中継サーバ及び中継通信システム
【課題】中継サーバ間の接続状況を、他の中継サーバが容易に把握することが可能な中継通信システムを提供する。
【解決手段】管理対象中継サーバとしてのコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベースと、通信管理情報データベースと、制御部と、を備える。アクセス許可情報データベースは、複数の中継サーバ1の中で互いにアクセスすることを許可された中継サーバ1同士を対応付けて記憶した情報を格納する。通信管理情報データベースは、中継サーバ1間にメディアセッションが確立された場合に、当該メディアセッションの開始及び終了を少なくとも記録した通信管理情報を格納する。制御部は、ある中継サーバ1から通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の中継サーバ1とのアクセスを許可している中継サーバ1に関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の中継サーバ1に送信する。
【解決手段】管理対象中継サーバとしてのコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベースと、通信管理情報データベースと、制御部と、を備える。アクセス許可情報データベースは、複数の中継サーバ1の中で互いにアクセスすることを許可された中継サーバ1同士を対応付けて記憶した情報を格納する。通信管理情報データベースは、中継サーバ1間にメディアセッションが確立された場合に、当該メディアセッションの開始及び終了を少なくとも記録した通信管理情報を格納する。制御部は、ある中継サーバ1から通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の中継サーバ1とのアクセスを許可している中継サーバ1に関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の中継サーバ1に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、異なるLAN(Local Area Network)に接続されている端末間の通信を可能とする中継サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network、VPN)と呼ばれる通信システムが知られている。このVPNは、例えば、複数のLANに接続されたクライアント端末同士でインターネットを介して通信を行い、あるクライアント端末を遠隔保守する用途に用いられている。前記VPNを利用すれば、保守対象のクライアント端末は、遠隔地にある他のLANに繋がった機器上からリモートメンテナンス等を受けることができる。
【0003】
特許文献1は、この種のネットワークを介した管理システムを開示する。この管理システムは、ビルオーナ、設備保守会社、及び電気設備メーカーに跨る形で構築されている。ビルオーナは、自己が保有するビルに、電気設備及びこれを制御するための運転制御管理装置を設置している。この運転制御管理装置は、インターネット等のネットワークを介してアクセス可能に構成されている。設備保守会社は、ビルオーナから電気設備の管理を委託され、運転制御管理装置にアクセスする許可を電気設備メーカーから得ている。従って、設備保守会社は、インターネット等のネットワークを介して遠隔地から電気設備を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、客先に発生したトラブルに対して、上記のような通信システムを介した遠隔保守で対応する場合において、保守担当者がトラブルに対応できない場合、上位の管理者に対応を引き継ぐということが行われている(いわゆるエスカレーション)。
【0006】
このようなエスカレーションは、一般的に、保守担当者からのヘルプ要求に応じて行われる。逆に言えば、上位の管理者はエスカレーションに関して受け身の状態であり、当該上位の管理者側から積極的にエスカレーションの要求を出すということはあまり行われていない。
【0007】
この理由として、従来の通信システムを用いたリモートメンテナンスサービスにおいては、どの保守担当者がどの客先との間でどのような対応を行っているのかを、上位の管理者側で正確に把握することが困難であるということが考えられる。特に、上位の管理者と保守担当者が異なるサービス拠点に所属している場合、上位の管理者側で保守担当者の作業状況を正確に把握するのは一層困難である。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、中継サーバ間の接続状況を、他の中継サーバが容易に把握することが可能な中継通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の中継サーバが提供される。即ち、この中継サーバは、アクセス許可情報格納部と、接続状況通知受信部と、通信管理情報格納部と、通信管理情報送信部と、を備えた管理機能付き中継サーバである。前記アクセス許可情報格納部は、複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納する。前記接続状況通知受信部は、前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する。前記通信管理情報格納部は、前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する。前記通信管理情報送信部は、ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する。
【0011】
これにより、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバに分散させることなく管理機能付き中継サーバで一元管理することができる。これにより、管理機能付き中継サーバの管理対象となる管理対象中継サーバは、当該管理対象中継サーバからのアクセスを許可している他の管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、管理機能付き中継サーバと通信を行うだけで取得することができる。従って、通信管理情報を取得した管理対象中継サーバにおいては、どの管理対象中継サーバが現在通信を行っているのかを容易に把握することができる。
【0012】
前記の中継サーバは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この中継サーバは、セッション確立要求元通知部を備える。このセッション確立要求元通知部は、管理対象中継サーバ間で第1データ通信セッションが確立されている場合であって、当該第1データ通信セッションを構成していない管理対象中継サーバが、前記第1データ通信セッションを構成している何れかの管理対象中継サーバを相手として第2データ通信セッションを確立しようとした場合に、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバからのセッション確立要求を受信し、前記第1データ通信セッションを構成している管理対象中継サーバのうち少なくとも何れか1つに対して、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバを通知する。
【0013】
これにより、データ通信セッションが確立している中継サーバに対して、更に他の中継サーバが接続しようとしているということを予め通知することができる。従って、先に確立されているデータ通信セッションを構成している中継サーバにおいては、新たな接続の要求を適切に処理することができる。
【0014】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の中継サーバが提供される。即ち、この中継サーバは、接続状況通知部と、通信管理情報要求部と、セッション確立要求部と、を備える。前記接続状況通知部は、他の中継サーバとの間でデータ通信セッションを確立したときに、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、中継サーバ同士の通信を管理する管理機能付き中継サーバに対して送信し、これにより前記管理機能付き中継サーバに通信管理情報を記録させる。前記通信管理情報要求部は、前記管理機能付き中継サーバに対して前記通信管理情報を要求する。前記セッション確立要求部は、前記管理機能付き中継サーバから前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報に記録された何れかの中継サーバを相手とするセッション確立要求を、前記管理機能付き中継サーバに対して送信することが可能である。
【0015】
即ち、管理機能付き中継サーバにおいて通信管理情報が一元管理されているので、本発明の中継サーバは、当該中継サーバからのアクセスが許可されている中継サーバに関する通信管理情報を、通信管理機能付き中継サーバと通信を行うだけで取得することができる。そして、本発明の中継サーバにおいては、通信管理情報を受信した後で、当該通信管理情報に記載された他の中継サーバへのセッション確立要求を行うことができる。従って、例えば、セッションの確立を要求する相手の中継サーバを前記通信管理情報の内容に基づいて選択することができる。
【0016】
前記の中継サーバにおいては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記通信管理情報に基づいて、他の中継サーバとの間で第1データ通信セッションを確立している中継サーバが特定された場合、前記第1データ通信セッションを確立済の中継サーバとの間で第2データ通信セッションを確立する前に、当該第1データ通信セッションを構成する中継サーバの何れかに対してメッセージ通信を行うことが可能である。
【0017】
これにより、他の中継サーバとの間でデータ通信セッションを確立している中継サーバに対して、メッセージ通信によって現在の状況を問い合わせ、その返答結果に応じて、新たなデータ通信セッションを確立するか否かを判断することができる。例えば、中継サーバ間のデータ通信セッションが遠隔保守に用いられているものである場合、当該保守作業の進行状況を上記メッセージ通信で問い合わせ、それに対する返答結果に基づいて当該保守作業へのヘルプが必要か否かを判断できる。そして、ヘルプが必要であると判断した場合には、新たにデータ通信セッションを確立して前記保守作業に参加する、というように、遠隔保守作業への能動的な参加が可能となる。
【0018】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の中継通信システムが提供される。即ち、この中継通信システムは、管理機能付き中継サーバと、上記管理機能付き中継サーバの管理対象となる複数の管理対象中継サーバと、を備える。前記管理機能付き中継サーバは、アクセス許可情報格納部と、接続状況通知受信部と、通信管理情報格納部と、通信管理情報送信部と、を備えた管理機能付き中継サーバである。前記アクセス許可情報格納部は、複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納する。前記接続状況通知受信部は、前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する。前記通信管理情報格納部は、前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する。前記通信管理情報送信部は、ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する。
【0019】
この中継通信システムにおいては、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバに分散させることなく管理機能付き中継サーバで一元管理することができる。これにより、管理機能付き中継サーバの管理対象となる管理対象中継サーバは、当該管理対象中継サーバからのアクセスを許可している他の管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、管理機能付き中継サーバと通信を行うだけで取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図。
【図2】外部サーバの機能ブロック図。
【図3】コールセンターサーバの機能ブロック図。
【図4】クライアント端末情報の内容を示す図。
【図5】中継サーバ情報の内容を示す図。
【図6】中継グループ情報の内容を示す図。
【図7】アクセス許可情報データベースの内容を示した表。
【図8】通信管理情報データベースの内容を示した表。
【図9】ルーティング処理を説明する説明図。
【図10】LAN検索結果情報の内容を示す図。
【図11】経路探索結果情報の内容を示す図。
【図12】ルーティンググループ情報の内容を示す図。
【図13】通信処理を示すシーケンス図。
【図14】通信処理を示すシーケンス図。
【図15】通信処理を示すシーケンス図。
【図16】通信処理を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図である。
【0022】
本実施形態の中継通信システムは、装置又は機械の遠隔保守を目的として構築された遠隔保守システムであり、コールセンターと、前記装置又は機械の設置先(客先工場)と、サービスマン派遣先と、の3拠点を、インターネットを介して接続するものである。
【0023】
なお、コールセンターとは、客先工場に導入した装置又は機械の保守を行うためのサービス拠点であり、例えば前記装置又は機械の製造元メーカーに設置される。サービスマン派遣先(図1で示すところの第1サービスマン派遣先及び第2サービスマン派遣先)はサービスマンが派遣される場所であり、遠隔保守サービスを提供するための拠点としてコールセンターとは別に設置される。本実施形態の中継通信システムは、客先工場の装置又は機械を、サービスマン派遣先に待機しているサービスマンがインターネットを介して遠隔保守する、といった状況を想定して構築されている。
【0024】
図1に示すように、中継通信システムは、WANに接続された複数のLAN91〜94で構成されている。WAN(Wide Area Network)は、異なるLANを相互に接続するネットワークである。本実施形態ではWANとしてインターネットが使用されている。LAN(Local Area Network)は、限定された場所で構築されるネットワークである。LANは複数存在し、互いに物理的に離れた場所に構築されている。
【0025】
LAN(コールセンターLAN)91はコールセンターに構築され、LAN(派遣先LAN)92は第1サービスマン派遣先に構築され、LAN(客先LAN)93は客先工場に構築され、LAN(ヘルプ元LAN)94は第2サービスマン派遣先に構築されている。これら4つのLAN91,92,93,94は、グローバルなネットワークであるインターネットにそれぞれ接続されている。
【0026】
また、LAN91〜94には、それぞれ中継サーバ1が設置されている。以下の説明において、各LANに配置される中継サーバ1を区別するために、LAN91に配置された中継サーバ1のことをコールセンターサーバ(relay server 1)R1と呼ぶことがある。また、LAN92に配置された中継サーバ1のことを派遣先サーバ(relay server 2)R2と呼び、LAN93に配置された中継サーバ1のことを客先サーバ(relay server 3)R3と呼ぶことがある。また、LAN94に配置された中継サーバ1は、サービスマン派遣先に配置されているという意味で派遣先サーバと呼ぶことができるが、この中継サーバ1のことを特にヘルプ元サーバ(relay server 4)R4と呼ぶことがある。
【0027】
コールセンターサーバR1には、中継通信を行うための各種の設定等を行うクライアント端末5がLAN91を介して接続されている。派遣先サーバR2及びヘルプ元サーバR4には、サービスマンが遠隔保守を行う際に直接操作するクライアント端末5がLAN92又はLAN94を介して接続されている。
【0028】
客先工場には、サービスマンが遠隔保守を行う対象であるクライアント端末5が配置されている。この客先工場のクライアント端末5そのものが製造元メーカーが製造した装置又は機械であることもあれば、客先工場のクライアント端末5は装置又は機械を制御するための制御端末に過ぎない場合もある。何れの場合であっても、サービスマンは、この客先工場のクライアント端末5にアクセスすることにより、遠隔保守サービスを提供する。客先工場に配置されるクライアント端末5は、LAN93を介して客先サーバR3に接続されている。
【0029】
それぞれのLAN91〜94に接続されるクライアント端末5はユーザが直接操作できる端末であり、例えばユーザによって日々の業務に使用されるパーソナルコンピュータ(PC)等が該当する。従って、LAN内には通常多数のクライアント端末5が存在する。各クライアント端末5には、同一のLANの中で一意に管理されたプライベートIPアドレスが付与されている。
【0030】
なお、図1に図示されているコールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4以外にも、物理的に離れた場所にLANが構築されており、当該LANに中継サーバ1が配置されている。これらの中継サーバ1は、外部サーバ2にインターネットを介して複数接続されている。
【0031】
より具体的には、図1には2つのサービスマン派遣先(第1サービスマン派遣先及び第2サービスマン派遣先)が示されているが、これ以外にも図示しない派遣先が幾つか存在する。そして、図示されない派遣先においてもそれぞれLANが構築されるとともに、当該LANにも、派遣先サーバとしての中継サーバ1が(図1のLAN92及びLAN94の場合と同様に)接続される。また、図1で示す客先工場にはLAN93が設置されているが、これ以外にも図示しない客先工場(保守対象の機械又は装置が設置されている客先)が存在する。そして、図示されない客先工場にもそれぞれLANが設置されるとともに、当該LANにも、客先サーバとしての中継サーバ1が(図1のLAN93の場合と同様に)接続されている。
【0032】
そして、本実施形態においては、客先サーバ(中継サーバ1)ごとに複数の派遣先サーバとしての中継サーバ1が設定されている。なお、以下の説明において、「派遣先サーバとしての中継サーバ1」を単に「派遣先サーバ」と称し、「客先サーバとしての中継サーバ1」を単に「客先サーバ」と称することがある。
【0033】
