説明

中水利用管理システム

【課題】貯留設備に貯留されている中水の有効利用を図る。
【解決手段】中水利用施設4について時間ごとの中水の利用予約を受け付け、受け付けた利用予約に応じて揚水ポンプ44又は電磁バルブ45を制御し、中水利用施設4への中水の供給を制御するようにする。中水利用施設4への中水の供給は、中水タンク41の水位や中水利用施設4ごとに設定された優先順位に基づいて制御する。また中水のエネルギーを利用して発電する水力発電機34の現在出力に応じて、電力利用設備に供給する電力として、水力発電機34の出力、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力、及び商用電力を選択するようにする。また現在の電気料金が買電基準値以下である場合にのみ、電力利用設備に供給する電力として商用電力を選択するようにし、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力に余力がある場合には売電を行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、貯留設備に貯留された雨水等の中水を有効利用するための中水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、雨水または中水を有効に利用できる形態で保存すべく、雨水または中水を被処理水として収容する電解槽と、電解槽内に設置された電極対と、電極対に対し、電解槽内の被処理水に対して次亜塩素酸が生成されるような電解処理を実行させるための電力の供給に関する制御動作を実行する制御手段とを含む水処理システムについて開示されている。
【0003】
特許文献2には、一般住宅において、雨水の有効利用を図るべく、下部タンクより横タンクに揚水する揚水ポンプを設け、雨水が少ない場合に下部タンクより横タンクへ揚水可能とし、該揚水ポンプは直流電流により駆動可能なポンプとし、庭園池に池内に噴水させる噴水ポンプを設け、噴水ポンプを直流電流により駆動可能なポンプとし、両ポンプを太陽電池に直結し、太陽電池が発電する直流電流を切り換えて、揚水ポンプと噴水ポンプを駆動可能とし、太陽電池Dが一定電圧以上に発電している際にのみポンプにより揚水させるように構成した雨水利用システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−205009号公報
【特許文献2】特開平9−242130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今、記録的豪雨やゲリラ豪雨等による浸水被害を防ぐため、都市部の地下などの随所に中水の貯留設備が設置されている。しかし現状では、多くの貯留設備において、貯留されている中水は河川等が氾濫しない程度に時間をかけて放流しているに過ぎず、必ずしも中水が有効に利用されているとはいえない。
【0006】
本発明はこのような背景に鑑みてなされたもので、貯留設備等に貯留される中水を有効に利用することが可能な中水利用管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の一つは、中水利用管理システムであって、中水が貯留される中水貯留槽と、前記中水貯留槽に貯留されている中水の水位を計測する第1水位計と、前記中水貯留槽から汲み上げた中水が貯水される中水タンクと、前記中水タンクに貯留されている中水の水位を計測する第2水位計と、前記中水貯留槽から前記中水タンクに中水を汲み上げる揚水ポンプと、前記中水タンクから当該中水を利用する施設である中水利用施設への中水の供給を制御する電磁バルブと、前記第1水位計又は前記第2水位計の計測値を取得し、前記中水利用施設について時間ごとの中水の利用予約を受け付けて記憶し、前記利用予約に応じて前記揚水ポンプ又は前記電磁バルブを制御して前記中水利用施設への中水の供給を制御する情報処理装置と、を備えることとする。
【0008】
本発明によれば、時間ごとになされた利用予約に応じて雨水等の中水を適切に中水利用施設に供給することができる。これによれば中水を有効に利用することができる。
【0009】
また本発明のうちの他の一つは、上記中水利用管理システムであって、前記情報処理装置は、夫々に優先順位が付与された複数の前記中水利用施設について前記利用予約を記憶し、前記中水タンクの水位が第1閾値以上である場合には、現在が前記利用予約された時刻になっている前記中水利用施設に中水を供給し、前記中水タンクの水位が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合には、現在が前記利用予約された時刻になっている前記中水利用施設のうち優先順位がn番目までの前記中水利用施設に中水を供給し、前記中水タンクの水位が前記第2閾値未満かつ第3閾値以上である場合には、現在が前記利用予約された時刻になっている前記中水利用施設のうち優先順位がm番目までの前記中水利用施設に中水を供給することとする。
【0010】
本発明によれば、中水タンクの水位が減ってきた場合に中水利用施設ごとに設定された優先順位に応じて中水タンクの中水の中水利用施設への供給を適切に制御することができる。
【0011】
本発明のうちの他の一つは、上記中水利用管理システムであって、前記中水貯留槽に流入する中水のエネルギーによって発電する水力発電機と、前記水力発電機によって発電された電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、前記水力発電機及び前記電力貯蔵装置から電力利用設備への電力の供給制御を行うパワーコンディショナとを備え、前記情報処理装置は、前記水力発電機の現在の出力を取得し、取得した前記現在出力に応じて、前記電力利用設備に供給する電力として、前記水力発電機の出力、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力のうち少なくともいずれかを前記電力利用設備に供給する電力として選択することとする。
【0012】
本発明によれば、水力発電機の現在出力に応じて、電力利用設備に供給する電力として、水力発電機の出力、電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力を適切に選択することができる。
【0013】
