説明

中継基板取付構造

【課題】機器筐体の内部に配置される装置と機器筐体の外部に配置される装置を容易に電気的に接続することができ、且つ機器筐体の貫通孔を閉塞するための部材を別途設ける必要のない中継基板取付構造を提供する。
【解決手段】中継基板1の一方の面に外側コネクターが実装されると共に他方の面に内側コネクターが実装される。中継基板1が機器筐体5に形成された貫通孔18を閉塞するよう機器筐体5に取り付けられる。外側コネクター19及び内側コネクター20が機器筐体5の外側及び内側の夫々に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中継基板取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、装置同士を電気接続するための中継基板として特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
この中継基板はマザーボード接続用コネクターと回路基板接続用コネクターを備え、マザーボードと回路基板を導通させるものである。
【0004】
ところで、前記中継基板によって接続されるマザーボード及び回路基板は共に機器筐体の内部に配置されるものであり、機器筐体内の装置と機器筐体外の装置を接続するものではない。
【0005】
ここで、特許文献1の技術を用いて機器筐体内の装置と機器筐体外の装置を接続するには、機器筐体外の装置側のコネクターを通すための貫通孔を設けることが考えられる。しかし、このようにすると機器筐体の内外が貫通孔を介して通じて様々な不具合が生じる恐れがあり、またこれを解決するには前記貫通孔を閉塞するための部材が別途必要になる。
【0006】
また、機器筐体内の装置と機器筐体外の装置を接続するには、前記中継基板を用いず、機器筐体に中継コネクターを設け、該中継コネクターにより機器筐体内の装置に接続される電線と機器筐体外部の装置に接続される電線とを中継することも考えられる。しかし、このようにすると、中継コネクターの総極数が多くなってコスト増加の要因になる。これを解消するには、例えば機器筐体内の装置に接続される電線のうちの同電位の電線同士をカプセル端子等で結線すると共に、機器筐体外の装置に接続される電線のうちの同電位の電線同士をカプセル端子等で結線することも考えられるが、この場合は煩雑な作業が必要になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−336075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、機器筐体の内部に配置される装置と機器筐体の外部に配置される装置を容易に電気的に接続することができ、且つ機器筐体の貫通孔を閉塞するための部材を別途設ける必要のない中継基板取付構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために請求項1に係る中継基板取付構造は、中継基板1の一方の面に外側コネクター19が実装されると共に他方の面に内側コネクター20が実装され、該中継基板1が機器筐体5に形成された貫通孔18を閉塞するよう機器筐体5に取り付けられて、前記外側コネクター19及び内側コネクター20が機器筐体5の外側及び内側の夫々に配置されたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る中継基板取付構造は、請求項1において、前記外側コネクター19が接続されるコネクターの挿抜方向が前記中継基板1の板面に対して垂直になるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明にあっては、中継基板が機器筐体に形成された貫通孔を閉塞するよう機器筐体に取り付けられて、中継基板に実装された外側コネクター及び内側コネクターが貫通孔を利用して機器筐体の外側及び内側の夫々に配置される。このため、機器筐体内に配置される装置に接続されるコネクターを内側コネクターに接続すると共に、機器筐体外に配置される装置に接続されるコネクターを外側コネクターに接続することで、機器筐体の内部に配置される装置と機器筐体の外部に配置される装置を容易に電気的に接続することができる。また、外側コネクター及び内側コネクターが実装された中継基板により機器筐体の貫通孔を閉塞できるため、貫通孔を閉塞するための部材を別途設ける必要がない。
【0012】
また、請求項2に係る発明にあっては、外側コネクターが接続されるコネクターの挿抜方向が中継基板の板面に対して垂直になるので、外側コネクターに対応するコネクターを接続する際に中継基板が邪魔にならず、外側コネクターに対応するコネクターを容易に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の調理器、操作器、及びキャビネット本体の分解斜視図である。
【図2】同上の操作器を収納した状態にあるガス台の斜視図である。
【図3】同上の操作器を収納した状態にあるガス台の断面図である。
【図4】同上の操作器を突出させた状態にあるガス台の斜視図である。
【図5】同上の中継基板が取り付けられた基板用ケースを示し、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は正面図である。
【図6】同上の中継基板を示し、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は正面図である。
