説明

中枢神経細胞分岐促進剤

【課題】 DHAと異なる作用点を持ち、競争的に効果をもたらす物質を提供することを課題とする。
【解決手段】 γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物からなる中枢神経細胞分岐促進剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γリノレン酸(GLA)トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドを含むグリセリド混合物からなる中枢神経細胞分岐促進剤に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化による加齢性の記憶力の低下や、認知症などが問題となっている。
DHA(ドコサヘキサエン酸)は中枢神経の生存や樹状突起の伸長に効果があることが知られている(特許文献1〜3)。しかし、この効果は十分ではなく、作用点が違い協奏的に効果をもたらす物質が求められる。またDHAは魚類から抽出するため価格が高いことも問題であった。
そこで、中枢神経細胞の伸長や生存率の向上、樹状突起の分岐の促進や樹状突起数の向上に効果のある天然物が求められている。
γリノレン酸トリグリセリドがヒト細胞の分化促進活性を発揮することが示されているが(特許文献4)、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物の活性は調べられておらず、中枢神経細胞分岐促進効果についても調べられていない。
【0003】
【特許文献1】特開2005−272325号公報
【特許文献2】特開平5−117147号公報
【特許文献3】特開平6−340539号公報
【特許文献4】特開2006−342074号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、DHAと異なる作用点を持ち、競争的に中枢神経細胞分岐促進効果をもたらす物質を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物からなる中枢神経細胞分岐促進剤を提供する。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物からなる中枢神経細胞分岐促進剤。
(2)前記グリセリド混合物はγリノレン酸トリグリセリドを酵素処理したものである(1)記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
(3)前記酵素がリパーゼである、(2)記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
(4)前記グリセリド混合物が10〜50μg/mLの濃度で投与される(1)〜(3)のいずれか1項に記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
(5)さらに抗酸化剤を含有してなる、(1)〜(4)のいずれか1項に記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、DHAよりも低濃度で中枢神経に中枢神経細胞分岐促進効果を持ち、かつDHAと協奏的に効果を発揮でき、安価に生産できる。
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、生体内にもともと存在するものに由来するため、
毒性の心配が少ない。
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤により、中枢神経細胞のバイアビリティー(生存率)の向上、中枢神経細胞の樹状突起の分岐数の向上、中枢神経細胞の一細胞から出る突起数の向上が可能であり、これらに起因して、中枢神経細胞生存促進、記憶向上を図ることができる。
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、加齢に伴う症状を改善するための医薬またはこれに効果を有する食品として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物からなる。本発明で使用されるγリノレン酸グリセリド混合物は、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドを含有し、中枢神経細胞分岐促進効果を有するものであれば、各グリセリドの割合は特に制限されないが、好ましくは、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドの割合として、グリセリド全量に対してそれぞれ10〜79質量%、20〜70質量%及び1〜70質量%、より好ましくは、グリセリド全量に対してそれぞれ10〜70質量%、25〜60質量%及び3〜65質量%である。
なお、本発明で使用されるγリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリドは、グリセロールの少なくとも1つの水酸基がγリノレン酸とエステル結合していればよく、グリセロールのγリノレン酸が結合した水酸基以外の水酸基がγリノレン酸以外の脂肪酸とエステル結合したグリセリドも含むものである。
【0009】
