説明

中仕切り付き包装材

【課題】複雑な形状の物に対する耐衝撃性を確保しつつ、製造の容易な中仕切り付き包装材を提供する。
【解決手段】本発明の中仕切り付き包装材は、底面50及び両側面40、60を有する容器部、容器部内に側面に沿う方向に並んで設けられた複数の仕切り面33から構成される収納部を備え、一枚のブランクシートを折り曲げて成る。ブランクシートは、平行な境界線を介して連接された、接着面20、仕切り形成部30、左側面40、底面50、及び右側面60を備える。仕切り形成部30は境界線92から境界線91に至る切れ込み31により仕切り面33に分割され、切れ込み31は中央部31aとその両端から境界線91、92に向かって左右対称に斜めに延びる左右端部31bから成り、各境界線93、94を折り曲げて容器部を形成すると共に接着面20を右側面60に接着し、仕切り形成部34から底面50に向けて各仕切り面33を起立させることにより収納部が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を収容することができる中仕切り付き包装材に関する。
【背景技術】
【0002】
瓶などの破損しやすい物品を一つの容器に複数収納して運搬する場合、容器内で物品同士が衝突して破損することを避けるために、各物品の間に仕切りを設けることが必要となる。そのため、従来より、衝撃に弱い複数の物品を一度に収納、運搬するために、中仕切り付きの包装材が使用されている。
【0003】
このような中仕切り付きの包装材には、外容器と中仕切りが別構造になっており、組み立て時に外容器の内部に中仕切りを組み入れるものと、一枚のブランクシートを切り抜いて折り曲げることで外容器と中仕切りの両方を形成するものとがある。製造の容易性の点では、一枚のブランクシートから外容器と中仕切りの両方を形成できるものが好ましい。
【0004】
特許文献1には、1枚のブランクシートを折り曲げて組み立てることにより、底面、蓋面、4個の側面、及び複数の中仕切りを形成するようにした中仕切り付き紙製包装材が記載されている。図1は、ブランクシートのうち側面16の一部及びこの側面16に連なる仕切り形成部10の構成を示す。仕切り形成部10は複数の中仕切りを形成するための部分で、複数の切れ込み11や山折り線12、谷折り線13が形成されている。特許文献1の仕切り付き紙製容器では、仕切り形成部10を側面16との境界線15で180°折り曲げて各山折り線12、谷折り線13を折り曲げることにより、側面16から垂直に立ち上がった複数の仕切り板14が形成される。
【0005】
このように、一枚のブランクシートで外容器と中仕切りを形成するものでは、外容器を形成する作業に比べて中仕切りを形成する作業の方が面倒である反面、できあがった中仕切りの構造は単純であり、複雑な形状の物品や、曲面や球面を多く持つ物品を衝撃から守って収納・運搬するのに適切でない場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3138530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みて成されたものであり、複雑な形状の物品や、曲面や球面を多く持つ物品に対する耐衝撃性を確保しつつ、製造の容易な中仕切り付き包装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために成された本発明の第一の態様に係る中仕切り付き包装材は、少なくとも底面及びその両側の一対の側面を有する容器部、前記容器部内に前記側面に沿う方向に並んで設けられた複数の仕切り面から構成される収納部を備え、一枚のブランクシートを折り曲げて成る中仕切り付き包装材であって、
前記ブランクシートは、平行な境界線を介して順次連接された、接着面、仕切り形成部、左側面形成部、底面形成部、及び右側面形成部を備え、
前記仕切り形成部は、前記左側面形成部との境界線から前記接着面との境界線に至る1又は複数の切れ込みによって前記仕切り面に分割され、
前記切れ込みは、中央部と、該中央部の両端から前記境界線に向かって左右対称に斜めに延びる左右端部とから成り、
前記底面形成部と前記左側面形成部及び前記右側面形成部の境界線をそれぞれ折り曲げて前記容器部を形成すると共に前記接着面を前記右側面形成部に接着し、
前記仕切り形成部から前記底面に向けて前記各仕切り面を起立させることによって、前記収納部を形成することを特徴とする。
【0009】
上記課題を解決するために成された本発明の第二の態様に係る中仕切り付き包装材は、第一の態様に係る中仕切り付き包装材において、
