説明

中度から重度のむずむず脚症候群(RLS)を治療するためのプラミペキソールの使用

本発明は、中度から重度のむずむず脚症候群(RLS)を治療するための、2-アミノ-6-n-プロピルアミノ- 4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ-チアゾール、その(+)- 若しくは (-)-鏡像異性体 またはその薬理学的に許容される塩の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、中度から重度のむずむず脚症候群(RLS)を治療するための、2-アミノ-6-n-プロピルアミノ- 4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ-チアゾール、その(+)- 若しくは (-)-鏡像異性体またはその薬理学的に許容される塩の使用に関する。
【0002】
プラミペキソール - 2-アミノ-6-n-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ-チアゾール ジヒドロクロリド- は、ドーパミン - D2/D3 作動薬であり、その合成は欧州特許第186 087号に記載されている。プラミペキソールは、単剤療法またはレボドパとの組み合わせての特発性パーキンソン病の治療用として主に知られている。独国特許出願DE 38 43 227からは、プラミペキソールがプロラクチン血清レベルを低下させることが知られ、また、独国特許出願 DE 39 33 738 からも、プラミペキソールを高レベルのTSHを低下させるために使用することが知られている。経皮投与が米国特許第51,112,842号に記載されており、また、WO 特許出願PCT/EP93/03389には、抗鬱薬としてのプラミペキソールの使用が記載されている。WO9831362には、むずむず脚症候群の治療にプラミペキソールを使用することが提案されている。
【0003】
むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群(Restless Legs Syndrome);同義語: RLS、不穏下肢症候群(anxietas tibiarum)、Wittmaack-Ekbom症候群)は、脚を動かすことを制御できない状態となることを特徴とする神経症である。通常、付随する症状として、チクチク感、引っ張り感のある痛み、引き裂き感、かゆみ、灼熱痛、痙攣などの脚の不快感、ときには痛みが挙げられる。RLSは30〜79歳の人の最大で10%程が罹患していると推定されている。これらの症状は夕方および夜になると悪化し、そのため、患者は多くの場合、さらに睡眠障害で苦しむ結果となる。その結末は、日中の倦怠感およびいらいら感、さらにそれに対応した日常業務および社会生活である。
RLSは、集団の中では広く一般的であるものの、この疾患は依然として多くが不明または未確定である。この疾患は世界中の何百万という人々の生活の質に影響する。患者は一般に、かれらの日常生活の中でのその影響を、高血圧、糖尿病または心臓疾患などの慢性疾患の影響よりも深刻であると感じる。
【0004】
患者の睡眠または生活の質がRLSによって徐々に大きく制約されてくる場合には治療が望ましい。治療の必要性は一般に40歳から50歳の年齢に生じる。治療的研究において、ドーパデカルボキシラーゼ阻害剤と組み合わせてのドーパミン作動薬、鎮静剤、ベンゾジアゼピン、カルバマゼピン、クロニジンまたはレボドパ(L-DOPA)での単剤療法は、異なる程度の成功を示した。最も多くの研究は、RLSに対するL-DOPAの使用において行われている。長期治療に使用された場合、痛みを大きく軽減して睡眠または生活の質を改善させる。しかしながら、L-DOPAによる治療の欠点は多くの患者において効果が薄れてくること、および/または、RLSの痛みが朝(リバウンド)または昼(増大)に置き換わることである。
【0005】
ラージスケール、無作為化臨床試験により、プラミペキソールが中度から重度のRLSに罹患した患者におけるRLS症状の速やかな改善につながることが明らかにされた。中度から重度のRLSという表現は、患者が、国際RLS基準(international RLS scale)で> 15 のポイントスコアに達した場合に使用される。前記基準は、0 (RLSの症状なし)から40 (RLSの最も深刻な形態)までにわたるものである。よって、中度から重度のRLSにおいては、症状は通常、週に2回より多く現れる。
1週間を経過しただけで、治療を受けた患者は、睡眠の質、脚のむずむず感等のすべての領域の症状において大きな改善を報告した。
【0006】
本発明の目的において、RLSの症状の改善という用語は、プラミペキソールが3週間の治療後におけるRLSRS基準のポイントスコアを少なくとも10ポイント、好ましくは少なくとも12ポイント、より好ましくは少なくとも14ポイント、そして最も好ましくは少なくとも15ポイント減少させることができることを意味し、また、このスコアは維持される。従って、プラミペキソールは、0.1〜1.5 mg、好ましくは 0.1〜1 mg、より好ましくは0.125 mg〜0.75 mgの活性物質を含む錠剤の形態での単回投与(1日1回服用)で極めて有効であり、かつ、十分に耐薬性がある。プラミペキソールを継続的に投与した場合、RLS患者における症状の改善は、少なくとも6ヶ月間以上持続する(持続効果)ことが発見された。
【0007】
好ましい日用量は0.08〜1 mgである。以下の日用量および中間のすべての値が好ましい: 0.088 mg、0.18 mg、0.125 mg、0.25 mg、0.35 mg、0.5 mg、0.7 mg、0.75 mg。
特に最も好ましいは0.18 mg〜0.5 mg、より好ましくは0.25 mg〜0.5 mgの日用量である。
この改善は、治療を受けた患者の主観的な印象にも反映されており、患者の多くは大きな、または非常に大きな改善を認識している。
公開試験によって、持続治療効果は12ヶ月を経過した後においても確認でことが示された。
【0008】
国際RLS基準については以下を参照する:
