説明

両面粘着テープ

【課題】 小型液晶モジュールの液晶表示パネルとバックライトユニットの固定に用いられ、鮮明な画面を提供できる両面粘着テープ(粘着シート類)を提供する。
【解決手段】 粘着剤層の主成分がアクリル酸エステル共重合体であり、120℃、1時間加熱した時に発生する粘着剤中の揮発性有機化合物量が30μg/cm以下である支持体の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープ。粘着剤層に、さらに粘着付与樹脂が含まれると好ましく、粘着付与樹脂が、ロジン系樹脂であり、その軟化点が80℃以上であると好ましい。さらに、支持体の厚みが10〜50μmであり、光の反射性と遮光性を有する層を有し、一方を支持体中に、他方を支持体表面に有する支持体を用いると好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型液晶モジュールの液晶表示パネルとバックライトユニットの固定に用いられる両面テープに関し、特に小型液晶モジュール用両面粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
両面粘着テープおよび粘着シート類は、その取扱い易さと良好な接着特性から、各種業界で多用されている。液晶分野においても、各種部材の接着等に、多くの両面粘着テープおよび粘着シート類が用いられている。小型液晶モジュールの液晶表示パネルとバックライトユニットの固定用の両面テープは、液晶表示をクリアーにするため、片面が光の反射性を有し、その反対側面が光の遮光性を有したものが多用されている。これは、両面テープの反射性を有する面側がバックライトユニット側に固定、遮光性を有する面側が液晶表示パネル側に固定することにより、反射性を有する面は、進入した光を反射させバックライトユニットの底部の反射シートでさらに反射させ光の利用率を高め、また、遮光性を有する側は、枠部の光の漏れを防ぎ、鮮明な表示画面を得るのに寄与している。(たとえば、特許文献1)
【0003】
しかしながら、上記方法を用いた場合でも、経時により画面の鮮明度が低下することがあった。これは、固定に使用される両面テープに依存するケースが多く、テープ自体に含まれる成分に起因するものと考えられる。
【特許文献1】特開2002−249741号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の問題点を解決し、小型液晶モジュールの液晶表示パネルとバックライトユニットの固定に用いられ、鮮明な画面を提供できる両面粘着テープ(粘着シート類)を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、粘着剤層の主成分がアクリル酸エステル共重合体であり、120℃、1時間加熱した時に発生する粘着剤中の揮発性有機化合物量が30μg/cm以下である支持体の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープにより、上記課題を解決しうることを見出し、本発明をなすに至った。
また、本発明は、粘着剤層に、さらに粘着付与樹脂が含まれると好ましく、粘着付与樹脂が、ロジン系樹脂であり、その軟化点が80℃以上であると好ましい。さらに、支持体の厚みが10〜50μmであり、光の反射性と遮光性を有する層を有し、一方を支持体中に、他方を支持体表面に有する支持体を用いると好ましい。
【発明の効果】
【0006】
本発明の両面粘着テープを例えば、小型液晶モジュールの液晶表示パネルとバックライトユニットの固定に用いると、粘着剤層中の揮発性有機化合物量が極めて少ないため経時的に飛散して画像面に付着し透過量を低下させたり、反射させることがないため、粘着機能を維持しつつ、いつまでも鮮明な画面を提供することができ、画像面付近に用いる両面粘着テープとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の両面粘着テープ(粘着シート類)に用いられる支持体は、光の反射性を有する面側とその反対面側が光の遮光性を有する面を有し、具体的には、各種プラスチックフィルムを用いることができるが、取り扱い易さなどの観点からポリエステルフィルムが好ましい。反射性を付与するためには、酸化チタンなどの白色顔料をポリエステルフィルムに練り込む方法や、ポリエステルフィルム表面に白色顔料を主成分とするインキ層を印刷、塗布したり、銀、アルミニウムなどの金属を蒸着させたりする方法がある。遮光性を付与する方法としては、反射性を付与した側の反対側表面にカーボンブラックなどの黒色顔料を主成分とするインキ層を印刷、塗布する方法や、ポリエステルフィルムに黒色顔料を練り込む方法などがある。遮光性のレベルを向上させるために、インキ層を重ねる手法も用いられる。反射性と遮光性の付与は、上記方法を種々組み合わせて得られる。
