下水道施設の覆蓋及びその使用方法
【課題】太陽電池モジュールの発電効率が高く、建設費の低減や工期の短縮化を図ることが可能で、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理が容易かつ安全に実施でき、更に複数枚を隣接配置した場合において全ての位置で均等に臭気を吸い込ませることが可能で、景観も良好な下水道施設の覆蓋を提供する。
【解決手段】長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュール6が設置された上面板2と、上面板2の上端から下方に伸びる背面板3と、上面板2と背面板3との側端部の間を繋ぐ2枚の側面板4とを有し、内側に、上面板2、背面板3及び側面板4で囲まれ、下方が開口した内部空間が形成されており、2枚の側面板4の少なくとも一方に、下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを覆蓋1の外部へ導くための、前記内部空間に通じる脱臭ダクト5が設けられた下水道施設の覆蓋。
【解決手段】長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュール6が設置された上面板2と、上面板2の上端から下方に伸びる背面板3と、上面板2と背面板3との側端部の間を繋ぐ2枚の側面板4とを有し、内側に、上面板2、背面板3及び側面板4で囲まれ、下方が開口した内部空間が形成されており、2枚の側面板4の少なくとも一方に、下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを覆蓋1の外部へ導くための、前記内部空間に通じる脱臭ダクト5が設けられた下水道施設の覆蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道施設の上方を覆うために使用される覆蓋とその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最初沈殿池、反応槽、最終沈殿池等の下水道施設においては、悪臭の拡散を防止する目的で、その上方を覆蓋で覆うようにしている。
【0003】
通常、覆蓋は、その幅方向に複数枚隣接配置された状態で下水道施設を形成する躯体に架け渡され、それら覆蓋の数十枚に一箇所程度の割合で、脱臭ダクトが接続されている。脱臭ダクトは、下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを覆蓋の外部へ導き、下水道施設の周辺に設置された脱臭装置に送るためのものである。
【0004】
また、近年においては、この下水道施設が、日射条件の良い場所に広い面積で設けられていることに着目し、覆蓋の上面に太陽電池パネル等の太陽電池モジュールを設置して太陽光発電を行う試みがなされている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、従来の脱臭ダクトは、覆蓋の中央部から上方に突き出し、更に所定の高さ(覆蓋の上空3〜5m付近)から水平方向へ延長され、他の覆蓋の上方を通過して、脱臭装置へと向かよう配設されているため、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールの一部が、脱臭ダクトによって日陰になる。通常、覆蓋の上面に設置される太陽電池モジュールは直列に接続されているため、その一部が日陰になると、日陰部分のセルは発電せず、他の部分のセルだけが発電して電流が流れることになるので、日陰部分のセルは抵抗となって発熱し、発電効率の低下を招く。
【0006】
また、脱臭ダクトが前記のように覆蓋の上方を通過するように配設するには、脱臭ダクトを支持するためのサポート(支持体)を多数造る必要が有り、建設費が高くなるという問題がある。また、脱臭ダクトがこのように覆蓋の上方に配設されていると、処理場が雑然とし、景観が悪くなる。
【0007】
更に、臭気ダクトは、前記のように、覆蓋の中央部から上方に突き出しており、場内処理水から発生した臭気ガスの臭気を測定するために臭気ガスを採取する臭気サンプリング口は、脱臭ダクトの覆蓋との接続部近傍に設けられているため、測定を行うには、覆蓋の中央部まで行って臭気サンプリングする必要が有る。また、臭気ダクトは、一定期間毎に、その内部に溜まった水を排除する水抜き作業を行う必要があるが、この水抜きのためのバルブ等も臭気ダクトの覆蓋との接続部近傍や、前記サポートの近傍に設けられているため、覆蓋の中央部やサポートの上部まで行って作業を行わねばならず、作業に手間が掛かるとともに危険が伴う。
【0008】
また、脱臭ダクトは、前記のように、隣接する覆蓋の数十枚に一枚程度の割合で接続されているため、この脱臭ダクトが接続された覆蓋の近傍では、脱臭ダクトに臭気が吸い込まれやすいが、脱臭ダクトが接続された覆蓋からの距離が遠くなるにつれて、脱臭ダクトに臭気が吸い込まれにくくなるため、全ての位置で均等な脱臭ができず、位置によって脱臭の程度に偏りが生じる。
【0009】
また、従来は、覆蓋とダクトとが個々の構造物であり、それらの製造や設置工事も各々について行う必要が有ったため、製造コストが高く、設置工事の工期も長くなるという問題があった。
【0010】
なお、特許文献2には、覆蓋から外部の脱臭装置(脱臭塔)まで脱臭ダクトを配設することなく、覆蓋自体に持たせた脱臭機能により脱臭可能としたものが開示されているが、この覆蓋においては、太陽電池モジュールで発生した電力の大部分が、覆蓋に取り付けられた排気ファンによって消費されてしまうため、電力を他の用途にはほとんど利用できない。
【0011】
【特許文献1】特開2005−340704号公報
【特許文献2】特開2005−66405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールの発電効率が高く、建設費の低減や工期の短縮化を図ることが可能で、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理が容易かつ安全に実施でき、更に複数枚を隣接配置した場合において全ての位置で均等に臭気を吸い込ませることが可能で、景観も良好な下水道施設の覆蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の覆蓋、覆蓋集合体及び覆蓋の使用方法が提供される。
【0014】
[1] 下水道施設の上方を覆うための覆蓋であって、前記覆蓋の長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュールが設置された上面板と、当該上面板の上端から下方に伸びる背面板と、前記上面板と背面板との側端部の間を繋ぐ2枚の側面板とを有し、前記覆蓋の内側に、前記上面板、背面板及び側面板で囲まれ、下方が開口した内部空間が形成されており、前記2枚の側面板の少なくとも一方に、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを前記覆蓋の外部へ導くための、前記内部空間に通じる脱臭ダクトが設けられた下水道施設の覆蓋。
【0015】
[2] 前記背面板に、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた[1]に記載の覆蓋。
【0016】
[3] 更に、前記上面板にも、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた[2]に記載の覆蓋。
【0017】
[4] 前記上面板の傾斜角度が、0゜より大きく30゜以下である[1]〜[3]の何れかに記載の覆蓋。
【0018】
[5] 前記背面板の外側面と水平な面とのなす角の角度が、90〜150゜である[1]〜[4]の何れかに記載の覆蓋。
