説明

中継装置、アドレス通知方法およびアドレス通知プログラム

【課題】送信元アドレスを指定してマルチキャスト配信を受ける受信端末がマルチキャストデータを継続して受信することを可能にする。
【解決手段】送信端末100からのマルチキャストデータを受信端末400に中継する中継装置200は、検出部と通知部とを有する。通知部は、マルチキャストデータのパケットを送信端末100から受信し、パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして送信端末100のアドレスの変更を検出する。通知部は、検出部が、送信端末のアドレスの変化を検出した場合に、パケットの送信端末100のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末400に、送信端末100の変化後のアドレスを通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中継装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ネットワーク負荷軽減とセキュリティ向上のため、送信元アドレス指定によるマルチキャスト配信を行うケースが増えている。この送信元アドレス指定によるマルチキャスト配信では、受信端末が、受信するマルチキャストデータの送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスとを指定する。受信端末は、指定した送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスを有するマルチキャストデータを受信する。
【0003】
図14〜図16は、従来のマルチキャスト配信を説明するための図である。図14に示すように、このシステムは、送信端末10、中継装置15a,15b、受信端末20を有する。
【0004】
端末装置10は、マルチキャストデータを配信する装置である。中継装置15a,15bは、マルチキャストデータを中継する装置である。受信端末20は、マルチキャストデータの送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスとを指定して、該当するマルチキャストデータを受信する装置である。
【0005】
図14に示す例では、送信端末10のIPアドレスを「A」とする。送信端末10は、送信元IPアドレスを「A」、マルチキャストアドレスを「G」に設定したマルチキャストデータを、中継装置15aに配信する。一方、受信端末20は、送信元IPアドレスを「A」、マルチキャストアドレスを「G」に設定したMLDメッセージを中継装置15bに送信する。
【0006】
図15の説明に移行する。中継装置15bは、MLDメッセージを受信した後に、JOINメッセージを中継装置15aに送信する。このJOINメッセージには、受信端末20が指定した、マルチキャストデータの送信元IPアドレス「A」と、マルチキャストアドレス「G」を有する。
【0007】
図16の説明に移行する。中継装置15aは、JOINメッセージを受信した後に、JOINメッセージの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組と、マルチキャストデータの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組とを比較する。双方の組が一致するので、中継装置15aは、送信端末10からのマルチキャストデータを、配下の受信端末20に向けて送信する。
【0008】
ここで、送信端末10のIPアドレスが変更になると、JOINメッセージの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組と、マルチキャストデータの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組とが一致しなくなる。このため、中継装置15aから、マルチキャストデータが送信されなくなり、受信端末20は、送信端末10からのマルチキャストデータを受信できなくなる。
【0009】
この問題を解消するためには、受信端末20は、送信端末10のIPアドレスの変更を検出する必要がある。このため、受信端末20は、コンフィングファイルに送信端末10のIPアドレスを記憶しておき、このIPアドレスを利用して、送信端末10にアドレス通知要求を送信する。送信端末10は、アドレス通知要求を受信したことを契機として、自装置のIPアドレスを定期的に受信端末20に送信する。このような処理を行うことで、受信端末20は、送信端末10のIPアドレスの変更を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−161499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した従来技術では、送信端末が再起動した場合に、受信端末がマルチキャストデータを継続して受信することができないという問題があった。
【0012】
例えば、送信端末10が再起動し、IPアドレスが変更になった場合には、受信端末20のコンフィングファイルのIPアドレスと、送信端末10のIPが一致しておらず、アドレス通知要求を、再起動後の送信端末10に送信することができない。このため、送信端末10は、IPアドレスが変更になっても、変更後のIPアドレスを受信端末20に送信しないので、受信端末20は、送信端末10のIPアドレスの変更を検出できず、マルチキャストデータを受信することができなくなる。
【0013】