1. Allen, R. P., Picchietti, D., Hening, W. A., Trenkwalder, Allen, R. P., Picchietti, D., Hening, W. A., Trenkwalder, C., Walters, A. S., Montplaisir, J.: Restless legs syndrome: diagnostic criteria, special considerations, and epidemiology. A report from the restless legs syndrome diagnosis and epidemiology workshop at the National Institutes of Health. Sleep Med. 4 (2003), 101-120.
2. Walters, A. S. and the International Restless Legs Syndrome Study Group: Towards a better definition of the Restless Legs Syndrome. Mov. Disord. 10 (1995), 634-642.
【0009】
プラミペキソールは好ましくは遊離塩基として、2-アミノ-6-n-プロピルアミノ-4,5,6,7-テトラヒドロベンゾチアゾリンとして、または薬理学的に許容される塩の形態で使用される。特に好ましいのは塩酸との塩、特に二塩素水素化物である。
前述の錠剤以外に、プレーン(plain)またはコート錠剤、座剤、注射溶液またはドロップ剤などの他の製剤剤形が先行技術より知られている。
【0010】
臨床研究
RLSに罹患した患者に対するプラミペキソールの持続効果が、ドイツにおいて、多施設、プラセボ対照、二重盲検無作為化試験において研究された。臨床研究に参加したすべての患者は、まずプラミペキソールを6ヶ月摂取し、その後、無作為化二重盲研究制御退薬期を開始した。
6ヶ月の投与後に前述の治療効果を示したすべての患者が、治験の制御第2期に含められた。
特発性RLSに罹患し、治療に応答した150人の患者を無作為に選択し、プラセボ(n = 72) またはプラミペキソール (n = 78) で、0.125〜0.75 mgの個人別の投与量でさらに3ヶ月間投与した。プラセボ群においてはRLS症状が復活または増強し、一方でプラミペキソール群では患者は既に開始した治療の利益を引き続き受けるものと期待された。症状の深刻度は、国際RLS基準に従って、6ヶ月後の無作為化の時点と、試験後の結果との差によって判定した。147人の患者の結果を評価した。患者の平均年齢は59.6歳であり、72.8% が女性であり、症状は平均で5.6年間存在していた。RLS症状の深刻度は、試験期間中、プラミペキソール群よりもプラセボ群において著しく多く増加した。国際RLS基準によるベースラインからの標準偏差はプラセボ群では+14.86であり、プラミペキソール群では+2.03であった。この試験は、プラミペキソールによる継続的治療は、6ヶ月以上を超える期間においてもRLS症状の改善の持続につながることを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中度から重度のむずむず脚症候群の治療用の薬剤を調製するための、活性物質 2-アミノ-6-n-プロピルアミノ- 4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ-チアゾール、その (+)- 若しくは (-)-鏡像異性体およびその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項2】
罹患した未治療の患者の国際RLS基準のポイントスコアが > 15、好ましくは > 20 に達した場合に中度から重度のRLSが存在する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
症状が週に2回を超えて現れる場合に中度から重度のRLSが存在する、請求項1記載の使用。
【請求項4】
6ヶ月間および/またはそれより長く、好ましくは少なくとも7ヶ月間、より好ましくは少なくとも8ヶ月間(同期間中、活性物質は0.1〜1.5 mgの量で1日1回投与される)にわたってRLS症状の改善の持続を達成するための薬剤を調製するための、活性物質 2-アミノ-6-n-プロピルアミノ- 4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ-チアゾール、その(+)- 若しくは (-)-鏡像異性体およびその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項5】
RLSが中度から重度のRLSであり、かつ、好ましくは罹患した未治療の患者の国際RLS基準のポイントスコアが > 15、好ましくは > 20 に達する、請求項4記載の使用。
【請求項6】
RLSが中度から重度のRLSであり、かつ、好ましくは症状が週に2回より多く現れる、請求項4記載の使用。
【請求項7】
RLS症状の改善を1週間以内(同期間中、活性物質は0.1〜1 mgの量で1日1回投与される)に達成するための薬剤を調製するための、活性物質 2-アミノ-6-n-プロピルアミノ- 4,5,6,7-テトラヒドロベンゾ-チアゾール、その(+)- 若しくは (-)-鏡像異性体およびその薬理学的に許容される塩の使用。
【請求項8】
RLSが中度から重度のRLSであり、かつ、好ましくは罹患した未治療の患者の国際RLS基準のポイントスコアが > 15、好ましくは > 20 に達する、請求項8記載の使用。
【請求項9】
RLSが中度から重度のRLSであり、かつ、好ましくは症状が週に2回より多く現れる、請求項8記載の使用。

【公表番号】特表2009−511618(P2009−511618A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536031(P2008−536031)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067408
【国際公開番号】WO2007/045620
【国際公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】