中折れしないバルーンカテーテル
カテーテルに取り付けられた膨張可能なバルーンを含むバルーンカテーテルである。バルーンの基端部が、カテーテルの先端部に取り付けられ、これらの間に気密シールが設けられる。硬化部材がカテーテルの先端部の方向に延び、カテーテルの先端部に滑り接合部が形成され、該バルーンの該先端部が、該カテーテルの該先端部に対して軸方向に移動又は並進することを可能にする。この滑り接合部は、該バルーンとカテーテルとの間で張力又は圧縮力を伝達することなく、バルーンの軸方向の長さが膨張時に変化することを可能にし、これにより、横断方向の折り目が該バルーンの表面内に形成されることが防止され、カテーテルが湾曲されることが防止される。硬化部材はバルーンの先端部と整合し横方向の支持を与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具に関し、より具体的には、体腔内に配置することができ、種々の医療処置を行うために膨張させることができるバルーンカテーテルに関する。本発明は、特に、非エラストマーのフィルム又は材料から形成されたバルーンを有するバルーンカテーテルに関し、該バルーンを形成するフィルムは、該バルーンの収縮時に折り畳まれ、該バルーンの膨張時に広げられる。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2002年5月16日に出願された米国仮出願番号第60/381,975号の利益を主張する、2003年5月12日に出願された米国一部継続出願番号第10/436,452号であり、いずれも「Non−Buckling
Baloon Catheter」という名称である。
【背景技術】
【0003】
バルーンカテーテルは、種々の医療処置を行うために用いられ、そこで、バルーンは、体腔又は体内管内に位置させられ、次に膨張させられる。血管形成処置のようなこれらの医療処置の一部においては、バルーンを膨張させて、体内管の内容積を拡張する。この種類の処置においては、バルーンが拡張されて体内管の内面に圧力を加え、これにより該体内管内に突出する組織が圧縮され、該体内管の内容積が拡大される。組織が圧縮され体内管が広げられると、バルーンが収縮され取り除かれる。
【0004】
光線力学療法(PDT)のような他の種類の医療処置において、バルーンカテーテルは、カテーテルを体腔内で位置合わせし、安定化させるために用いられる。例えば、バルーンカテーテルは、食道のような体腔内で、低圧下で膨張させることができる。次に、バルーン付近で、治療用光ファイバ装置をカテーテル内に挿入する。次いで、治療用光ファイバ装置を用いて光波を放出し、周囲の組織を治療する。この処置においては、バルーンは、カテーテルを体腔の中心に位置合わせするためにも、PDT処置中に該カテーテルが動くのを防止するためにも用いられる。しかしながら、拡張されたバルーンによって、治療されるべき組織を過度に圧縮すべきではない。このように、バルーンは、体腔の内面に軽く接触し、カテーテルと位置合わせするのに十分なだけ拡張される。
【0005】
以下に説明されるように、従来のバルーンカテーテルは多数の欠点を有し、上述の処置の多く、特にPDT処置において、該バルーンカテーテルを不十分なものにする。
【0006】
典型的なバルーンカテーテル100が、図5A乃至図5Dに示される。図5Aによく見られるように、従来のバルーンカテーテル100は、カテーテル104に取り付けられたバルーン102を含む。バルーン102は、一般的には、非エラストマー材料(例えば、半硬性材料又は非順応性材料)から作られ、先端ネック部すなわち先端部106と、基端ネック部すなわち基端部108と、中央部分110とを含む。バルーン102は、カテーテル104の先端部112を、該バルーン102の基端部108に該基端部108を通して挿入することによって、該カテーテル104に取り付けられる。次に、バルーン102は、カテーテル104の先端部112が該バルーン102の先端部106に挿入されるまで、該カテーテル104の上を摺動される。次に、カテーテル104の先端部112は、接着剤、超音波溶接、又は他の方法によって、バルーン102の先端部106に取り付けられる。バルーン102の基端部108は、カテーテル104の外壁に同様に取り付けられ、該バルーン102の基端部を固定し、シールする。
【0007】
カテーテル104は、空気又は他の流体をバルーン102の内容積に導入するための開口114を含む。図には示されていないが、カテーテル104の基端部は、一般的には、流体をバルーン102の内容積に注入することによって該バルーン102を膨張させるか、又は流体を該バルーン102の内容積から引き抜くことによって該バルーン102を収縮させるように操作される、注射器のような装置に取り付けられる。
【0008】
従来のバルーンカテーテル100は、上述の処置の多くに用いるのに、特にPDT処置に用いるのに多数の欠点を有する。最初に製造された時、バルーンカテーテル100は、一般に、図5Aに示されるような形状及び構成を呈する。この図に見られるように、バルーン102の中央部分110は、テーパ状又は円錐状区分116によって、先端部106及び基端部108に連結される。テーパ状区分116は、バルーン102の中央部分110の大きな直径と、カテーテル104に連結された該バルーン102の最も外側の部分(すなわち先端部106及び基端部108)との間を移行している。
【0009】
製造業者による包装時又は医療処理の開始時に、バルーン102は、一般的に、バルーンカテーテル100を体内管に挿入する前に収縮させられる。バルーン102の収縮は、装置の断面又は直径全体を減少させ、該装置が内視鏡を通過し、及び/又は体内管を進み、これを通過することを可能にするため必要である。図5Bは、収縮状態のバルーンカテーテル100を示す。この図に見られるように、バルーン102の長さが、圧縮させられる。これは、カテーテル104のほぼ軸方向に(すなわち、バルーン102の一端から他端まで)該バルーン102の表面に沿って測定される、中央部分110及びテーパ状部分116を形成する材料の全長が、先端部106と基端部108との間の距離より大きいためである。この圧縮の結果、一般に、バルーン102の表面に沿って横断方向の折り目118が形成される。
【0010】
バルーンカテーテル100が、所望の位置で体内管(図示せず)内に配置された後、図5Cに示されるように、バルーン102の膨張が開始される。図に示されるように、材料の表面の折り目118は、バルーン102が通常の長さ(すなわち、図5Aに示されるような)まで完全に拡張するのを防止することができる。言い換えれば、バルーン102は、張力を受けているばねのように作用する傾向がある。その結果、バルーン102の先端部106と基端部108との間にあるカテーテル104の部分が、強制的に圧縮されるようになり、これらの圧縮力の結果として湾曲(120)し始める。
【0011】
図5Dに示されるように、バルーン102の膨張が続くにつれて、カテーテル104の湾曲120を増大させることができる。これは、バルーンの中央部分110を横断方向又は外側に拡張させた結果であり、先端部106及び基端部108を互いの方向に引っ張る傾向がある。
【0012】
十分に高い膨張圧がバルーン102に加えられるまで(図5Aを参照されたい)、カテーテル104の湾曲120をなくすことはできない。しかしながら、バルーン102の最初の収縮(図5Bを参照されたい)が永久的な横断方向の折り目118をもたらした場合には、それでもカテーテル104に何らかの湾曲120が残ることがある。バルーン102が非エラストマー材料から構成される場合には、カテーテル104の永久的な湾曲120がより起こりやすい。
【0013】
横断方向の折り目118の形成及びカテーテル104の湾曲120は、特定の医療処置の際に、従来のバルーンカテーテルの使用に悪影響を与えることがある。例えば、血管形成処置中、バルーン102の表面の永久的な折り目118が、該バルーン102が拡張される体内管の内面上の組織を完全又は均一に圧縮するのを妨げることがある。
【0014】
PDT処置に関しては、カテーテル104の湾曲120により、治療されることになる体腔又は体内管内での該カテーテル104の正確な位置合わせ及びセンタリングが妨げられることがある。これは、一般的なPDT処置では、拡張したバルーン102が、体内管の内面上に過度の圧力を及ぼすことも、強く接触することもできないからである。このように、カテーテル104の湾曲120をなくすのに十分な圧力でバルーン102を膨張させることはできない。したがって、カテーテル104を適切に体内管の中央に置くことができない。その結果、カテーテル104の内側に配置された治療用光ファイバ装置を用いて体腔組織を効果的に治療することが妨げられ得る。
【0015】
さらに、バルーン102の先端部106及び基端部108が、共に固定(すなわち移動不能な)位置でカテーテル104に固定されているので、特に該バルーン102が非エラストマー材料から作られている場合には、収縮されたバルーン102の直径を減少させる能力が制限され得る。言い換えれば、バルーン102の材料内に形成された折り目118のために、収縮中にバルーン102の中央部分110をカテーテル104の周りできつく圧縮することができない(図5Bを参照されたい)。同様に、バルーン材料が団子状になることで、バルーン102の収縮された直径又は断面が制限されることがある。その結果、体内管を通して装置を出し入れする際に該装置を操縦することがより困難になる。さらに、結果として生じるバルーン102の「折り目がついた」面は、装置を出し入れする際体内管の組織に刺激を与え、及び/又は該装置が内視鏡チャネルを通過するのを妨げることがある。
【0016】
必要とされるのは、従来の装置の欠点を克服する改善されたバルーンカテーテルである。特に、必要とされるのは、体内の管及び/又は内視鏡チャネルを通して出し入れするために最小の直径まで収縮することができ、収縮の際にバルーンの表面に横断方向の折り目が形成されにくく、膨張時に該バルーン内に配置されるカテーテル部分が湾曲しにくい、バルーンカテーテルである。
【発明の開示】
【0017】
本発明のバルーンカテーテルによって上記の問題が解決され、技術的進歩が達成される。このバルーンカテーテルは、カテーテルに取り付けられた丸形状又は円筒形状のバルーンを含む。このバルーンは、先端部と基端部と中央部分とを含み、非エラストマー材料で形成することができる。バルーンは、カテーテルの先端部が該バルーンの先端部の一部に挿入されるまで、該カテーテルの該先端部を該バルーンの基端部内に該バルーンの該基端部を通して挿入することによって、該カテーテルに取り付けられる。次に、バルーンの基端部は、カテーテルの外側に取り付けられ、これらの部品の間に気密シールを提供する。
【0018】
カテーテルの基端部は、バルーンの先端部に取り付けられていない。本発明の一態様において、カテーテルは、バルーンの基端部、又はその付近で終端している。硬化部材がカテーテル内に配置されバルーンの内側を通って先端側に延び、バルーンの先端部と滑り接合部を形成している。 滑り接合部によって、硬化部材に対するバルーンの軸方向での整合を維持しながらバルーンの先端部が軸方向へ動き、又はカテーテルの先端部に対して移動することができる。
【0019】
上述の構成によって、バルーンが膨張又は収縮する間、バルーンの全長が変化するが、その変化はカテーテルの長さに妨げられることはない。さらに、上述の構成は、カテーテルと硬化部材の相対的な軸方向の硬性が、バルーン内に何らかの軸方向の張力又は圧縮力を生じさせることを防止する。その結果、バルーンの中央部分の横断方向の折り目が排除されるか、又は少なくとも最小に抑えられる。さらに、体内管及び/又は内視鏡チャネルを通してバルーンを出し入れするために、バルーンの中央部分をより小さな直径又は断面につぶすことができる。
【0020】
滑り接合部(すなわち、カテーテルをバルーンの両端部間に連結しないようにすること)は、バルーンが、装置の膨張又は収縮時に該カテーテル内にあらゆる不都合な力を生じさせることも防止する。特に、バルーンの先端部がカテーテルの先端部としっかりと連結されていないので、バルーンの軸方向の伸縮が、該カテーテルの軸に沿った如何なる張力又は圧縮力にも影響を与えず、該バルーンの膨張又は収縮の結果として、該カテーテルは湾曲されも引き伸ばされもしない。したがって、カテーテルは、バルーンの膨張状態にもかかわらず、該バルーンの断面に対して中央に置かれたままである。
【0021】
