必要な三次元形状を成形することになる。
【0003】
特定の粉末層について前記(c)の工程を終了した場合には、造形対象物及びその周囲に位置している粉末の高さ位置の1層分だけ低下させ、次の粉末層につき、前記(a)の工程に戻ることになる。
【0004】
このため粉末を積載しているテーブルは上下方向に移動可能な状態に設置されている。
【0005】
最も低いレベル位置にある粉末層を直接テーブル上面に接触させた場合には、当該粉末層が前記(b)の焼結工程において、テーブル上面に接着し、造形が終了した対象物をテーブルから円滑に取り出すことができない。
【0006】
このような状況に対処するため、特許文献1においては、通常テーブル(特許文献1においては「支持手段2」と表現されている。)の面上に粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着可能な素材を選択した基板を設置する構成が採用されている。
【0007】
通常、既存の造形部分が前記(a)の平坦化装置の移動の影響を受けることから、当該造形部分も上記移動方向に移動しようとすることを阻止するため、前記基板がテーブル面上に安定した状態を維持することを必要とする。
【0008】
このような必要性を反映して、特許文献1の構成においては、基板はテーブルの下側からのボルトの挿通によって固定されている。
【0009】
しかしながら、基板とテーブルとが支柱によって固定している場合には、電磁波又は電子線の照射による熱エネルギーが、基板及びテーブルを介した熱伝動によって散逸し、粉末を基板に対し所定の強度によって接着する場合に支障が生じることになり兼ねない。
【0010】
しかも、テーブルの下側からのボルトの挿通作業は煩雑であると共に、基板をも造形対象物における下端部の構成部とする場合には、ボルトの挿通による孔が残存するという不都合を免れることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4054075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、各粉末層のうち焼結の対象領域とされている部位と、テーブルの間に基板を介在させている三次元造形製品の製造装置において、前記基盤をテーブルとの間にて上下方向の空間を形成する状態にて設置し、かつ基板面に対し、テーブルの側からボルトを挿通することを不要とする三次元造形製品の製造装置の構成を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明の基本構成は、
(1)造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体の頂部に備えた突条によって前記基板を支持し、かつ前記支持が行われている領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持を実現可能とする一方、前記支柱及び/又は突条のうち、2本以上につき長手方向が交差した状態に設定すると共に、基板の裏面に設けた凹状が、当該交差した支柱及び/又は突条に嵌合することによって、基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置、
(2)造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体の頂部に備えた突条によって前記基板を支持し、かつ前記支持が行われている領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持を実現可能とする一方、基板の裏面に備えた凹状を2本以上の前記支柱及び/又は突条と嵌合させると共に、前記凹状のうち少なくとも1本の凹状の長手方向の両側にて、支柱に備えられかつ少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体の壁部を基板の水平方向周囲部に当接させることによって、基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置、
からなる。
【発明の効果】
【0014】
前記基本構成(1)、(2)に基づき、本発明においては、枠体の介在によって基板とテーブルとの間に上下方向の空間が形成され、基板からテーブルへの熱伝動が阻止され、粉末材料が効率的に基板に接着することが可能となり、しかもテーブルの側からのボルトによる固着作用を伴わずに、基板を簡単に支柱及び/又は当該枠体の頂部に備えた突条を、2本以上につき長手方向に交差させた状態としたうえで、基板の裏面における凹状と嵌合させるか(前記基本構成(1)の場合)、又は支柱及び/又は突条に基板の裏面における凹状を嵌合させると共に、基板の水平方向周囲部を前記突部及び/又は枠体の壁部に当接させること(前記基本構成(2)の場合)によって、基板の水平方向の移動を阻止し、安定した状態にて設置することが可能となる。
【0015】
