説明

不活化ブドウ球菌全細胞ワクチン

病原菌種、典型的にはブドウ球菌種から保護するワクチン、ならびに前記ワクチンを調製する方法および病原菌を培養する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病原菌種、典型的にはブドウ球菌種から保護するワクチンに関し、前記ワクチンを調製する方法および病原菌を培養する方法を含む。
【背景技術】
【0002】
ワクチンは、多種多様な感染性疾患から保護する。対象に注射される不活化または弱毒化病原体により多くのワクチンが作製されている。免疫された対象は、液性(たとえば、抗体)と細胞性(たとえば、細胞溶解性T細胞)応答の両方を生じることにより応答する。たとえば、一部のインフルエンザワクチンは、ホルムアルデヒドでの化学的処理によりウイルスを不活化することによって作製され、同様に、ソークポリオワクチンは、プロピオノラクトンで不活化したウイルス全体を含む。多くの病原体では、化学的または熱不活化は、防御免疫を与えるワクチン免疫原を生じることがあるが、発熱および注射部位反応などの副作用も生じる。細菌の場合、不活化生物は、副作用がそのような粗ワクチン免疫原(たとえば、細胞百日咳ワクチン)の適用を制限してしまうほどの毒性がある傾向があり、したがって、ワクチン開発は薬物開発に後れを取っている。現在の抗生物質治療は今や薬物耐性菌の出現に損害を受けているので、これは不運である。
【0003】
抗生物質耐性になった病原性生物の例は黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)である。黄色ブドウ球菌は、その通常の生息場所が正常な健常者の約20〜40%の鼻上皮層である細菌であり、通常は害を及ぼすことなくヒトの皮膚上にも普通に存在している。しかし、ある種の環境では、特に皮膚が損傷しているときには、この病原体は感染を引き起こすことがある。患者が外科手術を受けていて、および/または免疫抑制剤を服用していることがある病院ではこれは特に問題である。これらの患者は、彼らが受けた治療のせいで、黄色ブドウ球菌による感染にはるかに脆弱である。黄色ブドウ球菌の耐性株は最近発生した。メチシリン耐性株は蔓延しており、これらの耐性株の多くは他のいくつかの抗生物質にも耐性である。現在のところ、黄色ブドウ球菌に対する有効なワクチン手法はない。
【0004】
したがって、黄色ブドウ球菌は、敗血症、心内膜炎、関節炎および毒素ショックを含む、一部は致命的疾患である多種多様な疾患を引き起こすことができる主要なヒト病原体である。この能力は、生物の多用途性および病原性に関与する成分のその保有量によって決定される。感染の開始時および感染が進行するにしたがって、生物の要求および環境は変化し、これは、黄色ブドウ球菌が生み出す病原性決定因子の対応する変化によって反映される。感染開始時、病原体は宿主組織に付着することが重要なので、細胞表面関連付着タンパク質の大きなレパートリーが作られる。これには、コラーゲン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質およびフィブロネクチン結合タンパク質が挙げられる。病原体は、食作用を減少させるまたは細胞が循環している抗体に認識される能力を妨げる因子を産生することにより宿主防衛を逃れる能力も有する。多くの場合、感染病巣は膿瘍として発現し、生物の数が増加する。黄色ブドウ球菌は、クオラムセンシングペプチドの産生により自己の細胞密度をモニターする能力がある。細胞飢餓の開始により引き起こされる生理的変化に関連するそのペプチドの蓄積により、アドヘシンから浸潤および組織透過性に関与する成分への病原性決定因子産生の切り替えが誘発される。これらには、多種多様なヘモリシン、プロテアーゼおよび他の分解性酵素が挙げられる(Manual of Clinical Microbiology第4版、編者Edwin H Lennette、Albert Balows、William J Hausler Jr、H Jean Shadomy、the Americal Society for Microbiology発行、1985も参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
いくつかの判定基準により試験された一連の黄色ブドウ球菌株の代表として選択される黄色ブドウ球菌の臨床分離株を使用したクロロホルム不活化全細菌ワクチンの開発を開示する。SA75と命名されたワクチンの抗原性は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)および過免疫ウサギ血清を使用したウェスタンブロッティングにより実証されており、前記ワクチンは、オスウサギとメスウサギ両方において用量関連免疫応答をもたらした。ヒト男性志願者での前記ワクチンのブラセボ対照二重盲検第1相臨床試験からの予備データによれば、前記ワクチンは安全でもあり免疫原性もあることが実証された。前記ワクチンは他の多くの病原菌とも交差反応し、したがって、多種多様の細菌性病原体に保護的なワクチンを提供する。さらに、動物由来産物が実質的にない細胞培養条件およびワクチン作製におけるこれらの条件の使用を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、不活化ブドウ球菌細胞を含むワクチン組成物であって、
i)グラム陽性球菌であり、
ii)少なくとも酵素カタラーゼを発現し、
iii)少なくともブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導し、
iv)抗生物質ペニシリンに耐性である
ことを特徴とするブドウ球菌細胞を使用して調製されるワクチン組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ウェスタンブロッティングでのプラセボ対象の免疫応答を示す図である。1日目−ワクチン接種前;15日目−1回ワクチン接種後;29日目−2回ワクチン接種後;43日目−3回ワクチン接種後および57日目−4回ワクチン接種後。
【図2】ウェスタンブロッティングでの0.15mg用量を与えられた対象の免疫応答を示す図である。1日目−ワクチン接種前;15日目−1回ワクチン接種後;29日目−2回ワクチン接種後;43日目−3回ワクチン接種後および57日目−4回ワクチン接種後。
【図3】ウェスタンブロッティングでの0.36mgワクチンを与えられた対象の免疫応答を示す図である。1日目−ワクチン接種前;15日目−1回ワクチン接種後;29日目−2回ワクチン接種後;43日目−3回ワクチン接種後および57日目−4回ワクチン接種後。
【図4】ウェスタンブロッティングでの0.45mgワクチンを与えられた対象の免疫応答を示す図である。1日目−ワクチン接種前;15日目−1回ワクチン接種後;29日目−2回ワクチン接種後;43日目−3回ワクチン接種後および57日目−4回ワクチン接種後。
【図5】ワクチン接種された対象およびブラセボ対象のワクチン接種前と後の血清のウェスタンブロッティングでの基線からの平均的変化を示す図である。1日目−ワクチン接種前;15日目−1回ワクチン接種後;29日目−2回ワクチン接種後;43日目−3回ワクチン接種後および57日目−4回ワクチン接種後。
【図6】ワクチン接種された対象およびブラセボ対象のワクチン接種前と後の血清のコラーゲン結合タンパク質に対する基線からの平均的変化を示す図である。
【図7】いくつかの無関係な細菌に対するウサギのワクチン接種により産生される抗血清の交差反応性を示す図である。M:分子量マーカー;トラック1大腸菌;トラック2クレブシエラ・エドワーディ(Klebsiella edwardii);トラック3プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis);トラック4黄色ブドウ球菌P/DFO75;トラック5カンジダ・アルビカンス(Candida albicans);ウサギへの黄色ブドウ球菌P/DFO75ワクチンの4回接種後の免疫前および過免疫血清が使用された。
【図8】ワクチン接種後のオプソニン抗体の産生を示す図である。対象2、6、9および21はプラセボであり、1日目試料はワクチン接種前、57日目は4回ワクチン接種後である。対象19、23、24、29、30は0.45mgワクチンを与えられた対象である。対象3は0.15mgワクチンを与えられた。
【図9】表1は、対象に投与されたワクチンの局所効果の概要を示す表である。