【0019】
[6] 前記内部空間に、前記内部空間の他の部分から仕切られた、前記太陽電池モジュールの配線を収容するための配線収容室が設けられた[1]〜[5]の何れかに記載の覆蓋。
【0020】
[7] 前記背面板に、前記覆蓋の外部から前記配線収容室内に通じる開閉可能な点検口が設けられた[6]に記載の覆蓋。
【0021】
[8] 前記内部空間に、LED照明が設けられた[1]〜[7]の何れかに記載の覆蓋。
【0022】
[9] 前記脱臭ダクトに、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを採取するための臭気サンプリング口が設けられた[1]〜[8]の何れかに記載の覆蓋。
【0023】
[10] 前記上面板の上部に、前記下水道施設の場内処理水を散布するための散水口が設けられた[1]〜[9]の何れかに記載の覆蓋。
【0024】
[11] 前記脱臭ダクトの側面に、前記内部空間に通じる開口部の開口面積を調節するための開口面積調節手段が設けられた[1]〜[10]の何れかに記載の覆蓋。
【0025】
[12] [1]〜[11]の何れかに記載の覆蓋が、その幅方向に複数枚隣接配置されるとともに、隣接する覆蓋の前記脱臭ダクト同士が連結されてなる覆蓋集合体。
【0026】
[13] [1]〜[11]の何れかに記載の覆蓋を、当該覆蓋の前記上面板における傾斜の下側が南東〜南〜南西の向きとなるように配置して使用する覆蓋の使用方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の覆蓋及びそれを複数隣接配置して構成された覆蓋集合体によれば、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールに脱臭ダクトによる日陰ができず、高い発電効率が得られる。また、従来のように、脱臭ダクトを覆蓋の上空3〜5m付近まで引き上げる必要が無いため、脱臭ダクトを上空に支持するためのサポート(支持体)を造る必要も無くなり、その結果、建設費が低減するとともに、処理場の景観も良くなる。また、従来に比べ、脱臭ダクトの長さを短くすることができる。また、脱臭ダクトは、個々の覆蓋の内部空間に連通しているため、各覆蓋において臭気ガスの吸い込みを行うことができ、複数枚の覆蓋に覆われた下水道施設の全ての位置で偏りのない均等な脱臭が可能となる。更に、臭気ダクトが低い位置にあるため、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理を作業者が高所に登ったりすることなく、容易かつ安全に実施することができる。更にまた、覆蓋と脱臭ダクトとが従来のように個々の構造物ではなく、両者が一体的な構造物となっており、一体型形成が可能であるため、脱臭ダクトを含めた覆蓋の製造コストを削減できるとともに、設置工事の工期を短縮することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0029】
図1〜3は本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示すものであり、図1は斜視図、図2は側面図、図3は覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。本発明に係る覆蓋は、下水道施設の上方を覆うために使用されるものである。なお、本発明において、「下水道施設」とは、最初沈殿池、反応槽、最終沈殿池等のような、下水の各種処理、貯水等を行う水槽や池を意味する。
【0030】
図1〜3に示すように、本発明に係る覆蓋1は、上面板2、背面板3、及び上面板2と背面板3との側端部の間を繋ぐ2つの側面板4を有する。
【0031】
上面板2は、覆蓋1の長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュール6が設置されている。このように、上面板2が傾斜していると、太陽電池モジュール6上に降った雨や雪が自然に流れ落ちて、太陽電池モジュール6上に留まりにくいため、太陽電池モジュール6上の積雪等に太陽光を遮られて発電効率が低下したり、積雪の重量により覆蓋1が破損したりするのを防ぐことができる。更に、傾斜した上面板2の表面に太陽電池モジュール6が設置されていると、覆蓋1を所定方向に設置した場合に、太陽電池モジュール6に対する太陽光の入射角度が大きくなり、発電効率が向上する。具体的な上面板2の傾斜角度θ1は、0゜より大きく30゜以下であることが好ましく、10〜30゜であることがより好ましく、30゜であることが特に好ましい。上面板2の傾斜角度θ1がこのような範囲であれば、太陽電池モジュール6上に積雪等が留まりにくくなるとともに、太陽電池モジュール6に理想的な入射角度で太陽光が入射するようになり、高い発電効率が得られる。
【0032】
また、下水道施設の上方を覆うために使用される覆蓋は、通常、ガラス繊維強化樹脂(FRP)によって構成されており、十数年に一度程度の割合で、紫外線等により劣化した表面を再塗装する補修作業が必要であるが、本発明に係る覆蓋1のように、太陽電池モジュール6が設置されていれば、太陽電池モジュール6で覆われた部分は再塗装の必要が無いため、再塗装時の塗装面積が減少して、補修作業の負担が軽減する。
【0033】
背面板3は、上面板2の上端から下方に向かって伸びるよう形成されている。ここで、「下方」とは、鉛直方向だけでなく斜め下方も含む。下水道施設の上方を覆うために使用される覆蓋は、その幅方向に複数枚隣接配置された覆蓋集合体の状態で使用され、通常、その覆蓋集合体を構成する覆蓋の少なくとも一部には、覆蓋によって覆われた下水道施設の内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられている。図13及び14に示すように、従来の覆蓋41は、その上面が緩やかなアーチ状又は水平な平面状を呈しており、当該上面に点検口42が設けられていたため、内部を点検する際には、作業者は上体(上半身)を屈めて下方を覗き込むようなつらい姿勢となり、体に負担がかかるとともに、作業者が点検口から水中に落下してしまったり、上着のポケットに入れていた物(携帯電話、筆記具等)が屈んだ際に落下して、水中に沈んでしまったりする恐れがあった。また、点検口の開閉扉43を開けた際に上昇してきた蒸気により作業者の眼鏡が曇ることもあった。更に、点検の際の視線の角度が水面に対し垂直に近い角度となるため、点検口から見渡せる水面の範囲が狭く、水面全体を点検しにくいという問題もあった。
【0034】
本発明に係る覆蓋1は、前記のように上面板2の上端から下方に伸びる背面板3を有しているため、図3のように、この背面板3に開閉扉12により開閉可能な点検口11を設ければ、作業者は楽な姿勢で内部の点検作業を行うことが可能になるとともに、作業者本人や作業者が上着のポケットに入れていた物が水中に落下することも防止できる。また、作業者は点検口11を上から覗き込む状態とはならないため、開閉扉12を開けた際に点検口11から上昇してきた蒸気によって作業者の眼鏡が曇ることがない。更に、点検の際の視線の角度が水面に対して浅くなるため、点検口11から見渡せる水面の範囲が広くなり、水面全体に渡る点検が容易になる。背面板3の外側面と水平な面とのなす角の角度θ2は、90〜150゜であることが好ましく、120〜135゜であることがより好ましい。θ2がこのような範囲であれば、点検口を設けた場合における、前記効果が得られやすくなる。
【0035】
