説明

中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法、該粒子を用いた反射防止膜、及び光学素子

【課題】 本発明は、疎水性溶媒、親水性溶媒、界面活性剤により構成されるミセルの界面において重合を行うことによって得られる中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法を提供する。
また、前記中空フッ化マグネシウム粒子をコーティングすることによって、屈折率の低い反射防止膜を提供する。さらには、この反射防止膜がコーティングされた光学素子を提供する。
【解決手段】 疎水性溶媒、親水性溶媒、界面活性剤によりミセルを形成した後、フッ素原料、マグネシウム原料の一方を疎水性溶媒に溶解し、もう一方を疎水性溶媒又は親水性溶媒に溶解することにより、ミセルの界面においてフッ化マグネシウムの重合を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化マグネシウム粒子のうち、粒子の内側に空気を内包することを特徴とする中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法に関するものである。さらには、該粒子と溶媒を混合した分散液を塗布することによって得られる反射防止膜、前記分散液を基材に形成することで得られる素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光学素子の光入出射界面での反射を抑えるために、屈折率の異なる光学膜を数十〜数百nmの厚みで単層あるいは複数層を積層した反射防止膜を形成することによって所望の光学特性を得ることが知られている。これら反射防止膜を形成するためには、蒸着、スパッタリング等の真空成膜法やディップコート、スピンコート等の湿式成膜法が用いられる。
【0003】
反射防止膜の最表層に用いられる材料には屈折率が低く、透明な材料であるシリカやフッ化マグネシウム、フッ化カルシウムなどの無機材料やシリコン樹脂などの有機材料を用いることが知られている。他には、特許文献1や特許文献2に記載されるようなシリカやフッ化マグネシウムといった無機材料から成る微粒子を含む分散液をコーティングすることによって、反射防止膜を形成する方法が提案されている。
【0004】
反射防止膜の屈折率をさらに低下させるためには、中空構造を有する粒子(以下、中空粒子)を用いる手法が考えられる。中空粒子は屈折率1.0の空気を含有しているため、コーティングによって得られる反射防止膜の屈折率を大きく低下させることが可能である。中空粒子の製造方法には、例えば、非特許文献1のように油中水型のミセルを形成した後、その界面でシリカを合成し、中空シリカ粒子を製造する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−118932
【特許文献2】特開平01−041149
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Chemisty Letters Vol.34,No.10(2005)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、さらに屈折率を下げるためには、空隙を増加させるか、中空粒子の空洞を内包する殻の成分をより屈折率の低い材料(例えばフッ化マグネシウム)にすることが考えられるが、空隙を増加させると、粒子同士、粒子と基材等の密着力が減少し、基材からの粒子の剥離等を引き起こす場合がある。
【0008】
また、中空粒子の空洞を内包する殻の成分を、フッ化マグネシウム等の屈折率の低い材料にすることにより屈折率を下げるためには、フッ化マグネシウム等の屈折率の低い材料による中空粒子を作製しなければならず、非特許文献1のような従来の技術では、水/油の界面にフッ化マグネシウムを合成させることが困難であるといった課題があった。
【0009】