次に、外部サーバ2の構成について説明する。この外部サーバ2は、各LANに配置された中継サーバ1間での通信に用いられる装置であり、インターネット上に設置されている。本実施形態の外部サーバ2は、SIP(Session Initiaion Protocol)サーバとしての機能を備えている。具体的には、外部サーバ2は、SIPメソッド及びレスポンス等を中継するSIPプロキシサーバとしての機能と、中継サーバ1のアカウントを登録するSIPレジストラサーバとしての機能を備える。
【0034】
外部サーバ2は、図2に示すように、WANインタフェース201と、制御部202と、中継サーバアカウント情報データベース203と、を主要な構成として備えている。
【0035】
WANインタフェース201は、グローバルIPアドレスを使用して、インターネットに接続された中継サーバ1等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0036】
中継サーバアカウント情報データベース203は、中継通信システムを構成する中継サーバ1のアカウントをグローバルIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。本実施形態の中継サーバアカウント情報データベース203には、コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4のアカウントとグローバルIPアドレスとが、対応付けて中継サーバ1ごとにそれぞれ登録されている。
【0037】
制御部202は、WANインタフェース201を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP又はSIP等のプロトコルに従った通信処理を制御する。この制御部202は、例えば、それぞれの中継サーバ1から当該中継サーバ1のアカウントに関する情報を受信し、中継サーバアカウント情報データベース203に登録する処理を行う。また、中継サーバ1から送信された様々なSIPメソッド又はレスポンス等の通信データを他の中継サーバ1に中継する処理等を行う。
【0038】
次に、LAN91〜94に配置される中継サーバ1の構成について説明する。LAN91〜94に配置される各中継サーバ1は、各LANに配置されているクライアント端末5に通信可能に接続されるとともに、インターネットにも接続されている。そして、各中継サーバ1(即ち、コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4)には、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの両方が付与されている。これにより、各中継サーバ1は、前記外部サーバ2を介して相互に中継通信を行うことが可能になっている。中継サーバ1はSIPレジストラサーバとしての機能を備えており、各中継サーバ1と各クライアント端末5との間の通信はSIPを使用して行われる。なお、各中継サーバ1と各クライアント端末5との間の通信はSIPを用いたものに限定される訳ではなく、TCP/IP、UDP等の適宜のプロトコルに従った通信を行うことも可能である。
【0039】
図3を参照して、LAN91に配置されるコールセンターサーバR1を例にして中継サーバ1について説明する。図3はコールセンターサーバR1の機能ブロック図である。
【0040】
コールセンターサーバR1は、図3に示すように、LANインタフェース501と、WANインタフェース502と、制御部503と、クライアント端末情報データベース511と、中継サーバ情報データベース512と、中継グループ情報データベース521と、ルーティンググループ情報データベース522と、アクセス許可情報データベース513と、通信管理情報データベース515と、を主要な構成要素として備えている。
【0041】
LANインタフェース501は、自装置と同一のLANに接続されたクライアント端末5との通信を、プライベートIPアドレスを使用して行うインタフェースである。
【0042】
WANインタフェース502は、グローバルIPアドレスを使用して、インターネットに接続された外部サーバ2等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0043】
制御部503は、LANインタフェース501及びWANインタフェース502を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP及びSIP等のプロトコルに従った様々な通信処理を制御する。
【0044】
クライアント端末情報データベース511は、LAN91を介してコールセンターサーバR1とローカルに接続しているクライアント端末5のアカウント情報をプライベートIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。
【0045】
クライアント端末情報データベース511に格納されるクライアント端末情報の記憶内容例を図4に示す。図4に示すように、クライアント端末情報においては、LAN91に接続しているクライアント端末5ごとに、当該クライアント端末5に関する属性情報を含むnodeタグが記述される。クライアント端末5に関する属性情報としては、クライアント端末5のプライベートIPアドレス(「addr」)、識別情報(「id」)、名称(「name」)及びポート情報(「port」)等がある。なお、図4に示す記憶内容例において、client11及びclient12以外のクライアント端末5の記述を省略したが、実際には、LAN91を介して中継サーバ1に接続している他のクライアント端末5(例えば、client13)に関する属性情報についても記述されている。
【0046】
中継サーバ情報データベース512は、中継通信を行う中継サーバ1とそれぞれの中継サーバ1に接続されるクライアント端末5の情報を管理するデータベースである。
【0047】
中継サーバ情報データベース512に格納される中継サーバ情報の記憶内容例を図5に示す。図5に示す中継サーバ情報は、中継通信を行う中継サーバ1(コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2及び客先サーバR3等)のそれぞれで作成されたものを合成したものである。この中継サーバ情報は、コールセンターサーバR1が、中継通信を行う他の中継サーバ1から受信したそれぞれの中継サーバ情報に、コールセンターサーバR1自身で作成した中継サーバ情報を合成して作成したものである。
【0048】
図5に示す中継サーバ情報においては、中継サーバ1ごとに記述されるsiteタグと、前記siteタグを親要素とする子要素のnodeタグと、が記述されている。siteタグには中継サーバ1に関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、中継サーバ1の識別情報(「id」)、中継サーバ1の名称(「name」)及び起動情報(「stat」)等がある。siteタグの子要素であるnodeタグには、中継サーバ1にログオンするクライアント端末5に関する属性情報が含まれている。クライアント端末5に関する属性情報としては、当該クライアント端末5の識別情報(「id」)及びクライアント端末5の名称(「name」)等がある。なお、図5の記憶内容例において、relayserver1及びrelayserver2以外の中継サーバ1の記述を省略したが、実際には、外部サーバ2を介して接続される他の中継サーバ1(例えば、relayserver3)に関する属性情報についても記述されている。また、図5においては、図4と同様に、クライアント端末5に関する記述を一部省略している。
【0049】
中継グループ情報データベース521は、中継通信を行う中継グループ情報を管理するデータベースである。
【0050】
中継グループ情報データベース521に格納される中継グループ情報の記憶内容例を図6に示す。図6に示すように、中継グループ情報においては、groupタグと、このグループタグを親要素とする子要素のsiteタグと、が記述されている。groupタグには中継グループに関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、中継グループの識別情報(「id」)及び中継グループの名称(「name」)等がある。siteタグには、中継グループに含まれる中継サーバ1に関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、当該中継サーバ1の識別情報(「id」)等がある。また、中継グループは追加作成が可能であり、その場合、新しい中継グループには、他の中継グループと異なる一意の識別情報が付与される。これにより、中継グループ内だけでデータのやり取りを行う等の設定が可能になっている。
【0051】
ルーティンググループ情報データベース522は、中継通信システムを利用したルーティング処理を行うために用いられるルーティンググループ情報を管理するデータベースである。なお、ルーティンググループ情報及びこのルーティンググループ情報を用いたルーティング処理の詳細については後述する。
【0052】
なお、図4で示したクライアント端末情報の記憶内容例、図5で示した中継サーバ情報の記憶内容例及び図6で示した中継グループ情報の記憶内容例はあくまで一例であり、適宜の属性情報及び要素情報を追加又は削除できることは勿論である。
【0053】
アクセス許可情報データベース(アクセス許可情報格納部)513は、コールセンターサーバR1以外で通信が許可されている中継サーバの識別情報等を客先サーバごとに管理するデータベースである。ここでいう客先サーバは、図1に図示される客先サーバR3を含めた中継サーバ1を意味している。このアクセス許可情報データベース513は、例えば、どのサービスマン派遣先がどの客先工場の遠隔保守を担当するかが予め決まっている場合、担当のサービスマン派遣先のみが遠隔保守を実施できるように、客先サーバへのアクセス制限を行うためのものである。
【0054】
このアクセス許可情報データベース513について、図7を参照して具体的に説明する。図7は、アクセス許可情報データベース513の内容を示した表である。
【0055】
また、前述のように、本実施形態のコールセンターサーバR1は、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4に対してだけでなく、多数の中継サーバ1と接続されている。図7においては、これの中継サーバ1のうち、客先サーバを、relayserver3,31,32,33,34と表し、派遣先サーバを、relayserver2,4,5,6と表している。
【0056】
図7の表において、targetの列には客先サーバが記述されている。一方、permitの列には派遣先サーバが記述されている。そして、この表では、ある客先サーバに対して通信が許可されている派遣先サーバが、当該客先サーバに対応付けられた形で記述されている。例えば、relayserver3は、relayserver2,4,6からの通信を許可している。
【0057】
前記制御部503は、例えば、派遣先サーバR2から接続要求があった場合は、アクセス許可情報データベース513に登録されている情報に基づいてアクセス許可リストを作成し、当該派遣先サーバR2に送信する。このアクセス許可リストは、派遣先サーバR2からの通信が許可されている中継サーバ1を示すリストである。
【0058】
なお、制御部503は、アクセス許可リストを作成せずに、アクセス許可情報データベース513に登録されている情報を派遣先サーバR2に送信しても良い。派遣先サーバR2は、この情報に対して適宜の処理を行うことで、自らが通信可能な客先サーバを把握することができる。
【0059】
通信管理情報データベース(通信管理情報格納部)515は、客先サーバと派遣先サーバの接続時間及び接続状況等を管理するデータベースである。
【0060】
通信管理情報データベース515について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、通信管理情報データベース515の内容を示した表である。図8の表において、それぞれの行が、中継サーバ1間に確立されたメディアセッションを示している。activeの列にはアクセスを要求した側の中継サーバ1が、passiveの列にはアクセスを要求された側の中継サーバ1が、それぞれ記載されている。また、start−timeの列にはメディアセッションの開始時刻が、end−timeの列にはメディアセッションの終了時刻が記載されている。なお、メディアセッションが継続中の場合、end−timeの列には「connecting」と記録されている。また、遠隔保守サービスのエスカレーションが行われた場合、遠隔保守を受け継いだ派遣先サーバがescalationの列に記載されている。このように、通信管理情報データベース515には、メディアセッションを確立した中継サーバ1を特定する情報と、当該メディアセッションの接続状況(開始時刻、終了時刻等)と、が関連付けられた通信管理情報が記録されている。
【0061】
派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4は、LANインタフェースと、WANインタフェースと、制御部と、を備えている。派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4の構成は、図3に示すコールセンターサーバR1の構成からアクセス許可情報データベース513及び通信管理情報データベース515を省略した構成にほぼ相当しているので、各部の構成の説明は省略する。
【0062】
次に、本実施形態の中継通信システムにおけるパケットのルーティング制御について説明する。本実施形態においては、遠隔地のLANに属するクライアント端末5同士で、WANを意識することなく相互に通信可能とするために、アプリケーション層でパケットのルーティング処理を行うことが可能に構成されている。以下、図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、各クライアント端末5を区別するため、符号の末尾にアルファベットを付して、クライアント端末5a、クライアント端末5b・・・のように表示する場合がある。
【0063】
以下の説明では、第1サービスマン派遣先のサービスマンが客先工場のクライアント端末5を遠隔保守する場合を想定し、派遣先LAN92と客先LAN93との間でパケットのルーティングを行う場合について説明する。なお、以下のルーティングに関する説明において、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間には、既にメディアセッションが確立されているものとする。派遣先サーバR2と客先サーバR3との間でメディアセッションを確立するための処理については、後述する。
【0064】
本実施形態の中継通信システムにおいて、WANを介して互いに接続されたLAN91〜94には、それぞれプライベートIPアドレスが割り振られている。なお、各プライベートアドレスは、中継通信システムの中で一意に決まるように管理されている。例として図9に示すように、派遣先LAN92のアドレスは「172.16.1.0/24」、客先LAN93のアドレスは「172.30.2.0/24」である場合を想定して説明する。
【0065】
本実施形態の中継通信システムにおいて、前記アプリケーション層でのパケットのルーティングを実現するため、ルーティングの対象となるLANには、ルーティング装置として機能できる中継サーバ1又はクライアント端末5が少なくとも1つ用意されている。例えば本実施形態の場合、派遣先LAN92内では派遣先サーバR2が、客先LAN93内ではクライアント端末5dが、それぞれルーティング装置として機能できるものとする。
【0066】
本実施形態の中継通信システムにおいて、パケットのルーティングを行う際には、まず、ルーティング可能なLANの検索を行う。具体的には、何れかのクライアント端末5から中継サーバ1に対して、ルーティング可能LAN検索コマンド(以下、単にLAN検索コマンド)を送信する。以下では、具体的に、クライアント端末5bが、派遣先サーバR2に対してルーティング可能LAN検索コマンドを送信したとして説明する。
【0067】
ここで、「ルーティング可能なLAN」とは、ルーティング装置としての中継サーバ1又はクライアント端末5を備えているLANのことである。なお、図9においては、派遣先LAN92及び客先LAN93は1つずつとして説明しているが、実際には、各中継サーバ1には複数のLANが接続され得るし、それぞれのLANが必ずしもルーティング可能とは限らない。そこで、このようにルーティング可能なLANの検索が必要となる。
【0068】
LAN検索コマンドを受信した派遣先サーバR2は、中継グループ情報を参照することにより、中継グループを構成する他の中継サーバ1(コールセンターサーバR1、客先サーバR3等)に対してLAN検索コマンドを転送する。そして、LAN検索コマンドを受信した各中継サーバ1(コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3等)は、クライアント端末情報データベース511に登録された各クライアント端末5と通信を行い、自身が接続されているLANの中にルーティング装置として機能できるクライアント端末5が存在するか否かを調べる。ルーティング装置としての機能を備えたクライアント端末5が見つかった場合、当該クライアント端末5を備えるLANはルーティング可能なLANである。また、中継サーバ1自身がルーティング装置として機能できる場合も、当該中継サーバ1を備えるLANはルーティング可能なLANである。このような場合、中継サーバ1は、当該LANはルーティング可能なLANである旨と、当該LANのプライベートIPアドレスと、を関連付けたLAN検索応答情報を生成する。
【0069】
続いて、コールセンターサーバR1、客先サーバR3等は、生成したLAN検索応答情報を派遣先サーバR2へ送信する。派遣先サーバR2においては、自身が生成したLAN検索応答情報と、各中継サーバ1から受信したLAN検索応答情報と、を合成した合成LAN検索応答情報を生成する。派遣先サーバR2は、当該合成LAN検索応答情報を、クライアント端末5bに転送する。クライアント端末5bには、この合成LAN検索応答情報に基づいて、LAN検索結果情報が生成されて記憶される。
【0070】
クライアント端末5bに記憶されるLAN検索結果情報の例を、図10に示す。LAN検索結果情報においては、routing_networkタグを親要素とする子要素のnetworkタグが記述されている。各networkタグには、ルーティング可能なLANのプライベートIPアドレス情報(「addr」)が記載されている。このように、LAN検索コマンドの送信元のクライアント端末において、中継通信システムの中でルーティング可能なLANのプライベートIPアドレスを特定することができる。例えば本実施形態では、図10に示すように、派遣先LAN92(addr=“172.16.1.0/24”)及び客先LAN93(addr=“172.30.2.0/24”)が、ルーティング可能なLANとして特定される。
