中空パイプ体補強シート貼付工法
【課題】中空のパイプ体内部に筒状の補強シートを貼り付ける工法において、補強シート内部にまで接着剤を含浸できるようにする。
【解決手段】中空パイプ体補強シート貼付工法として、内部に長尺の風船体50が入れられた補強シート40を細く畳み長尺風船が膨らむ力で締結が解ける締結手段43によりこの状態を保持し、このまま接着剤に含浸させ、その後、補強シート40を、中空パイプP体内部に連通する孔12から前記中空パイプ体P内に挿入し、長尺の風船体50に空気を入れて膨らませ、補強シート40を中空パイプ体内に貼り付ける。
【解決手段】中空パイプ体補強シート貼付工法として、内部に長尺の風船体50が入れられた補強シート40を細く畳み長尺風船が膨らむ力で締結が解ける締結手段43によりこの状態を保持し、このまま接着剤に含浸させ、その後、補強シート40を、中空パイプP体内部に連通する孔12から前記中空パイプ体P内に挿入し、長尺の風船体50に空気を入れて膨らませ、補強シート40を中空パイプ体内に貼り付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱、鉄塔、気体用又は液体用の配管などの中空パイプ体の内部に、側面から内壁に筒状の補強シートを貼り付ける工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した電柱などを補強するために、電柱内部に鉄筋を入れモルタルを打設することなどが行なわれている。しかし、鉄筋を入れてモルタルを打設する方法は通常、電柱の頂上部に孔を開けて、この孔から鉄筋を挿入する工程が必要であり、作業性が悪く、危険も大きい。これに対して、本願発明者は、下記特許文献において、鉄筋に変えて筒状の補強シートを電柱の側面に設けた孔から挿入して電柱の内壁に貼りつける工法を提示している。
具体的には、電柱の側面に孔を開け、この孔を介して、風船体により電柱内壁に係合する頭部固定装置と底部固定装置をそれぞれ電柱内壁の上部及び下部に線材を用いて押し入れて風船体内部に空気を入れることで固定する。そして、頭部固定装置及び底部固定装置に設けられた被係合部には予め前記孔から表出するようにワイヤーが設けられ、このワイヤーを用いて頭部固定装置及び底部固定装置間を移動するように、接着剤を噴射ノズルにより電柱内壁に吹きつけて塗布する。その後、噴射ノズルを取り出して、ワイヤーに補強シートの上端及び下端に結び付けて、引っ張ることで、補強シート上端および下端に設けられた係合部材を頭部固定装置及び底部固定装置の被係合部に係合させて固定する。最後に、補強シート内部を空気により膨らませて内壁に貼りつけることで、補強シートを電柱に貼りつけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4157149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の工法では、接着剤を噴射ノズルで電柱内壁に接着剤を吹き付けこれに補強シートを押し付けるので、補強シートの電柱との接触面のみに接着剤が含浸する。しかし、補強という観点からは補強シート内部まで接着剤を含浸させてこれを硬化させる方が強度が高くすることができる。
本発明は、このような問題に鑑みて、中空のパイプ体内部に筒状の補強シートを貼り付ける工法において、補強シート内部にまで接着剤を含浸できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(101)〜(105)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法である。
(101) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(102) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(103) 前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸させる接着剤含浸工程を有する。
(104) 前記接着剤含浸工程の後、前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(105) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。なお、空気注入部から空気を流入させるためには、挿入工程において、空気注入部をパイロット孔から表出させるか、空気注入部を一定長さを有するパイプとしておき、このパイプをパイロット孔から表出するようにしておけばよい、これは、後述する請求項4の(205)においても同様である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記補強シート貼付工法において、前記折りたたまれた補強シートは、予め内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入されるものであり、前記接着剤含浸工程では、前記連通口から接着剤を流入させることで前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸するものであり、前記挿入工程においては、前記袋体又は箱体から前記折りたたまれた補強シートを取り出して、前記中空パイプ体内に挿入するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の補強シート貼付工法において、前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、前記連通口は気密的に閉塞できるものであり、接着剤を前記連通口から流入する前に、前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである。
【0007】
請求項4に記載の発明は、中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(201)〜(205)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法である。
(201) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(202) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(203) 前記折りたたまれた補強シートは、袋体又は箱体に封入されるものであり、当該袋体又は箱体内において予め接着剤が含浸される。
(204) 前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記袋体又は箱体から取り出して前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(205) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の補強シート貼付工法において、前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、接着剤を含浸した状態で前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである。
【0009】
