説明

上履き殺菌装置

【課題】 殺菌効率の高い上履き殺菌装置の提供。
【解決手段】 本発明は、殺菌灯が設置された照射空間と、殺菌対象物が載せられて前記照射空間を通過する無端搬送手段とを備えた上履き殺菌装置において、前記照射空間に前記殺菌灯の照射光を反射させる反射板を配設したことを特徴とする。
又、反射板は照射光を乱反射させる形状であることを特徴とする。
又、反射板は無端搬送装置の搬送方向を軸として半割り筒状に搬送面を覆うように形成したことを特徴とする。
又、照射空間の入口と出口には、進行方向に若干の間隔をおいた遮光カーテンを少なくとも2枚配設したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スリッパ等の上履きを殺菌する上履き殺菌装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホテルや旅館或いは医院等において来客用に使用されるスリッパ等の上履き(以下、単にスリッパともいう)は、不特定の人に使用されるため、衛生上問題がある。又、スリッパを利用する人は、衛生上の安全性に疑問を持ちながらも、止むを得ず利用しているのが実情である。
【0003】
このような衛生上の問題や利用者の不安を解消するため、各種の殺菌装置が提案されている。例えば、特開平11−56982に掲載のスリッパ殺菌装置。
【特許文献1】特開平11−56982公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のこの種の装置では、殺菌灯が照射されている空間を通過するベルト上に単にスリッパを載置した状態で通過させるだけの構成であるため、スリッパの外観側は殺菌されても、殺菌灯の光(照射光)が届き難いスリッパの内側、例えばスリッパの甲の内側部分の殺菌が十分でない、という問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題の解決を目的としてなされたもので、スリッパの内側を十分に殺菌できる上履き殺菌装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の上履き殺菌装置の発明は、殺菌灯が設置された照射空間と、殺菌対象物が載せられて前記照射空間を通過する無端搬送手段とを備えた上履き殺菌装置において、前記照射空間に前記殺菌灯の照射光を反射させる反射板を配設したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の上履き殺菌装置において、反射板は照射光を乱反射させる形状であることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の上履き殺菌装置において、反射板は照射光を乱反射させるよう配置された複数の反射部材で構成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の上履き殺菌装置において、反射板は鏡であることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の上履き殺菌装置において、反射板は無端搬送装置の搬送方向を軸として半割り筒状に搬送面を覆うように形成したことを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れかに記載の上履き殺菌装置において、無端搬送装置に乗せられて上履きが出入りする照射空間の入口と出口には、進行方向に若干の間隔をおいた遮光カーテンを少なくとも2枚配設したことを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の上履き殺菌装置において、遮光カーテンの間隔は一方の遮光カーテンを上履きが通過している間は他方の遮光カーテンが出入り口を遮光できる間隔であることを特徴とする。
【0013】
請求項8の発明は、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の上履き殺菌装置において、無端搬送装置はスイッチ手段により正逆回転自在に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1乃至請求項8の各発明によれば、殺菌灯からの直接的な照射光のみならず、反射板により反射された反射光が照射空間に満ちるので、直接的な照射光のみの場合に較べて、殺菌灯の数や配置が従来のままでも、上履きの内部にまで照射光(反射光)を及ぼすことができ、殺菌効率を高めることができる。
【0015】
請求項2及び請求項3の各発明によれば、照射光を乱反射させることによって、より一層、上履きの内部にまで照射光(反射光)を及ぼすことができ、殺菌効率を高めることができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、反射板を一枚板にて容易に加工することができると共に、搬送装置の搬送方向に所要の長さで容易に配設することができる。
【0017】
請求項6及び請求項7の各発明によれば、複数の遮光カーテンを配設するという比較的簡単な設備によって、照射空間外への照射光の漏れを容易に防止することができる。
【0018】
請求項8の発明によれば、スイッチ操作一つで搬送手段を正逆回転させることができるので、照射空間内を所望回数往復動させることによって、十分な照射を任意に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明をスリッパを対象とした殺菌装置を例にして、図1乃至図8に基づいて説明する。
図1は、上履き殺菌装置の平面図、図2は上履き殺菌装置の側面図、図3は上履き殺菌装置の内部を示す要部平面図、図4は上履き殺菌装置を構成するテーブルの平面図、図5はテーブルの側面図、図6はテーブルの端面図、図7は図1のA−A線部断面図、図8は図1のB−B線部断面図である。
【実施例】
【0020】
図1乃至図3において、図中の符号10は両端に開放口を備えた箱体であって、内部に照射空間11が形成されている。両端の開放口は一方が入口12、他方が出口13である。この照射空間11の天井側には殺菌灯14が設置されているが、殺菌灯14は必ずしも天井に設ける必要はなく、照射空間11に適宜配設すればよい。
尚、図中の符号15は箱体10の上面に設けられた覗き窓であり、照射光がもれないようスモークガラス等の遮光素材で形成されている。この覗き窓15により、殺菌されながら通過するスリッパ(図示せず)を目視することができる。
【0021】
箱体10には、入口12から出口13を貫通して無端搬送手段20が配設されている。
