説明

中空糸用複合紡糸口金

【課題】比較的低い中空率の中空断面を得ることができ、中空割れなどを生じさせずに良好な紡糸調子を長時間維持できる紡糸口金を提供する。
【解決手段】少なくとも2種の熱可塑性ポリマー成分を有する各ポリマーセグメントが円周方向にそれぞれ互い違いに配列して全体の横断面が中空円形を呈する複合単繊維群からなるマルチフィラメントを紡出するための中空糸用複合紡糸口金において、 前記熱可塑性ポリマーを中空単繊維として吐出する吐出孔群が穿設され、前記各吐出孔は同一円の円周上に穿設された複数の円弧状スリット孔群からなり、その際、前記円弧状スリット孔群に対して外接する外接円の直径が0.4〜1.0mmであり、前記各円弧状スリット孔のスリット幅Wとスリット長Lの比L/Wが4以上である中空糸用複合紡糸口金とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性合成樹脂を原料とする繊維を溶融紡糸するための紡糸口金で、特に、その横断面において中空断面形状を有する中空繊維を紡糸するため紡糸口金に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、品位に優れた緻密できめ細かなタッチやドレープ性に優れた布帛が上市され、そのような布帛を得るために極細繊維が多用されている。このような極細繊維を得るための手段としては、一つの方法として、最初から細繊度を有する単繊維群(フィラメント群)を紡糸する方法がある。しかしながら、この方法では得られる極細繊維の下限繊度に限界がある。
【0003】
そこで、他の方法として、成分の異なる2つの重合体からなる複合繊維を製造して、この複合繊維を異なる成分の貼り合せ面で分割したり、一方の成分を抽出して他方の成分だけを残したりすることによって細繊度化する方法がある。この方法は、先に述べた方法と比較すると、より細繊度の極細繊維を得ることができるという利点がある。また、この方法によって細繊度の複合繊維を製造し、これを布帛とした後に、複合繊維を前述の分割や抽出によって細繊度化することによって、工程の合理化や工程調子の向上を図ることができるという利点がある。
【0004】
なお、ポリエステルは、機械的な特性や熱安定性などに優れているので、少なくとも1成分がポリエステルポリマーで構成された複合繊維が従来から用いられている。例えば、特許文献1(特開2004−270115号公報)などにおいて、このようなポリエステルをその成分として持つ複合繊維が提案されている。
【0005】
上記のように複合繊維を分割して極細繊維にする技術は、例えば、特許文献2(特表2001−519488号公報)などに提案されているように、従来から数多くある。例えば、高圧の水ジェット、叩解などの方法によって、複合繊維に機械的な力を加えることにより、複合繊維を構成する各ポリマーセグメントを貼り合せ面で分割する方法がある。また、複数のポリマー成分によって形成された複合繊維の特定成分を溶剤によって溶かして除去し、非溶解の成分セグメントだけを残して極細繊維を形成する方法がある。
【0006】
ここで、異なる2つの成分を貼り合せた複合単繊維を機械的な力のみで貼り合せ面に沿って分割をしようとする場合には、各成分の断面形状が重要であって、図4に代表的な分割型複合単繊維の横断面形状を示す。ただし、安定して分割するためには、図4(b)に例示したような中空断面形状を有する中空糸とすることが望ましい。
【0007】
そこで、このような中空糸を中空割れなどの問題を発生させることなく安定して紡糸するための紡糸口金が、特許文献3(特開平11−152615号公報)などにおいて提案されている。そして、このような紡糸口金では、図5に示すような円弧状のスリット孔群の両端部あるいは両端部近傍に突出流路を設けることが、良好な中空断面形状を得るうえで好ましいとされている。
【0008】
確かに、1成分のポリマーのみから中空断面糸を紡糸する際には、図5に例示したような吐出孔からポリマーを紡出することによって、良好な中空糸が安定して得られると言う大きな効果はあるが、図4(b)のような中空断面形状を有する中空複合繊維を得るためには、円弧状のスリット孔群の両端部あるいは両端部近傍に突出流路を設けることは、各ポリマー・セグメント間のバランスを崩すことになり、望ましくない。
