説明

両面ハードコートフィルム

【課題】両面ハードコートフィルムをロール状に巻き取る際の巻き取り性、すなわち巻きじわ及びへこみなどの凹凸状変形を防ぐことができる両面ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】両面ハードコートフィルムは、ポリエステルフィルムの両面にハードコート層が積層されて構成されている。そして、ハードコート層の少なくとも一方の層は、膜厚が0.5〜15μmであり、平均粒子径が膜厚の10〜60%の透光性微粒子を0.5〜30質量%含む層である。また、ハードコート層はバインダーの硬化物と透光性微粒子とを含有し、バインダーの硬化物の屈折率と透光性微粒子の屈折率との差が、光の散乱を抑え、ヘイズ値の上昇を抑制するために0.02以下であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き取り性に優れた両面ハードコートフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルフィルムの片面にハードコート層が塗布されている片面ハードコートフィルムは、ハードコート層の反対面が一般的に滑り性の良い易接着層であるため、巻き取り性は良好である(特許文献1を参照)。また、一般的に両面ハードコートフィルムは、ハードコート層の滑り性が良くないため、製造工程中において両面ハードコートフィルムをロール状に巻き取る際に、巻き取り性が悪く、巻きじわ及びへこみなどの凹凸状変形が発生するという問題がある。
【0003】
一方、トリアセチルセルロースフィルムの片面にハードコート層が塗布されている片面ハードコートフィルムは、ハードコート層の反対面に易接着層が無いため、巻き取り性が悪い。そこで、かかる片面ハードコートフィルムの巻き取り性を改善する方法として、ハードコート層にフッ素系若しくはシリコーン系の添加剤を加える方法がある(特許文献2を参照)。
【0004】
しかし、ハードコート層にフッ素系若しくはシリコーン系の添加剤を加えているこの技術を両面ハードコートフィルムに適用しても、付着性の改善が不足し、巻きじわ、へこみなどの凹凸形状を生じ、巻き取り性は不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-346019号公報
【特許文献2】特開2005−103979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、両面ハードコートフィルムをロール状に巻き取る際の巻き取り性、すなわち巻きじわ及びへこみなどの凹凸状変形を防ぐことができる両面ハードコートフィルムを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、第1の発明の両面ハードコートフィルムは、ポリエステルフィルムの両面にハードコート層が積層されている両面ハードコートフィルムであって、ハードコート層の少なくとも一方の層は、膜厚が0.5〜15μmであり、平均粒子径が膜厚の10〜60%の透光性微粒子を0.5〜30質量%含む層であることを特徴とする。
【0008】
第2の発明の両面ハードコートフィルムは、第1の発明において、前記ハードコート層はバインダーの硬化物と透光性微粒子とを含有し、バインダーの硬化物の屈折率と透光性微粒子の屈折率との差が0.02以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、次のような効果を発揮することができる。
本発明の両面ハードコートフィルムは、ポリエステルフィルムの両面にハードコート層が積層されて構成されている。該ハードコート層の少なくとも一方の層は、膜厚が0.5〜15μmであり、平均粒子径が膜厚の10〜60%の透光性微粒子を0.5〜30質量%含む層である。このため、かかる透光性微粒子により両面ハードコートフィルム表面に微細な凹凸が形成されて付着性が抑制され、良好な巻き取り性機能が発現される。
【0010】
従って、例えば製造工程中において両面ハードコートフィルムをロール状に巻き取る際の巻き取り性、すなわち巻きじわ及びへこみなどの凹凸状変形を防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施形態について詳細に説明する。
〔両面ハードコートフィルム〕
本実施形態の両面ハードコートフィルムはポリエステルフィルムの両面にハードコート層が積層されて構成されている。そして、ハードコート層の少なくとも一方の層には、透光性微粒子を含む層が形成されている。
【0012】
この両面ハードコートフィルムにおいて、前記ハードコート層の膜厚は0.5〜15μmであり、好ましくは1〜6μmである。この膜厚が0.5μmより薄いとハードコート性機能が損なわれる可能性があり、15μmより厚いと巻き取り性機能が損なわれる可能性がある。前記ハードコート性機能としては、例えば鉛筆硬度が挙げられる。鉛筆硬度は、好ましくはH以上、より好ましくは2H以上である。
<ポリエステルフィルム>
ポリエステルフィルムを形成する樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂である。ポリエステルフィルムの厚さは、通常10〜500μm、好ましくは25〜250μmである。
<ハードコート層>
ハードコート層は、バインダーと透光性微粒子とを含有し、必要により添加剤を含有するハードコート層用塗液に例えば紫外線を照射してバインダーを硬化させることにより形成される。
(バインダー)
バインダーの硬化物は特に限定されず、例えば単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート及びテトラエトキシシラン等の反応性珪素化合物などの硬化物が挙げられる。これらのうち生産性及び硬度を両立させる観点より、鉛筆硬度(評価法:JIS−K5600−5−4)がH以上となる紫外線硬化性多官能(メタ)アクリレートを含む組成物の重合硬化物であることが好ましい。
【0013】
そのような紫外線硬化性多官能(メタ)アクリレートを含む組成物としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物、ウレタン変性アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含む多官能重合性化合物等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2'−チオジエタノール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3価以上のアルコール等が挙げられる。また、公知の紫外線硬化性多官能(メタ)アクリレートを2種類以上混合したもの、紫外線硬化性ハードコート材として市販されているもの、あるいはこれら以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分をさらに添加したものを用いても良い。
