説明

両開き扉用ラッチ錠及び両開き扉構造

【課題】戸当たりがない両開きの扉に用いることが可能であり、前後何れからの閉動作においても、両開きの扉の閉状態を確実に保持することができる。
【解決手段】ラッチボルト11を出没可能に設けられるラッチ本体10と、ラッチボルト11の受孔21を有するラッチ受け部材20とを備え、ラッチボルト11の先端部の略中央に、垂直板12を形成すると共に、垂直板12が略中央に位置するようにして垂直板と直交する水平板13を形成し、垂直板12の両側に位置する、ラッチ受け部材20に摺接可能な水平板13の摺接面131を、垂直板13の先端に向かって窄まる傾斜面若しくは外側に凸の弧状曲面とし、受孔21の形状をラッチボルト11の先端部の垂直板12及び水平板13で形成される形状と略対応させ、突出するラッチボルト11の先端部が受孔21に略嵌合する両開き扉用ラッチ錠。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉を閉状態で保持する両開き扉用ラッチ錠及び両開き扉構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、先端に傾斜面が形成されているラッチボルトをラッチ本体に出没可能に設け、ラッチ本体を扉側に、ラッチ受け部材を躯体側に設置し、扉が閉まる際に、ラッチボルトが傾斜面からラッチ受け部材の表面にのるようにして没し、ラッチ受け部材の受孔内にラッチボルトが突出して、扉の閉状態を保持するラッチ錠が知られている。
【0003】
また、通常のラッチ錠は、左開きの扉又は右開きの扉の何れかに対応するものであるが、特許文献1では、左開きの扉と右開きの扉の何れにも対応することができるラッチ錠が提案されている。特許文献1のラッチ錠は、ラッチボルトの先端の厚さ方向中央に略矩形の垂直板を設け、その両側面を当接面とし、当接面の上下方向中央に略4分の1円状の水平板を設け、その外側に傾斜する摺接面を設け、厚さ方向及び上下方向を対称に構成すると共に、ラッチ受け部材の略中央に略矩形の受孔を設け、ラッチボルトの進入側の縁に水平板が収容される収容部を受孔に連続して設け、受孔と収容部で正面視略T字形となるようにし、収容部の上下に垂直板の当接面が当接する当受部を設けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−344451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、扉には前方又は後方の何れか一方に開閉するもの以外に、前方と後方の両方に開閉する扉もあり、斯様な両開きの扉に使用できるラッチ錠も望まれる。しかしながら、通常のラッチ錠や特許文献1のラッチ錠は、扉が戸当たりに当たって停止する際に、この停止状態を利用してラッチボルトがラッチ受け部材の受孔に突出し、扉の閉状態を保持するものであるため、これらのラッチ錠を戸当たりがない両開きの扉に用いた場合には、扉が閉状態を通り過ぎて逆方向に開状態となってしまうという問題が生ずる。そのため、前後何れからの閉動作においても、両開きの扉の閉状態を確実に保持することができる両開き扉用のラッチ錠が求められる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、戸当たりがない両開きの扉に用いることが可能であり、前後何れからの閉動作においても、両開きの扉の閉状態を確実に保持することができる両開き扉用ラッチ錠及び両開き扉構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の両開き扉用ラッチ錠は、ラッチボルトを出没可能に設けられるラッチ本体と、前記ラッチボルトの受孔を有するラッチ受け部材とを備え、前記ラッチボルトの先端部の略中央に、垂直板を形成すると共に、前記垂直板が略中央に位置するようにして前記垂直板と直交する水平板を形成し、前記垂直板の両側に位置する、前記ラッチ受け部材に摺接可能な前記水平板の摺接面を、前記垂直板の先端に向かって窄まる傾斜面若しくは外側に凸の弧状曲面とし、前記受孔の形状を前記ラッチボルトの先端部の前記垂直板及び前記水平板で形成される形状と略対応させ、突出する前記ラッチボルトの先端部が前記受孔に略嵌合することを特徴とする。
【0008】
前記構成では、垂直板と水平板とから構成されるラッチボルトの先端部がこれと略対応する形状の受孔に略嵌合することにより、ラッチボルトの先端部と受孔の係合が容易に外れてしまうことを回避でき、戸当たりがない扉に設置しても扉の閉状態を確実に保持することができる。従って、戸当たりがない両開きの扉に用いることが可能であり、前後何れからの閉動作においても、両開きの扉の閉状態を確実に保持することができる。
【0009】
また、本発明の両開き扉用ラッチ錠は、前記ラッチ受け部材の前記ラッチボルトが進退する両側縁に傾斜ガイド部を設けることを特徴とする。
【0010】
前記構成では、前後何れからの閉動作においても、ラッチボルトを受孔に確実に導いて略嵌合させ、両開きの扉の閉状態の保持を確実に確保することができる。
