説明

三相コンデンサを三相遮断機で同期開閉する装置

【課題】コンデンサを遮断機で開閉する装置とリアクトルをSCRで制御する装置を並列運転するにあたって、コンデンサの突入電流をなくし、リアクトル電流との連続性を保つようにするのが本発明の課題である。
【解決手段】コンデンサ開閉用の三相遮断機のある相にダイオードを接続し、他の相に抵抗を接続してコンデンサには波高値と同じ直流電圧を充電し、交流電圧が直流電圧と一致したとき三相遮断機を閉じる。
三相遮断機を開くタイミングは閉じるタイミングより、アーク時間、三相遮断機のばらつきを加算して決定する。
コンデンサの開閉タイミングを予知しリアクトルの通電電流を制御するSCRの制御遅れを加算してSCRを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三相コンデンサを三相遮断機で同期開閉して突入電流をなくし、ある一定の位相で開閉することにより、リアクトルをSCRで制御する装置と併用したとき装置全体で半サイクルの制御遅れも出さない装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来コンデンサをSCRで入り切りする装置は公知である。
さらに固定コンデンサにリアクトルをSCRで制御する装置を並列に用いる方法
【特許文献1】2004−320860 がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
コンデンサを三相遮断機で三相電源に接続すると突入電流が流れること、リレー回路等で三相遮断機を開閉すると40mS以上の遅れや10mS程度のばらつきが出ること、コンデンサの組が多くあったとき、各バンクの開閉にタイミングのずれがあるため、リアクトルをSCRで制御する装置と併用しても制御の連続性がない、という問題があった。
上記課題を解決するために、コンデンサの突入電流をなくするためにコンデンサの同期開閉装置を開発すること、コンデンサの開閉遅れ時間だけ早くリアクトル制御電圧を制御することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明では上記の課題を解決するために、ある相のコンデンサを波高値まで充電し、その相の電圧が充電した値と同じになったとき三相遮断機を投入し、この投入位相より−40度から0度までの位相で、三相遮断機の接点を開放して投入位相と開放位相を合わせる。
ある相を上記のように制御すれば他の相は自動的にコンデンサの充電電圧と遮断機の投入電圧が同じになり、どの相も突入電流が流れない。
遮断機はアークが発生し電流0でなければ切れないので、仮に−20度で開放しても本当に電流が切れるのは投入位相と同じ位相となる。
【0005】
開閉の相と位相が一致すればコンデンサ制御の不連続性が無くなる。
三相遮断機の開閉遅れを加算したタイミングでリアクトルに直列接続したSCRの点弧位相の制御を行う。
これによりコンデンサの容量切り替えと、リアクトルの制御に不連続は無くなる。
負荷がモータである場合はモータの投入より早く投入の信号を受け取り、三相遮断機とSCRの点弧位相の制御を行う。
【発明の効果】
【0006】
本発明によればリアクトルをSCRで制御するだけで必要な容量全部をまかなう装置に比較して、一部コンデンサを三相遮断機で制御する本発明の方が安価であり、コンデンサの開閉にあたって過渡現象を発生させず、リアクトルとコンデンサが容量とタイミングの両面で協調するので、連続的で滑らかな制御性能が得られる。
【発明の実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明の実施の形態を図1、図2に基づいて説明する。
【実施例1】
【0008】
図1はコンデンサ群を三相遮断機で制御する場合の結線図である。
三相交流電源、A相、B相、C相、に断路機DSが接続されている。
断路機DSは点検時の安全のために設置するもので動作には関係ない。
コンデンサC1、C2、C3、は三相コンデンサでありそれぞれフィルタ用リアクトルL1、L2、L3、を直列に接続し高調波フィルタの動作も行う。
【0009】
D1、D2、D3、はダイオードであり、それぞれ三相遮断機S1、S2、S3、のA相の接点と並列に接続してある。