前記仕切り形成部には、前記切れ込みの両端から隣接する切れ込み中央部の両端にそれぞれ至る一対の折り線が設けられ、
前記各仕切り面は、前記仕切り形成部を前記折り線で折り曲げることにより前記底面に向けて起立させたものであることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するために成された本発明の第三の態様に係る中仕切り付き包装材は、第一の態様に係る中仕切り付き包装材において、
前記底面は、前記収納部の仕切り面配列方向に延びる1つ又は複数の山折れ部を備え、
前記切れ込みの一部を前記山折れ部に固定することによって、前記各仕切り面が該底面に固定されることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明の第四の態様に係る中仕切り付き包装材は、第一から第三の態様に係る中仕切り付き包装材において、
さらに上蓋部が前記右側面に境界線を介して連接され、
該上蓋部は前記右側面との間の該境界線によって折り曲げることにより前記収納部を覆うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第一の態様に係る包装材では、仕切り形成部の端にある接着面を右側面形成部に接着することによって、仕切り形成部が底面の上部を覆う状態で固定される。仕切り形成部は、境界線に対して左右対称に斜めに延びる左右端部を持つ切れ込みによって各仕切り面に分割されており、分割された各仕切り面を仕切り形成部からねじり、底面に対して起立させることによって、収納部を形成することができる。このように、本発明に係る包装材では、各仕切り面は、底面の上部を覆うように固定された仕切り形成部から立ち上げられており、箱の一面から中仕切りが垂直に立ち上げられる従来の包装材とは異なる。また、仕切り形成部から仕切り面を折り曲げて立てるだけで中仕切りが形成されるため、従来よりも容易に中仕切りを形成することができる。
【0013】
本発明に係る包装材の各仕切り面は、仕切り形成部に切れ込みを設けて形成されたものであり、各仕切り面を適宜折り曲げて立ち上げることによって収納部が形成される。従って、切れ込みの形状や仕切り面の折り曲げ方を変えることによって、収納物品の形状に合うように収納部を形成することが可能である。例えば、各仕切り面を湾曲させた状態で立ち上げれば、湾曲面を有する物品に対し、従来よりフィットした収納ができる。また、仕切り面を底面に対して垂直に起立させることも斜めに起立させることも可能であり、底面に対する傾斜角を物品の形状に合わせて調整することも可能である。このように本発明に係る包装材では仕切り面の形態を変化させることができ、仕切り面の形状を従来より複雑にすることができるため、複雑な形状の物品に対する耐衝撃性を高めることができる。
【0014】
また、収納部の仕切り面配列方向に延びる1つ又は複数の山折り部を底面に設けた第三の態様に係る包装材では、切れ込みの一部が該山折り部に固定される。これにより、縦横両方向に仕切りを形成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の仕切り付き紙製容器の一例における部分展開図。
【図2】本発明の実施例1に係る包装材の展開図。
【図3】本発明の実施例1に係る包装材の斜視図。
【図4】本発明の実施例2に係る包装材の展開図。
【図5】本発明の実施例2に係る包装材の斜視図。
【図6】本発明の実施例2の変形例に係る包装材の一部展開図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施例について、図2〜図6を用いて説明する。
【実施例1】
【0017】
図2は本発明の実施例1に係る包装材の展開図であり、接着面20、仕切り形成部30、左側面形成部40、底面50、右側面形成部60、上蓋形成部70、上蓋差し込み部80が境界線91〜96を介して順に連接されている。これらの境界線91〜96は全て互いに平行である。なお、境界線91〜96や後述の折れ線32は図2では破線で示されており、これらの破線は谷折り線を意味している。以下の説明では、包装材の両面のうち、図2の手前側の面を内面、向こう側(裏側)の面を外面という。接着面20、左側面形成部40、及び右側面形成部60は同一の形状、大きさである。図3は図2の展開図を組み立てて作製された包装材の斜視図である。
【0018】