これら及びその他の利点、並びに本発明自体は、下記により完全に説明されるような構成及び作動の詳細において明らかになるであろう。さらに、本発明の幾つかの態様を、他の種類のバルーンカテーテル又は医療装置と共に用い得ることも理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら例としていくつか述べる。
【図1】本発明の教示によるバルーンカテーテルの例証となる実施形態の側断面図である。
【図2】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第2の実施形態の側断面図である。
【図3】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第3の実施形態の側断面図である。
【図4】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第4の実施形態の側断面図である。
【図5A−D】種々の段階の膨張及び収縮における従来のバルーンカテーテルの側断面図を示す。
【図6】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第5の実施形態の側断面図である。
【図7】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第6の実施形態の側断面図である。
【図8】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第7の実施形態の側断面図である。
【図9】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第8の実施形態の側断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のバルーンカテーテル10の第1の実施形態が、図1に示される。このバルーンカテーテル10は、カテーテル14に取り付けられた、円形、楕円形、円筒形、弾丸状、又は他の適切な形状のバルーン12を含む。バルーン12は、一般的には、非エラストマー材料(例えば、半硬性材料又は非順応性材料)から作られ、半透明、透明、又は光学的に透明なフィルムを含むことが好ましい。例えば、バルーン12は、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン・テレフタレートなどのような、生物学的適合性を有するポリマーから作ることができる。
【0024】
図に示されるように、バルーン12は、先端部16と、基端部18と、中央部分20とを含む。しかしながら、バルーン12に、異なる構成又は設計を用いることもできる。例えば、先端部16及び基端部18の両方が、ネック部を形成するように、管状の構造で構成することができる。バルーン12は、カテーテル14の先端部22を該バルーン12の基端部18に該基端部18を通して挿入することによって、該カテーテル14に取り付けられる。次に、バルーン12は、カテーテル14の先端部22が該バルーン12の先端部16に挿入されるまで、該カテーテル14の上を摺動される。次に、バルーン12の基端部18は、接着剤、超音波溶接、又は他の方法によって、カテーテル14の外壁に取り付けられ、該バルーン12の該基端部を固定し、シールする。示される好ましい実施形態において、これらの2つの部品の間のシールの完全性を改善するように、基端部18の内径は、カテーテル14の上にきつく又はぴったりと嵌合するような大きさにされている。
【0025】
カテーテル14の先端部22は、バルーン12の先端部16に取り付けられていない。図に示されるように、カテーテル14の先端部22は、バルーン12の先端部16内に完全にではないが部分的に延びており、これらの2つの部品の間に滑り接合部26を形成する。滑り接合部26によって、カテーテル14の先端部22に対してバルーン12の先端部16が軸方向へ動く、すなわち移動することができる。この構成によって、バルーン12の軸方向すなわち長手方向の全長が、張力又は圧縮力をカテーテル14に伝達することなく、膨張又は収縮中に変化することが可能になる。例えば、バルーン12が収縮されるとき、中央部分20がカテーテル14に向けて内側に引っ張られるにつれて、該バルーン12が軸方向に伸長する傾向があり、これにより該バルーン12の先端部16が、該カテーテル14の先端部22から又は該先端部22に対して先端方向に移動される。バルーン12の先端部16が軸方向に移動することが防止されないので、収縮中に該バルーン12の中央部分20に横断方向の折り目が寄ることが排除されるか、又は少なくとも最小に抑えられる。さらに、体内管及び/又は内視鏡チャネルを通してバルーンカテーテル10を出し入れするために、バルーン12の中央部分20をより小さな直径又は断面となるようにつぶすことができる。
【0026】
滑り接合部26は、装置の膨張又は収縮の際に、バルーン12によってカテーテル14に不都合な力が加わることも防止する。特に、バルーン12の先端部16は、カテーテル14の先端部22に連結されていないので、該バルーン12の如何なる軸方向の伸縮も、該カテーテル14への張力又は圧縮力に影響を与えない。言い換えれば、バルーン12の膨張又は収縮の結果として、カテーテル14は、湾曲されも引き伸ばされもしない。したがって、カテーテル14は、バルーン12が膨張状態であるにもかかわらず、該バルーン12の断面積に対して中央に置かれたままである。
【0027】
カテーテル14の先端部22をバルーン12の先端部16内に部分的に延ばすことによって、該カテーテル14の該先端部22が、該バルーン12の該先端部16に幾らかの横方向すなわち横断方向の支持を与えることができる。装置が体内管に挿入されるとき、この横方向の支持が、該装置を案内するのを助け、バルーン12が折り重なるか又はつぶれるのを防止することができる。バルーン12の先端部16の長さ、及び内部のカテーテル14の先端部22の位置は、これらの部品が、装置の膨張及び収縮の全ての段階に応答して互いに対して自由に移動することを可能にするのに十分なものにすべきである。
【0028】
バルーン12の先端部16は、該バルーン12を囲むようにシールされる。示される好ましい実施形態において、バルーン12の先端部16は、該バルーン12のネック部内に小さなロッドを挿入し、シールすることによって形成される。体内管及び体腔へ、該体内管及び該体腔並びに内視鏡のチャネルを通ってバルーンカテーテル10が進入し易くするために、バルーン12の先端部16を丸くすることもできる。さらに、バルーン12の先端部16の内径をカテーテル14の先端部22の外径よりわずかに大きくし、カテーテル14の先端部22を通過させることによって、空気又は流体をバルーン12の内容積に入れるか、又は該バルーン12の内容積から取り除くことが可能になる。代替的に、先端部22の近くであるが、バルーン12の内容積内の場所において、カテーテル14の壁内に孔28を設けることもできる。
【0029】
バルーン12の中央部分20には、長手方向すなわち軸方向に延びるひだ又は折り目24を設けることができる。これらの折り目24が折り目をもたらし、該折り目に沿って、収縮時にバルーン12の表面が折り畳まれるか又はひだをつけられる。折り目24により、バルーン12の中央部分20を最小の断面積又は直径につぶすことが可能になり、同じ領域に沿った横断方向又は横方向の折り目の形成が防止される。
【0030】
カテーテル14の基端部6は、一般的に、標準的な医療用注射器のような膨張用装置8に連結される。膨張用装置8は、カテーテル14の内部を通って延びる内腔を介して、バルーン12の内部と流体連通状態にある。カテーテル14は、造影剤又はガイドワイヤ(図示せず)を通すことができる付加的な内腔を含むこともできる。
【0031】
本発明のバルーンカテーテル30の第2の実施形態が、図2に示される。この実施形態のバルーンカテーテル30は、図1に示されるバルーンカテーテル10の実施形態に類似しているが、相対的に可撓性の部分34と相対的に硬性の部分36とを有する二部品カテーテル32を含む。可撓性部分34は、ほぼバルーン40の基端部38からカテーテル32の基端部46にかけて延びている。可撓性部分34は、図1に示される第1の実施形態のカテーテル14のものと類似した設計及び構成を有する。
【0032】
硬性部分36は、ほぼバルーン40の基端部38からカテーテル32の先端部42にかけて延びている。言い換えれば、硬性部分36は、カテーテル32の、バルーン40内に配置された部分である。硬性部分36は、それ自体の重量又はバルーン40の重量のもとで撓みにくく、該バルーン40の先端部44に向上した横方向の支持を与えることができる。カテーテル32の硬性部分36の向上した硬性は、該カテーテル32内で治療用光ファイバ装置(図示せず)を適切にセンタリング及び位置合わせすることが重要である、PDT処置に用いるために特に有利である。
【0033】
図示の実施形態において、可撓性部分34は、好ましくはバルーン40の基端部38内に配置された接合部48で硬性部分36に連結されている。基端部38は、接合部48に補強を与え、これらの部品の間のシールの完全性をも改善する。
【0034】
上述の二部品カテーテル32を除いては、第2の実施形態のバルーンカテーテル30の残りの部品は、第1の実施形態のバルーンカテーテル10の部品と同じか又は類似している。したがって、これらの部品の詳細な説明及びそれらの機能は、ここでは繰り返さない。
【0035】
本発明のバルーンカテーテル50の第3の実施形態が、図3に示される。この実施形態のバルーンカテーテル50は、該バルーンカテーテル50もまた可撓性部分54及び硬性部分56を有する二部品カテーテル52を含むという点で、図2に示されるバルーンカテーテル30の実施形態に類似している。しかしながら、硬性部分56は、バルーン60の先端部64まで延びていない。言い換えれば、硬性部分56は、バルーン60の基端部58付近から、該バルーン60の内容積の途中まで延びているだけであり、該硬性部分56の先端部62は、該バルーン60の先端部64と共に滑り接合部を形成していない。
【0036】
上述の二部品カテーテル52及びその硬性部分56の長さを除くと、第3の実施形態のバルーンカテーテル50の残りの部品は、第2の実施形態のバルーンカテーテル30の部品と同じか又は類似している。したがって、これらの部品の詳細な説明及びその機能は、ここでは繰り返さない。
【0037】
本発明のバルーンカテーテル70の第4の実施形態が、図4に示される。この実施形態のバルーンカテーテル70は、図1に示されるバルーンカテーテル10の実施形態に類似しているが、可撓性部分74と、区分化された部分すなわち離間配置された部分76とを有する区分化されたカテーテル72を含む。可撓性部分74は、バルーン80の基端部78からカテーテル72の基端部86まで延びる。可撓性部分74は、図1に示される第1の実施形態のカテーテル14のものに類似した設計及び構造を有する。可撓性部分74の先端部92は、接着剤又は他の形態の結合によって、バルーン80の基端部78に取り付けられる。区分化部分76は、硬性としても可撓性としてもよく、中空としても中実としてもよい。言い換えれば、区分化部分76が、膨張用装置(図示せず)とバルーン80との間で流体を運ぶ必要があるとは限らないので、該区分化部分76は、カテーテル状の管と対照的に、棒状の長さの材料とすることができる。
【0038】
区分化部分76の先端部82は、バルーン80の先端部84に取り付けられる。区分化部分76は、先端部82から基端方向に延び、該バルーン80の基端部78内で終端する。区分化部分76の基端部90は、バルーン80の基端部78に取り付けられても、結合されてもいず、基端部78内で自由に軸方向に移動できる。言い換えれば、滑り接合部94が、区分化部分76の基端部90とバルーン80の基端部78との間に形成される。バルーン80の基端部78内において区分化部分76の基端部90と可撓性部分74の先端部92との間に、隙間88が設けられる。この隙間88は、バルーン80が膨張及び収縮時に長手方向に伸縮する際に、区分化部分76が該バルーン80の基端部78内に長手方向に移動するための空間を提供し、膨張用装置(図示せず)からの流体が、可撓性部分74の先端部92を通って、バルーン80の内部に通ることを可能にする。バルーン80の基端部8は、区分化部分76の基端部90に横方向の支持も与える。
【0039】
この実施形態は、バルーン80、及びカテーテル72の区分化部分76が、該バルーン80の基端部78付近で撓むことを可能にする。このことは、装置を体内管内に該体内管を通して挿入する際に、向上したバルーンカテーテル70の操縦性をもたらすことができる。
【0040】