【0071】
次に、ルーティング可能なLANを特定したクライアント端末5bにおいて、ルーティング経路の探索(より詳細に言うと、ルーティングポイントの特定)が行われる。当該クライアント端末5bは、ルーティング可能なLANの中からルーティング対象LANを指定したうえで、ルーティング経路探索コマンド(以下、単に経路探索コマンド)を派遣先サーバR2に送信する。以下、ルーティング対象LANとして、派遣先LAN92と客先LAN93が指定された場合について説明する。
【0072】
経路探索コマンドを受信した派遣先サーバR2は、中継グループ情報を参照することにより、中継グループを構成する他の中継サーバ1(コールセンターサーバR1、客先サーバR3等)に対して経路探索コマンドを転送する。
【0073】
そして、経路探索コマンドを受信した各中継サーバ1(コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3等)は、クライアント端末情報データベース511に登録された各クライアント端末5と通信することにより、自身が接続されているLANの中に、ルーティング対象LANとして指定されたLANのルーティング装置として機能できるクライアント端末5が存在するか否かを調べる。
【0074】
例えば本実施形態の場合、クライアント端末5dは、ルーティング対象LANとして指定されたLAN(客先LAN93)のルーティング装置として機能できる。このようにルーティング対象LANのルーティング装置として機能できるクライアント端末5dは、指定されたLANの間(派遣先LAN92と客先LAN93の間)でパケットをルーティングする際のルーティングポイントとして機能することができる。ルーティングポイントとして機能できるクライアント端末5dが見つかった場合、客先サーバR3は、当該客先LAN93のプライベートIPアドレスと、当該クライアント端末5dの識別情報と、を関連付けた経路探索応答情報を生成する。
【0075】
一方、ルーティング対象LANとして指定されたLANのルーティング装置として中継サーバ1自身が機能できる場合、当該中継サーバ1は、自身がルーティングポイントとして機能できる。例えば本実施形態では、派遣先サーバR2は、ルーティング対象LANとして指定されたLAN(派遣先LAN92)のルーティング装置として機能できる。このような場合、当該派遣先サーバR2は、当該派遣先LAN92のプライベートIPアドレスと、自身の識別情報と、を関連付けた経路探索応答情報を生成する。
【0076】
続いて、客先サーバR3は、生成した経路探索応答情報を派遣先サーバR2へ送信する。派遣先サーバR2においては、客先サーバR3から受信した経路探索応答情報と、自身が生成した経路探索応答情報と、を合成した合成経路探索応答情報を生成する。派遣先サーバR2は、当該合成経路探索応答情報を、クライアント端末5bに転送する。クライアント端末5bには、この合成経路探索応答情報に基づいて、経路探索結果情報が生成されて記憶される。
【0077】
クライアント端末5bに記憶される経路探索結果情報の例を、図11に示す。経路探索結果情報においては、routing_networkタグを親要素とする子要素のnetworkタグが記述されている。各networkタグには、ルーティング可能なLANのプライベートIPアドレス情報(「addr」)と、ルーティングポイントとして機能できる装置の識別情報(「router」)と、が関連付けられて記載されている。このように、ルーティング対象LANとして指定したLANの間でのルーティング経路の探索(即ちルーティングポイントの特定)を実現することができる。
【0078】
次に、ルーティングセッションの確立を行う。ルーティングセッションとは、本実施形態の中継通信システムでパケットのルーティング制御に用いられるメディアセッションである。
【0079】
ルーティングセッションを確立するため、クライアント端末5bは、ルーティングセッションで用いるルーティングポイントを指定する情報を、派遣先サーバR2へ送信する。派遣先サーバR2においては、上記経路探索結果情報に基づいて、ルーティンググループ情報が生成される。ルーティンググループ情報は、中継通信システムを利用したルーティング制御を実行するためのルーティング設定情報であり、ルーティンググループ情報データベース522に格納される。
【0080】
ルーティンググループ情報データベース522に格納されるルーティンググループ情報の例を、図12に示す。ルーティンググループ情報において、networkタグには、ルーティング対象LANのローカルIPアドレスと、ルーティングポイントとして使用する装置の識別情報と、が関連付けられて記述されている。routing_sessionタグを親要素とする子要素のsessionタグには、当該ルーティングセッションの始点(「start」)と終点(「end」)が記述されている。
【0081】
続いて、派遣先サーバR2は、ルーティンググループ情報を、次のルーティングポイントであるクライアント端末5dに転送する。これにより、各ルーティングポイントにおいて、ルーティング対象LANの間のルーティング経路に関する情報が共有される。
【0082】
各ルーティングポイントが前記ルーティンググループ情報を受信した後、当該ルーティングポイントの間で、複数のメディアセッションからなるルーティングセッションが確立される。具体的には、客先サーバR3とクライアント端末5dとの間でメディアセッションが確立される。また前述のように、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間には、既にメディアセッションが確立されている。この2つのメディアセッションにより、ルーティングポイント同士(派遣先サーバR2とクライアント端末5d)を結ぶルーティングセッションが構成される。
【0083】
次に、派遣先LAN92内の端末5aから、客先LAN93内のクライアント端末5fに対して、ルーティングセッションを介してパケットを送信する場合について説明する。この場合、クライアント端末5aは、クライアント端末5fのプライベートIPアドレス(172.30.2.3)を指定したパケットを作成する。続いて、クライアント端末5aは、当該クライアント端末5a自身が属しているLAN(派遣先LAN92)のルーティングポイントである派遣先サーバR2へ、パケットを転送する。
【0084】
ルーティングポイントとしての派遣先サーバR2は、ルーティングの対象となるパケットを受信した場合、宛先のプライベートIPアドレス(172.30.2.3)に基づいて、当該パケットを届けるべきLANを特定する。今回の説明では、パケットの届け先のLANは客先LAN93(プライベートIPアドレスは172.30.2.0/24)となる。次に、派遣先サーバR2は、前記ルーティンググループ情報を参照することにより、客先LAN93との間で有効なルーティングセッションが確立されているか否かを判定する。例えば現在説明中の例では、ルーティンググループ情報を参照することにより、客先LAN93との間に既にルーティングセッションが確立されていることがわかるので、当該ルーティングセッションを用いてパケットの送信を行えば良いことになる。なお、ここでルーティングセッションが確立されていない場合は、ルーティングセッションを介したパケットの送信が不可能であるためエラーとなる。
【0085】
パケットの送信に使用するルーティングセッションを特定した後、ルーティングポイントとしての派遣先サーバR2は、クライアント端末5aから受信したパケットを、ルーティングセッションを介して送り出す。これにより、前記パケットは、次のルーティングポイントであるクライアント端末5dに受信される。
【0086】
次のルーティングポイントであるクライアント端末5dは、宛先として指定されたプライベートIPアドレス(172.30.2.3)に対して、当該パケットを転送する。これにより、クライアント端末5fにパケットが届けられる。なお、逆方向への通信(クライアント端末5fからクライアント端末5aへパケットを送信する場合)も同様に、ルーティングセッションを介してパケットのルーティングを行うことができる。
【0087】
以上で説明したルーティング関係の処理、即ち、ルーティング可能なLANの検索、ルーティング経路の探索の処理などは、アプリケーション層で行われる。このように、本実施形態では、アプリケーション層のルーティングセッションで、ルーティング対象のデータを流すように構成されている。従って、以上で説明したルーティングは、通常のIPルーティングとは異なっている。
【0088】
このようにアプリケーション層でルーティングを行うことにより、WANを意識することなく遠隔地のLAN同士がプライベートIPアドレスを利用して相互に通信できるだけでなく、ルーティング経路等を中継通信システムの構成に応じて柔軟に構築できる。なお、ルーティングセッションを確立するまでもない単発的な情報の送受信を行う場合には、上記のルーティングを行わない通常の方法でパケットを送受信しても良いことは勿論である。
【0089】
本実施形態において、サービスマン派遣先のサービスマンは、以上で説明したルーティングセッションを介して、客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を行うことができる。ところで、上記のようにして確立されたルーティングセッションには、中継サーバ1同士のメディアセッションが含まれている。例えば上記の例では、クライアント端末5aとクライアント端末5fとの間でパケットの送受信を行う際のルーティングセッションには、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションが含まれている。従って、サービスマンは、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションを介して、遠隔保守を行うと言うことができる。なお、以下の説明においては、サービスマンが遠隔保守を行う場合であっても、ルーティングセッション全体の説明は省略し、派遣先サーバと客先サーバとの間に確立されたメディアセッションの部分のみを説明する場合がある。
【0090】
このように、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にメディアセッションが確立されると、客先サーバR3のクライアント端末5に対して、稼動状況の確認及びソフトウェアの更新等のリモートメンテナンス作業を行うことができる。また、クライアント端末5に不具合が生じた場合は、復旧用のアプリケーションを適用する等の復旧作業を行うこともできる。
【0091】
次に、図13〜図16のシーケンス図を参照して、本実施形態の中継通信システムを用いて遠隔保守を行う際の処理の流れについて説明する。
【0092】
第1サービスマン派遣先のサービスマンが、リモートメンテナンス等の遠隔保守を行う場合は、クライアント端末5を操作し、派遣先サーバR2を介して、コールセンターサーバR1を送信先としたアクセス許可リスト要求を送信する(シーケンス番号1)。
【0093】
このように、本実施形態ではクライアント端末5から各中継サーバ1を介して要求等が送信されることがあるが、以下の説明においては、クライアント端末5を操作する処理の具体的な説明を省略することがある。
【0094】
また、このアクセス許可リスト要求では、送信先のコールセンターサーバR1のアカウントが指定されている。外部サーバ2は、中継サーバアカウント情報データベース203を参照することでコールセンターサーバR1のグローバルIPアドレスを取得し、派遣先サーバR2からの上記要求をコールセンターサーバR1に中継する。
【0095】
以上のように、本実施形態の各中継サーバ1間の通信は外部サーバ2を経由して行われ、以下においても同様である。従って、以下の説明では、外部サーバ2を経由する通信処理の具体的な説明を省略することがある。
【0096】
上記のアクセス許可リスト要求を受信したコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513に基づいて、派遣先サーバR2がアクセス可能な中継サーバを示したアクセス許可リストを作成する。そして、コールセンターサーバR1は、このアクセス許可リストを派遣先サーバR2へ送信する。
【0097】
そして、サービスマンは、このアクセス許可リストに基づいて、自らが通信すべき客先サーバを選択する。本実施形態においては、この接続先の客先サーバとして客先サーバR3が選択されたとする。
【0098】
しかし、前述のとおり、客先サーバR3はコールセンターサーバR1以外からの通信を通常は受け付けていない。この通信を開始するためには、コールセンターサーバR1から客先サーバR3へアクセス元(派遣先サーバR2)が通知される必要がある。そのため、サービスマンは、派遣先サーバR2を介して、アクセス先通知(Accessメソッド)をコールセンターサーバR1に対して送信する(シーケンス番号2)。
【0099】
なお、客先サーバの選択及びアクセス先の通知は、予め設定された方法によって、派遣先サーバR2又はクライアント端末5が自動的に行う構成にしても良い。
【0100】
この通知を受信したコールセンターサーバR1は、客先サーバR3へ、派遣先サーバR2に対するアクセス許可要求(ACCESS_PERMITメソッド)を送信する(シーケンス番号2.1)。
【0101】
このアクセス許可要求を受信した客先サーバR3は、派遣先サーバR2からの通信を受け付ける処理を行うとともに、コールセンターサーバR1に対してOKレスポンスを返す。コールセンターサーバR1は、客先サーバR3からOKレスポンスを受信した後、前記アクセス許可要求に対するOKレスポンスを派遣先サーバR2に対して返す。
【0102】
派遣先サーバR2は、このOKレスポンスを受けると、客先サーバR3に対して接続要求(INVITEメソッド)を送信する(シーケンス番号3)。これに対するOKレスポンスを受信した派遣先サーバR2は、客先サーバR3に対して、INVITEに対する最終レスポンス(ACKメソッド)を送信する(シーケンス番号4)。そして、客先サーバR3が派遣先サーバR2に対してMediaSessionコマンドを送信する。このコマンドによって、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に通信経路(ルーティングセッション、データ通信セッション)が確立される(シーケンス番号5)。
【0103】
通信経路が確立されると、派遣先サーバR2の制御部は、コールセンターサーバR1に対してルーティングセッションの確立を通知する(NOTIFY_ESTABLISHMENTメソッド(接続状況通知)、シーケンス番号5.1)。従って、派遣先サーバR2の制御部は接続状況通知部として機能すると言うことができる。一方、コールセンターサーバR1の制御部は、前記ルーティングセッションの確立通知を受信する。従って、コールセンターサーバR1の制御部は、接続状況通知受信部として機能すると言うことができる。そして、コールセンターサーバR1は、前記ルーティングセッションを構成する中継サーバ(派遣先サーバR2及び客先サーバR3)を特定する情報と、当該ルーティングセッションの開始時刻と、を関連付けて通信管理情報データベース515へ記録する。続いて、コールセンターサーバR1は、ルーティングセッション確立の通知に対するOKレスポンスを派遣先サーバR2に対して返す。
【0104】
次に、シーケンス番号6からシーケンス番号17までの処理については後述することとして、ルーティングセッションの終了(接続の切断)について説明する。
【0105】
遠隔保守の作業が終了した場合、図16に示すように、サービスマンは、セッションを終了させる旨(BYEメソッド)を客先サーバR3に送信する(シーケンス番号18)。これに対して客先サーバR3はOKレスポンスを返し、通信を切断する。OKレスポンスを返されると、接続状況通知部としての派遣先サーバR2の制御部は、客先サーバR3との接続が終了したことをコールセンターサーバR1に通知する(NOTIFY_TERMINATIONメソッド(接続状況通知)、シーケンス番号19)。接続状況通知受信部としてのコールセンターサーバR1の制御部は、前記ルーティングセッションの終了通知を受信する。
【0106】
そして、コールセンターサーバR1は、前記ルーティングセッションを構成していた中継サーバ(派遣先サーバR2及び客先サーバR3)を特定する情報と、当該ルーティングセッションが終了した時刻と、を関連付けて通信管理情報データベース515に記録し、ルーティングセッション終了の通知に対するOKレスポンスを派遣先サーバR2に対して返す。
【0107】
以上で説明した処理により、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間でルーティングセッションを開始又は終了する際には、コールセンターサーバR1の通信管理情報データベース515にログ(通信管理情報)が記憶される。このように、複数の中継サーバ1間の接続状況が、コールセンターサーバR1において一元的に管理されるように構成されている。従って、コールセンターサーバR1は管理機能付き中継サーバであると言うことができる。一方、コールセンターサーバR1以外の中継サーバ(派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4)は、通信管理情報データベース515を備えていないため、管理機能を有していない。従って、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4は、コールセンターサーバR1による管理の対象となる管理対象中継サーバであると言える。
【0108】
次に、本実施形態で遠隔保守サービスのエスカレーションを行うための構成について説明する。以下の説明において、エスカレーションで遠隔保守に新たに参加するサービスマンのことを、特に「ヘルパー」と呼ぶことがある。
【0109】
前述のように、従来の通信システムを用いて遠隔保守を行う場合は、ヘルパーの方から積極的にエスカレーションの要求を出すことは少なかった。一方、本実施形態の中継通信システムでは、ヘルパーが積極的にエスカレーションを行うことができるように、以下のように構成されている。
【0110】
以下の説明では、第1サービスマン派遣先に所属しているサービスマンが客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を行っているところに、第2サービスマン派遣先に所属しているサービスマンがヘルパーとして参加するという状況を想定して説明する。なお、以下では、シーケンス番号5で派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にルーティングセッションが確立された後の処理について説明する。
【0111】