本発明で使用されるグリセリド混合物は、GLAのトリグリセリドを酵素処理することにより切断された、モノ体、ジ体を含有した形態(いわゆる自己乳化型)を含むことが好ましい。本発明で使用されるγリノレン酸のトリグリセリドの酵素処理物は、好ましくはリパーゼなどの酵素でγリノレン酸トリグリセリドを処理して得られたものである。処理の方法としては、特開2005−198648号公報を参照して行うことができる。γリノレン酸のトリグリセリドを高濃度、好ましくは20質量%以上含む油脂を酵素処理したものでもよい。なお、遊離のγリノレン酸やその他の脂肪酸は高濃度で細胞毒性を有することがあるため、酵素処理後、遊離の脂肪酸を除いておくことが好ましい。
γリノレン酸のトリグリセリドは、常法により合成できる。なお、市販品として、NU−CHEK−PREP,Inc社、出光興産株式会社などにより販売されている。また、微生物によって製造されたものでもよい(特開昭63−283589号公報、特開平03−072892号公報、特開平8−214892号公報)。
【0010】
本発明において、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物の濃度は、神経細胞、特に中枢神経細胞の分岐促進効果を発揮し、副作用や細胞毒性を起こさないためには、10〜50μg/mLが好ましく、より好ましくは15〜45μg/mL、さらに好ましくは20〜40μg/mLである。
【0011】
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、中枢神経細胞分岐促進のために、DHA(ドコサヘキサエン酸)、ビタミンEなどの抗酸化剤などをさらに含んでいてもよい。
【0012】
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、加齢に伴う症状、例えば、記憶力の低下、アルツハイマー病、認知症、痴呆に効果を有する医薬の有効成分として使用できる。
本発明の医薬は、医薬製剤の製造法で一般的に用いられている公知の手段に従って、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物を、そのまま、あるいは薬理学的に許容される担体と混合して医薬
とすることができる。本発明の医薬は、好ましくは、γリノレン酸トリグリセリドを酵素処理して、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドを含むグリセリド混合物を取得し、混合物を薬理学的に許容し得る担体に配合することによって製造することができる。
【0013】
薬理学的に許容される担体としては、例えば固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤、あるいは液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤及び無痛化剤等が挙げられる。更に必要に応じ、通常の防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、吸着剤、湿潤剤等の添加物を適宜、適量用いることもできる。賦形剤としては、例えば乳糖、白糖、D−マンニトール、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース、軽質無水ケイ酸等が挙げられる。滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。結合剤としては、例えば結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、ショ糖、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が挙げられる。崩壊剤としては、例えばデンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、L−ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。溶剤としては、例えば、アルコール、プロピレングリコール、マクロゴール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油等が挙げられる。溶解補助剤としては、例えばポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。懸濁化剤としては、例えばステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン、等の界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子等が挙げられる。等張化剤としては、例えばブドウ糖、D−ソルビトール、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール等が挙げられる。緩衝剤としては、例えばリン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。無痛化剤としては、例えばベンジルアルコール等が挙げられる。防腐剤としては、例えばパラヒドロキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。抗酸化剤としては、例えば亜硫酸塩、アスコルビン酸、α−トコフェロール等が挙げられる。
なお、本発明の中枢神経細胞分岐促進剤はその他の薬剤と併用してもよい。
【0014】
本発明の中枢神経細胞分岐促進剤を含有してなる医薬は、例えば、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤、(ソフトカプセルを含む)、液剤、注射剤、坐剤、徐放剤等の医薬製剤として、経口的または非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。
【0015】