図17は、従来技術の問題を説明するための図である。図17に示すように、送信端末10が再起動し、IPアドレスが「A」から「B」に変更された場合について説明する。また、中継装置15aは、図15に示したJOINメッセージを受信しているものとする。
【0014】
図17に示すように、送信端末10は、送信元IPアドレスを「B」、マルチキャストアドレスを「G」に設定したマルチキャストデータを、中継装置15aに配信する。一方、受信端末20は、送信端末10のIPアドレスの変更を検出できていないので、新たなMLDメッセージを送信することはない。このため、中継装置15aは、マルチキャストデータを、配下の受信端末20に向けて送信しないので、受信端末20は、マルチキャストデータを受信することができない。
【0015】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、送信端末が再起動した場合に、受信端末がマルチキャストデータを継続して受信する中継装置、アドレス通知方法およびアドレス通知プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
開示の中継装置は、検出部と通知部とを有する。検出部は、マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして前記送信端末のアドレスの変更を検出する。通知部は、検出部が、送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変化後のアドレスを通知する。
【発明の効果】
【0017】
開示の中継装置によれば、受信端末がマルチキャストデータを継続して受信することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、システムの構成を示す図である。
【図2】図2は、マルチキャストデータのデータ構造の一例を示す図である。
【図3】図3は、MLDメッセージのデータ構造の一例を示す図である。
【図4】図4は、アドレス通知要求パケットのデータ構造の一例を示す図である。
【図5】図5は、アドレス変更通知パケットのデータ構造の一例を示す図である。
【図6】図6は、中継装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図7】図7は、送信端末アドレス管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図8】図8は、マルチキャスト送信先情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図9】図9は、受信端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図10】図10は、送信端末アドレス情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図11】図11は、中継装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図12は、受信端末の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図13は、アドレス通知プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【図14】図14は、従来のマルチキャスト配信を説明するための図(1)である。
【図15】図15は、従来のマルチキャスト配信を説明するための図(2)である。
【図16】図16は、従来のマルチキャスト配信を説明するための図(3)である。
【図17】図17は、従来技術の問題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本願の開示する中継装置、アドレス通知方法およびアドレス通知プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0020】
本実施例にかかるシステムの構成について説明する。図1は、本実施例にかかるシステムの構成を示す図である。図1に示すように、このシステムは、送信端末100、中継装置200,300、受信端末400を有する。
【0021】
送信端末100は、マルチキャストデータを中継装置200に配信する装置である。マルチキャストデータには、送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスが含まれる。送信元IPアドレスは、送信端末100のIPアドレスであり、マルチキャストアドレスは、マルチキャストデータの送信先のIPアドレスである。例えば、マルチキャストアドレスには、「224.0.0.0」〜「239.255.255.255」の範囲に含まれるIPアドレスが設定される。
【0022】
中継装置200は、送信端末100からマルチキャストデータを受信し、配下の受信端末400に向けてマルチキャストデータを送信する装置である。中継装置200は、マルチキャストデータに含まれる送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組と、JOINメッセージの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組とを比較する。中継装置200は、比較した送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組が一致する場合に、マルチキャストデータを、配下の受信端末400に向けて送信する。
【0023】
