説明

不完全燃焼検出装置

【課題】センサーの交換を促すためのメンテナンス指令が発せられた後も、使用者又はサービス業者が、センサーを交換せずにそのまま燃焼装置を使用し続ける虞がある。
【解決手段】寿命判断手段18において劣化状況対応値が使用限界値と一致したと判定されたことを条件として、センサー10に対し、センサー10を構成する回路の一部を溶断するための破壊電流を供給する破壊電流供給手段15を備えている。センサーが正常なCO濃度検出機能を発揮し得ないと判断されると、センサーが破壊されて、センサーのCO濃度検出機能が回復不能に失われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不完全燃焼検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、燃焼装置においてバーナで発生した燃焼ガス中のCO濃度をCOセンサーで検出する不完全燃焼検出装置が開示されている。この不完全燃焼検出装置では、COセンサーの感度の劣化状態を検出し、その劣化が進んで、近い将来に正常な検出機能を発揮できなくなることが予想されると判断されたときには、使用者に向けてCOセンサーの交換を促すためのメンテナンス指令が発せられるようになっている。
【特許文献1】特開平8−14556号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このメンテナンス指令は、COセンサが耐用寿命に達して現実に正常な検出機能を失った後に発せられるのではなく、COセンサが予め設定したみなし耐用寿命に達したと判断された時点で、即ち正常な検出動作を行い得るうちに事前に発せられる。
【0004】
そのため、COセンサ以外の他の機能が正常に動作する場合には、メンテナンス指令が発せられた後も、使用者又はサービス業者が、COセンサーを交換せずにそのまま燃焼装置を使用し続けてしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、COセンサがみなし耐用寿命に達したときに、センサーのCO濃度検出機能を回復不能に失わせることができる不完全燃焼検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の不完全燃焼検出装置は、
通電により、燃焼装置のバーナにおいて発生した燃焼ガス中のCO濃度を検出するセンサーと、
予め設定した前記センサーのみなし耐用寿命と対応する値であって記憶部に記憶された使用限界値と、前記センサーの劣化状況の変化に応じて入力される劣化状況対応値とを比較し、前記劣化状況対応値が前記使用限界値と一致したか否かを判定する寿命判断手段と、
前記寿命判断手段において前記劣化状況対応値が前記使用限界値と一致したと判定されたことを条件として、前記センサーに対し、前記センサーを構成する回路を破壊するための破壊電流を供給する破壊電流供給手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
この不完全燃焼検出装置では、寿命判断手段において劣化状況対応値が使用限界値と一致したと判定されると、破壊電流供給手段から破壊電流がセンサーに供給されることにより、センサーを構成する回路が破壊されるので、センサーは、そのCO濃度検出機能を回復し得ない程に破壊される。
【0008】
また、本発明において、近い将来にセンサーが破壊されることを使用者に予告するための方法として、報知手段を設けてもよい。この場合、記憶部に、センサーのみなし耐用寿命の到来を予告するための使用限界予告値を記憶させ、この寿命判断手段において劣化状況対応値が使用限界予告値と一致したと判定されたことを条件として、報知手段が、センサーがみなし耐用寿命に近づいたことを報知するようにすることができる。
【0009】
このようにすれば、センサーがみなし耐用寿命に近づくと、寿命判断手段において劣化状況対応値が使用限界予告値と一致したと判定され、この判定結果により、報知手段においてセンサーがみなし耐用寿命に近づいたことが報知される。近い将来にセンサーが破壊されることを、使用者に予告することができるので、使用者は、その対策として、センサーを事前に交換しておくことができる。
【0010】
また、破壊電流供給手段を、センサーに対しCO濃度の検出機能を行わせるための電力を供給する電源回路と、寿命判断手段においてなされた判断に基づき電源回路から前記センサーに印加される電圧を増幅させる電圧増幅回路とを備えた構成とし、電圧増幅回路の増幅作用により、電源回路からセンサーに対して破壊電流が供給されるようにしてもよい。
この構成によれば、センサーの通常の検出動作に必要な既存の電源回路を利用しているので、破壊電流専用の電源回路が不要となる。
【0011】
また、前記回路の一部が、前記破壊電流の供給によって溶断されるようになっており、センサーには、センサーを構成する回路の一部が断線されたことを検出する断線検出手段が接続されていてもよい。