【0009】
また、長繊維不織布の製造設備で使用されるように、数千を超える吐出孔が短ピッチで配置されるような紡糸口金においては、その問題が顕著に現れる。この断糸を防止するために、紡糸口金の表面に付着した異物を定期的にへらなどを使用して除去するいわゆる「面掃作業」と呼ばれる作業が実施されるが、この「面掃周期」を短い間隔で実施する必要が生じると生産性は大きく低下するという問題もある。
【0010】
【特許文献1】特開2004−270115号公報
【特許文献2】特表2001−519488号公報
【特許文献3】特開平11−152615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来技術が有する諸問題を解決することを目的としてなされたものである。すなわち、その目的とするところは、比較的低い中空率の中空断面を得ることができ、中空割れの発生を防止し、良好な紡糸調子を長時間維持して、面掃周期を24時間以上とすることができる紡糸口金を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
ここに、前記課題を解決するための請求項1に係る本発明として、「少なくとも2種の熱可塑性ポリマー成分を有する各ポリマーセグメントが円周方向にそれぞれ互い違いに配列して全体の横断面が中空円形を呈する複合単繊維群からなるマルチフィラメントを紡出するための中空糸用複合紡糸口金において、
前記熱可塑性ポリマーを中空単繊維として吐出する吐出孔群が穿設され、前記各吐出孔は同一円の円周上に穿設された複数の円弧状スリット孔群からなり、その際、前記円弧状スリット孔群に対して外接する外接円の直径が0.4〜0.9mmであり、前記各円弧状スリット孔のスリット幅Wとスリット長Lの比L/Wが4以上であることを特徴とする中空糸用複合紡糸口金」が提供される。
また、請求項2に係る本発明のように、「前記吐出孔一個に穿設される円弧状スリット孔群の外周長の総和が3.2mm以下である、請求項1に記載の中空糸用複合紡糸口金」が提供される。
更に、請求項3に係る本発明のように、「一本の単繊維を紡出するための吐出孔を形成するスリット孔の数が2個であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の中空糸用複合紡糸口金」が提供される。
そして、請求項4に係る本発明のように、「紡出する中空糸の中空率が10%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の中空糸用複合紡糸口金」が提供される。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べたように、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金を用いることにより、隣接するスリット孔から吐出されるポリマー同士の接合が容易となり、中空割れの発生を防止することが出来る。また、同紡糸口金を用いることにより、細繊度繊維に容易に分割することができる、2成分以上のポリマーからなる複合繊維を溶融紡糸することができるという極めて顕著な効果を奏する。
【0014】
更には、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金を用いる別の効果として、吐出孔一個に穿設される円弧状スリット孔群の外周長の総和が3.2mm以下とすることによって、口金のポリマー吐出面に付着する異物の量を抑制抑制することができ、面掃周期を大幅に延長できるため、良好な紡糸調子を長時間維持できることが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金を例示したものであって、図1(a)は正断面図、図1(b)〜(e)は、図1(a)におけるA−A矢視断面、B−B矢視断面、C−C矢視断面、そして、D−D矢視断面をそれぞ示す。ただし、図1(a)〜(e)では、中空糸用複合紡糸口金に穿設された一つの代表的な吐出孔だけを取り出して説明しているが、実際の紡糸口金には、マルチフィラメント糸を紡出するために多数個の吐出孔群が一つの中空糸用複合紡糸口金に穿設されていることは言うまでもない。
【0016】