遠隔保守におけるエスカレーションとは、既に行われている遠隔保守サービスに対してヘルパーが新たに参加するということである。従って、ヘルパーが積極的にエスカレーションを行おうとした場合、どの客先がどのような遠隔保守サービスを受けているかということを当該ヘルパー側で把握する必要がある。そこで、第2サービスマン派遣先のサービスマンは、ヘルパーとして積極的にエスカレーションを行う際には、クライアント端末5を操作して通信管理情報の要求をヘルプ元サーバR4へ送信する。クライアント端末5からの通信管理情報の要求を受けたヘルプ元サーバR4の制御部は、コールセンターサーバR1を送信先とした通信管理情報の要求(REQUEST_CONDITION)を送信する(シーケンス番号6)。従って、ヘルプ元サーバR4の制御部は、通信管理情報要求部として機能すると言える。
【0112】
ヘルプ元サーバR4から通信管理情報の要求を受けたコールセンターサーバR1の制御部は、アクセス許可情報データベース513及び通信管理情報データベース515を参照して、ヘルプ元サーバR4がアクセスできる客先サーバに関する通信管理情報を返信する。例えば、図7に示す内容のアクセス許可情報データベース513を参照した場合、ヘルプ元サーバ(rerayserver4)に関しては、relayserver3,32,33に対するアクセスが許可されていることがわかる。そこで、コールセンターサーバR1の制御部は、通信管理情報データベース515に記録された通信管理情報の中から、relayserver3,32,33に関する通信管理情報を抽出し、ヘルプ元サーバR4に送信する。従って、コールセンターサーバR1の制御部は、通信管理情報送信部として機能すると言える。
【0113】
このように、ヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバR4からアクセスできる客先サーバ(ヘルパーが遠隔保守サービスを提供できる客先サーバ)に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。これは、コールセンターサーバR1において、アクセス許可情報と通信管理情報とを一元管理することにより可能となったものである。また上記の構成では、ヘルプ元サーバR4からのアクセスを許可していない客先サーバ(ヘルパーが遠隔保守を担当していない客先サーバ)に関する通信管理情報は、当該ヘルプ元サーバR4には送信されないので、セキュリティの観点からも好ましい。
【0114】
ヘルプ元サーバR4は、コールセンターサーバR1から通信管理情報を受信した後、当該通信管理情報を、ヘルパーが直接操作しているクライアント端末5に転送する。ヘルパーが直接操作しているクライアント端末5は、前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報の内容をディスプレイに表示する。ヘルパーは、ディスプレイに表示された通信管理情報の内容を確認することにより、現在遠隔保守サービスが行われている客先工場と、当該遠隔保守サービスを提供しているサービスマン派遣先とを特定する。具体的には、通信管理情報のend−timeの欄に「connecting」と記憶されている場合、activeの欄に記載された派遣先サーバとpassiveの欄に記載された客先サーバとの間にルーティングセッションが確立されている(即ち、遠隔保守が行われている)ことがわかる。例えば図8の一番下の行のような通信管理情報に基づけば、relayserver2(派遣先サーバR2)とrelayserver3(客先サーバR3)との間で遠隔保守が行われているということがわかる。
【0115】
ヘルパーは、このように遠隔保守を実施中の客先サーバと派遣先サーバを発見した場合、当該遠隔保守にエスカレーションが必要か否かを判断するため、当該遠隔保守を実施中のサービスマンに対して、メッセージ通信(メッセージセッション)を利用して現在の状況を問い合わせる(シーケンス番号7)。なお、このメッセージ通信とは、セッションをINVITEメソッドによって確立していない相手に対しても通信を行うことができる簡易な通信方法(いわゆるインスタントメッセージ)であり、特に、テキストチャットのように短いデータをリアルタイムで送受信する通信に適している。もっとも、このメッセージ通信で行える通信はテキストチャットに限らず、例えばビデオチャットでも良い。
【0116】
メッセージ通信(例えばテキストチャット)によってヘルパーから現在の状況の問い合わせを受けたサービスマンは、現在の保守作業の進行状況などを、同じくメッセージ通信を利用してヘルパーに返信する。ヘルパーは、遠隔保守を実施中のサービスマンから現在の状況の報告を受けた上で検討し、エスカレーションが必要か否かを判断する。例えば現在保守作業中のサービスマンでは対処できない問題が発生していることなどが前記メッセージ通信による返答で判明した場合などは、ヘルパーは、エスカレーションが必要であると判断する。
【0117】
ヘルパーは、エスカレーションが必要と判断した場合、クライアント端末5を操作することにより、エスカレーション要求(即ち、派遣先サーバR2と客先サーバR3へのセッション確立要求)をヘルプ元サーバR4へ送信する。すると、ヘルプ元サーバR4の制御部は、コールセンターサーバR1に対してエスカレーション要求(REQUEST_ESCALATION)を送信する(シーケンス番号8)。従って、ヘルプ元サーバR4の制御部は、セッション確立要求部として機能すると言うことができる。
【0118】
コールセンターサーバR1の制御部は、ヘルプ元サーバR4からのエスカレーション要求を受信した場合、派遣先サーバR2及び客先サーバR3に対して、ヘルプ元サーバR4からのエスカレーション要求があったこと(即ちヘルプ元サーバR4からのセッション確立要求があったこと)を通知する(シーケンス番号8.1及び8.2)。従って、コールセンターサーバR1の制御部は、セッション確立要求元通知部として機能すると言うことができる。
【0119】
コールセンターサーバR1からエスカレーション要求元の通知を受けた派遣先サーバR2及び客先サーバR3は、ヘルプ元サーバR4からの通信を受け付ける処理を行うとともに、コールセンターサーバR1に対してOKレスポンスを返す。コールセンターサーバR1は、派遣先サーバR2及び客先サーバR3からOKレスポンスを受信した後、前記エスカレーション要求に対するOKレスポンスをヘルプ元サーバR4に対して返す。
【0120】
エスカレーション要求に対するOKレスポンスを受信したヘルプ元サーバR4は、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に、それぞれルーティングセッションを確立する(シーケンス番号9〜14.1)。なお、ルーティングセッションの確立については既に説明したので、ここでの説明は省略する。このように、エスカレーション要求を行うヘルプ元サーバR4は、通信管理情報に関するメッセージ通信(遠隔保守作業の状況の問い合わせ)から、ルーティングセッション(エスカレーションの開始)へ移行することが可能である。
【0121】
エスカレーションに用いられるルーティングセッションが確立することにより、第2サービスマン派遣先のヘルパーは、当該ルーティングセッションを介して客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を自ら行うことができる。また当該ヘルパーは、遠隔保守を実施中だった第1サービスマン派遣先のサービスマンが使用中のクライアント端末5を遠隔操作することもできる。これにより、ヘルパーは、第1サービスマン派遣先のサービスマンによる遠隔保守作業をバックアップすることができる。この場合のように、ヘルパー自ら客先工場のクライアント端末5を遠隔保守するのではなく、保守作業中のサービスマンに対する後援者として遠隔保守に参加しても良い。
【0122】
エスカレーションを終了する際には、ヘルプ元サーバR4は、派遣先サーバR2及び客先サーバR3に終了通知を送り(シーケンス番号15,16)、コールセンターサーバR1にエスカレーションの終了を報告して(シーケンス番号17)、セッションを終了する。
【0123】
以上で説明したように、本実施形態において、管理対象中継サーバとしてのコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513と、通信管理情報データベース515と、接続状況通知受信部及び通信管理情報送信部として機能する制御部と、を備える。アクセス許可情報データベース513は、複数の中継サーバ1の中で互いにアクセスすることを許可された中継サーバ1同士を対応付けて記憶した情報を格納する。接続状況通知受信部としての制御部は、中継サーバ1間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する中継サーバ1から受信する。通信管理情報データベース515は、制御部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する中継サーバ1と、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する。通信管理情報送信部としての制御部は、ある中継サーバ1から通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の中継サーバ1とのアクセスを許可している中継サーバ1に関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の中継サーバ1に送信する。
【0124】
これにより、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバ1に分散させることなく管理機能付き中継サーバ(コールセンターサーバR1)で一元管理することができる。これにより、ヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバからのアクセスを許可している客先サーバR3に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。従って、通信管理情報を取得したヘルプ元サーバR4においては、どの派遣先サーバとどの客先サーバとが通信を行っているのかを把握することができる。
【0125】
また、本実施形態において、前記のコールセンターサーバの制御部は、セッション確立要求元通知部として機能することもできる。このセッション確立要求元通知部としての制御部は、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にルーティングセッションが確立されている場合であって、ヘルプ元サーバR4が派遣先サーバR2及び客先サーバR3に対してエスカレーションを要求した場合に、当該ヘルプ元サーバR4からのエスカレーション要求を受信し、派遣先サーバR2及び客先サーバR3に対してエスカレーション要求元であるヘルプ元サーバR4を通知する。
【0126】
これにより、ルーティングセッションが確立している派遣先サーバR2と客先サーバR3に対して、更にヘルプ元サーバR4が接続しようとしているということを予め通知することができる。従って、先に確立されているルーティングセッションを構成している派遣先サーバR2と客先サーバR3においては、新たな接続の要求を適切に処理することができる。
【0127】
また、本実施形態において、派遣先サーバとしてのR2,R4は、接続状況通知部、通信管理情報要求部及びセッション確立要求部として機能する制御部を備える。接続状況通知部としての制御部は、他の中継サーバ1との間でデータ通信セッションを確立したときに、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、コールセンターサーバR1に対して送信し、コールセンターサーバR1に通信管理情報を記録させる。通信管理情報要求部としての制御部は、コールセンターサーバR1に対して前記通信管理情報を要求する。セッション確立要求部としての制御部は、コールセンターサーバR1から前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報に記録された何れかの客先サーバ又は派遣先サーバR2を相手とするセッション確立要求を、コールセンターサーバR1に対して送信することが可能である。
【0128】
即ち、コールセンターサーバR1において通信管理情報が一元管理されているので、派遣先サーバとしてのヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバR4からのアクセスが許可されている客先サーバR3に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。そして、ヘルプ元サーバR4においては、通信管理情報を受信した後で、当該通信管理情報に記載された客先サーバR3へ及び派遣先サーバR2へのセッション確立要求(エスカレーション要求)を行う。従って、ヘルパーにおいては、前記通信管理情報の内容に基づいて、エスカレーションを行う客先サーバR3及び派遣先サーバR2を選択することができる。
【0129】
また、本実施形態のヘルプ元サーバR4は、前記通信管理情報に基づいて、ルーティングセッションを確立している派遣先サーバR2と客先サーバR3が特定された場合、派遣先サーバR2及び客先サーバR3へのエスカレーションを行う前に、派遣先サーバR2に対してメッセージ通信を行うことが可能である。
【0130】
これにより、客先サーバR3の遠隔保守を行っている派遣先サーバR2に対して、当該保守作業の進行状況をメッセージ通信で問い合わせ、当該問い合わせに対する返答結果に基づいて当該保守作業へのヘルプが必要か否かを判断したうえで、ヘルプが必要な場合にはエスカレーションを行う、というように、遠隔保守作業への能動的な参加が可能となる。
【0131】
また、本実施形態の中継通信システムは、管理機能付き中継サーバとしてのコールセンターサーバR1と、コールセンターサーバR1の管理の対象となる派遣先サーバR2、客先サーバR3、ヘルプ元サーバR4を備えている。
【0132】
この中継通信システムにおいては、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバ1に分散させることなくコールセンターサーバで一元管理することができる。これにより、ヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバR4からのアクセスを許可している客先サーバR3に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。
【0133】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0134】
上記の説明で、エスカレーションを行うヘルプ元サーバR4は、派遣先サーバR2と客先サーバR3の両方との間でルーティングセッションを確立しているが、何れか一方のみでも良い。また、ヘルプ元サーバR4からエスカレーション要求があったとき(シーケンス番号8)、コールセンターサーバR1は、派遣先サーバR2と客先サーバR3の両方に接続通知を行っているが、上記のように何れか一方にのみ接続する場合は当該接続先にのみ通知すれば良い。
【0135】
上記クライアント端末情報、中継サーバ情報、中継グループ情報、ルーティンググループ情報等は、図面を参照して説明する際にXML形式のデータとして説明したが、上記各情報を格納する形式はこれに限定されず、適宜の形式で各情報を格納することができる。
【符号の説明】
【0136】
R1 コールセンターサーバ(管理機能付き中継サーバ)
R2 派遣先サーバ(管理対象中継サーバ)
R3 客先サーバ(管理対象中継サーバ)
R4 ヘルプ元サーバ(管理対象中継サーバ)
503 制御部
513 アクセス許可情報データベース(アクセス許可情報格納部)
515 通信管理情報データベース(通信管理情報格納部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、主要には、異なるLAN(Local Area Network)に接続されている端末間の通信を可能とする中継サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、仮想プライベートネットワーク(Virtual Private Network、VPN)と呼ばれる通信システムが知られている。このVPNは、例えば、複数のLANに接続されたクライアント端末同士でインターネットを介して通信を行い、あるクライアント端末を遠隔保守する用途に用いられている。前記VPNを利用すれば、保守対象のクライアント端末は、遠隔地にある他のLANに繋がった機器上からリモートメンテナンス等を受けることができる。
【0003】
特許文献1は、この種のネットワークを介した管理システムを開示する。この管理システムは、ビルオーナ、設備保守会社、及び電気設備メーカーに跨る形で構築されている。ビルオーナは、自己が保有するビルに、電気設備及びこれを制御するための運転制御管理装置を設置している。この運転制御管理装置は、インターネット等のネットワークを介してアクセス可能に構成されている。設備保守会社は、ビルオーナから電気設備の管理を委託され、運転制御管理装置にアクセスする許可を電気設備メーカーから得ている。従って、設備保守会社は、インターネット等のネットワークを介して遠隔地から電気設備を管理することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−223521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、客先に発生したトラブルに対して、上記のような通信システムを介した遠隔保守で対応する場合において、保守担当者がトラブルに対応できない場合、上位の管理者に対応を引き継ぐということが行われている(いわゆるエスカレーション)。
【0006】
このようなエスカレーションは、一般的に、保守担当者からのヘルプ要求に応じて行われる。逆に言えば、上位の管理者はエスカレーションに関して受け身の状態であり、当該上位の管理者側から積極的にエスカレーションの要求を出すということはあまり行われていない。
【0007】
この理由として、従来の通信システムを用いたリモートメンテナンスサービスにおいては、どの保守担当者がどの客先との間でどのような対応を行っているのかを、上位の管理者側で正確に把握することが困難であるということが考えられる。特に、上位の管理者と保守担当者が異なるサービス拠点に所属している場合、上位の管理者側で保守担当者の作業状況を正確に把握するのは一層困難である。