請求項6に記載の発明は、前記補強シート貼付工法において、前記折りたたまれた補強シートは、前記挿入工程において中空パイプ体内に挿入されるまでスプールに巻かれた状態で保持されるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の補強シート貼付工法において、前記挿入工程では、前記スプールを回動可能に保持した状態で、前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ内に挿入するものである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、筒状の補強シートであって、前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体を有するとともに、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられ、前記風船体とともに細長く折りたたまれて、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される補強シートである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の補強シートを内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入したケース入り補強シートである。
請求項10に記載の発明は、前記ケース入り補強シートにおいて、前記袋体又は箱体を気密性を有するものとし、前記連通口は気密的に閉塞できるものとしたものである。
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の補強シートを袋体又は箱体に封入し、接着剤を含浸したケース入り補強シートである。
請求項12に記載の発明は、前記ケース入り補強シートにおいて、前記補強シートをスプールに巻いた状態で袋体又は箱体に封入したものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成により本願発明は以下のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、補強シートを細長く折りたたんだ状態で締結手段により補強シートを細長い状態を保持したまま中空パイプ内に挿入するので、細いパイロット孔からの挿入が可能であり、中空パイプの外で補強シートの接着剤を含浸させるので、比較的容易に補強シート内部にまで接着剤を含浸させることができる。
請求項2に記載の発明は、折りたたまれた補強シートを袋体又は箱体に封入することで、運搬、収納が容易となり、また、これに接着剤を流入させることで接着剤を含浸させるので現場での含浸作業を簡易に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、前記袋体又は箱体内部を外気よりも減圧しておくことで、より補強シートに接着剤を含浸しやすくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、予め袋体又は箱体内で補強シートに接着剤を含浸しておき、これを現場で開いて補強シートを取り出し、中空パイプに挿入するので、現場での作業工程が減り、現場での作業を簡素化することができる。
請求項5に記載の発明は、前記袋体又は箱体内部を減圧しておくことで、補強シートへの含浸を促進することできる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、細長く折りたたまれた補強シートをスプールに巻いておくことで運搬・収納時や作業時に細長く折りたたまれた補強シートが絡んでしまうことを防ぐことができる。
請求項7に記載の発明は、挿入工程でスプールを回転しながら細長く折りたたまれた補強シートを繰り出すことができるので、補強シートのねじれを抑制し作業性を高めることができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、補強シートが細長く折りたたまれた状態のまま保持されるので、この状態で接着剤を含浸し、さらに、この状態のまま小さな孔から中空パイプ体内に挿入することができ、さらに、中空パイプ内で内部の風船体に空気を入れて膨らませることで、細長く折りたたまれた状態を解かれて、補強シートが内側から膨らみ中空パイプ体内壁に押し付けられるので、容易に中空パイプ体内に貼り付けることができる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記補強シートを連通口を有する袋体又は箱体に入れておくことで、運搬が容易となり、また、現場において連通口から接着剤を袋体又は箱体に流入させることで接着剤を補強シートに含浸させることができるので、現場での作業性がよい。
請求項10に記載の発明は、前記袋体又は箱体を気密性とし、前記連通口を気密的に閉塞できるものとすることで、袋体または箱体内部を減圧することができ、これにより接着剤の補強シートへの含浸を促進することができる。
請求項11に記載の発明は、補強シートを袋体又は箱体に入れ接着剤を含浸させておくことで、現場では袋体又は箱体から補強シートを取り出して、中空パイプ体内にすぐに挿入できるので、現場での作業効率を高めることができる。
請求項12に記載の発明は、補強シートをスプールに巻いた状態で袋体又は箱体に入れることで、細長くおりたたんだ補強シートが袋体又は箱体内で絡まることを防ぐことができ、また、現場で補強シートを繰り出す作業に際しても、補強シートが絡むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】補強シートの斜視図である。
【図2】補強シートを細く折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係る袋体に封入される補強シートを示す分解斜視図である。
【図4】実施形態1に係る袋体に封入された補強シートを枠体に入れる状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態1に係る(a)(b)(c)は接着剤含浸工程を模式的に示す断面図である。
【図6】枠に入れられた袋体に封入された補強シート、回転台、固定蓋を示す分解斜視図である。
【図7】枠に入れられた袋体に封入された補強シートを回転台に載せ固定蓋を嵌めた状態を示す斜視図である。
【図8】頭部固定装置を示す斜視図である。
【図9】(a)〜(d)は挿入工程の一部を模式的に示す図である。
【図10】(a)(b)は図9に示す挿入工程の続きを模式的に示す図である。
【図11】(a)〜(d)は補強シート貼付工程を模式的に示す図である。
【図12】実施形態2に係る袋体に封入された補強シートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、中空パイプ体として電柱が用いられる。本実施形態に係る中空パイプ体の補強シート貼付工法は、筒状の補強シートを中空パイプ体の外で接着剤に含浸させ、これを中空パイプ体内に挿入して貼り付ける工法である。
【0018】
(補強シート)
まず、補強シートについて説明する。図1に補強シート40の斜視図を示す。補強シート40は炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維、ポリエチレン、ビニロンなどの高強度繊維繊維で構成されたシート体を2重にして丸め、接合部を縫い合わせることで筒体に形成したものであり、補強する電柱の内壁面の所定範囲面に合致する外面を有する。補強シート40の側面には連通孔42が設けられている。また、補強シート40の内側には、補強シート40の内周面に沿う筒状の外周面を有する長尺の風船体50が予め収められており、弱い強度の接着剤により補強シート40に固定されている。風船体50の、前記連通孔42に合致する位置には、風船体50の内部に連通する空気注入管51が設けられ、連通孔42を通って補強シート40外部に引き出されている。
【0019】
この補強シート40は、図2に示すように、細く丸められるように折りたたまれ、折りたたまれた状態の側面に一定間隔で締結手段となる細い糸43を巻きつけて端部を縛ることで、折りたたまれた状態に保持される。糸43は比較的細く、前記風船体50を膨らませると膨張力で切れる程度の強度を有する。なお、折りたたまれた状態でも、風船体50の空気注入管51は表出するようにしておく。
【0020】