もちろん、区分化部分76が、バルーン80の基端部78の手前で終端することを理解すべきである。言い換えれば、区分化部分76は、バルーン80の内容積内に部分的にだけ延び、これにより、該バルーン80の基端部78との如何なる接触も排除される。
【0041】
上述の区分化されたカテーテル72、及びバルーン80の基端部78における滑り接合部94の位置を除くと、第4の実施形態のバルーンカテーテル70の残りの部品は、第1の実施形態のバルーンカテーテル10の部品と同じか又は類似している。したがって、これらの部品の詳細な説明及びそれらの機能は、ここでは繰り返さない。
【0042】
本発明のバルーンカテーテル120の第5の実施形態が、図6に示される。この実施形態のバルーンカテーテル120は、この実施形態が、区分化されたカテーテルすなわち二部品カテーテル122を含むという点で、図4に示されるバルーンカテーテル70の実施形態と類似している。しかしながら、カテーテル122の基端領域124は、該カテーテルの基端部126から、バルーン130の基端部128を通り、該バルーン130の内容積内に延び、該バルーン130の中央部分付近で終端する。カテーテル122の基端領域124は、バルーン130の基端部128に取り付けられる。
【0043】
カテーテル122の先端領域132は、バルーン130の先端部134に取り付けられ、同様に該バルーン130の内容積内に延び、該バルーン130の中央部分付近で終端する。カテーテル122の先端領域132の基端部136は、該カテーテル122の基端領域124の先端部138と摺動配置状態で重なる。示される実施形態において、カテーテル122の先端領域132の基端部136は、該カテーテル122の基端領域124の先端部138の外径よりわずかに大きい内径を有する管状の拡張部分を含み、これらの2つのカテーテル部品間の相対的な軸方向の移動を可能にする。この種類の連結は、嵌め込み型の連結と呼ばれることが多い。
【0044】
本発明のバルーンカテーテル140の第6の実施形態が、図7に示される。この実施形態のバルーンカテーテル140は、この実施形態が、区分化されたすなわち二部品カテーテル142を含み、該カテーテル142の基端領域144が、該カテーテルの基端部146から、バルーン150の基端148を通り、該バルーン150の内容積内に延び、該バルーン150の中央部分付近で終端するという点で、図6に示されるカテーテル120の実施形態と類似している。カテーテル142の基端領域144は、バルーン150の基端部148に取り付けられる。
【0045】
カテーテル142の先端部152は、バルーン150の先端部154に取り付けられ、同様に該バルーン150の内容積内に延び、該バルーン150の中央部分付近で終端する。カテーテル142の先端領域152の基端部156は、該カテーテル142の基端領域144の先端部158と摺動配置状態で重なる。示される実施形態において、カテーテル142の先端領域152は、該カテーテル142の基端領域144の先端部158の外径よりわずかに大きい内径を有する均一の管状断面を含み、これらの2つのカテーテル部品間の相対的な軸方向の移動を可能にする。
【0046】
第5及び第6の実施形態(図6及び図7)、別箇のカテーテル区分の重なり部分は、バルーンの軸方向の伸縮を妨げることなく、該バルーンに横断方向すなわち横方向の安定性を与える。これは、バルーンが、単一の位置においてカテーテルの部分のいずれか1つに固定的に連結されるだけであるためである。
【0047】
本発明のバルーンカテーテル160の第7の実施形態が、図8に示される。本実施形態のバルーンカテーテル160は、先端部でバルーン168の基端部166に固定的に連結された可撓性のある細長外側カテーテル162を含む。外側カテーテル162の基端部170は、標準的な医療用注射器(図1で示す)のような膨張用装置に連結されるよう構成されたルアー接続部172を含む。該外側カテーテル162は、上述の実施形態に関して述べた構造と類似する構造を備えている。
【0048】
バルーンカテーテル160は、更に外側カテーテル162の管腔176内に配置された細長硬化部材174を含む。該細長部材174の直径又は断面積は、一般に、ルアー接続部172(すなわち、膨張用装置)とバルーン168の内側の間を流体が流れるよう、管腔176の直径又は断面積より小さい。代わりに、外側カテーテル162は、膨張用流体の通路のために別の管腔を含むこともできる。
【0049】
図8に示すように、硬化部材174は、基端部176かまたは基端部付近でルアー接続部172に接続される。硬化部材174の先端部178は、外側カテーテル162の先端部164から先端方向へ、バルーン168の内側を通って、バルーン168の先端部182に形成されたスリーブ180内に延びる。図示の実施形態では、スリーブ180は、バルーン168の先端部182に固定されている端部キャップによって形成されている。端部キャップ184はバルーン168との間に機密シールを提供し、その先端部は、バルーンカテーテル160が患者の体腔を通って進入し易く、端部キャップ184が体腔の壁面に穴を開けたり傷つけたりすることのないよう丸みを帯びている。端部キャップ184は、バルーンカテーテル160を更に進入し易くし、その進入によって生じる可能性のある刺激を抑えるため柔らかなプラスチック材料で作ることができる。
【0050】
硬化部材174の先端部178は、スリーブ180と摺動可能に係合し、図1で示すようなバルーンカテーテル10の滑り接合部26に類似した滑り接合部186を形成する。これまでに詳細に述べたように、滑り接合部186によって、硬化部材174の先端部178に対してバルーン168の先端部182が軸方向へ動く、すなわち移動することができる。この構成によって、バルーン168の軸方向すなわち長手方向の全長が、張力又は圧縮力を外側カテーテル162又は硬化部材174のいずれかに伝達することなく、膨張又は収縮中に変化することが可能になる。
【0051】
図8に示す実施形態では、カラーすなわちカニューレ188は、スリーブ180の内側に配置されている。カニューレ188は、硬化部材174がカニューレ188に対して軸方向に移動、すなわち摺動することができるように硬化部材174の外径よりわずかに大きい内径を有している。言い換えると、滑り接合部186は、硬化部材174とカニューレ188が相互に作用することによって形成されている。カニューレ188は、バルーン168の先端部182の中心軸で硬化部材174と整合している。カニューレ188を端部キャップ184のスリーブ180内に配置するために圧入接続が用いられている。圧入接続は、カニューレ188の外径をスリーブ180の内径よりわずかに大きくすることによって形成されている。カニューレ188は、患者の体内にあるバルーン168の先端部182の正確な位置を特定するための放射線不透過性参照ポイントを提供するために金属又はその他の放射線不透過性材料で作ることができる。
【0052】
硬化部材174の先端部178はビーズを含む。ビーズ186は、特に患者の体腔にバルーンカテーテル160を挿入する過程で端部キャップ184が曲がってしまった場合に、硬化部材174の先端部と端部キャップ184のスリーブ180の内側表面との間の摩擦を抑えるように先端が丸められている。ビーズ186は、またカニューレ188の内径より大きい断面直径を有する。この配置状態によって、バルーン168が仮に患者の体内で破れたとしてもバルーン168の先端部182が硬化部材174から外れることのないようになっている。より詳細には、バルーン168の先端部182がバルーン168の残りの部分から外れても、ビーズ186によってカニューレ188が硬化部材174の先端部178から滑り落ちることのないようになっている。
【0053】
図8に示す実施形態では、硬化部材174は、外側カテーテル162の先端部164に固定的に係合されている。より詳細には、外側カテーテル162の先端部164は、外側カテーテル162の内腔176の内径を硬化部材174の外径に向かって減ずるようにテーパーされたガイド部材190を含む。代わりに、ガイド部材190を、硬化部材174と外側カテーテル162との間で滑り係合できるように構成することができる。ガイド部材190の先端部の直径が減ずることによって硬化部材174がバルーン168の基端部164の中心軸と整合する。ガイド部材190は、膨張用流体が外側カテーテル162の内腔176とバルーン168の内側の間を流れるように1つ以上の孔すなわちポート192を含む。ガイド部材190は、患者の体内にあるバルーン168の基端部182の正確な位置を特定するための放射線不透過性参照ポイントを提供するために金属又はその他の放射線不透過性材料で作ることができる。
【0054】
硬化部材174は、外側カテーテル162の曲げに対する硬さすなわち曲げ抵抗より強い硬さすなわち曲げ抵抗を有することのできるソリッドワイヤーを含む。硬化部材174は、バルーン168の先端部186の整合を維持することに加えて、バルーンカテーテル174の全体的な硬さと押し出し易さを高めている。言い換えると、バルーンカテーテル160の全体的な硬さと押し出し易さは、硬化部材174と外側カテーテル162の組み合わせによって実現されている。硬化部材174は、また患者の体内にあるバルーン168の中心軸(中心線)の正確な位置を特定するための放射線不透過性参照ポイントを提供する。
【0055】
硬化部材174は、断面が、円形又は非円形のいずれかとすることができる。特に、非円形断面(つまり、三角又は星型)によって、外側カテーテル162の内腔176を通る膨張用流体の流れを妨げることなく硬化部材174の強さすなわち硬さを増すことができる。硬化部材174は、また中に管腔を配置した中空断面を含むこともできる。図9で示す第8の実施形態に関して以下で述べるように、硬化部材174の内部を通って延びる内腔は、ワイヤガイドを収容するために使用することができる。
【0056】
硬化部材174は、長さ方向に沿って不均一な特性とすることができる。例えば、硬化部材174は、その基端部176から先端部178に向かって硬さが減少するようにテーパー状(つまり、断面積が減少する)とすることができる。硬化部材174は、また異なる物理的特性を有する異なる材料で作ることもできる。その長さに亘って減少する硬さを有する硬化部材174は、バルーンカテーテル200を押す能力(すなわち押し出し力)が最も重要となるバルーンカテーテル160の基端部170の近くではよりすぐれた硬さを与え、曲がりくねった経路に沿ってバルーンカテーテル200を導く能力が最も重要となる先端部164の近くではよりすぐれた可撓性を与えている。硬化部材174は、また異なる物理的特性を有する異なる材料で作ることもできる。
【0057】
本発明のバルーンカテーテル200の第8の実施形態が、図9に示される。この実施形態のバルーンカテーテル200は、この実施形態が、外側カテーテル202とその中に配置された区分化された内側部材204を含むという点で、図8に示されるバルーンカテーテル160の実施形態と類似している。しかしこの実施形態のバルーンカテーテル200では、内側部材204はワイヤガイド208を受け入れるようになされた内側管腔206を有するカニューレすなわちカテーテルからなる。内側部材の先端部210は、バルーン216の先端部214で端部キャップ212に結合されている。内側部材204の基端部218は、ルアー接続部220の近くの外側カテーテル202の壁面の中を通るか、またはその壁面に取り付けられている。ワイヤガイド208を内側管腔206の中に挿入し外出すことができるよう内側部材204の両端部210、218にポートが設けられている。本発明のその他の特徴は上述の他の実施形態と類似しているので、ここでは繰り返さない。
【0058】
この実施形態では、外側カテーテル202と内側カテーテル204は、それぞれバルーン216に、かつ相互に固定的に連結されている。従って、外側カテーテル202及び/又は内側部材204は、バルーンが膨張し、または収縮することによるバルーンのいかなる延び縮みにも対応できるよう構成される。言い換えると、バルーンカテーテル200は、外側カテーテル及び/又は内側カテーテル204の長さが、バルーン216の長さの変化に対応し、適応するように構成されている。外側カテーテル202と内側カテーテル204の全長がバルーン216の長さよりかなり長いので、外側カテーテル202及び/又は内側カテーテル204によって対応されなければならない軸方向の膨張または収縮は、比較的長い範囲に亘って広がる。
【0059】