【0008】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、中継サーバ間の接続状況を、他の中継サーバが容易に把握することが可能な中継通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0009】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0010】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の中継サーバが提供される。即ち、この中継サーバは、アクセス許可情報格納部と、接続状況通知受信部と、通信管理情報格納部と、通信管理情報送信部と、を備えた管理機能付き中継サーバである。前記アクセス許可情報格納部は、複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納する。前記接続状況通知受信部は、前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する。前記通信管理情報格納部は、前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する。前記通信管理情報送信部は、ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する。
【0011】
これにより、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバに分散させることなく管理機能付き中継サーバで一元管理することができる。これにより、管理機能付き中継サーバの管理対象となる管理対象中継サーバは、当該管理対象中継サーバからのアクセスを許可している他の管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、管理機能付き中継サーバと通信を行うだけで取得することができる。従って、通信管理情報を取得した管理対象中継サーバにおいては、どの管理対象中継サーバが現在通信を行っているのかを容易に把握することができる。
【0012】
前記の中継サーバは、以下のように構成されることが好ましい。即ち、この中継サーバは、セッション確立要求元通知部を備える。このセッション確立要求元通知部は、管理対象中継サーバ間で第1データ通信セッションが確立されている場合であって、当該第1データ通信セッションを構成していない管理対象中継サーバが、前記第1データ通信セッションを構成している何れかの管理対象中継サーバを相手として第2データ通信セッションを確立しようとした場合に、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバからのセッション確立要求を受信し、前記第1データ通信セッションを構成している管理対象中継サーバのうち少なくとも何れか1つに対して、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバを通知する。
【0013】
これにより、データ通信セッションが確立している中継サーバに対して、更に他の中継サーバが接続しようとしているということを予め通知することができる。従って、先に確立されているデータ通信セッションを構成している中継サーバにおいては、新たな接続の要求を適切に処理することができる。
【0014】
本発明の第2の観点によれば、以下の構成の中継サーバが提供される。即ち、この中継サーバは、接続状況通知部と、通信管理情報要求部と、セッション確立要求部と、を備える。前記接続状況通知部は、他の中継サーバとの間でデータ通信セッションを確立したときに、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、中継サーバ同士の通信を管理する管理機能付き中継サーバに対して送信し、これにより前記管理機能付き中継サーバに通信管理情報を記録させる。前記通信管理情報要求部は、前記管理機能付き中継サーバに対して前記通信管理情報を要求する。前記セッション確立要求部は、前記管理機能付き中継サーバから前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報に記録された何れかの中継サーバを相手とするセッション確立要求を、前記管理機能付き中継サーバに対して送信することが可能である。
【0015】
即ち、管理機能付き中継サーバにおいて通信管理情報が一元管理されているので、本発明の中継サーバは、当該中継サーバからのアクセスが許可されている中継サーバに関する通信管理情報を、通信管理機能付き中継サーバと通信を行うだけで取得することができる。そして、本発明の中継サーバにおいては、通信管理情報を受信した後で、当該通信管理情報に記載された他の中継サーバへのセッション確立要求を行うことができる。従って、例えば、セッションの確立を要求する相手の中継サーバを前記通信管理情報の内容に基づいて選択することができる。
【0016】
前記の中継サーバにおいては、以下のように構成されることが好ましい。即ち、前記通信管理情報に基づいて、他の中継サーバとの間で第1データ通信セッションを確立している中継サーバが特定された場合、前記第1データ通信セッションを確立済の中継サーバとの間で第2データ通信セッションを確立する前に、当該第1データ通信セッションを構成する中継サーバの何れかに対してメッセージ通信を行うことが可能である。
【0017】
これにより、他の中継サーバとの間でデータ通信セッションを確立している中継サーバに対して、メッセージ通信によって現在の状況を問い合わせ、その返答結果に応じて、新たなデータ通信セッションを確立するか否かを判断することができる。例えば、中継サーバ間のデータ通信セッションが遠隔保守に用いられているものである場合、当該保守作業の進行状況を上記メッセージ通信で問い合わせ、それに対する返答結果に基づいて当該保守作業へのヘルプが必要か否かを判断できる。そして、ヘルプが必要であると判断した場合には、新たにデータ通信セッションを確立して前記保守作業に参加する、というように、遠隔保守作業への能動的な参加が可能となる。
【0018】
本発明の第3の観点によれば、以下の構成の中継通信システムが提供される。即ち、この中継通信システムは、管理機能付き中継サーバと、上記管理機能付き中継サーバの管理対象となる複数の管理対象中継サーバと、を備える。前記管理機能付き中継サーバは、アクセス許可情報格納部と、接続状況通知受信部と、通信管理情報格納部と、通信管理情報送信部と、を備えた管理機能付き中継サーバである。前記アクセス許可情報格納部は、複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納する。前記接続状況通知受信部は、前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する。前記通信管理情報格納部は、前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する。前記通信管理情報送信部は、ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する。
【0019】
この中継通信システムにおいては、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバに分散させることなく管理機能付き中継サーバで一元管理することができる。これにより、管理機能付き中継サーバの管理対象となる管理対象中継サーバは、当該管理対象中継サーバからのアクセスを許可している他の管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、管理機能付き中継サーバと通信を行うだけで取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図。
【図2】外部サーバの機能ブロック図。
【図3】コールセンターサーバの機能ブロック図。
【図4】クライアント端末情報の内容を示す図。
【図5】中継サーバ情報の内容を示す図。
【図6】中継グループ情報の内容を示す図。
【図7】アクセス許可情報データベースの内容を示した表。
【図8】通信管理情報データベースの内容を示した表。
【図9】ルーティング処理を説明する説明図。
【図10】LAN検索結果情報の内容を示す図。
【図11】経路探索結果情報の内容を示す図。
【図12】ルーティンググループ情報の内容を示す図。
【図13】通信処理を示すシーケンス図。
【図14】通信処理を示すシーケンス図。
【図15】通信処理を示すシーケンス図。
【図16】通信処理を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る中継通信システムの全体構成を示す説明図である。
【0022】
本実施形態の中継通信システムは、装置又は機械の遠隔保守を目的として構築された遠隔保守システムであり、コールセンターと、前記装置又は機械の設置先(客先工場)と、サービスマン派遣先と、の3拠点を、インターネットを介して接続するものである。
【0023】
なお、コールセンターとは、客先工場に導入した装置又は機械の保守を行うためのサービス拠点であり、例えば前記装置又は機械の製造元メーカーに設置される。サービスマン派遣先(図1で示すところの第1サービスマン派遣先及び第2サービスマン派遣先)はサービスマンが派遣される場所であり、遠隔保守サービスを提供するための拠点としてコールセンターとは別に設置される。本実施形態の中継通信システムは、客先工場の装置又は機械を、サービスマン派遣先に待機しているサービスマンがインターネットを介して遠隔保守する、といった状況を想定して構築されている。
【0024】
図1に示すように、中継通信システムは、WANに接続された複数のLAN91〜94で構成されている。WAN(Wide Area Network)は、異なるLANを相互に接続するネットワークである。本実施形態ではWANとしてインターネットが使用されている。LAN(Local Area Network)は、限定された場所で構築されるネットワークである。LANは複数存在し、互いに物理的に離れた場所に構築されている。
【0025】
LAN(コールセンターLAN)91はコールセンターに構築され、LAN(派遣先LAN)92は第1サービスマン派遣先に構築され、LAN(客先LAN)93は客先工場に構築され、LAN(ヘルプ元LAN)94は第2サービスマン派遣先に構築されている。これら4つのLAN91,92,93,94は、グローバルなネットワークであるインターネットにそれぞれ接続されている。
【0026】
また、LAN91〜94には、それぞれ中継サーバ1が設置されている。以下の説明において、各LANに配置される中継サーバ1を区別するために、LAN91に配置された中継サーバ1のことをコールセンターサーバ(relay server 1)R1と呼ぶことがある。また、LAN92に配置された中継サーバ1のことを派遣先サーバ(relay server 2)R2と呼び、LAN93に配置された中継サーバ1のことを客先サーバ(relay server 3)R3と呼ぶことがある。また、LAN94に配置された中継サーバ1は、サービスマン派遣先に配置されているという意味で派遣先サーバと呼ぶことができるが、この中継サーバ1のことを特にヘルプ元サーバ(relay server 4)R4と呼ぶことがある。
【0027】
コールセンターサーバR1には、中継通信を行うための各種の設定等を行うクライアント端末5がLAN91を介して接続されている。派遣先サーバR2及びヘルプ元サーバR4には、サービスマンが遠隔保守を行う際に直接操作するクライアント端末5がLAN92又はLAN94を介して接続されている。
【0028】
客先工場には、サービスマンが遠隔保守を行う対象であるクライアント端末5が配置されている。この客先工場のクライアント端末5そのものが製造元メーカーが製造した装置又は機械であることもあれば、客先工場のクライアント端末5は装置又は機械を制御するための制御端末に過ぎない場合もある。何れの場合であっても、サービスマンは、この客先工場のクライアント端末5にアクセスすることにより、遠隔保守サービスを提供する。客先工場に配置されるクライアント端末5は、LAN93を介して客先サーバR3に接続されている。
【0029】
それぞれのLAN91〜94に接続されるクライアント端末5はユーザが直接操作できる端末であり、例えばユーザによって日々の業務に使用されるパーソナルコンピュータ(PC)等が該当する。従って、LAN内には通常多数のクライアント端末5が存在する。各クライアント端末5には、同一のLANの中で一意に管理されたプライベートIPアドレスが付与されている。
【0030】
なお、図1に図示されているコールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4以外にも、物理的に離れた場所にLANが構築されており、当該LANに中継サーバ1が配置されている。これらの中継サーバ1は、外部サーバ2にインターネットを介して複数接続されている。
【0031】
より具体的には、図1には2つのサービスマン派遣先(第1サービスマン派遣先及び第2サービスマン派遣先)が示されているが、これ以外にも図示しない派遣先が幾つか存在する。そして、図示されない派遣先においてもそれぞれLANが構築されるとともに、当該LANにも、派遣先サーバとしての中継サーバ1が(図1のLAN92及びLAN94の場合と同様に)接続される。また、図1で示す客先工場にはLAN93が設置されているが、これ以外にも図示しない客先工場(保守対象の機械又は装置が設置されている客先)が存在する。そして、図示されない客先工場にもそれぞれLANが設置されるとともに、当該LANにも、客先サーバとしての中継サーバ1が(図1のLAN93の場合と同様に)接続されている。
【0032】
そして、本実施形態においては、客先サーバ(中継サーバ1)ごとに複数の派遣先サーバとしての中継サーバ1が設定されている。なお、以下の説明において、「派遣先サーバとしての中継サーバ1」を単に「派遣先サーバ」と称し、「客先サーバとしての中継サーバ1」を単に「客先サーバ」と称することがある。
【0033】
次に、外部サーバ2の構成について説明する。この外部サーバ2は、各LANに配置された中継サーバ1間での通信に用いられる装置であり、インターネット上に設置されている。本実施形態の外部サーバ2は、SIP(Session Initiaion Protocol)サーバとしての機能を備えている。具体的には、外部サーバ2は、SIPメソッド及びレスポンス等を中継するSIPプロキシサーバとしての機能と、中継サーバ1のアカウントを登録するSIPレジストラサーバとしての機能を備える。
【0034】
外部サーバ2は、図2に示すように、WANインタフェース201と、制御部202と、中継サーバアカウント情報データベース203と、を主要な構成として備えている。
【0035】
WANインタフェース201は、グローバルIPアドレスを使用して、インターネットに接続された中継サーバ1等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0036】
中継サーバアカウント情報データベース203は、中継通信システムを構成する中継サーバ1のアカウントをグローバルIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。本実施形態の中継サーバアカウント情報データベース203には、コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4のアカウントとグローバルIPアドレスとが、対応付けて中継サーバ1ごとにそれぞれ登録されている。
【0037】
制御部202は、WANインタフェース201を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP又はSIP等のプロトコルに従った通信処理を制御する。この制御部202は、例えば、それぞれの中継サーバ1から当該中継サーバ1のアカウントに関する情報を受信し、中継サーバアカウント情報データベース203に登録する処理を行う。また、中継サーバ1から送信された様々なSIPメソッド又はレスポンス等の通信データを他の中継サーバ1に中継する処理等を行う。
【0038】
次に、LAN91〜94に配置される中継サーバ1の構成について説明する。LAN91〜94に配置される各中継サーバ1は、各LANに配置されているクライアント端末5に通信可能に接続されるとともに、インターネットにも接続されている。そして、各中継サーバ1(即ち、コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4)には、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスの両方が付与されている。これにより、各中継サーバ1は、前記外部サーバ2を介して相互に中継通信を行うことが可能になっている。中継サーバ1はSIPレジストラサーバとしての機能を備えており、各中継サーバ1と各クライアント端末5との間の通信はSIPを使用して行われる。なお、各中継サーバ1と各クライアント端末5との間の通信はSIPを用いたものに限定される訳ではなく、TCP/IP、UDP等の適宜のプロトコルに従った通信を行うことも可能である。
【0039】
図3を参照して、LAN91に配置されるコールセンターサーバR1を例にして中継サーバ1について説明する。図3はコールセンターサーバR1の機能ブロック図である。
【0040】
コールセンターサーバR1は、図3に示すように、LANインタフェース501と、WANインタフェース502と、制御部503と、クライアント端末情報データベース511と、中継サーバ情報データベース512と、中継グループ情報データベース521と、ルーティンググループ情報データベース522と、アクセス許可情報データベース513と、通信管理情報データベース515と、を主要な構成要素として備えている。
【0041】
LANインタフェース501は、自装置と同一のLANに接続されたクライアント端末5との通信を、プライベートIPアドレスを使用して行うインタフェースである。
【0042】
WANインタフェース502は、グローバルIPアドレスを使用して、インターネットに接続された外部サーバ2等の各装置と通信を行うインタフェースである。
【0043】
制御部503は、LANインタフェース501及びWANインタフェース502を介して行う様々な通信を制御する処理部であり、TCP/IP、UDP及びSIP等のプロトコルに従った様々な通信処理を制御する。
【0044】
クライアント端末情報データベース511は、LAN91を介してコールセンターサーバR1とローカルに接続しているクライアント端末5のアカウント情報をプライベートIPアドレスと対応付けて管理するデータベースである。
【0045】