しかもこのような設置の場合には、特許文献1の場合のようなボルトの挿通を不要としていることから、基板を造形対象物の下端側における構成部分とする場合においても、ボルトの挿通による孔が残存することはあり得ず、しかもテーブルと基板の間に上下方向の空間が存在することから、特許文献1の場合のようなテーブルにおいて加熱された基板を冷却するための設備を不要とすることができる。
【0016】
更には、特許文献1の構成の場合には、必然的にテーブルを平坦面とすることを必要としたのに対し、前記基本構成の場合には、実施例2及び同3において後述するように、テーブル面において傾斜状態を形成することによって、焼結の対象に至らなかった粉末を容易に排出し得るような構成を採用することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1における粉末支持板を使用した構成を示す鉛直方向側断面図であり、(a)、(b)、(c)、(d)は粉末を基板及び粉末支持板から落下させ、テーブル+枠体内に保持させるに至る状態を示す。
【図2】実施例2におけるテーブルの構成を示す鉛直方向断面図である(尚、支柱及び突部の図示は省略されている。)。
【図3】実施例3におけるテーブルの構成を示す鉛直方向断面図である(尚、支柱及び突部の図示は省略されている。)。
【図4】実施例4における基板の構成を示す鉛直方向断面図である。
【図5】前記基本構成(1)において、円盤状の基板の裏面における凹状を、支柱及び/又は突条に嵌合させている実施形態を説明しており、(a)は、1本の支柱と当該支柱に直交する1本の突条に対し、2本の凹状を嵌合させた場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示しており、(b)は、長手方向において120度の交差角度を形成している3本の支柱に、3本の凹状を嵌合させた場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す(尚、各平面図における点線部分は、基板を下側から支えている状況を示しており、この点は以下の図6〜図11においても同様である。)。
【図6】前記基本構成(1)において、矩形状の基板の裏面における凹状を、支柱及び/又は突条に嵌合させている実施形態を説明しており、(a)は、隣接し合う支柱が長手方向において90度の交差角度を形成している4本の支柱に4本の凹状を嵌合させた場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示しており、(b)は、相互に相向い合う2本の支柱及びこれらの支柱の直交状態にある突条に対し3本の凹状を嵌合させた場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す。
【図7】前記基本構成(1)において、矩形状の基板の裏面における凹状を、全て突条に嵌合させている実施形態を説明しており、(a)は、テーブルの中央に1個の枠体を立設し、当該枠体の頂部における2本の直交し合う突条に嵌合させた場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示しており、(b)は、相向い合う各2本の突条がそれぞれ平行であって、隣接し合う突条が相互に直交している合計4本の突条に嵌合させた場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す。
【図8】前記基本構成(1)において、矩形状の基板の裏面における凹状を、相互に相向い合う状態にて接続し合っている各2本及び3本の2組の支柱群が相互に90度の角度方向に交差するように配置した支柱に嵌合させた実施形態を説明する平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す。
【図9】前記基本構成(2)において、矩形状の基板の裏面における凹状を、4本の支柱のうち、隣接し合う各2本の支柱につき相互に平行状態とし、隣接し合っていない各2本の支柱を相互に向い合う状態となるように配置した支柱に嵌合させている実施形態を説明しており、(a)は、基板の水平方向周囲部のうち、支柱と直交する2辺が4個の突部に当接している場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示しており、(b)は、基板の水平方向周囲部のうち、支柱と直交する2辺が2個の壁部に当接している場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す。
【図10】前記基本構成(2)において、矩形状の基板の裏面における凹状を、相互に平行状態にある1本の支柱及び1本の突条に嵌合させた実施形態を説明しており、(a)は、基板の水平方向周囲部のうち、支柱及び突条と直交する2辺が2個の突部に当接している場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示しており、(b)は、基板の水平方向周囲部のうち、支柱及び突条と直交する2辺が2箇所の基板の壁部に当接している場合の平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す。