【図7】同上の基板用ケースを示し、(a)は斜視図、(b)は背面図、(c)は平面図、(d)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1に示すように本実施形態の中継基板1は調理器3の機器筐体5に取り付けられ、機器筐体5の内部に配置される制御器(不図示)と機器筐体5の外部に配置される調理器3用の操作器4とを電気的に接続する。
【0015】
調理器3は図2に示すようにキッチンキャビネット2に組み込まれるビルトイン式のガスこんろであって、キッチンキャビネット2と調理器3で構成されたガス台は壁に沿ってキッチンに設置される。以下ではガス台から見て利用者が立つ側を前方、壁側を後方と定義して各構成部材につき説明する。
【0016】
図3に示すようにキッチンキャビネット2は、上方に開口した箱状のキャビネット本体15と、キャビネット本体15の上開口を塞ぐカウンター11で構成されている。
【0017】
調理器3の外郭となる機器筐体5は、上方に開口し且つ左右に長いケース13と、ケース13上に取り付けられてケース13の上開口を塞ぐトッププレート7とで構成されている。
【0018】
ケース13内にはバーナー6が複数設けられ、各バーナー6に設けられたバーナーヘッド10により調理物を加熱する加熱部が構成されている。本実施形態では、図1に示すように三個のこんろバーナー6が左右に並設されている。各こんろバーナー6は機器筐体5の上面を構成するトッププレート7を通して上方に突出し、これにより各こんろバーナー6のバーナーヘッド10はトッププレート7よりも上方に配置されている。トッププレート7上には各バーナーヘッド10を囲む五徳9が設けられている。
【0019】
ケース13内には各こんろバーナー6に設けられた点火プラグや温度センサ等の電気機器(不図示)に電気接続される制御器(不図示)が設けられている。また、機器筐体5の前面を構成するケース13の前板部22には貫通孔18が形成されている。本実施形態では、前板部22に左右に長い矩形状の貫通孔18が左右方向に複数(図示例では3個)並設されている。
【0020】
中継基板1は全ての貫通孔18を閉塞するように機器筐体5内に配設され、これによって機器筐体5に外部から虫等が入り込むことが防止される。
【0021】
図6に示すように中継基板1はその前後両面に銀箔からなるパターン(回路)が設けられた両面基板からなり、左右に長い矩形状に形成されている。中継基板1の前面においてケース13の各貫通孔18に対応する箇所には複数の外側コネクター19が実装され、中継基板1の後面には前記パターンを介して外側コネクター19に導通する複数の内側コネクター20が実装されている。各コネクター19,20は一端が開口した箱状のハウジング25の底部に開口側に向けて突出する複数の電極を列設したものである。各コネクター19,20は前記ハウジング25の開口方向が中継基板1の板面に対して垂直となるよう設けられ、これにより接続されるコネクター(不図示)の挿抜方向が中継基板1の板面に対して垂直となる。以下、外側コネクター19に接続されるコネクターを操作器側コネクターと記載し、内側コネクター20に接続されるコネクターを制御器側コネクターと記載する。
【0022】
前記外側コネクター19及び内側コネクター20の中継基板1への実装は以下のように行われる。まず中継基板1のスルーホールに外側コネクター19の端子が挿入され、この後、外側コネクター19の端子と前記パターンとがリフロー半田により半田付けされる。これにより外側コネクター19が実装される。次に、中継基板1のスルーホールに内側コネクター20の端子が挿入され、この後、内側コネクター20の端子と前記パターンとが手半田又は半田付けロボットにより半田付けされ、これにより内側コネクター20が実装される。
【0023】
ところで、前記中継基板1に設けられたスルーホールのうち、後に実装される内側コネクター20用のスルーホールが先に実装される外側コネクター19の半田付けの際に露出していると、内側コネクター20用のスルーホールに外側コネクター19の半田付けに用いられる半田が付着し、内側コネクター20用のスルーホールが塞がれる可能性がある。このため、前記内側コネクター20用のスルーホールには前記外側コネクター19を半田付けする前に予めマスキングが施され、これにより前記内側コネクター20用のスルーホールが半田により塞がれることが防止される。なお、前記スルーホールをマスキングしたマスキング材は内側コネクター20が実装される際に除去される。
【0024】
前記外側コネクター19及び内側コネクター20が実装された中継基板1は図7に示す基板用ケース21に収納され、この基板用ケース21を機器筐体5に取り付けることで、中継基板1は機器筐体5に対して固定される。
【0025】
基板用ケース21は前方が開口し正面から見て中継基板1よりも一回り大きい矩形箱状に形成されている。基板用ケース21の底部を構成する奥面部24には、前後方向に貫通する矩形状の挿通孔23が左右に複数(図示例では2個)並設されている。各挿通孔23は中継基板1の後面に実装された内側コネクター20に対応する箇所に位置している。
【0026】
中継基板1は図5に示すように基板用ケース21内に前方から挿入されることで嵌め込まれ、この中継基板1を基板用ケース21の奥面部24にねじ止めすることにより各挿通孔23を塞いだ状態で基板用ケース21に取り付けられる。このように中継基板1が基板用ケース21に取り付けられると、中継基板1に実装された各内側コネクター20は基板用ケース21の対応する挿通孔23を介して後方に突出する。また、中継基板1に実装された各外側コネクター19は基板用ケース21の前開口部を介して前方に露出する。
【0027】
前記中継基板1が取り付けられた基板用ケース21は、機器筐体5の内側からケース13の前板部22の後面にねじ等を用いて取り付けられ、機器筐体5内に配設される。