このようにすれば、センサーを構成する回路が断線された旨の検出結果により、センサーの破壊を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1〜図2によって説明する。実施形態1の不完全燃焼検出装置Aが設けられている給湯装置B(本発明の構成要件である燃焼装置)は、図2に示すように、バーナ30と、バーナ30の上方に設けられた熱交換器31と、バーナ30において発生した燃焼ガスを排出する排気路32とを備えて構成されており、排気路32には、不完全燃焼検出装置Aを構成するセンサー10が設けられている。このセンサー10は、燃焼ガス中におけるCO濃度、即ちCOガス(一酸化炭素)の濃度を検出するためのものであり、不完全燃焼検出装置Aは、センサー10からの検出信号に基づいて、給湯装置Bが不完全燃焼を起こしているか否かを検出するようになっている。
【0013】
本実施形態の不完全燃焼検出装置Aは、給湯装置Bの不完全燃焼を検出するために燃焼ガス中のCO濃度を検出する本来のCO濃度検出機能に加え、センサー10が予め設定したみなし耐用寿命に達したか否かを判断し、その判断に基づいて、センサー10を破壊してセンサー10のCO濃度検出機能を回復不能とするセンサー破壊機能を兼ね備えている。ここで、センサー10がみなし耐用寿命に達したということは、センサー10が現実に正常なCO濃度検出機能を発揮し得なくなったことを意味するのではなく、その時点では正常なCO濃度検出機能は発揮し得るものの、近い将来に正常なCO濃度検出機能を発揮しなくなる状態が到来することが予想されることを意味する。以下、CO濃度検出機能及びセンサー破壊機能の構成を図1を参照して説明する。
【0014】
センサー10は、接触燃焼式センサーと称される周知構造のものであって、白金コイル(図示せず)を触媒内に埋設した周知形態のガス検知素子11と温度補償素子12とを直列接続し、この両素子11,12と可変抵抗13とを並列接続したブリッジ回路により構成されている。センサー10のブリッジ回路には、電源回路16と検出回路26が接続されている。電源回路16は、センサー10が通常のCO濃度の検出を行うために必要な電力をブリッジ回路に供給するためのものであり、両素子11,12が接続されている直列回路及び可変抵抗13に所定の電圧(例えば、2V)を印加する。検出回路26は、両素子11,12の間の出力端子14と可変抵抗13とに接続されており、出力端子14と可変抵抗13との間に電位差が生じて電流が流れると、その電流値が、CO濃度検出信号として検出回路26へ出力されるようになっている。検出回路26においては、入力されるCO濃度検出信号に基づいてCOガスの濃度が検出され、このCO濃度検出値が規定値を超えたときには、検出回路26からバーナ30への燃料を停止させるための停止信号が出力される。
【0015】
センサー10を使用する際には、予め、可変抵抗13を調整し、電源回路16からブリッジ回路にCO濃度検出に必要な電圧の電力を供給しても、バーナ30での燃焼が行われていないときにはブリッジ回路からCO濃度検出信号が出力されないようにしておく。COガスが発生すると、COガスがガス検知素子11の触媒に接触して触媒が発熱し、白金コイルの抵抗値が上昇する。この抵抗値は触媒に付着するCOガスが多いほど(即ち、排気路32を通過する燃焼ガス中のCOガスの濃度が高いほど)上昇する。白金コイルの抵抗値が上昇すると、出力端子14と可変抵抗13との間に電位差が生じて電流が流れ、検出回路26には、COガスの濃度に応じた値のCO濃度検出信号が入力される。
【0016】
また、検出回路26は、センサー10を構成しているブリッジ回路が断線したことを検出するための断線検出手段としての機能を兼ね備えている。ブリッジ回路においてガス検知素子11と温度補償素子12のうちいずれかの素子の白金コイルが断線すると、バーナ30での燃焼が行われていない状態においても、出力端子14と可変抵抗13との間で電位差が生じて電流が流れ、その電流値が断線検出信号として検出回路26に出力されるようになっている。
【0017】
検出回路26においてセンサー10の断線が検出された場合、使用者に対して、センサー10が使用不能になった旨が告知されるようにすることができる。具体的には、給湯装置Bに設けられているリモコン部(図示せず)の液晶表示部に文字等を表示させる形態、リモコン部に設けられているスピーカから音声を出力させる形態、リモコン部に設けられているランプを点滅又は点灯させる形態、リモコン部に設けられているブザーを鳴動させる形態などが可能である。この他に、使用者を告知の対象とするのではなく、メンテナンス作業者を報知の対象とすることもできる。即ち、メンテナンス業者が給湯装置Bの異常箇所を調べるための専用の機器を用いたときに、その機器に対してセンサー10の破壊を表示するための信号を出力させることができる。
【0018】
