説明

不均一な場を補正するシステムと方法

ローカライゼーションシステムで生成された3次元のローカライゼーション場にある物体の位置を決定する方法であり、隣接する電極からの距離が既知である複数個の電極を備えているカテーテルを用意し、ローカライゼーション場にある物体の位置とローカライゼーションシステムによる測定値を関連付けるデータの参照用の表を用意し、カテーテルをローカライゼーション場に置き、ローカライゼーションシステムを使用し、参照用の表に基づいて複数個の電極の位置を計測し、電極同士の間の距離を計算し、計測された距離を既知の電極間の距離と比較し、より正確な電極対間距離が計測されるように、参照用の表を調整する工程を含んでいる。例えばガウス関数を利用するカーネル方法によって参照用の表を更新することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年3月9日に出願され、現在審査中の、米国出願第11/715919号(以下では919号出願)に基づく優先権を主張する。本出願は、2007年3月9日に出願された米国出願第11/715923号(以下では923号出願)の関連出願である。919号出願及び923号出願の全部は、参照により本明細書に援用される。
【0002】
技術分野
本発明は、ローカリゼーション場を用いて場所を計測するローカリゼーションシステムに関する。特に、本発明は、ローカリゼーション場に存在する不均一性を補正するシステムと方法に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓の診断あるいは治療処置の準備のために、心臓の室の幾何学的形状を準備することがよく知られている。しばしば、地図作成用のカテーテルが目的の心臓の室に導入され、その室の中で、不規則に、擬似的に不規則に、あるいは1またはそれ以上の所定のパターンに従って動かされる。3次元の座標が、ローカリゼーションシステム(しばしば、地図作成システム、ナビゲーションシステム、あるいは位置のフィードバックシステムと称されることがある)を利用して計測される。ローカリゼーションシステムは、ローカリゼーション場内における地図作成用のカテーテルの座標を計測する。典型的には、ローカリゼーション場の特性値、例えば地図作成用のカテーテルに作用する電圧を、その場におけるカテーテルの位置に関連づけることによって、地図作成用のカテーテルの座標を計測する。同様の方法を、ローカリゼーション場に置かれている除去用のカテーテルや医用機器といった他の物体の位置を計測するために用いることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ローカリゼーション場が不均一であることが知られている。すなわち、物体がローカリゼーション場内で動くときに、その物体がある位置における場の値と、ローカリゼーション場内における物体の場所との間に、定常的な関係が成立しない場合がある。この不均一性が、ローカリゼーションシステムによる場所の計測の正確性を損ねている。
【0005】
そこで、ローカリゼーション場に存在する不均一性の影響を補正することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここでは、ローカリゼーションシステムによって創り出された3次元のローカリゼーション場内に存在する物体の位置を決定する方法が開示される。その方法は下記の工程を備えている。
・複数個の電極を備えているカテーテルを用意する。各々の電極は、隣接する電極から既知の距離だけ隔てられている;
・ローカリゼーションシステムが利用する3次元の参照表を用意する。その表は、ローカリゼーション場内における物体の位置(様々な位置)を、物体がそれらの様々な位置に置かれたときにローカリゼーションシステムによって検出された値に関連づける参照用データを備えている。
・そのカテーテルをローカリゼーション場内に置く。
・ローカリゼーションシステムを使って、3次元の参照表の参照用データに基づいて、カテーテルの各々の電極の位置を特定する。
・各々の電極の特定された位置から、隣接する電極間の検出された距離を計算する。
・少なくとも1対の電極間で観測された距離と、実際の電極間距離を比較し、エラー信号を決定する。
・より正確な電極間距離が計算されるように、そのエラー信号に基づいて、3次元の参照表の参照用データを修正する。
・必要であれば、別の物体をローカリゼーション場内に置いてもよい。この場合には、カテーテルの近傍にその物体を置くことが好ましい。その上で、物体の位置が3次元の参照表を備えている修正された参照用データによって決定されてもよい。
【0007】
本発明のいくつかの実施例では、参照用データが、測定した電圧の値をローカリゼーション場内の物理的位置に関係づける情報を備えている。3次元の参照表は、完全に均一なローカリゼーション場における参照用データを予測することによって生成してもよい。典型的には、3次元の参照表の参照用データをよく適合するように更新するために、カーネル関数(Kernel function) が用いられてもよい。カーネル関数は、修正ポイントが電極対の位置から離れるのに従って、大きさが減少するように参照用データを更新する減衰関数であることが好ましい。一つの好ましいカーネル関数は、下記の式1に示す一般式で表される、ガウス曲線の導関数である。
【数1】

【0008】
予め定められている空間中における物体の位置を特定する方法も開示されている。その方法は、下記の工程を備えている。
・既知の距離だけ隔てられている複数個の補正要素を備えている補正用物体を用意する。
・ローカリゼーション場のための3次元の座標系を決定する。3次元の座標系は、ローカリゼーション場内にある物体の観測された位置を画定する際の基準として機能する複数個基準位置を備えている。