製剤中の中枢神経細胞分岐促進剤の好ましい含有量は、製剤全量に対して0.1〜80質量%であり、より好ましくは1〜5質量%である。
【0016】
本発明の医薬の投与方法としては特に制限されず、経口投与、静脈投与などが挙げられる。好ましい投与量は、投与対象、対象臓器、症状、投与方法などにより異なり特に制限されないが、例えば、患者(体重60kgとして)に対して、一日につき約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mgである。
【0017】
本発明のγリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸
モノグリセリドのグリセリド混合物からなる中枢神経細胞分岐促進剤は、食品として一般に用いられる原料、例えば、蛋白質、脂質、炭水化物、ビタミン類などに配合することにより、加齢に伴う症状の予防または改善に効果を有する健康食品、健康補助食品、食事用補添物、栄養組成物としても用いることができる。本発明の食品は、好ましくは、γリノレン酸トリグリセリドを酵素処理して、γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドを含むグリセリド混合物を取得し、混合物を食品原料に配合することにより製造することができる。
本発明の食品中に含まれる中枢神経細胞分岐促進剤の量は、特に限定されず適宜選択すればよいが、例えば、食品中に0.1〜50質量%、好ましくは1〜10質量%とするのがよい。
また、本発明の食品は、上記のような疾患に対する予防または治療効果を有する健康食品や特定保健用食品などとすることもできる。本発明の食品は、例えば「加齢に伴う症状を防止または改善する効果を有する食品」、「加齢に伴う症状を防止または改善する効果を有する成分を含有する食品」等の表示を付して販売することもできる。
さらに、本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、飲食物、動物飼料、ペットフード、ペット用健康食品などとしても用いることができる。
【実施例】
【0018】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、これら実施例にのみ、限定を受けないことは言うまでもない。
【0019】
実施例1. 本発明の中枢神経細胞分岐促進剤の製造
特開2005−198648号公報に記載されるように、GLA含有油脂(出光興産(株)製、商品名:グラノイルHGC、GLA:25.9質量%)100g及び蒸留水100gを含む反応系に、Rhizopus niveus産生リパーゼ(天野エンザイム(株)製、ニューラーゼF3G、30,000U/g)を、20,000ユニット加え、撹拌しながら30℃で48時間反応させた。酵素処理後、遊離の脂肪酸を除いた。
得られた分解反応物に10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加して分解反応物のpHを8〜9に調整した後、ジエチルエーテル200ミリリットルを用いて分解反応物中の油分を抽出し、水洗し、脱水後エーテルを除去して油分(油脂組成物)を得た。この組成は、トリグリセリド 59.2質量%、ジグリセリド 37.2質量%、モノグリセリド 3.6質量%であった。
以下、この油脂組成物を、本発明の中枢神経細胞分岐促進剤として用いた。
【0020】
実施例2. 本発明の中枢神経細胞分岐促進剤の中枢神経細胞に対する効果
妊娠ラット(胎生18日目)から胎児を取り出し大脳組織を摘出した。大脳組織をDMEM培地(ダルベッコ改変MEM培地)で洗浄した後、顕微鏡下にて海馬組織を摘出した。
得られた海馬組織を0.25%トリプシンにて処理し、中枢神経細胞とした。得られた中枢神経細胞をDMEM培地+F12基本培地(N2培地)(GIBCO社)に10%非動化ウマ血清を加えた培地にて培養した。培養容器には0.1%ポリLリジンでコートした4wellカルチャーディッシュを用い、細胞密度は20、000細胞/Wellとした。
一昼夜37℃にて5%CO2インキュベーターにて培養した後、培地をN2培地に変更した後、サンプルを添加した。サンプルは本発明の中枢神経細胞分岐促進剤(以下、GLA処理物またはGLAと略することがある)100μg/ml、50μg/ml、10μg/ml、1μg/ml、DHA(和光純薬社製:DHA純品(100質量%))10μg/ml、1μg/ml(いずれも終濃度、抗酸化剤としてビタミンEを添加、n=8)、さらにコントロールとしてメタノールを培養液の1%(容積濃度)で加えた。
その後、5日間培養し、途中一回培地交換を行った。
培地を除去した後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)にて洗浄し、ホルマリン溶液(4
%ホルマリン/PBS)にて細胞の固定化を行った(10分間)。さらにPBSにて洗浄した後、5%ヤギ正常血清にてブロッキングを行った。抗NFP抗体溶液(ニチレイ(株))(ニューロン染色用)、抗GFAP抗体(ニチレイ(株))(アストログリア染色用)を反応させ、室温にて30分間静置した。さらにTWEEN20(和光純薬社)0.5%含有PBS溶液にて洗浄を3回行った後、二次抗体としてシンプルステインPO(ニチレイ(株))を反応させ、さらに30分間静置した。再び0.5%含有PBS溶液にて洗浄を3回行った後、基質溶液(DAB溶液(ニチレイ(株))を添加し、15分間静置した。反応終了後、基質溶液をスポイトにて取り除き、PBSにて再度洗浄した。
洗浄終了後、グリセリン溶液を滴下し、乾燥を防いだ。
【0021】