図9に示す実施形態では、内側部材204は、異なる物理的または材料的特性を有する基端領域224と先端領域226を含む。基端領域224は、可撓性材料で作られるか、そうでなければバルーン216の長さの変化に反応して(外側カテーテル202に対して)長さが容易に伸縮するよう構成されている。基端領域224とは対照的に、先端領域26は、バルーン216の先端部214に横方向の支持を与えるように比較的硬性の材料から作られている。より硬性の先端領域226もまた、外側カテーテル202に追加的な硬さを与えるためにバルーン216の基端方向に延ばすこともできる。よじれ易くなる弱い領域を避けるために、内側部材204のより可撓性の基端領域224に隣接する外側カテーテル202の部分を硬くすることができる。外側カテーテル202を硬くするには、例えば、外側カテーテルの断面積を増やすか、または(図示しない)別の硬化部材を含めることによって実現できる。
【0060】
代わりに、外側部材202を、バルーン216の長さの変化に対応して容易に長さが変わるような弾性の高い材料を含むことができる。例えば、外側カテーテル202(またはその部分)を弾性材料で作られるか、そうでなければバルーン216の長さの変化に反応して(内側部材204に対して)長さが容易に伸縮するよう構成されている。そのような実施形態では、内側部材204を、バルーン216の先端部214だけでなく外側カテーテル202に硬さすなわち横方向の支持を与えるために比較的硬性の材料で作ることができる。言い換えると、内側部材204は、バルーンカテーテル200にとって主要な硬化部材として機能することになる。
【0061】
本実施形態のバルーンカテーテル200は、ワイヤガイド208が患者の体腔にあらかじめ置かれる医療処置で使用するようになっている。そのような処置では、患者の体外に延びるワイヤガイド208の基端部をポート222を通してバルーンカテーテル200の先端部の内側管腔208内(すなわち、内側部材206の先端部212内)へ挿入する。バルーンカテーテル200は、次にバルーン216が患者の体内の所望の位置に配置されるまでワイヤガイド上を押される。医療処置の初期の段階で患者の体内に事前に配置されたワイヤガイド208によってバルーンカテーテル200は患者の体内へすばやく挿入され、導かれる。バルーンは、次に他の実施形態でこれまで述べたように膨張される。
【0062】
ワイヤガイド208は、ワイヤガイド208の患者の体外に延びている部分がバルーンカテーテル200の内側部材204の全長より十分長くなければならないことが分かるはずである。この長さは、内側部材204の先端部210(または端部キャップ)が患者の体内に挿入される前にワイヤガイド208の基端部が内側部材204の基端部218(及び基端ポート222)で内側部材204の外に延びるために必要である。これによってバルーンカテーテル200をワイヤガイド208に装填し患者の体内へ挿入する間、いつでもワイヤガイド208を所定の位置に保持することができる。
【0063】
図9に示す実施形態では、内側部材204の基端部218(及び基端ポート222)が比較的コネクター220の近くに配置されている。従って、内側部材204は、バルーンカテーテルのかなりの部分に亘って延びている。装置のほぼ全体に亘って延びているワイヤガイドを有するカテーテル装置は、一般的にオーバーザワイヤー装置と呼ばれる。しかし、より短い内側部材204を用いることもできる。例えば、内側部材204の基端部218(及び基端ポート222)をバルーン216のより近くに配置することができる。代わりに、中間的な箇所で内側管腔208にアクセスできるように外側部材に追加的なポート222を設けることができる。そのような実施形態では、ワイヤガイド208は、バルーン216の基端部に近い箇所で内側部材208から出る。この状態では内側管腔208の長さがバルーンカテーテル200の長さよりもだいぶ短いので患者の体外へ延びるワイヤガイド208がだいぶ短くなる。より短いワイヤガイド管腔を有するか、またはワイヤガイド管腔へ中間でアクセスできるカテーテル装置は、一般的にラピッドエクスチェンジ装置と呼ばれる。
【0064】
要素がここで開示されたように実行することが必要される属性を有する限り、本発明の開示された実施形態の種々の要素の構造又は構成のうちの開示されていない又は付随的な他の詳細は、本発明の利点の達成に重要なものではないと考えられる。これら及び他の詳細の構成の選択は、本開示に鑑みて、十分に関連技術分野における当業者の能力の範囲内であると考えられる。本発明の例証となる実施形態が、本発明を有利に実行する実際的で有効な構造を開示するために、極めて詳細に説明された。ここに説明される設計は、例示のためだけであることが意図される。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の新規な特徴を他の構造形態に組み入れることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用具に関し、より具体的には、体腔内に配置することができ、種々の医療処置を行うために膨張させることができるバルーンカテーテルに関する。本発明は、特に、非エラストマーのフィルム又は材料から形成されたバルーンを有するバルーンカテーテルに関し、該バルーンを形成するフィルムは、該バルーンの収縮時に折り畳まれ、該バルーンの膨張時に広げられる。
【0002】
(関連出願)
本出願は、2002年5月16日に出願された米国仮出願番号第60/381,975号の利益を主張する、2003年5月12日に出願された米国一部継続出願番号第10/436,452号であり、いずれも「Non−Buckling
Baloon Catheter」という名称である。
【背景技術】
【0003】
バルーンカテーテルは、種々の医療処置を行うために用いられ、そこで、バルーンは、体腔又は体内管内に位置させられ、次に膨張させられる。血管形成処置のようなこれらの医療処置の一部においては、バルーンを膨張させて、体内管の内容積を拡張する。この種類の処置においては、バルーンが拡張されて体内管の内面に圧力を加え、これにより該体内管内に突出する組織が圧縮され、該体内管の内容積が拡大される。組織が圧縮され体内管が広げられると、バルーンが収縮され取り除かれる。
【0004】
光線力学療法(PDT)のような他の種類の医療処置において、バルーンカテーテルは、カテーテルを体腔内で位置合わせし、安定化させるために用いられる。例えば、バルーンカテーテルは、食道のような体腔内で、低圧下で膨張させることができる。次に、バルーン付近で、治療用光ファイバ装置をカテーテル内に挿入する。次いで、治療用光ファイバ装置を用いて光波を放出し、周囲の組織を治療する。この処置においては、バルーンは、カテーテルを体腔の中心に位置合わせするためにも、PDT処置中に該カテーテルが動くのを防止するためにも用いられる。しかしながら、拡張されたバルーンによって、治療されるべき組織を過度に圧縮すべきではない。このように、バルーンは、体腔の内面に軽く接触し、カテーテルと位置合わせするのに十分なだけ拡張される。
【0005】
以下に説明されるように、従来のバルーンカテーテルは多数の欠点を有し、上述の処置の多く、特にPDT処置において、該バルーンカテーテルを不十分なものにする。
【0006】
典型的なバルーンカテーテル100が、図5A乃至図5Dに示される。図5Aによく見られるように、従来のバルーンカテーテル100は、カテーテル104に取り付けられたバルーン102を含む。バルーン102は、一般的には、非エラストマー材料(例えば、半硬性材料又は非順応性材料)から作られ、先端ネック部すなわち先端部106と、基端ネック部すなわち基端部108と、中央部分110とを含む。バルーン102は、カテーテル104の先端部112を、該バルーン102の基端部108に該基端部108を通して挿入することによって、該カテーテル104に取り付けられる。次に、バルーン102は、カテーテル104の先端部112が該バルーン102の先端部106に挿入されるまで、該カテーテル104の上を摺動される。次に、カテーテル104の先端部112は、接着剤、超音波溶接、又は他の方法によって、バルーン102の先端部106に取り付けられる。バルーン102の基端部108は、カテーテル104の外壁に同様に取り付けられ、該バルーン102の基端部を固定し、シールする。
【0007】
カテーテル104は、空気又は他の流体をバルーン102の内容積に導入するための開口114を含む。図には示されていないが、カテーテル104の基端部は、一般的には、流体をバルーン102の内容積に注入することによって該バルーン102を膨張させるか、又は流体を該バルーン102の内容積から引き抜くことによって該バルーン102を収縮させるように操作される、注射器のような装置に取り付けられる。
【0008】
従来のバルーンカテーテル100は、上述の処置の多くに用いるのに、特にPDT処置に用いるのに多数の欠点を有する。最初に製造された時、バルーンカテーテル100は、一般に、図5Aに示されるような形状及び構成を呈する。この図に見られるように、バルーン102の中央部分110は、テーパ状又は円錐状区分116によって、先端部106及び基端部108に連結される。テーパ状区分116は、バルーン102の中央部分110の大きな直径と、カテーテル104に連結された該バルーン102の最も外側の部分(すなわち先端部106及び基端部108)との間を移行している。
【0009】
製造業者による包装時又は医療処理の開始時に、バルーン102は、一般的に、バルーンカテーテル100を体内管に挿入する前に収縮させられる。バルーン102の収縮は、装置の断面又は直径全体を減少させ、該装置が内視鏡を通過し、及び/又は体内管を進み、これを通過することを可能にするため必要である。図5Bは、収縮状態のバルーンカテーテル100を示す。この図に見られるように、バルーン102の長さが、圧縮させられる。これは、カテーテル104のほぼ軸方向に(すなわち、バルーン102の一端から他端まで)該バルーン102の表面に沿って測定される、中央部分110及びテーパ状部分116を形成する材料の全長が、先端部106と基端部108との間の距離より大きいためである。この圧縮の結果、一般に、バルーン102の表面に沿って横断方向の折り目118が形成される。
【0010】
バルーンカテーテル100が、所望の位置で体内管(図示せず)内に配置された後、図5Cに示されるように、バルーン102の膨張が開始される。図に示されるように、材料の表面の折り目118は、バルーン102が通常の長さ(すなわち、図5Aに示されるような)まで完全に拡張するのを防止することができる。言い換えれば、バルーン102は、張力を受けているばねのように作用する傾向がある。その結果、バルーン102の先端部106と基端部108との間にあるカテーテル104の部分が、強制的に圧縮されるようになり、これらの圧縮力の結果として湾曲(120)し始める。
【0011】
図5Dに示されるように、バルーン102の膨張が続くにつれて、カテーテル104の湾曲120を増大させることができる。これは、バルーンの中央部分110を横断方向又は外側に拡張させた結果であり、先端部106及び基端部108を互いの方向に引っ張る傾向がある。
【0012】
十分に高い膨張圧がバルーン102に加えられるまで(図5Aを参照されたい)、カテーテル104の湾曲120をなくすことはできない。しかしながら、バルーン102の最初の収縮(図5Bを参照されたい)が永久的な横断方向の折り目118をもたらした場合には、それでもカテーテル104に何らかの湾曲120が残ることがある。バルーン102が非エラストマー材料から構成される場合には、カテーテル104の永久的な湾曲120がより起こりやすい。
【0013】
横断方向の折り目118の形成及びカテーテル104の湾曲120は、特定の医療処置の際に、従来のバルーンカテーテルの使用に悪影響を与えることがある。例えば、血管形成処置中、バルーン102の表面の永久的な折り目118が、該バルーン102が拡張される体内管の内面上の組織を完全又は均一に圧縮するのを妨げることがある。
【0014】
PDT処置に関しては、カテーテル104の湾曲120により、治療されることになる体腔又は体内管内での該カテーテル104の正確な位置合わせ及びセンタリングが妨げられることがある。これは、一般的なPDT処置では、拡張したバルーン102が、体内管の内面上に過度の圧力を及ぼすことも、強く接触することもできないからである。このように、カテーテル104の湾曲120をなくすのに十分な圧力でバルーン102を膨張させることはできない。したがって、カテーテル104を適切に体内管の中央に置くことができない。その結果、カテーテル104の内側に配置された治療用光ファイバ装置を用いて体腔組織を効果的に治療することが妨げられ得る。
【0015】