なお、本発明に係る覆蓋においては、図4のように、覆蓋内部を点検するための、開閉扉14により開閉可能な点検口13を、背面板3だけでなく、上面板2の太陽電池モジュール6を設置していない部分にも追加的に設けることができる。図5のように、複数の下水道施設30、31が比較的短い間隔で並設されており、これら施設下水道30、31の上方を覆う覆蓋1の向きが全て同じである場合において、覆蓋1の背面板にだけ点検口11が設けられているときは、下水道施設30、31間の通路32の左右どちらか一方にしか点検口11が無いため、点検を行う作業者は、図6の矢印33に示す移動ルートで、長距離を移動しながら全体の点検を行う必要がある。これに対し、図7のように、覆蓋の背面板だけでなく、上面板にも点検口13が設けられているときは、下水道施設30、31間の通路32の左右両側に点検口11、13があるため、ほぼ同じ位置で通路32を挟んだ左右両側の覆蓋の内部を点検でき、矢印34に示す移動ルートで、短い移動距離にて全体の点検作業を行うことができる。なお、このような点検口は、隣接配置されている全ての覆蓋に設ける必要はなく、通常は、数枚〜十数枚に一枚程度の割合で、点検口が設けられた覆蓋が配置されていればよい。
【0036】
側面板4は、上面板2と背面板3との側端部の間を繋ぐ部材であり、覆蓋1の内側には、上面板2、背面板3及び2枚の側面板4で囲まれ、下方が開口した内部空間7が形成される。そして、本発明に係る覆蓋の最も重要な特徴として、2つの側面板の少なくとも一方に、下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを覆蓋1の外部へ導くための、内部空間7に通じる脱臭ダクト5が設けられている。なお、上面板2、背面板3及び側面板4の下端部には、場内処理水を収容する下水道施設の縁部に覆蓋を固定したり、隣接する覆蓋間を固定したりするためのフランジ8が形成されていることが好ましい。
【0037】
前述のとおり、従来、脱臭ダクトは、覆蓋の中央部から上方に突き出し、更に所定の高さ(覆蓋の上空3〜5m付近)から水平方向へ延長され、覆蓋の上方を通過して、脱臭装置へと向かうため、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールの一部が、脱臭ダクトによって日陰になり、発電効率の低下を招いていたが、本発明に係る覆蓋1では、脱臭ダクト5が側面板4に設けられており、図11のように、複数枚の覆蓋1をその幅方向に隣接配置して覆蓋集合体を構成した際に、隣接する他の覆蓋1の脱臭ダクト5と水平方向に連結することができるため、太陽電池モジュール6に脱臭ダクトによる日陰ができず、発電効率が向上する。
【0038】
また、従来のように、脱臭ダクトを覆蓋の上空3〜5m付近まで引き上げる必要が無いため、脱臭ダクトを上空に支持するためのサポート(支持体)を造る必要も無くなり、その結果、建設費が低減するとともに、処理場の景観も良くなる。更に、脱臭ダクトを前記のように引き上げる必要が無いことにより、脱臭ダクトの長さを短くすることができる。
【0039】
また、脱臭ダクト5は、個々の覆蓋1の内部空間7に連通しているため、個々の覆蓋1において臭気ガスの吸い込みを行うことができ、複数枚の覆蓋1に覆われた下水道施設の全ての位置で偏りのない均等な脱臭が可能となる。更に、臭気ダクト5が覆蓋1の上空ではなく、覆蓋1の側面という通路に近い低い位置にあるので、場内処理水から発生した臭気ガスの臭気を測定するために臭気ガスを採取する臭気サンプリング口18や、脱臭ダクトの内部に溜まった水を排除する水抜きのためのバルブ等を臭気ダクト5に設けることにより、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理を、作業者が通路から覆蓋の中央部まで行ったり、高所に登ったりすることなく、容易かつ安全に実施することができる。
【0040】
また、従来は、覆蓋とダクトとが個々の構造物であり、それらの製造や設置工事も各々について行う必要が有ったが、本発明に係る覆蓋1においては、脱臭ダクト5は覆蓋1の一部であり、一体型形成が可能であるため、脱臭ダクトを含めた覆蓋の製造コストを削減できるとともに、下水道施設に設置するための工事の工期を短縮することもできる。
【0041】
本発明に係る覆蓋においては、図8に示すように、上面板2、背面板3及び側面板4で囲まれた内部空間7に、内部空間7の他の部分から仕切られた、太陽電池モジュール6の配線を収容するための配線収容室17が設けられていることが好ましい。このように、内部空間7の他の部分から仕切られた配線収容室17に、太陽電池モジュール6の配線を収容すれば、場内処理水から発生した臭気ガスが腐食性のガスである場合であっても、配線を腐食性のガスから遮断して、配線の腐食劣化を防止することができる。
【0042】
なお、このような配線収容室17を設ける場合には、背面板3に、覆蓋1の外部から配線収容室17内に通じる、開閉扉16により開閉可能な点検口15を設け、配線収容室17内の配線の保守点検や配線接続作業等が容易に行えるようにすることが好ましい。
【0043】
また、本発明に係る覆蓋においては、図8に示すように、上面板2、背面板3及び側面板4で囲まれた内部空間7に、LED照明20が設けられていることが好ましい。覆蓋によって覆われた下水道施設の内部は暗いため、点検口から内部を点検する場合には、通常、懐中電灯などで内部を照らす必要が有るが、このようにLED照明20を設ければ、それによって覆蓋1の内部が明るく照らされるため、視認性が向上し、点検に際して作業者が懐中電灯を持ち歩く必要がなくなる。LED照明20に供給する電力には、覆蓋1に設置された太陽電池モジュール6で発生した電力を用いることができる。LED照明は消費電力が少なく、また、点検時以外には消灯しておけばよいので、前述の引用文献2における排気ファンのように、太陽電池モジュールで発生した電力の大部分を消費してしまうことは無く、当該電力の他の用途(覆蓋の機能維持以外の用途)への有効利用が大きく制限されることは無い。
【0044】
更に、本発明に係る覆蓋においては、図9に示すように、上面板の上部に、下水道施設の場内処理水を散布するための散水口19が設けられていることが好ましい。一般に、太陽電池モジュールは温度が上昇するほど発電効率が低下するので、夏場の高温時には、ポンプ等によって吸い上げた場内処理水(水温は年間を通じて15〜20℃程度)を、この散水口19から散布して太陽電池モジュール6を冷却し、温度上昇を抑制すれば、発電効率の低下を抑制することができる。
【0045】
図10は、本発明に係る覆蓋における脱臭ダクトの実施形態の一例を示す説明図である。本例における脱臭ダクト5は、覆蓋を構成する2枚の側面板4を貫通するパイプ状のものであり、その側面の一部に覆蓋1の内部空間7に通じる開口部21が形成されている。各覆蓋における臭気ガスの吸い込み均等化のため、この開口部21には、その開口面積を微調節するための開口面積調節手段が設けられていることが好ましい。図10の例では、開口面積調節手段として、開口部21にスライド可能な扉23が設けられており、この扉23を矢印方向にスライドさせることで、開口部21の開口面積を調節することができる。扉23には調節を容易に行えるよう臭気ダクト5の径方向に突出した調整つまみ23が一体的に設けられている。開口部21の開口面積の調整は、例えば、背面板に設けた点検口から調整つまみ23を把持できるような治具を内部空間に挿入し、当該治具にて調整つまみ23を把持して扉22をスライドさせることにより行う。
【0046】
本発明に係る覆蓋の材質は特に制限されるものではないが、設置作業を容易にする等の観点から軽量であることが好ましく、例えば、ガラス繊維強化樹脂(FRP)等が好適な材料として挙げられる。
【0047】
本発明に係る覆蓋集合体は、図11のように、これまで説明した本発明に係る覆蓋1が、その幅方向に複数枚隣接配置されるとともに、隣接する覆蓋1の脱臭ダクト5同士が連結されてなるものであり、本発明に係る覆蓋1によって得られる前記種々の効果を得ることができる。
【0048】