さらに、この細く折りたたまれた補強シート40は、図3に示すように発泡スチロールの円柱体からなるスプール60に巻きつけられる。そして、このスプール60に巻きつけられた補強シート40は有底円筒状の透明なポリエチレン製の袋体70に入れられ、この袋体70の上部開口は扁平な有底円筒状のポリエチレン製の蓋71が嵌められて外縁を熱融着することで封止される。これにより、スプール60に巻きつけられた補強シート40は袋体70内に気密状態で封入される。袋体70の側面上部側と下部側には、袋体70内部と外部とを連通させる気密性のあるジョイント72、73が設けられる。各ジョイント72、73は、何も接続されていない状態では気密的に閉じられており、対応するジョイントが接続された場合に内部に連通する構造を有している。そして、これらのジョイント72、73のいずれかから空気を吸引することで、袋体70は補強シート40とともに内部が減圧され圧縮され縮小される。補強シート40はこの状態で工場で出荷され、作業現場へ搬送される。
【0021】
次に、上記補強シートを用いた中空パイプ体の補強シート貼付工法について説明する。中空パイプ体の補強シート貼付工法は(1)接着剤含浸工程、(2)挿入工程、(3)補強シート貼付工程からなる。以下、これらについて説明する。
(1)接着剤含浸工程
この工程では、補強シート40が封入された袋体70内に接着剤を注入して、内部の補強シート40に接着剤を含浸させる。具体的には、まず、補強シート40が封入された袋体70は図4に示すように枠80に入れられる。枠80は有底の金属により形成される、袋体70の外径よりやや大きな内径を有する円筒体であり、袋体70が内部に収まる高さを有する。また、枠80の側面に袋体70のジョイント72、73が表出する開口が設けられており、ジョイント72、73がこの開口から表出するように袋体70の位置が定められる。枠80は袋体70の形状を保持する役割を果たす。
【0022】
この状態で図5(a)に示すように袋体70の下側のジョイント73に、対応するジョイントが設けられた接着剤が入れら得たペール缶Cに繋がる配管Pを接続し、ペール缶Pの上部からエアコンプレッサーAにより空気を送り込む。なお、この際に上側のジョイント72から空気を吸い込みさらに減圧するようにしてもよい。これにより、ペール缶P内の接着剤は配管Pを通じて袋体70内に流入する。袋体70は予め減圧しているので、圧縮された補強シート40は接着剤の流入により膨らみ、これにより補強シート40内部まで接着剤が浸透する。接着剤が袋体70の上端に達した時点でエアコンプレッサーAを止めて、配管Pをはずす。これにより図5(b)のように気密的に密閉された袋体70内に接着剤が満たされた状態となるので、しばらく放置して補強シート40への含浸を促進させる。
一定時間が経過し十分な含浸が完了したら、図5(c)に示すように再び配管Pを下側のジョイント73に接続し、上側のジョイント72にエアコンプレッサーAを接続し、エアコンプレッサーにより袋体70の上側から空気を送り込む。これにより、余分な接着剤は空気に押されて、下側のジョイント73から配管Pを通ってペール缶Cへ戻り回収される。回収が完了したら、ジョイント72、73に接続された配管P等をはずし、接着剤含浸工程が完了する。
【0023】
(2)挿入工程
この工程では、接着剤が含浸された補強シート40を、事前に電柱の側面に設けておいたパイロット孔から挿入する。挿入に際しては、図6に示すような回転台90を用いる。回転台90は、下端側の扁平円柱状の基台91、基台91の上面に回動自在に固定される回転テーブル92、基台91の上方に立設される複数の棒体からなる縦枠93、縦枠93の上端に設けられるリング状の上部枠94とから構成される。また、回転台90の上部枠94には固定蓋100が嵌められるようになっている。固定蓋100は、上部が閉じら得た扁平な円筒体であり、内径の大きさが上部枠94に嵌合し固定できる程度の大きさに設定される。固定蓋100の中央には、鉛直軸に対して回動自在に固定される回転部材102が固定されている。回転部材102は、固定蓋100を上部枠94に固定すると、補強シート40を巻いているスプール60の上面を押し付けて回転テーブル92とともにスプールを狭持固定するような長さに設定される。また、固定蓋100の上面には、補強シート取り出し口101が設けられる。補強シート取り出し口101は筒体であり、固定蓋100上面から上方に向かって径が小さくなる絞り部101a、絞り部上部から側方に屈曲するパイプにより構成される屈曲部101bにより形成される。この補強シート取り出し口により、折りたたまれた補強シート40はより細く絞られた状態で取り出し口101が引き出される。
挿入工程では、まず、枠80に入ったままの補強シート40を回転台90の回転テーブル92に置き、袋体70の上面を切り取って補強シート40の先端を取り出す。そして、この先端を補強シート取り出し口101の下側から挿入して、上端側に通し、固定蓋100を回転台90の上部枠94に嵌めて固定する。これにより、図7のような状態となる。
【0024】
また、挿入の準備として、電柱Pの側面にホールカッターなどで側面から内部に通じる貫通孔であるパイロット孔を空ける。次に、パイロット孔から頭部固定装置を挿入する。図8に頭部固定装置110の斜視図を示す。頭部固定装置110は、やや縦長の側周面に滑り止めが設けられる風船本体111、風船の下端に設けられる風船体本体111の内部に連通する逆支弁が設けられた空気注入口112、空気注入口に連通する、可撓性を有するパイプからなる空気注入管113、空気注入口112近傍に固定される後述するワイヤーWを支持する滑車114から構成される。なお、空気注入管113の先端はネジにより空気注入口112に係合しており、空気注入管113を回転させることで、空気注入口112から取り外せるようになっている。
【0025】
まず、図9(a)に示すように、頭部固定装置110の滑車114にワイヤーWを通しておき、電柱Pのパイロット孔12から空気注入管113を押し入れることで頭部固定装置110を電柱P内部の上方へ押し入れていく。一定位置まで頭部固定装置110が到達したら、図9(b)に示すように空気注入管113にポンプCを接続して空気を送り風船体本体111を膨らませることで、頭部固定装置111を電柱P内部の上部位置に固定する。さらに、この状態で、空気注入管113を回転して取り外し、パイロット孔12より電柱Pの外へ引き出す。
次に、図9(c)に示すようにワイヤーWの一端を補強シート40の先端から突出する風船体50の先端に連結し、補強シート取り出し口101の上端をパイロット孔12に合わせる。この状態で、ワイヤーWの補強シート40に連結されていない側を引っ張ることで、図9(d)に示すように、補強シート40は頭部固定装置110の滑車114の方へと引っ張り上げられる。この際、回転台90の回転テーブル92と固定蓋100の回転部材102に狭持されるスプール60が回転しながら補強シート40が繰り出されていくので、補強シート40はねじれることなく、スムーズに繰り出される。
図10(a)に示すように、補強シート40の全体が電柱P内部に入ったら、少しワイヤーWを緩めて、補強シート40を下げ、図10(b)に示すように、補強シート40から表出する空気注入管51の位置をパイロット孔12の高さに合わせて、空気注入管51をパイロット孔12から外部に表出させる。以上で、挿入工程が完了する。
【0026】
(3)補強シート貼付工程
この工程では、挿入された補強シート40を電柱内壁に貼り付ける。まず、空気注入管51にエアポンプAPを接続して空気を入れ、風船体50を膨らませる。これにより、補強シート40を折りたたんだ状態に保持していた糸43が切れて、図11(a)に示すように風船体50は膨らんで、接着剤が含浸された補強シート40が電柱Pの内壁に押し付けられる。これにより、補強シート40は電柱Pの内壁に接着されることとなる。
一定時間この状態で保持して接着剤が十分硬化したのち、今度は、エアポンプAPを用いて風船体50の空気を抜く、補強シート40と風船体50とは弱い強度の接着剤により接着されているので、この操作で図11(b)に示すように風船体50は補強シート40から離れて、しぼむこととなる。この状態で、補強シート40の連通孔42及び電柱Pのパイロット孔12から風船体50を引っ張りだし、図11(c)に示すようにリールに巻き取る。この結果。図11(d)に示すように、補強シート40の内側から風船体50が取り出され補強シート貼付工程は完了する。