・補正用物体をローカリゼーション場におく。
・3次元の座標系に関連しており、各々の補正要素の位置情報を提供する基準情報を入手する。
・少なくとも2つの補正要素の間に観測された距離を計算する。
・計算された補正要素間の距離と既知の補正要素間の距離の比較結果に基づいて補正信号を生成する。
・物体をローカリゼーション場におく。
・ローカリゼーション場内における物体の位置を検出するために補正信号を用いる。
【0009】
必要に応じて、基準位置のうちの少なくともいくつかをカーネル関数を使って適合的に処理し、計測された距離と既知の距離の差が小さくなるように、修正された3次元座標系を生成してもよい。例えば、計測された距離が既知の距離よりも長ければ、二つの基準位置を隔てている距離が縮められる。同様に、計測された距離が既知の距離よりも短ければ、二つの基準位置を隔てている距離が伸ばされる。本方法は、修正された3次元座標系に対すローカリゼーション場内の物体の位置を示す情報を含む基準情報を提供することによって、ローカリゼーション場内における物体の位置を特定する工程を含んでいてもよいことを考慮すべきである。
【0010】
本発明は、ローカリゼーション場の不均一性のために、エラーを補正する機能を備えたローカリゼーションシステムをも提供する。そのシステムは、ローカリゼーション場内の物体位置を特定するのに利用可能なローカリゼーション場を提供する少なくとも一つのローカリゼーション場の生成装置と、そのローカリゼーション場の生成装置で生成された場の値を検出する検出装置と、ローカリゼーション空間のための3次元座標系を生成するモデル化処理装置(その3次元座標系は、ローカリゼーション空間内の物体の計測位置を特定するのに利用される基準として機能する複数個の基準位置を含んでいる)と、計測された距離と実際の距離の差を算出する誤差処理装置と、モデル化処理装置と誤差処理装置に接続されている補正処理装置を備えている。補正処理装置は、計測された距離と実際の距離の差の全部が減少するように誤差処理装置で検出された誤差を調整するために、3次元座標系における少なくとも2個の参照ポイントの位置を調整する。当然に、補正処理装置は、少なくとも2個の参照ポイントの位置を適合的に調整するために、カーネル関数を利用することができる。例えば、計測された距離が実際の距離よりも大きければ、少なくとも2つの参照ポイント間の距離を減少させることによって、2個の参照ポイントの位置を調整する。その逆の処理も可能である。システムは、必要に応じて、補正用ツールを備えている。補正用ツールは既知の距離だけ離れている複数個の補正用要素を備えており、補正用要素間の計測された距離を実際の距離と比較することが可能となる。
【0011】
モデル化処理装置は、3次元の参照表を備えている3次元座標系を生成するものであってもよい。その参照表では、参照ポイントが、少なくとも一つの検出装置で検出される場の値に関連付けられている。本発明のいくつかの実施例では、少なくとも一つのローカリゼーション場の生成装置が、3本の軸に沿って隔てられている3対の電極対を備えおり、これらの3対の電極が3個の電場を生成する。その3個の電場を使うと、物体がローカリゼーション空間のどこにあるかを決定することができる。ここで、少なくとも一個の検出装置は、3個の電場で生成される電位(電圧の値)を検出する。モデル化処理装置は、3次元の参照表を備えている3次元座標系を生成する。その参照表は、3次元座標系における参照ポイントが、3個の電場のうちの各々の電場において検出装置で検出される検出値に関連付けられている。補正処理装置は、3個の電場の非均一性を補正するものでありえる。それに代わって、ローカリゼーション場は磁場でもよい。少なくても一つの検出装置は、磁場の3成分を測定する3つのコイルを備えていてもよい。
【0012】
本発明の別の形態は、ローカリゼーションシステムで作り出されたローカリゼーション場の中における物体の位置を決定する方法である。その方法は、複数の電極を提供し(各々の電極は隣接する電極から既知の電極間距離だけ隔てられている)、その複数の電極をローカリゼーション場に配置し、基準データを利用して少なくとも2個の電極の位置を計測し、2個の電極の計測された位置からその電極対間の距離を計算し、2個の電極間の計算された距離と既知の電極間距離を比較して誤差信号を得、より正確な電極間距離が計算されるように基準データを修正する。基準データは、カーネル方関数を用いて適合するように更新することができる。そこで用いるカーネル関数は、中央に最大値を持つ正の凸と、その両側においてゼロに収束する円滑な減衰と、中央に最大値を持つ負の凸と、その両側においてゼロに収束する円滑な減衰を備えている。基準データは、ローカリゼーション場内の位置をローカリゼーション場の1種または2種以上の特性に関連づける参照表でありえる。その特性は、1種または2種以上の電場に関する特性または1種または2種以上の磁場に関する特性でありえる。既知の電極間距離は、カテーテルリスト(既知のカテーテルとそのカテーテルの電極間距離をリスト化した表)から求められることがありえることを考慮すべきである。
【0013】
本発明の利点は、その中における位置を計測するところのローカリゼーション場内における不均一性を補正するローカリゼーションシステムを提供することである。
【0014】
以上の、並びにその他の本発明の目的、特徴、詳細、用途及び有用性については、以下の記載、特許請求の範囲ならびにこれに添付される図面を参照することにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】電気生理解析で用いられるローカリゼーションシステムの模式図を示す。
【0016】
【図2】電気生理解析で用いられるカテーテルの例を示す。
【0017】
【図3】2次元の参照表の例を示す。.