なお、太陽電池モジュールを備えた覆蓋を複数枚隣接配置して覆蓋集合体を構成する場合には、各太陽電池モジュールにより発電された電力の集電等のため、隣接する覆蓋間において、それら覆蓋に設置された太陽電池モジュール同士がケーブルにより電気的に接続されるのが通常である。本発明に係る覆蓋集合体においては、このケーブルが、場内処理水から発生した腐食性のガスや外気に晒されて早期に劣化するのを防ぐため、各覆蓋に前述したような配線収容室を設けるとともに、図12に示す背面図のように、隣接する覆蓋1の配線収容室間を太陽電池モジュール接続配管25で連結し、前記ケーブルがこの太陽電池モジュール接続配管25の内部を通って接続されるようにすることが好ましい。
【0049】
本発明に係る覆蓋の使用方法は、これまで説明した本発明に係る覆蓋を、当該覆蓋の上面板における傾斜の下側(下端側)が南東〜南〜南西の向き、好ましくは南向きとなるように配置して使用するものである。傾斜した上面板の表面に太陽電池モジュールが設置された覆蓋を、このような向きに配置すれば、太陽電池モジュールに対する太陽光の入射角度が大きくなり、高い発電効率が得られる。この使用方法に用いられる覆蓋は、上面板の傾斜角度が、0゜より大きく30゜以下であることが好ましく、10〜30゜あることがより好ましく、30゜であることが特に好ましい。傾斜角度がこのような範囲であれば、太陽電池モジュールに理想的な入射角度で太陽光が入射するようになり、より高い発電効率が得られる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(発電シミュレーション)
図11に示すように、本発明に係る覆蓋を複数枚隣接配置して覆蓋集合体を構成し、各覆蓋の上面板における傾斜の下側が表1示す設置方向となり、各覆蓋の上面板の傾斜角度が同表に示す値となるようにした場合の太陽電池モジュールの年間発電量を下記の算出条件にて算出し、その算出結果を同表に示した。
【0052】
[算出条件]
・設置場所:東京都
・設置容量:1040W(130W×8枚)
・モジュール温度係数:−0.5%/℃
・インバータ効率:92%
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示すように、上面板の傾斜角度が同一の場合(0゜の場合を除く)には、覆蓋の上面板における傾斜の下側が南東〜南〜南西の向き、特に南向きとなるよう設置すると、他の向きに設置したときよりも高い年間発電量が得られる。また、上面板の傾斜角度は、30゜程度までは傾斜角度が大きくなるにしたがって年間発電量が増大するが、それを超えると減少に転じる傾向にある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、下水道施設の上方を覆うための覆蓋及びその使用方法として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示す側面図である。
【図3】本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示す、覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図4】背面板に加え、上面板にも点検口が設けられた覆蓋の実施形態を示す、覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図5】複数の下水道施設が並設されている状態を示す平面図である。
【図6】覆蓋の背面板にだけ点検口が設けられている場合における点検作業時の移動ルートを示す平面図である。
【図7】覆蓋の背面板に加え、上面板にも点検口が設けられている場合における点検作業時の移動ルートを示す平面図である。
【図8】内部空間の上部に配線収容室が設けられた覆蓋の実施形態を示す、覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図9】上面板に散水口が設けられた覆蓋の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る覆蓋における脱臭ダクトの実施形態の一例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る覆蓋集合体の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る覆蓋集合体の実施形態の一例を示す背面図である。
【図13】従来の覆蓋における点検口の配置を示す断面図である。
【図14】従来の覆蓋における点検口の配置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1:覆蓋、2:上面板、3:背面板、4:側面板、5:脱臭ダクト、6:太陽電池モジュール、7:内部空間、8:フランジ、11:点検口、12:開閉扉、13:点検口、14:開閉扉、15:点検口、16:開閉扉、17:配線収容室、18:臭気サンプリング口、19:散水口、20:LED照明、21:開口部、22:扉、23:調整つまみ、25:太陽電池モジュール接続配管、30:下水道施設、31:下水道施設、32:通路、33:矢印、34:矢印、41:覆蓋、42:点検口、43:開閉扉。
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水道施設の上方を覆うために使用される覆蓋とその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最初沈殿池、反応槽、最終沈殿池等の下水道施設においては、悪臭の拡散を防止する目的で、その上方を覆蓋で覆うようにしている。
【0003】
通常、覆蓋は、その幅方向に複数枚隣接配置された状態で下水道施設を形成する躯体に架け渡され、それら覆蓋の数十枚に一箇所程度の割合で、脱臭ダクトが接続されている。脱臭ダクトは、下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを覆蓋の外部へ導き、下水道施設の周辺に設置された脱臭装置に送るためのものである。
【0004】
また、近年においては、この下水道施設が、日射条件の良い場所に広い面積で設けられていることに着目し、覆蓋の上面に太陽電池パネル等の太陽電池モジュールを設置して太陽光発電を行う試みがなされている(特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、従来の脱臭ダクトは、覆蓋の中央部から上方に突き出し、更に所定の高さ(覆蓋の上空3〜5m付近)から水平方向へ延長され、他の覆蓋の上方を通過して、脱臭装置へと向かよう配設されているため、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールの一部が、脱臭ダクトによって日陰になる。通常、覆蓋の上面に設置される太陽電池モジュールは直列に接続されているため、その一部が日陰になると、日陰部分のセルは発電せず、他の部分のセルだけが発電して電流が流れることになるので、日陰部分のセルは抵抗となって発熱し、発電効率の低下を招く。
【0006】
また、脱臭ダクトが前記のように覆蓋の上方を通過するように配設するには、脱臭ダクトを支持するためのサポート(支持体)を多数造る必要が有り、建設費が高くなるという問題がある。また、脱臭ダクトがこのように覆蓋の上方に配設されていると、処理場が雑然とし、景観が悪くなる。
【0007】
更に、臭気ダクトは、前記のように、覆蓋の中央部から上方に突き出しており、場内処理水から発生した臭気ガスの臭気を測定するために臭気ガスを採取する臭気サンプリング口は、脱臭ダクトの覆蓋との接続部近傍に設けられているため、測定を行うには、覆蓋の中央部まで行って臭気サンプリングする必要が有る。また、臭気ダクトは、一定期間毎に、その内部に溜まった水を排除する水抜き作業を行う必要があるが、この水抜きのためのバルブ等も臭気ダクトの覆蓋との接続部近傍や、前記サポートの近傍に設けられているため、覆蓋の中央部やサポートの上部まで行って作業を行わねばならず、作業に手間が掛かるとともに危険が伴う。