また、中継装置200は、送信端末100のIPアドレスを監視する。中継装置200は、IPアドレスが変更された場合には、変更されたIPアドレスをアドレス変更通知パケットに格納し、受信端末400に送信する。
【0024】
中継装置300は、中継装置200と受信端末400との間のデータ通信を中継する装置である。例えば、中継装置300は、中継装置200からのマルチキャストデータを、受信端末400に送信する。また、中継装置300は、中継装置200からのアドレス通知パケットを、受信端末400に送信する。
【0025】
受信端末400は、マルチキャストデータを受信する装置である。受信端末400は、マルチキャストデータを受信する場合には、マルチキャストデータの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスを含むMLDメッセージを、中継装置300に送信する。
【0026】
また、受信端末400は、送信端末100のIPアドレスの変更通知を受ける場合には、アドレス通知要求パケットを、中継装置200に送信する。そして、受信端末400は、中継装置200から、アドレス変更通知パケットを受信し、マルチキャストデータの受信を継続する場合には、Reportメッセージを、中継装置200に送信する。これに対して、マルチキャストデータの受信を中断する場合には、Leaveメッセージを、中継装置200に送信する。
【0027】
ここで、上述したマルチキャストデータ、MLDメッセージ、アドレス通知パケット、アドレス変更通知パケットのデータ構造の一例について順に説明する。
【0028】
図2は、マルチキャストデータのデータ構造の一例を示す図である。図2に示すように、マルチキャストデータは、MAC(Media Access Control)ヘッダ、IP(Internet Protocol)ヘッダ、UDP(User Datagram Protocol)ヘッダ、データ部を有する。図2の各ヘッダのうち、例えば、IPヘッダに送信元IPアドレス、マルチキャストアドレスが格納される。データ部には、例えば、映像データなどが格納される。
【0029】
図3は、MLDメッセージのデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、MLDメッセージは、MACヘッダ、IPヘッダ、MLDv2を有する。このうち、MLDv2には、Type、Record Type、マルチキャストアドレス、送信元IPアドレスを有する。このうち、マルチキャストアドレスは、受信端末400が受信したいマルチキャストデータのアドレスである。送信元IPアドレスは、受信端末400が受信したいマルチキャストデータの送信元IPアドレスである。なお、Typeには、143の値が格納される。
【0030】
なお、上記のReportメッセージおよびLeaveメッセージは、MLDメッセージのデータ構造と同一である。Reportメッセージの場合には、Record Typeに「5」が格納される。Leaveメッセージの場合には、Record Typeに「6」が格納される。
【0031】
図4は、アドレス通知要求パケットのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、アドレス通知要求パケットは、MACヘッダ、IPヘッダ、UDPヘッダ、データ部を有する。データ部は、パケット種別と送信元アドレス情報とを有する。パケット種別には、「1」が格納され、該パケットがアドレス通知要求パケットである旨を示す。送信元アドレス情報には、受信端末400のIPアドレスが格納される。
【0032】
図5は、アドレス変更通知パケットのデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、アドレス変更通知パケットは、MACヘッダ、IPヘッダ、UDPヘッダ、データ部を有する。データ部は、パケット種別、変更前アドレス情報、変更後アドレス情報を有する。パケット種別には「2」が格納され、該パケットがアドレス変更通知パケットである旨を示す。また、変更前アドレス情報には、送信端末100の変更前のIPアドレスが格納される。変更後アドレス情報には、送信端末100の変更後のIPアドレスが格納される。
【0033】
次に、図1に示した中継装置200の構成について説明する。図6は、中継装置の構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、中継装置200は、記憶部210、制御部220を有する。
【0034】
記憶部210は、アドレス変更通知先情報211、送信端末アドレス管理テーブル212、マルチキャストデータ213、マルチキャスト送信先情報214を記憶する。この記憶部210は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、またはハードディスク、光ディスクなどの記憶装置に対応する。
【0035】
アドレス変更通知先情報211は、アドレス変更通知パケットの宛先を保持する。例えば、アドレス変更通知先情報211は、受信端末400のIPアドレスを含む。
【0036】
送信端末アドレス管理テーブル212は、送信端末100のIPアドレスを管理するテーブルである。図7は、送信端末アドレス管理テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図7に示すように、この送信端末アドレス管理テーブル212は、送信元IPアドレスとマルチキャストアドレスとを対応づけて記憶する。送信元IPアドレスは、マルチキャストデータの送信元となる送信端末100のIPアドレスである。マルチキャストアドレスは、マルチキャストデータの宛先である。