本発明はこのような背景技術に鑑みてなされたものであり、中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法は、少なくとも疎水性溶媒、親水性溶媒、界面活性剤を混合し、前記疎水性溶媒中に前記親水性溶媒の液滴が分散した溶液、または、前記親水性溶媒中に前記疎水性溶媒の液滴が分散した溶液を作製する工程と、前記溶液中に、フッ素化合物とマグネシウム化合物のうちのいずれか一方を混合し、疎水性溶媒と親水性溶媒のうちのいずれか一方に、前記混合したフッ素化合物とマグネシウム化合物のうちのいずれか一方を溶解させる工程と、前記いずれか一方を溶解させた溶液中に、前記フッ素化合物とマグネシウム化合物の残りのもう一方をさらに混合する工程と、前記フッ素化合物およびマグネシウム化合物を混合した溶液を乾燥させる工程を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ミセルを用いて空洞が内包された中空フッ化マグネシウム粒子を製造することが可能である。この中空フッ化マグネシウム粒子を反射防止膜に用いることによって、フッ化マグネシウム微粒子を用いる場合より、強度に優れ、さらに屈折率の低い膜を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明で得られる中空フッ化マグネシウム粒子の模式図
【図2】本発明の中空フッ化マグネシウム粒子の合成時に用いるミセル界面の模式図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で本発明の一実施形態について図面と共に説明する。
【0014】
本発明によって得られる中空フッ化マグネシウム粒子は、図1のように空洞11、空洞11の外側に殻を形成するフッ化マグネシウム12から構成される。前記中空フッ化マグネシウム粒子は粒子径が10nm以上200nm以下であることが望ましい。10nm未満の場合、殻となるフッ化マグネシウムを合成する際、フッ化マグネシウムの合成時の核成長が早く、空洞のない粒子が形成されてしまう場合がある。200nmより大きい場合は、可視域の光が粒子によって散乱されるため、コーティングによって得られる反射防止膜を光学素子に用いた際、所望の性能が得られない場合がある。
【0015】
本発明の中空フッ化マグネシウム粒子内部で空洞が占める体積は、22%以上73%以下であることが望ましい。22%未満の場合、粒子の屈折率が1.30より大きくなり、低屈折率化の効果は薄れてしまうため、好ましくない。また、73%より大きい場合、殻を構成する12の厚みが粒子径の5%より小さくなり、コーティングによる形状破壊が懸念されるため、好ましくない。
【0016】
本発明の中空フッ化マグネシウム粒子の製造工程は、疎水性溶媒、親水性溶媒、界面活性剤を混合し、ミセルによって、前記疎水性溶媒中に前記親水性溶媒の液滴が分散した溶液、または、前記親水性溶媒中に前記疎水性溶媒の液滴が分散した溶液を作成する工程と、前記液滴が分散した溶液にフッ素化合物、及びマグネシウム化合物を加えることによってフッ化マグネシウムを合成する工程を有する。
【0017】
図2は、液滴が分散した溶液を作製する工程で得られる溶液の、液滴界面の模式図を示す。図2(a)は、界面活性剤21の疎水性基が疎水性溶媒22側、親水性基が親水性溶媒23側に向けて配向されることで、親水性溶媒23中に疎水性溶媒22の液滴が形成されている例を示す。図2(b)は、図2(a)と反対に、疎水性溶媒22中に親水性溶媒23の液滴が形成されている例を示す。親水性溶媒には取り扱いが容易な水を用いることが望ましく、疎水性溶媒には、ミセルの安定性を向上させるため、直鎖のアルカンに代表される非極性溶媒が好ましい。以下では、疎水性溶媒を油、親水性溶媒を水と表記する。
【0018】
界面活性剤は、親水性溶媒23中に疎水性溶媒22の液滴が形成される水中油型ミセル、疎水性溶媒22中に親水性溶媒23の液滴が形成される油中水型ミセル、又はこれらを組み合わせた多層ミセル型、それぞれを形成する為に適した界面活性剤が適宜選択できる。例えば、水中油型ミセルの場合、セチルトリメチルアンモニウムブロミドやラウリル硫酸ナトリウム(SDS)、油中水型ミセルの場合、四級アンモニウム塩やジー2エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム(以下、AOT)が挙げられる。
【0019】
このようなミセルを用いることによって、化合物の反応場をミセルの界面近傍に限定することが可能である。これについて、油への溶解度の高いカチオン性の化合物をA(+)、アニオン性の化合物をB(−)、水への溶解度の高いカチオン性の化合物をC(+)、アニオン性の化合物をD(−)として以下で説明する。
【0020】