【0008】
また、脱臭ダクトは、前記のように、隣接する覆蓋の数十枚に一枚程度の割合で接続されているため、この脱臭ダクトが接続された覆蓋の近傍では、脱臭ダクトに臭気が吸い込まれやすいが、脱臭ダクトが接続された覆蓋からの距離が遠くなるにつれて、脱臭ダクトに臭気が吸い込まれにくくなるため、全ての位置で均等な脱臭ができず、位置によって脱臭の程度に偏りが生じる。
【0009】
また、従来は、覆蓋とダクトとが個々の構造物であり、それらの製造や設置工事も各々について行う必要が有ったため、製造コストが高く、設置工事の工期も長くなるという問題があった。
【0010】
なお、特許文献2には、覆蓋から外部の脱臭装置(脱臭塔)まで脱臭ダクトを配設することなく、覆蓋自体に持たせた脱臭機能により脱臭可能としたものが開示されているが、この覆蓋においては、太陽電池モジュールで発生した電力の大部分が、覆蓋に取り付けられた排気ファンによって消費されてしまうため、電力を他の用途にはほとんど利用できない。
【0011】
【特許文献1】特開2005−340704号公報
【特許文献2】特開2005−66405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールの発電効率が高く、建設費の低減や工期の短縮化を図ることが可能で、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理が容易かつ安全に実施でき、更に複数枚を隣接配置した場合において全ての位置で均等に臭気を吸い込ませることが可能で、景観も良好な下水道施設の覆蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明によれば、以下の覆蓋、覆蓋集合体及び覆蓋の使用方法が提供される。
【0014】
[1] 下水道施設の上方を覆うための覆蓋であって、前記覆蓋の長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュールが設置された上面板と、当該上面板の上端から下方に伸びる背面板と、前記上面板と背面板との側端部の間を繋ぐ2枚の側面板とを有し、前記覆蓋の内側に、前記上面板、背面板及び側面板で囲まれ、下方が開口した内部空間が形成されており、前記2枚の側面板の少なくとも一方に、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを前記覆蓋の外部へ導くための、前記内部空間に通じる脱臭ダクトが設けられた下水道施設の覆蓋。
【0015】
[2] 前記背面板に、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた[1]に記載の覆蓋。
【0016】
[3] 更に、前記上面板にも、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた[2]に記載の覆蓋。
【0017】
[4] 前記上面板の傾斜角度が、0゜より大きく30゜以下である[1]〜[3]の何れかに記載の覆蓋。
【0018】
[5] 前記背面板の外側面と水平な面とのなす角の角度が、90〜150゜である[1]〜[4]の何れかに記載の覆蓋。
【0019】
[6] 前記内部空間に、前記内部空間の他の部分から仕切られた、前記太陽電池モジュールの配線を収容するための配線収容室が設けられた[1]〜[5]の何れかに記載の覆蓋。
【0020】
[7] 前記背面板に、前記覆蓋の外部から前記配線収容室内に通じる開閉可能な点検口が設けられた[6]に記載の覆蓋。
【0021】
[8] 前記内部空間に、LED照明が設けられた[1]〜[7]の何れかに記載の覆蓋。
【0022】
[9] 前記脱臭ダクトに、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを採取するための臭気サンプリング口が設けられた[1]〜[8]の何れかに記載の覆蓋。
【0023】
[10] 前記上面板の上部に、前記下水道施設の場内処理水を散布するための散水口が設けられた[1]〜[9]の何れかに記載の覆蓋。
【0024】
[11] 前記脱臭ダクトの側面に、前記内部空間に通じる開口部の開口面積を調節するための開口面積調節手段が設けられた[1]〜[10]の何れかに記載の覆蓋。
【0025】
[12] [1]〜[11]の何れかに記載の覆蓋が、その幅方向に複数枚隣接配置されるとともに、隣接する覆蓋の前記脱臭ダクト同士が連結されてなる覆蓋集合体。
【0026】
[13] [1]〜[11]の何れかに記載の覆蓋を、当該覆蓋の前記上面板における傾斜の下側が南東〜南〜南西の向きとなるように配置して使用する覆蓋の使用方法。
【発明の効果】
【0027】
本発明の覆蓋及びそれを複数隣接配置して構成された覆蓋集合体によれば、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールに脱臭ダクトによる日陰ができず、高い発電効率が得られる。また、従来のように、脱臭ダクトを覆蓋の上空3〜5m付近まで引き上げる必要が無いため、脱臭ダクトを上空に支持するためのサポート(支持体)を造る必要も無くなり、その結果、建設費が低減するとともに、処理場の景観も良くなる。また、従来に比べ、脱臭ダクトの長さを短くすることができる。また、脱臭ダクトは、個々の覆蓋の内部空間に連通しているため、各覆蓋において臭気ガスの吸い込みを行うことができ、複数枚の覆蓋に覆われた下水道施設の全ての位置で偏りのない均等な脱臭が可能となる。更に、臭気ダクトが低い位置にあるため、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理を作業者が高所に登ったりすることなく、容易かつ安全に実施することができる。更にまた、覆蓋と脱臭ダクトとが従来のように個々の構造物ではなく、両者が一体的な構造物となっており、一体型形成が可能であるため、脱臭ダクトを含めた覆蓋の製造コストを削減できるとともに、設置工事の工期を短縮することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を具体的な実施形態に基づき説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0029】
図1〜3は本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示すものであり、図1は斜視図、図2は側面図、図3は覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。本発明に係る覆蓋は、下水道施設の上方を覆うために使用されるものである。なお、本発明において、「下水道施設」とは、最初沈殿池、反応槽、最終沈殿池等のような、下水の各種処理、貯水等を行う水槽や池を意味する。
【0030】
図1〜3に示すように、本発明に係る覆蓋1は、上面板2、背面板3、及び上面板2と背面板3との側端部の間を繋ぐ2つの側面板4を有する。
【0031】