クライアント端末情報データベース511に格納されるクライアント端末情報の記憶内容例を図4に示す。図4に示すように、クライアント端末情報においては、LAN91に接続しているクライアント端末5ごとに、当該クライアント端末5に関する属性情報を含むnodeタグが記述される。クライアント端末5に関する属性情報としては、クライアント端末5のプライベートIPアドレス(「addr」)、識別情報(「id」)、名称(「name」)及びポート情報(「port」)等がある。なお、図4に示す記憶内容例において、client11及びclient12以外のクライアント端末5の記述を省略したが、実際には、LAN91を介して中継サーバ1に接続している他のクライアント端末5(例えば、client13)に関する属性情報についても記述されている。
【0046】
中継サーバ情報データベース512は、中継通信を行う中継サーバ1とそれぞれの中継サーバ1に接続されるクライアント端末5の情報を管理するデータベースである。
【0047】
中継サーバ情報データベース512に格納される中継サーバ情報の記憶内容例を図5に示す。図5に示す中継サーバ情報は、中継通信を行う中継サーバ1(コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2及び客先サーバR3等)のそれぞれで作成されたものを合成したものである。この中継サーバ情報は、コールセンターサーバR1が、中継通信を行う他の中継サーバ1から受信したそれぞれの中継サーバ情報に、コールセンターサーバR1自身で作成した中継サーバ情報を合成して作成したものである。
【0048】
図5に示す中継サーバ情報においては、中継サーバ1ごとに記述されるsiteタグと、前記siteタグを親要素とする子要素のnodeタグと、が記述されている。siteタグには中継サーバ1に関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、中継サーバ1の識別情報(「id」)、中継サーバ1の名称(「name」)及び起動情報(「stat」)等がある。siteタグの子要素であるnodeタグには、中継サーバ1にログオンするクライアント端末5に関する属性情報が含まれている。クライアント端末5に関する属性情報としては、当該クライアント端末5の識別情報(「id」)及びクライアント端末5の名称(「name」)等がある。なお、図5の記憶内容例において、relayserver1及びrelayserver2以外の中継サーバ1の記述を省略したが、実際には、外部サーバ2を介して接続される他の中継サーバ1(例えば、relayserver3)に関する属性情報についても記述されている。また、図5においては、図4と同様に、クライアント端末5に関する記述を一部省略している。
【0049】
中継グループ情報データベース521は、中継通信を行う中継グループ情報を管理するデータベースである。
【0050】
中継グループ情報データベース521に格納される中継グループ情報の記憶内容例を図6に示す。図6に示すように、中継グループ情報においては、groupタグと、このグループタグを親要素とする子要素のsiteタグと、が記述されている。groupタグには中継グループに関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、中継グループの識別情報(「id」)及び中継グループの名称(「name」)等がある。siteタグには、中継グループに含まれる中継サーバ1に関する属性情報が含まれており、この属性情報としては、当該中継サーバ1の識別情報(「id」)等がある。また、中継グループは追加作成が可能であり、その場合、新しい中継グループには、他の中継グループと異なる一意の識別情報が付与される。これにより、中継グループ内だけでデータのやり取りを行う等の設定が可能になっている。
【0051】
ルーティンググループ情報データベース522は、中継通信システムを利用したルーティング処理を行うために用いられるルーティンググループ情報を管理するデータベースである。なお、ルーティンググループ情報及びこのルーティンググループ情報を用いたルーティング処理の詳細については後述する。
【0052】
なお、図4で示したクライアント端末情報の記憶内容例、図5で示した中継サーバ情報の記憶内容例及び図6で示した中継グループ情報の記憶内容例はあくまで一例であり、適宜の属性情報及び要素情報を追加又は削除できることは勿論である。
【0053】
アクセス許可情報データベース(アクセス許可情報格納部)513は、コールセンターサーバR1以外で通信が許可されている中継サーバの識別情報等を客先サーバごとに管理するデータベースである。ここでいう客先サーバは、図1に図示される客先サーバR3を含めた中継サーバ1を意味している。このアクセス許可情報データベース513は、例えば、どのサービスマン派遣先がどの客先工場の遠隔保守を担当するかが予め決まっている場合、担当のサービスマン派遣先のみが遠隔保守を実施できるように、客先サーバへのアクセス制限を行うためのものである。
【0054】
このアクセス許可情報データベース513について、図7を参照して具体的に説明する。図7は、アクセス許可情報データベース513の内容を示した表である。
【0055】
また、前述のように、本実施形態のコールセンターサーバR1は、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4に対してだけでなく、多数の中継サーバ1と接続されている。図7においては、これの中継サーバ1のうち、客先サーバを、relayserver3,31,32,33,34と表し、派遣先サーバを、relayserver2,4,5,6と表している。
【0056】
図7の表において、targetの列には客先サーバが記述されている。一方、permitの列には派遣先サーバが記述されている。そして、この表では、ある客先サーバに対して通信が許可されている派遣先サーバが、当該客先サーバに対応付けられた形で記述されている。例えば、relayserver3は、relayserver2,4,6からの通信を許可している。
【0057】
前記制御部503は、例えば、派遣先サーバR2から接続要求があった場合は、アクセス許可情報データベース513に登録されている情報に基づいてアクセス許可リストを作成し、当該派遣先サーバR2に送信する。このアクセス許可リストは、派遣先サーバR2からの通信が許可されている中継サーバ1を示すリストである。
【0058】
なお、制御部503は、アクセス許可リストを作成せずに、アクセス許可情報データベース513に登録されている情報を派遣先サーバR2に送信しても良い。派遣先サーバR2は、この情報に対して適宜の処理を行うことで、自らが通信可能な客先サーバを把握することができる。
【0059】
通信管理情報データベース(通信管理情報格納部)515は、客先サーバと派遣先サーバの接続時間及び接続状況等を管理するデータベースである。
【0060】
通信管理情報データベース515について、図8を参照して具体的に説明する。図8は、通信管理情報データベース515の内容を示した表である。図8の表において、それぞれの行が、中継サーバ1間に確立されたメディアセッションを示している。activeの列にはアクセスを要求した側の中継サーバ1が、passiveの列にはアクセスを要求された側の中継サーバ1が、それぞれ記載されている。また、start−timeの列にはメディアセッションの開始時刻が、end−timeの列にはメディアセッションの終了時刻が記載されている。なお、メディアセッションが継続中の場合、end−timeの列には「connecting」と記録されている。また、遠隔保守サービスのエスカレーションが行われた場合、遠隔保守を受け継いだ派遣先サーバがescalationの列に記載されている。このように、通信管理情報データベース515には、メディアセッションを確立した中継サーバ1を特定する情報と、当該メディアセッションの接続状況(開始時刻、終了時刻等)と、が関連付けられた通信管理情報が記録されている。
【0061】
派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4は、LANインタフェースと、WANインタフェースと、制御部と、を備えている。派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4の構成は、図3に示すコールセンターサーバR1の構成からアクセス許可情報データベース513及び通信管理情報データベース515を省略した構成にほぼ相当しているので、各部の構成の説明は省略する。
【0062】
次に、本実施形態の中継通信システムにおけるパケットのルーティング制御について説明する。本実施形態においては、遠隔地のLANに属するクライアント端末5同士で、WANを意識することなく相互に通信可能とするために、アプリケーション層でパケットのルーティング処理を行うことが可能に構成されている。以下、図9を参照して説明する。なお、以下の説明において、各クライアント端末5を区別するため、符号の末尾にアルファベットを付して、クライアント端末5a、クライアント端末5b・・・のように表示する場合がある。
【0063】
以下の説明では、第1サービスマン派遣先のサービスマンが客先工場のクライアント端末5を遠隔保守する場合を想定し、派遣先LAN92と客先LAN93との間でパケットのルーティングを行う場合について説明する。なお、以下のルーティングに関する説明において、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間には、既にメディアセッションが確立されているものとする。派遣先サーバR2と客先サーバR3との間でメディアセッションを確立するための処理については、後述する。
【0064】
本実施形態の中継通信システムにおいて、WANを介して互いに接続されたLAN91〜94には、それぞれプライベートIPアドレスが割り振られている。なお、各プライベートアドレスは、中継通信システムの中で一意に決まるように管理されている。例として図9に示すように、派遣先LAN92のアドレスは「172.16.1.0/24」、客先LAN93のアドレスは「172.30.2.0/24」である場合を想定して説明する。
【0065】
本実施形態の中継通信システムにおいて、前記アプリケーション層でのパケットのルーティングを実現するため、ルーティングの対象となるLANには、ルーティング装置として機能できる中継サーバ1又はクライアント端末5が少なくとも1つ用意されている。例えば本実施形態の場合、派遣先LAN92内では派遣先サーバR2が、客先LAN93内ではクライアント端末5dが、それぞれルーティング装置として機能できるものとする。
【0066】
本実施形態の中継通信システムにおいて、パケットのルーティングを行う際には、まず、ルーティング可能なLANの検索を行う。具体的には、何れかのクライアント端末5から中継サーバ1に対して、ルーティング可能LAN検索コマンド(以下、単にLAN検索コマンド)を送信する。以下では、具体的に、クライアント端末5bが、派遣先サーバR2に対してルーティング可能LAN検索コマンドを送信したとして説明する。
【0067】
ここで、「ルーティング可能なLAN」とは、ルーティング装置としての中継サーバ1又はクライアント端末5を備えているLANのことである。なお、図9においては、派遣先LAN92及び客先LAN93は1つずつとして説明しているが、実際には、各中継サーバ1には複数のLANが接続され得るし、それぞれのLANが必ずしもルーティング可能とは限らない。そこで、このようにルーティング可能なLANの検索が必要となる。
【0068】
LAN検索コマンドを受信した派遣先サーバR2は、中継グループ情報を参照することにより、中継グループを構成する他の中継サーバ1(コールセンターサーバR1、客先サーバR3等)に対してLAN検索コマンドを転送する。そして、LAN検索コマンドを受信した各中継サーバ1(コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3等)は、クライアント端末情報データベース511に登録された各クライアント端末5と通信を行い、自身が接続されているLANの中にルーティング装置として機能できるクライアント端末5が存在するか否かを調べる。ルーティング装置としての機能を備えたクライアント端末5が見つかった場合、当該クライアント端末5を備えるLANはルーティング可能なLANである。また、中継サーバ1自身がルーティング装置として機能できる場合も、当該中継サーバ1を備えるLANはルーティング可能なLANである。このような場合、中継サーバ1は、当該LANはルーティング可能なLANである旨と、当該LANのプライベートIPアドレスと、を関連付けたLAN検索応答情報を生成する。
【0069】
続いて、コールセンターサーバR1、客先サーバR3等は、生成したLAN検索応答情報を派遣先サーバR2へ送信する。派遣先サーバR2においては、自身が生成したLAN検索応答情報と、各中継サーバ1から受信したLAN検索応答情報と、を合成した合成LAN検索応答情報を生成する。派遣先サーバR2は、当該合成LAN検索応答情報を、クライアント端末5bに転送する。クライアント端末5bには、この合成LAN検索応答情報に基づいて、LAN検索結果情報が生成されて記憶される。
【0070】
クライアント端末5bに記憶されるLAN検索結果情報の例を、図10に示す。LAN検索結果情報においては、routing_networkタグを親要素とする子要素のnetworkタグが記述されている。各networkタグには、ルーティング可能なLANのプライベートIPアドレス情報(「addr」)が記載されている。このように、LAN検索コマンドの送信元のクライアント端末において、中継通信システムの中でルーティング可能なLANのプライベートIPアドレスを特定することができる。例えば本実施形態では、図10に示すように、派遣先LAN92(addr=“172.16.1.0/24”)及び客先LAN93(addr=“172.30.2.0/24”)が、ルーティング可能なLANとして特定される。
【0071】
次に、ルーティング可能なLANを特定したクライアント端末5bにおいて、ルーティング経路の探索(より詳細に言うと、ルーティングポイントの特定)が行われる。当該クライアント端末5bは、ルーティング可能なLANの中からルーティング対象LANを指定したうえで、ルーティング経路探索コマンド(以下、単に経路探索コマンド)を派遣先サーバR2に送信する。以下、ルーティング対象LANとして、派遣先LAN92と客先LAN93が指定された場合について説明する。
【0072】
経路探索コマンドを受信した派遣先サーバR2は、中継グループ情報を参照することにより、中継グループを構成する他の中継サーバ1(コールセンターサーバR1、客先サーバR3等)に対して経路探索コマンドを転送する。
【0073】
そして、経路探索コマンドを受信した各中継サーバ1(コールセンターサーバR1、派遣先サーバR2、客先サーバR3等)は、クライアント端末情報データベース511に登録された各クライアント端末5と通信することにより、自身が接続されているLANの中に、ルーティング対象LANとして指定されたLANのルーティング装置として機能できるクライアント端末5が存在するか否かを調べる。
【0074】
例えば本実施形態の場合、クライアント端末5dは、ルーティング対象LANとして指定されたLAN(客先LAN93)のルーティング装置として機能できる。このようにルーティング対象LANのルーティング装置として機能できるクライアント端末5dは、指定されたLANの間(派遣先LAN92と客先LAN93の間)でパケットをルーティングする際のルーティングポイントとして機能することができる。ルーティングポイントとして機能できるクライアント端末5dが見つかった場合、客先サーバR3は、当該客先LAN93のプライベートIPアドレスと、当該クライアント端末5dの識別情報と、を関連付けた経路探索応答情報を生成する。
【0075】
一方、ルーティング対象LANとして指定されたLANのルーティング装置として中継サーバ1自身が機能できる場合、当該中継サーバ1は、自身がルーティングポイントとして機能できる。例えば本実施形態では、派遣先サーバR2は、ルーティング対象LANとして指定されたLAN(派遣先LAN92)のルーティング装置として機能できる。このような場合、当該派遣先サーバR2は、当該派遣先LAN92のプライベートIPアドレスと、自身の識別情報と、を関連付けた経路探索応答情報を生成する。
【0076】
続いて、客先サーバR3は、生成した経路探索応答情報を派遣先サーバR2へ送信する。派遣先サーバR2においては、客先サーバR3から受信した経路探索応答情報と、自身が生成した経路探索応答情報と、を合成した合成経路探索応答情報を生成する。派遣先サーバR2は、当該合成経路探索応答情報を、クライアント端末5bに転送する。クライアント端末5bには、この合成経路探索応答情報に基づいて、経路探索結果情報が生成されて記憶される。
【0077】
クライアント端末5bに記憶される経路探索結果情報の例を、図11に示す。経路探索結果情報においては、routing_networkタグを親要素とする子要素のnetworkタグが記述されている。各networkタグには、ルーティング可能なLANのプライベートIPアドレス情報(「addr」)と、ルーティングポイントとして機能できる装置の識別情報(「router」)と、が関連付けられて記載されている。このように、ルーティング対象LANとして指定したLANの間でのルーティング経路の探索(即ちルーティングポイントの特定)を実現することができる。
【0078】
次に、ルーティングセッションの確立を行う。ルーティングセッションとは、本実施形態の中継通信システムでパケットのルーティング制御に用いられるメディアセッションである。
【0079】
ルーティングセッションを確立するため、クライアント端末5bは、ルーティングセッションで用いるルーティングポイントを指定する情報を、派遣先サーバR2へ送信する。派遣先サーバR2においては、上記経路探索結果情報に基づいて、ルーティンググループ情報が生成される。ルーティンググループ情報は、中継通信システムを利用したルーティング制御を実行するためのルーティング設定情報であり、ルーティンググループ情報データベース522に格納される。
【0080】
ルーティンググループ情報データベース522に格納されるルーティンググループ情報の例を、図12に示す。ルーティンググループ情報において、networkタグには、ルーティング対象LANのローカルIPアドレスと、ルーティングポイントとして使用する装置の識別情報と、が関連付けられて記述されている。routing_sessionタグを親要素とする子要素のsessionタグには、当該ルーティングセッションの始点(「start」)と終点(「end」)が記述されている。
【0081】
続いて、派遣先サーバR2は、ルーティンググループ情報を、次のルーティングポイントであるクライアント端末5dに転送する。これにより、各ルーティングポイントにおいて、ルーティング対象LANの間のルーティング経路に関する情報が共有される。