本発明のうちの他の一つは、上記中水利用管理システムであって、前記中水貯留槽に流入する中水のエネルギーによって発電する水力発電機と、前記水力発電機によって発電された電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、前記水力発電機及び前記電力貯蔵装置から電力利用設備への電力の供給制御を行うパワーコンディショナとを備え、前記情報処理装置は、前記情報処理装置は、前記水力発電機の現在の出力を取得し、取得した前記現在出力に応じて、前記電力利用設備に供給する電力として、前記水力発電機の出力、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力のうちの少なくともいずれかを前記電力利用設備に供給する電力として選択し、現在の電気料金を取得し、取得した前記電気料金が所定の買電基準値以下である場合にのみ、前記電力利用設備に供給する電力として前記商用電力を選択することとする。
【0014】
本発明によれば、水力発電機の現在出力に応じて、電力利用設備に供給する電力として、水力発電機の出力、電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力を適切に選択することができる。また電気料金が買電基準値以下である場合にのみ、電力利用設備に供給する電力として商用電力が選択されるので、商用電力からの買電量を適切に抑えつつ、電力利用設備への電力供給を効率よく行うことができる。
【0015】
本発明のうちの他の一つは、上記中水利用管理システムであって、前記中水貯留槽に流入する中水のエネルギーによって発電する水力発電機と、前記水力発電機によって発電された電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、前記水力発電機及び前記電力貯蔵装置から電力利用設備への電力の供給制御、及び前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力の売電制御を行うパワーコンディショナとを備え、前記情報処理装置は、前記水力発電機の現在の出力を取得し、取得した前記現在出力に応じて、前記電力利用設備に供給する電力として、前記水力発電機の出力、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力のうち少なくともいずれかを前記電力利用設備に供給する電力として選択し、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力が所定の閾値以上である場合は前記パワーコンディショナを制御して売電を行うこととする。
【0016】
本発明によれば、水力発電機の現在出力に応じて、電力利用設備に供給する電力として、水力発電機の出力、電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力を適切に選択することができる。また電力貯蔵装置に貯蔵されている電力に余力がある場合には売電を行うことができる。
【0017】
尚、前記中水タンクは、例えば、常温の中水が貯水される常温中水タンク、及び加温装置によって所定の温度に加温された中水が貯水される温中水タンクのうちの少なくともいずれかであり、前記電力利用設備は、例えば、前記揚水ポンプ、前記電磁バルブ、及び前記加温装置のうちの少なくともいずれかであることとする。
【0018】
また情報処理装置は、例えば、電力利用設備における消費電力を計測し、計測した前記消費電力を通信可能に接続された他の装置に送信するスマートメータを用いて構成することができる。
【0019】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、貯留設備等に貯留される中水を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】中水利用管理システム1の概略的な構成を示す図である。
【図2】中水道施設3及び中水利用施設4の具体例を示す図である。
【図3】クライアント装置10のハードウエアを示す図である。
【図4】サーバ装置20のハードウエアを示す図である。
【図5】クライアント装置10の機能を示す図である。
【図6】サーバ装置20の機能を示す図である。
【図7】センサ情報のデータフォーマットを示す図である。
【図8】障害情報のデータフォーマットを示す図である。
【図9】情報表示部202が表示装置26に表示する一覧画面900である。
【図10】情報表示部202が表示装置26に表示する詳細画面1000である。
【図11】サーバ装置20が表示装置26に表示する画面の一例である。
【図12】中水供給処理S1200を説明するフローチャートである。
【図13】電力制御処理S1300を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に本発明の実施形態として説明する中水利用管理システム1の概略的な構成を示している。中水利用管理システム1は、国や地方公共団体、もしくはこれらの者から委託された事業者等(以下、中水道管理者2と称する。)によって管理されている中水道施設3、中水道施設3から供給される雨水や家庭からの排水(以下、中水と称する。)を利用する施設(以下、中水利用施設4と称する。)、中水道施設3又は中水利用施設4に付設されるクライアント装置10(情報処理装置)、中水道管理者2などによって運用され、通信ネットワーク5(インターネット、専用線、公衆通信網、電力線通信等)を介してクライアント装置10(情報処理装置)と通信可能に接続するサーバ装置20を含んで構成されている。
【0023】
中水道施設3は、例えば、中水の取水施設、中水の貯水施設、中水の導水施設、中水の再生処理施設、中水の送水施設、中水の配水施設、中水の給水施設等である。一方、中水利用施設4は、中水の需要(利用)が見込まれる、学校、庁舎、オフィスビル、工場建物、一般家庭等であり、より具体的には、水洗トイレ、樹木撒水施設、床暖房施設、結露防止施設等である。
【0024】
図2に中水道施設3及び中水利用施設4の具体例を示している。同図において、中水道施設3は、中水が貯留される中水貯留槽31、中水貯留槽31に中水を導く側溝や中水道等の中水導入溝32、中水貯留槽31に貯留されている水を河川等に排出する中水排出溝33、中水導入溝32や中水排出溝33を流れる中水のエネルギーを利用して発電を行うマイクロ水力発電機34等の施設を含む。
【0025】
一方、中水利用施設4は、常温の中水(以下、常温中水と称する。)が貯水される常温中水タンク41、所定温度に保持される中水(以下、温中水と称する。)が貯水される温中水タンク42(蓄熱槽)、温中水タンク42に貯水されている温中水を加温するヒートポンプ等の加温装置43、中水貯留槽31に貯留されている中水を常温中水タンク41又は温中水タンク42に汲み上げる揚水ポンプ44、常温中水タンク41又は温中水タンク42への水(中水又は上水)の供給、常温中水タンク41又は温中水タンク42から中水利用施設4に設けられている中水利用設備(不図示)への中水又は上水の供給を制御する電磁バルブ45、マイクロ水力発電機34によって発電された電力や各種の余剰電力を貯蔵する電力貯蔵装置46、及び電力の供給制御や商用電力系統との間の買電/売電を制御するパワーコンディショナ47等の施設を含む。