【0011】
また、本発明の両開き扉用ラッチ錠は、前記水平板を垂直方向に間隔を開けて複数形成することを特徴とする。
【0012】
前記構成では、ラッチボルトの先端部の強度を高めることができると共に、摺動時に一つ一つの水平板に負荷される圧力を低減し、耐久性を高めることができる。
【0013】
また、本発明の両開き扉用ラッチ錠は、前記垂直板が略嵌合する位置に対応する、前記ラッチ受け部材の摺接面と前記受孔の内面とが突き合う角部を横断面視略直角とすることを特徴とする。
【0014】
前記構成では、ラッチボルトの先端部の受孔に対する嵌合状態の安定性を高めることができ、より確実に扉の閉状態を保持することができる。
【0015】
また、本発明の両開き扉用ラッチ錠は、前記ラッチボルトが前記受孔に略嵌合した状態での最大挿入深さを3mm以上とすることを特徴とする。
【0016】
前記構成では、ラッチボルトの先端部の受孔に対する嵌合状態の安定性を高めることができ、より確実に扉の閉状態を保持することができる。
【0017】
また、本発明の両開き扉構造は、本発明の両開き扉用ラッチ錠の前記ラッチ本体が扉に、前記ラッチ受け部材が扉支持部材に設けられることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、本発明の両開き扉用ラッチ錠の作用効果を有する両開き扉構造を構成することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の両開き扉用ラッチ錠或いは両開き扉構造は、戸当たりがない両開きの扉に用いることが可能であり、前後何れからの閉動作においても、両開きの扉の閉状態を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)は第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠のラッチ本体を示す正面図、(b)はそのラッチ本体の平面図、(c)はそのラッチ本体の側面図。
【図2】(a)は第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠のラッチ受け部材を示す正面図、(b)はそのラッチ受け部材の側面図。
【図3】(a)はラッチ受け部材に一方側からラッチボルトが進入してきた状態を示す一部断面正面図、(b)はその側面図。
【図4】(a)はラッチ受け部材にラッチボルトの先端部が嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はその側面図。
【図5】(a)はラッチ受け部材から他方側にラッチボルトが退出する状態を示す一部断面正面図、(b)はその側面図。
【図6】(a)は第2実施形態の両開き扉用ラッチ錠におけるラッチボルトの先端部がラッチ受け部材に嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はそのラッチボルトの先端部を示す側面図。
【図7】(a)は第3実施形態の両開き扉用ラッチ錠におけるラッチボルトの先端部がラッチ受け部材に嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はそのラッチボルトの先端部を示す側面図。
【図8】(a)は第4実施形態の両開き扉用ラッチ錠におけるラッチボルトの先端部がラッチ受け部材に嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はそのラッチボルトの先端部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
〔第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠〕
本発明による第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠を図面を参照して説明する。図1(a)は第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠のラッチ本体を示す正面図、(b)はそのラッチ本体の平面図、(c)はそのラッチ本体の側面図。図2(a)は第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠のラッチ受け部材を示す正面図、(b)はそのラッチ受け部材の側面図である。
【0022】
第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠は、図1及び図2に示すように、ラッチボルト11を出没可能に設けられるラッチ本体10と、ラッチボルト11の受孔21を有するラッチ受け部材20とから構成される。
【0023】
ラッチ本体10は、図1に示すように、ラッチボルト11が収容されるケース14を有し、ケース14の前端には鍔状のプレート15が形成されている。プレート15の前面にはフロントプレート16が重ねられ、螺子止めで固定されており、フロントプレート16の孔17からラッチボルト11が出没するようになっている。ラッチボルト11を出没させるケース14内の構造は、バネでラッチボルト11を前方に付勢する構成など、適宜の公知技術を適用することが可能である。