【0037】
マルチキャストデータ213は、送信端末100から送信されるマルチキャストデータである。
【0038】
マルチキャスト送信先情報214は、マルチキャストデータの配信先となる受信端末400の情報を保持する。例えば、マルチキャスト送信先情報214は、受信端末400が指定する、マルチキャストデータの送信元IPアドレスとマルチキャストアドレスを有する。図8は、マルチキャスト送信先情報のデータ構造の一例を示す図である。図8に示すように、このマルチキャスト送信先情報214は、送信元IPアドレスとマルチキャストアドレスとを対応づけて保持する。
【0039】
図6の説明に戻る。制御部220は、アドレス通知要求パケット221、アドレス通知要求パケット解析部222、マルチキャストデータ受信部223、マルチキャストデータ解析部224を有する。また、制御部220は、検出部225、通知部226、マルチキャストデータ送信部227、メッセージ受信部228を有する。例えば、制御部220は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積装置に対応する。また、制御部220は、例えば、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路に対応する。
【0040】
アドレス通知要求パケット受信部221は、受信端末400からアドレス通知要求パケットを受信する処理部である。アドレス通知要求パケット受信部221は、受信したアドレス通知要求パケットを、アドレス通知要求パケット解析部222に出力する。
【0041】
アドレス通知要求パケット解析部222は、アドレス通知要求パケットを解析し、アドレス通知要求パケットに含まれる送信元アドレス情報を、アドレス変更通知先情報211に登録する。例えば、この送信元アドレス情報には、受信端末400のIPアドレスが含まれる。
【0042】
マルチキャストデータ受信部223は、送信端末100からマルチキャストデータを順次受信する処理部である。マルチキャストデータ受信部223は、マルチキャストデータを、マルチキャストデータ解析部224に順次出力する。また、マルチキャスト受信部223は、マルチキャストデータを、記憶部210のマルチキャストデータ213に記憶する。
【0043】
マルチキャストデータ解析部224は、マルチキャストデータから送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスとを抽出する。そして、マルチキャストデータ解析部224は、抽出した送信元IPアドレスとマルチキャストアドレスとを対応づけて、送信端末アドレス管理テーブル212に順次追加登録する。送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスは、マルチキャストデータのIPヘッダに格納されている。
【0044】
検出部225は、送信端末アドレス管理テーブル212を基にして、送信端末100のIPアドレスの変更を検出する処理部である。検出部225は、IPアドレスの変更を検出した場合には、変更前のIPアドレスと、変更後のIPアドレスとを通知部226に出力する。
【0045】
検出部225が、IPアドレスの変更を検出する処理の一例を、図7を利用して説明する。検出部225は、マルチキャストデータ解析部224によって追加登録される、送信元IPアドレスとマルチキャストアドレスとの組を監視する。そして、検出部225は、前後の組において、マルチキャストアドレスが同一で、送信元IPアドレスが変化した場合には、IPアドレスが変更されたと判定する。
【0046】
図7に示す例では、4段目から5段目において、送信元IPアドレスが「A」から「B」に変化している。この場合には、検出部225は、送信端末100のIPアドレスが、「A」から「B」に変更になったと判定する。そして、検出部225は、変更前のIPアドレス「A」、変更後のIPアドレス「B」を、通知部226に出力する。
【0047】
通知部226は、検出部225が送信端末100のIPアドレスの変更を検出した場合に、アドレス変更通知パケットを受信端末400に送信する処理部である。通知部226は、アドレス変更通知パケットのIPヘッダの宛先に、アドレス変更通知先情報211のIPアドレスを格納する。また、通知部226は、変更前アドレス情報に、変更前の送信端末100のIPアドレスを格納する。また、通知部226は、変更後アドレス情報に、変更後の送信端末100のIPアドレスを格納する。
【0048】
マルチキャストデータ送信部227は、マルチキャストデータを配下の受信端末400に送信する処理部である。マルチキャストデータ送信部227は、マルチキャスト送信先情報214の、送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組と、マルチキャストデータ213の送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスの組とを比較する。マルチキャストデータ送信部227は、各組が一致する場合に、マルチキャストデータを、受信端末400に送信する。
【0049】
メッセージ受信部228は、JOINメッセージ、Reportメッセージ、Leaveメッセージを受信し、受信したメッセージに応じて、マルチキャスト送信先情報214を更新する処理部である。
【0050】
メッセージ受信部228は、JOINメッセージを受信した場合には、JOINメッセージのMLDv2に含まれる送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスにより、マルチキャスト送信先情報214を更新する。