上面板2は、覆蓋1の長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュール6が設置されている。このように、上面板2が傾斜していると、太陽電池モジュール6上に降った雨や雪が自然に流れ落ちて、太陽電池モジュール6上に留まりにくいため、太陽電池モジュール6上の積雪等に太陽光を遮られて発電効率が低下したり、積雪の重量により覆蓋1が破損したりするのを防ぐことができる。更に、傾斜した上面板2の表面に太陽電池モジュール6が設置されていると、覆蓋1を所定方向に設置した場合に、太陽電池モジュール6に対する太陽光の入射角度が大きくなり、発電効率が向上する。具体的な上面板2の傾斜角度θ1は、0゜より大きく30゜以下であることが好ましく、10〜30゜であることがより好ましく、30゜であることが特に好ましい。上面板2の傾斜角度θ1がこのような範囲であれば、太陽電池モジュール6上に積雪等が留まりにくくなるとともに、太陽電池モジュール6に理想的な入射角度で太陽光が入射するようになり、高い発電効率が得られる。
【0032】
また、下水道施設の上方を覆うために使用される覆蓋は、通常、ガラス繊維強化樹脂(FRP)によって構成されており、十数年に一度程度の割合で、紫外線等により劣化した表面を再塗装する補修作業が必要であるが、本発明に係る覆蓋1のように、太陽電池モジュール6が設置されていれば、太陽電池モジュール6で覆われた部分は再塗装の必要が無いため、再塗装時の塗装面積が減少して、補修作業の負担が軽減する。
【0033】
背面板3は、上面板2の上端から下方に向かって伸びるよう形成されている。ここで、「下方」とは、鉛直方向だけでなく斜め下方も含む。下水道施設の上方を覆うために使用される覆蓋は、その幅方向に複数枚隣接配置された覆蓋集合体の状態で使用され、通常、その覆蓋集合体を構成する覆蓋の少なくとも一部には、覆蓋によって覆われた下水道施設の内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられている。図13及び14に示すように、従来の覆蓋41は、その上面が緩やかなアーチ状又は水平な平面状を呈しており、当該上面に点検口42が設けられていたため、内部を点検する際には、作業者は上体(上半身)を屈めて下方を覗き込むようなつらい姿勢となり、体に負担がかかるとともに、作業者が点検口から水中に落下してしまったり、上着のポケットに入れていた物(携帯電話、筆記具等)が屈んだ際に落下して、水中に沈んでしまったりする恐れがあった。また、点検口の開閉扉43を開けた際に上昇してきた蒸気により作業者の眼鏡が曇ることもあった。更に、点検の際の視線の角度が水面に対し垂直に近い角度となるため、点検口から見渡せる水面の範囲が狭く、水面全体を点検しにくいという問題もあった。
【0034】
本発明に係る覆蓋1は、前記のように上面板2の上端から下方に伸びる背面板3を有しているため、図3のように、この背面板3に開閉扉12により開閉可能な点検口11を設ければ、作業者は楽な姿勢で内部の点検作業を行うことが可能になるとともに、作業者本人や作業者が上着のポケットに入れていた物が水中に落下することも防止できる。また、作業者は点検口11を上から覗き込む状態とはならないため、開閉扉12を開けた際に点検口11から上昇してきた蒸気によって作業者の眼鏡が曇ることがない。更に、点検の際の視線の角度が水面に対して浅くなるため、点検口11から見渡せる水面の範囲が広くなり、水面全体に渡る点検が容易になる。背面板3の外側面と水平な面とのなす角の角度θ2は、90〜150゜であることが好ましく、120〜135゜であることがより好ましい。θ2がこのような範囲であれば、点検口を設けた場合における、前記効果が得られやすくなる。
【0035】
なお、本発明に係る覆蓋においては、図4のように、覆蓋内部を点検するための、開閉扉14により開閉可能な点検口13を、背面板3だけでなく、上面板2の太陽電池モジュール6を設置していない部分にも追加的に設けることができる。図5のように、複数の下水道施設30、31が比較的短い間隔で並設されており、これら施設下水道30、31の上方を覆う覆蓋1の向きが全て同じである場合において、覆蓋1の背面板にだけ点検口11が設けられているときは、下水道施設30、31間の通路32の左右どちらか一方にしか点検口11が無いため、点検を行う作業者は、図6の矢印33に示す移動ルートで、長距離を移動しながら全体の点検を行う必要がある。これに対し、図7のように、覆蓋の背面板だけでなく、上面板にも点検口13が設けられているときは、下水道施設30、31間の通路32の左右両側に点検口11、13があるため、ほぼ同じ位置で通路32を挟んだ左右両側の覆蓋の内部を点検でき、矢印34に示す移動ルートで、短い移動距離にて全体の点検作業を行うことができる。なお、このような点検口は、隣接配置されている全ての覆蓋に設ける必要はなく、通常は、数枚〜十数枚に一枚程度の割合で、点検口が設けられた覆蓋が配置されていればよい。
【0036】
側面板4は、上面板2と背面板3との側端部の間を繋ぐ部材であり、覆蓋1の内側には、上面板2、背面板3及び2枚の側面板4で囲まれ、下方が開口した内部空間7が形成される。そして、本発明に係る覆蓋の最も重要な特徴として、2つの側面板の少なくとも一方に、下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを覆蓋1の外部へ導くための、内部空間7に通じる脱臭ダクト5が設けられている。なお、上面板2、背面板3及び側面板4の下端部には、場内処理水を収容する下水道施設の縁部に覆蓋を固定したり、隣接する覆蓋間を固定したりするためのフランジ8が形成されていることが好ましい。
【0037】
前述のとおり、従来、脱臭ダクトは、覆蓋の中央部から上方に突き出し、更に所定の高さ(覆蓋の上空3〜5m付近)から水平方向へ延長され、覆蓋の上方を通過して、脱臭装置へと向かうため、覆蓋の上面に設置された太陽電池モジュールの一部が、脱臭ダクトによって日陰になり、発電効率の低下を招いていたが、本発明に係る覆蓋1では、脱臭ダクト5が側面板4に設けられており、図11のように、複数枚の覆蓋1をその幅方向に隣接配置して覆蓋集合体を構成した際に、隣接する他の覆蓋1の脱臭ダクト5と水平方向に連結することができるため、太陽電池モジュール6に脱臭ダクトによる日陰ができず、発電効率が向上する。
【0038】
また、従来のように、脱臭ダクトを覆蓋の上空3〜5m付近まで引き上げる必要が無いため、脱臭ダクトを上空に支持するためのサポート(支持体)を造る必要も無くなり、その結果、建設費が低減するとともに、処理場の景観も良くなる。更に、脱臭ダクトを前記のように引き上げる必要が無いことにより、脱臭ダクトの長さを短くすることができる。
【0039】
また、脱臭ダクト5は、個々の覆蓋1の内部空間7に連通しているため、個々の覆蓋1において臭気ガスの吸い込みを行うことができ、複数枚の覆蓋1に覆われた下水道施設の全ての位置で偏りのない均等な脱臭が可能となる。更に、臭気ダクト5が覆蓋1の上空ではなく、覆蓋1の側面という通路に近い低い位置にあるので、場内処理水から発生した臭気ガスの臭気を測定するために臭気ガスを採取する臭気サンプリング口18や、脱臭ダクトの内部に溜まった水を排除する水抜きのためのバルブ等を臭気ダクト5に設けることにより、臭気の測定や臭気ダクトの水抜き作業等の維持管理を、作業者が通路から覆蓋の中央部まで行ったり、高所に登ったりすることなく、容易かつ安全に実施することができる。
【0040】
また、従来は、覆蓋とダクトとが個々の構造物であり、それらの製造や設置工事も各々について行う必要が有ったが、本発明に係る覆蓋1においては、脱臭ダクト5は覆蓋1の一部であり、一体型形成が可能であるため、脱臭ダクトを含めた覆蓋の製造コストを削減できるとともに、下水道施設に設置するための工事の工期を短縮することもできる。
【0041】
本発明に係る覆蓋においては、図8に示すように、上面板2、背面板3及び側面板4で囲まれた内部空間7に、内部空間7の他の部分から仕切られた、太陽電池モジュール6の配線を収容するための配線収容室17が設けられていることが好ましい。このように、内部空間7の他の部分から仕切られた配線収容室17に、太陽電池モジュール6の配線を収容すれば、場内処理水から発生した臭気ガスが腐食性のガスである場合であっても、配線を腐食性のガスから遮断して、配線の腐食劣化を防止することができる。