【図11】前記基本構成(2)において、矩形状の基板の裏面における2本の凹状を相互に平行な2本の突条に嵌合させており、かつ基板の水平方向周囲部のうち、前記突条と直交状態にある2辺が、前記2本の突条と直交状態にある2箇所の壁部に当接している実施形態を説明する平面図及び嵌合部位を含む側断面図を示す。
【図12】支柱において、上側方向に突出している突部を備えた状態を説明する鉛直方向側断面図である。
【図13】枠体がテーブル面に沿って移動自在である実施形態を説明しており、(a)は、平面図であり、(b)は、鉛直方向側断面図である。
【図14】前記基本構成(1)の作動原理を示す平面図である。
【図15】前記基本構成(2)の作動原理を示す平面図である。
【図16】基板を支持している支柱及び/又は突条の領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心(G)が位置するような配置による支持が可能であることを説明するための平面図であって、(a)は、3個の位置による三角形内に重心が存在する場合を示しており、(b)は、4個の位置による四角形において特に対角線の交点に重心が存在する場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
基本構成(1)及び(2)においては、何れも基板3を支持している支柱4及び/又は突条8の支持が行われている領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板3の重心が存在するような配置状態による支持を実現可能とすることを要件としている。
【0019】
最初に前記要件の趣旨について説明するに、基板3上に積載されている粉末12及び造形物13による単位面積当たりの重量は等しい状態にある。
【0020】
このような場合、例えば図16(a)に示すように、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合において、Cの位置と重心(G)とを延長した直線CGとAの位置及びBの位置を結ぶ直線ABの交点をSとした場合、直線CGSの両側は、粉末12、固形物、及び基板3の片側部分の重量として同等であって、直線CGSを基準とした場合、両側の粉末12、造形物13及び基板3の各部分に作用する重力がバランスしており、基板3においては、重力を原因として直線CGSを回転中心とするような回転モーメントが生じていない。
【0021】
ここで、Aの位置、Bの位置、Cの位置において全体の重量Mを支えている抗力をそれぞれM、M、Mとした場合には、M+M+M=Mが成立する。
【0022】
他方、直線CGSとAの位置、Bの位置との距離をそれぞれa、bとした場合には、前記のように回転モーメントが生じないことは、a=bが成立することを意味している。
【0023】
同様に、図16(a)に示すように、直線BGの延長と直線CAとの交点をSとし、直線BGSとCの位置及びAの位置との距離をそれぞれc、aとした場合には、直線CGSの場合と同様に、直線BGSを回転中心とする回転モーメントが生じていないことから、c=aが成立する。
【0024】
更には、直線AGと直線BCとの交点をSとし、直線AGSとBの位置、Cの位置からの距離をそれぞれb、cとした場合には、
=c
が成立する。
【0025】
前記各関係式から、
=M/(a/b+a/c+1)
=M/(b/a+b/c+1)
=M/(c/a+c/b+1)
を得ることができる。
【0026】
即ち、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合には、前記3点A、B、Cにおいて重量を備えているM、M、Mが何れも正の値であって、負の値となっていないために、重力に基づく回転モーメントを伴わずに、安定した状態にて基板3が支持されることになる。
【0027】
実際には、前記支柱4及び/又は段差部位は連続しており、A、B、Cのような3個の位置のように、孤立した状態による支持ではない以上、3個の位置(A、B、C)による三角形ABCの内側に基板3の重心(G)が存在する場合には、当然基板3を安定した状態にて支持することができる。
【0028】
前記支柱4及び/又は前記段差部位の領域内における4個の位置による四角形の内側に基板3の重心(G)が位置する場合において説明するに、前記4個の位置のうち、3個の位置による三角形の内側に重心(G)が位置するのであれば、図16(a)に示す3個の位置の場合に関する説明からも明らかなように、当然基板3を安定した状態にて支持することができる。
但し、特に図16(b)に示すように、4個の位置(A、B、C、D)による四角形ABCDの内側に基板3の重心(G)を内側に位置するも、重心(G)が四角形ABCDの対角線の交点(直線AC、BDの交点)に存在する場合には、重心(G)は4個の位置のうちの3個の位置による三角形(三角形ABD、BAC、CBD、DAC)の何れの内側に位置することができないので、特に考察を必要とする。
【0029】
図16(b)において、Aの位置、Bの位置、Cの位置、Dの位置において、全体の重量Mが支えている抗力をそれぞれM、M、M、Mとし、交点である重心(G)の位置からAの位置、Bの位置、Cの位置、Dの位置への距離をa、b、c、dとし、Aの位置及びCの位置の対角線DGBに対する距離をそれぞれa、cとし、Bの位置及びDの位置から対角線AGCに対する距離をそれぞれb、dとした場合、各対角線を回転中心とする回転モーメントが生じていないことから、