【0028】
このように基板用ケース21を機器筐体5に取り付けた状態では、基板用ケース21に収納された中継基板1がケース13の前板部22の後面に沿って配置され、この中継基板1により前板部22に形成された各貫通孔18が閉塞される。また、この中継基板1の前面に実装された外側コネクター19は、対応する貫通孔18を介して前板部22前方に突出し、機器筐体5の外部に露出する。
【0029】
前記中継基板1に実装された各内側コネクター20には、前記機器筐体5に内蔵した制御器にハーネス(不図示)を介して接続される制御器側コネクターが後方から挿入されて接続され、これによって中継基板1は前記制御器と電気的に接続される。
【0030】
図3に示すようにキッチンキャビネット2の上面を構成するカウンター11には開口部12が形成されている。キッチンキャビネット2への調理器3の設置は、機器筐体5を開口部12を介してキッチンキャビネット2内に落とし込んだ状態でカウンター11に固定することで行われる。
【0031】
操作器4はキッチンキャビネット2の上端部の前部に設けられ、調理器3の前方に配置される。操作器4の上面には調理器3を操作するための操作部17が設けられている。
【0032】
操作器4はキッチンキャビネット2に対して前後方向に移動自在に設けられ、図2及び図3に示すように後退位置に配置された操作器4は、キッチンキャビネット2の上端部の前部に形成された前方に開口する操作器収納部16に収納される。
【0033】
キッチンキャビネット2には、操作器収納部16に収納された操作器4を保持すると共に保持状態にある操作器4が後方に押圧されたときにこの保持状態を解除するラッチ等からなる保持手段(不図示)と、前記後退位置にある操作器4を前方に付勢するばね等からなる付勢手段(不図示)が設けられている。
【0034】
図2及び図3に示すように操作器収納部16に収納された操作器4が後方に押し込まれると、前記保持手段による操作器4の保持状態が解除され、操作器4が前記付勢手段により図4に示す前進位置まで移動し、操作部17が露出する。これによって、操作器4は操作可能になる。また、図4に示すようにキッチンキャビネット2から前方に突出した操作器4が付勢手段に抗して後方に押し込まれると、操作器4は図2及び図3のように操作器収納部16に収納されて保持手段により保持される。
【0035】
このようにキッチンキャビネット2に設けられた操作器4は、後方の調理器3に設けられた中継基板1に電気的に接続される。この接続は、操作器4にハーネス(不図示)を介して接続される操作器側コネクターを、調理器3の貫通孔18を介して前方に露出した外側コネクター19に前方から挿入して接続することで行われる。かくして操作器4は中継基板1を介して前記調理器3の制御器と電気的に接続され、操作器4により調理器3が操作可能となる。
【0036】
以上説明した本実施形態の中継基板取付構造では、中継基板1が機器筐体5に形成された貫通孔18を閉塞するよう機器筐体5に取り付けられ、これによって中継基板1に実装された外側コネクター19及び内側コネクター20が機器筐体5の外側及び内側の夫々に配置される。このため、制御器側コネクターを内側コネクター20に接続すると共に操作器側コネクターを外側コネクター19に接続することで、機器筐体5の内部に配置される制御器と機器筐体5の外部に配置される操作器4を容易に電気的に接続することができる。また、外側コネクター19及び内側コネクター20が実装された中継基板1により、機器筐体5の貫通孔18を閉塞できるため、貫通孔18を閉塞するための部材を別途設ける必要がなく、コストを削減できる。
【0037】
また、本実施形態では、外側コネクター19が操作器側コネクターの挿抜方向が中継基板1の板面に対して垂直になるよう設けられるので、操作器側コネクターを外側コネクター19に対して挿抜する際に中継基板1が邪魔にならず、操作器側コネクターを外側コネクター19に容易に接続することができる。
【0038】
なお、前記外側コネクター19及び内側コネクター20に接続されるコネクターの挿抜方向は中継基板1の板面に対して垂直となる方向以外の方向としても構わない。また、本実施形態の中継基板1は調理器3と操作器4を接続するものであるが、中継基板1で接続される装置としてはこれらに限定されず、他の装置同士を中継するものであっても構わない。
【符号の説明】
【0039】
1 中継基板
18 貫通孔
19 外側コネクター
20 内側コネクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継基板の一方の面に外側コネクターが実装されると共に他方の面に内側コネクターが実装され、該中継基板が機器筐体に形成された貫通孔を閉塞するよう機器筐体に取り付けられて、前記外側コネクター及び内側コネクターが機器筐体の外側及び内側の夫々に配置されたことを特徴とする中継基板取付構造。
【請求項2】
前記外側コネクターが接続されるコネクターの挿抜方向が前記中継基板の板面に対して垂直になるものであることを特徴とする請求項1に記載の中継基板取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−99623(P2012−99623A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−245784(P2010−245784)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【出願人】(301071893)株式会社ハーマン (94)
【Fターム(参考)】