さらに、バルーン102の先端部106及び基端部108が、共に固定(すなわち移動不能な)位置でカテーテル104に固定されているので、特に該バルーン102が非エラストマー材料から作られている場合には、収縮されたバルーン102の直径を減少させる能力が制限され得る。言い換えれば、バルーン102の材料内に形成された折り目118のために、収縮中にバルーン102の中央部分110をカテーテル104の周りできつく圧縮することができない(図5Bを参照されたい)。同様に、バルーン材料が団子状になることで、バルーン102の収縮された直径又は断面が制限されることがある。その結果、体内管を通して装置を出し入れする際に該装置を操縦することがより困難になる。さらに、結果として生じるバルーン102の「折り目がついた」面は、装置を出し入れする際体内管の組織に刺激を与え、及び/又は該装置が内視鏡チャネルを通過するのを妨げることがある。
【0016】
必要とされるのは、従来の装置の欠点を克服する改善されたバルーンカテーテルである。特に、必要とされるのは、体内の管及び/又は内視鏡チャネルを通して出し入れするために最小の直径まで収縮することができ、収縮の際にバルーンの表面に横断方向の折り目が形成されにくく、膨張時に該バルーン内に配置されるカテーテル部分が湾曲しにくい、バルーンカテーテルである。
【発明の開示】
【0017】
本発明のバルーンカテーテルによって上記の問題が解決され、技術的進歩が達成される。このバルーンカテーテルは、カテーテルに取り付けられた丸形状又は円筒形状のバルーンを含む。このバルーンは、先端部と基端部と中央部分とを含み、非エラストマー材料で形成することができる。バルーンは、カテーテルの先端部が該バルーンの先端部の一部に挿入されるまで、該カテーテルの該先端部を該バルーンの基端部内に該バルーンの該基端部を通して挿入することによって、該カテーテルに取り付けられる。次に、バルーンの基端部は、カテーテルの外側に取り付けられ、これらの部品の間に気密シールを提供する。
【0018】
カテーテルの基端部は、バルーンの先端部に取り付けられていない。本発明の一態様において、カテーテルは、バルーンの基端部、又はその付近で終端している。硬化部材がカテーテル内に配置されバルーンの内側を通って先端側に延び、バルーンの先端部と滑り接合部を形成している。 滑り接合部によって、硬化部材に対するバルーンの軸方向での整合を維持しながらバルーンの先端部が軸方向へ動き、又はカテーテルの先端部に対して移動することができる。
【0019】
上述の構成によって、バルーンが膨張又は収縮する間、バルーンの全長が変化するが、その変化はカテーテルの長さに妨げられることはない。さらに、上述の構成は、カテーテルと硬化部材の相対的な軸方向の硬性が、バルーン内に何らかの軸方向の張力又は圧縮力を生じさせることを防止する。その結果、バルーンの中央部分の横断方向の折り目が排除されるか、又は少なくとも最小に抑えられる。さらに、体内管及び/又は内視鏡チャネルを通してバルーンを出し入れするために、バルーンの中央部分をより小さな直径又は断面につぶすことができる。
【0020】
滑り接合部(すなわち、カテーテルをバルーンの両端部間に連結しないようにすること)は、バルーンが、装置の膨張又は収縮時に該カテーテル内にあらゆる不都合な力を生じさせることも防止する。特に、バルーンの先端部がカテーテルの先端部としっかりと連結されていないので、バルーンの軸方向の伸縮が、該カテーテルの軸に沿った如何なる張力又は圧縮力にも影響を与えず、該バルーンの膨張又は収縮の結果として、該カテーテルは湾曲されも引き伸ばされもしない。したがって、カテーテルは、バルーンの膨張状態にもかかわらず、該バルーンの断面に対して中央に置かれたままである。
【0021】
これら及びその他の利点、並びに本発明自体は、下記により完全に説明されるような構成及び作動の詳細において明らかになるであろう。さらに、本発明の幾つかの態様を、他の種類のバルーンカテーテル又は医療装置と共に用い得ることも理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら例としていくつか述べる。
【図1】本発明の教示によるバルーンカテーテルの例証となる実施形態の側断面図である。
【図2】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第2の実施形態の側断面図である。
【図3】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第3の実施形態の側断面図である。
【図4】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第4の実施形態の側断面図である。
【図5A−D】種々の段階の膨張及び収縮における従来のバルーンカテーテルの側断面図を示す。
【図6】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第5の実施形態の側断面図である。
【図7】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第6の実施形態の側断面図である。
【図8】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第7の実施形態の側断面図である。
【図9】本発明の教示によるバルーンカテーテルの第8の実施形態の側断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明のバルーンカテーテル10の第1の実施形態が、図1に示される。このバルーンカテーテル10は、カテーテル14に取り付けられた、円形、楕円形、円筒形、弾丸状、又は他の適切な形状のバルーン12を含む。バルーン12は、一般的には、非エラストマー材料(例えば、半硬性材料又は非順応性材料)から作られ、半透明、透明、又は光学的に透明なフィルムを含むことが好ましい。例えば、バルーン12は、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン・テレフタレートなどのような、生物学的適合性を有するポリマーから作ることができる。
【0024】
図に示されるように、バルーン12は、先端部16と、基端部18と、中央部分20とを含む。しかしながら、バルーン12に、異なる構成又は設計を用いることもできる。例えば、先端部16及び基端部18の両方が、ネック部を形成するように、管状の構造で構成することができる。バルーン12は、カテーテル14の先端部22を該バルーン12の基端部18に該基端部18を通して挿入することによって、該カテーテル14に取り付けられる。次に、バルーン12は、カテーテル14の先端部22が該バルーン12の先端部16に挿入されるまで、該カテーテル14の上を摺動される。次に、バルーン12の基端部18は、接着剤、超音波溶接、又は他の方法によって、カテーテル14の外壁に取り付けられ、該バルーン12の該基端部を固定し、シールする。示される好ましい実施形態において、これらの2つの部品の間のシールの完全性を改善するように、基端部18の内径は、カテーテル14の上にきつく又はぴったりと嵌合するような大きさにされている。
【0025】
カテーテル14の先端部22は、バルーン12の先端部16に取り付けられていない。図に示されるように、カテーテル14の先端部22は、バルーン12の先端部16内に完全にではないが部分的に延びており、これらの2つの部品の間に滑り接合部26を形成する。滑り接合部26によって、カテーテル14の先端部22に対してバルーン12の先端部16が軸方向へ動く、すなわち移動することができる。この構成によって、バルーン12の軸方向すなわち長手方向の全長が、張力又は圧縮力をカテーテル14に伝達することなく、膨張又は収縮中に変化することが可能になる。例えば、バルーン12が収縮されるとき、中央部分20がカテーテル14に向けて内側に引っ張られるにつれて、該バルーン12が軸方向に伸長する傾向があり、これにより該バルーン12の先端部16が、該カテーテル14の先端部22から又は該先端部22に対して先端方向に移動される。バルーン12の先端部16が軸方向に移動することが防止されないので、収縮中に該バルーン12の中央部分20に横断方向の折り目が寄ることが排除されるか、又は少なくとも最小に抑えられる。さらに、体内管及び/又は内視鏡チャネルを通してバルーンカテーテル10を出し入れするために、バルーン12の中央部分20をより小さな直径又は断面となるようにつぶすことができる。
【0026】
滑り接合部26は、装置の膨張又は収縮の際に、バルーン12によってカテーテル14に不都合な力が加わることも防止する。特に、バルーン12の先端部16は、カテーテル14の先端部22に連結されていないので、該バルーン12の如何なる軸方向の伸縮も、該カテーテル14への張力又は圧縮力に影響を与えない。言い換えれば、バルーン12の膨張又は収縮の結果として、カテーテル14は、湾曲されも引き伸ばされもしない。したがって、カテーテル14は、バルーン12が膨張状態であるにもかかわらず、該バルーン12の断面積に対して中央に置かれたままである。
【0027】
カテーテル14の先端部22をバルーン12の先端部16内に部分的に延ばすことによって、該カテーテル14の該先端部22が、該バルーン12の該先端部16に幾らかの横方向すなわち横断方向の支持を与えることができる。装置が体内管に挿入されるとき、この横方向の支持が、該装置を案内するのを助け、バルーン12が折り重なるか又はつぶれるのを防止することができる。バルーン12の先端部16の長さ、及び内部のカテーテル14の先端部22の位置は、これらの部品が、装置の膨張及び収縮の全ての段階に応答して互いに対して自由に移動することを可能にするのに十分なものにすべきである。
【0028】
バルーン12の先端部16は、該バルーン12を囲むようにシールされる。示される好ましい実施形態において、バルーン12の先端部16は、該バルーン12のネック部内に小さなロッドを挿入し、シールすることによって形成される。体内管及び体腔へ、該体内管及び該体腔並びに内視鏡のチャネルを通ってバルーンカテーテル10が進入し易くするために、バルーン12の先端部16を丸くすることもできる。さらに、バルーン12の先端部16の内径をカテーテル14の先端部22の外径よりわずかに大きくし、カテーテル14の先端部22を通過させることによって、空気又は流体をバルーン12の内容積に入れるか、又は該バルーン12の内容積から取り除くことが可能になる。代替的に、先端部22の近くであるが、バルーン12の内容積内の場所において、カテーテル14の壁内に孔28を設けることもできる。
【0029】
バルーン12の中央部分20には、長手方向すなわち軸方向に延びるひだ又は折り目24を設けることができる。これらの折り目24が折り目をもたらし、該折り目に沿って、収縮時にバルーン12の表面が折り畳まれるか又はひだをつけられる。折り目24により、バルーン12の中央部分20を最小の断面積又は直径につぶすことが可能になり、同じ領域に沿った横断方向又は横方向の折り目の形成が防止される。
【0030】
カテーテル14の基端部6は、一般的に、標準的な医療用注射器のような膨張用装置8に連結される。膨張用装置8は、カテーテル14の内部を通って延びる内腔を介して、バルーン12の内部と流体連通状態にある。カテーテル14は、造影剤又はガイドワイヤ(図示せず)を通すことができる付加的な内腔を含むこともできる。
【0031】
本発明のバルーンカテーテル30の第2の実施形態が、図2に示される。この実施形態のバルーンカテーテル30は、図1に示されるバルーンカテーテル10の実施形態に類似しているが、相対的に可撓性の部分34と相対的に硬性の部分36とを有する二部品カテーテル32を含む。可撓性部分34は、ほぼバルーン40の基端部38からカテーテル32の基端部46にかけて延びている。可撓性部分34は、図1に示される第1の実施形態のカテーテル14のものと類似した設計及び構成を有する。
【0032】
硬性部分36は、ほぼバルーン40の基端部38からカテーテル32の先端部42にかけて延びている。言い換えれば、硬性部分36は、カテーテル32の、バルーン40内に配置された部分である。硬性部分36は、それ自体の重量又はバルーン40の重量のもとで撓みにくく、該バルーン40の先端部44に向上した横方向の支持を与えることができる。カテーテル32の硬性部分36の向上した硬性は、該カテーテル32内で治療用光ファイバ装置(図示せず)を適切にセンタリング及び位置合わせすることが重要である、PDT処置に用いるために特に有利である。
【0033】
図示の実施形態において、可撓性部分34は、好ましくはバルーン40の基端部38内に配置された接合部48で硬性部分36に連結されている。基端部38は、接合部48に補強を与え、これらの部品の間のシールの完全性をも改善する。
