中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法
【課題】 記録媒体への画像転写後におけるフィルム剥離を安定して行わせること。
【解決手段】 このフィルム剥離方法は、カードSを前進させながら、ヒートローラ24によってフィルムFをカードSの表面に押圧して画像を熱転写する画像転写ステップと、画像転写ステップ後、プラテンローラ21を回転させてフィルムFをプラテンローラ21に向けて引戻し搬送させながら、フィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピン30に向けてカードSを後退させる後退搬送ステップと、フィルムFをプラテンローラ21に向けて引戻し搬送させて、フィルムFを剥離ピン30に引っ掛けながらカードSの後端からフィルムFを剥離するフィルム剥離ステップと、を備え、フィルム剥離ステップ前において、後退搬送ステップでは、カードSの後退搬送とフィルムFの引戻し搬送とを交互に間欠的に行うことを特徴とする。
【解決手段】 このフィルム剥離方法は、カードSを前進させながら、ヒートローラ24によってフィルムFをカードSの表面に押圧して画像を熱転写する画像転写ステップと、画像転写ステップ後、プラテンローラ21を回転させてフィルムFをプラテンローラ21に向けて引戻し搬送させながら、フィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピン30に向けてカードSを後退させる後退搬送ステップと、フィルムFをプラテンローラ21に向けて引戻し搬送させて、フィルムFを剥離ピン30に引っ掛けながらカードSの後端からフィルムFを剥離するフィルム剥離ステップと、を備え、フィルム剥離ステップ前において、後退搬送ステップでは、カードSの後退搬送とフィルムFの引戻し搬送とを交互に間欠的に行うことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をフィルム上に一旦転写した後、フィルム上の画像を記録媒体の表面に再転写するための中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平5−261952号公報がある。この公報に記載された熱転写印刷装置は、磁気ストライプ付きのカード、ICカードなどのカード状記録媒体の表面に所望の画像を印刷するための装置である。すなわち、この熱転写印刷装置は、透明材リボン(透明フィルム)及びカラーインクリボンをサーマルヘッドと送りローラ(プラテンローラ)とで挟み込んで、カラーインクリボンによって透明フィルム上に画像を一旦熱転写(一次転写)し、その後、透明フィルム上の画像とカードの表面とを重ね合わせながら、加熱ローラで透明フィルムを加熱させている。このとき、透明フィルムをカードに押圧することによって、カードの表面に透明フィルム上の画像が再転写(二次転写)される。
【特許文献1】特開平5−261952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような熱転写印刷装置においては、透明フィルムからカードに画像を再転写した後、カードから透明フィルムを剥離させる必要がある。この際には、カードを十分に冷却してから剥離を行わないと、カードに再転写された画像の欠けやカードの端部における画像のバリの発生の原因となる。特に、近年ではカードの材料がポリ塩化ビニル(PVC)からポリエチレンテレフタレート(PET)まで多様化し、特にフィルムに接着層が設けられている場合には、フィルム剥離時のカードの冷却は必要不可欠となっている。
【0004】
このようにフィルム剥離前にカードの冷却を行うための方法としては、再転写後にカードをフィルムと共に搬送させて冷却させることが考えられる。その際、カードの搬送速度とフィルムの巻き取り速度によっては、カードがフィルムの巻き取り方向に持ち上がることがあり、カードのジャムの原因となる。また、逆に、フィルムの弛み量が大きくなりカードの端部にフィルムの引っ掛かりを生じることがあり、この場合は、カードからフィルムを円滑に剥離することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑みて為されたものであり、記録媒体への画像転写後におけるフィルム剥離を安定して行わせるようにした中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法は、サーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボン上の配色に基づいてフィルムに画像が熱転写され、このフィルムを、ヒートローラで加熱させながら記録媒体に押圧することによって、記録媒体の表面にフィルム上の画像を再転写する中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法であって、記録媒体を前進させながら、ヒートローラによってフィルムを記録媒体の表面に押圧して画像を熱転写する画像転写ステップと、画像転写ステップ後、プラテンローラを回転させてフィルムをプラテンローラに向けて引戻し搬送させながら、ヒートローラとプラテンローラとの間におけるフィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピンに向けて記録媒体を後退させる後退搬送ステップと、フィルムをプラテンローラに向けて引戻し搬送させて、フィルムを剥離ピンに引っ掛けながら記録媒体の後端からフィルムを剥離するフィルム剥離ステップと、を備え、フィルム剥離ステップ前において、後退搬送ステップでは、記録媒体の後退搬送とフィルムの引戻し搬送とを交互に間欠的に行うことを特徴とする。
【0007】
