説明

中空成形方法及び装置

【課題】本発明は、金型のキャビティ壁面に外部と連通する冷却用穴を形成し、中空成形品の外面にエアを供給し、冷却時間を短縮して中空成形サイクルを短縮化することを目的とする。
【解決手段】本発明による中空成形方法及び装置は、金型(1)のキャビティ壁面(4a)に形成された多数の冷却用穴(10)を介して中空成形品(4A)の外面(4Aa)にエア(10a)を供給し、中空成形品(4A)の冷却時間を短縮させる方法と装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空成形方法及び装置に関し、特に、金型のキャビティ壁面に多数の冷却用穴を形成し、成形時にパリソンすなわち中空成形品の外面にエアを供給することにより、中空成形品の冷却時間を短縮するための新規な改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、中空成形方法としては、例えば、特許文献1〜3に示されるように、金型で型閉じされたパリソン内に吹込ノズル又は針ノズルを挿入し、パリソン内に高圧エアを吹込み、水冷却された金型キャビティ壁面に押付けることによりパリソンを中空成形品に成形し、中空成形品を冷却・固化していた。
【0003】
【特許文献1】特開2002−361721号公報
【特許文献2】特開2004−50665号公報
【特許文献3】特開2004−50667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の中空成形方法及び装置は、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、金型によるパリソンの中空成形時には、金型を水冷すると共に、中空成形品内にエアを供給するのみであるため、中空成形品の冷却に時間がかかり、成形サイクルを短縮することが難しく、成形効率を向上させることが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による中空成形方法は、クロスヘッドから供給されたパリソンを金型で挟んで型閉じし、前記パリソン内に吹込ノズルを介してエアを吹込み、中空成形品を成形する中空成形方法において、前記金型のキャビティ壁面に形成された多数の冷却用穴を介して前記中空成形品の外面にエアを供給することにより、前記中空成形品の冷却時間を短縮させる方法であり、前記各冷却用穴は、前記金型のキャビティ壁内に形成された冷却用エア通路により互いに連通している方法であり、また、本発明による中空成形装置は、クロスヘッドから供給されたパリソンを金型で挟んで型閉じし、前記パリソン内に吹込ノズルを介してエアを吹込み、中空成形品を成形する中空成形装置において、前記金型のキャビティ壁面に形成された多数の冷却用穴を有し、前記各冷却用穴を介して前記金型のキャビティ内にエアを供給できるようにした構成であり、また、前記各冷却用穴は、前記金型のキャビティ壁内に形成された冷却用エア通路により互いに連通している構成である。
【発明の効果】
【0006】
本発明による中空成形方法及び装置は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、金型のキャビティ壁面に形成された多数の冷却用穴を介して金型のキャビティ内にエアを供給することができるため、パリソンから成形する中空成形品の外面にエアを供給し、中空成形品の内側と外側の両方からエアを供給して急速に冷却することができ、中空成形サイクルの殆んどを支配する中空成形品の冷却時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、金型のキャビティ壁面に多数の冷却用穴を形成し、成形時に中空成形品の外面にエアを供給することにより、中空成形品の冷却時間を短縮するようにした中空成形方法及び装置を提供することを目的とする。
【実施例】
【0008】
以下、図面と共に本発明による中空成形方法及び装置の好適な実施の形態について説明する。
図1は、中空成形機の開閉自在な金型1を示しており、この金型1が型開した状態で、図示しないクロスヘッドから押出されて垂下するパリソン2がこの金型1のキャビティ4内に位置し、このパリソン2内にエアを吹込むための吹込ノズル3が金型1の下部に位置している状態を模式的に示している。
【0009】
図2は、前記金型1を型閉じして前記パリソン2を挟持し、前記吹込ノズル3がパリソン2内に打込まれてエア3aが吹込まれている状態を示している。
すなわち、図2の状態では、吹込ノズル3からのエア3aの吹込みによってパリソン2が膨張され、金型1のキャビティ4のキャビティ壁面4aの形状に沿って中空成形品4Aが中空成形される。
【0010】
前述の場合、前記金型1のキャビティ壁面4aには、図3で示されるように多数の細孔(例えば、直径・・・位が好適)からなる冷却用穴10が形成され、この冷却用穴10は金型1の肉厚を貫通して形成されている。
前記各冷却用穴10は、この金型1のキャビティ壁1A内に形成された冷却用エア通路11を介して互いに連通した状態に形成され、図4に示されるように、金型1の外部に設けられたエア供給部12によって各冷却用穴10からエア10aが中空成形品4Aの外面4Aaに吹きかけられるように構成されている。
【0011】
次に、動作について述べる。まず、図1の状態で、金型1内に垂下したパリソン2を金型1で挟んで型閉めを行い、このパリソン2に吹込ノズル3を打込み、図2のように、この吹込みノズル3からエア3aを吹込むことより、パリソン2が金型1のキャビティ壁面4aに沿って膨張し、中空成形品4Aが中空成形されると共に、前記エア供給部12からのエア10aが金型1のキャビティ壁面4aの冷却用穴10から中空成形品4Aの外面4Aaに供給されて中空成形品4Aは急速に冷却される。
【0012】
すなわち、前記パリソン2が吹込みノズル3からのエア3aによって膨張される状態において、金型1の冷却用穴10からのエア10aに冷却化されつつ中空成形が行われ、中空成形サイクルを従来よりも大幅に短縮化することができる。
尚、前記エア10aの吹付け量は、パリソン2の材質、肉厚等により変わるが、パリソン2が過冷却とならないように、吹込ノズル3からのエア3aとのバランスをとる必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明による中空成形装置の金型を示す構成図である。
【図2】図1の金型の中空成形状態を示す構成図である。
【図3】図1の金型のキャビティ壁面を示す側面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【符号の説明】
【0014】
1 金型
2 パリソン
4A 中空成形品
3 吹込ノズル
3a エア
4 キャビティ
4a キャビティ壁面
4Aa 外面
10 冷却用穴
10a エア
11 冷却用エア通路
12 エア供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロスヘッドから供給されたパリソン(2)を金型(1)で挟んで型閉じし、前記パリソン(2)内に吹込ノズル(3)を介してエア(3a)を吹込み、中空成形品(4A)を成形する中空成形方法において、
前記金型(1)のキャビティ壁面(4a)に形成された多数の冷却用穴(10)を介して前記中空成形品(4A)の外面(4Aa)にエア(10a)を供給することにより、前記中空成形品(4A)の冷却時間を短縮させることを特徴とする中空成形方法。
【請求項2】
前記各冷却用穴(10)は、前記金型(1)のキャビティ壁(1A)内に形成された冷却用エア通路(11)により互いに連通していることを特徴とする請求項1記載の中空成形方法。
【請求項3】
クロスヘッドから供給されたパリソン(2)を金型(1)で挟んで型閉じし、前記パリソン(2)内に吹込ノズル(3)を介してエア(3a)を吹込み、中空成形品(4A)を成形する中空成形装置において、
前記金型(1)のキャビティ壁面(4a)に形成された多数の冷却用穴(10)を有し、前記各冷却用穴(10)を介して前記金型(1)のキャビティ(4)内にエア(10a)を供給できるようにしたことを特徴とする中空成形装置。
【請求項4】
前記各冷却用穴(10)は、前記金型(1)のキャビティ壁(1A)内に形成された冷却用エア通路(11)により互いに連通していることを特徴とする請求項3記載の中空成形装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−313823(P2007−313823A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147964(P2006−147964)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000004215)株式会社日本製鋼所 (840)
【Fターム(参考)】