【図10】表2は、対象に投与されたワクチンの全身効果の概要を示す表である。
【図11】表3は、ウェスタンブロッティングでのワクチン接種された対象およびブラセボ対象由来血清の免疫反応性の概要を示す表である。
【図12】表4は、ワクチン接種された対象およびブラセボ対象におけるコラーゲン結合タンパク質に対する抗体の存在を示す表である。
【図13】表5は、ワクチン接種された対象における免疫応答の寿命を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
材料および方法
ブドウ球菌細菌細胞は、選択された遺伝子の発現(たとえば、ウレアーゼおよびアルギニンジヒドロラーゼ)、いくつかの抗生物質に対する感受性、ならびに炭水化物源を代謝する能力を含む、硝酸およびメチルカルビノールの還元を含むいくつかの生物学的および生化学的特色により特徴づけられる。
本発明の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、酵素コアグラーゼおよび/またはデオキシリボヌクレアーゼも発現する。
【0009】
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導する。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記不活化ブドウ球菌細胞は、メチシリン耐性、バンコマイシン耐性およびバンコマイシン中等度耐性ブドウ球菌種と交差反応する抗体を産生する免疫応答を誘導する。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、抗生物質クロキサシリン、エリスロマイシン、テトラサイクリンおよびゲンタマイシンに感受性である。
【0010】
本発明の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス(S.hominis)、S.ヘモリチカス(S.haemolyticus)、S.ワルネリ(S.warneri)、S.カピティス(S.capitis)、S.サッカロリティカス(S.saccharolyticus)、S.アウリキュラリス(S.auricularis)、S.シムランス(S.simulans)、S.サプロフィチカス(S.saprophyticus)、S.コーニー(S.cohnii)、S.クシロサス(S.xylosus)、S.コーニー(S.cohnii)、S.ワルネリ(S.warneri)、S.ハイカス(S.hyicus)、S.カプラエ(S.caprae)、S.ガリナラム(S.gallinarum)、S.インターメディウス(S.intermedius)、S.ホミニス(S.hominis)からなる群から選択される。
【0011】
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、抗生物質耐性ブドウ球菌細胞である。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記抗生物質耐性ブドウ球菌細胞は、メチシリン耐性ブドウ球菌細胞(MRSA)である。
本発明の別の好ましい実施形態では、前記抗生物質耐性ブドウ球菌細胞は、バンコマイシン耐性ブドウ球菌細胞(VRSA)である。
【0012】
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、P/DFO75として命名された黄色ブドウ球菌細胞である(2007年6月19日にNational Collection of Type Cultures(NCTC)に寄託;受託番号13408;1980年に改正された微生物寄託の国際認識に関するブタペスト条約に基づいて寄託された)。
本発明の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、約1mg細菌タンパク質/ml以下のタンパク質濃度で提供される。
本発明の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、約0.45mg細菌タンパク質/ml以下のタンパク質濃度で提供される。
【0013】
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、少なくとも0.0001mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、少なくとも0.1mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、0.0001〜1mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、0.1〜0.45mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される。
本発明のさらに追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、0.25〜0.36mg細菌タンパク質/mlで提供される。
本発明のさらに追加の好ましい実施形態では、前記ブドウ球菌細胞は、約0.35mg細菌タンパク質/mlで提供される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、前記ワクチン組成物はアジュバントおよび/または賦形剤を含む。
アジュバントは、免疫細胞の活性を調節することによって抗原に対する特異的な免疫応答を増強する物質または手順のことである。アジュバントの例には、ほんの一例として、同時刺激分子に対するアゴニスト抗体、フロイントアジュバント、ムラミルジペプチド、リポソームが挙げられる。したがって、アジュバントは免疫調節物質である。
【0015】
本発明のワクチン組成物は、注射、たとえばエアロゾルもしくは点鼻液の吸入による鼻腔内噴霧を含む従来のどんな経路によっても、または時間をかけた穏やかな点滴により投与することができる。投与は、たとえば、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、または経皮的でもよい。本発明のワクチン組成物は、有効量を投与される。「有効量」とは、単独でまたは追加の用量とともに所望の応答をもたらすワクチン組成物の量である。特定の細菌性疾患を治療する場合には、所望の応答とは、感染体に曝露されると保護を提供することである。
【0016】
本発明の好ましい実施形態では、前記ワクチン組成物は、点鼻薬としての投与用に適合される。
本発明の好ましい実施形態では、前記ワクチン組成物は吸入器で提供され、エアロゾルとして送達される。
本発明の追加の態様に従って、本発明に従ったワクチン組成物を含む吸入器が提供される。
【0017】
ワクチンのそのような量は、当然ながら、年齢、身体状態、大きさおよび体重、治療期間、併用療法の性質(もしあれば)、特定の投与経路、および医療関係者の知識と専門技術内での類似の要因を含む個々の患者のパラメータに依存することになる。これらの要因は当業者には公知であり、わずか日常実験だけで取り組むことができる。
免疫を誘発するのに十分な個々の成分またはその組合せの最大用量、すなわち、健全な医学的判断に従った最大限の安全な用量を使用することが一般に好ましい。しかし、患者は医学的理由、生理学的理由で、または実質的に他のどんな理由でももっと低い用量または耐用量を要求してもよいことは当業者であれば理解するであろう。
【0018】
前述の方法で使用されるワクチン組成物は、好ましくは、無菌であり、患者への投与に適した重量または容量の単位で所望の応答を生み出すための有効量のブドウ球菌を含有する。対象へ投与されるワクチンの用量は、異なったパラメータに従って、特に、使用される投与方法および対象の状態に従って選ぶことができる。他の要因には、所望の治療期間が挙げられる。対象における応答が用いられる初回量では不十分な場合には、さらに高用量(または、異なったさらに局在化された送達経路による効果的なさらに高用量)を患者の耐容性が許す程度まで用いてもよい。
一般に、ワクチンの用量は、当技術分野の任意の標準手順に従って、0.1mgと0.45mgの間の、好ましくは、0.15mgと0.4mgの間の用量で製剤され投与される。投与量、注射スケジュール、注射部位、投与方法などが上述のものとは異なるワクチン組成物の投与のための他のプロトコルは当業者には公知であろう。ヒト以外の哺乳動物へのワクチン組成物の投与(たとえば、試験目的でまたは獣医学の治療目的で)は、実質的に上記と同じ条件下で実施される。本明細書で使用する対象は哺乳動物、好ましくはヒトであり、非ヒト霊長類、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、イヌ、ネコまたはげっ歯類を含む。
