説明

上部の直荷重を低減するゴム

【課題】上部の直荷重を効率よく低減するゴムを提供する。
【解決手段】下部に一つ以上の支え台が形成され、施工床面と各支え台との間隔及び支え台の高さを境界にして形成される余白空間を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二重床材などに使われるゴムに係り、さらに詳しくは上部の直荷重による振動伝達を効率よく低減するゴムに関する。
【背景技術】
【0002】
除振に使用されるゴムは主に上部から伝達される振動を下部に伝達されないようにする機能を果たす。しかし、その形状において、殆ど上部の振動が下部に直ちに伝達されるようにする形状である。
【0003】
韓国特許登録第538817号公報には、振動及び騒音が発生する機械設備が設けられる床面に所定の間隔で設けられ、上部面が梯子形に突出される防振ゴム及び該防振ゴムの梯子形の突出部の中央に挿入され、上部面の中心部から下部方向にタブが形成されている支持部を含むように構成されたマウントと、該マウントの上部に覆われるように設けられ、上部中央にスクリューホールを備えたカバーと、該カバーのスクリューホールで締結され、上部に調節溝が形成されている調節スクリューで構成された振動防止具において、前記マウントは、前記防振ゴムの下部面に設けられてマウントの底面を構成する下部平板が備えられ、前記下部平板の縁部に沿って取り付けられ防振ゴムを支える支持リングが具備され、前記防振ゴムの下部中央に梯子形の中空部が具備されることを特徴とする建築物の床振動高効率防止具が開示されているが、構造が複雑でのみならず、施工する床面と広い面積で接触するマウントの下部平板によって振動低減の効率が低下する。
【0004】
特開2005−163506号公報には、床スラブに対して防振ゴムを利用し床下地を張り上げて支持する高耐荷重性と高防振性を兼ねて備えた床支持脚用の防振ゴムで、形状を変形の菱形円柱体にすることで上面と底面の面積を同一にし、載頭面に加わる衝撃振動を小さい面積で受けることからエネルギー伝達量を抑制し、該防振ゴムの体積を菱形円柱体にすることでゴム体積を大きくして減衰吸収量を大きくした後、さらに小さい面積で下部躯体スラグへのエネルギー伝達量を低減することを特徴とする防振ゴムが開示されているが、防振ゴムの下部と施工床面との接触面積が広く、振動低減の効率が低下する。
【0005】
特開2003−13591号公報には、床基盤に接した防振ゴムと該防振ゴム上に設けた脚部を有する支持脚を用いて床板材を載設する二重床構造において、前記防振ゴムが、床基盤に周縁部を接する伏せ碗型接盤部と該伏せ碗型接盤部の上側に配した脚部挿通部とからなり、前記伏せ碗型接盤部と床基盤に形成される内部空間と対向する外部空間との間に、少なくとも1つの空気逃出孔を設け、及び/又は伏せ碗型接盤部の床基盤との接触部の少なくとも1部に空気逃出用切欠き溝を設けたことを特徴とする二重床用支持脚における防振ゴムが開示されているが、下部周縁部によって内部空間が密閉されて発生する空気バネ作用による振動伝播を抑えるのに不十分である。
【特許文献1】韓国特許登録第538817号公報
【特許文献2】特開2005−163506号公報
【特許文献3】特開2003−13591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前述した従来の技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は振動の低減経路を設計して内部インピーダンスを増加させられるゴムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述した目的を達成するため、下部に一つ以上の支え台が形成され施工床面と各支え台の間隔及び支え台の高さを境界にして形成される余白空間を有することを特徴とする。
【0008】
本発明は上部の振動が下部によく伝達されないようにゴムの直荷重が加わるゴム底部側の中央を余白空間に形成することによって直荷重による振動伝達を遮断することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る振動低減ゴムの振動伝達遮断メカニズムを具体的に説明すれば、まずボルト収容溝にボルトが設けられ上部荷重がボルトに伝達される。荷重を受けたボルトは荷重をゴムに伝達するようになり、荷重を受けたゴムは下部に荷重を伝達する。この際、下部に伝達された荷重が、図3の余白空間で1次変形を引き起こしながら振動を低減するようになり、図4の余白空間で2次の振動を低減する。
【0010】
本発明の振動低減ゴムはその底面から上部側に形成される爪によって追加の余白空間を有するのが望ましく、この際、底面爪の高さは0.1ないし10mmであることが望ましい。この爪によって振動低減効率を極大化できるのみならず、直荷重によるせん断変形にも対応できる。
【0011】
本発明の振動低減ゴムはその上部に形成されるボルト収容溝と係止突起とを備え、ボルト収容溝の底面に形成される接着剤用水平流路、及び該水平流路と連通しつつゴムの上下部を貫通する接着剤用垂直流路を備え、ゴムの下部で接着剤用垂直流路の外部及び内部にそれぞれ形成される、接着剤漏れ抑止用外部チャネル及び内部チャネルを備える。