【0082】
各ルーティングポイントが前記ルーティンググループ情報を受信した後、当該ルーティングポイントの間で、複数のメディアセッションからなるルーティングセッションが確立される。具体的には、客先サーバR3とクライアント端末5dとの間でメディアセッションが確立される。また前述のように、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間には、既にメディアセッションが確立されている。この2つのメディアセッションにより、ルーティングポイント同士(派遣先サーバR2とクライアント端末5d)を結ぶルーティングセッションが構成される。
【0083】
次に、派遣先LAN92内の端末5aから、客先LAN93内のクライアント端末5fに対して、ルーティングセッションを介してパケットを送信する場合について説明する。この場合、クライアント端末5aは、クライアント端末5fのプライベートIPアドレス(172.30.2.3)を指定したパケットを作成する。続いて、クライアント端末5aは、当該クライアント端末5a自身が属しているLAN(派遣先LAN92)のルーティングポイントである派遣先サーバR2へ、パケットを転送する。
【0084】
ルーティングポイントとしての派遣先サーバR2は、ルーティングの対象となるパケットを受信した場合、宛先のプライベートIPアドレス(172.30.2.3)に基づいて、当該パケットを届けるべきLANを特定する。今回の説明では、パケットの届け先のLANは客先LAN93(プライベートIPアドレスは172.30.2.0/24)となる。次に、派遣先サーバR2は、前記ルーティンググループ情報を参照することにより、客先LAN93との間で有効なルーティングセッションが確立されているか否かを判定する。例えば現在説明中の例では、ルーティンググループ情報を参照することにより、客先LAN93との間に既にルーティングセッションが確立されていることがわかるので、当該ルーティングセッションを用いてパケットの送信を行えば良いことになる。なお、ここでルーティングセッションが確立されていない場合は、ルーティングセッションを介したパケットの送信が不可能であるためエラーとなる。
【0085】
パケットの送信に使用するルーティングセッションを特定した後、ルーティングポイントとしての派遣先サーバR2は、クライアント端末5aから受信したパケットを、ルーティングセッションを介して送り出す。これにより、前記パケットは、次のルーティングポイントであるクライアント端末5dに受信される。
【0086】
次のルーティングポイントであるクライアント端末5dは、宛先として指定されたプライベートIPアドレス(172.30.2.3)に対して、当該パケットを転送する。これにより、クライアント端末5fにパケットが届けられる。なお、逆方向への通信(クライアント端末5fからクライアント端末5aへパケットを送信する場合)も同様に、ルーティングセッションを介してパケットのルーティングを行うことができる。
【0087】
以上で説明したルーティング関係の処理、即ち、ルーティング可能なLANの検索、ルーティング経路の探索の処理などは、アプリケーション層で行われる。このように、本実施形態では、アプリケーション層のルーティングセッションで、ルーティング対象のデータを流すように構成されている。従って、以上で説明したルーティングは、通常のIPルーティングとは異なっている。
【0088】
このようにアプリケーション層でルーティングを行うことにより、WANを意識することなく遠隔地のLAN同士がプライベートIPアドレスを利用して相互に通信できるだけでなく、ルーティング経路等を中継通信システムの構成に応じて柔軟に構築できる。なお、ルーティングセッションを確立するまでもない単発的な情報の送受信を行う場合には、上記のルーティングを行わない通常の方法でパケットを送受信しても良いことは勿論である。
【0089】
本実施形態において、サービスマン派遣先のサービスマンは、以上で説明したルーティングセッションを介して、客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を行うことができる。ところで、上記のようにして確立されたルーティングセッションには、中継サーバ1同士のメディアセッションが含まれている。例えば上記の例では、クライアント端末5aとクライアント端末5fとの間でパケットの送受信を行う際のルーティングセッションには、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションが含まれている。従って、サービスマンは、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に確立されたメディアセッションを介して、遠隔保守を行うと言うことができる。なお、以下の説明においては、サービスマンが遠隔保守を行う場合であっても、ルーティングセッション全体の説明は省略し、派遣先サーバと客先サーバとの間に確立されたメディアセッションの部分のみを説明する場合がある。
【0090】
このように、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にメディアセッションが確立されると、客先サーバR3のクライアント端末5に対して、稼動状況の確認及びソフトウェアの更新等のリモートメンテナンス作業を行うことができる。また、クライアント端末5に不具合が生じた場合は、復旧用のアプリケーションを適用する等の復旧作業を行うこともできる。
【0091】
次に、図13〜図16のシーケンス図を参照して、本実施形態の中継通信システムを用いて遠隔保守を行う際の処理の流れについて説明する。
【0092】
第1サービスマン派遣先のサービスマンが、リモートメンテナンス等の遠隔保守を行う場合は、クライアント端末5を操作し、派遣先サーバR2を介して、コールセンターサーバR1を送信先としたアクセス許可リスト要求を送信する(シーケンス番号1)。
【0093】
このように、本実施形態ではクライアント端末5から各中継サーバ1を介して要求等が送信されることがあるが、以下の説明においては、クライアント端末5を操作する処理の具体的な説明を省略することがある。
【0094】
また、このアクセス許可リスト要求では、送信先のコールセンターサーバR1のアカウントが指定されている。外部サーバ2は、中継サーバアカウント情報データベース203を参照することでコールセンターサーバR1のグローバルIPアドレスを取得し、派遣先サーバR2からの上記要求をコールセンターサーバR1に中継する。
【0095】
以上のように、本実施形態の各中継サーバ1間の通信は外部サーバ2を経由して行われ、以下においても同様である。従って、以下の説明では、外部サーバ2を経由する通信処理の具体的な説明を省略することがある。
【0096】
上記のアクセス許可リスト要求を受信したコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513に基づいて、派遣先サーバR2がアクセス可能な中継サーバを示したアクセス許可リストを作成する。そして、コールセンターサーバR1は、このアクセス許可リストを派遣先サーバR2へ送信する。
【0097】
そして、サービスマンは、このアクセス許可リストに基づいて、自らが通信すべき客先サーバを選択する。本実施形態においては、この接続先の客先サーバとして客先サーバR3が選択されたとする。
【0098】
しかし、前述のとおり、客先サーバR3はコールセンターサーバR1以外からの通信を通常は受け付けていない。この通信を開始するためには、コールセンターサーバR1から客先サーバR3へアクセス元(派遣先サーバR2)が通知される必要がある。そのため、サービスマンは、派遣先サーバR2を介して、アクセス先通知(Accessメソッド)をコールセンターサーバR1に対して送信する(シーケンス番号2)。
【0099】
なお、客先サーバの選択及びアクセス先の通知は、予め設定された方法によって、派遣先サーバR2又はクライアント端末5が自動的に行う構成にしても良い。
【0100】
この通知を受信したコールセンターサーバR1は、客先サーバR3へ、派遣先サーバR2に対するアクセス許可要求(ACCESS_PERMITメソッド)を送信する(シーケンス番号2.1)。
【0101】
このアクセス許可要求を受信した客先サーバR3は、派遣先サーバR2からの通信を受け付ける処理を行うとともに、コールセンターサーバR1に対してOKレスポンスを返す。コールセンターサーバR1は、客先サーバR3からOKレスポンスを受信した後、前記アクセス許可要求に対するOKレスポンスを派遣先サーバR2に対して返す。
【0102】
派遣先サーバR2は、このOKレスポンスを受けると、客先サーバR3に対して接続要求(INVITEメソッド)を送信する(シーケンス番号3)。これに対するOKレスポンスを受信した派遣先サーバR2は、客先サーバR3に対して、INVITEに対する最終レスポンス(ACKメソッド)を送信する(シーケンス番号4)。そして、客先サーバR3が派遣先サーバR2に対してMediaSessionコマンドを送信する。このコマンドによって、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に通信経路(ルーティングセッション、データ通信セッション)が確立される(シーケンス番号5)。
【0103】
通信経路が確立されると、派遣先サーバR2の制御部は、コールセンターサーバR1に対してルーティングセッションの確立を通知する(NOTIFY_ESTABLISHMENTメソッド(接続状況通知)、シーケンス番号5.1)。従って、派遣先サーバR2の制御部は接続状況通知部として機能すると言うことができる。一方、コールセンターサーバR1の制御部は、前記ルーティングセッションの確立通知を受信する。従って、コールセンターサーバR1の制御部は、接続状況通知受信部として機能すると言うことができる。そして、コールセンターサーバR1は、前記ルーティングセッションを構成する中継サーバ(派遣先サーバR2及び客先サーバR3)を特定する情報と、当該ルーティングセッションの開始時刻と、を関連付けて通信管理情報データベース515へ記録する。続いて、コールセンターサーバR1は、ルーティングセッション確立の通知に対するOKレスポンスを派遣先サーバR2に対して返す。
【0104】
次に、シーケンス番号6からシーケンス番号17までの処理については後述することとして、ルーティングセッションの終了(接続の切断)について説明する。
【0105】
遠隔保守の作業が終了した場合、図16に示すように、サービスマンは、セッションを終了させる旨(BYEメソッド)を客先サーバR3に送信する(シーケンス番号18)。これに対して客先サーバR3はOKレスポンスを返し、通信を切断する。OKレスポンスを返されると、接続状況通知部としての派遣先サーバR2の制御部は、客先サーバR3との接続が終了したことをコールセンターサーバR1に通知する(NOTIFY_TERMINATIONメソッド(接続状況通知)、シーケンス番号19)。接続状況通知受信部としてのコールセンターサーバR1の制御部は、前記ルーティングセッションの終了通知を受信する。
【0106】
そして、コールセンターサーバR1は、前記ルーティングセッションを構成していた中継サーバ(派遣先サーバR2及び客先サーバR3)を特定する情報と、当該ルーティングセッションが終了した時刻と、を関連付けて通信管理情報データベース515に記録し、ルーティングセッション終了の通知に対するOKレスポンスを派遣先サーバR2に対して返す。
【0107】
以上で説明した処理により、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間でルーティングセッションを開始又は終了する際には、コールセンターサーバR1の通信管理情報データベース515にログ(通信管理情報)が記憶される。このように、複数の中継サーバ1間の接続状況が、コールセンターサーバR1において一元的に管理されるように構成されている。従って、コールセンターサーバR1は管理機能付き中継サーバであると言うことができる。一方、コールセンターサーバR1以外の中継サーバ(派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4)は、通信管理情報データベース515を備えていないため、管理機能を有していない。従って、派遣先サーバR2、客先サーバR3及びヘルプ元サーバR4は、コールセンターサーバR1による管理の対象となる管理対象中継サーバであると言える。
【0108】
次に、本実施形態で遠隔保守サービスのエスカレーションを行うための構成について説明する。以下の説明において、エスカレーションで遠隔保守に新たに参加するサービスマンのことを、特に「ヘルパー」と呼ぶことがある。
【0109】
前述のように、従来の通信システムを用いて遠隔保守を行う場合は、ヘルパーの方から積極的にエスカレーションの要求を出すことは少なかった。一方、本実施形態の中継通信システムでは、ヘルパーが積極的にエスカレーションを行うことができるように、以下のように構成されている。
【0110】
以下の説明では、第1サービスマン派遣先に所属しているサービスマンが客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を行っているところに、第2サービスマン派遣先に所属しているサービスマンがヘルパーとして参加するという状況を想定して説明する。なお、以下では、シーケンス番号5で派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にルーティングセッションが確立された後の処理について説明する。
【0111】
遠隔保守におけるエスカレーションとは、既に行われている遠隔保守サービスに対してヘルパーが新たに参加するということである。従って、ヘルパーが積極的にエスカレーションを行おうとした場合、どの客先がどのような遠隔保守サービスを受けているかということを当該ヘルパー側で把握する必要がある。そこで、第2サービスマン派遣先のサービスマンは、ヘルパーとして積極的にエスカレーションを行う際には、クライアント端末5を操作して通信管理情報の要求をヘルプ元サーバR4へ送信する。クライアント端末5からの通信管理情報の要求を受けたヘルプ元サーバR4の制御部は、コールセンターサーバR1を送信先とした通信管理情報の要求(REQUEST_CONDITION)を送信する(シーケンス番号6)。従って、ヘルプ元サーバR4の制御部は、通信管理情報要求部として機能すると言える。
【0112】
ヘルプ元サーバR4から通信管理情報の要求を受けたコールセンターサーバR1の制御部は、アクセス許可情報データベース513及び通信管理情報データベース515を参照して、ヘルプ元サーバR4がアクセスできる客先サーバに関する通信管理情報を返信する。例えば、図7に示す内容のアクセス許可情報データベース513を参照した場合、ヘルプ元サーバ(rerayserver4)に関しては、relayserver3,32,33に対するアクセスが許可されていることがわかる。そこで、コールセンターサーバR1の制御部は、通信管理情報データベース515に記録された通信管理情報の中から、relayserver3,32,33に関する通信管理情報を抽出し、ヘルプ元サーバR4に送信する。従って、コールセンターサーバR1の制御部は、通信管理情報送信部として機能すると言える。
【0113】
このように、ヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバR4からアクセスできる客先サーバ(ヘルパーが遠隔保守サービスを提供できる客先サーバ)に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。これは、コールセンターサーバR1において、アクセス許可情報と通信管理情報とを一元管理することにより可能となったものである。また上記の構成では、ヘルプ元サーバR4からのアクセスを許可していない客先サーバ(ヘルパーが遠隔保守を担当していない客先サーバ)に関する通信管理情報は、当該ヘルプ元サーバR4には送信されないので、セキュリティの観点からも好ましい。
【0114】
ヘルプ元サーバR4は、コールセンターサーバR1から通信管理情報を受信した後、当該通信管理情報を、ヘルパーが直接操作しているクライアント端末5に転送する。ヘルパーが直接操作しているクライアント端末5は、前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報の内容をディスプレイに表示する。ヘルパーは、ディスプレイに表示された通信管理情報の内容を確認することにより、現在遠隔保守サービスが行われている客先工場と、当該遠隔保守サービスを提供しているサービスマン派遣先とを特定する。具体的には、通信管理情報のend−timeの欄に「connecting」と記憶されている場合、activeの欄に記載された派遣先サーバとpassiveの欄に記載された客先サーバとの間にルーティングセッションが確立されている(即ち、遠隔保守が行われている)ことがわかる。例えば図8の一番下の行のような通信管理情報に基づけば、relayserver2(派遣先サーバR2)とrelayserver3(客先サーバR3)との間で遠隔保守が行われているということがわかる。
【0115】
ヘルパーは、このように遠隔保守を実施中の客先サーバと派遣先サーバを発見した場合、当該遠隔保守にエスカレーションが必要か否かを判断するため、当該遠隔保守を実施中のサービスマンに対して、メッセージ通信(メッセージセッション)を利用して現在の状況を問い合わせる(シーケンス番号7)。なお、このメッセージ通信とは、セッションをINVITEメソッドによって確立していない相手に対しても通信を行うことができる簡易な通信方法(いわゆるインスタントメッセージ)であり、特に、テキストチャットのように短いデータをリアルタイムで送受信する通信に適している。もっとも、このメッセージ通信で行える通信はテキストチャットに限らず、例えばビデオチャットでも良い。
【0116】
メッセージ通信(例えばテキストチャット)によってヘルパーから現在の状況の問い合わせを受けたサービスマンは、現在の保守作業の進行状況などを、同じくメッセージ通信を利用してヘルパーに返信する。ヘルパーは、遠隔保守を実施中のサービスマンから現在の状況の報告を受けた上で検討し、エスカレーションが必要か否かを判断する。例えば現在保守作業中のサービスマンでは対処できない問題が発生していることなどが前記メッセージ通信による返答で判明した場合などは、ヘルパーは、エスカレーションが必要であると判断する。
【0117】
ヘルパーは、エスカレーションが必要と判断した場合、クライアント端末5を操作することにより、エスカレーション要求(即ち、派遣先サーバR2と客先サーバR3へのセッション確立要求)をヘルプ元サーバR4へ送信する。すると、ヘルプ元サーバR4の制御部は、コールセンターサーバR1に対してエスカレーション要求(REQUEST_ESCALATION)を送信する(シーケンス番号8)。従って、ヘルプ元サーバR4の制御部は、セッション確立要求部として機能すると言うことができる。