【0027】
(実施形態2)
次に実施形態2に係る中空パイプ体の補強シート貼付工法について説明する。本補強シート貼付工法の実施形態1に係る補強シート貼付工法との相違点は、接着剤が予め工場で補強シート40に含浸された状態で、袋体70Aに封入された状態で現場に搬送される点である。即ち、本実施形態に係る中空パイプ体の補強シート貼付工法は(1)挿入工程、(2)補強シート貼付工程からなる。以下、これらについて説明する。
【0028】
(補強シート)
図12に本実施形態で用いる、袋体70Aに封入された補強シート40の斜視図を示す。補強シート40、風船体50、スプール60の構成などは実施形態1と同様である。相違点は、スプール40に巻かれた、折りたたまれた補強シート40は袋体70A内で接着剤を含浸された後、余分な接着剤が排出され、その後、袋体70Aの上面が蓋71により封止される点である。後から接着剤を入れる必要が無いので袋体70Aにはジョイント72、73は設けられない。
【0029】
(1)挿入工程・(2)補強シート貼付工程
挿入工程、補強シート貼付工程は、実施形態1に係る挿入工程と同様であるので説明は省略する。なお、袋体70Aにはジョイント72、73は設けられないので枠80の開口は不要である。
【0030】
(変形例)
上記実施形態では、細く折りたたんだ補強シートを風船体の膨張により切れる糸により折りたたんだ状態に保持したが、風船体の膨張により締結が解けるものであれば、種々の方法が採用できる。例えば、帯体の両端側に風船体の膨張により締結が解ける程度の強さで締結する面ファスナーやスナップボタンの係合部と被係合部をそれぞれ設け、これを折りたたんだ補強シートに巻いて両端を係合させることで締結したり、風船体の膨張力で塑性変形する針金などの線材を折りたたんだ補強シート巻きつけて締結したりすることが考えられる。また、これらの締結手段は、補強シートの外周面に、直接固定していてもよい。
さらに、上記実施形態では、折りたたんだ補強シートをワイヤーにより引っ張り上げることで、パイロット孔から中空パイプ体内に挿入する方法を示したが、補強シートの内部や外部を通る可撓性のある鋼線などの線材の端部を補強シート先端に固定し、この線材を用いて、補強シートをパイロット孔から押し入れるようにして挿入することも可能である。また、補強シート自体も折りたたむことで強度を増しているので、折りたたんだ補強シート自体をパイロット孔から押し入れてもよい。
また、上記実施形態では、袋体内で補強シートを接着剤を含浸させたが、袋体を用いずに現場において、槽体に接着剤を貯めて、これに補強シートを付けるようにしてもよい。
【0031】
なお、上記実施形態では、挿入工程において、パイロット孔を開けた後で、直ぐに補強シートを挿入する場合を説明しているが、パイロット孔を開けた後に、中空パイプ体内をパイロット孔を通じて洗浄したり、研磨したり、プライマーを塗布したりする工程を設けてもよい。
また、上記実施形態では、電柱内部に補強シートを貼り付ける場合を例示したが、中空の鉄管や、ガス管、水道管など中空のパイプ体であれば種々のものに適用できる。
【符号の説明】
【0032】
P 電柱
12 パイロット孔
40 補強シート
42 連通孔
50 風船体
51 空気注入管
60 スプール
70、70A 袋体
72、73 ジョイント
80 枠体
90 回転台
100 固定蓋
110 頭部固定装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱、鉄塔、気体用又は液体用の配管などの中空パイプ体の内部に、側面から内壁に筒状の補強シートを貼り付ける工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した電柱などを補強するために、電柱内部に鉄筋を入れモルタルを打設することなどが行なわれている。しかし、鉄筋を入れてモルタルを打設する方法は通常、電柱の頂上部に孔を開けて、この孔から鉄筋を挿入する工程が必要であり、作業性が悪く、危険も大きい。これに対して、本願発明者は、下記特許文献において、鉄筋に変えて筒状の補強シートを電柱の側面に設けた孔から挿入して電柱の内壁に貼りつける工法を提示している。
具体的には、電柱の側面に孔を開け、この孔を介して、風船体により電柱内壁に係合する頭部固定装置と底部固定装置をそれぞれ電柱内壁の上部及び下部に線材を用いて押し入れて風船体内部に空気を入れることで固定する。そして、頭部固定装置及び底部固定装置に設けられた被係合部には予め前記孔から表出するようにワイヤーが設けられ、このワイヤーを用いて頭部固定装置及び底部固定装置間を移動するように、接着剤を噴射ノズルにより電柱内壁に吹きつけて塗布する。その後、噴射ノズルを取り出して、ワイヤーに補強シートの上端及び下端に結び付けて、引っ張ることで、補強シート上端および下端に設けられた係合部材を頭部固定装置及び底部固定装置の被係合部に係合させて固定する。最後に、補強シート内部を空気により膨らませて内壁に貼りつけることで、補強シートを電柱に貼りつけることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4157149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の工法では、接着剤を噴射ノズルで電柱内壁に接着剤を吹き付けこれに補強シートを押し付けるので、補強シートの電柱との接触面のみに接着剤が含浸する。しかし、補強という観点からは補強シート内部まで接着剤を含浸させてこれを硬化させる方が強度が高くすることができる。
本発明は、このような問題に鑑みて、中空のパイプ体内部に筒状の補強シートを貼り付ける工法において、補強シート内部にまで接着剤を含浸できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(101)〜(105)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法である。
(101) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(102) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(103) 前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸させる接着剤含浸工程を有する。
(104) 前記接着剤含浸工程の後、前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(105) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。なお、空気注入部から空気を流入させるためには、挿入工程において、空気注入部をパイロット孔から表出させるか、空気注入部を一定長さを有するパイプとしておき、このパイプをパイロット孔から表出するようにしておけばよい、これは、後述する請求項4の(205)においても同様である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記補強シート貼付工法において、前記折りたたまれた補強シートは、予め内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入されるものであり、前記接着剤含浸工程では、前記連通口から接着剤を流入させることで前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸するものであり、前記挿入工程においては、前記袋体又は箱体から前記折りたたまれた補強シートを取り出して、前記中空パイプ体内に挿入するものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の補強シート貼付工法において、前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、前記連通口は気密的に閉塞できるものであり、接着剤を前記連通口から流入する前に、前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである。