不完全燃焼検出装置Aは、上記した検出回路26と破壊電流供給手段15と寿命判断手段18と劣化情報出力手段21と報知手段25とを備えている。
破壊電流供給手段15は、上記の電源回路16と、電圧増幅回路17とを備えて構成されている。電圧増幅回路17は、電源回路16からブリッジ回路に対して供給される電力の電圧を増幅させるための回路である。通常のCOガスの濃度検出を行う場合には、電圧増幅回路17から電源回路16に対して電圧増幅を行う信号は出力されず、電源回路16はガス検知に必要な比較的低い電圧(2V)の電力を供給する。この低電圧の電流によって、ガス検知素子11と温度補償素子12の白金コイルが溶断することはない。
【0019】
これに対し、後述する寿命判断手段18からセンサー10がみなし耐用寿命に達した旨の信号が入力された場合には、電圧増幅回路17から電源回路16に対して電圧の増幅を指令する信号が出力される。すると、電源回路16は、ブリッジ回路に対し、通常のガス検知に必要な電圧値を大幅に上回る高い電圧値(例えば、20V)の電力(破壊電流)の供給を行う。このときの電圧は、ガス検知素子11と温度補償素子12のいずれかの素子の白金コイルを溶断させるのに十分な高い値である。
【0020】
本実施形態では、破壊電流供給手段15を、センサー10に対しCO濃度検出機能を行わせるための電力を供給する電源回路16と、寿命判断手段18においてなされた判断に基づき電源回路16からセンサー10に印加される電圧を増幅させる電圧増幅回路17とを備えた構成とし、電圧増幅回路17の増幅作用により、電源回路16からセンサー10に対して高電圧の破壊電流が供給されるようにしているので、破壊電流専用の電源回路16が不要となっている。
【0021】
寿命判断手段18は、記憶部19と比較判定部20とを備えている。記憶部19には、センサー10が予め設定したみなし耐用寿命に達したと判断するときの指標となる3つの使用限界値(即ち、センサー10のみなし耐用寿命に対応した使用限界値)が、予め記憶されている。この3つの使用限界値は、給湯装置Bの通常の使用形態から取得可能なものであって、センサー10の劣化状況との対応関係が推定可能な情報に基づいて設定された値である。具体的には、給湯装置Bのバーナ30の累積着火回数、バーナ30の累積燃焼時間、及び給湯装置Bの設置時または使用開始時からの経過時間(経過年数)の3つであり、これらの値は、各種の試験を行った結果に基づいて設定することができる。
【0022】
比較判定部20は、上記3つの使用限界値と、後述する劣化情報出力手段21からセンサー10の劣化状況の変化に応じて入力される3つの劣化状況対応値とを比較し、各劣化状況対応値毎に、夫々、その劣化状況対応値が対応する使用限界値と一致するか否かを判定する。そして、寿命判断手段18は、この判定結果に基づき、センサー10がみなし耐用寿命に達したか否かを判断する。
【0023】
センサー10がみなし耐用寿命に達した旨を判断する方法の一例としては、次の3つの条件のうちいずれか1つの条件が満たされたときに判断を下すようにすることができる。第1の条件は、3つの劣化状況対応値のうちいずれか1つが使用限界値と一致した場合であり、第2の条件は、3つの劣化状況対応値のうちいずれか2つが使用限界値と一致した場合であり、第3の条件は、3つの劣化状況対応値の全てが使用限界値と一致した場合である。
【0024】
劣化情報出力手段21は、燃焼情報出力部22とタイマー23と積算カウンター24とを備えて構成されている。燃焼情報出力部22は、上記3つの使用限界値のうち累積着火回数及び累積燃焼時間と対応する値(情報)を積算カウンター24に出力するようになっている。即ち、燃焼情報出力部22は、バーナ30が1回着火される毎に、着火情報信号を積算カウンター24に出力する。着火情報信号が入力された積算カウンター24では、着火情報信号と対応する回数を積算し、その積算によって得られた累積着火回数を、劣化状況対応値として比較判定部20に出力する。
【0025】
同じく、燃焼情報出力部22は、バーナ30の燃焼が1回行われる毎に、その着火から消火に至るのに要した時間を燃焼時間情報信号として積算カウンター24に出力する。燃焼時間情報信号が入力された積算カウンター24では、燃焼時間情報信号と対応する時間を積算し、その積算によって得られた累積燃焼時間を、累積着火回数とは別の劣化状況対応値として比較判定部20に出力する。
【0026】
タイマー23は、一定の時間が経過する毎に、その時間が経過した旨の経時情報信号を積算カウンター24に出力する。経時情報信号が入力された積算カウンター24では、経時情報信号と対応する時間を積算し、その積算によって得られた経過時間を、累積着火回数及び累積燃焼時間とは別の劣化状況対応値として比較判定部20に出力する。
【0027】