水を触媒として反応するようなA(+)及びB(−)を選択し、油中水型ミセルを形成した後にそれらを添加することにより、油と、液滴として分散している水との界面で反応を連鎖的に発生させることが可能である。これにより、液滴の外周に沿った殻状の構造体が得ることができる。また、水を触媒として反応するようなA(+)及びD(−)を選択し、予めD(−)を油中水型ミセルの水滴中に溶解させた後、A(+)を添加することによっても同様の反応を発生させ、液滴の外周に沿った殻状の構造体、即ち中空粒子を得ることも可能である。水を触媒として反応するようなB(−)及びC(+)を用いる場合や、水中油型ミセルを用いる場合も同様にA乃至Dの化合物を選択することで中空粒子を得ることが可能である。ただし、水溶媒下で反応するC(+)及びD(−)を選択した場合は、ミセルの界面以外でも反応が発生し、殻状の構造体を得ることは困難なので好ましくない。
【0021】
また、フッ素化合物とマグネシウム化合物を反応させると、フッ化マグネシウムの表面が正に帯電するため、中空フッ化マグネシウム粒子の殻を形成する場合は、界面活性剤として、SDSやAOT等のアニオン系の界面活性剤を用いることが望ましい。カチオン系の界面活性剤を用いた場合、正に帯電したフッ化マグネシウムと反発し、反応場を水/油の界面近傍に抑制することが難しく、殻の形成が困難なため好ましくない。
【0022】
さらには、水中油型、油中水型といったミセルの構成により、フッ化マグネシウムの原料となるフッ素化合物やマグネシウム化合物は適宜選択される。水層にフッ素化合物を溶解させる場合は、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ酸等のフッ素化合物を用いることができる。また、フッ素化合物を油層に溶解させる場合には、吸湿性が少なく、水層への溶解度が低い球核的フッ素化化合物が用いられる。例えば、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルシリケート(以下、TBAT)、テトラブチルアンモニウムジフルオロトリフェニルスタナートが挙げられる。ここで、球核的フッ素化化合物とは、化合物中のフッ素原子が電子密度の低い原子と反応し、結合を形成する化合物を意味する。マグネシウム化合物は、水層に溶解させる場合、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩を用いることができる。油層に溶解させる場合は、マグネシウムアルコキシド等のマグネシウム化合物を用いることができるが、グリニャール試薬に代表される有機マグネシウムハライドは水溶性の溶媒下で安定な為、好ましくない。フッ素化合物とマグネシウム化合物両方を親水性溶媒に溶解する場合、塩交換反応が水/油の界面に限定されず起こり、中空の殻を形成しないため、少なくとも一方を油層に溶解することが好ましい。フッ素化合物及びマグネシウム化合物が油層に溶け難い場合、極性の低い油を用いて溶解させることも可能である。ただし、この場合極性の低い油と水との相互作用により、ミセルのサイズが変化することが考えられる為、小さなサイズの中空フッ化マグネシウムを合成するためには、界面活性剤を適宜添加することが必要である。
【0023】
以上より、例えば、イソオクタン、水、AOTからなる油中水型ミセルを形成した後、TBATとマグネシウムエトキシドを順次混合し、中空フッ化マグネシウム粒子を形成する方法が挙げられる。
【0024】
これらのミセルを用いた方法では、テンプレート粒子を用いることなく中空粒子を製造することが可能なため、フッ素及びマグネシウム以外の元素を含まない中空粒子を製造できるといった特徴がある。
【0025】
得られた中空フッ化マグネシウム粒子を回収し、コーティングすることによって、低屈折率の反射防止膜を得ることができる。溶液中から中空フッ化マグネシウム粒子を回収する方法としては、公知の技術を使用することができる。例えば、溶液を加熱、乾燥して、溶液中から中空フッ化マグネシウム粒子を回収する方法が挙げられる。回収した中空フッ化マグネシウム粒子を基材上にコーティングすることで、中空フッ化マグネシウム粒子を含む反射防止膜を製造する。コーティングの際の溶媒は、水、有機溶媒、フッ素系溶媒等を用いることができる。水等揮発性の溶媒を用いてコーティングした場合、反射防止膜は中空フッ化マグネシウム粒子のみから成り、粒子の外側は空気であるため、膜の屈折率を大幅に低下させることができる。ただし、反射防止膜中における中空粒子の割合が小さい場合、膜の強度が低下する為、反射防止膜中に占める中空粒子の割合は50%以上であることが好ましい。このとき、空洞率が73%の中空フッ化マグネシウム粒子を用いたとすると屈折率は最も低く、1.05となる。