【0008】
本発明の両面粘着テープに用いられる支持体の厚みは、特に制限されないが10〜50μmであるのが好ましい。10μm未満だと、テープの取扱い易さが損なわれ、また充分な遮光性が得られない。また、反射性特性が低下する場合がある。50μmより厚いと、設計上、薄いテープが好まれる液晶用途には適さない場合がある。
【0009】
本発明の両面粘着テープに用いられる粘着剤層は、120℃、1時間加熱した時に発生する粘着剤中の揮発性有機化合物量が30μg/cm以下であるアクリル酸エステル共重合体を主成分とする粘着剤からなる。粘着剤中の揮発性有機化合物量が、30μg/cmを超えて高いと表示画面部の曇りの要因となる。
粘着剤中の揮発性有機化合物量は、ガスクロマトグラフを用い、ガスクロマトグラフチャートの各ピークのエリア面積の和を求め、トルエンの検量線から得たトルエン換算による定量によって行うことができる。
【0010】
アクリル酸エステル共重合体は、(メタ)アクリル酸エステル共重合体とこれと共重合可能な不飽和モノマーを材料としてなる。ここで、(メタ)アクリル酸エステル共重合体の(メタ)アクリル酸は、メタアクリル酸、アクリル酸およびそれらの混合物を意味する((メタ)アクリレートも同様)。
(メタ)アクリル酸エステルの例としては、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0011】
本発明に用いられる(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な不飽和モノマーの例としては、アルキル(メタ)アクリレートとして前記の通り例示したものとそれ以外のアルキル(メタ)アクリレート類;水酸基、エーテル基等を有する(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリル酸、フマル酸等の脂肪族不飽和(ジ)カルボン酸類;エチレン、ブタジエン等の脂肪族不飽和炭化水素類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族不飽和炭化水素類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;ビニルエーテル類等が挙げられる。
【0012】
本発明におけるアクリル酸エステル共重合体は、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法などの公知の重合法により得られ、製法に制限されないが、乳化重合法、懸濁重合法では、乳化剤や安定剤が粘着剤中に残存する可能性があり、不純物量を低く抑えるという観点から好ましくない上に接着特性にも悪影響を及ぼす。塊状重合法においては、重合後洗浄工程を取ることや、溶液重合法においては、重合の最終段階時に、重合開始剤を添加し残存モノマーを消失させたり、重合温度を高めに設定し残存モノマーを重合溶媒とともに共沸させ消失させたりする手法を用いることにより、粘着テープ類中の揮発性有機化合物量をより低いレベルに抑えることができるので、塊状重合または溶液重合を用いるのが好ましい。
【0013】
本発明に用いられるアクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、特に制限されるものではないが、好ましくは30万〜120万である。アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が30万未満では、通常の架橋剤配合量を添加した場合、粘着剤の凝集力が不足し実用に適さない場合が多い。架橋剤量を増量した場合は、接着特性が損なわれる。また、アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量が120万を超えて大きい場合も接着特性が損なわれる。より好ましくは、40〜80万である。アクリル酸エステル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線より換算して得た値である。
【0014】
