説明

三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するためのアンカーシステム

【課題】患者の手首の三角線維軟骨複合体を修復するための改善されたアンカーシステムを提供する。
【解決手段】このアンカーシステムは、第1のアンカー本体10、第2のアンカー本体20、および縫合糸ループ30を含む。第1のアンカー本体は、縫合糸を受容するように適合された中心部分12、およびその中心部分の両側から延出した相反するウイング部材14を備え、ウイング部材は中心部分の高さよりも大きい長さを持つ。第2のアンカー本体は、実質的に円柱状の中心部分22が延出した円形基部24を備え、円形基部及び実質的に円柱状の中心部分を貫通した縫合糸を受容するための孔26を備えている。縫合糸ループは、第1のアンカー本体の中心部分及び第2のアンカー本体の中心部分の中を通り、縫合糸ループに第2のアンカー本体に近接して配置された引き結びが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するためのアンカーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の手首の三角線維軟骨複合体(TFCC)はかなり複雑である。三角線維軟骨複合体は、関節円板、半月板相同物、掌側橈骨尺骨靭帯(volar radioulnar ligament)、背側橈骨尺骨靭帯(dorsal radioulnar ligament)、尺側手根伸筋腱(extensor carpi ulnaris tendon)の腱鞘を含む。三角線維軟骨複合体の円板部分は、掌側橈尺靭帯及び背側橈尺靭帯として知られる厚い掌側縁及び背側縁を有する。これらの靭帯は、下橈尺骨関節の重要な安定部として機能する。前腕の荷重の約20%が手首の尺骨側及び三角線維軟骨複合体を介して伝達される。三角線維軟骨複合体はまた、橈骨の関節表面の延長部としても機能して近位手根列を支持する。
【0003】
TFCCの裂傷や外傷は、慢性的な痛みや手首の不安定を引き起こす。現在は、TFCCは、開放手術または関節鏡手術によりマットレス縫合を用いて裂傷部に亘って複数の縫合糸を配置して裂傷部を近接させて修復することができる。この方法は、縫合糸の処置が複雑であり、外科医が手首構造の高度な知識を有していなければならない。実際に縫合糸の処置の複雑さから、多くのTFCC裂傷の処置や診断が行われていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、患者の手首のTFCCを修復するための改善された方法及び装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷(断裂や損傷を含む)を修復するための方法を提供する。一実施形態では、縫合糸によって第2のアンカー本体に接続された第1のアンカー本体を保持するデリバリー装置を固定用組織及び患者の手首の三角線維軟骨複合体を通過させる。次いで、第1のアンカー本体が三角線維軟骨複合体の裂傷部分に亘って配置され、第2のアンカー本体が固定用組織に亘って配置され、縫合糸がこれらの間に延在するように、第1のアンカー本体をデリバリー装置から放出する。次いで、縫合糸を引張って三角線維軟骨複合体を固定用組織に固定する。例示的な実施形態では、縫合糸が引き結びを含むのが好ましく、縫合糸を引張るステップが、その結び目及び第2のアンカー本体を第1のアンカー本体に向かって移動するように縫合糸の後端部を引張るステップを含む。
【0006】
第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体は様々な構造を有することができる。しかしながら、それぞれのアンカー本体は、組織を受容するように適合された中心部分及び組織係合部分を含むのが好ましい。組織を受容するためのその中心部分を貫通する孔を形成することができる。例示的な実施形態では、第1のアンカー本体の中心部分は、実質的に半円の平面状であり、組織係合部分は、概ね細長い円柱状である。より好ましくは、組織係合部分は、組織係合部分の両端部が組織係合ウイングをなすように中心部分の最大直径よりも大きい長さを有する。組織係合部分はまた、中心部分の高さよりも大きい長さを有する。第2のアンカー本体も様々な構造を有することができるが、例示的な実施形態では、第2のアンカー本体の組織係合部分は円形基部の形態であり、中心部分は、円形基部の実質的に円柱状の延長部を含み、この延長部の側壁に丸みが付けられている。円形基部の直径は、実質的に円柱状の延長部の最大直径よりも大きいのが好ましい。第2のアンカー本体はまた、円形基部及び実質的に円柱状の延長部を貫通する縫合糸受容孔を含むのが好ましい。場合によっては、円形基部の縫合糸受容孔の開口に、縫合糸の結び目を受容するための凹部を形成することができる。
【0007】
デリバリー装置は様々な構造を有することができるが、一実施形態では、デリバリー装置は、少なくとも先端部に溝が形成された細長い針を含む。この溝は、少なくとも第1のアンカー本体の一部をスライド可能に受容するように適合されている。更に好ましくは、この溝は、第1のアンカー本体の組織係合部分をスライド可能に受容できるように適合される。デリバリー装置はまた、細長い針に結合されたハンドル部材と、そのハンドル部材に形成されたトリガー機構を含むのが好ましい。このトリガー機構は、作動すると、第1のアンカー本体を先端方向に移動させて第1のアンカー本体を放出することができる。ハンドル部材に、縫合糸の後端部を受容する縫合糸受容溝を形成することができる。
【0008】