R1、R2、R3、は抵抗でこの抵抗とダイオードでAB相のコンデンサを直流で波高値まで充電する。
【0010】
AB相の電圧が同じ極性の波高値になったとき、三相遮断機S1、S2、S3、のうち任意の三相遮断機を閉じれば、突入電流なしでコンデンサを三相電源に接続することが出来る。
【0011】
コンデンサの容量が1,2,4,の比率であった場合、同じタイミングでコンデンサを開閉してコンデンサ容量を任意の値に変化させるが、開閉時のショックをなくするために、コンデンサを切るタイミングは三相遮断機のアーク時間を考えて完全に入れるタイミングと一致する必要がある。
【0012】
コンデンサを入れるタイミングはA相の波高値であり、これと同じタイミングで他のコンデンサを切るためにはアーク時間、開閉のばらつきを考慮してA相の波高値より−40度から0度の間で三相遮断機を開く。
【0013】
三相遮断機の投入コイルに電圧を加えてから実際に接点が閉じるまでの時間と、遮断コイルに電圧を加えてから実際に接点が開くまでの時間の両方を考えて、接点が開閉する正確なタイミングを得るように、投入コイルと遮断コイルに電圧を加えるタイミングを設定する。
【0014】
図2はリアクトルの電流をSCRで制御して負荷の電圧を一定にする装置に並列に図1の装置を接続した例を示すもので、三相交流電源の線路インピーダンスZを通して負荷の母線があり、負荷の母線に遮断機S、コンデンサC、リアクトルL、SCR、負荷、が図2に示すように接続されている。
【0016】
負荷がモータの場合モータを電源に投入する位相を決めておき、モータが投入されるより前に投入信号をSCR制御器に加える。
これによってモータの負荷変動が正確に予知されるのでこれに対応する無効電力をSCR制御器が計算しコンデンサの容量、リアクトルの通電容量を決定しそれぞれのタイミングで指令を出す。
以上の説明ではAB相を充電する相にしているが、これは説明がわかり易くなるようにしたもので、どの相を選択しても同じ結果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1は本発明の実施例で、コンデンサ群を三相遮断機で制御する場合の結線図である。
図2はリアクトルの電流をSCRで制御して負荷の電圧を一定にする装置に並列に図1の装置を接続した例を示すものである。
【符号の説明】
【0016】
DS 断路機
D1、D2、D3 ダイオード
S1、S2、S3 三相遮断機
R1、R2、R3 抵抗
L1、L2、L3 フィルタ用リアクトル
C1、C2、C3 三相コンデンサ
Z 線路インピーダンス
S 遮断機
C コンデンサ
L リアクトル
SCR SCR(サイリスタ)
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
三相交流電源に三相遮断機を接続し、三相遮断機の負荷側にコンデンサを接続し、三相遮断機の1極に並列にダイオードを接続し、他の1極に抵抗を接続し、三相交流電源のダイオードを接続した相の電圧が最大の時の位相から+−20度位相の範囲内で、三相遮断機を投入することを特徴とする三相コンデンサを三相遮断機で同期開閉する装置
【請求項2】
三相交流電源に三相遮断機を接続し、三相遮断機の負荷側にコンデンサを接続し、三相遮断機の1極に並列にダイオードを接続し、他の1極に抵抗を接続し、三相交流電源のダイオードを接続した相の電圧が最大の時の位相から−40度までの位相の範囲内で、三相遮断機を開放することを特徴とする三相コンデンサを三相遮断機で同期開閉する装置
【請求項3】
上記請求項1、及び2、の特徴をもつ三相コンデンサを三相遮断機で同期開閉する装置の電源に並列に、三相リアクトルをSCR(サイリスタ)で制御する装置を接続し、SCR(サイリスタ)の点弧位相制御電圧を、三相遮断機の接点が開閉する位相より−90度から0度の範囲だけ前から、コンデンサの開閉容量を予測した値を加算することを特徴とする無効電力による電圧調整機

【公開番号】特開2006−293962(P2006−293962A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−140326(P2005−140326)
【出願日】平成17年4月10日(2005.4.10)
【出願人】(596089883)有限会社オークス (16)
【Fターム(参考)】