【0026】
電力貯蔵装置46は、マイクロ水力発電機34によって発電された電力を貯蔵(蓄電)する。電力貯蔵装置46の蓄電要素としては、例えば、二次電池(鉛蓄電池、レドックスフロー電池、ナトリウム硫黄電池(NAS電池)、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池)、電気二重層キャパシタ、フライホイール、超電導電力貯蔵装置(SMES:Superconducting Magnetic Energy Storage)等がある。
【0027】
パワーコンディショナ47は、マイクロ水力発電機34によって発電された電力の調整(電圧変換、直交/交直変換)や中水道施設3又は中水利用施設4における余剰電力の商用電力系統等への売電に関する制御、中水道施設3又は中水利用施設4における各種電気設備(以下、電力利用設備と称する。)への不足電力の商用電力系統等からの買電に関する制御を行う。尚、電力利用設備には、前述した揚水ポンプ44、電磁バルブ45、加温装置43、パワーコンディショナ47、クライアント装置10等がある。
【0028】
同図に示すように、中水導入溝32には、中水貯留槽31に流入する中水の流量を計測する流量計321が設けられている。また中水貯留槽31には、当該中水貯留槽31に貯留されている中水の量を計測する水位計311(第1水位計)が設けられている。
【0029】
また常温中水タンク41には、当該常温中水タンク41に貯留されている常温中水の量を計測する水位計(以下、常温中水量センサ411(第2水位計)と称する。)、当該常温中水タンク41に貯留されている常温中水の温度を計測する温度センサ(以下、常温中水温度センサ412(不図示)と称する。)、及び中水利用設備への常温中水の供給量を計測する流量センサ(以下、常温中水供給量センサ413(不図示)と称する。)が設けられている。尚、常温中水タンク41は、記録的豪雨やゲリラ豪雨等による中水の大量発生により中水貯留槽31に流入する中水が許容量を超えた場合、中水のバックアップ先(補助的な貯水槽)として機能する。
【0030】
温中水タンク42には、当該温中水タンク42に貯留されている温中水の量を計測する水位計(以下、温中水量センサ421(第2水位計)と称する。)、当該温中水タンク42に貯留されている温中水の温度を計測する温度センサ(以下、温中水温度センサ422(不図示)と称する。)、及び中水利用設備への温中水の供給量を計測する流量センサ(以下、温中水供給量センサ423(不図示)と称する。)が設けられている。尚、温中水タンク42は、ゲリラ豪雨等で中水貯留槽31に流入する中水が許容量を超えるような場合にバックアップ先(補助的な貯水槽)として機能する。
【0031】
電力貯蔵装置46には、当該電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力量を計測する貯蔵電力量センサ461(不図示)が設けられている。マイクロ水力発電機34には、当該マイクロ水力発電機34の発電量を計測する発電量センサ341(不図示)が設けられている。
【0032】
パワーコンディショナ47には、売電した電力量を計測する売電力量計471(不図示)、買電した電力量を計測する買電力量計472(不図示)、中水道施設3及び中水利用施設4の各種電力利用設備にて消費される電力量を計測する消費電力量計473(不図示)、夫々設けられている。尚、以下の説明において、以上に説明したセンサや計測器のことを各種センサと称する。各種センサはクライアント装置10と通信可能(電気的、磁気的、もしくは光学的)に接続されている。
【0033】
中水道施設3及び中水利用施設4に設けられている各種設備には、夫々の設備における障害に関する情報をクライアント装置10に提供する回路(以下、障害通知装置と称する。)が実装されている。例えば、揚水ポンプ44には、当該揚水ポンプ44に生じている障害をクライアント装置に提供する障害通知装置が、電磁バルブ45には、当該電磁バルブ45に生じている障害をクライアント装置10に提供する障害通知装置が、マイクロ水力発電機34には、当該マイクロ水力発電機34に生じている障害をクライアント装置10に提供する装置が、加温装置43には、当該加温装置43に生じている障害をクライアント装置10に提供する障害通知装置が、夫々実装されている。
【0034】
中水道施設3及び中水利用施設4に設けられている各種電力利用設備には、クライアント装置10からの指示に応じて自身の機能を制御する装置(以下、制御装置と称する。)が実装されている。例えば、加温装置43には、クライアント装置10からの指示に応じて当該加温装置43の機能を制御する装置が、揚水ポンプ44には、クライアント装置10からの指示に応じて当該揚水ポンプ44の機能を制御する装置が、電磁バルブ45には、クライアント装置10からの指示に応じて当該電磁バルブ45の開閉を制御する装置が、パワーコンディショナ47には、クライアント装置10からの指示に応じて当該パワーコンディショナ47の機能を制御する装置が実装されている。
【0035】
図3に中水道施設3又は中水利用施設4に設けられるクライアント装置10のハードウエアを示している。同図に示すように、クライアント装置10は、中央処理装置11、主記憶装置12(RAM、ROM等)、計時装置13、通信装置14、計測装置15、及び表示装置16を備えている。尚、電力量の計測に用いられるスマートメータ(Smart Meter)のハードウエアをクライアント装置10のハードウエアの全部又は一部として利用することができる。
【0036】
中央処理装置11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等を用いて構成されている。中央処理装置11は、主記憶装置12に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、当該クライアント装置10の様々な機能を実現する。主記憶装置12は、揮発性又は不揮発性の記録媒体(RAM、ROM等)を用いて構成されている。主記憶装置12にはプログラムやデータが格納される。
【0037】
計時装置13は、RTC(Real Time Clock)等を用いて構成されている。計時装置13は、現在日時や経過時間など時間に関する情報を提供する。通信装置13は、NIC(Network Interface Card)、通信モジュール(ZigBee、W−LAN(WirelessLAN)、SLPR(Specified Low Power Radio)、PLC(Power Line Communication)、Bluetooth等のモジュール)等を用いて構成されている。通信装置13は、有線通信又は無線通信によって近距離又は遠隔地に設けられた他の装置(サーバ装置を含む)と通信する。