本発明はまた、三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するためのアンカーシステムを提供する。このシステムは、縫合糸を受容するように適合された中心部分を有する第1のアンカー本体と、その中心部分の両端部から延出した相反するウイング部材を含むのが好ましい。ウイング部材は、中心部分の高さよりも大きい長さを画定するのが好ましい。このシステムはまた、実質的に円柱状の中心部分が延出した円形基部を有する第2のアンカー本体を含む。縫合糸を受容するために、円形基部及び実質的に円柱状の中心部分を孔が貫通するのが好ましい。このシステムは更に、第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体の中心部分を通る縫合糸ループ、及び縫合糸に形成された引き結びを含み、この引き結びが第2のアンカー本体に近接している。このシステムは様々な軟組織の裂傷の修復に用いることができるが、第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体はそれぞれ、患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷の修復に用いるのに適した大きさを有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
患者の手首のTFCCを修復するための改善された方法及び装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】本発明に従った第1のアンカー本体の一実施形態の側面図である。
【図1B】図1Aに示されている第1のアンカー本体の端面図である。
【図1C】図1Aに示されている第1のアンカー本体の底面図である。
【図2A】本発明に従った第2のアンカー本体の一実施形態の側面図である。
【図2B】図2Aの第2のアンカー本体の底面図である。
【図2C】図2Aに示されている第2のアンカー本体の断面図である。
【図3】縫合糸によって互いに接続された図1A〜図2Bに示されている第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体の斜視図である。
【図4A】本発明に従ったデリバリー装置の一実施形態の側面図である。
【図4B】図4Aに示されているデリバリー装置の細長い針の先端部の斜視図である。
【図5】本発明の別の実施形態に従った、尺骨側の三角線維軟骨複合体と人の手首の鞘との間に延在する第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体をそれぞれ含む2つのアンカーシステムと、橈骨側の三角線維軟骨複合体と橈骨との間に延在する第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体を含む第3のアンカーシステムを示す、人の手首の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付の図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば本発明をより良く理解できるであろう。
【0012】
本発明は、患者の手首のTFCCを修復するための方法及び装置を提供する。一般に、この装置は、縫合糸によって互いに接続された第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体を含む。第1のアンカー本体がTFCCの裂傷部分に亘って配置され、第2のアンカー本体が固定用組織に亘って配置され、縫合糸がこれらのアンカー本体の間に延在するように、好ましくはデリバリー装置を用いて患者の手首のTFCCの裂傷部分及び固定用組織を通過できるように第1のアンカー本体が構成されている。次いで、縫合糸を引張って裂傷TFCCを固定用組織に近接させ、これにより裂傷TFCCを固定用組織に固定する。
【0013】
本発明の方法及び装置は、従来の縫合技術に比べて複数の利点を提供する。具体的には、本発明の方法及び装置を関節鏡外科手術に用いて、TFCCに対して橈側及び尺側の裂傷の両方を単純、安全、迅速、かつ効果的に修復することができる。複数の装置を容易に移植して裂傷組織を近接することができ、縫合糸の高度な管理を必要とすることなく縫合糸を引張って固定することができる。
【0014】
図1A〜図2Bに、本発明に従った装置の第1のアンカー本体10及び第2のアンカー本体20の例示的な実施形態が例示されている。アンカー本体10及びアンカー本体20のそれぞれは様々な構造を有することができるが、アンカー本体10及びアンカー本体20は、裂傷組織を修復するべく裂傷組織を固定用組織に近接させて固定できるようにすべきである。アンカー本体10及びアンカー本体20はそれぞれ、様々な材料から形成することができるが、例示的な実施形態では、生体吸収性ポリマー材料から形成される。好適な材料として、限定するものではないが生体吸収性ポリ乳酸(PLA)をあげることができる。
【0015】
図1A〜図1Cに、第1のアンカー本体10が例示されている。このアンカー本体10は、縫合糸を受容するように適合された中心部分12、及び組織に係合するように適合された組織係合部分14を含む。中心部分12は、好ましくは概ね半円状であって、縫合糸受容部を備えることができる。縫合糸受容部は様々な構造を有することができ、第1のアンカー本体10の任意の部分に形成することができるが、図1Aには、中心部分12の実質的な中間点を貫通する孔16が例示されている。詳細を後述するように、孔16があるため、縫合糸を孔16に通して縫合糸ループを形成し、第1のアンカー本体10と第2のアンカー本体20を接続することができる。組織係合部分14は、様々な形状及び大きさを有することができるが、好ましくは実質的に細長い円柱状である。このような形状により、図4A〜図4Bを用いて詳細に説明するように、第1のアンカー本体10の組織係合部分14をデリバリー装置内にスライド可能に配置することができる。組織係合部分14は、そこから中心部分12が延出するように、その中心部分12の平面側12aに結合する或いは一体形成することができる。組織係合部分14はまた、組織係合部分14の相反する端部14a及び端部14bが組織係合ウイングをなすように、中心部分12の最大長さlcよりも大きい長さltを有するのが好ましい。ウイング14a及びウイング14bは、組織との係合を促進する拡大表面を提供し、これにより第1のアンカー本体10がその組織から外れるのが防止される。組織係合部分14の長さltは、中心部分12の高さhcよりも大きくし、組織係合部分14の幅wtを中心部分14の幅wcよりも大きくして、第1のアンカー本体10を比較的小型にすることができる。このような小型化は、本装置が非常に小さいインプラントを必要とするTFCCの修復に用いられるため特に有利である。