この例の中空糸用複合紡糸口金では、第1口金板1、第2口金板2、第3口金板3は、下から順番に積層された状態で紡糸口金パック内に組み込まれて溶融紡糸に供される。ただし、この例は、2種のポリマー(A)と(B)を用いた例であるが、もちろん、周知の複合紡糸口金のように、2種以上のポリマーを用いるようにしても良い。
【0017】
なお、実際には第3分配板3の上に複数枚の分配板を配置し、2成分以上のポリマーを効率的に移送する口金となっている。ただし、図1には、2種類のポリマー(A)とポリマー(B)をそれぞれ第3口金板3へ移送するための他の口金板については、容易に設計可能な事項であるので、口金の説明が錯綜して複雑化するのを回避するために、図示省略した。
【0018】
次に、これらの口金板群1〜3などにポリマーが流れる様子を以下に説明する。ただし、本発明においては、少なくとも2種類の熱可塑性ポリマーを使用するが、以下の説明では、2種類のポリマー(A)とポリマー(B)の場合について説明する。
【0019】
図1に例示した中空糸用複合紡糸口金において、先ず、ポリマー(A)とポリマー(B)が、第3口金板3に流入する。このとき、導入孔群31には、ポリマー(A)、ポリマー(B)が交互に分配されて流入する。
【0020】
次いで、第2口金板2に流入し、合流孔21において、ポリマー(A)とポリマー(B)は合流し、扇状楔形を有する複数個(図では16個)のポリマーセグメントが交互に貼り合わされる。なお、前記導入孔群31は、図1(b)に例示したように、これら孔群の各孔中心がそれぞれ一つの同心円Cの上に位置するように、好ましくは円周列を形成して交互に入れ違いに等ピッチ間隔で配列されている。
【0021】
したがって、分配孔群51から円形の合流孔21に流れ込んで合流した各ポリマー(A)流及び各ポリマー(B)流は、均等な流量と圧力が維持されているので、交互に扇状に楔の中心を繊維横断面の中心に向けた状態で円周配列する。このようにして、この合流ポリマー流は扇状楔形に交互に貼り合わされた断面形状を有する合流ポリマーとして、第1口金板1に穿設されたポリマー導入孔11を流下して、次第に縮流しながら引き続いてポリマー吐出孔12へ流入して、このポリマー吐出孔12から中空複合繊維として最終的に紡出される。
【0022】
ここで、ポリマーの接合が生じる部分、すなわちスリットの両端部には同一のポリマー(この例ではポリマー(A))が流れ込むよう導入孔群31を配置することが重要である。なぜなら、ポリマーの接合は同一ポリマー同士のほうが生じやすく、分離しがたい(中空割れしがたい)からである。また、ポリマー(A)としては、炭化物などの異物を発生しがたいポリマーを選択する。
【0023】
図2は、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金に穿設された吐出孔部を拡大して例示したものであって、既に図1(b)に例示した図である。
ここで、本発明の中空糸用複合紡糸口金においては、前記図2に示したように、熱可塑性ポリマーを吐出する複数の円弧状スリット孔群が同一の円周上に穿設され、前記各円弧状スリット孔群に外接する外接円の直径が0.4〜1.0mmであり、かつ該円弧状スリット孔のスリット幅Wとスリット中心円弧の長さLの比L/Wが4以上であることを特徴としている。なお、図2に例示したように、L値は、スリット孔の中心幅(W/2)での値を算出したものである。
【0024】
なお、図2に示す実施態様においては、1本の中空単繊維をそれぞれ紡出する各1個の吐出孔は、複数個の円弧状スリット孔を有している。なお、円弧状スリット孔の穿設個数に関しては、特に制限する理由はないが、本発明においては、下記のような理由から2〜5個であることがより好ましく、特に好ましくは2個である。
【0025】
すなわち、スリット孔の両端部は、異物が堆積して付着しやすい部分であるので、スリット個数は少ない方が良く、この理由から5個以下とすることが好ましい。逆に、スリット孔の個数が1個の場合には、設計上の要請からCの字形状を有するスリット孔となるが、この場合には、前述の図4(b)のような断面形状を有する中空糸を得るためには、2成分の異なるポリマーの吐出バランスなどを安定させるのが困難であり不適である。
【0026】