また、不完全燃焼検出装置Aは、近い将来にセンサー10が破壊されることを使用者に予告するための手段として報知手段25を備えている。この報知手段25を機能させるため、上記寿命判断手段18を構成する記憶部19には、センサー10のみなし耐用寿命の到来を予告するための3つの使用限界予告値が記憶されている。この3つの使用限界予告値は、上記使用限界値と同じく、給湯装置Bのバーナ30の累積着火回数、バーナ30の累積燃焼時間、及び給湯装置Bの設置時または使用開始時からの経過時間(経過年数)の3つである。これら3つの使用限界予告値は、いずれも、対応する使用限界値よりも小さい値に設定されている。
【0028】
また、比較判定部20では、この3つの使用限界予告値と、上記した3つの劣化状況対応値とを比較し、各劣化状況対応値毎に、夫々、その劣化状況対応値が対応する使用限界予告値と一致するか否かを判定する。そして、寿命判断手段18は、この判定結果に基づき、使用者に対して近い将来にセンサー10が破壊されることを予告すべき状況に至ったか否かを判断する。つまり、寿命判断手段18は、センサー10がみなし耐用寿命に達したか否かを判断する機能に加え、近い将来にセンサー10が破壊されることを予告すべき状況に至ったか否かを判断する機能を兼ね備えている。尚、この判断の方法は、上記したセンサー10がみなし耐用寿命に達したか否かを判断する場合と同様であるので、説明は省略する。
【0029】
寿命判断手段18は、近い将来にセンサー10が破壊されることを予告すべき状況に至ったとの判断を行うと、報知手段25に対し報知動作を指令するための報知指令信号を出力する。報知手段25の具体例としては、上記のようにセンサー10が断線(破壊)されたことを告知する手段と同様に、リモコン部(図示せず)の液晶表示部に文字等を表示させる形態、リモコン部に設けられているスピーカから音声を出力させる形態、リモコン部に設けられているランプを点滅又は点灯させる形態、リモコン部に設けられているブザーを鳴動させる形態などが可能である。
【0030】
寿命判断手段18において、劣化情報出力手段21から入力される劣化状況対応値が、記憶部19に記憶されている使用限界予告値と一致したと判定されると、報知手段25が作動し、使用者に対して近い将来にセンサー10が破壊されることが予告される。これにより、使用者は、センサー10の破壊によって給湯装置Bが使用不能となる前に、センサー10が正常に作動するうちに、予め、センサー10を事前に交換しておくことができる。
【0031】
センサー10が破壊される旨の予告がなされてから実際にセンサー10が破壊されるまでの間には、回数的又は時間的な猶予が設けられており、猶予回数又は猶予時間の範囲内では給湯装置Bを正常に使用することができる。センサー10が破壊されるまでの間、バーナ30の着火が可能な回数を示す猶予回数、バーナ30の燃焼が可能な時間を示す猶予時間、及び給湯装置Bの使用・未使用に拘わらず減少していく使用可能な残り時間を示す猶予時間の変化を、使用者に知らせることができる。
【0032】
さて、センサー10の破壊が予告されたにも拘わらず、使用者がセンサー10を交換しないまま給湯装置Bを使い続けた場合には、劣化情報出力手段21から寿命判断手段18に入力される劣化状況対応値が、記憶部19に記憶されている使用限界値と一致し、これを条件として、寿命判断手段18ではセンサー10がみなし耐用寿命に達したと判断される。すると、破壊電流供給手段15では、電圧増幅回路17から電源回路16に対して電圧増幅を指令する信号が出力され、電源回路16からセンサー10のブリッジ回路に高電圧の破壊電流が供給される。これにより、ガス検知素子11と温度補償素子12のうちいずれかの素子が断線し、センサー10が、そのCO濃度検出機能を回復し得ない程に破壊される。センサー10が断線すると、検出回路26が、断線検出手段としての機能を発揮して、センサー10が断線したことを検出する。
【0033】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態1に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0034】
(1)燃焼装置は、給湯器に限らず、暖房装置(ガスストーブ、ファンヒーター)、風呂釜等であってもよい。
【0035】
(2)センサーは、接触燃焼式のものに限らず、熱線型半導体式(固定熱伝導式)のものでもよい。
【0036】
(3)シリコン化合物の微粒子などのようなセンサーに付着することによってセンサーの感度を著しく劣化させる物質が比較的多量に浮遊する環境下で使用されることが想定される場合は、センサーの近傍に、感度劣化の原因となる微粒子の浮遊量を検出する微粒子センサーを設け、この微粒子センサーで検出される値に基づいて、使用限界値と劣化状況対応値を得ることもできる。
【0037】