【0118】
コールセンターサーバR1の制御部は、ヘルプ元サーバR4からのエスカレーション要求を受信した場合、派遣先サーバR2及び客先サーバR3に対して、ヘルプ元サーバR4からのエスカレーション要求があったこと(即ちヘルプ元サーバR4からのセッション確立要求があったこと)を通知する(シーケンス番号8.1及び8.2)。従って、コールセンターサーバR1の制御部は、セッション確立要求元通知部として機能すると言うことができる。
【0119】
コールセンターサーバR1からエスカレーション要求元の通知を受けた派遣先サーバR2及び客先サーバR3は、ヘルプ元サーバR4からの通信を受け付ける処理を行うとともに、コールセンターサーバR1に対してOKレスポンスを返す。コールセンターサーバR1は、派遣先サーバR2及び客先サーバR3からOKレスポンスを受信した後、前記エスカレーション要求に対するOKレスポンスをヘルプ元サーバR4に対して返す。
【0120】
エスカレーション要求に対するOKレスポンスを受信したヘルプ元サーバR4は、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間に、それぞれルーティングセッションを確立する(シーケンス番号9〜14.1)。なお、ルーティングセッションの確立については既に説明したので、ここでの説明は省略する。このように、エスカレーション要求を行うヘルプ元サーバR4は、通信管理情報に関するメッセージ通信(遠隔保守作業の状況の問い合わせ)から、ルーティングセッション(エスカレーションの開始)へ移行することが可能である。
【0121】
エスカレーションに用いられるルーティングセッションが確立することにより、第2サービスマン派遣先のヘルパーは、当該ルーティングセッションを介して客先工場のクライアント端末5の遠隔保守を自ら行うことができる。また当該ヘルパーは、遠隔保守を実施中だった第1サービスマン派遣先のサービスマンが使用中のクライアント端末5を遠隔操作することもできる。これにより、ヘルパーは、第1サービスマン派遣先のサービスマンによる遠隔保守作業をバックアップすることができる。この場合のように、ヘルパー自ら客先工場のクライアント端末5を遠隔保守するのではなく、保守作業中のサービスマンに対する後援者として遠隔保守に参加しても良い。
【0122】
エスカレーションを終了する際には、ヘルプ元サーバR4は、派遣先サーバR2及び客先サーバR3に終了通知を送り(シーケンス番号15,16)、コールセンターサーバR1にエスカレーションの終了を報告して(シーケンス番号17)、セッションを終了する。
【0123】
以上で説明したように、本実施形態において、管理対象中継サーバとしてのコールセンターサーバR1は、アクセス許可情報データベース513と、通信管理情報データベース515と、接続状況通知受信部及び通信管理情報送信部として機能する制御部と、を備える。アクセス許可情報データベース513は、複数の中継サーバ1の中で互いにアクセスすることを許可された中継サーバ1同士を対応付けて記憶した情報を格納する。接続状況通知受信部としての制御部は、中継サーバ1間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する中継サーバ1から受信する。通信管理情報データベース515は、制御部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する中継サーバ1と、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する。通信管理情報送信部としての制御部は、ある中継サーバ1から通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の中継サーバ1とのアクセスを許可している中継サーバ1に関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の中継サーバ1に送信する。
【0124】
これにより、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバ1に分散させることなく管理機能付き中継サーバ(コールセンターサーバR1)で一元管理することができる。これにより、ヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバからのアクセスを許可している客先サーバR3に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。従って、通信管理情報を取得したヘルプ元サーバR4においては、どの派遣先サーバとどの客先サーバとが通信を行っているのかを把握することができる。
【0125】
また、本実施形態において、前記のコールセンターサーバの制御部は、セッション確立要求元通知部として機能することもできる。このセッション確立要求元通知部としての制御部は、派遣先サーバR2と客先サーバR3との間にルーティングセッションが確立されている場合であって、ヘルプ元サーバR4が派遣先サーバR2及び客先サーバR3に対してエスカレーションを要求した場合に、当該ヘルプ元サーバR4からのエスカレーション要求を受信し、派遣先サーバR2及び客先サーバR3に対してエスカレーション要求元であるヘルプ元サーバR4を通知する。
【0126】
これにより、ルーティングセッションが確立している派遣先サーバR2と客先サーバR3に対して、更にヘルプ元サーバR4が接続しようとしているということを予め通知することができる。従って、先に確立されているルーティングセッションを構成している派遣先サーバR2と客先サーバR3においては、新たな接続の要求を適切に処理することができる。
【0127】
また、本実施形態において、派遣先サーバとしてのR2,R4は、接続状況通知部、通信管理情報要求部及びセッション確立要求部として機能する制御部を備える。接続状況通知部としての制御部は、他の中継サーバ1との間でデータ通信セッションを確立したときに、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、コールセンターサーバR1に対して送信し、コールセンターサーバR1に通信管理情報を記録させる。通信管理情報要求部としての制御部は、コールセンターサーバR1に対して前記通信管理情報を要求する。セッション確立要求部としての制御部は、コールセンターサーバR1から前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報に記録された何れかの客先サーバ又は派遣先サーバR2を相手とするセッション確立要求を、コールセンターサーバR1に対して送信することが可能である。
【0128】
即ち、コールセンターサーバR1において通信管理情報が一元管理されているので、派遣先サーバとしてのヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバR4からのアクセスが許可されている客先サーバR3に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。そして、ヘルプ元サーバR4においては、通信管理情報を受信した後で、当該通信管理情報に記載された客先サーバR3へ及び派遣先サーバR2へのセッション確立要求(エスカレーション要求)を行う。従って、ヘルパーにおいては、前記通信管理情報の内容に基づいて、エスカレーションを行う客先サーバR3及び派遣先サーバR2を選択することができる。
【0129】
また、本実施形態のヘルプ元サーバR4は、前記通信管理情報に基づいて、ルーティングセッションを確立している派遣先サーバR2と客先サーバR3が特定された場合、派遣先サーバR2及び客先サーバR3へのエスカレーションを行う前に、派遣先サーバR2に対してメッセージ通信を行うことが可能である。
【0130】
これにより、客先サーバR3の遠隔保守を行っている派遣先サーバR2に対して、当該保守作業の進行状況をメッセージ通信で問い合わせ、当該問い合わせに対する返答結果に基づいて当該保守作業へのヘルプが必要か否かを判断したうえで、ヘルプが必要な場合にはエスカレーションを行う、というように、遠隔保守作業への能動的な参加が可能となる。
【0131】
また、本実施形態の中継通信システムは、管理機能付き中継サーバとしてのコールセンターサーバR1と、コールセンターサーバR1の管理の対象となる派遣先サーバR2、客先サーバR3、ヘルプ元サーバR4を備えている。
【0132】
この中継通信システムにおいては、アクセス許可情報と通信管理情報とを、複数の中継サーバ1に分散させることなくコールセンターサーバで一元管理することができる。これにより、ヘルプ元サーバR4は、当該ヘルプ元サーバR4からのアクセスを許可している客先サーバR3に関する通信管理情報を、コールセンターサーバR1と通信を行うだけで取得することができる。
【0133】
以上に本発明の好適な実施の形態について説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0134】
上記の説明で、エスカレーションを行うヘルプ元サーバR4は、派遣先サーバR2と客先サーバR3の両方との間でルーティングセッションを確立しているが、何れか一方のみでも良い。また、ヘルプ元サーバR4からエスカレーション要求があったとき(シーケンス番号8)、コールセンターサーバR1は、派遣先サーバR2と客先サーバR3の両方に接続通知を行っているが、上記のように何れか一方にのみ接続する場合は当該接続先にのみ通知すれば良い。
【0135】
上記クライアント端末情報、中継サーバ情報、中継グループ情報、ルーティンググループ情報等は、図面を参照して説明する際にXML形式のデータとして説明したが、上記各情報を格納する形式はこれに限定されず、適宜の形式で各情報を格納することができる。
【符号の説明】
【0136】
R1 コールセンターサーバ(管理機能付き中継サーバ)
R2 派遣先サーバ(管理対象中継サーバ)
R3 客先サーバ(管理対象中継サーバ)
R4 ヘルプ元サーバ(管理対象中継サーバ)
503 制御部
513 アクセス許可情報データベース(アクセス許可情報格納部)
515 通信管理情報データベース(通信管理情報格納部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納するアクセス許可情報格納部と、
前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する接続状況通知受信部と、
前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する通信管理情報格納部と、
ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する通信管理情報送信部と、
を備えたことを特徴とする、管理機能付き中継サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の管理機能付き中継サーバであって、
管理対象中継サーバ間で第1データ通信セッションが確立されている場合であって、当該第1データ通信セッションを構成していない管理対象中継サーバが、前記第1データ通信セッションを構成している何れかの管理対象中継サーバを相手として第2データ通信セッションを確立しようとした場合に、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバからのセッション確立要求を受信し、前記第1データ通信セッションを構成している管理対象中継サーバのうち少なくとも何れか1つに対して、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバを通知するセッション確立要求元通知部を備えることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項3】
他の中継サーバとの間でデータ通信セッションを確立したときに、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、中継サーバ同士の通信を管理する管理機能付き中継サーバに対して送信し、これにより前記管理機能付き中継サーバに通信管理情報を記録させる接続状況通知部と、
前記管理機能付き中継サーバに対して前記通信管理情報を要求する通信管理情報要求部と、
前記管理機能付き中継サーバから前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報に記録された何れかの中継サーバを相手とするセッション確立要求を、前記管理機能付き中継サーバに対して送信することが可能なセッション確立要求部と、
を備えることを特徴とする中継サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の中継サーバであって、
前記通信管理情報に基づいて他の中継サーバとの間で第1データ通信セッションを確立している中継サーバが特定された場合、前記第1データ通信セッションを確立済の中継サーバとの間で第2データ通信セッションを確立する前に、当該第1データ通信セッションを確立済の中継サーバに対してメッセージ通信を行うことが可能であることを特徴とする中継サーバ。
【請求項5】
複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納するアクセス許可情報格納部と、
前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する接続状況通知受信部と、
前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する通信管理情報格納部と、
ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する通信管理情報送信部と、
を備えた管理機能付き中継サーバと、
前記管理機能付き中継サーバの管理対象となる複数の前記管理対象中継サーバと、
を備えることを特徴とする中継通信システム。
【請求項1】
複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納するアクセス許可情報格納部と、
前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する接続状況通知受信部と、
前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する通信管理情報格納部と、
ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する通信管理情報送信部と、
を備えたことを特徴とする、管理機能付き中継サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の管理機能付き中継サーバであって、
管理対象中継サーバ間で第1データ通信セッションが確立されている場合であって、当該第1データ通信セッションを構成していない管理対象中継サーバが、前記第1データ通信セッションを構成している何れかの管理対象中継サーバを相手として第2データ通信セッションを確立しようとした場合に、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバからのセッション確立要求を受信し、前記第1データ通信セッションを構成している管理対象中継サーバのうち少なくとも何れか1つに対して、前記第2データ通信セッションの確立要求元の前記管理対象中継サーバを通知するセッション確立要求元通知部を備えることを特徴とする管理機能付き中継サーバ。
【請求項3】
他の中継サーバとの間でデータ通信セッションを確立したときに、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、中継サーバ同士の通信を管理する管理機能付き中継サーバに対して送信し、これにより前記管理機能付き中継サーバに通信管理情報を記録させる接続状況通知部と、
前記管理機能付き中継サーバに対して前記通信管理情報を要求する通信管理情報要求部と、
前記管理機能付き中継サーバから前記通信管理情報を受信した後、前記通信管理情報に記録された何れかの中継サーバを相手とするセッション確立要求を、前記管理機能付き中継サーバに対して送信することが可能なセッション確立要求部と、
を備えることを特徴とする中継サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の中継サーバであって、
前記通信管理情報に基づいて他の中継サーバとの間で第1データ通信セッションを確立している中継サーバが特定された場合、前記第1データ通信セッションを確立済の中継サーバとの間で第2データ通信セッションを確立する前に、当該第1データ通信セッションを確立済の中継サーバに対してメッセージ通信を行うことが可能であることを特徴とする中継サーバ。
【請求項5】
複数の管理対象中継サーバの中で互いにアクセスすることを許可された管理対象中継サーバ同士を対応付けて記憶したアクセス許可情報を格納するアクセス許可情報格納部と、
前記管理対象中継サーバ間にデータ通信セッションが確立された場合に、少なくとも当該データ通信セッションの開始及び終了を通知する接続状況通知を、当該データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバから受信する接続状況通知受信部と、
前記接続状況通知受信部が受信した接続状況通知の内容と、前記データ通信セッションを構成する管理対象中継サーバと、を対応付けて記憶した通信管理情報を格納する通信管理情報格納部と、
ある管理対象中継サーバから通信管理情報の要求を受けると、当該通信管理情報要求元の管理対象中継サーバとのアクセスを許可している管理対象中継サーバに関する通信管理情報を、前記通信管理情報要求元の前記管理対象中継サーバに送信する通信管理情報送信部と、
を備えた管理機能付き中継サーバと、
前記管理機能付き中継サーバの管理対象となる複数の前記管理対象中継サーバと、
を備えることを特徴とする中継通信システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−55452(P2011−55452A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205183(P2009−205183)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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