【0007】
請求項4に記載の発明は、中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(201)〜(205)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法である。
(201) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(202) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(203) 前記折りたたまれた補強シートは、袋体又は箱体に封入されるものであり、当該袋体又は箱体内において予め接着剤が含浸される。
(204) 前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記袋体又は箱体から取り出して前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(205) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の補強シート貼付工法において、前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、接着剤を含浸した状態で前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである。
【0009】
請求項6に記載の発明は、前記補強シート貼付工法において、前記折りたたまれた補強シートは、前記挿入工程において中空パイプ体内に挿入されるまでスプールに巻かれた状態で保持されるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の補強シート貼付工法において、前記挿入工程では、前記スプールを回動可能に保持した状態で、前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ内に挿入するものである。
【0010】
請求項8に記載の発明は、筒状の補強シートであって、前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体を有するとともに、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられ、前記風船体とともに細長く折りたたまれて、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される補強シートである。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の補強シートを内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入したケース入り補強シートである。
請求項10に記載の発明は、前記ケース入り補強シートにおいて、前記袋体又は箱体を気密性を有するものとし、前記連通口は気密的に閉塞できるものとしたものである。
請求項11に記載の発明は、請求項8に記載の補強シートを袋体又は箱体に封入し、接着剤を含浸したケース入り補強シートである。
請求項12に記載の発明は、前記ケース入り補強シートにおいて、前記補強シートをスプールに巻いた状態で袋体又は箱体に封入したものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のような構成により本願発明は以下のような効果を奏する。
請求項1に記載の発明は、補強シートを細長く折りたたんだ状態で締結手段により補強シートを細長い状態を保持したまま中空パイプ内に挿入するので、細いパイロット孔からの挿入が可能であり、中空パイプの外で補強シートの接着剤を含浸させるので、比較的容易に補強シート内部にまで接着剤を含浸させることができる。
請求項2に記載の発明は、折りたたまれた補強シートを袋体又は箱体に封入することで、運搬、収納が容易となり、また、これに接着剤を流入させることで接着剤を含浸させるので現場での含浸作業を簡易に行うことができる。
請求項3に記載の発明は、前記袋体又は箱体内部を外気よりも減圧しておくことで、より補強シートに接着剤を含浸しやすくすることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、予め袋体又は箱体内で補強シートに接着剤を含浸しておき、これを現場で開いて補強シートを取り出し、中空パイプに挿入するので、現場での作業工程が減り、現場での作業を簡素化することができる。
請求項5に記載の発明は、前記袋体又は箱体内部を減圧しておくことで、補強シートへの含浸を促進することできる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、細長く折りたたまれた補強シートをスプールに巻いておくことで運搬・収納時や作業時に細長く折りたたまれた補強シートが絡んでしまうことを防ぐことができる。
請求項7に記載の発明は、挿入工程でスプールを回転しながら細長く折りたたまれた補強シートを繰り出すことができるので、補強シートのねじれを抑制し作業性を高めることができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、補強シートが細長く折りたたまれた状態のまま保持されるので、この状態で接着剤を含浸し、さらに、この状態のまま小さな孔から中空パイプ体内に挿入することができ、さらに、中空パイプ内で内部の風船体に空気を入れて膨らませることで、細長く折りたたまれた状態を解かれて、補強シートが内側から膨らみ中空パイプ体内壁に押し付けられるので、容易に中空パイプ体内に貼り付けることができる。
【0015】
請求項9に記載の発明は、前記補強シートを連通口を有する袋体又は箱体に入れておくことで、運搬が容易となり、また、現場において連通口から接着剤を袋体又は箱体に流入させることで接着剤を補強シートに含浸させることができるので、現場での作業性がよい。
請求項10に記載の発明は、前記袋体又は箱体を気密性とし、前記連通口を気密的に閉塞できるものとすることで、袋体または箱体内部を減圧することができ、これにより接着剤の補強シートへの含浸を促進することができる。
請求項11に記載の発明は、補強シートを袋体又は箱体に入れ接着剤を含浸させておくことで、現場では袋体又は箱体から補強シートを取り出して、中空パイプ体内にすぐに挿入できるので、現場での作業効率を高めることができる。
請求項12に記載の発明は、補強シートをスプールに巻いた状態で袋体又は箱体に入れることで、細長くおりたたんだ補強シートが袋体又は箱体内で絡まることを防ぐことができ、また、現場で補強シートを繰り出す作業に際しても、補強シートが絡むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】補強シートの斜視図である。
【図2】補強シートを細く折りたたんだ状態を示す斜視図である。
【図3】実施形態1に係る袋体に封入される補強シートを示す分解斜視図である。
【図4】実施形態1に係る袋体に封入された補強シートを枠体に入れる状態を示す斜視図である。
【図5】実施形態1に係る(a)(b)(c)は接着剤含浸工程を模式的に示す断面図である。
【図6】枠に入れられた袋体に封入された補強シート、回転台、固定蓋を示す分解斜視図である。
【図7】枠に入れられた袋体に封入された補強シートを回転台に載せ固定蓋を嵌めた状態を示す斜視図である。
【図8】頭部固定装置を示す斜視図である。
【図9】(a)〜(d)は挿入工程の一部を模式的に示す図である。
【図10】(a)(b)は図9に示す挿入工程の続きを模式的に示す図である。
【図11】(a)〜(d)は補強シート貼付工程を模式的に示す図である。
【図12】実施形態2に係る袋体に封入された補強シートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、中空パイプ体として電柱が用いられる。本実施形態に係る中空パイプ体の補強シート貼付工法は、筒状の補強シートを中空パイプ体の外で接着剤に含浸させ、これを中空パイプ体内に挿入して貼り付ける工法である。