本発明の粘着剤は、アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、架橋剤により架橋されたものである。本発明に用いられる架橋剤としては、イソシアネート化合物、エポキシ樹脂、金属キレートなどが挙げられる。
【0015】
また、粘着剤中には粘着付与樹脂、老化防止剤、充填剤など各種添加剤を揮発性不純物量が30μg/cm以下に抑えられる範囲で適宜加えてもよい。粘着付与樹脂を用いる場合は、他の樹脂と比較して分子量分布が狭いロジンエステルなどのロジン系樹脂が、曇りの要因となりうる揮発性有機化合物としての低分子量物が少なく好ましい。さらには、軟化点が80℃以上のロジン系樹脂が、分子量がより高くなり揮発性有機化合物としての低分子量物が少なく好ましい。
【0016】
本発明に用いられる粘着剤の厚みは特に制限されるものではないが、好ましくは5〜50μmである。粘着剤の厚みが5μm未満では接着特性が不充分な場合が多く、50μmを超えて厚いと製品の打ち抜き加工などを行う際に作業性が悪化するため好ましくない。
【0017】
本発明の両面粘着テープは、支持体の両方の面に粘着剤層を設けてあり、液晶表示パネルとバックライトユニットの固定用として用いられる。また、支持体の片面のみに粘着剤層を用いた粘着シート類は、反射性、遮光性を付与する目的で、液晶表示パネルまたは、バックライトに貼り合わせ用いられる。本発明では、支持体の片面のみに粘着剤層を用いた粘着シート類で、粘着剤中の揮発性有機化合物量が30μg/cm以下であってもよい。
【0018】
本発明の両面粘着テープの厚みは特に制限されるものではないが、支持体と粘着剤層の厚みの合計が液晶用途においては100μm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明における両面粘着テープの製造方法は、特に制限されるものではなく公知の方法により得られる。例えば、はく離ライナーに粘着剤溶液を塗布し乾燥させ、支持体と貼合わせる転写法や、支持体に粘着剤溶液を直接塗布し乾燥させて、はく離ライナーを貼り合わせ、さらに支持体の他面に粘着剤溶液を直接塗布し乾燥させて両面粘着テープとする直接法などがある。本発明においては、揮発性有機化合物量を低いレベルに抑えるため、粘着剤層を構成する各成分が揮発性成分を含有しないようにすることや、粘着剤溶液を用いる場合、乾燥条件として最高乾燥温度を100℃以上で行うのが好ましい。また、乾燥炉長を長くし、乾燥時間を長くする方法がある。
【0020】
本発明は、両面粘着テープは、その構成に限定されることなく、両面粘着テープにおいては、はく離ライナーの両側に離型層を設け、はく離ライナーの片面に両面粘着テープを配置し、これを巻き物にした仕様や、粘着剤面それぞれにはく離ライナーを設けた仕様などを用いることができる。粘着シート類においては、支持体の片面に粘着剤層が設けられ、さらに粘着剤面に、はく離ライナーを設けても良い。
【0021】
本発明の両面粘着テープおよび粘着シート類に用いられるはく離ライナーは特に限定されるものではないが、液晶用途においてはポリエステルフィルムなどのプラスチック基材に離型処理されたものが好ましい。
【実施例】
【0022】
つぎに、実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
粘着剤として、溶液重合法により、n−ブチルアクリレート 98重量部、アクリル酸 2重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 0.2重量部を、熱重合開始剤として、過酸化ベンゾイルを用いて重合した重量平均分子量60万のアクリル酸エステル共重合体 90重量部と、軟化点110℃のロジンエステル10重量部との混合物を、酢酸エチルに不揮発分40重量%で溶解させたものを用いた。上記粘着剤溶液に架橋剤としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるイソシアネート化合物を添加し、厚み75μmのポリエステルフィルムにシリコーン系離型剤を設けたはく離ライナーの上に塗布し105℃、3分の条件で乾燥し、粘着剤を厚み20μmで設け、酸化チタンを練り込んだ38μm厚みの白色ポリエステルフィルムの片面にカーボンブラックを主成分とする黒インキを印刷した基材の両側に、それぞれラミネートロールで貼合わせて両面粘着テープを得た。
【0023】
(実施例2)