【0026】
反射防止膜の性能を維持しつつ強度を補填するために、低屈折率の溶媒を用いることも可能である。例えば、中空フッ化マグネシウム粒子をテフロン(登録商標)AF2400のような低屈折率フッ素系溶媒に分散させた後、コーティングにより反射防止膜を得ることが可能である。ただし、フッ化マグネシウムを真空成膜することによって得られる反射防止膜(屈折率1.38)に対して優位性を見出すためには、屈折率が1.36以下であることが望ましい。
【0027】
よって、本発明の反射防止膜における屈折率は、1.05以上1.36以下であることを特徴としている。
【0028】
コーティング方法としては、スピンコート、バーコート、ディップコートなどの溶液塗布が簡便、低コストであり好ましい。また、本発明の中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法により製造された中空フッ化マグネシウム粒子を、スパッタ法や蒸着法といった方法で成膜し、反射防止膜として用いることも可能である。
【0029】
このような反射防止膜を、例えば、プラスチックやガラスといった透明材料である基材上に形成することによって、表面の反射率を大幅に低減することが可能である。
【実施例】
【0030】
以下で本発明の実施例を説明するが、その範囲に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
イソオクタン100g、AOT10g、水30gを1時間攪拌し、47nmの水粒子(液滴)が分散した油中水型ミセルが形成された溶液を作製した。
得られた溶液に、フェニルメチルエーテル中に5wt%濃度でTBATを混合した溶液10gを加え、TBATを油層に溶解した。さらにフェニルメチルエーテル中に1wt%濃度でマグネシウムエトキシドを混合した溶液20g混合した後、60℃で1時間攪拌し、フッ化マグネシウムを合成した。
前記フッ化マグネシウムが合成された溶液にエタノール40mlを加えて親水性溶媒と疎水性溶媒に分離した。前者を取り出して乾燥させたものを、走査透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製HD−2700)で観察したところ、粒子径が500nmの中空粒子を確認した。
【0032】
(実施例2)
実施例1と同じ方法で、油中水型ミセルが形成された溶液を作製した。
得られた溶液に、フェニルメチルエーテル中に5wt%濃度でTBATを混合した溶液10gとAOT5gを加え、TBATを油層に溶解した。さらにフェニルメチルエーテル中に1wt%濃度でマグネシウムエトキシドを混合した溶液20gとAOT5g混合した後、60℃で1時間攪拌し、フッ化マグネシウムを合成した。
前記フッ化マグネシウムが合成された溶液にエタノール40mlを加えて親水性溶媒と疎水性溶媒に分離した。前者を取り出して乾燥させたものを、走査透過電子顕微鏡で観察したところ、粒子径が200nmの中空粒子を確認した。粒子径に対して空洞の径が60%であった為、空洞率は22%となった。
【0033】
(実施例3)
実施例1と同じ方法で、油中水型ミセルが形成された溶液を作製した。
得られた溶液に、フェニルメチルエーテル中に5wt%濃度でTBATを混合した溶液9gとAOT5gを加え、TBATを油層に溶解した。さらにフェニルメチルエーテル中に1wt%濃度でマグネシウムエトキシドを混合した溶液9gとAOT5g混合した後、60℃で1時間攪拌し、フッ化マグネシウムを合成した。
前記フッ化マグネシウムが合成された溶液にエタノール40mlを加えて親水性溶媒と疎水性溶媒に分離した。前者を取り出して乾燥させたものを、走査透過電子顕微鏡で観察したところ、粒子径が200nmの中空粒子を確認した。粒子径に対して空洞の径が90%であった為、空洞率は73%となった。
【0034】
(実施例4)
イソオクタン100g、AOT10g、水7gを1時間攪拌し、9nmの水粒子(液滴)が分散した油中水型ミセルが形成された溶液を作製した。
得られた溶液に、フェニルメチルエーテル中に5wt%濃度でTBATを混合した溶液3gとAOT1gを加え、TBATを油層に溶解した。さらにフェニルメチルエーテル中に1wt%濃度でマグネシウムエトキシドを混合した溶液3gとAOT1g混合した後、60℃で1時間攪拌し、フッ化マグネシウムを合成した。