図2に例示した本発明に係る中空糸用複合紡糸口金の実施態様においては、1本の中空単繊維を吐出する吐出孔は、2個の円弧状スリット孔から構成することが特に好ましいことは既に説明した通りである。その理由は、分割型中空複合糸を想定した場合に、この型の中空複合糸では、中空率を大きくする必要がない(中空単繊維を構成する同一ポリマーが繊維の中央部で互いに結合してしまって、分割できなくなるのを防止できれば良い)ためである。これに対して、分割型中空複合繊維でない場合は、中空率を上げるために、スリット孔の個数を増やす必要がある。
【0027】
逆に、低中空率の中空糸を紡出するためには、スリット孔の個数は少ない方がよい。何故ならば、スリット孔間の非穿孔部の存在により、吐出直後の糸ではこの非穿孔部分が開口して、ここから中空形成部に空気が流入し、中空率に影響を与えるからである。なお、隣接するスリット孔間の間隙(非穿孔部の距離)を短くすることは、隣接するスリット孔から吐出された後のポリマー同士の安定した接合のためには有効に作用する。
【0028】
したがって、隣接するスリット孔間の間隙(非穿孔部の距離)を短くすることが好ましいが、本発明の紡糸口金においては、加工技術の限界を考慮してスリット孔間距離を60μm程度としている。何故ならば、この程度の距離であれば、本発明に示すL/Wが4以上であるスリット孔をそれほど困難なく穿設でき、しかも、中空割れなどを生じずにポリマー同士の安定した接合が実現できるからである。
【0029】
次に、本発明においては、1個の吐出孔が有する前記円弧状スリット孔群に対して外接する外接円を考えた場合に、この外接円の直径(図2における“D”の値)が0.4〜1.0mmであることが好ましく、特に好ましくは、0.5〜0.8mmである。
【0030】
なお、外接円の直径Dが0.4mm未満の場合は、円弧状スリット孔の加工精度が問題となり、口金を製作するコストが上昇すると共に、複合繊維の製造条件も厳しくなって、安定な製造が困難となる。また、外接円の直径Dが1.0mmより大きくなると、分割型中空複合糸を製造した後に、貼り合わされた各ポリマーセグメントを分割して、細繊度の糸を製造するという目的を達成することが困難となるとともに、紡糸条件も厳しくなって、良好な中空複合糸を得ることが難しい。
【0031】
以上に説明した本発明に係る中空糸用複合紡糸口金において、本発明者が口金の吐出孔形状を様々に変えて溶融紡糸実験を行なったところ、驚くべきことに、吐出孔一個に穿設される円弧状スリット孔群の外周長の総和について3.2mm以下とすることにより、面掃周期が大幅に改善できることを見出した。したがって、面掃周期を長くすると言う意味からは、吐出孔一個に穿設される円弧状スリット孔群の外周長の総和を3.2mm以下とすることが好ましい。
【0032】
以下、本発明に係る中空糸用複合紡糸口金について行なった実験例により、さらに具体的に本発明の作用と効果を説明する。なお、この一連の実験において、下記に示す中空割れ発生率と面掃周期にて、本発明の口金評価を行なった。
【0033】
(1) 中空割れ発生率:所定の速度で紡出された糸条を採取し、そこでの原糸断面に中空割れが発生している割合を調査した。
(2)面掃周期:紡糸口金を一ヶ月間の連続運転に供し、作業者が口金のポリマー吐出面の状態を定期的に確認して、断糸の発生が予測されるような変化が起きた時点で面掃(紡糸口金のポリマー吐出面の清掃)を実施する。そして、面掃を実施した回数と、新たな面掃が発生するまでの時間間隔を求めて、面掃周期を算出した。
【0034】
実験例1は、前記L/W=4.1の吐出孔を持つ口金、実験例2は、L/W=4.2の吐出孔をもつ口金、実験例3としては、L/W値が4以下であるである吐出孔を持つ8種類の口金(図3中に、記号「●」で示している)を製作して行なった。なお、全ての実験例1〜3において、吐出孔を有する第1口金板以外は全て同一仕様の口金板を使用している。その際、図2で定義するd値とD値については、d=60μm、D=0.5mmとし、これらの値は、実験例1〜3においては、全て一定値に固定した。
【0035】