(透光性微粒子)
透光性微粒子は、ハードコート層における表面の凹凸形成による巻き取り性機能を発現するためのものである。該透光性微粒子としては、任意のものを用いることができる。そのような透光性微粒子としては、例えばシリカ(屈折率1.45)、塩化ビニル、(メタ)アクリル単量体、スチレン及びエチレンから選択される少なくとも1種の単量体を重合して得られる重合体などから形成される。その重合体の中でも、屈折率の調整が容易な点から(メタ)アクリル重合体(屈折率1.495)、スチレン重合体(屈折率1.54)、さらに、両単量体の共重合組成を変化させることにより、両重合体の屈折率の間で屈折率を任意に調整することができる点からスチレン−アクリル共重合体であることが好ましい。
【0014】
透光性微粒子の平均粒子径は、ハードコート層の膜厚の10〜60%、好ましくは20〜50%である。平均粒子径がハードコート層の膜厚の10%より小さい場合又は60%より大きい場合には、巻き取り性機能が損なわれる場合がある。ハードコート層の膜厚に対する透光性微粒子の平均粒子径の割合aは、以下の式(1)によって求めた。
【0015】
a=〔(透光性微粒子の平均粒子径)/(ハードコート層の膜厚)〕×100(%)
式(1)
透光性微粒子の含有量は、ハードコート層用塗液100質量部に対して0.5〜30質量%、好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは3〜5質量%である。この含有量が0.5質量%より少ない場合には透光性微粒子に基づく巻き取り性機能を十分に発現することができず、一方30質量%より多い場合にはバインダー量が減少してハードコート性機能の発現が不足する。
(屈折率差)
ハードコート層におけるバインダー硬化物の屈折率と透光性微粒子の屈折率との差は、光の散乱を抑え、ヘイズ値の上昇を抑制するために、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下である。この屈折率差が0.02より大きいと、光の散乱が強くなり、ヘイズ値が上がるという不都合が生じる場合がある。また、両面ハードコートフィルムのヘイズ値は、好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.0%以下である。
(添加剤)
ハードコート層は、バインダーの硬化物及び透光性微粒子以外の添加剤を含んでいても良い。そのような添加剤としてシリコーン系添加剤が用いられ、該シリコーン系添加剤としては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。具体的には、ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK330、BYK331、BYK346等が挙げられる。
(ハードコート層の形成方法)
ハードコート層は、前記ハードコート層用塗液をポリエステルフィルムの両面に塗布した後、硬化させることにより形成される。
【0016】
ハードコート層用塗液の塗布方法は特に限定されず、通常行なわれている塗布方法、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、インクジェット法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用される。塗布に際しては、密着性を向上させるために、予めポリエステルフィルム表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことができる。
【0017】
硬化に際しては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の活性エネルギー線源等が使用される。この場合、活性エネルギー線の照射量は、紫外線の波長365nmでの積算光量として50〜1000mJ/cmであることが好ましい。照射量が50mJ/cm未満のときには、硬化が不十分となるため好ましくない。一方、1000mJ/cmを超えるときには、活性エネルギー線硬化型樹脂が着色する傾向を示すため好ましくない。
【実施例】
【0018】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
得られた両面ハードコートフィルムの物性は以下の方法で評価した。
【0019】
1)巻き取り性:両面ハードコート(HC)フィルムをロール状に巻き取り、目視で観察することにより、フィルムの巻き取り性を評価した。
(フィルムの巻き取り性の評価基準)
◎:巻きじわ及びへこみなどの凹凸状変形が全くない。
【0020】
○:巻きじわ又はへこみなどの凹凸状変形がほとんどない。
×:巻きじわ又はへこみなどの凹凸状変形が大きい。
2)ヘイズ値:日本電飾工業(株)製のNDH−2000を使用し、光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
【0021】
3)鉛筆硬度:JIS K5600に基づき、750kgの荷重をかけて、各両面ハードコートフィルム試料表面の引っ掻き試験を行なった。
次に、製造例、実施例及び比較例について説明する。
〔製造例1、ハードコート層用塗液(HC−A1)の調製〕
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート95質量部、平均粒子径0.5μmのアクリル樹脂微粒子(屈折率1.495)5質量部、メチルエチルケトン100質量部、光重合開始剤〔商品名:「IRGACURE184」、チバジャパン(株)製〕4質量部を混合してハードコート層用塗液(HC−A1)を調製した。
〔製造例2〜10、ハードコート層用塗液(HC−A2〜HC−B2)の調製〕
製造例1のハードコート層用塗液の調製において、原料配分量を表1に追記の通りとした以外は製造例1に準じて、ハードコート層用塗液(HC−A2〜HC−B2)を調製した。
【0022】
ただし、HC−A3及びHC−B2における添加剤は、シリコーン系添加剤〔ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、商品名:「BYK−300」、ビック・ケミー(株)製〕を使用した。
【0023】
【表1】

