説明

不燃性組成物及びその使用

本発明は熱硬化性ポリマーの製造において発泡剤として使用可能な組成物に関する。より詳細には、本発明は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)と、ハイドロクロロカーボン化合物を含有する組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱硬化性ポリマーの製造において発泡剤として使用可能な組成物に関する。より詳細には、本発明は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)と、トランス−1,2−ジクロロエチレンと少なくとも1種の不燃性ハイドロフルオロカーボンを含有する組成物及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フォーム(例えばポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォーム)の製造において1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンを発泡剤として使用することは公知である。
【0003】
米国特許第6451867号は硬質ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの断熱性を改良するために1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンと1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)の二成分混合物を発泡剤として使用することを教示している。
【0004】
更に、WO02/099006は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタンと、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)と、トランス−1,2−ジクロロエチレン約23重量%を含有する三成分混合物を開示している。この混合物はWO02/099006の教示によると、365mfc/245fa比が一定であるとき、沸点が比較的一定であり、即ち混合物の組成に含まれるトランス−1,2−ジクロロエチレンの量により殆ど変化しないという利点がある。
【0005】
ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造方法は一般に公知であり、一般に有機ポリイソシアネート(ジイソシアネートを含む)を発泡剤の存在下でポリオール又はポリオール混合物と反応させている。
【0006】
ポリイソシアネートとポリオール又はポリオール混合物の反応はアミン及び/又は他の触媒と界面活性剤を使用して活性化することができる。
【0007】
多くの用例では、ポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの成分はプレミックスである。より一般には、これらのフォームの処方は2成分としてプレミックスされる。第1の成分(「成分A」とも言う)はイソシアネート又はポリイソシアネート組成物を含む。第2の成分(「成分B」とも言う)はポリオール又はポリオール混合物と、界面活性剤と、触媒と、発泡剤を含む。
【0008】
成分Bはプレミックスの組成に含まれる発泡剤が不燃性の場合でも可燃性の問題がある。
【0009】
更に、保存中に成分Bを入れた容器内の圧力上昇の問題を生じることが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題の全部又は一部を解決することが可能な組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の主題は1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)5〜74重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン24〜93重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)2〜46重量%を含有する組成物に関する。
【0012】
本発明の組成物は365mfc8〜61重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン24〜46重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)15〜46重量%を含有することが好ましい。
【0013】
本発明の組成物は365mfc14〜60重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン25〜40重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)15〜46重量%を含有すると有利である。
【0014】
365mfc5〜25重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン65〜90重量%と、245fa5〜20重量%を含有する組成物が有利である。
【0015】
本発明の第1の主題の組成物は更に1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(227ea)を添加することができる。
【0016】
本発明の組成物は標準測定条件(ASTM規格D3828)下で引火点を示さない。本発明の組成物は例えばフェノール/ホルムアルデヒド縮合物又はポリウレタン等の熱硬化性ポリマーフォームの製造において発泡剤として使用することができる。本発明の組成物はポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造に特に適している。
【0017】
本発明の第2の主題は第1の主題の組成物から構成されることを特徴とする発泡剤である。
【0018】
本発明の第3の主題はポリオール又はポリオール混合物と第2の主題の発泡剤を含有する組成物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
ポリオールとしては、特にグリセロール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール類(例えばアルキレンオキシド又はアルキレンオキシド混合物とグリセロール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールの縮合により得られるもの)、又はポリエステルポリオール類(例えばポリカルボン酸、特に蓚酸、マロン酸、琥珀酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸とグリセロール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールから得られるもの)が挙げられる。
【0020】
アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを芳香族アミン、特に2,4−及び2,6−トルエンジアミン混合物に付加することにより得られるポリエーテルポリオール類も適切である。
【0021】
本発明の第3の主題の組成物はポリオール又はポリオール混合物100重量部当たり1〜60重量部の第2の主題の発泡剤を含有することが好ましい。ポリオール又はポリオール混合物100重量部当たり5〜35重量部の発泡剤を含有すると有利である。
【0022】
本発明の特に好ましい組成物は365mfc8〜61重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン24〜46重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)15〜46重量%から構成される発泡剤をポリオール又はポリオール混合物100重量部当たり5〜35重量部含有する。特に好ましい組成物は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(227ea)を添加することができる。
【0023】
本発明の有利な好ましい組成物は365mfc14〜60重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン25〜46重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)15〜46重量%から構成される発泡剤をポリオール又はポリオール混合物100重量部当たり5〜35重量部含有する。有利な好ましい組成物は1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(227ea)を添加することができる。
【0024】
365mfc5〜25重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン65〜90重量%と、245fa5〜20重量%から構成される発泡剤5〜35重量部を含有する組成物も有利である。この組成物は227eaを添加することができる。
【0025】
本発明の第3の主題の組成物は更に他の発泡剤、界面活性剤、及び1種以上の触媒を添加することができる。
【0026】
好ましくは、本発明の第3の主題の組成物は使用温度範囲(−30〜61℃)内で引火点を示さないという利点がある。
【0027】
本発明の第4の主題は第2の主題の発泡剤の存在下で有機ポリイソシアネート(ジイソシアネートを含む)をポリオール又はポリオール混合物と反応させるポリウレタン又はポリイソシアヌレートフォームの製造方法である。
【0028】
前記方法は本発明の第3の主題の組成物を場合によりプレミックス形態の有機ポリイソシアネートと反応させると有利である。
【0029】
ポリイソシアネートとしては、特に炭素原子数18までの炭化水素基をもつ脂肪族ポリイソシアネート、炭素原子数15までの炭化水素基をもつ脂環式ポリイソシアネート、炭素原子数6〜15の芳香族炭化水素基をもつ芳香族ポリイソシアネート及び炭素原子数8〜15の芳香脂肪族炭化水素基をもつ芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0030】
好ましいポリイソシアネートは2,4−及び2,6−ジイソシアナトトルエン、ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート並びにその混合物である。変性ポリイソシアネート(例えばカルボジイミド基、ウレタン基、イソシアヌレート基、尿素基又はビ尿素基を含むもの)も適切であると思われる。
【0031】
本発明の第1の主題の組成物は溶剤、エアゾール及び/又は冷却剤として使用することもできる。
【実施例】
【0032】
本発明の4種の発泡剤組成物(試験1〜4)を製造した。次に各組成物5重量部をポリオールStepanpol PS2412(ポリエステル型ポリオール)100重量部と混合した。その後、標準条件(ASTM規格D3828)下で−30〜61℃の温度範囲で各混合物の引火点を測定した。
【0033】
比較として、本発明外の組成物(試験5)を製造した。
【0034】
各試験の結果を下表に示す。
【0035】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(365mfc)5〜74重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン24〜93重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)2〜46重量%を含有する組成物。
【請求項2】
365mfc8〜61重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン24〜46重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)15〜46重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
365mfc14〜60重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン25〜40重量%と、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(245fa)15〜46重量%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
365mfc5〜25重量%と、トランス−1,2−ジクロロエチレン65〜90重量%と、245fa5〜20重量%を含有することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(227ea)を含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物から構成されることを特徴とする発泡剤。
【請求項7】
ポリオール又はポリオール混合物を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の発泡剤を使用することを特徴とする熱硬化性ポリマーフォームの製造方法。
【請求項9】
溶剤、エアゾール及び/又は冷却剤として使用することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2007−531814(P2007−531814A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506797(P2007−506797)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【国際出願番号】PCT/FR2005/000629
【国際公開番号】WO2005/108478
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591004685)アルケマ フランス (112)
【Fターム(参考)】