【0038】
計測装置14は、中水道施設3又は中水利用施設4に設けられている各種センサの情報を取得する通信インタフェース(USB(Universal Serial Bus)、RS−232C、GPIB(General Purpose Interface Bus)等)、各種センサから送られてくるアナログの計測値をデジタル値に変換するA/Dコンバータ等を備える。計測装置14は、各種センサから送られてくる計測値を主記憶装置12に随時格納する。表示装置16は、液晶パネルやLED表示器(LED:Light Emitting Diode)等である。表示装置16は、各種センサから送られてくる計測値やそれら計測値に基づき求めた計量値等の様々な情報を表示する。
【0039】
図4にサーバ装置20のハードウエアを示している。同図に示すように、サーバ装置20は、中央処理装置21、主記憶装置22、計時装置23、通信装置24、入力装置25、表示装置26、計時装置27、及び補助記憶装置28を備えている。
【0040】
中央処理装置21は、CPUやMPU等を用いて構成されている。中央処理装置21は、主記憶装置22に格納されているプログラムを読み出して実行することにより、当該サーバ装置20の様々な機能を実現する。主記憶装置22は、揮発性又は不揮発性の記録媒体(RAM、ROM等)を用いて構成されている。主記憶装置22にはプログラムやデータが格納される。
【0041】
計時装置23はRTC等を用いて構成されている。計時装置23は現在日時や経過時間など時間に関する情報を提供する。通信装置24はNICや通信モジュール(W−LAN、SLPR、PLC等のモジュール)を用いて構成されている。通信装置24は有線通信又は無線通信方式によりクライアント装置10と通信する。
【0042】
入力装置25はキーボードやマウス等の入力インタフェースである。表示装置26は液晶モニタ等である。補助記憶装置27はハードディスクやSSD(Solid State Drive)等の不揮発性かつ大容量の記憶装置である。
【0043】
図5にクライアント装置10の機能を示している。同図に示すように、クライアント装置10は、情報取得部101、情報送信部102、制御情報受信部103、及び装置制御部104の各機能を備えている。これらの機能は、クライアント装置10が備えるハードウエアによって、もしくは、クライアント装置10の中央処理装置11が、主記憶装置12に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。これらの機能は、単体のクライアント装置10によって実現してもよいし、複数のクライアント装置10を用いて実現するようにしてもよい。
【0044】
情報取得部101は、センサ情報取得部1011及び障害情報取得部1012を備える。センサ情報取得部1011は、各種センサから送られてくる信号を受信し、受信した信号に基づく情報(以下、センサ情報と称する。)を主記憶装置12に格納する。障害情報取得部1012は、各種障害通知装置から送られてくる情報(以下、障害情報と称する。)を受信し、受信した障害情報を主記憶装置12に格納する。
【0045】
情報送信部102は、主記憶装置12に格納されているセンサ情報や障害情報をサーバ装置20に随時送信する。
【0046】
制御情報受信部103は、サーバ装置20から送られてくる、中水道施設3や中水利用施設4に設けられている各種設備の制御指示を含んだ情報である制御情報を受信し、受信した制御情報を主記憶装置12に格納する。
【0047】
装置制御部104は、主記憶装置12に格納されている制御情報を読み出し、制御情報に従って中水道施設3や中水利用施設4に設けられている制御対象を制御する。装置制御部104は、揚水ポンプ制御部1041、電磁バルブ制御部1042、加温装置制御部1043、及びパワコン制御部1044を備えている。
【0048】
揚水ポンプ制御部1041は、揚水ポンプ44を制御する。電磁バルブ制御部1042は、常温中水タンク41に貯水されている常温中水もしくは温中水タンク42に貯水されている温中水の、中水利用施設4への供給を制御する。また電磁バルブ制御部1042は、上水の中水利用施設4への供給を制御する。
【0049】
図6にサーバ装置20の機能を示している。同図に示すように、サーバ装置20は、情報受信部201、情報表示部202、中水利用予約処理部203、揚水管理部205、温中水温度管理部206、中水供給管理部207、電力選択処理部208、及び制御情報送信部209を備える。これらの機能は、サーバ装置20が備えるハードウエアによって、もしくは、サーバ装置20の中央処理装置21が、主記憶装置22に格納されているプログラムを読み出して実行することにより実現される。また同図に示すように、サーバ装置20は予約情報データベース220を管理している。
【0050】
情報受信部201は、クライアント装置10から送られてくるセンサ情報や障害情報を受信し、受信したセンサ情報や障害情報を主記憶装置22や補助記憶装置27に格納する。
【0051】
図7にサーバ装置20がクライアント装置10から受信するセンサ情報のデータフォーマットを示している。同図に示すように、センサ情報700には、当該センサ情報700を送信したクライアント装置10を特定する識別子であるクライアントID711、当該センサ情報700を送信したクライアント装置10が設けられている中水道施設3又は中水利用施設4を特定する識別子である施設ID712、当該センサ情報700の生成元のセンサを特定する識別子であるセンサID713、センサから取得した情報(以下、センサ取得値と称する。)が設定されるセンサ取得値714、及びセンサ取得値がセンサによって取得された日時が設定される取得日時715等の情報が含まれている。
【0052】
図8にサーバ装置20がクライアント装置10から受信する障害情報のデータフォーマットを示している。同図に示すように、障害情報800には、当該障害情報800を送信したクライアント装置10を特定する識別子であるクライアントID811、当該障害情報800を送信したクライアント装置10が設けられている中水道施設3又は中水利用施設4を特定する識別子である施設ID812、当該障害情報800の生成元の設備を特定する識別子である設備ID813、設備から取得した情報(以下、障害内容と称する。)が設定される障害内容814、及び障害内容が取得された日時が設定される取得日時815等の情報が含まれている。
【0053】
図6に示す情報表示部202は、クライアント装置10から受信したセンサ情報や障害情報に基づき、中水道施設3や中水利用施設4の監視や制御に際して中水道管理者2等によって参照される画面を生成し、生成した画面をサーバ装置20の表示装置26に表示する。