=c
=d
がそれぞれ成立する。
【0030】
/a=c
が成立し、
/b=d
が成立することから、結局
aM=bM
bM=bM
が成立することになる。
【0031】
言うまでもなく、各抗力M、M、M、Mと全体の重量との間には、
+M+M+M=M
が成立するが、上記3式だけでは4個の抗力であるM、M、M、Mを特定することはできない。
但し、仮に抗力Mが正の値ではなくM=0であるならば、上記関係式からM=0とならざるを得ない。
【0032】
しかしながら、抗力M、M、M、Mは共にそれぞれA、B、C、Dの各位置とその周囲の単位面積当たりに等しい重量に対応する点において共通していることから、仮にM=M=0であるならば、MとMもまた同様の支持状態になる以上、M=M=0となるが、その場合には抗力M、M、M、Mの総和が全体の重量Mに等しいという前記の基本関係式を維持することができない。
【0033】
したがって、抗力M、M、M、Mの何れも零ではあり得ず、必然的に正の値でなければならない。
【0034】
かくして、特に図16(b)に示すように、3個の位置による三角形の何れに対してもその内側に基板3の重心(G)が存在しないが、4個の位置による四角形の内側に重心(G)が存在するような配置関係の場合においても、必然的に基板3の安定した支持が可能となる。
【0035】
基本構成(1)においては、基板3が水平方向に移動しないための要件について説明するに、図14に示すように、三次元造形製品の製造装置において、少なくとも2本の支柱4及び/又は突条8に長手方向が交差した状態としたうえで、これらの支柱4及び/又は突条8の基板3の裏面における凹状30が嵌合していることを要件としている。
各支柱4及び/又は突条8に対する嵌合においては、これらの長手方向への移動は可能であるが、それ以外の方向への移動は不可能である。
【0036】
したがって、上記のような交差状態にある2本の支柱4及び/又は突条8と交差する方向(例えば、図14において白矢印によって示す方向)に移動することは不可能であり、結局2本の支柱4及び/又は突条8に対する嵌合によって二次元の平面方向の移動が完全に阻止されることに帰する。
尚、図14の白矢印は支柱4及び/又は突条8の長手方向と直交する方向のみを示すが、斜交方向への移動も不可能であることに変わりはない。
【0037】
以下基本構成(1)の実施形態について説明する。
【0038】
図5(a)は、2本の支柱4及び/又は突条8を相互に90度の角度方向となるように配置すると共に、円形の基板3の裏面における2本の支柱4及び/又は突条8に嵌合している実施形態に該当しており、特に図5(a)は、2本の凹状30が1本の支柱4と1本の突条8に嵌合している場合を示す。
【0039】
図5(b)は、3本の支柱4及び/又は突条8を隣接し合う長手方向につき相互に120度の角度方向となるように配置すると共に、円形の基板3の裏面における3本の凹状30が前記3本の支柱4及び/又は突条8に嵌合している実施形態に該当しており、特に図5(b)は、凹状30は支柱4のみに嵌合している場合を示す。
【0040】
図5(a)、(b)に示すように、凹状30の嵌合を介して支柱4及び突条8が基板3を支持する領域においては、3個の位置A、B、Cによる三角形ABCの内側に基板3の重心が存在するような配置状態による支持が当然実現可能であり、上下方向にて安定した支持を実現することができる。
【0041】
しかも、前記各実施形態においては、基板3は支柱4及び/又は突条8との嵌合によって完全に水平方向の移動を阻止された状態となっており、しかも、背景技術の項において説明した(a)、(b)、(c)による製造段階において単に基板3の裏面における凹状30を支柱4+突条8(図5(a)の場合)、及び支柱4(図5(b)の場合)に嵌合するだけで、基板3の安定した状態を形成することができ、特許文献1のようなネジ止めを不要としている点において極めて操作が簡単である。
【0042】
図6は、3本〜4本の支柱4及び/又は突条8を隣接し合う長手方向につき相互に90度の角度方向となるように配置すると共に、矩形状の基板3の裏面における3本〜4本の凹状30が前記支柱4及び/又は凹状30に嵌合している実施形態に該当しており、(a)は、特に各2本の支柱4が相互に向い合い、そのうち2本が相互に接続した状態にある4本の支柱4に嵌合させている場合を示しており、(b)は、特に2本の相互に向い合う支柱4と1本の突条8に嵌合している場合を示す。
【0043】
図6(a)、(b)に示すように、凹状30に対して基板3を支持する支柱4及び突条8の領域内に4個の位置A、B、C、Dによる四角形ABCDの内側に基板3の重心(G)が存在するような配置状態による支持が実現可能であり、このような支持によって、基板3は上下方向に安定した状態にて支持することができる。
尚、以下の各実施形態(前記基本構成(2)の実施形態をも含む。)においても、矩形状の基板3に対し前記のような配置状態にて安定した支持が可能であることは全く同様であるので、以後この点に関する説明は省略する。