【0034】
上述の二部品カテーテル32を除いては、第2の実施形態のバルーンカテーテル30の残りの部品は、第1の実施形態のバルーンカテーテル10の部品と同じか又は類似している。したがって、これらの部品の詳細な説明及びそれらの機能は、ここでは繰り返さない。
【0035】
本発明のバルーンカテーテル50の第3の実施形態が、図3に示される。この実施形態のバルーンカテーテル50は、該バルーンカテーテル50もまた可撓性部分54及び硬性部分56を有する二部品カテーテル52を含むという点で、図2に示されるバルーンカテーテル30の実施形態に類似している。しかしながら、硬性部分56は、バルーン60の先端部64まで延びていない。言い換えれば、硬性部分56は、バルーン60の基端部58付近から、該バルーン60の内容積の途中まで延びているだけであり、該硬性部分56の先端部62は、該バルーン60の先端部64と共に滑り接合部を形成していない。
【0036】
上述の二部品カテーテル52及びその硬性部分56の長さを除くと、第3の実施形態のバルーンカテーテル50の残りの部品は、第2の実施形態のバルーンカテーテル30の部品と同じか又は類似している。したがって、これらの部品の詳細な説明及びその機能は、ここでは繰り返さない。
【0037】
本発明のバルーンカテーテル70の第4の実施形態が、図4に示される。この実施形態のバルーンカテーテル70は、図1に示されるバルーンカテーテル10の実施形態に類似しているが、可撓性部分74と、区分化された部分すなわち離間配置された部分76とを有する区分化されたカテーテル72を含む。可撓性部分74は、バルーン80の基端部78からカテーテル72の基端部86まで延びる。可撓性部分74は、図1に示される第1の実施形態のカテーテル14のものに類似した設計及び構造を有する。可撓性部分74の先端部92は、接着剤又は他の形態の結合によって、バルーン80の基端部78に取り付けられる。区分化部分76は、硬性としても可撓性としてもよく、中空としても中実としてもよい。言い換えれば、区分化部分76が、膨張用装置(図示せず)とバルーン80との間で流体を運ぶ必要があるとは限らないので、該区分化部分76は、カテーテル状の管と対照的に、棒状の長さの材料とすることができる。
【0038】
区分化部分76の先端部82は、バルーン80の先端部84に取り付けられる。区分化部分76は、先端部82から基端方向に延び、該バルーン80の基端部78内で終端する。区分化部分76の基端部90は、バルーン80の基端部78に取り付けられても、結合されてもいず、基端部78内で自由に軸方向に移動できる。言い換えれば、滑り接合部94が、区分化部分76の基端部90とバルーン80の基端部78との間に形成される。バルーン80の基端部78内において区分化部分76の基端部90と可撓性部分74の先端部92との間に、隙間88が設けられる。この隙間88は、バルーン80が膨張及び収縮時に長手方向に伸縮する際に、区分化部分76が該バルーン80の基端部78内に長手方向に移動するための空間を提供し、膨張用装置(図示せず)からの流体が、可撓性部分74の先端部92を通って、バルーン80の内部に通ることを可能にする。バルーン80の基端部8は、区分化部分76の基端部90に横方向の支持も与える。
【0039】
この実施形態は、バルーン80、及びカテーテル72の区分化部分76が、該バルーン80の基端部78付近で撓むことを可能にする。このことは、装置を体内管内に該体内管を通して挿入する際に、向上したバルーンカテーテル70の操縦性をもたらすことができる。
【0040】
もちろん、区分化部分76が、バルーン80の基端部78の手前で終端することを理解すべきである。言い換えれば、区分化部分76は、バルーン80の内容積内に部分的にだけ延び、これにより、該バルーン80の基端部78との如何なる接触も排除される。
【0041】
上述の区分化されたカテーテル72、及びバルーン80の基端部78における滑り接合部94の位置を除くと、第4の実施形態のバルーンカテーテル70の残りの部品は、第1の実施形態のバルーンカテーテル10の部品と同じか又は類似している。したがって、これらの部品の詳細な説明及びそれらの機能は、ここでは繰り返さない。
【0042】
本発明のバルーンカテーテル120の第5の実施形態が、図6に示される。この実施形態のバルーンカテーテル120は、この実施形態が、区分化されたカテーテルすなわち二部品カテーテル122を含むという点で、図4に示されるバルーンカテーテル70の実施形態と類似している。しかしながら、カテーテル122の基端領域124は、該カテーテルの基端部126から、バルーン130の基端部128を通り、該バルーン130の内容積内に延び、該バルーン130の中央部分付近で終端する。カテーテル122の基端領域124は、バルーン130の基端部128に取り付けられる。
【0043】
カテーテル122の先端領域132は、バルーン130の先端部134に取り付けられ、同様に該バルーン130の内容積内に延び、該バルーン130の中央部分付近で終端する。カテーテル122の先端領域132の基端部136は、該カテーテル122の基端領域124の先端部138と摺動配置状態で重なる。示される実施形態において、カテーテル122の先端領域132の基端部136は、該カテーテル122の基端領域124の先端部138の外径よりわずかに大きい内径を有する管状の拡張部分を含み、これらの2つのカテーテル部品間の相対的な軸方向の移動を可能にする。この種類の連結は、嵌め込み型の連結と呼ばれることが多い。
【0044】
本発明のバルーンカテーテル140の第6の実施形態が、図7に示される。この実施形態のバルーンカテーテル140は、この実施形態が、区分化されたすなわち二部品カテーテル142を含み、該カテーテル142の基端領域144が、該カテーテルの基端部146から、バルーン150の基端148を通り、該バルーン150の内容積内に延び、該バルーン150の中央部分付近で終端するという点で、図6に示されるカテーテル120の実施形態と類似している。カテーテル142の基端領域144は、バルーン150の基端部148に取り付けられる。
【0045】
カテーテル142の先端部152は、バルーン150の先端部154に取り付けられ、同様に該バルーン150の内容積内に延び、該バルーン150の中央部分付近で終端する。カテーテル142の先端領域152の基端部156は、該カテーテル142の基端領域144の先端部158と摺動配置状態で重なる。示される実施形態において、カテーテル142の先端領域152は、該カテーテル142の基端領域144の先端部158の外径よりわずかに大きい内径を有する均一の管状断面を含み、これらの2つのカテーテル部品間の相対的な軸方向の移動を可能にする。
【0046】
第5及び第6の実施形態(図6及び図7)、別箇のカテーテル区分の重なり部分は、バルーンの軸方向の伸縮を妨げることなく、該バルーンに横断方向すなわち横方向の安定性を与える。これは、バルーンが、単一の位置においてカテーテルの部分のいずれか1つに固定的に連結されるだけであるためである。
【0047】
本発明のバルーンカテーテル160の第7の実施形態が、図8に示される。本実施形態のバルーンカテーテル160は、先端部でバルーン168の基端部166に固定的に連結された可撓性のある細長外側カテーテル162を含む。外側カテーテル162の基端部170は、標準的な医療用注射器(図1で示す)のような膨張用装置に連結されるよう構成されたルアー接続部172を含む。該外側カテーテル162は、上述の実施形態に関して述べた構造と類似する構造を備えている。
【0048】
バルーンカテーテル160は、更に外側カテーテル162の管腔176内に配置された細長硬化部材174を含む。該細長部材174の直径又は断面積は、一般に、ルアー接続部172(すなわち、膨張用装置)とバルーン168の内側の間を流体が流れるよう、管腔176の直径又は断面積より小さい。代わりに、外側カテーテル162は、膨張用流体の通路のために別の管腔を含むこともできる。
【0049】
図8に示すように、硬化部材174は、基端部176かまたは基端部付近でルアー接続部172に接続される。硬化部材174の先端部178は、外側カテーテル162の先端部164から先端方向へ、バルーン168の内側を通って、バルーン168の先端部182に形成されたスリーブ180内に延びる。図示の実施形態では、スリーブ180は、バルーン168の先端部182に固定されている端部キャップによって形成されている。端部キャップ184はバルーン168との間に機密シールを提供し、その先端部は、バルーンカテーテル160が患者の体腔を通って進入し易く、端部キャップ184が体腔の壁面に穴を開けたり傷つけたりすることのないよう丸みを帯びている。端部キャップ184は、バルーンカテーテル160を更に進入し易くし、その進入によって生じる可能性のある刺激を抑えるため柔らかなプラスチック材料で作ることができる。
【0050】
硬化部材174の先端部178は、スリーブ180と摺動可能に係合し、図1で示すようなバルーンカテーテル10の滑り接合部26に類似した滑り接合部186を形成する。これまでに詳細に述べたように、滑り接合部186によって、硬化部材174の先端部178に対してバルーン168の先端部182が軸方向へ動く、すなわち移動することができる。この構成によって、バルーン168の軸方向すなわち長手方向の全長が、張力又は圧縮力を外側カテーテル162又は硬化部材174のいずれかに伝達することなく、膨張又は収縮中に変化することが可能になる。
【0051】
図8に示す実施形態では、カラーすなわちカニューレ188は、スリーブ180の内側に配置されている。カニューレ188は、硬化部材174がカニューレ188に対して軸方向に移動、すなわち摺動することができるように硬化部材174の外径よりわずかに大きい内径を有している。言い換えると、滑り接合部186は、硬化部材174とカニューレ188が相互に作用することによって形成されている。カニューレ188は、バルーン168の先端部182の中心軸で硬化部材174と整合している。カニューレ188を端部キャップ184のスリーブ180内に配置するために圧入接続が用いられている。圧入接続は、カニューレ188の外径をスリーブ180の内径よりわずかに大きくすることによって形成されている。カニューレ188は、患者の体内にあるバルーン168の先端部182の正確な位置を特定するための放射線不透過性参照ポイントを提供するために金属又はその他の放射線不透過性材料で作ることができる。
【0052】
硬化部材174の先端部178はビーズを含む。ビーズ186は、特に患者の体腔にバルーンカテーテル160を挿入する過程で端部キャップ184が曲がってしまった場合に、硬化部材174の先端部と端部キャップ184のスリーブ180の内側表面との間の摩擦を抑えるように先端が丸められている。ビーズ186は、またカニューレ188の内径より大きい断面直径を有する。この配置状態によって、バルーン168が仮に患者の体内で破れたとしてもバルーン168の先端部182が硬化部材174から外れることのないようになっている。より詳細には、バルーン168の先端部182がバルーン168の残りの部分から外れても、ビーズ186によってカニューレ188が硬化部材174の先端部178から滑り落ちることのないようになっている。
【0053】
図8に示す実施形態では、硬化部材174は、外側カテーテル162の先端部164に固定的に係合されている。より詳細には、外側カテーテル162の先端部164は、外側カテーテル162の内腔176の内径を硬化部材174の外径に向かって減ずるようにテーパーされたガイド部材190を含む。代わりに、ガイド部材190を、硬化部材174と外側カテーテル162との間で滑り係合できるように構成することができる。ガイド部材190の先端部の直径が減ずることによって硬化部材174がバルーン168の基端部164の中心軸と整合する。ガイド部材190は、膨張用流体が外側カテーテル162の内腔176とバルーン168の内側の間を流れるように1つ以上の孔すなわちポート192を含む。ガイド部材190は、患者の体内にあるバルーン168の基端部182の正確な位置を特定するための放射線不透過性参照ポイントを提供するために金属又はその他の放射線不透過性材料で作ることができる。
【0054】
硬化部材174は、外側カテーテル162の曲げに対する硬さすなわち曲げ抵抗より強い硬さすなわち曲げ抵抗を有することのできるソリッドワイヤーを含む。硬化部材174は、バルーン168の先端部186の整合を維持することに加えて、バルーンカテーテル174の全体的な硬さと押し出し易さを高めている。言い換えると、バルーンカテーテル160の全体的な硬さと押し出し易さは、硬化部材174と外側カテーテル162の組み合わせによって実現されている。硬化部材174は、また患者の体内にあるバルーン168の中心軸(中心線)の正確な位置を特定するための放射線不透過性参照ポイントを提供する。