【0019】
本発明のワクチン組成物は、投与される際には、治療的に許容可能な量で、および治療的に許容可能な組成物で用いられる。用語「治療的に許容可能な」は、活性成分の生物活性の有効性を妨げない無毒性物質を意味する。そのような調製物は、常に、塩、緩衝剤、保存剤、適合性担体、および任意選択で他の抗菌作用物質を含有していてもよい。ワクチン組成物は、塩中の酢酸、塩中のクエン酸、塩中のホウ酸、および塩中のリン酸を含む適切な緩衝剤を含有していてもよい。
【0020】
ワクチン組成物は、任意選択で、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベンおよびチオメロサールなどの適切な保存剤を含有していてもよい。
非経口投与に適したワクチン組成物は、好ましくはレシピエントの血液に等張であるワクチンの無菌水性または非水性調製物を都合よく含む。このワクチンは、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を使用して既知の方法に従って製剤してもよい。無菌注射用製剤は、無毒性非経口的に許容可能な希釈剤または溶剤中の無菌注射液または懸濁液、たとえば、1,3−ブタンジオールの溶液としてでもよい。用いてもよい許容可能な媒体および溶剤には、水、リンゲル液、および等張食塩水がある。さらに、無菌固定油は、溶剤または懸濁化剤として都合よく用いられる。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含むどんな無菌固定油を用いてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射液の調製に使用してもよい。皮下、静脈内、筋肉内、等の投与に適した担体製剤は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Publishing Co.、Easton、PAに見ることができる。
【0021】
本発明の好ましい実施形態では、少なくとも1つの追加の抗菌作用物質を含む、本発明に従ったワクチン組成物が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、前記作用物質は第2の異なったワクチンおよび/または免疫原(たとえば、細菌性ペプチドおよび/または多糖類抗原)である。
本発明の追加の態様に従って、ブドウ球菌細菌細胞により引き起こされるのではない細菌感染に対する動物対象のワクチン接種のためのワクチン組成物の製造において使用するための、
i)グラム陽性菌であり、
ii)少なくとも酵素カタラーゼを発現し、
iii)少なくともブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導し、
iv)抗生物質ペニシリンに耐性である
ことを特徴とするブドウ球菌細胞が提供される。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、前記細菌感染は、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、結核菌(Mycobacterium tuberculsis)、B群連鎖球菌(Streptococcus group B)、肺炎球菌(Streptoccocus pneumoniae)、ピロリ菌(Helicobacter pylori)、淋菌(Neisseria gonorrhoea)、A群連鎖球菌(Streptococcus group A)、ライム病菌(Borrelia burgdorferi)、コクシジオイデス・イミチス(Coccidiodes immitis)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma sapsulatum)、クレブシエラ・エドワルディ(Klebsiella edwardii)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)タイプB、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、シゲラ・フレックスネリ(Shigella flexneri)、大腸菌(Escherichia coli)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、トラコーマクラミジア(Chalmydia trachomatis)、肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)、オウム病クラミジア(Chlamydia psittaci)、野兎病菌(Francisella tularensis)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginos)、炭疽菌(Bacillus anthracis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、ペスト菌(Yersinia pestis)、鼻疽菌(Burkholderia mallei)または類鼻疽菌(B pseudomallei)からなる群から選択される少なくとも1つの細菌細胞によって引き起こされる。
【0023】
本発明の追加の態様に従って、酵母感染に対する動物対象のワクチン接種のためのワクチン組成物の製造において使用するための、
i)グラム陽性菌であり、
ii)少なくとも酵素カタラーゼを発現し、
iii)少なくともブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導し、
iv)抗生物質ペニシリンに耐性である
ことを特徴とするブドウ球菌細胞が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、前記酵母感染は、病原性酵母種、たとえば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)または出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)によって引き起こされる。
本発明の好ましい実施形態では、前記酵母感染は、免疫抑制状態、たとえば、HIV感染症の結果としてのまたは免疫抑制薬の投与の結果としての免疫抑制状態に関連する。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、前記動物対象はヒトである。
本発明の追加の態様に従って、本発明に従った有効量のワクチン組成物を投与することを含む、細菌感染に対して動物にワクチン接種する方法が提供される。
本発明の好ましい方法では、前記動物はヒトである。
本発明の好ましい方法では、前記細菌感染は、エンテロコッカス・フェカリス、結核菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌、ピロリ菌、淋菌、A群連鎖球菌、ライム病菌、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、クレブシエラ・エドワルディ、髄膜炎菌タイプB、プロテウス・ミラビリス、シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、インフルエンザ菌、トラコーマクラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、野兎病菌、緑膿菌、炭疽菌、ボツリヌス菌、ペスト菌、鼻疽菌または類鼻疽菌からなる群から選択される細菌性病原体によって引き起こされる。
本発明の好ましい方法では、前記細菌感染は、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される細菌細胞によって引き起こされる。
【0025】
本発明の追加の好ましい方法では、前記細菌種は黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である。
本発明の追加の好ましい方法では、前記細菌感染は、抗生物質耐性細菌細胞、好ましくはブドウ球菌細菌細胞によって引き起こされる。