【0024】
ラッチボルト11の先端部には、その略中央に略矩形の垂直板12が設けられており、垂直板12は両開き扉用ラッチ錠を両開き扉に設置した際の扉回動の軸方向に延びて形成されている。また、ラッチボルト11の先端部には、垂直板12と直交する水平板13が設けられており、水平板13はその略中央に垂直板12が位置するように設けられている。第1実施形態では、図1(a)の垂直板12の上下端に相当する垂直板12の両端にそれぞれ略三角形の水平板13が形成されており、複数である2個の水平板13が垂直方向に間隔を開けて形成されている。
【0025】
垂直板12の両側に位置する、後述するラッチ受け部材20の前面と摺接可能な水平板13の摺接面131は、垂直板12の先端に向かって窄まる傾斜面になっている。本実施形態における傾斜面である摺接面131の傾斜角度は、垂直板12に対して25°〜60°程度とすると好適である。尚、摺接面131を、平面状の傾斜面にする構成に代え、垂直板12の先端に向かって窄まる外側に凸の弧状曲面とすることも可能である。
【0026】
ラッチ受け部材20は、図2に示すように、略直方体形の本体22を有し、本体22の前面23のラッチボルト11が進退する方向の両側縁には傾斜面に面取りされるようにして傾斜ガイド部24が形成されている。前面23の略中央には、横から見るとH字形である正面視I字形の受孔21が形成されている。受孔21の形状はラッチボルト11の先端部の垂直板12及び水平板13で形成される形状と略対応し、受孔21の大きさはラッチボルト11の先端部の大きさよりも若干大きくなっており、突出するラッチボルト11の先端部が受孔21に略嵌合可能になっている。垂直板12が略嵌合する位置に対応する、ラッチ受け部材20の摺接面である前面23と受孔21の内面とが突き合う角部25は、横断面視略直角となっている。
【0027】
次に、第1実施形態の両開き扉用ラッチ錠を両開き扉に設置した際の動作について説明する。図3(a)はラッチ受け部材に一方側からラッチボルトが進入してきた状態を示す一部断面正面図、(b)はその側面図、図4(a)はラッチ受け部材にラッチボルトの先端部が嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はその側面図、図5(a)はラッチ受け部材から他方側にラッチボルトが退出する状態を示す一部断面正面図、(b)はその側面図である。
【0028】
両開き扉の前側から扉が閉鎖される際には、図3の矢印Fに示す方向にラッチボルト11の先端部が移動し、ラッチボルト11の水平板13の一方側の摺接面131が傾斜ガイド部24に摺接し、ラッチボルト11の先端部がラッチ受け部材20の前面23上に導かれる。そして、ラッチボルト11が前面23で押されて引っ込み、ラッチボルト11の先端部が前面23上を摺動する。更に移動すると、図4に示すように、垂直板12が受孔21上に至り、ケース14内の付勢機構でラッチボルト11が突出し、垂直板12及び水平板13が受孔21に挿入されて、ラッチボルト11の先端部が受孔21に略嵌合される。ラッチボルト11の先端部が受孔21に略嵌合した状態では、垂直板12の両側面が受孔21の両側の垂直板受部211・211に略当接し、扉の閉状態が保持される。
【0029】
尚、ラッチボルト11が受孔21に略嵌合した状態でのラッチボルト11の最大挿入深さは3mm以上とすると、ラッチボルト11の先端部の受孔21に対する嵌合状態の安定性を高めることができ、より確実に扉の閉状態を保持することができて好適であり、より好ましくは、扉の開動作の容易性と嵌合状態の一層の安定性から5mm以上30mm以下とするとよい。
【0030】
そして、扉を前側から後側に開ける際には図示省略するケース14内等の解除機構によってラッチボルト11を引っ込め、ラッチボルト11の先端部の受孔21に対する略嵌合を解除して、図5に示すように扉の開動作に伴ってラッチボルト11の先端部を矢印Fの方向に移動する。また、両開き扉の後側から扉を閉鎖する際には、逆の動作により、図5の矢印Bの如くラッチボルト11の先端部を移動させ、図6のようにラッチボルト11の先端部を受孔21に略嵌合し、更に後側から前側に扉を開ける際にはラッチボルト11を引っ込め、図3の矢印Bに示すように扉の開動作に伴ってラッチボルト11の先端部を矢印Bの方向に移動する。
【0031】
第1実施形態では、垂直板12と水平板13とから構成されるラッチボルト11の先端部がこれと略対応する形状の受孔21に略嵌合することにより、ラッチボルト11の先端部と受孔21の係合が容易に外れてしまうことを回避でき、戸当たりがない扉に設置しても扉の閉状態を確実に保持することができる。従って、戸当たりがない両開きの扉に用いることが可能であり、前後何れからの閉動作においても、両開きの扉の閉状態を確実に保持することができる。
【0032】