【0018】
(補強シート)
まず、補強シートについて説明する。図1に補強シート40の斜視図を示す。補強シート40は炭素繊維,アラミド繊維,ガラス繊維、ポリエチレン、ビニロンなどの高強度繊維繊維で構成されたシート体を2重にして丸め、接合部を縫い合わせることで筒体に形成したものであり、補強する電柱の内壁面の所定範囲面に合致する外面を有する。補強シート40の側面には連通孔42が設けられている。また、補強シート40の内側には、補強シート40の内周面に沿う筒状の外周面を有する長尺の風船体50が予め収められており、弱い強度の接着剤により補強シート40に固定されている。風船体50の、前記連通孔42に合致する位置には、風船体50の内部に連通する空気注入管51が設けられ、連通孔42を通って補強シート40外部に引き出されている。
【0019】
この補強シート40は、図2に示すように、細く丸められるように折りたたまれ、折りたたまれた状態の側面に一定間隔で締結手段となる細い糸43を巻きつけて端部を縛ることで、折りたたまれた状態に保持される。糸43は比較的細く、前記風船体50を膨らませると膨張力で切れる程度の強度を有する。なお、折りたたまれた状態でも、風船体50の空気注入管51は表出するようにしておく。
【0020】
さらに、この細く折りたたまれた補強シート40は、図3に示すように発泡スチロールの円柱体からなるスプール60に巻きつけられる。そして、このスプール60に巻きつけられた補強シート40は有底円筒状の透明なポリエチレン製の袋体70に入れられ、この袋体70の上部開口は扁平な有底円筒状のポリエチレン製の蓋71が嵌められて外縁を熱融着することで封止される。これにより、スプール60に巻きつけられた補強シート40は袋体70内に気密状態で封入される。袋体70の側面上部側と下部側には、袋体70内部と外部とを連通させる気密性のあるジョイント72、73が設けられる。各ジョイント72、73は、何も接続されていない状態では気密的に閉じられており、対応するジョイントが接続された場合に内部に連通する構造を有している。そして、これらのジョイント72、73のいずれかから空気を吸引することで、袋体70は補強シート40とともに内部が減圧され圧縮され縮小される。補強シート40はこの状態で工場で出荷され、作業現場へ搬送される。
【0021】
次に、上記補強シートを用いた中空パイプ体の補強シート貼付工法について説明する。中空パイプ体の補強シート貼付工法は(1)接着剤含浸工程、(2)挿入工程、(3)補強シート貼付工程からなる。以下、これらについて説明する。
(1)接着剤含浸工程
この工程では、補強シート40が封入された袋体70内に接着剤を注入して、内部の補強シート40に接着剤を含浸させる。具体的には、まず、補強シート40が封入された袋体70は図4に示すように枠80に入れられる。枠80は有底の金属により形成される、袋体70の外径よりやや大きな内径を有する円筒体であり、袋体70が内部に収まる高さを有する。また、枠80の側面に袋体70のジョイント72、73が表出する開口が設けられており、ジョイント72、73がこの開口から表出するように袋体70の位置が定められる。枠80は袋体70の形状を保持する役割を果たす。
【0022】
この状態で図5(a)に示すように袋体70の下側のジョイント73に、対応するジョイントが設けられた接着剤が入れら得たペール缶Cに繋がる配管Pを接続し、ペール缶Pの上部からエアコンプレッサーAにより空気を送り込む。なお、この際に上側のジョイント72から空気を吸い込みさらに減圧するようにしてもよい。これにより、ペール缶P内の接着剤は配管Pを通じて袋体70内に流入する。袋体70は予め減圧しているので、圧縮された補強シート40は接着剤の流入により膨らみ、これにより補強シート40内部まで接着剤が浸透する。接着剤が袋体70の上端に達した時点でエアコンプレッサーAを止めて、配管Pをはずす。これにより図5(b)のように気密的に密閉された袋体70内に接着剤が満たされた状態となるので、しばらく放置して補強シート40への含浸を促進させる。
一定時間が経過し十分な含浸が完了したら、図5(c)に示すように再び配管Pを下側のジョイント73に接続し、上側のジョイント72にエアコンプレッサーAを接続し、エアコンプレッサーにより袋体70の上側から空気を送り込む。これにより、余分な接着剤は空気に押されて、下側のジョイント73から配管Pを通ってペール缶Cへ戻り回収される。回収が完了したら、ジョイント72、73に接続された配管P等をはずし、接着剤含浸工程が完了する。
【0023】
(2)挿入工程
この工程では、接着剤が含浸された補強シート40を、事前に電柱の側面に設けておいたパイロット孔から挿入する。挿入に際しては、図6に示すような回転台90を用いる。回転台90は、下端側の扁平円柱状の基台91、基台91の上面に回動自在に固定される回転テーブル92、基台91の上方に立設される複数の棒体からなる縦枠93、縦枠93の上端に設けられるリング状の上部枠94とから構成される。また、回転台90の上部枠94には固定蓋100が嵌められるようになっている。固定蓋100は、上部が閉じら得た扁平な円筒体であり、内径の大きさが上部枠94に嵌合し固定できる程度の大きさに設定される。固定蓋100の中央には、鉛直軸に対して回動自在に固定される回転部材102が固定されている。回転部材102は、固定蓋100を上部枠94に固定すると、補強シート40を巻いているスプール60の上面を押し付けて回転テーブル92とともにスプールを狭持固定するような長さに設定される。また、固定蓋100の上面には、補強シート取り出し口101が設けられる。補強シート取り出し口101は筒体であり、固定蓋100上面から上方に向かって径が小さくなる絞り部101a、絞り部上部から側方に屈曲するパイプにより構成される屈曲部101bにより形成される。この補強シート取り出し口により、折りたたまれた補強シート40はより細く絞られた状態で取り出し口101が引き出される。
挿入工程では、まず、枠80に入ったままの補強シート40を回転台90の回転テーブル92に置き、袋体70の上面を切り取って補強シート40の先端を取り出す。そして、この先端を補強シート取り出し口101の下側から挿入して、上端側に通し、固定蓋100を回転台90の上部枠94に嵌めて固定する。これにより、図7のような状態となる。
【0024】
また、挿入の準備として、電柱Pの側面にホールカッターなどで側面から内部に通じる貫通孔であるパイロット孔を空ける。次に、パイロット孔から頭部固定装置を挿入する。図8に頭部固定装置110の斜視図を示す。頭部固定装置110は、やや縦長の側周面に滑り止めが設けられる風船本体111、風船の下端に設けられる風船体本体111の内部に連通する逆支弁が設けられた空気注入口112、空気注入口に連通する、可撓性を有するパイプからなる空気注入管113、空気注入口112近傍に固定される後述するワイヤーWを支持する滑車114から構成される。なお、空気注入管113の先端はネジにより空気注入口112に係合しており、空気注入管113を回転させることで、空気注入口112から取り外せるようになっている。
【0025】
まず、図9(a)に示すように、頭部固定装置110の滑車114にワイヤーWを通しておき、電柱Pのパイロット孔12から空気注入管113を押し入れることで頭部固定装置110を電柱P内部の上方へ押し入れていく。一定位置まで頭部固定装置110が到達したら、図9(b)に示すように空気注入管113にポンプCを接続して空気を送り風船体本体111を膨らませることで、頭部固定装置111を電柱P内部の上部位置に固定する。さらに、この状態で、空気注入管113を回転して取り外し、パイロット孔12より電柱Pの外へ引き出す。