本発明の追加の好ましい方法では、前記抗生物質耐性ブドウ球菌細胞は、メチシリン耐性ブドウ球菌種(MRSA)である。
本発明の別の好ましい方法では、前記抗生物質耐性ブドウ球菌細胞は、バンコマイシン耐性ブドウ球菌細胞(VRSA)である。
好ましい投与経路は、皮内、皮下、筋肉内または鼻腔内(たとえば、エアロゾルとして)であるが、ワクチン接種法は特定の投与方法に限定されるものではない。
本発明の好ましい方法では、前記細菌感染は、ブドウ球菌感染に関連する疾患をもたらす。
【0026】
ブドウ球菌関連疾患には、たとえば、結核、細菌関連食中毒、血液感染、腹膜炎、心内膜炎、骨髄炎、敗血症、皮膚障害、髄膜炎、肺炎、胃潰瘍、淋病、連鎖球菌性咽頭炎、ブドウ球菌関連毒素ショック、壊死性筋腹炎、膿痂疹、ヒストプラスマ症、ライム病、胃腸炎、赤痢、細菌性赤痢、および関節炎が含まれていてもよい。
本発明の別の好ましい方法では、前記動物は家畜動物である。
本発明の好ましい方法では、グラム陽性球菌、好ましくはブドウ球菌および/または連鎖球菌細菌細胞により引き起こされる細菌性乳腺炎に対して前記家畜動物にワクチン接種する。
【0027】
本発明の好ましい方法では、前記細菌性乳腺炎は、黄色ブドウ球菌および/またはストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)により引き起こされる。
本発明の好ましい方法では、前記家畜動物はヤギ動物(たとえば、ヒツジ、ヤギ)である。
本発明の好ましい方法では、前記家畜動物はウシ動物(たとえば、乳牛)である。
【0028】
ブドウ球菌性乳腺炎は家畜を冒す重篤な状態であり、抗生物質の投与による疾患の抑制に関しておよび失われた乳量の点から多額の費用をもたらすことがある。本発明に従ったワクチンは、細菌性の、特にブドウ球菌性乳腺炎の費用効率の高い抑制を提供する。
本発明の追加の態様に従って、
i)免疫適格哺乳動物に本発明に従ったワクチン組成物をワクチン接種する段階と、
ii)ワクチン接種された免疫適格哺乳動物のリンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する段階と、
iii)段階(ii)のハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体をブドウ球菌細菌ポリペプチドに対する結合活性についてスクリーニングする段階と、
iii)ハイブリドーマ細胞をクローン化し、前記細胞を培養して増殖させ、前記モノクローナル抗体を分泌させる段階と、
iv)前記培養上清から前記モノクローナル抗体を回収する段階と
を含む、ブドウ球菌細菌ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系統を調製するための方法が提供される。
好ましくは、前記免疫適合性哺乳動物はマウスである。あるいは、前記免疫適合性哺乳動物はラットである。
【0029】
ハイブリドーマ細胞を使用したモノクローナル抗体の産生は当技術分野では公知である。モノクローナル抗体を産生するために使用される方法は、Kohler and Milstein、Nature 256、495〜497ページ(1975)により、およびDonillard and Hoffman、「Basic Facts about Hybridomas」、Compendium of Immunology V.II Schwartz編、1981により開示されており、これらの文献は参照により本明細書に組み込まれているものとする。
本発明の態様に従って、本発明に従った方法により形成されるハイブリドーマ細胞系統が提供される。
本発明のさらに追加の態様に従って、本発明に従ったハイブリドーマ細胞系統により産生されるモノクローナル抗体が提供される。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、前記モノクローナル抗体はオプソニン抗体である。
食作用はマクロファージおよび多型白血球により媒介され、微生物、損傷したまたは死んだ細胞、細胞残渣、不溶性粒子および活性化された凝固因子の摂取および消化を含む。オプソニンは、上記異物の食作用を促進する作用物質である。したがって、オプソニン抗体は、同一機能を提供する抗体である。オプソニンの例は、抗体のFc部分または補体C3である。
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記モノクローナル抗体または好ましくはオプソニン抗体は、キメラであるかまたは前記抗体の相補性決定領域を、ヒト抗体の定常(C)領域と可変(V)領域由来のフレームワーク領域の両方と組み合わせる組換え技術によりヒト化される。
【0031】
キメラ抗体は、マウスまたはラット抗体のV領域すべてがヒト抗体C領域と組み合わされている組換え抗体である。ヒト化抗体は、げっ歯類抗体V領域由来の相補性決定領域を、ヒト抗体V領域由来のフレームワーク領域と融合させる組換えハイブリッド抗体である。ヒト抗体由来のC領域も使用される。相補性決定領域(CDR)は、V領域の変異の大多数が限定されている抗体の重鎖と軽鎖の両方のN末端ドメイン内の領域である。これらの領域は抗体分子の表面でループを形成する。これらのループは、抗体と抗原の間の結合表面を提供する。非ヒト動物由来の抗体は、外来性抗体に対する免疫応答および循環からのその除去を誘発する。キメラ抗体とヒト化抗体の両方が、ヒト対象に注射すると、組換えハイブリッド抗体内のげっ歯類(すなわち、外来性)抗体の量が減少するために、抗原性を減少させたが、ヒト抗体領域は免疫応答を誘発しない。これにより、免疫応答は弱まり、抗体のクリアランスは減少する。
【0032】
本発明の追加の好ましい実施形態では、前記モノクローナル抗体の活性結合断片が提供される。
抗体の種々の断片、すなわち、Fab、Fab2、F(ab’)2、Fv、Fc、Fd、scFvs、等は当技術分野では公知である。Fab断片は、互いに共有結合して抗原に特異的に結合することができる、免疫グロブリン重鎖可変領域と免疫グロブリン軽鎖可変領域の免疫学的活性部分からなる多量体タンパク質である。Fab断片は無傷の免疫グロブリン分子の(たとえば、パパインでの)タンパク質切断を介して産生される。Fab2断片は2つの結合したFab断片を含む。これらの2つの断片が免疫グロブリンヒンジ領域によって結合されると、F(ab’)2断片が生じる。Fv断片は、互いに共有結合して抗原に特異的に結合することができる、免疫グロブリン重鎖可変領域と免疫グロブリン軽鎖可変領域の免疫学的活性部分からなる多量体タンパク質である。断片は、軽鎖可変領域を1つだけ含有する単鎖ポリペプチド、または軽鎖可変領域の3つのCDRを含有し、関連する重鎖可変領域がないその断片、または重鎖可変領域の3つのCDRを含有し、関連する軽鎖部分がないその断片、および抗体断片から形成される多重特異性抗体でも可能であり、これはたとえば米国特許第6248516号に記載されている。Fv断片または単一領域(ドメイン)断片は、典型的には、関連する同定された領域の宿主細胞系統における発現により産生される。これらのおよび他の免疫グロブリンまたは抗体断片は本発明の範囲内にあり、Paul、「Fundamental Immunology」またはJanewayら、「Immunobiology」(上で引用)などの標準的免疫学教科書に記載されている。分子生物学では今や、これらの断片の直接合成(細胞における発現を介してまたは化学的に)、ならびにその組合せ体の合成が可能である。抗体の断片は、上記の二重特異性機能を有することもできる。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に従ったワクチン組成物のヒト対象へのワクチン接種により得られるヒト血清が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、本発明に従ったワクチン組成物のヒト対象へのワクチン接種により得られるヒト抗体が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、前記ヒト抗体は、IgA、IgM、IgD、IgEおよびIgGからなる群から選択されるアイソタイプである。
本発明の追加の態様に従って、細菌感染症の治療のための薬物の製造における、本発明に従ったワクチン組成物のワクチン接種により得られるヒト血清の使用が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、前記細菌感染症はブドウ球菌感染症である。