【0018】
【図4】カーネル関数を示す。
【0019】
【図5a】均一である場合にローカリゼーションシステムで観測されるカテーテルを示す。
【0020】
【図5b】ローカリゼーションシステムの参照ポイントに対して更新処理をした後に観測される図5aのカテーテルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、ローカリゼーション場の不均一性を補正する方法とシステムを提供する。ローカリゼーション場は、人体内で実施される手順、特にカテーテルを用いた診断と治療の手順においてしばしば利用される。そのために、図示の目的のために、本発明は、心臓の電気生理解析で用いられる例にとって詳細に説明される。しかしながら本発明は、他の場合、例えば生産環境における内部歪を計測するといった場合にも、利点をもたらすように実施できることに留意すべきである。
【0022】
図1は、心臓カテーテルをナビゲートするとともに、患者11の心臓10における電気的活動を測定し、測定された電気的活動、及び/又はこれに関する、あるいはこれを記述する情報を3次元マッピングすることによって、心臓の電気生理学的診断を行うローカライズシステム8の概要を表わす図である。システム8は、例えば、1つ又は複数の電極を用いて患者の心臓10の解剖学モデルを作成するために用いることができる。システム8はまた、心臓の表面に沿った複数の位置において電気生理学的データを測定し、測定したデータをそれぞれの測定位置に関する位置情報と関連付けて記憶し、例えば、患者の心臓10の診断データマップを作成するために用いることができる。以下で詳しく説明するが、当業者であれば、ローカライズシステム8は、物体の位置、特に、3次元空間における物体の位置を特定するものであり、その位置を少なくとも1つの基準に対して特定した位置情報として表現するものであることが理解されよう。
【0023】
図示の簡素化のために、患者11は楕円によって概要的に描写されている。3種の表面電極(例えば、パッチ電極等)が患者11の体の表面に配置されており、以下ではX軸、Y軸、Z軸と称する3つの略垂直な軸を定義している。X軸表面電極12,14は、例えば胸部の両側部(例えば、患者の左右の腕の下に位置する皮膚)等の、第1軸に沿って患者に貼付されている。このため、表面電極12,14は、右電極及び左電極と称することがある。Y軸表面電極18,19は、例えば内大腿部と頚部に沿って伸びる、X軸と垂直な第2軸に沿って患者に貼付されている。このため、表面電極18,19は、左足電極及び首電極と称することがある。Z軸表面電極16,22は、例えば胸骨部及び胸部における頚椎部に沿って伸びる、X軸及びY軸のいずれとも垂直な第3軸に沿って患者に貼付されている。このため、表面電極16,22は、胸電極及び背電極と称することがある。心臓10は、これらの表面電極の対12と14,18と19,16と22の間に位置している。
【0024】
例えば「腹部パッチ」といった追加的な表面レファレンス電極21が、システム8に基準電極及び/又は接地電極を提供する。腹部パッチ電極21は、後述する心臓内固定電極31の代替とすることもできる。さらに、患者11には、従来の心電図(ECG)システムの殆ど、或いは、全てのリード配線が配置されている。図1に示していないが、システム8はECG情報を利用することができる。
【0025】
少なくとも1つの電極17(例えば、先端部電極)を備えている代表的なカテーテル13が示されている。この代表的なカテーテル電極17は、本明細書では、「移動電極」、「可動電極」あるいは「測定電極」と称する。一般的に、カテーテル13には複数の電極が設けられるか、あるいは、複数の電極が複数のカテーテルに搭載される。1つの実施形態では、例えばローカライズシステム8は、最大64個の電極を、患者の心臓及び/または脈管構造内に配置される最大12本のカテーテルに搭載していてもよい。以下の実施例は単なる例示であり、本発明の範囲内において、如何なる数の電極とカテーテルが用いられていてもよい。
【0026】
本開示の説明のために、図2にカテーテル13の例が示されている。図2では、カテーテル13が患者の心臓10の左心室内を伸びている。カテーテル13は、先端に配置されている電極17と、追加の測定用電極52,54,56を備えている。追加の測定用電極52,54,56は、それらの長さ方向に沿って離間されている。典型的には、隣り合う電極間の間隔は既知である。しかしながら、電極群はカテーテル13に沿って等距離に分散配置される必要はないし、相互に同じ大きさである必要はないことに留意すべきである。電極17,52,54,56の各々が患者の体内に位置しているので、ローカライゼーションシステム8によって個々の電極のための位置情報が同時に測定される。
【0027】
図1に戻って説明すると、追加的な固定リファレンス電極31(例えば、これは心臓10の壁に貼付される)が、第2カテーテル29に示されている。キャリブレーションのために、電極31は、例えば心臓の壁に、あるいはその近辺に固定されていてもよいし、あるいは、移動電極17に対して固定された空間関係にある位置に配置されていてもよい。このため、電極31は、「ナビゲーションレファレンス」あるいは「ローカルレファレンス」と称することがある。固定レファレンス電極31は、表面レファレンス電極21に追加して用いてもよいし、これの代替として用いてもよい。多くの場合、冠状静脈洞電極あるいは心臓10内に固定されるその他の固定電極を、電圧及び変位を測定する基準として用いることができる。即ち、以下に示すように、固定リファレンス電極31は座標系の原点を定義することができる。
【0028】