【0016】
第1のアンカー本体10の大きさは様々にすることができるが、例示的な実施形態では、第1のアンカー本体10は、約0.75mm〜1.25mmの範囲でより好ましくは約1.00mmの高さhl、約3.5mm〜4.5mmの範囲でより好ましくは約4.0mmの長さlt、約0.5mm〜1.5mmの範囲でより好ましくは約0.75mmの最大幅(すなわち組織係合部分14の幅wt)、約0.25mm〜1.5mmの範囲でより好ましくは約0.50mmの最小幅(すなわち中心部分12の幅wc)を有する。第1のアンカー本体10の中心部分12は、約2.0mm〜4.0mmの範囲でより好ましくは約3.0mmの最大長さ(すなわち中心部分12の長さlc)を有するのが好ましい。
【0017】
図2A〜図2Cに、第2のアンカー本体20の例示的な実施形態が例示されている。このアンカー本体20は、詳細を後述するように、本装置と共に用いる場合は縫合糸によって第1のアンカー本体10に接続するのが好ましい。第2のアンカー本体20は様々な構造を有することができるが、縫合糸を受容するように適合された中心部分22、及び組織に係合するように適合された組織係合部分24を含むのが好ましい。しかしながら、第1のアンカー本体10とは異なり、中心部分22は、縫合糸を受容するためにその中心部分22を貫通する縫合糸受容孔26を画定する概ね円柱状の形状を有するのが好ましい。中心部分22の円柱は、その相反する端部22aと端部22bの間で一定であるのが好ましい。しかしながら、第2のアンカー本体20は、中心部分22と組織係合部分24との間に移行ゾーン23を形成するべく、図2A及び図2Cに示されているように丸みが付いた側壁を含むことができる。例示的な実施形態では、中心部分の相反する第1の端部22aと第2の端部22bの間の中心部分22の直径Dcが実質的に一定となるように、移行ゾーン23は比較的小さい。直径Dcは、組織係合部分24に近接した第2の端部22bで著しく増大して組織係合部分24につながっている。このような構造により、中心部分22の太さが、その全長に亘って実質的に一定であり、第2のアンカー本体20に構造的完全性を提供している。このような構造は、患者の手首のTFCCを修復するために用いることができるようにアンカー本体20を比較的小さくしなければならないため特に望ましい。中心部分22の円柱形状により、詳細を後述するように、中心部分22を組織内に形成された孔の開口の少なくとも一部の中に導入するまたは配置することができる。
【0018】
中心部分22に取り付けるまたはその中心部分22と一体形成できる組織係合部分24は、中心部分22の一端から径方向外向きに延びた円形基部の形態であるのが好ましい。言い換えれば、中心部分22は、組織係合部分24をなす円形基部の円柱延長部またはその円形基部に形成されたフランジである。組織係合部分24の円形基部の直径Dtは様々にすることができるが、中心部分22をなす実質的に円柱状の延長部の最大直径Dcよりも大きくするのが好ましい。組織係合部分24の直径Dtは、組織係合部分24が少なくとも組織に係合するのに十分な大きさとすべきである。
【0019】
第2のアンカー本体20は、縫合糸に形成する結び目を受容するように適合された凹部28を含むことができる。凹部28はアンカー本体20の任意の部分に形成することができるが、図2Bに示されているように縫合糸受容孔26の開口内に形成するのが好ましい。凹部28の形状は様々にすることができるが、縫合糸の結び目が中心部分22よりも下側にくるようにすべきであり、より好ましくは、第2のアンカー本体20の構造的完全性を妨げない大きさにすべきである。例示的な実施形態では、凹部28は、その凹部28を形成する反対側の内壁が互いに対して所定の角度をなすように面取りされている。この角度は様々にすることができるが、例示的な実施形態では、凹部28をなす反対側の内壁は、互いに対して90度の角度をなすように形成されている。これにより、縫合糸の結び目が凹部28内に確実に受容されると共に、インプラント20の構造的完全性が保たれる。
【0020】
第2のアンカー本体20の大きさは様々にすることができるが、例示的な実施形態では、第2のアンカー本体20は、約1.0mm〜1.5mmの範囲でより好ましくは約1.3mmの高さH、約3.0mm〜4.0mmの範囲でより好ましくは約3.5mmの最大外径(すなわち組織係合部分24の直径Dt)、約0.75mm〜1.25mmの範囲でより好ましくは約1.0mmの最小外径(すなわち中心部分22の直径Dc)を有する。
【0021】
使用する場合、第1のアンカー本体10と第2のアンカー本体20を縫合糸によって互いに接続して、第1のアンカー本体10と第2のアンカー本体20を固定用組織と修復する裂傷組織の両側に配置して、縫合糸を用いて裂傷組織を固定用組織に向かって引張ってその裂傷組織を近接させることができる。実質的にあらゆる種類の縫合糸を用いることができるが、裂傷組織を確実に再付着させることができる非吸収性縫合糸が好ましい。限定するものではないが、本発明に用いる縫合糸の例として、ジョンソン・アンド・ジョンソン(Johnson & Johnson)グループのエシコン(Ethicon, Inc.)社が製造するEthibond(登録商標)を挙げることができる。
【0022】
当分野で周知の様々な技術を用いて縫合糸を第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体に取り付けることができるが、例示的な実施形態では、引き結びを用いて縫合糸を第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体に取り付ける。この引き結びにより、第2のアンカー本体を第1のアンカー本体に対して縫合糸に沿ってスライドさせることができ、これにより裂傷組織を固定用組織に向かって近接させて裂傷部を閉じることができる。また引き結びにより、装置が移植された時にアンカー本体10とアンカー本体20を互いに対して所定の位置に固定することができるため、縫合糸を結ぶ必要がない。引き結びの作り方は当分野で周知であり、様々な技術を用いることができる。