【0054】
図9は情報表示部202が表示装置26に表示する画面の一例である。同図に示すように、この画面(以下、一覧画面900と称する。)には、中水道施設3や中水利用施設4に関する情報が一覧形式で表示されている。同図において、買電基準901には、買電する電気の最高値(電力貯蔵残量があっても商用電力系統から買電するか否かを判断するための基準値(以下、買電基準値と称する。)である。この買電基準値は、例えば中水道管理者2等により設定される。)が表示される。現在の電気料金902には、商用電力系統の現在の電気料金が表示される。尚、この値は例えばインターネット等を通じて電力会社等の商用電力系統の運営組織から随時取得する。
【0055】
設備名911には中水道施設3の名称が設定される。貯留量911には、当該中水道施設3(中水貯留槽31)に現在貯留されている中水の量が表示される。貯留余量912には、当該中水道施設3(中水貯留槽31)の現在の貯留余量(更に貯留可能な中水の量)が表示される。流入量914には、当該中水道施設3(中水貯留槽31)への現在の単位時間当たりの中水の流入量が表示される。貯水量915には、常温中水タンク41の現在の貯水量が表示される。貯水余量916には、常温中水タンク41の現在の貯水余量(更に貯水可能な中水の量)が表示される。貯温水量917には、温中水タンク42の現在の貯水量が表示される。温水余量918には、温中水タンク42の現在の貯水余量(更に貯水可能な温中水の量)が表示される。発電量919には、マイクロ水力発電機34の現在の発電量が表示される。電力貯蔵量920には、電量貯蔵装置46の現在の蓄電量が表示される。溢水警報921には、当該中水道施設3における溢水の有無を示す情報が表示される。
【0056】
図10は情報表示部202が表示装置26に表示する画面(以下、詳細画面1000と称する。)の他の例である。詳細画面1000は、例えば、一覧画面900において特定のレコードを選択する操作を行うことにより表示される。
【0057】
同図に示すように、詳細画面1000には、一覧画面900に表示される情報に加えて、中水の排水先となる河川の水位1001、揚水ポンプ44の動作状態1002、加温装置43の動作状態1003、警報情報1004(溢水発生の有無、貯留槽渇水の有無、揚水ポンプ44の障害有無、電磁バルブ45の障害有無、マイクロ水力発電機34の障害有無、加温装置43の障害有無等)、中水道施設3及び中水利用施設4に関する様々な情報が表示される。
【0058】
図6に示す中水利用予約処理部203は、中水の利用予約に関する処理を行う。図11は、中水道管理者2等が中水の利用予約を行う際、サーバ装置20が表示装置26に表示する画面の一例である。同図に示すように、この画面(以下、中水利用予約画面1100と称する。)には、追加予約可能目安表示欄1111、詳細表示欄1112、利用施設新規登録ボタン1113、利用施設登録内容修正ボタン1114、利用予約新規登録ボタン1115、及び利用予約修正ボタン1116が設けられている。
【0059】
追加予約可能量目安1111には、追加予約が可能な中水の量の概算値(以下、追加予約目安と称する。)が表示される。尚、サーバ装置20は、例えば次の式から追加予約目安を求める。
追加予約可能量目安(m/時間)=(過去30分の流入量(m/分)の平均値×60)+(貯留量/48)−予約されている利用量目安(m/時間)の合計
【0060】
詳細表示欄1112には、中水や上水を利用する施設に関する情報、及び各施設の中水の利用予約の状況が一覧表示される。同図に示すように、詳細表示欄1112に表示される各レコードは、利用施設名1121、利用量目安1122、利用水温1123、中水不足時の対応1124、優先順位1125、及び予約状況1126の各項目を有する。
【0061】
利用施設名1121には、中水利用施設4の名称が表示される。利用量目安1122には、その施設の利用量の概算値(以下、利用量目安と称する。)が表示される。利用水温1123には、その中水利用施設4が利用する中水の温度(利用時に保持されている必要のある中水の温度)が表示される。中水不足時の対応1124には、中水の供給が不足する場合の対応を示す情報が表示される。優先順位1125には、各中水利用施設4に中水を割り当てる際の優先順位を示す情報が表示される。予約状況1126には、その中水利用施設4の中水の利用予約の状況を示す情報が表示される。
【0062】
画面下部の利用施設新規登録ボタン1113は、中水利用施設4を新たに登録する際に選択されるボタンである。中水道管理者2等は、このボタンを選択して中水利用施設4を新たに登録する。利用施設新規登録ボタン1113が選択されると、サーバ装置20は詳細表示欄1112に新規にブランクのレコードを生成する。中水道管理者2等は、生成されたレコードに必要な情報を入力することで、中水利用施設4を新たに登録することができる。尚、登録された情報は予約情報データベース220に管理される。
【0063】
利用施設登録内容修正ボタン1114は、予約情報データベース220に登録されている中水利用施設4の内容を修正する場合に選択される。中水道管理者2等が、詳細表示欄1112に表示されているレコードから修正したいレコードを特定した後、このボタンを選択すると、サーバ装置20は、詳細表示欄1112において特定されたレコードについて内容の変更が可能な状態とする。中水道管理者2等は、修正したいレコードの内容を修正した後、所定の操作を行う。この操作を受けて、サーバ装置20は、修正された内容を予約情報データベース220に反映する。
【0064】
利用施設新規登録ボタン1113は、中水の利用予約を行う場合に選択される。中水道管理者2等は、詳細表示欄1112に表示されているレコードから、中水の利用予約を行いたいレコードを特定した後、このボタンを選択する。サーバ装置20は、詳細表示欄1112において特定されたレコードの予約状況1126の欄を設定可能な状態とする。中水道管理者2等は、予約状況1126に予約内容(予約方法、予約日時、予約時間帯等)を設定した後、所定の操作を行う。この操作を受けて、サーバ装置20は、設定された内容を予約情報データベース220に反映する。尚、毎日定時、各週定時、隔月定時、指定日時等、中水の利用予約は様々な形式で行うことができる。
【0065】
利用予約修正ボタン1116は、予約情報データベースに登録されている予約内容を修正する場合に選択される。中水道管理者2等が、詳細表示欄1112に表示されているレコードから修正したいレコードを特定した後、このボタンを選択すると、サーバ装置20は、詳細表示欄1112において特定されたレコードについて予約内容の変更が可能な状態とする。中水道管理者2等は、修正したいレコードの内容を修正した後、所定の操作を行う。この操作を受けて、サーバ装置20は、修正された予約内容を予約情報データベース220に反映する。