表面電極のそれぞれは、切換えスイッチ24に接続されている。コンピュータ20によって実行されているソフトウエアに従って、電極対が選択される。切換えスイッチは、表面電極を信号生成器25に接続している。コンピュータ20は、例えば、従来の汎用コンピュータであってもよいし、専用のコンピュータであってもよいし、分散型のコンピュータであってもよいし、その他のタイプのコンピュータであってもよい。コンピュータ20は、1つ又は複数の処理装置を備えている。例えば、1つの中央処理ユニット(CPU)を備えていてもよく、あるいは、並行処理環境と一般的に言われる複数のプロセッサを備えていてもよい。複数のプロセッサは、本明細書で説明する本発明の様々な目的のための指示を実行する。
【0029】
一般的に、駆動されて検出される(センスされる)複数の電気的双極子(例えば、表面電極の対12と14,18と19,16と22)によって、3つのノミナルで垂直な電場が生成される。これにより、生体導電体内におけるカテーテルナビゲーションが実現される。また、これらの垂直な電場の集まりは分解することができ、いずれの表面電極の対も、電極三角形分割を行うための双極子として駆動させることができる。さらに、そのような非直交性の手法は、システムの柔軟性を向上させる。いずれの軸についても、所定の駆動源のセット(ソース/シンク)構成に起因して移動電極を通じて測定された複数の電位は、単一の電流を垂直な軸に沿って流したときに得られるであろう電位と同じ電位をもたらすように、代数学的に組合せることができる。
【0030】
例えば腹部パッチ21等の接地基準に対して、表面電極12,14,16,18,19,22のうちのいずれか2つを組合せて、双極子のソースとドレインとすることができる。このとき、励磁に用いられなかった電極は、接地基準に対する電圧を測定する。心臓10内に配置された測定電極17,52,54,56は、電流パルスによる電場に晒されており、腹部パッチ21等のグランドを基準として測定を行う。実際には、心臓内に配置されるカテーテルは図示されている4個よりも多いか少ない数の電極を備えており、それぞれの電極での電位が測定されることがある。上述したように、少なくとも1つの電極が心臓の内部表面に固定されて固定レファレンス電極31を形成しており、座標原点を提供する。ローカライゼーションシステム8は、その座標系における位置を計測する。それぞれの表面電極と、内部電極と、可視電極からのデータセットはすべて、心臓10内にある移動電極17,52,54,56の電極の位置を測定するために用いることができる。
【0031】
測定された電圧は、例えば移動電極17,52,54,56のように心臓内部にある電極の位置、例えばレファレンス電極31等の基準位置に対する3次元空間内における位置を特定するのに用いることができる。即ち、レファレンス電極31で測定された電圧は、座標系の原点を定義するのに用いられ、この一方で、移動電極17,52,54,56で測定された電圧は、その原点に対して移動電極17,52,54,56が位置している場所を表わすのに用いられる。好ましくは、この座標系は、3次元(XYZ)のデカルト座標システムであるが、例えば、極座標系、球座標系、円筒座標系等のその他の座標システムを用いた場合であっても、本発明の範囲を超えるものではない。
【0032】
以上の記載から明らかなように、心臓内の電極の位置の特定に用いられるデータは、表面電極の対が心臓に電場を印加している間に測定される。電極で測定されたデータは、米国特許公開公報第2004/0254437号に記載されているように、電極の位置についての生の位置データを改善するための呼吸補償値を作成するのに用いることもできる。米国特許工開公報第2004/0254437号は、参照により本明細書に援用される。電極データは、さらに、患者のボディーインピーダンスの変化を補償するために用いることもできる。これは、例えば、2005年9月15日に出願された米国特許出願第11/227580号に記載されており、その全部は参照により本明細書に援用される。
【0033】
要するに、システム8は、まず表面電極の対の一つを選択し、次いでそれらに電流パルスを加える。電流パルスが供給される間に、電圧等の電気的活動の少なくとも1つが、残りの表面電極及び生体内電極によって測定され、記憶される。これにより、呼吸及び/又はインピーダンスシフト等の人為的影響についての補償は、上述したように行うことができる。
【0034】
好ましい実施形態では、セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッドの、EnSite NavX(商標)ナビゲーション・ビジュアライゼーションシステムズを、ローカライゼーション/マッピングシステムとして用いることができる。また、本発明は、例えば、バイオセンス・ウェブスター社のCARTOナビゲーション・ロケーションシステム、ノーザン・デジタル・インコーポレーテッドのAURORA(登録商標)システム等の、その他のローカライゼーションシステムを用いてもよい。CARTOナビゲーション・ロケーションシステムとAURORA(登録商標)システムは、電場でなく磁場を利用する。以下の特許に記載されるローカライゼーション/マッピングシステムも、本発明によって用いることができる。米国特許第6990370号、第6978168号、第6947785号、第6939309号、第6728562号、第6640119号、第5983126号、第5697377号。
【0035】
ローカライゼーションシステム8で生成される場は、例えばEnSite NavX(商標)による場合の電場でも、CARTOとAURORA(登録商標)による場合の磁場でも、その他の場であってもよいが、一般に、ローカリゼーション場といわれる。その場を作り出すもの、例えば表面電極12,14,16,18,19,22は、一般に、ローカリゼーション場の生成器といわれる。上記したように、表面電極12,14,16,18,19,22は、ローカライゼーション場の特性を検出する検出器としても機能する。例えば、移動電極17,52,54,56の位置での電位が検出される。本発明は、電場を生成するローカライゼーションシステムの例を主にして説明されるが、当業者であれば、ここで開示されている原理を他のタイプのローカライゼーション場にいかに適用するかを理解するであろう。例えば電極17,52,54,56をコイルに置き換えることによって、磁場の異なる成分を検出することができる。