(4)実施形態1では、センサーがみなし耐用寿命に達したと判断する方法としては、センサーの劣化状況との対応関係が推定可能な情報(燃焼装置の累積燃焼回数、累積燃焼時間、設置時からの経過年数等)に基づいて、センサーがみなし耐用寿命に達したことを間接的に判断するようにしたが、これに限らず、実際のセンサーの劣化状態から判断することができる。具体的には、センサーから検出信号として出力される電圧値と、バーナの燃焼状態を左右する要素(例えば、バーナに供給される燃料の流量や、バーナに流入する空気の流量など)との関係をモニタリングし、両者の相関関係の変動に基づいて、センサーの現実の劣化状態を直接的に検出することができる。
【0038】
(5)実施形態1では、寿命判断手段が、センサーがみなし耐用寿命に近づいたことを予告する機能を兼ね備える形態としたが、本発明は、寿命判断手段がこのような予告手段を兼ね備えていない形態である場合も含む。この場合、寿命判断手段とは別に、センサーがみなし耐用寿命に近づいたことを予告する専用の予告手段を設けることができる。
【0039】
(6)実施形態1では、破壊電流供給手段が、センサーの通常の検出動作に必要な既存の電源回路を利用する形態としたが、本発明の破壊電流供給手段は、センサーの通常の検出動作に必要な既存の電源回路を利用せずに、破壊電流を供給するための専用の電源回路を備えた形態のものも含む。
【0040】
(7)実施形態1では、センサーを構成する回路の一部が断線されたことを直接的に検出する断線検出手段を設ける形態としたが、本発明は、断線検出手段を設けない形態も含む。この場合、寿命判断手段から破壊電流供給手段に破壊電流の供給を指令する信号、又は破壊電流供給手段からセンサーに供給される破壊電流を検出することにより、断線を間接的に検出することができる。
【0041】
(8)実施形態1では、センサーにおける通常の検出動作のための検出手段が断線検出手段を兼ねる形態としたが、本発明によれば、センサーにおける通常の検出動作のための検出手段とは別に、専用の断線検出手段を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施形態1における不完全燃焼検出装置の構成をあらわすブロック図である。
【図2】給湯装置の概略図である。
【符号の説明】
【0043】
A…不完全燃焼検出装置
B…給湯装置(燃焼装置)
10…センサー
15…破壊電流供給手段
16…電源回路
17…電圧増幅回路
18…寿命判断手段
19…記憶部
25…報知手段
26…検出回路(断線検出回路)
30…バーナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通電により、燃焼装置のバーナにおいて発生した燃焼ガス中のCO濃度を検出するセンサーと、
予め設定した前記センサーのみなし耐用寿命と対応する値であって記憶部に記憶された使用限界値と、前記センサーの劣化状況の変化に応じて入力される劣化状況対応値とを比較し、前記劣化状況対応値が前記使用限界値と一致したか否かを判定する寿命判断手段と、
前記寿命判断手段において前記劣化状況対応値が前記使用限界値と一致したと判定されたことを条件として、前記センサーに対し、前記センサーを構成する回路を破壊するための破壊電流を供給する破壊電流供給手段とを備えていることを特徴とする不完全燃焼検出装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記みなし耐用寿命の到来を予告するための使用限界予告値が記憶されており、
前記寿命判断手段において前記劣化状況対応値が前記使用限界予告値と一致したと判定されたことを条件として、前記センサーが前記みなし耐用寿命に近づいたことを報知する報知手段を備えていることを特徴とする請求項1記載の不完全燃焼検出装置。
【請求項3】
前記破壊電流供給手段は、
前記センサーに対し、CO濃度の検出機能を行わせるための電力を供給する電源回路と、
前記寿命判断手段においてなされた判断に基づき、前記電源回路から前記センサーに印加される電圧を増幅させる電圧増幅回路とを備えて構成され、
前記電圧増幅回路の増幅作用により、前記電源回路から前記センサーに対して破壊電流が供給されるようになっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の不完全燃焼検出装置。
【請求項4】
前記回路の一部が、前記破壊電流の供給によって溶断されるようになっており、
前記センサーには、前記センサーを構成する回路の一部が断線されたことを検出する断線検出手段が接続されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の不完全燃焼検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−198145(P2009−198145A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−43458(P2008−43458)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】