本発明の追加の態様に従って、細菌感染症の治療のための薬物の製造における、本発明に従ったワクチン組成物のワクチン接種により得られるヒト抗体の使用が提供される。
本発明の好ましい実施形態では、前記細菌感染症はブドウ球菌感染症である。
【0034】
本発明の追加の態様に従って、
i)少なくとも1つの細菌性病原体と、植物由来産物を含む栄養ブロスとを含む細胞培養調製物を形成する段階と、
ii)前記細胞培養調製物を培養する段階と、
iii)前記細胞培養調製物を前記細菌性病原体を不活化する作用物質と接触させる段階と
を含む細菌性病原体に対するワクチンを調製する方法が提供される。
本発明の好ましい方法では、前記細菌性病原体は、黄色ブドウ球菌、表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカリス、結核菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌、ピロリ菌、淋菌、A群連鎖球菌、ライム病菌、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、クレブシエラ・エドワルディ、髄膜炎菌タイプB、プロテウス・ミラビリス、シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、インフルエンザ菌、トラコーマクラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、野兎病菌、緑膿菌、炭疽菌、ボツリヌス菌、ペスト菌、鼻疽菌または類鼻疽菌からなる群から選択される。
【0035】
本発明の好ましい方法では、前記細菌性病原体は、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される。
本発明の好ましい方法では、前記細菌性病原体は黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である。
本発明の別の好ましい方法では、前記細菌性病原体は、肺炎球菌、緑膿菌または大腸菌からなる群から選択される。
本発明の追加の好ましい方法では、前記植物由来産物は植物性ペプトンである。好ましくは、前記植物性ペプトンにはエンドウ粉(pea flour)および/またはトリプトンソーヤ(tryptone soya)が挙げられる。
本発明の追加の好ましい方法では、前記細菌性病原体はクロロホルムで不活化される。
【0036】
本発明のさらに追加の好ましい方法では、前記細菌性病原体を前記細胞培養調製物から単離し、凍結乾燥する。
本発明の追加の態様に従って、
i)ブドウ球菌細菌細胞を含む調製物を形成する段階と、
ii)調製物をブドウ球菌細菌細胞を不活化する作用物質と接触させる段階と、
iii)不活化ブドウ球菌細菌細胞を単離する段階と、
iv)前記調製物を剪断して不活化細菌を脱凝集させる段階と、任意選択で、
v)前記不活化ブドウ球菌細菌細胞を凍結乾燥する段階と
を含む、ワクチンの作製のための方法が提供される。
【0037】
本発明の好ましい方法では、前記ブドウ球菌細胞は、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される。
本発明の好ましい方法では、前記ブドウ球菌細菌細胞は、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である。
本発明の追加の好ましい方法では、前記作用物質はクロロホルムである。
【0038】
本発明の好ましい方法では、剪断力はダウンスホモジナイザーにより提供される。
本発明の追加の態様に従って、受託番号13408で寄託された黄色ブドウ球菌細胞が提供される。
本発明のさらに追加の態様に従って、受託番号13408で寄託された黄色ブドウ球菌細胞を含む細菌細胞培養物が提供される。
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体を通じて、用語「含む(comprise)」および「含有する(contain)」ならびに前記用語の変形、たとえば、「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」は、「含むが、限定されるものではない」を意味するが、他の部分、添加物、成分、整数または段階を排除することを意図してはいない(かつ排除しない)。
本明細書の説明および特許請求の範囲の全体を通じて、単数形は、文脈が他の方法で要求しない限り、複数形を包含している。特に、不定冠詞が使用されているところでは、本明細書は、文脈が他の方法で要求しない限り、単数形だけではなく複数形も企図していると理解されるべきである。
【0039】
本発明の特定の態様、実施形態または例とともに記載される特色、整数、特徴、化合物、化学的部分または基は、それと不適合ではなければ、本明細書に記載する他のどんな態様、実施形態または例にも適用可能であると理解されるべきである。
これから、実施例のみにより、以下の図を参照して本発明の実施形態を説明する。
細胞培養およびワクチン調製
細菌はトリプトンソーヤブロス中で培養し、10%グリセロールと混合し、アリコートにし、マスター種子バンクおよび作業用種子バンクとして−70℃で液体の形で、凍結乾燥に続いて+4℃で保存する。細菌は、1バイアルの作業用種子バンクから細菌を蒔き、37℃で16時間トリプトンソーヤ寒天板上で増殖させることにより調製した。次に、細菌増殖物を小容量のトリプトンソーヤブロス中に回収し、今度はそれを使用してより大きな容量のトリプトンソーヤブロスを播種する。液体培養物を37℃で16時間攪拌しながらインキュベートする。次に、細菌を遠心分離により濃縮する。濃縮物はトリプトンソーヤブロスで調整し、培養物は5対3の培養物対クロロホルムの割合でクロロホルムで振盪し、20℃で15〜20分間静置したままにして、相分離させる。細菌懸濁液を上層収集し、3〜4000rpmで15分間遠心分離し、そのペレットは無菌蒸留水またはリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁する。これは再び遠心分離し、そのペレットは上記の通りに再懸濁する。
【0040】
あるいは、ブドウ球菌株を植物性ペプトン寒天中で単離し、植物性ペプトン寒天中で3回継代した。細菌の液体培養物は、植物性ペプトンブロス中37℃で16時間増殖し、クロロホルムで振盪し、20℃で15〜20分間静置したままにして、相分離させた。細菌懸濁液は上層収集し、遠心分離し、そのペレットは水またはリン酸緩衝生理食塩水に再懸濁し、遠心分離し、上記の通りに再懸濁される。
任意選択で、クロロホルムで不活化し、洗浄し、関連培養液に再懸濁したブドウ球菌調製物は、直ちに凍結され貯蔵のために凍結乾燥する。
【実施例】
【0041】
ワクチンおよびプラセボリン酸緩衝生理食塩水(PBS)は、the Norwegian Institute of Public Health in Oslo、Norwayによる優良製造規範(GMP)下で調製され、二重盲検プラセボ対照第1相臨床試験は、Simbec Research Limited、Merthyr Tydfil、UKにより実施された。志願者からの血清の試験は、GLP下で、VRI研究所の所内で、Jan−Ingmar Flock教授、Karolinska Institute、Stockholm、Swedenにより実施された。
18歳と55歳の間の48人の男性志願者を、0.15mg、0.36mg、または0.45mgのタンパク質を含有するワクチンSA75の皮下投与量を受ける3群に分けられた。群ごとに、12人の志願者はワクチンを受け、4人は対応するプラセボリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を受けた。合計で4回の接種が2週間の間隔で投与された。志願者は投与後8時間臨床試験ユニットに残り、投与の日におよび投与後2日目、3日目および8日目に局所(紅斑、硬結、腫脹、出血、温感、熱傷、そう痒症および疼痛)ならびに全身反応(倦怠感、疲労、インフルエンザ様症状、温感/冷感、嘔吐および頭痛)についてモニターされた。血圧、ECG、体温、検尿、血液学的および生化学的試験も実施された。免疫応答を評価するための血液試料は、最初のワクチン接種前および4回のそれに続くワクチン接種それぞれの2週間後に採取された。
【0042】