【0036】
ローカライゼーションシステム8は、3次元の参照用の表を備えていてもよい。その表は、ローカリゼーション場内における物体の位置と、物体がローカリゼーション場内の様々な位置にあるときにローカライゼーションシステムで検出される値を関連付けるレファレンスデータを含んでいる。例えば上記したように、表面電極の対12/14、18/19、16/22で生成された電場内に置かれた移動電極17,52,54,56の位置で検出された電位は、ローカリゼーション場内における移動電極17,52,54,56の位置を決定するのに利用することができる。例えば、参照用の表に含まれているレファレンスデータは、検出された電位をローカライゼーション場内の物理的位置に対応付ける情報を含んでいてもよい。実際には、参照用の表は、ローカライゼーション場に置かれた物体を測定したとき位置を定義ないし特定するための基準として働く複数個の参照用ポイント(例えば参照用の表のセルまたはノード)を含む、ローカライゼーション場のための3次元座標系を定義している。本発明のいくつかの実施例では、3次元の参照用の表、従って3次元の座標系は、コンピュータ20に組み込まれているモデリング処理装置によって、生成される。
【0037】
最初は、参照用の表は、完全に均一なローカライゼーション場のために予想されるレファレンスデータを記憶していてもよい。図3には、そのような参照用の表が2次元に図示されている。図示の目的のためにだけ、参照用の表は、x軸の表面電極(パッチ電極12,14)間に9ボルトが印加されるとともに、y軸の表面電極(パッチ電極18,19)間に9ボルトが印加される場合を想定しており、表面電極同士が9単位だけ離れて配置されている場合を想定している。これは、1ボルトの変化が1単位の移動に等しい場合を想定している。さらに、参照用の表は、例えばレファレンス電極31によって定義される座標原点(0,0)では、x軸の電場が作用するときには3ボルトとなり、y軸の電場が作用するときには5ボルトとなると想定している。レファレンス電極31によって検出されるボルトよりも高いボルトは正であると定義されており、レファレンス電極31によって検出されるボルトよりも低いボルトは負であると定義されている。参照用の表のなかの個々の欄(例えば表のなかのセルまたはノード)は、座標系における参照ポイントを定義している。ローカライゼーションシステム8は、その参照ポイントを基準にして、ローカライゼーション場に置かれている物体の位置を計測する。図3の表では、整数の値のみが示されているが、発明を実施するために用いられる参照用の表は、小数点以下の値を備えていてもよいことを考慮すべきである。すなわち、参照用の表は、任意の間隔で分割することができる。もちろん、中間値(参照用の表のセルに正確には一致しない値)を補完法によって決定可能であることも考慮に入れるべきである。好ましくは、参照用の表のノードからノードまでが連続しているとする補完法を用いる。
【0038】
当業者であれば認識するように、3次元の参照用の表のノードを最初に設けるために使う仮定に反して、ローカリゼーションシステム8によって生成されるローカリゼーション場は、完全には均一でないことがある。参照用の表を埋めるために使用した予想値は正確でないことがある。その結果、ローカリゼーション場にある移動電極17,52,54,56または他の物体の位置を計測する際に、誤差が導入されることがある。その非均一性を補正し、測定誤差を最小化することが好ましい。その結果、ローカライゼーションシステム8の精度と正確性が改善される。
【0039】
カテーテルをローカリゼーション場に置いた後に、ローカライゼーションシステム8は、参照用の表に記憶されているデータに従って、複数の電極17,52,54,56の各々の位置を決定するように利用することができる。参照用の表のレファレンスデータによって決定された電極17,52,54,56の位置は、電極対の間の距離を計算するのに利用できる。特に、電極17と52にように、隣接する電極の間の距離を計算するのに利用できる。
【0040】
例えば、電極17の位置において、x軸方向の電場を印加したときには7ボルトを観察し、y軸方向の電場を印加したときには6ボルトを観察し、電極52の位置において、x軸方向の電場を印加したときには7ボルトを観察し、y軸方向の電場を印加したときには8ボルトを観察したとする。最初に均一なローカリゼーション場を想定して埋められた参照用の表は、電極17は座標(4,1)の位置にあり、電極52は座標(4,3)の位置にあることを示す。電極17と電極52の間の距離は、2単位となる。すなわち、座標(X、Y)と座標(X,Y)の間に距離dは、以下の式で計算される。
【数2】

【0041】
上記したように、電極17と52の間の実際の距離は既知である。電極17と52の間の測定された距離は、ローカライゼーション場の不均一性に起因して、実際の距離から相違するかもしれない。従って、コンピュータ20の一部で構成することができる誤差処理装置は、誤差信号を決定して出力するために、計測された距離と実際の距離を比較する。その誤差信号は、電極17,52,54,56間の距離をより正確に計測できるようにするために、3次元の参照用の表のなかのレファレンスデータを修正するのに利用できる。コンピュータ20に組み込むことができ、好ましくはモデリング処理装置と誤差処理装置に接続されている補正処理装置は、誤差信号が小さくなるように(すなわち計測された距離と実際の距離との差が小さくなうように)れファンレスデータを補正する。
【0042】