また、ラッチ受け部材20の両側縁に傾斜ガイド部24を設けることにより、前後何れからの閉動作においても、ラッチボルト11を受孔21に確実に導いて略嵌合させ、両開き扉の閉状態の保持を確実に確保することができる。また、水平板13を垂直方向に間隔を開けて複数形成することにより、ラッチボルト11の先端部の強度を高めることができると共に、摺動時に一つ一つの水平板13に負荷される圧力を低減し、耐久性を高めることができる。また、角部25を横断面視略直角とすることにより、ラッチボルト11の先端部の受孔21に対する嵌合状態の安定性を高めることができ、より確実に扉の閉状態を保持することができる。
【0033】
〔第2実施形態の両開き扉用ラッチ錠〕
次に、第2実施形態の両開き扉用ラッチ錠について説明する。図6(a)は第2実施形態の両開き扉用ラッチ錠におけるラッチボルトの先端部がラッチ受け部材に嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はそのラッチボルトの先端部を示す側面図である。
【0034】
第2実施形態の両開き扉用ラッチ錠では、図6に示すように、ラッチボルト11の先端部の略中央に略矩形の垂直板12aが設けられていると共に、ラッチボルト11の先端部に垂直板12aと直交する水平板13aが設けられており、垂直板12aは水平板13aの略中央に位置している。そして、水平板13aは、図6(a)の垂直板12aの上下端及び中央に相当する垂直板12aの両端及び中央に形成されており、複数である3個の水平板13aが垂直方向に間隔を開けて形成されている。水平板13aの摺接面131の構成及び変形例は、第1実施形態の摺接面131と同様である。
【0035】
また、ラッチ受け部材20の受孔21aは、正面視王の字形であり、その形状はラッチボルト11の先端部の垂直板12a及び水平板13aで形成される形状と略対応し、その大きさはラッチボルト11の先端部の大きさよりも若干大きくなっており、突出するラッチボルト11の先端部が受孔21aに略嵌合可能である。垂直板12aが略嵌合する位置に対応する、ラッチ受け部材20の摺接面である前面23と受孔21aの内面とが突き合う角部25は、横断面視略直角となっている。その他の構成は変形例も含め第1実施形態と同様である。
【0036】
第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を奏する。更に、水平板13aを垂直方向に間隔を開けてより多い3個形成することにより、ラッチボルト11の先端部の強度をより高めることができると共に、摺動時に一つ一つの水平板13aに負荷される圧力をより低減し、耐久性を一層高めることができる。
【0037】
〔第3実施形態の両開き扉用ラッチ錠〕
次に、第3実施形態の両開き扉用ラッチ錠について説明する。図7(a)は第3実施形態の両開き扉用ラッチ錠におけるラッチボルトの先端部がラッチ受け部材に嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はそのラッチボルトの先端部を示す側面図である。
【0038】
第3実施形態の両開き扉用ラッチ錠では、図7に示すように、ラッチボルト11の先端部の略中央に略矩形の垂直板12bが設けられていると共に、ラッチボルト11の先端部に垂直板12bと直交する水平板13bが設けられており、垂直板12bは水平板13bの略中央に位置している。そして、水平板13bは、図7(a)の垂直板12bの中央に形成されており、垂直方向に単数である一枚の垂直板12bが形成されている。水平板13bの摺接面131の構成及び変形例は、第1実施形態の摺接面131と同様である。
【0039】
また、ラッチ受け部材20の受孔21bは、正面視十字形であり、その形状はラッチボルト11の先端部の垂直板12b及び水平板13bで形成される形状と略対応し、その大きさはラッチボルト11の先端部の大きさよりも若干大きくなっており、突出するラッチボルト11の先端部が受孔21bに略嵌合可能である。垂直板12bが略嵌合する位置に対応する、ラッチ受け部材20の摺接面である前面23と受孔21bの内面とが突き合う角部25は、横断面視略直角となっている。その他の構成は変形例も含め第1実施形態と同様である。
【0040】
第3実施形態では、水平板を垂直方向に間隔を開けて複数形成することによる効果を除き、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0041】
〔第4実施形態の両開き扉用ラッチ錠〕
次に、第4実施形態の両開き扉用ラッチ錠について説明する。図8(a)は第4実施形態の両開き扉用ラッチ錠におけるラッチボルトの先端部がラッチ受け部材に嵌まり込んだ状態を示す一部断面正面図、(b)はそのラッチボルトの先端部を示す側面図である。
【0042】