【0023】
図3に、縫合糸30によって互いに接続された第1のアンカー本体10及び第2のアンカー本体20が例示されている。図示されているように、縫合糸30は、第1のアンカー本体10の中心部分12の孔16を通って縫合糸ループを形成している。縫合糸30の2つの自由端30a及び自由端30bが第2のアンカー本体20の縫合糸受容孔26から延出しており、第2のアンカー本体20を第1のアンカー本体10に対して縫合糸30に沿って移動できるように引き結び32が形成されている。図示されているように、引き結び32は、第2のアンカー本体20の組織係合部分24に形成された縫合糸受容凹部28内に配置されている。縫合糸30の自由端30bが引き結び32から延出しており、この自由端30bを用いて縫合糸30を引張って、第1のアンカー本体10と第2のアンカー本体20との間のループの大きさを小さくして、これらを互いに近づけることができる。
【0024】
様々な技術を用いて第1のアンカー本体10及び第2のアンカー本体20を移植することができるが、例示的な実施形態では、デリバリー装置を用いて第1のアンカー本体10及び第2のアンカー本体20を移植する。デリバリー装置の構造は様々にすることができるが、デリバリー装置は、第1のアンカー本体10を組織を介して挿入し、その第1のアンカー本体10を放出できるようにすべきである。図4Aに、デリバリー装置40の例示的な実施形態が例示されている。図示されているように、装置40は通常、細長い針44が先端部から延出したハンドル部材42を含む。この針44は、第1のアンカー本体10をスライド可能に保持するように適合されている。トリガー機構46がハンドル42に形成されている。このトリガー機構46を作動させて、第1のアンカー本体10を針44から放出することができる。第2のアンカー本体20は、第1のアンカー本体10から延びた縫合糸に取り付けたままにすることができる。第2のアンカー本体20は、デリバリー装置40に装着する必要がない。しかしながら、当業者であれば、第2のアンカー本体20を第1のアンカー本体10と共に、或いは第1のアンカー本体10の代わりに保持するようにデリバリー装置を適合できることを理解できよう。
【0025】
細長い針44は、様々な構造、形状、及び大きさを有することができるが、裂傷TFCCを修復する関節鏡外科手術に用いるのに適した大きさを有するのが好ましい。具体的には、針44は少なくとも16ゲージの針であるのが好ましい。しかしながら、針44の最先端部分44bは、針44の基端部分44aよりも直径を小さくすることができる。具体的には、針44の最先端部分44bは18ゲージの針であるのが好ましい。針44の形状も様々にすることができるが、実施する修復の種類によって針44を実質的に真直にしたり、或いは1または複数の湾曲部を含むようにすることができる。一実施形態では、針44の最先端部分44bは、第1のアンカー本体10の組織内への挿入を容易にするために針44の基端部分44aに対して所定の角度(図示せず)をなすように形成する。
【0026】
上記したように、針44は、図示されているように第1のアンカー本体10の少なくとも一部分をスライド可能に受容するように適合されている。様々な技術を用いることができるが、針44は、図4Bに示されているように、その少なくとも先端部分44bに形成された、針44の内腔45に連通した溝48を有するのが好ましい。例示的な実施形態では、溝48は、第1のアンカー本体10の中心部分12を受容して、組織係合部分14を針44の内腔45内にスライド可能に受容できるように構成されている。第1のアンカー本体10の残りの部分、すなわち組織係合部分14から延出した中心部分12を溝48から突出させることができる。細長い針44は、第2のアンカー本体20の柱状中心部分22の外径Dcと実質的に同じまたはそれ以上である外径Dn(図4B)を有するのが好ましい。これにより、第2のアンカー本体20の中心部分22を、細長い針44を挿入する組織に形成された孔の中に配置することができ、第2のアンカー本体20の組織係合部分24をその組織に配置して係合させることができる。
【0027】
デリバリー装置40のハンドル部材42は、様々な構造を有することができるが、装置40を容易に把持及び操作できる構造にすべきである。図4Aに示されているように、ハンドル部材42は概ね細長い形状であり、基端部42aと、細長い針44が取り外し可能に取り付けられるまたは固定される先端部42bを有する。ハンドル部材42に、第2のアンカー本体20から延びた縫合糸30の自由端30bを受容する縫合糸受容溝(図示せず)を形成することもできる。縫合糸受容溝は、ハンドル42の先端部42bからハンドル42の基端部42aまで延在するのが好ましい。図示されていないが、ハンドル42は、針44を組織に挿入する際に、第1のアンカー本体を細長い針44内に確実に保持するために縫合糸30に取り外し可能に係合する適合された係合機構を含むこともできる。
【0028】
上記したように、ハンドル部材42にトリガー機構46を形成することがでる。トリガー機構46を作動させて、第1のアンカー本体10を先端方向に進めることができる。様々なトリガー機構を用いることができるが、例示的な実施形態では、トリガー機構46は、ハンドル42及び針44の少なくとも一部分の中にスライド可能に配置されたプッシャー軸(図示せず)と、そのプッシャー軸に係合してハンドル42に対してスライドできるノブまたはボタンなどの作動機構50を含む。作動機構50がハンドル42に対して先端方向に移動すると、針44内のプッシャー軸が先端方向に移動して第1のアンカー本体10が先端方向に押し出され、第1のアンカー本体10が針44から放出される。使用する場合、第1のアンカー本体10をデリバリー装置40に装着するために、中心部分12が溝48から突き出るように第1のアンカー本体10の実質的に柱状の組織係合部分14を針44の内腔45内に導入し、第1のアンカー本体10を針44に沿って基端側にスライドさせる。第2のアンカー本体20が第1のアンカー本体10の基端側にくるように、好ましくはハンドル42の縫合糸受容凹部において、縫合糸30の自由端30bをハンドル42に向けて配置する。第1のアンカー本体10及び第2のアンカー本体20をデリバリー装置40に装着したら、この装置40を裂傷の修復に用いることができる。