ここでは例として電極17と52が利用されているが、カテーテル13が時間とともにローカライゼーション場内を移動する際に、全部の電極17,52,54,56から得られる情報を誤差信号に組み込み、複数個の電極対に関する複数個の実際の距離の情報と比較される複数個の電極対に関する複数個の測定された距離の情報を提供することが好ましい。この処理は、実時間で実行してもよいし、予め記録されたデータに対して実行してもよい。
【0043】
本発明のいくつかの実施例では、3次元の参照用の表にあるレファレンスデータを適合的に更新するために、カーネル関数が用いられる。好ましくは、カーネル関数は、補正するポイントの複数個の電極の位置からの距離が大きくなるに従って、その大きさが小さくなるように参照用データを更新する、一種の収束関数である。すなわち、参照用の表において測定された座標位置に最も近い参照ポイントないしはノードが最も大きく補正され、参照用の表において測定された座標位置に直接的に隣接する参照ポイントないしはノードが次に大きく補正され、以下同様であり、参照用の表において測定された座標位置から最も遠い参照ポイントないしはノードが最も小さく補正されるか、あるいは補正されない。
【0044】
一つの好ましいカーネル関数はガウス関数の一種であり、以下の式で与えられる。
【数3】

そのカーネル関数が図4に図示されており、正の凸と負の凸を備えており、それぞれの凸の中心からの距離の増大ともにゼロに収束している。本発明を実施するには、正の凸と負の凸を備えており、凸の中心からの距離の増大ともにゼロに収束している任意の種類のカーネル関数が利用できる。
【0045】
従って、例えば、測定された電極間距離が実際の電極間距離よりも短い場合、誤差信号は負となり、座標系に置かれている参照ポイントを隔てている距離が長くなるように補正される(すなわちローカライゼーション場が引き伸ばされる)。同様に、測定された電極間距離が実際の電極間距離よりも長い場合、誤差信号は正となり、座標系に置かれている参照ポイントを隔てている距離が短くなるように補正される(すなわちローカライゼーション場が縮められる)。
【0046】
後者の場合が図5a,5bに図示されている。図5aは、ローカライゼーションシステム8が生成したローカライゼーション場において測定されたカテーテル13と電極17,52,54,56を図示している。ローカライゼーション場は格子状に表示されている。電極17と52の間の測定された距離は約4単位であり、電極52と54の間の測定された距離は約5単位であり、電極54と56の間の測定された距離は約3.5単位である。しかしながら、電極間の実際の距離は1ユニットであるとすると、測定された距離は長すぎる(カテーテル13は既知のサイズから引き伸ばされて観測されている)。カーネル方法は、3次元の参照用の表のレファレンスデータを更新し、ローカライゼーション場を縮める。図5bは、図5aのローカライゼーション場にカーネル方法を1回だけ実行した後のローカライゼーション場を図示している。参照ポイント(すなわちグリッド)が、縮められている。電極17と52の間の距離は約2.5単位であると計算され、電極52と54の間の距離は約3単位であると計算され、電極54と56の間の距離は約2単位であると計算されるように、参照用の表中のデータは更新されている。
【0047】
前記したように、カーネル方法を1回実行しただけでは、ローカライゼーション場の不均一性を補正しないかもしれない。好ましくは、カーネル方法を実行するたびに、誤差信号がほとんどなくなるような最適値に近づくように参照用データが小さく修正されることが好ましい。カーネル方法を繰り返し実行することは、カテーテル13を患者の心臓10に挿入しながらリアルタイムで処理してもよい。例えば、心臓の表面モデルを作り出すための複数個のジオメトリックポイントの位置を測定しながら、三次元の参照用の表のレファレンスデータによって、測定したジオメトリックポイントの位置が補正されるようにしてもよい。
【0048】
カーネル方法を十分な回数だけ繰返すと、3次元の参照用の表は、誤差信号をほとんど含まない最適値に近づくように更新される。その後の物体がローカライゼーション場に置かれると、3次元の参照用の表の更新されたデータによって、その物体の位置が正確かつ精密に測定される。
【0049】
一般的にいうと、本発明は、限られた空間内にある物体の位置を決定するのに用いられる。電極17,52,54,56の場合には、相互の間隔が既知であったが、物体が既知の間隔を持たない場合も有効である。上記したように、ローカライゼーション場は、既知の3次元の座標系を備えており、その座標系は、ローカライゼーション場に置かれた物体の計測された位置を定義するための基準となる複数個の参照ポイント備えている。既知の距離だけ離れている複数個の補正用要素(例えば電極17,52,54,56)を備えている補正用のツールないし物体(例えばカテーテル13)がローカライゼーション場に挿入される。参照用の情報、例えば個々の補正要素の位置が、その3次元座標系のなかで計測され、少なくとも2つの補正用要素間の間隔が計測される。その後、観測された距離と機知の距離の比較結果に基づいて、補正信号が生成される。その後の物体が補正用のツールの近傍に置かれる。その場合、その補正信号がローカライゼーション場内における物体の位置を決定するのに利用できる。
【0050】
上記したように、複数個の参照ポイントのいくつかにはカーネル関数を用いて適合させる処理がなされる。すなわち、計測された距離と実際の距離との差を減少させるように修正された3次元座標系を作る。その処理を十分な回数だけ繰返すと、計測された距離と実際の距離との差がゼロに収束する。物体をローカライゼーション場に置くことができ、その位置を修正された3次元座標系によって計測することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施例をある程度の具体性を持って記載したが、当業者であれば発明の範囲内で、開示された実施例を様々に変形させることができる。例えば、ここで記載した種々の処理装置(例えばモデル生成処理装置、誤差処理装置、補正処理装置)は、本発明の範囲内で、一つまたは二つ以上のコンピュータシステム中の一つまたは二つ以上の処理装置に組み込むことができる。