【0042】
なお、このような配線収容室17を設ける場合には、背面板3に、覆蓋1の外部から配線収容室17内に通じる、開閉扉16により開閉可能な点検口15を設け、配線収容室17内の配線の保守点検や配線接続作業等が容易に行えるようにすることが好ましい。
【0043】
また、本発明に係る覆蓋においては、図8に示すように、上面板2、背面板3及び側面板4で囲まれた内部空間7に、LED照明20が設けられていることが好ましい。覆蓋によって覆われた下水道施設の内部は暗いため、点検口から内部を点検する場合には、通常、懐中電灯などで内部を照らす必要が有るが、このようにLED照明20を設ければ、それによって覆蓋1の内部が明るく照らされるため、視認性が向上し、点検に際して作業者が懐中電灯を持ち歩く必要がなくなる。LED照明20に供給する電力には、覆蓋1に設置された太陽電池モジュール6で発生した電力を用いることができる。LED照明は消費電力が少なく、また、点検時以外には消灯しておけばよいので、前述の引用文献2における排気ファンのように、太陽電池モジュールで発生した電力の大部分を消費してしまうことは無く、当該電力の他の用途(覆蓋の機能維持以外の用途)への有効利用が大きく制限されることは無い。
【0044】
更に、本発明に係る覆蓋においては、図9に示すように、上面板の上部に、下水道施設の場内処理水を散布するための散水口19が設けられていることが好ましい。一般に、太陽電池モジュールは温度が上昇するほど発電効率が低下するので、夏場の高温時には、ポンプ等によって吸い上げた場内処理水(水温は年間を通じて15〜20℃程度)を、この散水口19から散布して太陽電池モジュール6を冷却し、温度上昇を抑制すれば、発電効率の低下を抑制することができる。
【0045】
図10は、本発明に係る覆蓋における脱臭ダクトの実施形態の一例を示す説明図である。本例における脱臭ダクト5は、覆蓋を構成する2枚の側面板4を貫通するパイプ状のものであり、その側面の一部に覆蓋1の内部空間7に通じる開口部21が形成されている。各覆蓋における臭気ガスの吸い込み均等化のため、この開口部21には、その開口面積を微調節するための開口面積調節手段が設けられていることが好ましい。図10の例では、開口面積調節手段として、開口部21にスライド可能な扉23が設けられており、この扉23を矢印方向にスライドさせることで、開口部21の開口面積を調節することができる。扉23には調節を容易に行えるよう臭気ダクト5の径方向に突出した調整つまみ23が一体的に設けられている。開口部21の開口面積の調整は、例えば、背面板に設けた点検口から調整つまみ23を把持できるような治具を内部空間に挿入し、当該治具にて調整つまみ23を把持して扉22をスライドさせることにより行う。
【0046】
本発明に係る覆蓋の材質は特に制限されるものではないが、設置作業を容易にする等の観点から軽量であることが好ましく、例えば、ガラス繊維強化樹脂(FRP)等が好適な材料として挙げられる。
【0047】
本発明に係る覆蓋集合体は、図11のように、これまで説明した本発明に係る覆蓋1が、その幅方向に複数枚隣接配置されるとともに、隣接する覆蓋1の脱臭ダクト5同士が連結されてなるものであり、本発明に係る覆蓋1によって得られる前記種々の効果を得ることができる。
【0048】
なお、太陽電池モジュールを備えた覆蓋を複数枚隣接配置して覆蓋集合体を構成する場合には、各太陽電池モジュールにより発電された電力の集電等のため、隣接する覆蓋間において、それら覆蓋に設置された太陽電池モジュール同士がケーブルにより電気的に接続されるのが通常である。本発明に係る覆蓋集合体においては、このケーブルが、場内処理水から発生した腐食性のガスや外気に晒されて早期に劣化するのを防ぐため、各覆蓋に前述したような配線収容室を設けるとともに、図12に示す背面図のように、隣接する覆蓋1の配線収容室間を太陽電池モジュール接続配管25で連結し、前記ケーブルがこの太陽電池モジュール接続配管25の内部を通って接続されるようにすることが好ましい。
【0049】
本発明に係る覆蓋の使用方法は、これまで説明した本発明に係る覆蓋を、当該覆蓋の上面板における傾斜の下側(下端側)が南東〜南〜南西の向き、好ましくは南向きとなるように配置して使用するものである。傾斜した上面板の表面に太陽電池モジュールが設置された覆蓋を、このような向きに配置すれば、太陽電池モジュールに対する太陽光の入射角度が大きくなり、高い発電効率が得られる。この使用方法に用いられる覆蓋は、上面板の傾斜角度が、0゜より大きく30゜以下であることが好ましく、10〜30゜あることがより好ましく、30゜であることが特に好ましい。傾斜角度がこのような範囲であれば、太陽電池モジュールに理想的な入射角度で太陽光が入射するようになり、より高い発電効率が得られる。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
(発電シミュレーション)
図11に示すように、本発明に係る覆蓋を複数枚隣接配置して覆蓋集合体を構成し、各覆蓋の上面板における傾斜の下側が表1示す設置方向となり、各覆蓋の上面板の傾斜角度が同表に示す値となるようにした場合の太陽電池モジュールの年間発電量を下記の算出条件にて算出し、その算出結果を同表に示した。
【0052】
[算出条件]
・設置場所:東京都
・設置容量:1040W(130W×8枚)
・モジュール温度係数:−0.5%/℃
・インバータ効率:92%
【0053】
【表1】
【0054】
表1に示すように、上面板の傾斜角度が同一の場合(0゜の場合を除く)には、覆蓋の上面板における傾斜の下側が南東〜南〜南西の向き、特に南向きとなるよう設置すると、他の向きに設置したときよりも高い年間発電量が得られる。また、上面板の傾斜角度は、30゜程度までは傾斜角度が大きくなるにしたがって年間発電量が増大するが、それを超えると減少に転じる傾向にある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、下水道施設の上方を覆うための覆蓋及びその使用方法として好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示す側面図である。
【図3】本発明に係る覆蓋の実施形態の一例を示す、覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図4】背面板に加え、上面板にも点検口が設けられた覆蓋の実施形態を示す、覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図5】複数の下水道施設が並設されている状態を示す平面図である。
【図6】覆蓋の背面板にだけ点検口が設けられている場合における点検作業時の移動ルートを示す平面図である。
【図7】覆蓋の背面板に加え、上面板にも点検口が設けられている場合における点検作業時の移動ルートを示す平面図である。
【図8】内部空間の上部に配線収容室が設けられた覆蓋の実施形態を示す、覆蓋の長手方向に沿って切断した断面図である。
【図9】上面板に散水口が設けられた覆蓋の実施形態を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る覆蓋における脱臭ダクトの実施形態の一例を示す説明図である。
【図11】本発明に係る覆蓋集合体の実施形態の一例を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る覆蓋集合体の実施形態の一例を示す背面図である。
【図13】従来の覆蓋における点検口の配置を示す断面図である。