【発明の効果】
【0012】
以上述べたように本発明によれば、ゴムの底面側に余白空間を形成することによって上部の振動が下部に伝達されるにおいて30%以上の低減効果があり、よって本発明の振動低減ゴムは二重床材などに有用に使用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付した図面に基づき本発明を詳述する。
【0014】
図1は本発明に係るゴムの平面図であり、図2は底面図であり、図3及び図4はそれぞれ図1のA-A′断面図及びB-B′断面図である。
【0015】
本発明の振動低減ゴムは、特に二重床システムの上板支持用ゴムとして使われ、二重床の高さ調節のためのボルトを収納できるように上部にはボルト収容溝10とボルト係止突起20が形成されている。
【0016】
ボルト収容溝10の底面には接着剤の移動のための十字形の水平流路40が形成され、この水平流路40と連通しつつゴムの上下部を貫通する四つの垂直流路30が形成されている。
【0017】
ゴムの下部には、接着剤漏れ抑止用外部チャネル50及び内部チャネル60が垂直流路の外部及び内部にそれぞれ形成されている。
【0018】
二重床材の施工時に高さ調節用ボルトをゴムのボルト収容溝10に嵌め込み、接着剤を用いてボルトをしっかり接着固定するようになり、接着剤は、ボルトを介して水平流路40に流入された後垂直流路30に沿って下部に移動し、外部チャネル50及び内部チャネル60によって外部に漏れなくなる。
【0019】
ゴムの下部には垂直流路30と同心円上に位置する四つの支え台80が形成されている。この支え台80により余白空間(S)が形成されるが、この余白空間(S)は図4で確認できるように、各支え台80の間隔と高さほどの空間を有し、図2から見ると四つの支え台80を周縁にして円を描いた場合この仮想円の内側部に該当する。
【0020】
ゴムの中央底面には上部側に延びる爪70によって、図3で確認できるように追加の余白空間(S′)が形成される。
【0021】
底面爪70の高さは0.1ないし10mmであることが望ましい。高さが低すぎると振動低減効率が低下し、高すぎると変形があまりにも大きく発生して、システム全体の安定性に問題となる。
【0022】
底面爪70によって振動低減効率を極大化できるのみならず、直荷重によるせん断変形にも適宜に対応できる。
【0023】
空間部(S、S′)によりゴムの振動伝達遮断性能がこのような形状を付しなかった場合より30%以上向上される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るゴムの平面図である。
【図2】本発明に係るゴムの底面図である。
【図3】図1のA-A′断面図である。
【図4】図1のB-B′断面図である。
【符号の説明】
【0025】
10:ボルト収容溝
20:ボルト係止突起
30:接着剤用垂直流路
40:接着剤用水平流路
50:接着剤漏れ抑止用外部チャネル
60:接着剤漏れ抑止用内部チャネル
70:底面爪
80:支え台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部に一つ以上の支え台が形成され、施工床面と各支え台との間隔及び支え台の高さを境界にして形成される余白空間を有する、ことを特徴とする、振動低減ゴム。
【請求項2】
ゴムの底面に形成される爪によって、追加の余白空間を有することを特徴とする、請求項1に記載の振動低減ゴム。
【請求項3】
爪の高さが0.1ないし10mmであることを特徴とする、請求項2に記載の振動低減ゴム。
【請求項4】
ゴムの上部に形成されるボルト収容溝と係止突起とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の振動低減ゴム。
【請求項5】
ボルト収容溝の底面に形成される接着剤用水平流路、及び該水平流路と連通しつつゴムの上下部を貫通する接着剤用垂直流路、を備えることを特徴とする、請求項4に記載の振動低減ゴム。
【請求項6】
前記接着剤用垂直流路の外部及び内部にそれぞれ形成される、接着剤漏れ抑止用の外部チャネル及び内部チャネル、を備えることを特徴とする、請求項5に記載の振動低減ゴム。
【請求項7】
前記ゴムが二重床材に使われることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の振動低減ゴム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−82160(P2008−82160A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−249812(P2007−249812)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【出願人】(502202007)エルジー・ケム・リミテッド (224)
【Fターム(参考)】