【0052】
さらに、電場または磁場をローカライゼーション場とする場合を例にして本発明を説明したが、イメージシステム、例えば、蛍光色を利用して可視化するシステム、心臓内を超音波で可視化するエコーシステム、磁気共鳴現象を利用して可視化するシステム、カテーテルの進行方向をガイドするために利用されるシステムの中で本発明を実施することもできることに留意すべきである。これらの可視化システムも、本書でいうローカライゼーション場という用語の意味範囲内にある。
【0053】
さらに、ローカライゼーションシステムでの測定結果とローカライゼーション場における物体の位置を関連図ける参照用の表であって、繰り返し更新された参照用の表を利用する場合に沿って本発明を記述してきたが、他の方法論も本発明の範疇である。例えば、重み関数を利用した代数学的手法を、参照用の表の代わりに用いることができる。この場合、ローカライゼーション場の不均一性は、相対的な重み係数を調整することで補正される。同様に、ニューラルネットワークなどの学習機能つきの手法も利用可能である。
【0054】
方位を示す用語のすべて(例えば、上、下、上方、下方、左、右、左方、右方、頂部、底部、上側、下側、垂直、水平、時計方向、反時計方向)は、本発明を読者が理解しやすくするためのものに過ぎないし、本発明を制約するものでない。特に、位置、方位あるいは本発明の利用において、接続関係を示す用語(例えば、取り付けられている、結合されている、接続されているといったものなど)は、広く理解すべきであり、要素の要素の間に中間部材を含んでもよく、要素間の相対移動を含んでもよい。このように、接合についての言及は、必ずしも、2つの要素が直接接続されかつ互いに固定関係にあることを意味するものではない。
【0055】
上記説明に含まれるかまたは添付図面に示したすべての事項は、本発明を限定するものではなく単に例示するものであると解釈されることを意図している。添付の特許請求の範囲で定義されるような本発明の趣旨から逸脱することなく、詳細または構造に対する変更を行ってもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ローカライゼーションシステムで生成された3次元のローカライゼーション場にある物体の位置を決定する方法であり、
隣接する電極からの距離が既知である複数個の電極を備えているカテーテルを用意する工程と、
物体が種々の位置にある際の、ローカライゼーション場にある物体の位置とローカライゼーションシステムによる測定値を関連付けるレファレンスデータを備えており、ローカライゼーションシステムで使用する3次元の参照用の表を用意する工程と、
カテーテルをローカライゼーション場に置く工程と、
ローカライゼーションシステムを使用して、3次元の参照用の表のレファレンスデータを用いて複数個の電極のそれぞれの位置を計測する工程と、
計測された個々の電極の位置から少なくとも隣接する電極同士の間の距離の各々を計算する工程と、
少なくとも一対の電極同士の間の計測された距離を既知の距離と比較して誤差信号を決定する工程と、
より正確な電極対間距離が計測されるように、誤差信号に基づいて3次元の参照用の表のレファレンスデータを調整する工程
を備える方法。
【請求項2】
誤差信号に基づいて3次元の参照用の表のレファレンスデータを調整する工程が、カーネル関数を用いて3次元の参照用の表のレファレンスデータを適合的に更新すること
を含む、請求項1の方法。
【請求項3】
カーネル関数は、調整されるポイントの複数個の電極からの距離が増加するにつれて、大きさが小さくなるようにレファレンスデータを更新する収束関数の一種である、請求項2の方法。
【請求項4】
カーネル関数はガウス関数の一つである、請求項2の方法。
【請求項5】
カーネル関数は、以下の式を満たす、請求項4の方法。
【数4】

【請求項6】
ローカライゼーション場に物体を置く工程と、
3次元の参照用の表の調整されたレファレンスデータを用いて物体の位置を決定する工程
をさらに備える、請求項1の方法。
【請求項7】
レファレンスデータは、電圧の測定値をローカライゼーション場内の物理的位置に関連付ける情報を含んでいる、請求項1の方法。
【請求項8】
3次元の参照用の表を用意する工程は、ローカライゼーション場が完全に均一であるとしたときのレファレンスデータを予測して3次元の参照用の表を作成する過程を備えている、請求項1の方法。
【請求項9】
与えられた空間内にある物体の位置を特定する方法であり、
既知の距離だけ離れた補正用の要素の複数個を備えている補正用の物体を用意する工程と、
ローカライゼンーション場にある物体の測定された位置を決める基準となる複数個の参照ポイントを備えているローカライゼンーション場のための3次元座標系を定義する工程と、
ローカライゼンーション場に補正用の物体を置く工程と、
各々の補正用の要素の位置情報を提供する参照用の情報であって、3次元座標系に対する参照用の情報を取得する工程と、
少なくとも2つの補正用の要素の間に観測された距離を計算する工程と、
計算された距離と既知の距離を比較して補正信号を生成する工程と、
ローカライゼンーション場に物体を置く工程と、
補正信号を用いてローカライゼンーション場における物体の位置を決定する工程
を備える方法。
【請求項10】
3次元の座標系に含まれる複数個の参照ポイントの少なくともいくつかに対してカーネル関数を用いて適合的に処理し、観測された離反距離と既知の離反距離との差が減少するように修正された3次元の座標系を作成する工程をさらに備える、請求項9の方法。
【請求項11】
3次元の座標系に含まれる複数個の参照ポイントの少なくともいくつか適合的に処理する工程は、観測された離反距離が既知の距離よりも長い場合に、二つの参照ポイントを隔てている距離を減少させ、観測された離反距離が既知の距離よりも短い場合に、二つの参照ポイントを隔てている距離を増大させる処理を含む、請求項10の方法。