【0066】
図6に示す揚水管理部205は、常温中水タンク41に貯水されている中水の残量が所定の閾値以下になると、揚水ポンプ44及び電磁バルブ45を制御して、中水貯留槽31から常温中水タンク41に中水を汲み上げる。また揚水管理部205は、温中水タンク42に貯水されている温中水の残量が所定の閾値以下になると、揚水ポンプ44及び電磁バルブ45を制御して、中水貯留槽31から温中水タンク42に中水を汲み上げる。
【0067】
温中水温度管理部206は、温中水タンク42に貯水されている中水の温度が予め設定された温度に維持されているか否かを監視し、加温が必要な場合は加温装置43を機能させて温中水タンク42に貯水されている中水の温度を設定温度に維持する。
【0068】
中水供給管理部207は、予約情報データベースに管理されている予約内容に従い電磁バルブ45を制御し、常温中水タンク41又は温中水タンク42から中水利用施設4に中水を供給する。また中水が不足する場合は中水利用施設4に上水を供給する。
【0069】
電力選択処理部208は、マイクロ水力発電機34の発電量、消費電力量計473の検針値、電力貯蔵装置46の蓄電量等に応じて、中水道施設3や中水利用施設4に供給する電力(電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力、マイクロ水力発電機34の発電電力、商用電力系統からの電力等)を選択する。また電力選択処理部208は、商用電力系統に売電を行うか、商用電力系統から買電するかの判断や制御を行う。
【0070】
制御情報送信部209は、揚水管理部204、温中水温度管理部206、中水供給管理部207、及び電力選択処理部208の夫々によって行われる制御のための制御情報を随時クライアント装置10に送信する。
【0071】
<処理説明>
次に以上に説明した構成からなる中水利用管理システム1において行われる処理について説明する。
【0072】
図12は、サーバ装置20の中水供給管理部207によって行われる、予約情報データベース220に管理されている予約内容に従った電磁バルブ45の制御や、常温中水タンク41から中水利用施設4に中水又は上水を供給に関する処理(以下、中水供給処理S1200と称する。)を説明するフローチャートである。同図に示す処理は、例えば、電磁バルブ45の制御タイミングが到来したことを契機として実行される。尚、温中水タンク42から中水利用施設4に中水を供給する処理も基本的に中水供給処理S1200と同様の流れで行われる。以下、同図とともに中水供給処理S1200について説明する。
【0073】
サーバ装置20は、中水供給処理S1200の制御タイミングが到来すると(S1211)、常温中水タンク41に貯水されている中水の残量がゼロか否かを判断する(S1212)。残量がゼロである場合(S1212:YES)、サーバ装置20は、現在が中水の利用予約時刻である中水利用施設4の中水不足時の対応方法(図11の符号1124の内容)を予約情報データベース220から取得する(S1213)。そしてサーバ装置20は、中水不足時の対応方法が「中止」である中水利用施設4については(S1213:中止)、中水の供給を中止する。またサーバ装置20は、中水不足時の対応方法が「上水」である中水利用施設4については(S1213:上水)、「上水」の供給を開始する(S1214)。尚、残量がゼロである場合(S1212:YES)、サーバ装置20は、ポンプ44及び電磁バルブ45を制御して中水貯留槽31から常温中水タンク41への中水の汲み上げを行う。
【0074】
一方、常温中水タンク41に貯水されている中水の残量がゼロでない場合(S1212:NO)、サーバ装置20は、常温中水タンク41の残量が現在どの段階であるかを判断する(S1221)。ここで段階とは、所定の閾値で区分された複数の範囲のことである。本実施形態では、3つの段階(第1段階、第2段階、第3段階)が設けられ、このうち第1段階は第1閾値以上の範囲、第2段階は第1閾値未満かつ第2閾値以上の範囲、第3段階は第2閾値未満第3閾値以上の範囲であるものとする。
【0075】
もし常温中水タンク41の残量が第1段階であれば(S1221:第1段階)、サーバ装置20は、現在が利用予約日時になっている(現在が図11の1126の利用予約時刻に含まれる)全ての中水利用施設4に常温中水タンク41から中水を供給する(S1222)。
【0076】
またもし常温中水タンク41の残量が第2段階であれば(S1221:第2段階)、サーバ装置20は、現在が利用予約日時になっている(現在が図11の1126の利用予約時刻に含まれる)中水利用施設4のうち、n番目の優先順位までの中水利用施設4に常温中水タンク41から中水を供給する(S1223)。
【0077】
また常温中水タンク41の残量が第3段階であれば(S1221:第3段階)、サーバ装置20は、現在が利用予約日時になっている(現在が図11の1126の利用予約時刻に含まれる)中水利用施設4のうち、m(<n)番目の優先順位までの中水利用施設4に常温中水タンク41から中水を供給する(S1224)。
【0078】
このように、常温中水タンク41(又は温中水タンク42)から中水利用施設4への中水(又は温中水)の供給は、予め設定された予約状況と優先順位とに従って行われる。そのため、中水利用施設4ごとの中水の利用ニーズに応じて、中水を効率よく利用することができる。尚、以上の処理において中水の供給が停止された中水利用施設4に対しては、適宜上水が供給される。
【0079】
図13は、サーバ装置20によって行われる、マイクロ水力発電機34の発電量、消費電力量計473の検針値、電力貯蔵装置46の蓄電量等に応じて、中水道施設3や中水利用施設4に供給する電力(電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力、マイクロ水力発電機34の発電電力、商用電力系統からの電力等)の選択や、商用電力系統への売電や商用電力系統からの買電の制御に関する処理(以下、電力制御処理S1300と称する。)を説明するフローチャートである。同図に示す処理は、予め設定された制御タイミング(随時、定期的等)が到来したことを契機として実行される。以下、同図とともに電力制御処理S1300について説明する。
【0080】
サーバ装置20は、予め設定された制御タイミングが到来すると(S1311)、中水道施設3又は中水利用施設4に現在、電力の需要が生じているか否かを判断する(S1312)。電力の需要がある場合は(S1312:YES)、S1321に進み、電力の需要がない場合は(S1312:NO)、S1341に進む。