仕切り形成部30には、仕切り形成部30と接着面20との間の境界線91から、仕切り形成部30と左側面形成部40との間の境界線92に至る切れ込み31が4本設けられている。各切れ込み31は、境界線91、92に垂直な切れ込み中央部31aと、該切れ込み中央部31aの両端から境界線91、92に向かって左右対称に斜めに延びる切れ込み左右端部31bから成る。切れ込み31の両端から、隣接する切れ込み中央部31aの両端にかけて、折れ線32が設けられている。これらの切れ込み31と折れ線32により、仕切り形成部30は5個の仕切り面33と10個の仕切り保持部34に分割される。また、仕切り形成部30の両端部は切れ込み31と同一形状になっている。切れ込み中央部31aに沿う部分は接着面35になっている。
【0019】
上蓋形成部70に隣接する上蓋差し込み部80の端部には、差し込み片81が2つ設けられている。また、左側面形成部40には、各部を境界線91〜96で折り曲げて本包装材を組み立てた際、差し込み片81を差し入れる差し込み口41が2つ設けられている。
【0020】
本包装材の組み立て方を図2、図3を参照しつつ説明する。
まず、境界線91、92を谷折りにして接着面20と左側面形成部40を仕切り形成部30から立ち上げ、左側面形成部40と底面50との間の境界線93、及び底面50と右側面形成部60との間の境界線94を谷折りにして底面50に対して両側面40、60を立ち上げる。仕切り形成部30の外面が上を向くようにして仕切り形成部30で底面50の上部を覆い、接着面20を右側面形成部60に接着する。本実施例では、接着面20と右側面形成部60は同一の形状、大きさであるため、接着面20と右側面形成部60がほぼ重なるように両者を接着する。これにより、仕切り形成部30が底面50の上部を覆うような状態で固定される。
【0021】
仕切り形成部30の折れ線32から折り曲げ、各仕切り面33を底面50に対して立ち上げる。折れ線32は図2では谷折り線として表示されているが、仕切り形成部30は外面が上を向いた状態となっているため、ここでは折れ線32は山折りにする。収納する物品の形状に合うように、底面50に対する仕切り面33の傾斜を調整する。次に、各切れ込み中央部31aの端部に設けられた接着面35を底面50に接着して、各仕切り面を固定する。各仕切り面33は、底面50との接着面35と、仕切り保持部34とによって支持され、仕切り面33によって仕切られた収納部が完成する。
【0022】
次に、右側面形成部60と上蓋形成部70との境界線95、及び上蓋形成部70と上蓋差し込み部80との境界線96を折り曲げ、上蓋形成部70が収納部全体を覆うようにして、上蓋差し込み部80の差し込み片81を左側面形成部40の差し込み口41に差し込み、上蓋を固定する。
【実施例2】
【0023】
図4は本発明の実施例2に係る包装材の展開図、図5は図4の展開図を組み立てて作製された本実施例2の包装材の斜視図である。実施例1と同一の箇所には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0024】
実施例2に係る包装材は、底面50の中央に境界線91〜96と平行な山折り線51が、その両側に2本の谷折り線52が設けられている。また、切れ込み中央部31aに垂直で、隣接する切れ込み中央部31aまで到達しない程度の切れ目36が、切れ込み中央部31aの中央に設けられている。切れ目36の端部から切れ込み中央部31aには、斜めの折り線37が2本設けられている。
【0025】
実施例2に係る包装材では、底面50に設けられた山折り線51と2本の谷折り線52を予め折り曲げ、山型の中央仕切り53(図5参照)を形成しておく。次に、実施例1と同様、境界線91〜95で各部を折り曲げ、仕切り形成部30が底面50の上部を覆うように接着面20を右側面形成部60に接着する。
【0026】
各仕切り面33を折れ線32で折り曲げて、底面50に対して立ち上げる。切れ込み中央部31aに設けられた切れ目36に、底面50の中央仕切り53を嵌め込み、仕切り面33を中央仕切り53に固定する。このとき、中央仕切り53の形状に合うように仕切り面33を折り線37で適宜折り曲げ、折り曲げ部分を接着面38として中央仕切り53に接着する(図5では接着面38が省略して描かれている)。
【0027】
このように、実施例2に係る包装材では、収納部の仕切りが縦横両方向に形成されるため、実施例1より多くの物品を収納することが可能になる。また、底面50に設けた山折り線51と谷折り線52の間隔を適宜調整することで、中央仕切り部53の傾斜を物品の形状にフィットしたものにすることもできるため、例えば卵のような形状のものを収納、運搬する際にも耐衝撃性を高めることができる。