【0051】
メッセージ受信部228は、Reportメッセージを受信した場合には、ReportメッセージのMLDv2に含まれる送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスにより、マルチキャスト送信先情報214を更新する。
【0052】
メッセージ受信部228は、Leaveメッセージを受信した場合には、例えば、マルチキャスト送信先情報214の送信元IPアドレス、マルチキャストアドレスをブランクに設定する。このように、マルチキャスト送信先情報214を設定することで、マルチキャストデータが、受信端末400に送信されなくなる。
【0053】
次に、図1に示した受信端末400の構成について説明する。図9は、受信端末の構成を示す機能ブロック図である。図9に示すように、この受信端末400は、記憶部410、制御部420を有する。
【0054】
記憶部410は、コンフィングファイル411、送信端末アドレス情報テーブル412、マルチキャストデータ413を記憶する。記憶部410は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、またはハードディスク、光ディスクなどの記憶装置に対応する。
【0055】
コンフィングファイル411は、マルチキャストデータを配信する送信端末のIPアドレスを保持する。例えば、コンフィングファイル411は、送信端末100のIPアドレスを保持する。
【0056】
送信端末アドレス情報テーブル412は、受信したいマルチキャストデータの送信元IPアドレスと、マルチキャストデータとを記憶するテーブルである。図10は、送信端末アドレス情報テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、この送信端末アドレス情報テーブル412は、送信元IPアドレスとマルチキャストアドレスとを有する。
【0057】
マルチキャストデータ413は、送信端末100から送信されたマルチキャストデータである。
【0058】
図9の説明に戻る。制御部420は、アドレス通知要求パケット送信部421、アドレス変更通知パケット受信部422、アドレス変更通知パケット解析部423を有する。また、制御部420は、メッセージ送信部424、マルチキャストデータ受信部425、マルチキャストデータ処理部426を有する。例えば、制御部420は、ASICや、FPGAなどの集積装置に対応する。また、制御部420は、例えば、CPUやMPU等の電子回路に対応する。
【0059】
アドレス通知要求パケット送信部421は、アドレス通知要求パケットを中継装置200に送信する処理部である。アドレス通知要求パケット送信部421は、コンフィングファイル411に記憶されたIPアドレスを、アドレス通知要求パケットのIPヘッダに格納する。また、アドレス通知要求パケット送信部421は、受信端末400のIPアドレスを、アドレス通知要求パケットの送信元アドレス情報に格納する。
【0060】
アドレス変更通知パケット受信部422は、中継装置200からアドレス変更通知パケットを受信する処理部である。アドレス変更通知パケット受信部422は、受信したアドレス変更通知パケットを、アドレス変更通知パケット解析部423に出力する。
【0061】
アドレス変更通知パケット解析部423は、アドレス変更通知パケットを解析し、変更後のIPアドレスによって、送信端末アドレス情報テーブル412の送信元IPアドレスを更新する処理部である。アドレス変更通知パケット解析部423は、アドレス変更通知パケットの変更後アドレス情報から、変更後のIPアドレスを抽出する。
【0062】
また、アドレス変更通知パケット解析部423は、アドレス変更通知パケットを受信した場合には、IPアドレスが変更になった旨の情報を、メッセージ送信部424に出力する。
【0063】
メッセージ送信部424は、例えば、MLDメッセージ、Reportメッセージ、Leaveメッセージを送信する処理部である。
【0064】
メッセージ送信部424は、マルチキャストデータの受信を開始する場合に、MLDメッセージを中継装置300に送信する。メッセージ送信部424は、送信端末アドレス情報テーブル412に記憶された送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスをMLDメッセージに格納する。
【0065】
メッセージ送信部424は、IPアドレスが変更になった旨の情報を受信した場合には、ReportメッセージまたはLeaveメッセージを中継装置200に送信する。
【0066】
具体的に、メッセージ送信部424は、継続してマルチキャストデータを受信する場合には、Reportメッセージを、中継装置200に送信する。メッセージ送信部424は、送信端末アドレス情報テーブル412に記憶された送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスをReportメッセージに格納する。
【0067】
これに対して、メッセージ送信部424は、継続してマルチキャストデータを受信しない場合には、Leaveメッセージを、中継装置200に送信する。
【0068】
マルチキャストデータ受信部425は、送信端末100からのマルチキャストデータを受信し、マルチキャストデータ413として、記憶部410に記憶する。
【0069】
マルチキャストデータ処理部426は、例えば、マルチキャストデータ413を、表示装置等に出力する処理部である。または、マルチキャストデータ処理部426は、マルチキャストデータ413を、外部装置に出力してもよい。