得られた染色細胞を顕微鏡下で観察し、顕微鏡写真を撮影した(オリンパスオプチフォト)(図1)。一つのウエルあたり10枚の写真を撮影し、それぞれにつき、神経細胞の生存数(図2)、一細胞あたりの樹状突起の数(図3)、樹状突起の分岐の数(図4)、樹状突起の総長(図5)を測定した。
【0022】
ANOVA(Tukey検定、およびBonferroni補正法によるt-検定)にて解析した。
測定結果を図1〜6に示す。
図1は、海馬神経細胞を6日間培養し、染色した結果である。コントロールに比し、GLA処理物10μg/ml, DHA10μg/mlを添加したものは、神経細胞の数、樹状突起の数、分岐の数ともに増えていることが観察された。
図2は、神経細胞の生存数のヒストグラムを示した。GLA処理物10μg/ml、DHA10μg/mlの添加により生細胞数はコントロールの3倍以上に増加した。
図3は、一細胞あたりから出ている神経突起(樹状突起)の数をヒストグラムにて示した。GLA処理物10μg/ml、DHA10μg/mlの添加により樹状突起の数が増加した。
図4は、一細胞あたりから出ている神経突起(樹状突起)の分岐の数をヒストグラムにて示した。GLA処理物10μg/ml、DHA10μg/mlの添加により樹状突起の分岐の数が増加した。
図5は、一細胞から出ている神経突起の全長を示した。コントロールに比べGLA処理物、DHAともに全長の延伸が認められた。
図6は、一細胞から出ている神経突起の全長をヒストグラムに示した。コントロールに比べGLA処理物、DHAともに神経突起全長が伸長の方向へ推移した。
図1〜6により、本発明の中枢神経細胞分岐促進剤(GLA処理物)は、DHAより低濃度で、DHAと同等の神経細胞の増殖・分岐効果を有することが分かった。
【0023】
実施例3. 本発明の中枢神経細胞分岐促進剤(GLA処理物)とDHAとの併用検討
1.用いたサンプル
DHA(1.5uM)
DHA(1.5uM)+GLA処理物(10ppm)
MeOH(ネガティブコントロール)
2.測定方法は上記した実施例2に従った。
GLA処理物とDHAとの併用の効果の検討結果を図7〜9に示す。
図7〜9より、DHA服用時に、GLA処理物を併用すると相加的な効果が期待できる事がわかった。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明により、中枢神経細胞分岐促進剤を提供することができる。本発明の中枢神経細胞分岐促進剤は、医療領域、ヘルスケア領域、食品(健康食品)領域において適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】海馬神経細胞を6日間培養し、本発明の中枢神経細胞分岐促進剤(GLA処理物)またはDHAを10μg/mlの濃度で加えて染色した結果(写真)を示す。
【図2】神経細胞の生存数のヒストグラムを示す。
【図3】一細胞あたりから出ている神経突起(樹状突起)の数をヒストグラムにて示す。横軸はそれぞれ左から順に、Control、GLA 100μg/mL、GLA 50μg/mL、GLA 10μg/mL、GLA 1μg/mL、DHA 10μg/mL、DHA 1μg/mLを示す。
【図4】一細胞あたりから出ている神経突起(樹状突起)の分岐の数をヒストグラムにて示す。横軸はそれぞれ左から順に、Control、GLA 100μg/mL、GLA 50μg/mL、GLA 10μg/mL、GLA 1μg/mL、DHA 10μg/mL、DHA 1μg/mLを示す。
【図5】一細胞から出ている神経突起の全長を示す。
【図6】一細胞から出ている神経突起の全長をヒストグラムに示す。横軸はそれぞれ左から順に、Control、GLA 100μg/mL、GLA 50μg/mL、GLA 10μg/mL、GLA 1μg/mL、DHA 10μg/mL、DHA 1μg/mLを示す。
【図7】GLA処理物とDHAの併用における平均細胞数を示す。縦軸は平均細胞数、横軸は用いたサンプルを表す。
【図8】GLA処理物とDHAの併用における総突起数を示す。縦軸は総突起数、横軸は用いたサンプルを表す。
【図9】GLA処理物とDHAの併用における突起の総分岐数を示す。縦軸は総分岐数、横軸は用いたサンプルを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
γリノレン酸トリグリセリド、γリノレン酸ジグリセリド、及びγリノレン酸モノグリセリドのグリセリド混合物からなる中枢神経細胞分岐促進剤。
【請求項2】
前記グリセリド混合物はγリノレン酸トリグリセリドを酵素処理したものである請求項1記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
【請求項3】
前記酵素がリパーゼである、請求項2記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
【請求項4】
前記グリセリド混合物が10〜50μg/mLの濃度で投与される請求項1〜3のいずれか1項に記載の中枢神経細胞分岐促進剤。
【請求項5】
さらに抗酸化剤を含有してなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中枢神経細胞分岐促進剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−84233(P2009−84233A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257691(P2007−257691)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】