前記フッ化マグネシウムが合成された溶液にエタノール40mlを加えて親水性溶媒と疎水性溶媒に分離した。前者を取り出して乾燥させたものを、走査透過電子顕微鏡で観察したところ、粒子径が10nmの中空粒子を確認した。粒子径に対して空洞の径が70%であった為、空洞率は34%となった。
【0035】
(実施例5)
実施例4で得られた中空粒子を10mlのテフロン(登録商標)AF2400中に分散させ、スピンコートによりシリコンウエハ上に厚みが120nmの反射防止膜を形成した。この反射防止膜の屈折率を測定したところ、屈折率は1.27であった。
【0036】
(実施例6)
本実施例では、実施例5と同様にテフロン(登録商標)AF2400中に中空フッ化マグネシウム粒子が分散した分散液を作製した後、波長589nmにおいて屈折率1.52のBK7ガラスにスピンコートを行い、厚みが120nmの反射防止膜を形成した。この反射防止膜の屈折率を測定すると、屈折率は1.26であった。また、分光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製U−4000)を用いて反射率を測定すると、以下表1のようになった。可視の波長域では全域で反射率2%以下であり、光学素子に利用可能な反射防止膜を得た。
【0037】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、カメラやビデオカメラをはじめとする撮像機器、液晶プロジェクタや電子写真機器の光走査装置をはじめとする投影機器に搭載される光学素子等、空気との界面で反射する光を不要とするデバイスに好適なものである。
【符号の説明】
【0039】
11 本発明の中空フッ化マグネシウム粒子が内包する空洞
12 本発明の中空フッ化マグネシウム粒子の殻を構成するフッ化マグネシウム粒子
21 本発明に用いるミセルを構成するための界面活性剤
22 本発明に用いるミセルを構成するための疎水性溶媒
23 本発明に用いるミセルを構成するための親水性溶媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも疎水性溶媒、親水性溶媒、界面活性剤を混合し、前記疎水性溶媒中に前記親水性溶媒の液滴が分散した溶液、または、前記親水性溶媒中に前記疎水性溶媒の液滴が分散した溶液を作製する工程と、
前記溶液中に、フッ素化合物とマグネシウム化合物のうちのいずれか一方を混合し、疎水性溶媒と親水性溶媒のうちのいずれか一方に、前記混合したフッ素化合物とマグネシウム化合物のうちのいずれか一方を溶解させる工程と、
前記いずれか一方を溶解させた溶液中に、前記フッ素化合物とマグネシウム化合物の残りのもう一方をさらに混合する工程と、
を有することを特徴とする中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項2】
前記フッ素化合物が、球核的フッ素化化合物であることを特徴とする請求項1記載の中空フッ化マグネシウム粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法を用いて製造された中空フッ化マグネシウム粒子を含むことを特徴とする反射防止膜。
【請求項4】
前記中空フッ化マグネシウム粒子の粒子径が10nm以上200nm以下であることを特徴とする請求項3に記載の反射防止膜。
【請求項5】
前記中空フッ化マグネシウム粒子の体積における空洞の割合が22%以上73%以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の反射防止膜。
【請求項6】
屈折率が1.05以上1.36以下であることを特徴とする請求項3乃至5いずれか一項記載の反射防止膜。
【請求項7】
基材上に、請求項3乃至6のいずれか一項に記載の反射防止膜が形成されていることを特徴とする光学素子。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−76967(P2012−76967A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224952(P2010−224952)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】