以上に述べた口金の中空割れ発生率を確認するため、実施例1,2および比較例の口金を紡糸口金パックに装着し、紡糸試験を行った。なお、該試験は、2台の溶融押出機によってポリエステルおよびポリアミドをそれぞれ溶融させた後、それぞれの計量ポンプによって、各ポリマーを連続計量しながらスピンブロック(溶融紡糸装置)へ送る。なお、スピンブロックには、図1に例示した中空糸用複合紡糸口金が装着されており、この紡糸口金に穿設された3000ホール(孔)の吐出孔群から1吐出孔当り約0.5g/minずつからなる2成分ポリマーが前記口金から紡出される。このようにして、口金から紡出されたマルチフィラメント糸は、溶融紡糸の定法に従って冷却し、3000m/minで引き取った。
【0036】
以上に述べたようにして得られた中空糸に対して、中空割れ発生率の評価を行なった。その結果を、図3に示す。この図3から明らかなように、本発明の口金(実験例1、実験例2)は、中空割れの発生率がほぼ0%であるのに対し、実験例3の8種類の口金ではL/Wが小さければ小さいほど、中空割れ発生率が増加しており、L/W=4を境に明確な差があることが確認された。
【0037】
実験例4は前記スリット孔群が2個穿設された外周長の総和が3.2mmである吐出孔を穿設した口金、実験例5は前記スリット孔の外周長の総和が4.1mmの吐出孔を穿設した口金を使用した。なお、その他の条件は、実験例2の口金と同一の条件とした。
このとき得られた面掃周期の評価結果では、実験例4の口金は、面掃周期が24〜30時間となって、24時間を超えているのに対し、実験例5の口金では7〜8時間と面掃周期が1/3以下の水準であり、スリット外周長3.2mm以下であることが、実用的な面掃周期である24時間以上とするために必要なことが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る中空糸用複合紡糸口金を例示したものであって、図1(a)は正断面図、図1(b)〜(e)は、図1(a)におけるA−A矢視断面、B−B矢視断面、C−C矢視断面、そして、D−D矢視断面をそれぞ示す。
【図2】本発明に係る中空糸用複合紡糸口金に穿設された吐出孔部を拡大して例示したものであって、図1(b)に例示した図である。
【図3】実施例の評価結果である。
【図4】代表的な分割型複合繊維の繊維横断面形状を例示した断面図である。
【図5】代表的な中空糸用複合紡糸口金の吐出孔形状を例示した平面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 第1口金板
2 第2口金板
3 第3口金板
11 ポリマー吐出孔
12 合流ポリマーの導入孔
21 合流孔
31 ポリマー(A)、(B)の導入孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2種の熱可塑性ポリマー成分を有する各ポリマーセグメントが円周方向にそれぞれ互い違いに配列して全体の横断面が中空円形を呈する複合単繊維群からなるマルチフィラメントを紡出するための中空糸用複合紡糸口金において、
前記熱可塑性ポリマーを中空単繊維として吐出する吐出孔群が穿設され、前記各吐出孔は同一円の円周上に穿設された複数の円弧状スリット孔群からなり、その際、前記円弧状スリット孔群に対して外接する外接円の直径が0.4〜1.0mmであり、前記各円弧状スリット孔のスリット幅Wとスリット長Lの比L/Wが4以上であることを特徴とする中空糸用複合紡糸口金。
【請求項2】
前記吐出孔一個に穿設される円弧状スリット孔群の外周長の総和が3.2mm以下である、請求項1に記載の中空糸用複合紡糸口金。
【請求項3】
一本の単繊維を紡出するための吐出孔を形成するスリット孔の数が2個であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の中空糸用複合紡糸口金。
【請求項4】
紡出する中空糸の中空率が10%以下である、請求項1〜3の何れかに記載の中空糸用複合紡糸口金。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−30197(P2009−30197A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194465(P2007−194465)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(303000545)帝人コードレ株式会社 (66)
【Fターム(参考)】