ワクチン接種前と後の志願者からの血清は、クロロホルム不活化相同生物全体に対してELISAおよびウェスタンブロッティングにより試験され、生物全体に対する免疫応答を評価した。血清は、コラーゲン結合タンパク質、フィブリノーゲン結合タンパク質、フィブロネクチン結合タンパク質および細胞外接着タンパク質に対する抗体の存在についてもELISAにより試験した(Jan−Ingmar Flock教授)。
全細胞ワクチンに関して予想通りに、一過性局所反応がワクチン接種された対象の注射部位に観察された。明白な用量関連応答があり、ならびに0.15mgおよび0.36mg用量が中程度の局所反応まで穏やかに許容可能であることが実証された。0.45mgの用量は、さらに明白な局所反応に基づいて最大耐量であると見なされた。0.45mg用量の群中の1人の対象は、研究からの撤退にいたる重度の局所反応があった(表1)。
0.15mgおよび0.36mgタンパク質の用量ではワクチンに起因しうる顕著な全身性有害作用はなかった。さらに高い0.45mgの用量では、体温が穏やかに上昇する発熱の発生率が増加したことが4人の対象で報告された。0.45mg用量を受けた3人の対象は全身倦怠を経験し、2人は軽症と1人は重症と分類された。プラセボ、0.15および0.36mgの群では発熱も倦怠も観察されなかった。0.45mg用量の群では研究過程のいくつかの機会に四肢に軽度から中程度の疼痛があったことが報告された。重度の疼痛が報告されたのは1回の機会のみであった。常に軽度から中程度の頭痛が、プラセボ群を含むすべての群で報告され、用量レベルの増加とともに増加した(表2)。
【0043】
ワクチン接種に続く数時間から5〜6日間までの期間にわたりすべての有害事象が報告され、すべてが持続は数時間から2〜3日間までの一過性であった。
ウェスタンブロッティングでは、ワクチン接種を受けた対象の75%が、プラセボ対象の誰と比べても強い反応性を示し(p<0.0001)、その場合、強い反応性は、ワクチン接種前の血清と比べて接種後の強度または数の点でポリペプチド反応性における増加の5以上のインシデントとして解釈された。弱い反応性はワクチン接種前の血清と比べて接種後の強度または数の点でポリペプチド反応性の4未満の増加として解釈された;表3および図1、2、3、4。
応答は用量関連であり、血清の免疫反応性とワクチン接種の回数の間には明白な関係性が存在した;図5。
コラーゲン結合タンパク質に対する抗体レベルは、ワクチン接種を受けた志願者において顕著に増加し(p0.005)、レスポンダーの数がワクチン接種の回数とともに増加した;表4および図6。試験されたそれ以外の結合タンパク質に対する抗体には顕著な増加はなかった。
【0044】
SA75と命名されたクロロホルム不活化黄色ブドウ球菌ワクチンは、ウサギでの正式な毒性試験で試験されると安全であることが明らかにされ、ウサギにおけるELISAおよびウェスタンブロッティングを使用して実証された免疫応答を生じた。次に、これや他の追加のデータにより、ヒト志願者における二重盲検プラセボ対照試験でのワクチンの使用が可能になった。SA75ワクチンは安全であることが明らかにされ、男性志願者において免疫応答を生じた。
臨床試験中の観察されたバイタルサイン、ECGパラメータまたは実験安全性試験には臨床的に顕著な変化はなかった。一般に、与えられたワクチン接種の回数または用量に関して全身性応答に差はなかった。
【0045】
ワクチン用量レベルに対する局所反応の明白な関係性が報告され、どの用量レベルでも異なったワクチン接種間に局所反応における識別可能な差はなかった。ワクチン接種用量と紅斑性反応の頻度および程度の間にも関係性が存在したが、これは与えられたワクチン接種の回数とは関係はなかった。0.15mgおよび0.36mg用量は安全性を根拠に許容可能であると見なされた。
ELISAおよびウェスタンブロッティングにより測定された免疫応答は、プラセボを受けた対象と比べてワクチン接種を受けた対象の免疫応答の頻度間に明白な差があることを実証した。
【0046】
交差反応性
図7は、免疫ブロットを図示しており、ブドウ球菌ワクチンでのワクチン接種に先立つ(標識ウサギ19PI)および4回ワクチン接種に続く(4回ワクチン接種後の標識ウサギ19)ウサギの活性を示している。
【0047】
オプソニン抗体
図8は、ワクチン接種を受けた6人の患者とプラセボワクチン接種を受けた4人の患者におけるオプソニン抗体応答を示している。ワクチン接種を受けた患者ではオプソニン抗体レベルが増加しているが、かなりの程度に増加したのは1人だけすなわち患者2(プラセボ)である。当然のことながら、この患者が、この結果を説明すると考えられる介入性ブドウ球菌感染に罹っていた可能性が完全にある。
予測通りに、右手方向に最後から2番目のカラムに、ワクチンを調製するのに使用した相同ブドウ球菌株に対するきわめて顕著な免疫応答が存在した。創傷感染症を含む多種多様なヒト感染症の原因となる病原体である大腸菌、クレブシエラおよびプロテウスに対するワクチン接種された血清中に新たな免疫反応性バンドが存在し、したがって、ワクチンは、ブドウ球菌創傷感染症だけではなく、これらの3つ、およびすべてではないにしてもおそらく他の病原性微生物により引き起こされる他の感染症に対しても保護を提供するという妥当な見通しが存在する。カンジダ・アルビカンスが真核生物であり、試験されたブドウ球菌およびその他の生物が原核生物であるために、ワクチン接種された血清がカンジダ・アルビカンス(特に女性の対象における酵母菌感染症の高頻度原因)に対する抗体を生じていたことも興味深い。最後の知見は、本発明者らの調製方法に基づく汎用ワクチンの可能性を裏付けている。寿命表5は、免疫応答のもっとも有用な指標だと考えていた免疫ブロッティングにより判断が下された免疫応答が、ワクチン接種に続く3〜6カ月間ワクチン用量と無関係に持続していることを示している。前記表は、3カ月目と6カ月目に免疫応答にわずかな低下があったという重要な一面を示してはおらず、明らかにその時期までにワクチン接種前の状態に戻っていた対象はいなかった。試験のプロトコルでは、残念なことに、おそらく我々の研究の策定における誤りである6カ月を超える抗体レベルの評価ができなかった。
【0048】
プラセボワクチン接種を受け、当然のことながらすべての対象に定着しているブドウ球菌抗原に対する基線レベルの抗体反応性を有する対象は、3〜6カ月で変化はなく、ヒト対象全体での可変性の興味深い欠如を示しており、ワクチン接種を受けた対象における免疫反応性の明快な増加を裏付けている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活化ブドウ球菌細胞を含むワクチン組成物であって、
i)グラム陽性球菌であり、
ii)少なくとも酵素カタラーゼを発現し、
iii)少なくともブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導し、
iv)抗生物質ペニシリンに耐性である
ことを特徴とするブドウ球菌細胞を使用して調製されるワクチン組成物。
【請求項2】
前記ブドウ球菌細胞が、酵素コアグラーゼおよび/またはデオキシリボヌクレアーゼも発現する、請求項1に記載のワクチン組成物。
【請求項3】
前記ブドウ球菌細胞が、コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導する、請求項1または2に記載のワクチン組成物。
【請求項4】
前記不活化ブドウ球菌細胞が、メチシリン耐性、バンコマイシン耐性およびバンコマイシン中等度耐性ブドウ球菌種と交差反応する抗体を産生する免疫応答を誘導する、請求項1から3のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項5】
前記ブドウ球菌細胞が、抗生物質クロキサシリン、エリスロマイシン、テトラサイクリンまたはゲンタマイシンに感受性である、請求項1から4のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項6】
前記ブドウ球菌細胞が、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される、請求項1から5のいずれかに記載のワクチン。
【請求項7】
前記ブドウ球菌細胞が、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である、請求項6に記載のワクチン組成物。
【請求項8】
前記黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌が抗生物質耐性である、請求項6または7に記載のワクチン組成物。