【0044】
図7は、図6と同様に、3本〜4本の支柱4及び/又は突条8を隣接し合う長手方向につき相互に90度の角度方向となるように配置すると共に、矩形状の基板3の裏面における3本〜4本の凹状30が前記支柱4及び/又は凹状30に嵌合する実施形態に該当しており、特に凹部が全て突条8に嵌合している実施形態に該当しており、(a)は、特にテーブル2上に相互に直交し合うことによって、十文字状を呈している枠体7状において同様に十文字に交差している突条8に凹状30を嵌合させた場合を示しており、(b)は、特に4個の突枠の頂部にそれぞれ矩形状の4辺に位置するように配置された突条8に、凹状、特に30を、基板3の水平方向周囲部の近傍にて同じように矩形辺を形成した状態にて嵌合させた場合を示す。
【0045】
図7の実施形態においては、支柱4を特に使用せずに枠体7の頂部に位置している突条8のみによって基板3を安定した状態にて支持し得る点において極めて便利である。
【0046】
図8は、2本以上の支柱4が相互に相向い合い、かつ接続し合っている支柱群を2組設けたうえで、一方の支柱群の支柱4の長手方向と他方の支柱群の支柱4の長手方向とは90度の角度方向に交差するように配置すると共に、矩形状の基板3の裏面における同様の配置状態による凹状30が、前記配置状態による2組の支柱4に嵌合している実施形態に該当しており、特に図8の場合には、3本の支柱4による一方の組の支柱4の群と2本の支柱4による他方の組の支柱4の群とが直交している場合を示す。
【0047】
通常基板3は、矩形状特に正方形状の場合が多いが、図6、7、8の各実施形態においては、相互に平行状態であり、かつ直交し合っている支柱4及び/又は突条8に凹状30が嵌合していることから、水平方向への移動を防止するうえで極めて堅固な支持を行うことができる。
【0048】
基本構成(2)においては、基板3が水平方向に移動しないための要件について説明するに、図15に示すように、2本の凹状30のうち、少なくとも1本の凹状30の長手方向の両側にて支柱4に備えられかつ少なくとも上側方向に突出している突部5及び/又は突枠の壁部と基板3の水平方向周囲部に当接させることを要件としている。
【0049】
このような要件によって、図15に示すように、基板3が凹状30に交差する方向への移動を阻止される一方、凹状30の長手方向に沿った水平方向の移動もまた、当該長手方向の両側において、基板3の水平方向周囲部に当接している突部5及び/又は壁部によって阻止されることになる。
【0050】
特に予め前記突部5について説明するに、図12に示すように、突部5が少なくとも支柱4において備えられ、かつ上側方向に突出していることを必要としているのは、支柱4上に載置している基板3の水平方向外周部と当接する必要性に由来している。
但し、このような突部5としては、ナット及び鍔部のように、支柱4の長手方向の全周囲方向に突出する実施形態もまた当然採用可能である。
【0051】
以下基本構成(2)の実施形態について説明する。
【0052】
図9は、4本の支柱4のうち、隣接し合う各2本の支柱4につき相互に平行状態とし、隣接し合っていない各2本の支柱4を相互に向い合う状態となるように配置すると共に、矩形状の基板3の裏面に設けた4本の凹状30を前記各支柱4に嵌合し、かつ支柱4の長手方向と直交する基板3の水平方向周囲部に位置している両側の2辺に対し、前記各支柱4の全て又は一部に備えた突部5及び/又は突枠の壁部を当接している実施形態に該当しており、(a)は、特に凹状30の両側を突部5に当接している場合を示しており、(b)は、特に凹状30の両側を壁部に当接している場合を示す。
【0053】
図9に示す実施形態においては、基板3を両側の突部5又は壁部の間に挿入しかつ裏面の凹状30を支柱4に嵌合させることによって、基板3を水平方向に移動させずに安定した状態とすることができる。
【0054】
図10は、2本の支柱4を相向い合う状態にて配置し、かつ当該2本の支柱4と平行な状態にて1本の突条8を配置すると共に、矩形状の基板3の裏面に2本の凹状30を前記支柱4及び突条8に嵌合し、かつ支柱4の長手方向と直交する基板3の水平方向周囲部に位置している両側の2辺に対し、各支柱4に備えた突部5及び/又は当該各支柱4を突設した相向い合う突枠の壁部を当接している実施形態に該当しており、(a)は、特に凹状30の長手方向両側の突部5に当接している場合を示しており、(b)は、特に凹状30の長手方向両側の壁部に当接している場合を示している。
【0055】
図10の実施形態においても、両側の突部5又は壁部の間に基板3を挿入しかつ前記支柱4及び突条8に2本の突条8を嵌合させることによって、基板3を水平方向に移動させずに安定した状態にて支持することができる。
【0056】
図11は、相向い合う2個の枠体7に、平行状態にて2本の突条8を設けると共に、矩形状の基板3の裏面に設けた2本の凹状30を前記2本の突条8に嵌合し、かつ前記2本の突条8と直交する基板3の水平方向周囲部に位置している両側の2辺に対し、他の相向い合う2個の枠体7の壁部を当接している実施形態に該当し、かつその具体的形態を示している。