【0081】
S1321では、サーバ装置20はマイクロ水力発電機34が現在発電中であるか否かを判断する。発電中であれば(S1321:YES)、S1322に進み、発電中でなければ(S1321:NO)、S1325に進む。
【0082】
S1322では、サーバ装置20は、発電電力が需要を満たしている(余剰である)か、過不足無い状態か、もしくは不足しているか、を判断する。余剰である場合は(S1322:余剰)、S1342に進み、過不足無い状態であれば(S1322:過不足無し)、S1323に進み、不足している場合は(S1322:不足)、S1325に進む。
【0083】
S1323では、サーバ装置20は、マイクロ水力発電機34の発電量のみによって需要を賄う制御を行うことを決定し、パワーコンディショナ47等を制御してマイクロ水力発電機34の発電量のみによって需要を賄う状態とするための制御を実行する。その後はS1311に戻り、サーバ装置20は次回の制御タイミングを待機する。
【0084】
S1325では、サーバ装置20は、現在の電気料金が買電基準値以下であるか否かを判断する。もし現在の電気料金が買電基準値以下であれば(S1325:YES)、サーバ装置20は、需要を買電電力のみによって賄う制御を行うことを決定し、パワーコンディショナ47等を制御して需要を買電電力のみによって賄う状態とするための制御を実行する(S1326)。その後はS1311に戻り、サーバ装置20は次回の制御タイミングを待機する。
【0085】
一方、現在の電気料金が買電基準値よりも高ければ(S1325:NO)、サーバ装置2は、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力だけで需要を賄えるか否かを判断する(S1327)。電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力だけで需要を賄えると判断した場合(S1327:YES)、サーバ装置2は、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力だけで需要を賄う制御を行うことを決定し、パワーコンディショナ47等を制御して、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力だけで需要を賄う状態とするための制御を実行する(S1328)。その後はS1311に戻り、サーバ装置20は次回の制御タイミングを待機する。
【0086】
一方、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力だけでは需要を賄えないと判断した場合(S1327:NO)、サーバ装置2は、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力、及び買電電力によって需要を賄う制御を行うことを決定し、パワーコンディショナ47等を制御して、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力、及び買電電力によって需要を賄う状態とするための制御を実行する(S1329)。その後はS1311に戻り、サーバ装置20は次回の制御タイミングを待機する。
【0087】
一方、S1312から分岐するS1341では、サーバ装置20は、マイクロ水力発電機34が現在発電中であるか否かを判断する。発電中であれば(S1341:YES)、S1342に進み、発電中でなければ(S1341:NO)、S1311に戻り、サーバ装置20は次回の制御タイミングの到来を待機する。
【0088】
S1342では、サーバ装置20は、電力貯蔵装置46にさらに電力を貯蔵できるか否かを判断する。貯蔵可能であれば(S1342:YES)、サーバ装置2は、電力貯蔵装置46にマイクロ水力発電機34が発電する電力を貯蔵する制御を行うことを決定し、パワーコンディショナ47等を制御して電力貯蔵装置46にマイクロ水力発電機34が発電する電力を貯蔵する状態とするための制御を実行する。その後はS1311に戻り、サーバ装置20は次回の制御タイミングを待機する。一方、貯蔵可能でなければ(S1342:NO)、S1344に進む。
【0089】
S1344では、サーバ装置20は、マイクロ水力発電機34が発電する電力を商用電力系統に売電可能か判断する。売電可能であれば(S1344:YES)、サーバ装置20は、マイクロ水力発電機34が発電する電力を売電する制御を行うことを決定し、パワーコンディショナ47等を制御してマイクロ水力発電機34が発電する電力の売電を開始する(S1345)。
【0090】
一方、売電不可能であれば(S1344:NO)、サーバ装置20は、マイクロ水力発電機34が発電する電力を利用して揚水ポンプ44や蓄熱装置(ヒートポンプ等)を動作させ(負荷創出)、マイクロ水力発電機34が発電する電力を有効利用する(S1346)。
【0091】
このように、サーバ装置20は、電力需要の有無、マイクロ水力発電機34の発電状態、商用電力系統の現在の電気料金、電力貯蔵装置46の電力の貯蔵状態(蓄電状態)、商用電力への売電が可能か否か等の様々な条件に基づき電力の供給や利用を行う。このため、マイクロ水力発電機34によって発電される電力の有効利用を図ることができる。また商用電力系統への売電や商用電力系統からの買電を適切に行うことができる。
【0092】
またマイクロ水力発電機34の現在出力に応じて、電力利用設備に供給する電力として、マイクロ水力発電機34の出力、電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力、及び商用電力を適切に選択することができる。また電気料金が買電基準値以下である場合にのみ、電力利用設備に供給する電力として商用電力が選択されるので、商用電力からの買電量を適切に抑えつつ、電力利用設備への電力供給を効率よく行うことができる。また電力貯蔵装置46に貯蔵されている電力に余力がある場合には売電を行うことができる。
【0093】
以上、詳細に説明したように、本実施形態の中水利用管理システム1によれば、利用予約されている中水利用施設4に対して、常温中水タンク41や温中水タンク42の水位に応じて中水を供給することができる。また常温中水タンク41や温中水タンク42の水位が減ってきた場合には、中水利用施設4ごとに設定された優先順位に応じて中水タンクの中水の中水利用施設4への供給を適切に制御することができる。このように、本実施形態の中水利用管理システム1によれば、雨水等の中水を適切に中水利用施設4に供給することができる。
【0094】
尚、以上に説明した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0095】
1 中水利用管理システム