次に、図9(c)に示すようにワイヤーWの一端を補強シート40の先端から突出する風船体50の先端に連結し、補強シート取り出し口101の上端をパイロット孔12に合わせる。この状態で、ワイヤーWの補強シート40に連結されていない側を引っ張ることで、図9(d)に示すように、補強シート40は頭部固定装置110の滑車114の方へと引っ張り上げられる。この際、回転台90の回転テーブル92と固定蓋100の回転部材102に狭持されるスプール60が回転しながら補強シート40が繰り出されていくので、補強シート40はねじれることなく、スムーズに繰り出される。
図10(a)に示すように、補強シート40の全体が電柱P内部に入ったら、少しワイヤーWを緩めて、補強シート40を下げ、図10(b)に示すように、補強シート40から表出する空気注入管51の位置をパイロット孔12の高さに合わせて、空気注入管51をパイロット孔12から外部に表出させる。以上で、挿入工程が完了する。
【0026】
(3)補強シート貼付工程
この工程では、挿入された補強シート40を電柱内壁に貼り付ける。まず、空気注入管51にエアポンプAPを接続して空気を入れ、風船体50を膨らませる。これにより、補強シート40を折りたたんだ状態に保持していた糸43が切れて、図11(a)に示すように風船体50は膨らんで、接着剤が含浸された補強シート40が電柱Pの内壁に押し付けられる。これにより、補強シート40は電柱Pの内壁に接着されることとなる。
一定時間この状態で保持して接着剤が十分硬化したのち、今度は、エアポンプAPを用いて風船体50の空気を抜く、補強シート40と風船体50とは弱い強度の接着剤により接着されているので、この操作で図11(b)に示すように風船体50は補強シート40から離れて、しぼむこととなる。この状態で、補強シート40の連通孔42及び電柱Pのパイロット孔12から風船体50を引っ張りだし、図11(c)に示すようにリールに巻き取る。この結果。図11(d)に示すように、補強シート40の内側から風船体50が取り出され補強シート貼付工程は完了する。
【0027】
(実施形態2)
次に実施形態2に係る中空パイプ体の補強シート貼付工法について説明する。本補強シート貼付工法の実施形態1に係る補強シート貼付工法との相違点は、接着剤が予め工場で補強シート40に含浸された状態で、袋体70Aに封入された状態で現場に搬送される点である。即ち、本実施形態に係る中空パイプ体の補強シート貼付工法は(1)挿入工程、(2)補強シート貼付工程からなる。以下、これらについて説明する。
【0028】
(補強シート)
図12に本実施形態で用いる、袋体70Aに封入された補強シート40の斜視図を示す。補強シート40、風船体50、スプール60の構成などは実施形態1と同様である。相違点は、スプール40に巻かれた、折りたたまれた補強シート40は袋体70A内で接着剤を含浸された後、余分な接着剤が排出され、その後、袋体70Aの上面が蓋71により封止される点である。後から接着剤を入れる必要が無いので袋体70Aにはジョイント72、73は設けられない。
【0029】
(1)挿入工程・(2)補強シート貼付工程
挿入工程、補強シート貼付工程は、実施形態1に係る挿入工程と同様であるので説明は省略する。なお、袋体70Aにはジョイント72、73は設けられないので枠80の開口は不要である。
【0030】
(変形例)
上記実施形態では、細く折りたたんだ補強シートを風船体の膨張により切れる糸により折りたたんだ状態に保持したが、風船体の膨張により締結が解けるものであれば、種々の方法が採用できる。例えば、帯体の両端側に風船体の膨張により締結が解ける程度の強さで締結する面ファスナーやスナップボタンの係合部と被係合部をそれぞれ設け、これを折りたたんだ補強シートに巻いて両端を係合させることで締結したり、風船体の膨張力で塑性変形する針金などの線材を折りたたんだ補強シート巻きつけて締結したりすることが考えられる。また、これらの締結手段は、補強シートの外周面に、直接固定していてもよい。
さらに、上記実施形態では、折りたたんだ補強シートをワイヤーにより引っ張り上げることで、パイロット孔から中空パイプ体内に挿入する方法を示したが、補強シートの内部や外部を通る可撓性のある鋼線などの線材の端部を補強シート先端に固定し、この線材を用いて、補強シートをパイロット孔から押し入れるようにして挿入することも可能である。また、補強シート自体も折りたたむことで強度を増しているので、折りたたんだ補強シート自体をパイロット孔から押し入れてもよい。
また、上記実施形態では、袋体内で補強シートを接着剤を含浸させたが、袋体を用いずに現場において、槽体に接着剤を貯めて、これに補強シートを付けるようにしてもよい。
【0031】
なお、上記実施形態では、挿入工程において、パイロット孔を開けた後で、直ぐに補強シートを挿入する場合を説明しているが、パイロット孔を開けた後に、中空パイプ体内をパイロット孔を通じて洗浄したり、研磨したり、プライマーを塗布したりする工程を設けてもよい。
また、上記実施形態では、電柱内部に補強シートを貼り付ける場合を例示したが、中空の鉄管や、ガス管、水道管など中空のパイプ体であれば種々のものに適用できる。
【符号の説明】
【0032】
P 電柱
12 パイロット孔
40 補強シート
42 連通孔
50 風船体
51 空気注入管
60 スプール
70、70A 袋体
72、73 ジョイント
80 枠体
90 回転台
100 固定蓋
110 頭部固定装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(101)〜(105)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法。
(101) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(102) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(103) 前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸させる接着剤含浸工程を有する。
(104) 前記接着剤含浸工程の後、前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(105) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。
【請求項2】
前記折りたたまれた補強シートは、予め内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入されるものであり、
前記接着剤含浸工程では、前記連通口から接着剤を流入させることで前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸するものであり、
前記挿入工程においては、前記袋体又は箱体から前記折りたたまれた補強シートを取り出して、前記中空パイプ体内に挿入するものである
請求項1に記載の補強シート貼付工法。
【請求項3】
前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、前記連通口は気密的に閉塞できるものであり、接着剤を前記連通口から流入する前に、前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである請求項2に記載の補強シート貼付工法。
【請求項4】
中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(201)〜(205)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法。
(201) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(202) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(203) 前記折りたたまれた補強シートは、袋体又は箱体に封入されるものであり、当該袋体又は箱体内において予め接着剤が含浸される。
(204) 前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記袋体又は箱体から取り出して前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(205) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。