第4実施形態の両開き扉用ラッチ錠では、図8に示すように、ラッチボルト11の先端部の略中央に略矩形の垂直板12cが設けられていると共に、ラッチボルト11の先端部に垂直板12cと直交する水平板13cが設けられており、垂直板12cは水平板13cの略中央に位置している。そして、水平板13cは、図8(a)の垂直板12bの一方側の端部に形成され、垂直方向に単数である一枚の垂直板12cが形成されている。即ち、ラッチボルト11の先端部は後述する受孔21cと同様に水平線に対して非対称になっている。水平板13cの摺接面131の構成及び変形例は、第1実施形態の摺接面131と同様である。
【0043】
また、ラッチ受け部材20の受孔21cは、正面視凸字形であり、その形状はラッチボルト11の先端部の垂直板12c及び水平板13cで形成される形状と略対応し、その大きさはラッチボルト11の先端部の大きさよりも若干大きくなっており、突出するラッチボルト11の先端部が受孔21cに略嵌合可能である。垂直板12cが略嵌合する位置に対応する、ラッチ受け部材20の摺接面である前面23と受孔21cの内面とが突き合う角部25は、横断面視略直角となっている。その他の構成は変形例も含め第1実施形態と同様である。
【0044】
第4実施形態では、水平板を垂直方向に間隔を開けて複数形成することによる効果を除き、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0045】
〔実施形態の変形例等〕
本明細書開示の発明には、各発明や実施形態等の構成の他に、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものも含まれ、下記のような変形例も包含される。
【0046】
例えば上記実施形態では、複数の水平板13等を垂直方向に間隔を開けて設ける場合の例として2個と3個を設けるものについて説明したが、4個以上の複数とすることも可能である。また、第1実施形態等ではラッチ受け部材20の摺接面である前面23と受孔21の内面とが突き合う角部25を横断面視略直角としたが、ラッチボルト11の受孔21に対する嵌合深さを深くする等により、ラッチボルト11と受孔21の確実な略嵌合を確保することが可能であれば、R部とすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、両開き扉用のラッチ錠として利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10…ラッチ本体 11…ラッチボルト 12、12a、12b、12c…垂直板 13、13a、13b、13c…水平板 131…摺接面 14…ケース 15…プレート 16…フロントプレート 17…孔
20…ラッチ受け部材 21、21a、21b、21c…受孔 211…垂直板受部 22…本体 23…前面 24…傾斜ガイド部 25…角部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラッチボルトを出没可能に設けられるラッチ本体と、
前記ラッチボルトの受孔を有するラッチ受け部材とを備え、
前記ラッチボルトの先端部の略中央に、垂直板を形成すると共に、前記垂直板が略中央に位置するようにして前記垂直板と直交する水平板を形成し、
前記垂直板の両側に位置する、前記ラッチ受け部材に摺接可能な前記水平板の摺接面を、前記垂直板の先端に向かって窄まる傾斜面若しくは外側に凸の弧状曲面とし、
前記受孔の形状を前記ラッチボルトの先端部の前記垂直板及び前記水平板で形成される形状と略対応させ、
突出する前記ラッチボルトの先端部が前記受孔に略嵌合することを特徴とする両開き扉用ラッチ錠。
【請求項2】
前記ラッチ受け部材の前記ラッチボルトが進退する両側縁に傾斜ガイド部を設けることを特徴とする請求項1記載の両開き扉用ラッチ錠。
【請求項3】
前記水平板を垂直方向に間隔を開けて複数形成することを特徴とする請求項1又は2記載の両開き扉用ラッチ錠。
【請求項4】
前記垂直板が略嵌合する位置に対応する、前記ラッチ受け部材の摺接面と前記受孔の内面とが突き合う角部を横断面視略直角とすることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の両開き扉用ラッチ錠。
【請求項5】
前記ラッチボルトが前記受孔に略嵌合した状態での最大挿入深さを3mm以上とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の両開き扉用ラッチ錠。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の両開き用ラッチ錠の前記ラッチ本体が扉に、前記ラッチ受け部材が扉支持部材に設けられることを特徴とする両開き扉構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−52498(P2011−52498A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204323(P2009−204323)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(598150949)株式会社サワ (5)
【出願人】(598119175)