(実施例1)
厚みが125μmのポリエステル(PET)フィルム〔商品名:「KDL86W」、帝人デュポンフィルム(株)製〕上(以下、A面ともいう)に、ハードコート層用塗液HC−A1を巻き出し装置及び巻き取り装置を有する塗工機により、硬化皮膜の実膜厚が1μmとなるように層の厚さを調整して塗布した。次いで、300mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、巻き取り用の片面ハードコート処理PETフィルムを作製した。
【0024】
上記片面ハードコート処理PETフィルム裏面(以下、B面ともいう)に、ハードコート層用塗液HC−B1を巻き出し装置及び巻き取り装置を有する塗工機により、硬化皮膜の実膜厚が4μmになるように層の厚さを調整して塗布した。続いて、照射量が300mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例2)
A面に硬化皮膜の実膜厚が5μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例3)
A面にハードコート層用塗液HC−A2の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が3μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例4)
A面に硬化皮膜の実膜厚が6μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例3と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例5)
A面にハードコート層用塗液HC−A3の塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例6)
A面にハードコート層用塗液HC−A4の塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例7)
A面にハードコート層用塗液HC−A6の塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例8)
A面にハードコート層用塗液HC−A9の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が0.5μmになるように層の厚さを調整して塗布した用いた以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例9)
A面にハードコート層用塗液HC−A10の塗液を用いた以外は、実施例8と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例10)
A面にハードコート層用塗液HC−B1の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が4μmになるように層の厚さを調整して塗布し、B面にハードコート層用塗液HC−A2の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が6μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(実施例11)
B面にハードコート層用塗液HC−A2の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が6μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例4と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(比較例1)
A面に硬化皮膜の実膜厚が6μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(比較例2)
A面にハードコート層用塗液HC−A5の塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(比較例3)
A面にハードコート層用塗液HC−A7の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が4μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(比較例4)
A面にハードコート層用塗液HC−A8の塗液を用いた以外は、実施例4と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(比較例5)
A面及びB面にハードコート層用塗液HC−B1の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が4μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
(比較例6)
A面及びB面にハードコート層用塗液HC−B2の塗液を用い、硬化皮膜の実膜厚が4μmになるように層の厚さを調整して塗布した以外は、実施例1と同様にして巻き取り用の両面ハードコート処理PETフィルムを作製した。得られた両面ハードコート処理PETフィルムについて巻き取り性、ヘイズ値及び鉛筆硬度を評価し、それらの結果を表2に示した。
【0025】
【表2】

表2に示したように、実施例1〜11においては、凹凸状変形がほとんどなく、巻き取り性が良く、しかもヘイズ値は1.1%以下であり、かつ鉛筆硬度はH〜3Hであって良好な結果が得られた。その一方、本発明の要件を満たしていない比較例1〜6ではいずれも巻き取り性が不良であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルフィルムの両面にハードコート層が積層されている両面ハードコートフィルムであって、ハードコート層の少なくとも一方の層は、膜厚が0.5〜15μmであり、平均粒子径が膜厚の10〜60%の透光性微粒子を0.5〜30質量%含む層であることを特徴とする両面ハードコートフィルム。
【請求項2】
前記ハードコート層はバインダーの硬化物と透光性微粒子とを含有し、バインダーの硬化物の屈折率と透光性微粒子の屈折率との差が0.02以下であることを特徴とする請求項1に記載の両面ハードコートフィルム。

【公開番号】特開2011−115981(P2011−115981A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273718(P2009−273718)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】