【図14】従来の覆蓋における点検口の配置を示す断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1:覆蓋、2:上面板、3:背面板、4:側面板、5:脱臭ダクト、6:太陽電池モジュール、7:内部空間、8:フランジ、11:点検口、12:開閉扉、13:点検口、14:開閉扉、15:点検口、16:開閉扉、17:配線収容室、18:臭気サンプリング口、19:散水口、20:LED照明、21:開口部、22:扉、23:調整つまみ、25:太陽電池モジュール接続配管、30:下水道施設、31:下水道施設、32:通路、33:矢印、34:矢印、41:覆蓋、42:点検口、43:開閉扉。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下水道施設の上方を覆うための覆蓋であって、
前記覆蓋の長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュールが設置された上面板と、当該上面板の上端から下方に伸びる背面板と、前記上面板と背面板との側端部の間を繋ぐ2枚の側面板とを有し、
前記覆蓋の内側に、前記上面板、背面板及び側面板で囲まれ、下方が開口した内部空間が形成されており、
前記2枚の側面板の少なくとも一方に、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを前記覆蓋の外部へ導くための、前記内部空間に通じる脱臭ダクトが設けられた下水道施設の覆蓋。
【請求項2】
前記背面板に、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた請求項1に記載の覆蓋。
【請求項3】
更に、前記上面板にも、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた請求項2に記載の覆蓋。
【請求項4】
前記上面板の傾斜角度が、0゜より大きく30゜以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項5】
前記背面板の外側面と水平な面とのなす角の角度が、90〜150゜である請求項1〜4の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項6】
前記内部空間に、前記内部空間の他の部分から仕切られた、前記太陽電池モジュールの配線を収容するための配線収容室が設けられた請求項1〜5の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項7】
前記背面板に、前記覆蓋の外部から前記配線収容室内に通じる開閉可能な点検口が設けられた請求項6に記載の覆蓋。
【請求項8】
前記内部空間に、LED照明が設けられた請求項1〜7の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項9】
前記脱臭ダクトに、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを採取するための臭気サンプリング口が設けられた請求項1〜8の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項10】
前記上面板の上部に、前記下水道施設の場内処理水を散布するための散水口が設けられた請求項1〜9の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項11】
前記脱臭ダクトの側面に、前記内部空間に通じる開口部の開口面積を調節するための開口面積調節手段が設けられた請求項1〜10の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の覆蓋が、その幅方向に複数枚隣接配置されるとともに、隣接する覆蓋の前記脱臭ダクト同士が連結されてなる覆蓋集合体。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか一項に記載の覆蓋を、当該覆蓋の前記上面板における傾斜の下側が南東〜南〜南西の向きとなるように配置して使用する覆蓋の使用方法。
【請求項1】
下水道施設の上方を覆うための覆蓋であって、
前記覆蓋の長さ方向において所定の角度で傾斜し、その表面に太陽電池モジュールが設置された上面板と、当該上面板の上端から下方に伸びる背面板と、前記上面板と背面板との側端部の間を繋ぐ2枚の側面板とを有し、
前記覆蓋の内側に、前記上面板、背面板及び側面板で囲まれ、下方が開口した内部空間が形成されており、
前記2枚の側面板の少なくとも一方に、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを前記覆蓋の外部へ導くための、前記内部空間に通じる脱臭ダクトが設けられた下水道施設の覆蓋。
【請求項2】
前記背面板に、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた請求項1に記載の覆蓋。
【請求項3】
更に、前記上面板にも、覆蓋内部を点検するための、開閉可能な点検口が設けられた請求項2に記載の覆蓋。
【請求項4】
前記上面板の傾斜角度が、0゜より大きく30゜以下である請求項1〜3の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項5】
前記背面板の外側面と水平な面とのなす角の角度が、90〜150゜である請求項1〜4の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項6】
前記内部空間に、前記内部空間の他の部分から仕切られた、前記太陽電池モジュールの配線を収容するための配線収容室が設けられた請求項1〜5の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項7】
前記背面板に、前記覆蓋の外部から前記配線収容室内に通じる開閉可能な点検口が設けられた請求項6に記載の覆蓋。
【請求項8】
前記内部空間に、LED照明が設けられた請求項1〜7の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項9】
前記脱臭ダクトに、前記下水道施設に収容された場内処理水から発生した臭気ガスを採取するための臭気サンプリング口が設けられた請求項1〜8の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項10】
前記上面板の上部に、前記下水道施設の場内処理水を散布するための散水口が設けられた請求項1〜9の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項11】
前記脱臭ダクトの側面に、前記内部空間に通じる開口部の開口面積を調節するための開口面積調節手段が設けられた請求項1〜10の何れか一項に記載の覆蓋。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか一項に記載の覆蓋が、その幅方向に複数枚隣接配置されるとともに、隣接する覆蓋の前記脱臭ダクト同士が連結されてなる覆蓋集合体。
【請求項13】
請求項1〜11の何れか一項に記載の覆蓋を、当該覆蓋の前記上面板における傾斜の下側が南東〜南〜南西の向きとなるように配置して使用する覆蓋の使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−149059(P2010−149059A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−330870(P2008−330870)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】
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