【0029】
当業者であれば、本発明の装置は様々な裂傷組織の修復に用いることができるが、患者の手首の裂傷または損傷TFCCの修復に用いるのが好ましいことを理解できよう。図5に、人間の手首が例示されている。この手首は、三角線維軟骨複合体(TFCC)52、尺骨54、橈骨56、及び集合的に鞘(capsule)58と呼ぶ背側鞘及び尺側手根伸筋鞘を含む。裂傷TFCCを修復するための方法は裂傷の位置によって異なる。裂傷は、TFCCの橈骨側及び尺骨側の両方に起こり得る。図5に、橈骨側及び尺骨側の両方の裂傷の修復を例示する。
【0030】
当業者であれば、患者の準備、麻酔、及び患者の皮膚を通る1または複数の切開部の形成を含め、既知の容認されている関節鏡外科手術に本発明のシステムを用いることができることを理解できよう。
【0031】
尺骨側の裂傷の場合、デリバリー装置40の細長い針44を、関節鏡的に皮膚の小さな切開部材(図示せず)から、固定用組織として機能する鞘58を経て裂傷TFCC52内に挿入して、第1のアンカー本体、例えばアンカー本体10’をTFCC52に近接して配置する。第2のアンカー本体、例えばアンカー本体20’が縫合糸(図示せず)によって第1のアンカー本体10’から離間して、鞘58またはTFCC52を通過して挿入されていないため、第2のアンカー本体20’を鞘58の外面に維持する。従って、第1のアンカー本体10’と第2のアンカー本体20’が鞘58とTFCC52を挟んでその両側に配置されている。次いで、トリガー46の作動機構50を先端側にスライドさせて第1のアンカー本体10’を放出する。次いで、デリバリー装置40を抜き取ることができる。次いで、縫合糸30の自由端30bを引張って第1のアンカー本体10’と第2のアンカー本体20’が互いに引き寄せる。これにより、図5に示されているように裂傷TFCC52が鞘58に向かって引き寄せられてTFCC52の裂傷部が近接する。次いで、縫合糸30の自由端30bを切断することができる。戻り止め引き結び32を用いているため、第1のアンカー本体10’及び第2のアンカー本体20’は、これらの間に鞘58とTFCC52を挟んで互いに確実に固定される。従って、更なる結び目を形成する処置が必要ない。必要に応じて、この処置を繰り返して、更なるアンカーシステムを移植することができる。例えば、TFCC52を鞘58に固定している第1のアンカー本体10’’及び第2のアンカー本体20’’を有する第2のアンカーシステムが図5に例示されている。
【0032】
尺骨側のTFCCの裂傷は、裂傷組織52を鞘58に固定するのではなく尺骨54に固定して修復することができる。このような処置は上記したステップと同じステップに従うことができるが、針44は鞘58に通すのではなく、尺骨茎状部54に形成された骨トンネル(図示せず)に通す。
【0033】
橈骨側の裂傷の場合、デリバリー装置40の細長い針44を、内視鏡的に皮膚の小さい切開部(図示せず)から、固定用組織として機能する橈骨56に形成された骨トンネル(図示せず)を介して裂傷TFCC52内に挿入して、第1のアンカー本体、例えばアンカー本体10’’’をTFCC52の反対側に配置する。第2のアンカー本体、例えばアンカー本体20’’’が縫合糸30(図示せず)によって第1の本体10’’’から離間して、橈骨56またはTFCC52を通過して挿入されていないため、第1のアンカー本体10’’’と第2のアンカー本体20’’’を橈骨56とTFCC52を挟んでその両側に配置する。次いで、トリガー46の作動機構50を先端側にスライドさせて第1のアンカー本体10’’’を放出する。次いで、デリバリー装置40を抜き取ることができる。次いで縫合糸30の自由端30bを引張って第1のアンカー本体10’’’と第2のアンカー本体20’’’を互いに引き寄せる。これにより、図5に示されているように裂傷TFCC52が橈骨56に向かって引き寄せられて裂傷TFCC52が近接する。次いで、縫合糸30の自由端30bを切断する。ここでも引き結び52を用いているため、第1のアンカー本体10’’’とび第2のアンカー本体20’’’は、これらの間に橈骨56及びTFCC52を挟んで互いに確実に固定される。従って、更なる結び目を形成する処置が必要でない。必要に応じて、この処置を繰り返して、更なるアンカーシステムを移植することができる。
【0034】
当業者であれば、上記した実施形態から本発明の更なる特徴及び利点を理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除き、図面を用いて説明した実施形態に限定されるものではない。ここに記載した全ての刊行物及び参照文献は、言及することをもってその内容の全てを本明細書の一部とする。
【0035】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(1)患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するための方法であって、縫合糸によって第2のアンカー本体に接続された第1のアンカー本体を保持するデリバリー装置を固定用組織及び前記三角線維軟骨複合体の一部を通過させるステップと、前記第1のアンカー本体が前記三角線維軟骨複合体の裂傷部分に亘って配置され、前記第2のアンカー本体が固定用組織に亘って配置され、前記縫合糸がこれらの間に延在するように前記第1のアンカー本体を前記デリバリー装置から放出するステップと、前記縫合糸を引張って前記三角線維軟骨複合体を前記固定用組織に固定するステップとを含むことを特徴とする方法。