【0057】
図11に示す実施形態は、特に支柱4を設けずに単に壁部の間に基板3を挿入し、かつ両側の突条8に凹状30を嵌合させることによって基板3を安定した状態に支持することができる。
【0058】
図7(b)及び図11に示す実施形態の場合には、両側の突条8において支持が行われていることから、支柱4に突部5を備える必要がない。
【0059】
基板3の水平方向周囲部が枠体7の壁部と当接するために、一見必要以上に広い面積の基板3を使用せざるを得ないが如くである。
【0060】
しかしながら、上記実施形態の場合であっても、必ずしも広い面積の基板3を用意する必要はない。
【0061】
具体的には図13に示すように、枠体7の下端において支柱4の突設方向及びその反対側に両側脚部を突設し、当該両側脚部にそれぞれ挿通用孔20を設ける一方、テーブル2においても各支柱4の突設方向によって複数個の挿通用孔20を設け、双方の挿通用孔20に対し、止着用杵又は止着用ボルトを挿貫し、当該挿貫する位置を選択することによって、各枠体7を固定する位置を調整しかつ選択することによって、色々な形状及び大きさの基板3に対応すると共に、基板3の水平方向の位置を調整することができる。
【0062】
本発明において採用し得る粉末12としては、金属粉末、セラミック粉末、樹脂によって被覆された金属又はセラミック粉末、樹脂によって被覆された砂等を採用することができる。
【0063】
前記基本構成(1)、(2)において使用する基板3は、最初に前記(a)の工程によって粉末12が基板3面に撒布され、かつ前記(b)の焼結によって粉末12が固化した際、接着することを必要としており、基板3の素材としては、前記接着が可能であるならば、どのような素材でも選択可能である。
【0064】
通常、前記のように例示した粉末12と同一素材を採用する場合が多く、この場合には必然的に基板3は三次元造形製品の最下端部を構成することになる。
【0065】
言うまでもなく、前記基本構成(1)、(2)、更には前記各実施形態においても、基板3面上に前記(a)の粉末12の撒布及び平坦化工程を実現し、基板3の上側において(b)の焼結工程を実現し、更には上側に前記(c)の成形工程を実現しながら、三次元造形製品の製造を行うことになる。
尚、従来技術においては、テーブル2と基板3の間に加熱板(ヒーター)又は冷却板(クーラー)を介在させることが行われているが、前記基本構成(1)、(2)においても、基板3の支柱4及び/又は前記段差部位の間に、加熱板(ヒーター)又は冷却板(クーラー)を介在させることは当然可能であり(但し図示せず)、造形条件に即してその何れかを選択することができる。
【0066】
以下、実施例に即して説明する。
【実施例1】
【0067】
実施例1は、図1に示すように、支柱4のうち、基板3の凹部が嵌合していない領域と前記水平方向周囲部が当接していない枠体7の頂部との間にて粉末支持板9を架設していることを特徴としている。
【0068】
このような実施例1においては、図1(a)の状態から(b)のように粉末支持板9を除去することによって、図1(c)、(d)に示すように、粉末12をテーブル2と枠体7によって形成される空間内に載積させた状態としたうえで、テーブル2を上側に移動することによって、粉末12をコンテナの外側に排出することが可能となる。
【実施例2】
【0069】
実施例2は、図2に示すように、テーブル2において、枠体7を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ当該傾斜状態の下端部の位置において、焼結されなかった粉末12を排出するための排出用穴21を設けていることを特徴としている。
【0070】
粉末12をテーブル2及び基板3面上に積載した場合、又は基板3面上に積載した場合において、全粉末12が焼結の対象となる訳ではない。
【0071】
ましてや、実施例1のように粉末支持板9上に残留している粉末12は、当然焼結及び造形の対象とならない。
【0072】
このような場合、焼結されない粉末12が造形物13を基板3と共にテーブル2から上側に取り出した後には、必然的にテーブル2の低部に残留することになる。
【0073】
実施例2の場合には、当該残留した粉末12は前記傾斜状態している低部に沿って下降し、最低位置にある穴を介して造形タンク1の低部に排出することができ、当該粉末12を再利用することができる。
尚、前記傾斜状態を設ける領域として、枠体7を立設している位置の内側の全領域だけでなく、当該位置から更に内側に離れた位置の全領域をも選択可能としているのは、図7(b)及び図11に示す実施形態において、図13に示すように、枠体7を支柱4の当接方向によって固定する位置を選択可能とする場合、枠体7を突設している位置から所定の内側の領域範囲に至るまで、テーブル2が平坦形状であることを必要としていることに由来している。
【実施例3】
【0074】