【請求項12】
ローカライゼンーション場に物体を置く工程と、
修正された3次元座標系に対する情報であって、ローカライゼンーション場にある物体の位置情報を提供する参照用の情報を提供する工程
をさらに備える請求項10の方法。
【請求項13】
ローカライゼンーション場の不均一性から生じる誤差の補正機能を備えたローカライゼンーションシステムであり、
ローカライゼンーション場にある物体の位置を決定するのに利用可能なローカライゼンーション場を作り出す少なくとも一つのローカライゼンーション場の生成装置と、
その少なくとも一つのローカライゼンーション場の生成装置によって生成されたローカライゼンーション場の値を検出する少なくとも一つの検出装置と、
ローカライゼンーション場にある物体の測定された位置を決める基準となる複数個の参照ポイントを備えているローカライゼンーション場の3次元座標系を生成するモデリング処理装置と、
観測された距離と実際の距離の差を求める誤差処理装置と、
モデリング処理装置と誤差処理装置に接続されており、観測された距離と実際の距離の差が減少するように、3次元座標系の少なくとも2個の参照ポイントの位置を調整し、誤差処理装置で検出された誤差を調整する補正処理装置
を備えるシステム。
【請求項14】
補正処理装置は、少なくとも2個の参照ポイントの位置を適合的に調整するカーネル関数を用いる、請求項13のシステム。
【請求項15】
補正処理装置は、観測された距離が実際の距離よりも長い場合に、3次元の座標系に含まれる二つの参照ポイントを隔てている距離を減少させ、観測された距離が実際の距離よりも短い場合に、3次元の座標系に含まれる二つの参照ポイントを隔てている距離を増大させることによって、少なくとも2個の参照ポイントの位置を適合的に調整する、請求項13のシステム。
【請求項16】
既知の距離だけ隔てられている複数個の補正用の要素を備えている補正用のツールをさらに備えており、
補正用の要素間の観測された距離が補正用の要素間の実際の距離と比較される、
請求項13のシステム。
【請求項17】
モデリング処理装置は、参照ポイントが少なくとも一つの検出器で検出される検出値に関連付けられている3次元の参照表を備えている3次元座標系を生成する、請求項13のシステム。
【請求項18】
少なくとも一つのローカライゼンーション場の生成装置は、3つの軸のそれぞれに沿って離反している3つの電極対を備えており、その3つの電極対がローカライゼンーション空間における物体の位置を決定するのに利用可能な3つの電場を生成し、
少なくとも一つの検出装置は、3個の電場の各々における電圧レベルを検出することができ、
モデリング処理装置は、座標系の参照ポイントを、少なくとも一つの検出装置で3個の電場の各々で検出される値に関連付けている3次元の参照用の表を備えている3次元座標系を作り出す
請求項13のシステム。
【請求項19】
補正処理装置は、3つの電場の不均一性を調整する、請求項18のシステム。
【請求項20】
ローカライゼンーション場は磁場であり、
少なくとも一つの検出器は、磁場の異なる成分を検出する3個のコイルを備えている
請求項13のシステム。
【請求項21】
ローカライゼーションシステムで生成された3次元のローカライゼーション場にある物体の位置を決定する方法であり、
隣接する電極から既知の距離だけ離れた関係にある複数個の電極を用意する工程と、
複数個の電極をローカライゼーション場に置く工程と、
レファレンスデータを用いて、少なくとも二つの電極の観測位置を決定する工程と、
二つの電極の観測された位置から、その電極対間の観測距離を決定する工程と、
電極対の間の観測された距離と既知の距離を比較して誤差信号を決定する工程と、
電極対間の距離がより正確に計測されるようにレファレンスデータを修正する工程
を備える方法。
【請求項22】
電極対間の距離がより正確に計測されるようにレファレンスデータを修正する工程は、カーネル関数を用いてレファレンスデータを適合的に更新する処理を含んでいる、請求項21の方法。
【請求項23】
カーネル関数は、中央に最大値を持つとともにその片側でゼロに漸近する正の凸と、中央に最小値を持つとともにその片側でゼロに漸近する負の凸を備えている、請求項22の方法。
【請求項24】
レファレンスデータは、ローカライゼーション場内の位置を、ローカライゼーション場の一つまたは複数個の場の値に関連付けている参照用の表を備えている、請求項21の方法。
【請求項25】
参照用の表は、ローカライゼーション場内の位置を、ローカライゼーション場の一つまたは複数個の電場の値に関連付けている、請求項24の方法。
【請求項26】
参照用の表は、ローカライゼーション場内の位置を、ローカライゼーション場の一つまたは複数個の磁場の値に関連付けている、請求項24の方法。
【請求項27】
既知の距離は、カテーテルの仕様を示す表から決定される、請求項21の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5a】
image rotate

【図5b】
image rotate


【公表番号】特表2010−520780(P2010−520780A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552673(P2009−552673)
【出願日】平成19年12月31日(2007.12.31)
【国際出願番号】PCT/US2007/089198
【国際公開番号】WO2008/112039
【国際公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(506257180)セント・ジュード・メディカル・エイトリアル・フィブリレーション・ディヴィジョン・インコーポレーテッド (57)
【Fターム(参考)】