【請求項9】
前記抗生物質耐性が、メチシリン耐性ブドウ球菌細胞(MRSA)である、請求項8に記載のワクチン組成物。
【請求項10】
前記抗生物質耐性ブドウ球菌種が、バンコマイシン耐性ブドウ球菌細胞(VRSA)である、請求項8に記載のワクチン組成物。
【請求項11】
前記ブドウ球菌細胞が、黄色ブドウ球菌(受託番号13408)である、請求項1から7のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項12】
前記ブドウ球菌細胞が、約1.0mgまたは0.45mg細菌タンパク質/ml以下のタンパク質濃度で提供される、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項13】
前記ブドウ球菌細胞が、少なくとも0.0001mgまたは0.1mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項14】
前記ブドウ球菌細胞が、0.0001〜1mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項15】
前記ブドウ球菌細胞が、0.1〜0.45mg細菌タンパク質/mlのタンパク質濃度で提供される、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項16】
前記ブドウ球菌細胞が、0.25〜0.36mg細菌タンパク質/mlで提供される、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項17】
前記ブドウ球菌細胞が、約0.35mg細菌タンパク質/mlで提供される、請求項1から11のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項18】
前記ワクチンがアジュバントおよび/または賦形剤を含む、請求項1から17のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項19】
併用療法を提供する少なくとも1つの追加の抗菌作用物質を含む、請求項1から18のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項20】
前記作用物質が第2の異なるワクチンおよび/または免疫原性作用物質である、請求項19に記載のワクチン組成物。
【請求項21】
点鼻薬としての投与用に適合される、請求項1から20のいずれかに記載のワクチン組成物。
【請求項22】
吸入器で提供され、エアロゾルとして送達される、請求項21に記載のワクチン組成物。
【請求項23】
請求項1から22のいずれかに記載のワクチン組成物を含む吸入器。
【請求項24】
ワクチンの調製において使用するための、以下の特徴的な特色を含む、すなわち
i)グラム陽性菌であり、
ii)少なくとも酵素カタラーゼを発現し、
iii)少なくともブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導し、
iv)抗生物質ペニシリンに耐性である
ブドウ球菌細胞。
【請求項25】
ブドウ球菌の細菌種によって引き起こされるものではない細菌感染に対する動物対象のワクチン接種のためのワクチン組成物の製造において使用するための、以下の特徴的な特色を含む、すなわち
i)グラム陽性菌であり、
ii)少なくとも酵素カタラーゼを発現し、
iii)少なくともブドウ球菌コラーゲン結合タンパク質に結合する抗体を産生する免疫応答を誘導し、
iv)抗生物質ペニシリンに耐性である
ブドウ球菌細胞。
【請求項26】
前記細菌感染が、エンテロコッカス・フェカリス、結核菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌、ピロリ菌、淋菌、A群連鎖球菌、ライム病菌、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、クレブシエラ・エドワルディ、髄膜炎菌タイプB、プロテウス・ミラビリス、シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、インフルエンザ菌、トラコーマクラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、野兎病菌、緑膿菌、炭疽菌、ボツリヌス菌、ペスト菌、鼻疽菌または類鼻疽菌からなる群から選択される少なくとも1つの細菌種によって引き起こされる、請求項25に記載のワクチン組成物。
【請求項27】
前記動物対象がヒトである、請求項25または26に記載のワクチン組成物。
【請求項28】
請求項1から22のいずれかに記載のワクチン組成物の有効量を投与することを含む、細菌感染に対して動物にワクチン接種する方法。
【請求項29】
前記動物がヒトである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記細菌感染が、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌、エンテロコッカス・フェカリス、結核菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌、ピロリ菌、淋菌、A群連鎖球菌、ライム病菌、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、クレブシエラ・エドワルディ、髄膜炎菌タイプB、シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、インフルエンザ菌、トラコーマクラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、野兎病菌、緑膿菌、炭疽菌、ボツリヌス菌、ペスト菌、鼻疽菌または類鼻疽菌からなる群から選択される細菌性病原体によって引き起こされる、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記細菌性病原体が、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記細菌種が黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記細菌感染が、抗生物質耐性細菌種により引き起こされる、請求項28から32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記抗生物質耐性細菌種がブドウ球菌の細菌種である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗生物質耐性ブドウ球菌種が、メチシリン耐性ブドウ球菌種(MRSA)である、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記抗生物質耐性ブドウ球菌種が、バンコマイシン耐性ブドウ球菌種(VRSA)である、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記細菌感染が、ブドウ球菌感染に関連する疾患をもたらす、請求項28から36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記ブドウ球菌関連疾患が、結核、細菌関連食中毒、血液感染、腹膜炎、心内膜炎、骨髄炎、敗血症、皮膚障害、髄膜炎、肺炎、胃潰瘍、淋病、連鎖球菌性咽頭炎、ブドウ球菌関連毒素ショック、壊死性筋腹炎、膿痂疹、ヒストプラスマ症、ライム病、胃腸炎、赤痢、細菌性赤痢、および関節炎からなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記動物が家畜動物である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
細菌性乳腺炎に対して前記家畜動物にワクチン接種する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
グラム陽性球菌により引き起こされる細菌性乳腺炎に対して前記家畜動物にワクチン接種する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記グラム陽性菌が、ブドウ球菌および/または連鎖球菌である、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記細菌が、黄色ブドウ球菌および/またはストレプトコッカス・アガラクティエである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記家畜動物が、ヤギまたはウシ動物である、請求項35から43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