【0055】
硬化部材174は、断面が、円形又は非円形のいずれかとすることができる。特に、非円形断面(つまり、三角又は星型)によって、外側カテーテル162の内腔176を通る膨張用流体の流れを妨げることなく硬化部材174の強さすなわち硬さを増すことができる。硬化部材174は、また中に管腔を配置した中空断面を含むこともできる。図9で示す第8の実施形態に関して以下で述べるように、硬化部材174の内部を通って延びる内腔は、ワイヤガイドを収容するために使用することができる。
【0056】
硬化部材174は、長さ方向に沿って不均一な特性とすることができる。例えば、硬化部材174は、その基端部176から先端部178に向かって硬さが減少するようにテーパー状(つまり、断面積が減少する)とすることができる。硬化部材174は、また異なる物理的特性を有する異なる材料で作ることもできる。その長さに亘って減少する硬さを有する硬化部材174は、バルーンカテーテル200を押す能力(すなわち押し出し力)が最も重要となるバルーンカテーテル160の基端部170の近くではよりすぐれた硬さを与え、曲がりくねった経路に沿ってバルーンカテーテル200を導く能力が最も重要となる先端部164の近くではよりすぐれた可撓性を与えている。硬化部材174は、また異なる物理的特性を有する異なる材料で作ることもできる。
【0057】
本発明のバルーンカテーテル200の第8の実施形態が、図9に示される。この実施形態のバルーンカテーテル200は、この実施形態が、外側カテーテル202とその中に配置された区分化された内側部材204を含むという点で、図8に示されるバルーンカテーテル160の実施形態と類似している。しかしこの実施形態のバルーンカテーテル200では、内側部材204はワイヤガイド208を受け入れるようになされた内側管腔206を有するカニューレすなわちカテーテルからなる。内側部材の先端部210は、バルーン216の先端部214で端部キャップ212に結合されている。内側部材204の基端部218は、ルアー接続部220の近くの外側カテーテル202の壁面の中を通るか、またはその壁面に取り付けられている。ワイヤガイド208を内側管腔206の中に挿入し外出すことができるよう内側部材204の両端部210、218にポートが設けられている。本発明のその他の特徴は上述の他の実施形態と類似しているので、ここでは繰り返さない。
【0058】
この実施形態では、外側カテーテル202と内側カテーテル204は、それぞれバルーン216に、かつ相互に固定的に連結されている。従って、外側カテーテル202及び/又は内側部材204は、バルーンが膨張し、または収縮することによるバルーンのいかなる延び縮みにも対応できるよう構成される。言い換えると、バルーンカテーテル200は、外側カテーテル及び/又は内側カテーテル204の長さが、バルーン216の長さの変化に対応し、適応するように構成されている。外側カテーテル202と内側カテーテル204の全長がバルーン216の長さよりかなり長いので、外側カテーテル202及び/又は内側カテーテル204によって対応されなければならない軸方向の膨張または収縮は、比較的長い範囲に亘って広がる。
【0059】
図9に示す実施形態では、内側部材204は、異なる物理的または材料的特性を有する基端領域224と先端領域226を含む。基端領域224は、可撓性材料で作られるか、そうでなければバルーン216の長さの変化に反応して(外側カテーテル202に対して)長さが容易に伸縮するよう構成されている。基端領域224とは対照的に、先端領域26は、バルーン216の先端部214に横方向の支持を与えるように比較的硬性の材料から作られている。より硬性の先端領域226もまた、外側カテーテル202に追加的な硬さを与えるためにバルーン216の基端方向に延ばすこともできる。よじれ易くなる弱い領域を避けるために、内側部材204のより可撓性の基端領域224に隣接する外側カテーテル202の部分を硬くすることができる。外側カテーテル202を硬くするには、例えば、外側カテーテルの断面積を増やすか、または(図示しない)別の硬化部材を含めることによって実現できる。
【0060】
代わりに、外側部材202を、バルーン216の長さの変化に対応して容易に長さが変わるような弾性の高い材料を含むことができる。例えば、外側カテーテル202(またはその部分)を弾性材料で作られるか、そうでなければバルーン216の長さの変化に反応して(内側部材204に対して)長さが容易に伸縮するよう構成されている。そのような実施形態では、内側部材204を、バルーン216の先端部214だけでなく外側カテーテル202に硬さすなわち横方向の支持を与えるために比較的硬性の材料で作ることができる。言い換えると、内側部材204は、バルーンカテーテル200にとって主要な硬化部材として機能することになる。
【0061】
本実施形態のバルーンカテーテル200は、ワイヤガイド208が患者の体腔にあらかじめ置かれる医療処置で使用するようになっている。そのような処置では、患者の体外に延びるワイヤガイド208の基端部をポート222を通してバルーンカテーテル200の先端部の内側管腔208内(すなわち、内側部材206の先端部212内)へ挿入する。バルーンカテーテル200は、次にバルーン216が患者の体内の所望の位置に配置されるまでワイヤガイド上を押される。医療処置の初期の段階で患者の体内に事前に配置されたワイヤガイド208によってバルーンカテーテル200は患者の体内へすばやく挿入され、導かれる。バルーンは、次に他の実施形態でこれまで述べたように膨張される。
【0062】
ワイヤガイド208は、ワイヤガイド208の患者の体外に延びている部分がバルーンカテーテル200の内側部材204の全長より十分長くなければならないことが分かるはずである。この長さは、内側部材204の先端部210(または端部キャップ)が患者の体内に挿入される前にワイヤガイド208の基端部が内側部材204の基端部218(及び基端ポート222)で内側部材204の外に延びるために必要である。これによってバルーンカテーテル200をワイヤガイド208に装填し患者の体内へ挿入する間、いつでもワイヤガイド208を所定の位置に保持することができる。
【0063】
図9に示す実施形態では、内側部材204の基端部218(及び基端ポート222)が比較的コネクター220の近くに配置されている。従って、内側部材204は、バルーンカテーテルのかなりの部分に亘って延びている。装置のほぼ全体に亘って延びているワイヤガイドを有するカテーテル装置は、一般的にオーバーザワイヤー装置と呼ばれる。しかし、より短い内側部材204を用いることもできる。例えば、内側部材204の基端部218(及び基端ポート222)をバルーン216のより近くに配置することができる。代わりに、中間的な箇所で内側管腔208にアクセスできるように外側部材に追加的なポート222を設けることができる。そのような実施形態では、ワイヤガイド208は、バルーン216の基端部に近い箇所で内側部材208から出る。この状態では内側管腔208の長さがバルーンカテーテル200の長さよりもだいぶ短いので患者の体外へ延びるワイヤガイド208がだいぶ短くなる。より短いワイヤガイド管腔を有するか、またはワイヤガイド管腔へ中間でアクセスできるカテーテル装置は、一般的にラピッドエクスチェンジ装置と呼ばれる。
【0064】
要素がここで開示されたように実行することが必要される属性を有する限り、本発明の開示された実施形態の種々の要素の構造又は構成のうちの開示されていない又は付随的な他の詳細は、本発明の利点の達成に重要なものではないと考えられる。これら及び他の詳細の構成の選択は、本開示に鑑みて、十分に関連技術分野における当業者の能力の範囲内であると考えられる。本発明の例証となる実施形態が、本発明を有利に実行する実際的で有効な構造を開示するために、極めて詳細に説明された。ここに説明される設計は、例示のためだけであることが意図される。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本発明の新規な特徴を他の構造形態に組み入れることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容積を画定するバルーン壁を備えた膨張可能なバルーンであって、更に先端部と基端部と該端部間に配置された中央部分とを有するバルーンと、
先端領域と基端領域との間の軸に沿って延びる細長いシャフトであって、該基端領域は、膨張用装置に係合するよう構成されたコネクターを備え、該先端領域は、該バルーンの該基端部に固定的に連結されたシャフトと、該シャフトを通って延び、該バルーンの内容積と流体連通状態にある管腔とを有するカテーテルと、
該カテーテルの先端領域から先端方向に延びる硬化部材であって、該バルーンの先端部と非固定的に連結されている硬化部材と
を備え、
該基端部に対する該バルーンの該先端部の動きが、該カテーテルによって、制限されず、
該バルーンの基端部に対する該バルーンの先端部の該シャフトの軸とほぼ平行な軸方向の動きが、該硬化部材によって、制限されず、
該バルーンの基端部に対する該バルーンの先端部の該シャフトの軸とほぼ垂直な横断方向の動きが、該硬化部材によって、制限されない、
バルーンカテーテル。
【請求項2】
該バルーンは、収縮時には軸方向長さが収縮し、膨張時には軸方向長さが膨張し、収縮した軸方向長さと膨張した軸方向長さは、それぞれ該バルーンの基端部と先端部の間の長さによって画定され、該収縮した軸方向長さは、該膨張した軸方向長さとは異なる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
該バルーンは、収縮時には軸方向長さが収縮し、部分的な膨張時には軸方向長さが部分的に膨張し、収縮した軸方向長さと部分的に膨張した軸方向長さは、それぞれ該バルーンの基端部と先端部の間の長さによって画定され、該収縮した軸方向長さは、該部分的に膨張した軸方向長さとは異なる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
該バルーンは、部分的な膨張時には軸方向長さが部分的に膨張し、完全な膨張時には軸方向長さが完全に膨張し、部分的に膨張した軸方向長さと完全に膨張した軸方向長さは、それぞれ該バルーンの基端部と先端部の間の長さによって画定され、該部分的に膨張した軸方向長さは、該完全に膨張した軸方向長さとは異なる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
該バルーン壁は、非弾性材料、非順応性材料、及び、半硬性材料のいずれか1つからなる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
該バルーン壁は、収縮時に該バルーンが半径方向に圧縮し易いように軸方向に配向された折り目すなわちひだを含む請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
該硬化部材は、該カテーテルの該シャフトとほぼ平行に沿って延びる基端領域を含む請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
該硬化部材の基端領域は、該カテーテルの該シャフトの管腔内に配置され、該硬化部材の該基端領域の基端部は、該カテーテルの基端部領域の固定的に連結されている請求項7に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
該カテーテルの該シャフトの該管腔は、第1の断面積を有し、該硬化部材は、第2の断面積を有し、該第2の断面積は該第1の断面積より小さくされ、膨張用流体が該カテーテルの基端部領域のコネクターと該バルーンの内容積の間の該管腔を通って流れるようにした請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
該カテーテルの該先端部領域は、該バルーンの内容積内で終端している先端部であって、膨張用流体が該カテーテルの該管腔と該バルーンの内容積の間を流れるためのポートを有する先端部を含む請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
該カテーテルの該先端部領域は、該バルーンの内容積内で終端している先端部であって、該硬化部材に固定的に連結されている先端部を含む請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