(2)前記三角線維軟骨複合体が尺骨側の裂傷を有しており、前記固定用組織が背側鞘、尺側手根伸筋鞘、及び尺骨からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
(3)前記三角線維軟骨複合体が橈骨側の裂傷を有しており、前記固定用組織が橈骨を含むことを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
(4)前記縫合糸に引き結びが形成されており、前記縫合糸を引張るステップが、前記縫合糸の後端部を引張って前記引き結び及び前記第2のアンカー本体を前記第1のアンカー本体に向かって移動させるステップを含むことを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
(5)前記各アンカー本体が、前記縫合糸を受容するように適合された中心部分及び組織係合部分を含むことを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
【0036】
(6)前記各アンカー本体が、前記中心部分を貫通した前記縫合糸を受容するための孔を含むことを特徴とする実施態様(5)に記載の方法。
(7)前記第1のアンカー本体の前記中心部分が実質的に半円状であり、前記組織係合部分が概ね細長いことを特徴とする実施態様(5)に記載の方法。
(8)前記第1のアンカー本体の前記中心部分が実質的に平面状であり、前記組織係合部分が実質的に円柱状であることを特徴とする実施態様(7)に記載の方法。
(9)前記組織係合部分が、前記組織係合部分の両端部が組織係合ウイングをなすように前記中心部分の最大直径よりも大きい長さを有することを特徴とする実施態様(7)に記載の方法。
(10)前記組織係合部分が、前記中心部分の高さよりも大きい長さを有することを特徴とする実施態様(7)に記載の方法。
【0037】
(11)前記第2のアンカー本体の前記組織係合部分が円形基部の形態であり、前記中心部分が、前記円形基部の実質的に柱状の延長部を含み、この延長部の側壁に丸みが付けられていることを特徴とする実施態様(5)に記載の方法。
(12)前記円形基部及び前記実質的に柱状の延長部が更に、これらを貫通する縫合糸受容孔を含むことを特徴とする実施態様(11)に記載の方法。
(13)前記円形基部の前記縫合糸受容孔が更に、その開口に形成された凹部を含み、前記凹部が前記縫合糸の結び目を受容するように適合されていることを特徴とする実施態様(12)に記載の方法。
(14)前記凹部が、前記組織係合部分に形成された面取り部からなることを特徴とする実施態様(13)に記載の方法。
(15)前記円形基部の直径が、前記実質的に円柱状の延長部の最大直径よりも大きいことを特徴とする実施態様(11)に記載の方法。
【0038】
(16)前記第1のアンカー本体及び前記第2のアンカー本体が生体吸収性ポリマー材料から形成されていることを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
(17)前記縫合糸が、非生体吸収性縫合糸及び生体吸収性縫合糸からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
(18)前記デリバリー装置が、少なくとも先端部分に溝が形成された細長い針を含み、前記溝が、前記第1のアンカー本体の少なくとも一部をスライド可能に受容できるように適合されていることを特徴とする実施態様(1)に記載の方法。
(19)前記細長い針の前記溝が、複数のアンカー本体をスライド可能に受容できるように適合されていることを特徴とする実施態様(18)に記載の方法。
(20)前記第1のアンカー本体が、前記デリバリー装置の前記細長い針に形成された前記溝にスライド可能に受容されるように適合された組織係合部分を含むことを特徴とする実施態様(18)に記載の方法。
【0039】
(21)前記デリバリー装置の前記針の少なくとも最も先端部分が約16ゲージ〜18ゲージの範囲の直径を有することを特徴とする実施態様(18)に記載の方法。
(22)更に、前記細長い針に結合されたハンドル部材と、このハンドルに形成されたトリガー機構とを含み、このトリガー機構が、作動すると前記第1のアンカー本体を先端方向に移動させてその第1のアンカー本体を放出することができることを特徴とする実施態様(18)に記載の方法。
(23)更に、前記細長い針に結合されたハンドル部材を含み、このハンドル部材に縫合糸受容溝が形成されていることを特徴とする実施態様(18)に記載の方法。
(24)三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するためのアンカーシステムであって、第1のアンカー本体、第2のアンカー本体、及び縫合糸ループを含み、前記第1のアンカー本体が、縫合糸を受容するように適合された中心部分、及びその中心部分の両側から延出した相反するウイング部材を含み、前記ウイング部材が、前記中心部分の高さよりも大きい長さを画定しており、前記第2のアンカー本体が、実質的に円柱状の中心部分が延出した円形基部を含み、前記第2のアンカー本体が、前記円形基部及び前記実質的に円柱状の中心部分を貫通した縫合糸を受容するための孔を備えており、前記縫合糸ループが、前記第1のアンカー本体の前記中心部分及び前記第2のアンカー本体の前記中心部分の中を通り、前記縫合糸ループに前記第2のアンカー本体に近接して配置された引き結びが形成されていることを特徴とするアンカーシステム。
(25)前記第1のアンカー本体及び前記第2のアンカー本体のそれぞれが、患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷の修復に用いるのに適した大きさを有することを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
【0040】
(26)前記第1のアンカー本体の前記中心部分が実質的に半円状であり、前記相反するウイング部材が、前記中心部分に結合された細長い概ね円柱状の部材から形成されていることを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