実施例3は、図3に示すように、テーブル2において、枠体7を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、相向かい合う一方側端から、他方側端にかけて順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ他方側端においては、2本の鉛直方向支柱11を介して枠体7を支持しており、かつ前記2本の鉛直方向支柱11の間には、当該2本の鉛直方向支柱11の上端又は当該2本の鉛直方向支柱11の何れか一方側において回動自在である開閉板10を備えていることを特徴としている。
【0075】
実施例3においても、実施例2の場合と同様に、焼結及び造形の対象とならなかった粉末12をテーブル2面上に落下させたうえで、鉛直方向支柱11の間に位置している開閉板10を開くことによって、テーブル2面から粉末12を外部に排出することが可能となり、実施例2と同じような効率的な粉末12の外部への排出及び当該粉末12の再利用を実現することができる(尚、図3は2本の鉛直方向支柱11の上端において、回動自在である開閉板10が開いた状態を示しているが、造形が行われている段階では、当然開閉板10は鉛直方向支柱11の間に位置しており、閉じた状態を示すことになる。)。
尚、実施例3においても、傾斜状態を設ける領域として、枠体7を立設する位置から更に内側に離れた位置の全領域をも対象としているが、その根拠は実施例2の場合と同様である。
【実施例4】
【0076】
実施例4は、図4に示すように、基板3の一部を構成している金属板32の上側部分31に、三次元造形製品を形成している粉末12と同一の粉末12を素材とする成形層を固着していることを特徴としている。
【0077】
このように、金属板32上に三次元造形製品を形成している粉末12と同一の素材を採用することによって、前記(b)の焼結に基づく粉末12の固化に際し、前記粉末12との固着を実現することができる。
【0078】
前記成形層は、三次元造形製品の最下層を形成する一方、造形が終了した段階において、前記最下端に位置している金属板32を切断することになる。
【0079】
このような切断によって、金属板32は次の金属工程における基板3面の一部を形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、基板を使用している三次元造形製品の製造装置の全構成に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 造形タンク
2 テーブル
20 挿通用孔
21 排出用穴
3 基板
30 凹状
31 基板のうちの粉末を採用した上側部分
32 基板のうちの下側の金属板
4 支柱
5 突部
7 枠体
8 突条
9 粉末支持板
10 開閉板
11 鉛直方向支柱
12 粉末
13 造形物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体の頂部に備えた突条によって前記基板を支持し、かつ前記支持が行われている領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持を実現可能とする一方、前記支柱及び/又は突条のうち、2本以上につき長手方向が交差した状態に設定すると共に、基板の裏面に設けた凹状が、当該交差した支柱及び/又は突条に嵌合することによって、基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置。
【請求項2】
2本の支柱及び/又は突条を相互に90度の角度方向となるように配置すると共に、円形の基板の裏面における2本の凹状が前記支柱及び/又は突条に嵌合していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項3】
3本の支柱及び/又は突条を隣接し合う長手方向につき相互に120度の角度方向となるように配置すると共に、円形の基板の裏面における3本の凹状が前記支柱及び/又は突条に嵌合していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項4】
3本〜4本の支柱及び/又は突条を隣接し合う長手方向につき相互に90度の角度方向となるように配置すると共に、矩形状の基板の裏面における3本〜4本の凹状が前記支柱及び/又は凹状に嵌合していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項5】
2本以上の支柱が相互に相向い合い、かつ接続し合っている支柱群を2組設けたうえで、一方の支柱群の支柱の長手方向と他方の支柱群の支柱の長手方向とが90度の角度方向に交差するように配置すると共に、矩形状の基板の裏面における同様の配置状態による凹状が、前記配置状態による2組の支柱に嵌合していることを特徴とする請求項1記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項6】