【0028】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲で変更が許容される。例えば、上記実施例1に係る包装材では、接着面35を底面50に接着することにより仕切り面33を固定しているが、各仕切り面33に差し込み片を、底面50に該差し込み片を差し込むための差し込み口をそれぞれ設け、差し込み片を底面50の差し込み口に差し込んで固定することも可能である。勿論、接着面35や差し込み片を設けず、仕切り面33を底面50に固定しないことも可能である。
【0029】
また、上記実施例2に係る包装材でも、仕切り面33の中央仕切り53への固定を差し込みによって行うことも可能である。その場合、例えば図6のように仕切り形成部30を構成し、切れ目36’の形状を中央仕切り53に、よりフィットした形とし、差し込み片39を設けて中央仕切り53に設けた差込口(図示なし)に差し込んで固定することもできる。また、中央仕切り53の頂部に差込口を一つ設け、仕切り面33を該差込口に差し込んで固定することもできる。
【0030】
また、上記実施例に係る包装材の底面50を垂直又は斜めに起立させ、展示台として使用することも可能である。その場合、各仕切り面33の底面50に対する傾斜角を調整することによって、容器部に収納された物品を見やすく展示することができる。店頭等で展示台として使用し、その後上蓋70を閉めて収納・運搬用に使用することも可能である。
【符号の説明】
【0031】
10…仕切り形成板
11…切れ込み
12…山折り線
13…谷折り線
14…仕切り板
15…境界
16…側面
20…接着面
30…仕切り形成部
31…切れ込み
31a…切れ込み中央部
31b…切れ込み左右端部
32…折れ線
33…仕切り面
34…仕切り支持部
35…接着面
36、36’…切れ目
37…折り線
38…接着面
39…差し込み片
40…左側面形成部
41…差し込み口
50…底面
51…山折り線
52…谷折り線
53…中央仕切り
60…右側面形成部
70…上蓋形成部
80…上蓋差し込み部
81…差し込み片
91〜96…境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも底面及びその両側の一対の側面を有する容器部、前記容器部内に前記側面に沿う方向に並んで設けられた複数の仕切り面から構成される収納部を備え、一枚のブランクシートを折り曲げて成る中仕切り付き包装材であって、
前記ブランクシートは、平行な境界線を介して順次連接された、接着面、仕切り形成部、左側面形成部、底面形成部、及び右側面形成部を備え、
前記仕切り形成部は、前記左側面形成部との境界線から前記接着面との境界線に至る1又は複数の切れ込みによって前記仕切り面に分割され、
前記切れ込みは、中央部と、該中央部の両端から前記境界線に向かって左右対称に斜めに延びる左右端部とから成り、
前記底面形成部と前記左側面形成部及び前記右側面形成部の境界線をそれぞれ折り曲げて前記容器部を形成すると共に前記接着面を前記右側面形成部に接着し、
前記仕切り形成部から前記底面に向けて前記各仕切り面を起立させることによって、前記収納部を形成することを特徴とする中仕切り付き包装材。
【請求項2】
請求項1に記載の中仕切り付き包装材において、
前記仕切り形成部には、前記切れ込みの両端から隣接する切れ込み中央部の両端にそれぞれ至る一対の折り線が設けられ、
前記各仕切り面は、前記仕切り形成部を前記折り線で折り曲げることにより前記底面に向けて起立させたものであることを特徴とする中仕切り付き包装材。
【請求項3】
請求項1に記載の中仕切り付き包装材において、
前記底面は、前記収納部の仕切り面配列方向に延びる1つ又は複数の山折れ部を備え、
前記切れ込みの一部を前記山折れ部に固定することによって、前記各仕切り面が該底面に固定されることを特徴とする中仕切り付き包装材。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の中仕切り付き包装材において、
さらに上蓋部が前記右側面に境界線を介して連接され、
該上蓋部は前記右側面との間の該境界線によって折り曲げることにより前記収納部を覆うことを特徴とする中仕切り付き包装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−46221(P2012−46221A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190350(P2010−190350)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000133157)株式会社TANAーX (28)
【Fターム(参考)】