【0070】
次に、本実施例にかかる中継装置200の処理手順について説明する。図11は、中継装置の処理手順を示すフローチャートである。図11に示す処理は、例えば、中継装置が送信端末100からマルチキャストデータを受信したことを契機にして実行される。
【0071】
図11に示すように、中継装置200は、送信端末100からマルチキャストデータを受信する(ステップS101)。中継装置200は、マルチキャストデータを解析し、送信元IPアドレスと、マルチキャストアドレスとを対応づけて、送信端末アドレス管理テーブル212に登録する(ステップS102)。
【0072】
中継装置200は、送信元IPアドレスが変更されていない場合には(ステップS103,No)、ステップS106に移行する。一方、中継装置200は、送信元IPアドレスが変更された場合には(ステップS103,Yes)、アドレス変更通知先情報211から、受信端末400のアドレスを検出する(ステップS104)。
【0073】
中継装置200は、受信端末400にアドレス変更通知パケットを送信し(ステップS105)、処理を継続するか否かを判定する(ステップS106)。中継装置200は、処理を継続する場合には(ステップS106,Yes)、ステップS101に移行する。一方、中継装置200は、処理を継続しない場合には(ステップS106,No)、処理を終了する。
【0074】
次に、本実施例にかかる受信端末400の処理手順について説明する。図12は、受信端末の処理手順を示すフローチャートである。図12に示す処理は、例えば、マルチキャストデータの受信を開始する場合に、実行される。
【0075】
図12に示すように、受信端末400は、アドレス通知要求パケットを送信する(ステップS201)。受信端末400は、アドレス変更通知パケットを受信していない場合には(ステップS202,No)、再度ステップS202に移行する。
【0076】
一方、受信端末400は、アドレス変更通知パケットを受信した場合には(ステップS202,Yes)、送信端末アドレス情報テーブル412を更新する(ステップS203)。
【0077】
受信端末400は、継続してマルチキャストデータを受信する場合には(ステップS204,Yes)、Reportメッセージを中継装置200に送信する(ステップS205)。一方、受信端末400は、継続してマルチキャストデータを受信しない場合には(ステップS204,No)、Leaveメッセージを中継装置200に送信する(ステップS206)。
【0078】
次に、本実施例にかかる中継装置200の効果について説明する。中継装置200は、マルチキャストアドレスの送信元IPアドレスおよびマルチキャストアドレスを監視して、送信端末100のIPアドレスの変更を検出する。中継装置200は、IPアドレスの変更を検出した場合に、変更後のIPアドレスを、送信元のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末400に通知する。このため、受信装置400は、送信端末100の変更後のIPアドレスを知ることができ、継続してパケットを受信可能となる。
【0079】
なお、受信端末400は、送信端末100のIPアドレスが変更されてから、Reportメッセージが中継装置200に到達するまでの間に、送信端末100から配信されたマルチキャストデータを受信できない場合がある。
【0080】
このため、マルチキャストデータ送信部227は、送信端末100のIPアドレスが変更されてから、受信端末400からReportメッセージを受信するまでのマルチキャストデータを、受信端末400に送信してもよい。このような処理を行うことで、受信端末400は、送信端末100のIPアドレスが変更されてから、Reportメッセージが中継装置200に到達するまでの間に、送信端末100から配信されたマルチキャストデータを受信することができる。
【0081】
また、図9に示したメッセージ送信部424は、MDLメッセージを送信していたが、MDLメッセージの代わりに、IGMPメッセージを送信してもよい。
【0082】
次に、図6に示した中継装置200と同様の機能を実現するアドレス通知プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。図13は、アドレス通知プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。
【0083】
図13に示すように、コンピュータ500は、各種演算処理を実行するCPU501と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置502と、ディスプレイ503を有する。また、コンピュータ500は、記憶媒体からプログラム等を読取る読み取り装置504と、ネットワークを介して他のコンピュータとの間でデータの授受を行うインターフェース装置505とを有する。また、コンピュータ500は、各種情報を一時記憶するRAM506と、ハードディスク装置507を有する。そして、各装置501〜507は、バス508に接続される。
【0084】
ハードディスク装置507には、検出プログラム507a、通知プログラム507bを有する。CPU501は、各プログラム507a、507bを読み出して、RAM506に展開する。検出プログラム507aは、検出プロセス506aとして機能する。通知プログラム507bは、通知プロセス506bとして機能する。
【0085】
例えば、検出プロセス506aは、図6の検出部225に対応する。通知プロセス506bは、図6の通知部226に対応する。