【請求項5】
前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、接着剤を含浸した状態で前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである請求項4に記載の補強シート貼付工法。
【請求項6】
前記折りたたまれた補強シートは、前記挿入工程において中空パイプ内に挿入されるまでスプールに巻かれた状態で保持される請求項1から5のいずれか1項に記載の補強シート貼付工法。
【請求項7】
前記挿入工程において、前記スプールを回動可能に保持した状態で、前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ内に挿入するものである請求項6に記載の補強シート貼付工法。
【請求項8】
筒状の補強シートであって、前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体を有するとともに、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられ、前記風船体とともに細長く折りたたまれて、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により細長く折りたたまれた状態に保持される補強シート。
【請求項9】
請求項8に記載の補強シートを内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入したケース入り補強シート。
【請求項10】
前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、前記連通口は気密的に閉塞できるものである請求項9に記載のケース入り補強シート。
【請求項11】
請求項8に記載の補強シートを袋体又は箱体に封入し、接着剤を含浸したケース入り補強シート。
【請求項12】
前記補強シートをスプールに巻いた状態で袋体又は箱体に封入した請求項9から11のいずれか1項に記載のケース入り補強シート。
【請求項1】
中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(101)〜(105)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法。
(101) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(102) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(103) 前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸させる接着剤含浸工程を有する。
(104) 前記接着剤含浸工程の後、前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(105) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。
【請求項2】
前記折りたたまれた補強シートは、予め内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入されるものであり、
前記接着剤含浸工程では、前記連通口から接着剤を流入させることで前記折りたたまれた補強シートに接着剤を含浸するものであり、
前記挿入工程においては、前記袋体又は箱体から前記折りたたまれた補強シートを取り出して、前記中空パイプ体内に挿入するものである
請求項1に記載の補強シート貼付工法。
【請求項3】
前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、前記連通口は気密的に閉塞できるものであり、接着剤を前記連通口から流入する前に、前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである請求項2に記載の補強シート貼付工法。
【請求項4】
中空パイプ体を補強するために筒状の補強シートを当該中空パイプ体内に貼り付ける工法であって、以下の(201)〜(205)の要件を備える中空パイプ体補強シート貼付工法。
(201) 前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体が入れられ、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられる。
(202) 前記補強シートは前記風船体と共に細長く折りたたまれ、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により、細長く折りたたまれた状態に保持される。
(203) 前記折りたたまれた補強シートは、袋体又は箱体に封入されるものであり、当該袋体又は箱体内において予め接着剤が含浸される。
(204) 前記中空パイプ体側面に設けられた中空パイプ体内部に連通する孔であるパイロット孔から前記折りたたまれた補強シートを前記袋体又は箱体から取り出して前記中空パイプ体内部に挿入する挿入工程を有する。
(205) 前記挿入工程の後、前記空気注入部から空気を注入して前記風船体を膨らませ、前記締結手段の締結を解くとともに、前記補強シート内部から外部へ力を加えて前記補強シートを前記中空パイプ体内に貼り付ける補強シート貼付工程を有する。
【請求項5】
前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、接着剤を含浸した状態で前記袋体又は箱体の内部は外気圧よりも減圧されるものである請求項4に記載の補強シート貼付工法。
【請求項6】
前記折りたたまれた補強シートは、前記挿入工程において中空パイプ内に挿入されるまでスプールに巻かれた状態で保持される請求項1から5のいずれか1項に記載の補強シート貼付工法。
【請求項7】
前記挿入工程において、前記スプールを回動可能に保持した状態で、前記折りたたまれた補強シートを前記中空パイプ内に挿入するものである請求項6に記載の補強シート貼付工法。
【請求項8】
筒状の補強シートであって、前記補強シートの内側に、前記補強シートの略全長に至る長尺の風船体を有するとともに、当該風船体内部に空気を入れる空気注入部が前記補強シート外部に存するように設けられ、前記風船体とともに細長く折りたたまれて、前記風船体が膨らむ力により締結が解かれる締結手段により細長く折りたたまれた状態に保持される補強シート。
【請求項9】
請求項8に記載の補強シートを内部への連通口を有する袋体又は箱体に封入したケース入り補強シート。
【請求項10】
前記袋体又は箱体は気密性を有するものであって、前記連通口は気密的に閉塞できるものである請求項9に記載のケース入り補強シート。
【請求項11】
請求項8に記載の補強シートを袋体又は箱体に封入し、接着剤を含浸したケース入り補強シート。
【請求項12】
前記補強シートをスプールに巻いた状態で袋体又は箱体に封入した請求項9から11のいずれか1項に記載のケース入り補強シート。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−24985(P2012−24985A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164188(P2010−164188)
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(506225765)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月21日(2010.7.21)
【出願人】(506225765)
【Fターム(参考)】
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