(27)前記細長い概ね円柱状の部材が、前記中心部分の最大直径よりも大きい長さを有することを特徴とする実施態様(26)に記載のアンカーシステム。
(28)前記細長い部材の前記長さが約3.5mm〜4.5mmの範囲であり、前記中心部分の前記最大直径が約2.0mm〜4.0mmの範囲であることを特徴とする実施態様(27)に記載のアンカーシステム。
(29)前記細長い部材の前記長さが約4.0mmであり、前記中心部分の最大長さが約3.0mmであることを特徴とする実施態様(27)に記載のアンカーシステム。
(30)前記第1のアンカー本体が、前記中心部分を貫通した前記縫合糸を受容するための孔を含むことを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
【0041】
(31)前記第2のアンカー本体が更に、前記縫合糸に形成された前記引き結びを受容するように適合された、前記孔の一端に形成された凹部を含むことを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
(32)前記円形基部が前記凹部の径方向外側に位置することを特徴とする実施態様(31)に記載のアンカーシステム。
(33)前記第1のアンカー本体及び前記第2のアンカー本体が生体吸収性ポリマー材料から形成されていることを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
(34)前記縫合糸が、非生体吸収性縫合糸及び生体吸収性縫合糸からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
(35)更に、前記第1のアンカー本体を受容するように適合されたデリバリー装置を含むことを特徴とする実施態様(24)に記載のアンカーシステム。
【0042】
(36)前記デリバリー装置が複数のアンカー本体を受容できるように適合されていることを特徴とする実施態様(35)に記載のアンカーシステム。
(37)前記デリバリー装置が、少なくとも先端部に溝が形成された細長い針を含み、この溝が、前記第1のアンカー本体の少なくとも一部をスライド可能に受容するように適合されていることを特徴とする実施態様(35)に記載のアンカーシステム。
(38)前記第1のアンカー本体の前記相反するウイング部材が、前記中心部分に結合された細長い概ね円柱状の部材から形成されており、この細長い概ね円柱状の部材が、前記デリバリー装置の前記細長い針に形成された前記溝内をスライド可能に受容されるように適合されていることを特徴とする実施態様(37)に記載のアンカーシステム。
(39)前記第2のアンカー本体の前記実質的に円柱状の中心部分が、前記デリバリー装置の前記細長い針の前記溝の内径と実質的に同じまたはそれよりも小さい外径を有することを特徴とする実施態様(37)に記載のアンカーシステム。
(40)前記デリバリー装置の前記細長い針の少なくとも最も先端部分が約16ゲージ〜18ゲージの範囲の直径を有することを特徴とする実施態様(37)に記載のアンカーシステム。
【0043】
(41)更に、前記細長い針に結合されたハンドル部材を含み、このハンドルに形成されたトリガー機構とを含み、このトリガー機構が、作動すると前記第1のアンカー本体を先端方向に移動させることができることを特徴とする実施態様(37)に記載のアンカーシステム。
(42)更に、前記細長い針に結合されたハンドル部材を含み、このハンドル部材に縫合糸受容溝が形成されていることを特徴とする実施態様(37)に記載のアンカーシステム。
(43)患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するための方法であって、縫合糸によって互いに接続された第1のアンカー本体及び第2のアンカー本体を保持するデリバリー装置を、第1の位置で患者の手首の裂傷した三角線維軟骨複合体の一部を通過させるステップと、前記第1のアンカー本体が固定用組織に配置されるように前記デリバリー装置から前記第1のアンカー本体を放出するステップと、前記デリバリー装置を、前記第1の位置に近接した第2の位置で前記裂傷した患者の手首の三角線維軟骨複合体の一部を通過させるステップと、前記第2のアンカー本体が前記第1のアンカー本体に近接した前記固定用組織に配置され、前記裂傷した三角線維軟骨複合体に亘った前記第1のアンカー本体及び前記第2のアンカー本体から前記縫合糸が延出し、前記縫合糸の一部が前記固定用組織の反対側の組織表面に配置されるように、前記デリバリー装置から前記第2のアンカー本体を放出するステップと、前記縫合糸を引張って前記裂傷した三角線維軟骨複合体を近接させるステップと含むことを特徴とする方法。
(44)前記縫合糸の一部が配置された前記組織表面が前記三角線維軟骨複合体を含むことを特徴とする実施態様(43)に記載の方法。
(45)前記固定用組織が前記三角線維軟骨複合体であり、前記縫合糸の一部が配置された前記組織表面が、背側鞘、尺側手根伸筋鞘、及び尺骨からなる群から選択されることを特徴とする実施態様(43)に記載の方法。
(46)前記固定用組織が前記三角線維軟骨複合体であり、前記縫合糸の一部が配置される前記組織表面が橈骨を含むことを特徴とする実施態様(43)に記載の方法。
【符号の説明】
【0044】
10,10’,10’’,10’’’ 第1のアンカー本体
12 中心部分
14 組織係合部分
16 孔
20,20’,20’’,20’’’ 第2のアンカー本体
22 中心部分
24 円形基部
26 縫合糸受容孔
28 凹部
30 縫合糸
32 結び目
40 デリバリー装置
42 ハンドル
44 細長い針
45 内腔
46 トリガー機構
48 溝
50 作動機構
52 三角線維軟骨複合体(TFCC)
54 尺骨
56 橈骨

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三角線維軟骨複合体の裂傷を修復するためのアンカーシステムであって、第1のアンカー本体、第2のアンカー本体、及び縫合糸ループを含み、