2 中水道管理者
3 中水道施設
31 中水貯留槽
34 マイクロ水力発電機
4 中水利用施設
41 常温中水タンク
42 温中水タンク
44 揚水ポンプ
45 電磁バルブ
46 電力貯蔵装置
47 パワーコンディショナ
471 売電力量計
472 買電力量計
5 通信ネットワーク
10 クライアント装置
101 情報取得部
104 装置制御部
20 サーバ装置
203 中水利用予約処理部
204 揚水管理部
208 電力選択処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中水が貯留される中水貯留槽と、
前記中水貯留槽に貯留されている中水の水位を計測する第1水位計と、
前記中水貯留槽から汲み上げた中水が貯水される中水タンクと、
前記中水タンクに貯留されている中水の水位を計測する第2水位計と、
前記中水貯留槽から前記中水タンクに中水を汲み上げる揚水ポンプと、
前記中水タンクから当該中水を利用する施設である中水利用施設への中水の供給を制御する電磁バルブと、
前記第1水位計又は前記第2水位計の計測値を取得し、前記中水利用施設について時間ごとの中水の利用予約を受け付けて記憶し、前記利用予約に応じて前記揚水ポンプ又は前記電磁バルブを制御して前記中水利用施設への中水の供給を制御する情報処理装置と
を備えることを特徴とする中水利用管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の中水利用管理システムであって、
前記情報処理装置は、
夫々に優先順位が付与された複数の前記中水利用施設について前記利用予約を記憶し、
前記中水タンクの水位が第1閾値以上である場合には、現在が前記利用予約された時刻になっている前記中水利用施設に中水を供給し、
前記中水タンクの水位が前記第1閾値未満かつ第2閾値以上である場合には、現在が前記利用予約された時刻になっている前記中水利用施設のうち優先順位がn番目までの前記中水利用施設に中水を供給し、
前記中水タンクの水位が前記第2閾値未満かつ第3閾値以上である場合には、現在が前記利用予約された時刻になっている前記中水利用施設のうち優先順位がm番目までの前記中水利用施設に中水を供給する
ことを特徴とする中水利用管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか一項に記載の中水利用管理システムであって、
前記中水貯留槽に流入する中水のエネルギーによって発電する水力発電機と、
前記水力発電機によって発電された電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、
前記水力発電機及び前記電力貯蔵装置から電力利用設備への電力の供給制御を行うパワーコンディショナと
を備え、
前記情報処理装置は、前記水力発電機の現在の出力を取得し、取得した前記現在出力に応じて、前記電力利用設備に供給する電力として、前記水力発電機の出力、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力のうち少なくともいずれかを前記電力利用設備に供給する電力として選択する
ことを特徴とする中水利用管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の中水利用管理システムであって、
前記中水貯留槽に流入する中水のエネルギーによって発電する水力発電機と、
前記水力発電機によって発電された電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、
前記水力発電機及び前記電力貯蔵装置から電力利用設備への電力の供給制御を行うパワーコンディショナと
を備え、
前記情報処理装置は、
前記情報処理装置は、前記水力発電機の現在の出力を取得し、取得した前記現在出力に応じて、前記電力利用設備に供給する電力として、前記水力発電機の出力、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力のうちの少なくともいずれかを前記電力利用設備に供給する電力として選択し、
現在の電気料金を取得し、取得した前記電気料金が所定の買電基準値以下である場合にのみ、前記電力利用設備に供給する電力として前記商用電力を選択する
ことを特徴とする中水利用管理システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の中水利用管理システムであって、
前記中水貯留槽に流入する中水のエネルギーによって発電する水力発電機と、
前記水力発電機によって発電された電力を貯蔵する電力貯蔵装置と、
前記水力発電機及び前記電力貯蔵装置から電力利用設備への電力の供給制御、及び前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力の売電制御を行うパワーコンディショナと
を備え、
前記情報処理装置は、
前記水力発電機の現在の出力を取得し、取得した前記現在出力に応じて、前記電力利用設備に供給する電力として、前記水力発電機の出力、前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力、及び商用電力のうちの少なくともいずれかを前記電力利用設備に供給する電力として選択し、
前記電力貯蔵装置に貯蔵されている電力が所定の閾値以上である場合は前記パワーコンディショナを制御して売電を行う
ことを特徴とする中水利用管理システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の中水利用管理システムであって、
前記中水タンクは、常温の中水が貯水される常温中水タンク、及び加温装置によって所定の温度に加温された中水が貯水される温中水タンクのうちの少なくともいずれかであり、
前記電力利用設備は、前記揚水ポンプ、前記電磁バルブ、及び前記加温装置のうちの少なくともいずれかである
ことを特徴とする中水利用管理システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の中水利用管理システムであって、
前記情報処理装置は、電力利用設備における消費電力を計測し、計測した前記消費電力を通信可能に接続された他の装置に送信する、スマートメータを用いて構成される
ことを特徴とする中水利用管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−92579(P2012−92579A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241194(P2010−241194)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】