該カテーテルの該先端部領域は、該バルーンの内容積内で終端している先端部であって、該先端部は、該硬化部材は該シャフトの軸で整合し、該硬化部材が該シャフトの軸に対してほぼ垂直な横断方向に動かないようにするため摺動係合状態にある請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
該バルーンの先端部は、スリーブを含み、該硬化部材の先端部は該スリーブ内に摺動可能に配置されている請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
該スリーブは、該硬化部材の先端部が該スリーブの先端に対して軸方向に動けるようにするため該硬化部材の先端部から離れた箇所にある先端を含む請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項15】
該スリーブは、該スリーブ内に配置されたカニューレを含み、該カニューレは、該スリーブの内側断面積より小さな内側断面積を有し、該カニューレの内側断面積は、該スリーブの外側表面と摺動係合するよう構成されている請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項16】
該硬化部材の先端部は、固定部分を含み、該固定部分は、該硬化部材の先端部が該カニューレを通り抜けるのを防ぐため外側断面積が該カニューレの内側断面積より大きい請求項15に記載のバルーンカテーテル。
【請求項17】
該保持部分は、該硬化部材の先端部に取り付けられた丸みのあるビーズを含み、該ビーズは、該カニューレの内径より大きい径を有する請求項16に記載のバルーンカテーテル。
【請求項18】
該バルーンの先端部は、該先端部に取り付けられた端部キャップを含み、該スリーブは、該端部キャップの内容積によって画定されている請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項19】
更に、該バルーンを膨張させ、または収縮させるための膨張用装置であって、該カテーテルの基端のコネクターに取り付けられている膨張用装置を含む請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項20】
該コネクターは、メス型ルアー接続部を含み、更に該膨張用装置は、該メス型ルアー接続部と係合するオス型ルアー接続部を有する注射器を含む請求項19に記載のバルーンカテーテル。
【請求項21】
該硬化部材は、円形の断面積を有するソリッド(中実)ワイヤからなる請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項22】
該硬化部材は、ワイヤガイドの経路となるよう構成された管腔を含む請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項23】
該硬化部材は、第1の箇所では第1の物理的特性を有し、第2の箇所では第2の物理的特性を有し、該第1の物理的特性は該第2の物理的特性とは異なる請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項24】
該第1の物理的特性は第1の硬さとされ、該第2の物理的特性は第2の硬さとされ、該第1の硬さは該第2の硬さより硬く、第1の箇所は第2の箇所より基端側である請求項23に記載のバルーンカテーテル。
【請求項25】
該硬化部材は、テーパー状の断面積を有する請求項23に記載のバルーンカテーテル。
【請求項1】
内容積を画定するバルーン壁を備えた膨張可能なバルーンであって、更に先端部と基端部と該端部間に配置された中央部分とを有するバルーンと、
先端領域と基端領域との間の軸に沿って延びる細長いシャフトであって、該基端領域は、膨張用装置に係合するよう構成されたコネクターを備え、該先端領域は、該バルーンの該基端部に固定的に連結されたシャフトと、該シャフトを通って延び、該バルーンの内容積と流体連通状態にある管腔とを有するカテーテルと、
該カテーテルの先端領域から先端方向に延びる硬化部材であって、該バルーンの先端部と非固定的に連結されている硬化部材と
を備え、
該基端部に対する該バルーンの該先端部の動きが、該カテーテルによって、制限されず、
該バルーンの基端部に対する該バルーンの先端部の該シャフトの軸とほぼ平行な軸方向の動きが、該硬化部材によって、制限されず、
該バルーンの基端部に対する該バルーンの先端部の該シャフトの軸とほぼ垂直な横断方向の動きが、該硬化部材によって、制限されない、
バルーンカテーテル。
【請求項2】
該バルーンは、収縮時には軸方向長さが収縮し、膨張時には軸方向長さが膨張し、収縮した軸方向長さと膨張した軸方向長さは、それぞれ該バルーンの基端部と先端部の間の長さによって画定され、該収縮した軸方向長さは、該膨張した軸方向長さとは異なる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項3】
該バルーンは、収縮時には軸方向長さが収縮し、部分的な膨張時には軸方向長さが部分的に膨張し、収縮した軸方向長さと部分的に膨張した軸方向長さは、それぞれ該バルーンの基端部と先端部の間の長さによって画定され、該収縮した軸方向長さは、該部分的に膨張した軸方向長さとは異なる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項4】
該バルーンは、部分的な膨張時には軸方向長さが部分的に膨張し、完全な膨張時には軸方向長さが完全に膨張し、部分的に膨張した軸方向長さと完全に膨張した軸方向長さは、それぞれ該バルーンの基端部と先端部の間の長さによって画定され、該部分的に膨張した軸方向長さは、該完全に膨張した軸方向長さとは異なる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項5】
該バルーン壁は、非弾性材料、非順応性材料、及び、半硬性材料のいずれか1つからなる請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項6】
該バルーン壁は、収縮時に該バルーンが半径方向に圧縮し易いように軸方向に配向された折り目すなわちひだを含む請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項7】
該硬化部材は、該カテーテルの該シャフトとほぼ平行に沿って延びる基端領域を含む請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項8】
該硬化部材の基端領域は、該カテーテルの該シャフトの管腔内に配置され、該硬化部材の該基端領域の基端部は、該カテーテルの基端部領域の固定的に連結されている請求項7に記載のバルーンカテーテル。
【請求項9】
該カテーテルの該シャフトの該管腔は、第1の断面積を有し、該硬化部材は、第2の断面積を有し、該第2の断面積は該第1の断面積より小さくされ、膨張用流体が該カテーテルの基端部領域のコネクターと該バルーンの内容積の間の該管腔を通って流れるようにした請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項10】
該カテーテルの該先端部領域は、該バルーンの内容積内で終端している先端部であって、膨張用流体が該カテーテルの該管腔と該バルーンの内容積の間を流れるためのポートを有する先端部を含む請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項11】
該カテーテルの該先端部領域は、該バルーンの内容積内で終端している先端部であって、該硬化部材に固定的に連結されている先端部を含む請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項12】
該カテーテルの該先端部領域は、該バルーンの内容積内で終端している先端部であって、該先端部は、該硬化部材は該シャフトの軸で整合し、該硬化部材が該シャフトの軸に対してほぼ垂直な横断方向に動かないようにするため摺動係合状態にある請求項9に記載のバルーンカテーテル。
【請求項13】
該バルーンの先端部は、スリーブを含み、該硬化部材の先端部は該スリーブ内に摺動可能に配置されている請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項14】
該スリーブは、該硬化部材の先端部が該スリーブの先端に対して軸方向に動けるようにするため該硬化部材の先端部から離れた箇所にある先端を含む請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項15】
該スリーブは、該スリーブ内に配置されたカニューレを含み、該カニューレは、該スリーブの内側断面積より小さな内側断面積を有し、該カニューレの内側断面積は、該スリーブの外側表面と摺動係合するよう構成されている請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項16】
該硬化部材の先端部は、固定部分を含み、該固定部分は、該硬化部材の先端部が該カニューレを通り抜けるのを防ぐため外側断面積が該カニューレの内側断面積より大きい請求項15に記載のバルーンカテーテル。
【請求項17】
該保持部分は、該硬化部材の先端部に取り付けられた丸みのあるビーズを含み、該ビーズは、該カニューレの内径より大きい径を有する請求項16に記載のバルーンカテーテル。
【請求項18】
該バルーンの先端部は、該先端部に取り付けられた端部キャップを含み、該スリーブは、該端部キャップの内容積によって画定されている請求項13に記載のバルーンカテーテル。
【請求項19】
更に、該バルーンを膨張させ、または収縮させるための膨張用装置であって、該カテーテルの基端のコネクターに取り付けられている膨張用装置を含む請求項1に記載のバルーンカテーテル。
【請求項20】
該コネクターは、メス型ルアー接続部を含み、更に該膨張用装置は、該メス型ルアー接続部と係合するオス型ルアー接続部を有する注射器を含む請求項19に記載のバルーンカテーテル。
【請求項21】
該硬化部材は、円形の断面積を有するソリッド(中実)ワイヤからなる請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項22】
該硬化部材は、ワイヤガイドの経路となるよう構成された管腔を含む請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項23】
該硬化部材は、第1の箇所では第1の物理的特性を有し、第2の箇所では第2の物理的特性を有し、該第1の物理的特性は該第2の物理的特性とは異なる請求項8に記載のバルーンカテーテル。
【請求項24】
該第1の物理的特性は第1の硬さとされ、該第2の物理的特性は第2の硬さとされ、該第1の硬さは該第2の硬さより硬く、第1の箇所は第2の箇所より基端側である請求項23に記載のバルーンカテーテル。
【請求項25】
該硬化部材は、テーパー状の断面積を有する請求項23に記載のバルーンカテーテル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−503963(P2007−503963A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532942(P2006−532942)
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/014669
【国際公開番号】WO2004/101059
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(591157154)ウィルソン−クック・メディカル・インコーポレーテッド (135)
【氏名又は名称原語表記】WILSON−COOK MEDICAL INCORPORATED
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月11日(2004.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/014669
【国際公開番号】WO2004/101059
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(591157154)ウィルソン−クック・メディカル・インコーポレーテッド (135)
【氏名又は名称原語表記】WILSON−COOK MEDICAL INCORPORATED
【Fターム(参考)】
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