実施例1記載の粘着剤溶液に架橋剤としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるイソシアネート化合物を添加し、厚み75μmのポリエステルフィルムにシリコーン系離型剤を設けたはく離ライナーの上に塗布し105℃、3分の条件で乾燥し、粘着剤を厚み20μmで設け、酸化チタンを練り込んだ20μm厚みの白色ポリエステルフィルムの片面にカーボンブラックを主成分とする黒インキを印刷した基材の両側にそれぞれラミネートロールで貼合わせて両面粘着テープを得た。
【0024】
(実施例3)
粘着剤として、溶液重合法により2−エチルヘキシルアクリレート 88重量部、アクリル酸 12重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 0.2重量部を、熱重合開始剤として過酸化ベンゾイルを用いて重合した重量平均分子量70万のアクリル酸エステル共重合体 90重量部と、軟化点100℃のロジンエステル10重量部との混合物を、酢酸エチル溶媒に不揮発分40重量%で溶解させたものを用いた。上記粘着剤溶液に架橋剤としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるイソシアネート化合物を添加し、厚み75μmのポリエステルフィルムにシリコーン系離型剤を設けたはく離ライナーの上に塗布し105℃、3分の条件で乾燥し、粘着剤を厚み20μmで設け、酸化チタンを練り込んだ38μm厚みの白色ポリエステルフィルムの片面にカーボンブラックを主成分とする黒インキを印刷した基材の両側にそれぞれラミネートロールで貼合わせて両面粘着テープを得た。
【0025】
(比較例1)
粘着剤として、溶液重合法によりn−ブチルアクリレート 98重量部、アクリル酸 2重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 0.2重量部を、熱重合開始剤として過酸化ベンゾイルを用いて重合した重量平均分子量60万のアクリル酸エステル共重合体 90重量部と、軟化点100℃のテルペン樹脂10重量部との混合物を、酢酸エチル溶媒に不揮発分40重量%で溶解させたものを用いた。上記粘着剤溶液に架橋剤としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるイソシアネート化合物を添加し、厚み75μmのポリエステルフィルムにシリコーン系離型剤を設けたはく離ライナーの上に塗布し105℃、3分の条件で乾燥し、粘着剤を厚み20μmで設け、酸化チタンを練り込んだ38μm厚みの白色ポリエステルフィルムの片面にカーボンブラックを主成分とする黒インキを印刷した基材の両側にそれぞれラミネートロールで貼合わせて両面粘着テープを得た。
【0026】
(比較例2)
粘着剤として、溶液重合法によりn−ブチルアクリレート 98重量部、アクリル酸 2重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 0.2重量部を、熱重合開始剤として過酸化ベンゾイルを用いて重合した重量平均分子量60万のアクリル酸エステル共重合体 90重量部と、軟化点75℃のロジンエステル 10重量部との混合物を、酢酸エチル溶媒に不揮発分40重量%で溶解させたものを用いた。上記粘着剤溶液に架橋剤としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるイソシアネート化合物を添加し、厚み75μmのポリエステルフィルムにシリコーン系離型剤を設けたはく離ライナーの上に塗布し105℃、3分の条件で乾燥し、粘着剤を厚み20μmで設け、酸化チタンを練り込んだ38μm厚みの白色ポリエステルフィルムの片面にカーボンブラックを主成分とする黒インキを印刷した基材の両側にそれぞれラミネートロールで貼合わせて両面粘着テープを得た。
【0027】
(比較例3)
粘着剤として、溶液重合法により2−エチルヘキシルアクリレート 88重量部、アクリル酸 12重量部、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート 0.2重量部を、熱重合開始剤として過酸化ベンゾイルを用いて重合した重量平均分子量70万のアクリル酸エステル共重合体 90重量部と、軟化点75℃のロジンエステル 10重量部との混合物を、酢酸エチル溶媒に不揮発分40重量%で溶解させたものを用いた。上記粘着剤溶液に架橋剤としてトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるイソシアネート化合物を添加し、厚み75μmのポリエステルフィルムにシリコーン系離型剤を設けたはく離ライナーの上に塗布し90℃、3分の条件で乾燥し、粘着剤を厚み20μmで設け、38μm厚みの透明ポリエステルフィルム基材の両側にそれぞれラミネートロールで貼合わせて両面粘着テープを得た。