造形タンク内にて上下方向に移動可能なテーブルの上側に位置し、上側に隣接している粉末が焼結によって固化した際、当該粉末と接着し得る素材を少なくとも表面部分にて有している基板及び前記テーブルの上側にて金属又は非金属の粉末を撒布し、かつ当該撒布された粉末の上側表面を平坦化したうえで、最上位に位置している造形対象となる領域に、電磁波又は電子線を所定の厚さの層に沿って照射することによって焼結層を形成した後、当該焼結が行われた端部及び/又は上面に対する切削によって成形を行う工程を順次反復している三次元造形製品の製造装置において、テーブル上に枠体を立設し、当該枠体から水平方向に突接した支柱及び/又は当該枠体の頂部に備えた突条によって前記基板を支持し、かつ前記支持が行われている領域内における3個の位置による三角形又は4個の位置による四角形の内側に基板の重心が存在するような配置状態による支持を実現可能とする一方、基板の裏面に備えた凹状を2本以上の前記支柱及び/又は突条と嵌合させると共に、前記凹状のうち少なくとも1本の凹状の長手方向の両側にて、支柱に備えられかつ少なくとも上側方向に突出している突部及び/又は枠体の壁部を基板の水平方向周囲部に当接させることによって、基板の水平方向の移動を阻止している三次元造形製品の製造装置。
【請求項7】
4本の支柱のうち、隣接し合う各2本の支柱につき相互に平行状態とし、隣接し合っていない各2本の支柱を相互に向い合う状態となるように配置すると共に、矩形状の基板の裏面に設けた4本の凹状を前記各支柱に嵌合し、かつ支柱の長手方向と直交する基板の水平方向周囲部に位置している両側の2辺に対し、前記各支柱の全て又は一部に備えた突部及び/又は突枠の壁部を当接していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項8】
2本の支柱を相向い合い、かつ接合した状態にて配置し、かつ当該2本の支柱と平行な状態にて1本の突条を配置すると共に、矩形状の基板の裏面に2本の凹状を前記支柱及び突条に嵌合し、かつ支柱の長手方向と直交する基板の水平方向周囲部に位置している両側の2辺に対し、各支柱に備えた突部及び/又は当該各支柱を突設した相向い合う突枠の壁部を当接していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項9】
相向い合う2個の枠体に、平行状態にて2本の突条を設けると共に、矩形状の基板の裏面に設けた2本の凹状を前記2本の突条に嵌合し、かつ前記2本の突条と直交する基板の水平方向周囲部に位置している両側の2辺に対し、他の相向い合う2個の枠体の壁部を当接していることを特徴とする請求項6記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項10】
枠体の下端において支柱の突設方向及びその反対側に両側脚部を突設し、当該両側脚部にそれぞれ挿通用孔を設ける一方、テーブルにおいても各支柱の突設方向によって複数個の挿通用孔を設け、双方の挿通用孔に対し、止着用杵又は止着用ボルトを挿貫し、当該挿貫する位置を選択することによって、各枠体を固定する位置を調整しかつ選択し得る請求項5、9の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項11】
支柱のうち、基板の凹部が嵌合していない領域と前記水平方向周囲部が当接していない枠体の頂部との間にて粉末支持板を架設していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項12】
テーブルにおいて、枠体を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ当該傾斜状態の下端部の位置において、焼結されなかった粉末を排出するための排出穴を設けていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項13】
テーブルにおいて、枠体を支えている位置の全内側又は当該位置から離れた更なる内側の領域に、相向かい合う一方側端から、他方側端にかけて順次下降するような傾斜状態を形成し、かつ他方側端においては、2本の鉛直方向支柱を介して枠体を支持しており、かつ前記2本の鉛直方向支柱の間には、当該2本の鉛直方向支柱の上端又は当該2本の鉛直方向支柱の何れか一方側において回動自在である開閉板を備えていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11の何れか一項記載の三次元造形製品の製造装置。
【請求項14】
基板の一部を構成している金属板の上側部分に、三次元造形製品を形成している粉末と同一の粉末を素材とする成形層を固着していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13の何れか一項に記載の三次元造形製品の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−218743(P2011−218743A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92888(P2010−92888)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【特許番号】特許第4566285号(P4566285)
【特許公報発行日】平成22年10月20日(2010.10.20)
【出願人】(000146087)株式会社松浦機械製作所 (40)
【Fターム(参考)】