【0086】
なお、各プログラム507a、507bについては、必ずしも最初からハードディスク装置507に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ500に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ500がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0087】
以上の各実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0088】
(付記1)マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信して記憶装置に記憶し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして前記送信端末のアドレスの変更を検出する検出部と、
前記検出部が、前記送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変化後のアドレスを通知する通知部と
を有することを特徴とする中継装置。
【0089】
(付記2)前記送信端末のアドレスが変更されてから前記受信端末からマルチキャストデータの送信要求を受信するまでの間のマルチキャストデータを、前記受信端末に送信する送信部を更に有することを特徴とする付記1に記載の中継装置。
【0090】
(付記3)コンピュータが実行するアドレス通知方法であって、
マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信して記憶装置に記憶し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして、前記送信端末のアドレスの変更を検出し、
前記送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変化後のアドレスを通知する
各処理を実行することを特徴とするアドレス通知方法。
【0091】
(付記4)前記送信端末のアドレスが変更されてから前記受信端末からマルチキャストデータの送信要求を受信するまでの間のマルチキャストデータを、前記受信端末に送信する処理を更に実行することを特徴とする付記3に記載のアドレス通知方法。
【0092】
(付記5)コンピュータに、
マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信して記憶装置に記憶し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして、前記送信端末のアドレスの変更を検出し、
前記送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変化後のアドレスを通知する
各処理を実行させることを特徴とするアドレス通知プログラム。
【0093】
(付記6)前記送信端末のアドレスが変更されてから前記受信端末からマルチキャストデータの送信要求を受信するまでの間のマルチキャストデータを、前記受信端末に送信する処理を更にコンピュータに実行させることを特徴とする付記5に記載のアドレス通知プログラム。
【符号の説明】
【0094】
100 送信端末
200、300 中継装置
400 受信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信して記憶装置に記憶し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして前記送信端末のアドレスの変更を検出する検出部と、
前記検出部が、前記送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変更後のアドレスを通知する通知部と
を有することを特徴とする中継装置。
【請求項2】
前記送信端末のアドレスが変更されてから前記受信端末からマルチキャストデータの送信要求を受信するまでの間のマルチキャストデータを、前記受信端末に送信する送信部を更に有することを特徴とする請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
コンピュータが実行するアドレス通知方法であって、
マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信して記憶装置に記憶し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして、前記送信端末のアドレスの変更を検出し、
前記送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変更後のアドレスを通知する
各処理を実行することを特徴とするアドレス通知方法。
【請求項4】
コンピュータに、
マルチキャストデータのパケットを送信端末から受信して記憶装置に記憶し、前記パケットの送信元アドレスとマルチキャストアドレスとを基にして、前記送信端末のアドレスの変更を検出し、
前記送信端末のアドレスの変更を検出した場合に、パケットの送信端末のアドレスを指定してパケットを受信する受信端末に、前記送信端末の変更後のアドレスを通知する
各処理を実行させることを特徴とするアドレス通知プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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