【0028】
(揮発性有機化合物量)
両面粘着テープを10mm×50mmの大きさに切り取り、これを試料管に採取し、120℃、1時間加熱処理して発生した揮発性有機化合物量を、島津製作所製ガスクロマトグラフ−マススペクトル装置「GCMS−QP5050A」により測定した。ガスクロマトグラフチャートの各ピークのエリア面積の和を求め、トルエンの検量線から得たトルエン換算による定量を行った。
【0029】
(曇り性の評価)
1Lのガラス容器中に100mm角の両面テープを採取し、容器口を曇り性評価用のガラス板で封をし、120℃、10時間の加熱処理を行った後に、株式会社東洋精機製作所製のヘイズメーターによりヘイズ値の測定を行った。ヘイズ値が1%未満であったものを「○」、ヘイズ値が1%を超えるものを「×」として評価した。
【0030】
上記、実施例1〜3、および比較例1〜3の揮発性有機化合物量、曇り性の評価を行い結果を表1に纏めて示した。
【0031】
【表1】

【0032】
実施例1、2は、支持体の厚みがそれぞれ38μmと20μmであり、揮発性有機化合物量やヘイズ値が同じような値であることから、支持体からの揮発性有機化合物量の放出は殆どなく、再現性が確認される。実施例3は、実施例1とは、組成の異なるアクリル酸エステル共重合体を用い、また、粘着付与樹脂として用いたロジンエステルの軟化点が10℃低い粘着付与樹脂を用いており、揮発性有機化合物量が少し多くなり、ヘイズ値もやや増化した。これに対し、比較例1は、実施例1と同じアクリル酸エステル共重合体を用いているが、軟化点がそれより10℃低い、100℃のテルペン樹脂を粘着付与樹脂に用いており、揮発性有機化合物量が多く、ヘイズ値が増加した。同じく、比較例2は、軟化点75℃のロジンエステルを粘着付与樹脂に用いており、さらに揮発性有機化合物量が多く、ヘイズ値が増加した。比較例3は、実施例3と同じアクリル酸エステル共重合体を用いているが、軟化点75℃のロジンエステルを用いていることや90℃、3分と低い乾燥条件のため、さらに揮発性有機化合物量が多く、ヘイズ値が増加した。さらに、詳細に実験した結果、120℃、1時間加熱した時に発生する粘着剤中の揮発性有機化合物量が、30μg/cm以下であると、ヘイズ値が1%未満となり良好な値を示すことが分った。本発明では、用いたテルペン樹脂やロジンエステルの軟化点を、それらの分子量分布のパラメータとして示したが、低分子量物が揮発性有機化合物量に寄与しヘイズ値を高めていると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明による両面粘着テープの断面図の1例である。
【符号の説明】
【0034】
1 ・・・はく離ライナー
2 ・・・粘着剤
3 ・・・支持体
3a・・・白色ポリエステルフィルム層
3b・・・黒色インキ層



【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤層の主成分がアクリル酸エステル共重合体であり、120℃、1時間加熱した時に発生する粘着剤中の揮発性有機化合物量が30μg/cm以下である支持体の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープ。
【請求項2】
粘着剤層に、さらに粘着付与樹脂が含まれる請求項1に記載の両面粘着テープ。
【請求項3】
粘着付与樹脂がロジン系樹脂であり、その軟化点が80℃以上である請求項2に記載の両面粘着テープ。
【請求項4】
支持体の厚みが10〜50μmであり、光の反射性と遮光性を有する層を有し、一方を支持体中に、他方を支持体表面に有する支持体を用いる請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の両面粘着テープ。



【図1】
image rotate


【公開番号】特開2007−332306(P2007−332306A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−167324(P2006−167324)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【出願人】(000233170)日立化成ポリマー株式会社 (75)
【Fターム(参考)】