この無端搬送手段20は、断面が伏せコ字形に形成されて平らに組み込まれたテーブル21と、当該テーブル21の両端側に各々配設された案内ローラ22.22と、前記テーブル21上を入口12から出口13方向に向けて一側面側が移動可能となるよう前記案内ローラ22,22に掛け回された無端搬送帯23とを主要部として構成されている。
【0022】
この無端搬送手段20の無端搬送体23に殺菌対象物即ちこの例ではスリッパ(図示せず)が載せられて、前記照射空間11を通過する間に、殺菌灯14の照射光を浴びて殺菌処理される。
【0023】
箱体12の両開放口である入口12と出口13には、各々当該開放口(13,14)を外界と遮断するための遮光カーテン30を設けている。
図2に示すように、この実施例では、無端搬送装置20に乗せられて上履きが出入りする照射空間11の入口12と出口13には、各々進行方向に若干の間隔をおいて少なくとも2枚の遮光カーテン31,32が各々配設されている。
【0024】
この2枚の遮光カーテン31,32の配置間隔は、一方の遮光カーテン31の下をスリッパが通過している間、他方の遮光カーテン32は正常な状態で垂れ下がって、照射空間11と外界とを遮断できる間隔とする。従って、この遮光カーテン30(31,32)は3枚以上を同様の間隔で配置するのが好ましい。
【0025】
このように、一方の遮光カーテン31を上履きが通過している間は他方の遮光カーテン32が出入り口を遮光できる間隔となるように、複数の遮光カーテン30(31,32)を配設する、という比較的簡単な設備によって、照射空間11外への照射光の漏れを容易に防止することができる。
【0026】
前記の照射空間11内には、光原の殺菌灯14からの照射光を当該照射空間11内に反射させる反射板40を設けている。
この実施例では、反射板として鏡を用い、搬送方向を軸として半割り筒状に搬送面を覆うように形成して配設してある。
【0027】
このように、反射板40を設けることにより、殺菌灯14からの直接的な照射光のみならず、反射板40により反射された反射光が照射空間11に満ちるので、上履きの内部にまで照射光(反射光)を及ぼすことができ、殺菌効率を従来の装置に較べて一段と高めることができる。
【0028】
反射板40は、実施例の形状に限らず、照射光を乱反射させる形状であればよい(図示せず)。
又、反射板40は1枚で構成する必要はなく、複数の反射部材で照射光を乱反射させるよう配置された構成としてもよい(図示せず)。
【0029】
図2において、符号45はスイッチ手段であり、このスイッチ操作により、無端搬送装置20の無端搬送帯23の搬送方向を正逆回転自在に構成している。
このように構成することによって、スイッチ操作一つで無端搬送手段20を正逆回転させることができるので、照射空間11内を所望回数往復動させることができ、被殺菌目的物の汚染状態に応じて、十分な照射を任意に行うことができる。
【0030】
更に、図2及び図4乃至図6において、この実施例では、テーブル21を断面伏せコ字形状に形成した両側面の両端側に、テーブル21の延在方向に適当間隔で複数のビス穴24,24、24を設けると共に、これらのビス穴に24,24、24に止着ビス25によって装着されるブラケット26,26を設け、これ等のブラケット26,26によって、テーブル21の両端側に配置される
案内ローラ22.22を支持する構成としている。
【0031】
このような構成により、無端搬送帯23が伸びた場合には、ブラケット26,26の取り付け位置をテーブル21の延在方向に適宜ずらして付け替えることにより、無端搬送帯23の緊張度合いを容易に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、スリッパ等の上履き殺菌装置としても利用可能であることは勿論であるが、下履きの殺菌装置として、或いは、その他の物の殺菌装置として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】上履き殺菌装置の平面図である。
【図2】上履き殺菌装置の側面図である。
【図3】上履き殺菌装置の内部を示す要部平面図である。
【図4】上履き殺菌装置を構成するテーブルの平面図である。
【図5】テーブルの側面図である。
【図6】テーブルの端面図である。
【図7】図1のA−A線部断面図である。
【図8】図1のB−B線部断面図である。
【符号の説明】
【0034】
10 箱体
11 照射空間
12 入口(開放口)
13 出口(開放口)
14 殺菌灯
20 無端搬送手段
21 テーブル
22 案内ローラ
23 無端搬送帯
30 遮光カーテン
31 遮光カーテン
32 遮光カーテン
40 反射板(鏡)
45 スイッチ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺菌灯が設置された照射空間と、殺菌対象物が載せられて前記照射空間を通過する無端搬送手段とを備えた上履き殺菌装置において、
前記照射空間に前記殺菌灯の照射光を反射させる反射板を配設したことを特徴とする上履き殺菌装置。
【請求項2】
反射板は照射光を乱反射させる形状であることを特徴とする請求項1に記載の上履き殺菌装置。
【請求項3】
反射板は照射光を乱反射させるよう配置された複数の反射部材で構成したことを特徴とする請求項1に記載の上履き殺菌装置。
【請求項4】
反射板は鏡であることを特徴とする請求項1に記載の上履き殺菌装置。
【請求項5】
反射板は無端搬送装置の搬送方向を軸として半割り筒状に搬送面を覆うように形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の上履き殺菌装置。
【請求項6】
無端搬送装置に乗せられて上履きが出入りする照射空間の入口と出口には、進行方向に若干の間隔をおいた遮光カーテンを少なくとも2枚配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れかに記載の上履き殺菌装置。
【請求項7】
遮光カーテンの間隔は一方の遮光カーテンを上履きが通過している間は他方の遮光カーテンが出入り口を遮光できる間隔であることを特徴とする請求項6に記載の上履き殺菌装置。
【請求項8】
無端搬送装置は、スイッチ手段により正逆回転自在に構成したことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の上履き殺菌装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−288606(P2006−288606A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−112326(P2005−112326)
【出願日】平成17年4月8日(2005.4.8)
【出願人】(599032176)株式会社オーバ (3)
【Fターム(参考)】