前記第1のアンカー本体が、縫合糸を受容するように適合された中心部分、及びその中心部分の両側から延出した相反するウイング部材を含み、前記ウイング部材が、前記中心部分の高さよりも大きい長さを画定しており、
前記第2のアンカー本体が、実質的に円柱状の中心部分が延出した円形基部を含み、前記第2のアンカー本体が、前記円形基部及び前記実質的に円柱状の中心部分を貫通した縫合糸を受容するための孔を備えており、
前記縫合糸ループが、前記第1のアンカー本体の前記中心部分及び前記第2のアンカー本体の前記中心部分の中を通り、前記縫合糸ループに前記第2のアンカー本体に近接して配置された引き結びが形成されており、
前記第1のアンカー本体および第2のアンカー本体のそれぞれが、患者の手首の三角線維軟骨複合体の裂傷の修復に用いるのに適した大きさを有する、アンカーシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第1のアンカー本体の前記中心部分が実質的に半円の平面状であり、前記相反するウイング部材が、前記中心部分に結合された細長い概ね円柱状の部材から形成されている、アンカーシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のアンカーシステムにおいて、
前記細長い概ね円柱状の部材が、前記中心部分の最大直径よりも大きい長さを有する、アンカーシステム。
【請求項4】
請求項3に記載のアンカーシステムにおいて、
前記細長い部材の前記長さが約3.5mm〜4.5mmの範囲であり、前記中心部分の前記最大直径が約2.0mm〜4.0mmの範囲である、アンカーシステム。
【請求項5】
請求項3に記載のアンカーシステムにおいて、
前記細長い部材の前記長さが約4.0mmであり、前記中心部分の最大長さが約3.0mmである、アンカーシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第1のアンカー本体が、前記中心部分を貫通した前記縫合糸を受容するための孔を含む、アンカーシステム。
【請求項7】
請求項1に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第2のアンカー本体が、前記縫合糸に形成された前記引き結びを受容するように適合された、前記孔の一端に形成された凹部をさらに含む、アンカーシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のアンカーシステムにおいて、
前記円形基部が前記凹部の径方向外側に位置する、アンカーシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第1のアンカー本体及び前記第2のアンカー本体が生体吸収性ポリマー材料から形成されている、アンカーシステム。
【請求項10】
請求項1に記載のアンカーシステムにおいて、
前記縫合糸が、非生体吸収性縫合糸及び生体吸収性縫合糸からなる群から選択される、アンカーシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第1のアンカー本体を受容するように適合されたデリバリー装置をさらに含む、アンカーシステム。
【請求項12】
請求項11に記載のアンカーシステムにおいて、
前記デリバリー装置が複数のアンカー本体を受容できるように適合されている、アンカーシステム。
【請求項13】
請求項11に記載のアンカーシステムにおいて、
前記デリバリー装置が、少なくとも先端部に溝が形成された細長い針を含み、この溝が、前記第1のアンカー本体の少なくとも一部をスライド可能に受容するように適合されている、アンカーシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第1のアンカー本体の前記相反するウイング部材が、前記中心部分に結合された細長い概ね円柱状の部材から形成されており、この細長い概ね円柱状の部材が、前記デリバリー装置の前記細長い針に形成された前記溝内をスライド可能に受容されるように適合されている、アンカーシステム。
【請求項15】
請求項13に記載のアンカーシステムにおいて、
前記第2のアンカー本体の前記実質的に円柱状の中心部分が、前記デリバリー装置の前記細長い針の外径と実質的に同じまたはそれよりも小さい外径を有する、アンカーシステム。
【請求項16】
請求項13に記載のアンカーシステムにおいて、
前記デリバリー装置の前記細長い針の少なくとも最も先端部分が約16ゲージ〜18ゲージの範囲の直径を有する、アンカーシステム。
【請求項17】
請求項13に記載のアンカーシステムにおいて、
前記細長い針に結合されたハンドル部材をさらに含み、このハンドルに形成されたトリガー機構とを含み、このトリガー機構が、作動すると前記第1のアンカー本体を先端方向に移動させることができる、アンカーシステム。
【請求項18】
請求項13に記載のアンカーシステムにおいて、
前記細長い針に結合されたハンドル部材をさらに含み、このハンドル部材に縫合糸受容溝が形成されている、アンカーシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−156378(P2011−156378A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85386(P2011−85386)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2005−51501(P2005−51501)の分割
【原出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(504202690)デピュイ・ミテック・インコーポレイテッド (12)
【氏名又は名称原語表記】DePuy Mitek,Inc.
【住所又は居所原語表記】249 Vanderbilt Avenue,Norwood,MA 02062,U.S.A.
【Fターム(参考)】