細菌性乳腺炎の予防および/または治療のためのワクチンの製造における、請求項1から20のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項46】
細菌性乳腺炎がグラム陽性菌により引き起こされる、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
前記グラム陽性菌がブドウ球菌および/または連鎖球菌である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
前記細菌が、黄色ブドウ球菌および/またはストレプトコッカス・アガラクティエである、請求項47に記載の使用。
【請求項49】
i)免疫適格哺乳動物に請求項1から20のいずれかに記載のワクチン組成物をワクチン接種する段階と、
ii)ワクチン接種された免疫適格哺乳動物のリンパ球を骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマ細胞を形成する段階と、
iii)段階(ii)のハイブリドーマ細胞により産生されるモノクローナル抗体をブドウ球菌細菌ポリペプチドに対する結合活性についてスクリーニングする段階と、
v)ハイブリドーマ細胞をクローン化し、細胞を培養して増殖させ、前記モノクローナル抗体を分泌させる段階と、
vi)培養上清からモノクローナル抗体を回収する段階と
を含む、ブドウ球菌細菌ポリペプチドに結合するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞系統を調製するための方法。
【請求項50】
前記免疫適格哺乳動物がマウスである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記免疫適格哺乳動物がラットである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
請求項49から50のいずれかに記載の方法により形成されるハイブリドーマ細胞系統。
【請求項53】
請求項52に記載のハイブリドーマ細胞系統により産生されるモノクローナル抗体。
【請求項54】
オプソニン抗体である、請求項53に記載のモノクローナル抗体。
【請求項55】
キメラまたはヒト化抗体である、請求項53または54に記載のモノクローナル抗体。
【請求項56】
請求項53または54に記載のモノクローナル抗体の活性結合断片。
【請求項57】
請求項1から20のいずれかに記載のワクチン組成物のヒト対象へのワクチン接種により得られる血清。
【請求項59】
請求項1から20のいずれかに記載のワクチン組成物のヒト対象へのワクチン接種により得られるヒト抗体。
【請求項60】
IgA、IgM、IgD、IgEおよびIgGからなる群から選択されるアイソタイプである、請求項59に記載のヒト抗体。
【請求項61】
細菌感染症の治療のための薬物の製造における、請求項1から20のいずれかに記載のワクチン組成物のヒト対象へのワクチン接種により得られるヒト血清の使用。
【請求項62】
前記細菌感染症がブドウ球菌感染症である、請求項61に記載の使用。
【請求項63】
細菌感染症の治療のための薬物の製造における、請求項1から20のいずれかに記載のワクチン組成物のヒト対象へのワクチン接種により得られるヒト抗体の使用。
【請求項64】
前記細菌感染症がブドウ球菌感染症である、請求項63に記載の使用。
【請求項65】
i)少なくとも1つの細菌性病原体と、植物由来産物を含む栄養ブロスとを含む細胞培養調製物を形成する段階と、
ii)前記細胞培養調製物を培養する段階と、
iii)前記細胞培養調製物を前記細菌性病原体を不活化する作用物質と接触させる段階と
を含む、細菌性病原体に対するワクチンを調製する方法。
【請求項66】
前記細菌性病原体が、エンテロコッカス・フェカリス、結核菌、B群連鎖球菌、肺炎球菌、ピロリ菌、淋菌、A群連鎖球菌、ライム病菌、コクシジオイデス・イミチス、ヒストプラズマ・カプスラーツム、クレブシエラ・エドワルディ、髄膜炎菌タイプB、プロテウス・ミラビリス、シゲラ・フレックスネリ、大腸菌、インフルエンザ菌、トラコーマクラミジア、肺炎クラミジア、オウム病クラミジア、野兎病菌、緑膿菌、炭疽菌、ボツリヌス菌、ペスト菌、鼻疽菌または類鼻疽菌からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記細菌性病原体が、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記細菌性病原体が、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記細菌性病原体が、肺炎球菌、緑膿菌または大腸菌からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記植物由来産物が植物性ペプトンである、請求項65から69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記植物性ペプトンが、エンドウ粉および/またはトリプトンソーヤを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記細菌性病原体がクロロホルムで不活化される、請求項65から71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
前記細菌性病原体を前記細胞培養調製物から単離し、凍結乾燥する、請求項65から72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
i)ブドウ球菌細菌細胞を含む調製物を形成する段階と、
ii)調製物をブドウ球菌細菌細胞を不活化する作用物質と接触させる段階と、
iii)不活化ブドウ球菌細菌細胞を単離する段階と、
iv)前記調製物を剪断して不活化細菌を脱凝集させる段階と、任意選択で、
v)前記不活化ブドウ球菌細菌細胞を凍結乾燥する段階と
を含む、ワクチンの作製のための方法。
【請求項75】
前記ブドウ球菌細胞が、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌、S.ホミニス、S.ヘモリチカス、S.ワルネリ、S.カピティス、S.サッカロリティカス、S.アウリキュラリス、S.シムランス、S.サプロフィチカス、S.コーニー、S.クシロサス、S.コーニー、S.ワルネリ、S.ハイカス、S.カプラエ、S.ガリナラム、S.インターメディウス、S.ホミニスからなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記ブドウ球菌細菌細胞が、黄色ブドウ球菌または表皮ブドウ球菌である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記作用物質がクロロホルムである、請求項74から76のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
剪断力がダウンスホモジナイザーにより提供される、請求項74から77のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
受託13408で寄託された黄色ブドウ球菌細胞。
【請求項80】
受託番号13408で寄託された黄色ブドウ球菌細胞を含む細菌細胞培養物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2010−534229(P2010−534229A)
【公表日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517472(P2010−517472)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002792
【国際公開番号】WO2009/013443
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510017387)ワクチン リサーチ インターナショナル ピーエルシー (1)
【Fターム(参考)】