このようなフィルム剥離方法によれば、ヒートローラによって記録媒体の表面にフィルムを押圧させて画像が熱転写された後、記録媒体とフィルムとが一体化された状態で、フィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピンに向けて記録媒体が後退搬送される。その後、フィルムを剥離ピンに引っ掛けながら引戻し搬送させることで、記録媒体の後端からフィルムが剥離される。この場合、画像熱転写後からフィルム剥離までの間においては、記録媒体の後退搬送とフィルムの引戻し搬送とが交互に間欠的に行われるので、記録媒体後端部におけるフィルムの弛み量の範囲を所定範囲内に容易に維持することができる。その結果、記録媒体の搬送路からのズレやフィルムの記録媒体の端部における引っ掛かりを防止することができる。
【0008】
また、フィルム剥離ステップでは、記録媒体の後退搬送速度と、プラテンローラの回転速度とが略同一であることが好ましい。こうすれば、フィルム剥離時のカード表面に対するフィルムの剥離角度を安定化させることができるので、フィルム剥離後の転写画像の欠けやバリを効果的に防止することができる。
【0009】
さらに、フィルム剥離ステップでは、記録媒体の表面からフィルムが完全に剥離されるまで記録媒体の後退及びフィルムの引戻し搬送を続けることも好ましい。この場合、記録媒体の1回の往復運動で再転写及びフィルム剥離が完了するので、記録媒体毎の処理を効率的に実施できる。特に、記録媒体両面への転写処理を行う必要がある場合には記録媒体の搬送ライン上の往復運動が必須となるので有利である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法によれば、カードへの画像転写後におけるフィルム剥離を安定して行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、中間転写型熱転写印刷装置1は、カードプリンタとも呼ばれ、印刷画像を厚さ約20μm程度の透明なフィルムFに一旦転写した後、このフィルムFから記録媒体(例えばプラスチック製のキャッシュカード、クレジットカード、プリペードカード、ICカードなど)Sに再転写する装置である。このような熱転写印刷装置1は、カードSを発行する際に利用され、高品位な画像をカードSの表面に印刷することができる。従って、セキュリティを高める目的で顔写真の入ったカードSの発行をも可能にする。
【0013】
このような中間転写型熱転写印刷装置1は、画像再転写前のプラスチック製カードSを積層状態で着脱可能にセッティングするためのカードカセット2を有する。カードSは、送出し爪3の進退運動によってカードカセット2の一番下から一枚ずつ繰り出され、カードカセット2から繰り出されたカードSは、反転部4内に一旦装填される。反転部4が水平状態から90度回転した後、送りローラ6によってカードSが上昇すると、カードSは磁気読み/書き部7内に送り込まれる。そして、この磁気読み/書き部7で、カードSの磁気ストライプ内に所定の情報を書き込んだり、磁気ストライプ内の所定の情報を読み取る。
【0014】
これに対して、送りローラ6によってカードSが下降すると、カードSは、非接触IC読み/書き部8内に送り込まれる。そして、この非接触IC読み/書き部8で、カードSのIC内に所定の情報を書き込んだり、IC内の所定の情報を読み取る。その後、反転部4から送り出されたカードSは、着脱自在なクリーニングローラ10を通過した後、ガイド溝13で両側を支持されながら、搬送ローラ11,フィードローラ12によりカードSは画像印刷される直前まで移動する。
【0015】
なお、磁気検出や非接触IC検出が必要ない場合には、反転部4は水平に維持される。また、磁気読み/書き部7又は非接触IC読み/書き部8で不適切と判断されたカードSは、反転部4の回転後、送りローラ6によってイジェクトボックス9内に排出される。
【0016】
次に、カードSへの画像転写を可能にするために、この熱転写印刷装置1は、フィルムFに画像を熱転写する記録部(一次転写部)Aと、フィルムFに転写された画像とカードSとを対向させて、カードSに画像を熱転写する再転写部(二次転写部)Bと、画像転写後のカードSの反りを矯正する反り矯正部Cとを備えている。
【0017】
さらに、この熱転写印刷装置1は、抜き差しにより交換可能なフィルムカートリッジ14とリボンカートリッジ15とを有している。このフィルムカートリッジ14では、フィルムFが上下一対のボビン16,17に巻かれ、リボンカートリッジ15では、カラーインクリボンRが上下一対のボビン18,19に巻かれている。そして、リボンカートリッジ15内のカラーインクリボンRには、溶融性又は昇華性のイエロー・マゼンタ・シアンの3色(またはブラックを加えた4色)のインクを1フレームとして周期的にインクが塗布されている。
【0018】
ここで、前述した記録部Aでは、水平方向に進退可能なフィルム引出しローラ20a,20bとプラテンローラ(通称「プラテン」)21の協働により、プラテンローラ21の略半周にフィルムFが巻き付けられ、サーマルヘッド22によって、プラテンローラ21上のフィルムFにカラーインクリボンRが押し当てられる。そして、フィルムFとカラーインクリボンRとを同期させながら下方に送ることで、加熱状態のサーマルヘッド22によって、カラーインクリボンRの第1色目(イエロー)がフィルムF上に熱転写される。このサーマルヘッド22は、基板上の印画ラインに沿って微小発熱体が一次元的に配列された構造を有している。
【0019】
次に、ラック・ピニオン駆動機構23によってサーマルヘッド22を後退させて、フィルムFとカラーインクリボンRとを離間させた状態で、プラテンローラ21を逆転させながらフィルムFを上昇させて元の位置に復帰させる。その後、前述の転写動作を繰り返しながら、フィルムF上にマゼンタ、シアン、ブラックの順に色を重層させて、所望のカラー画像をフィルムF上に作り出した後、このカラー画像をカードS上に定着させるためのプライマー(接着層)を、カラー画像上に熱転写する。
【0020】
その後、巻取り側ボビン17等の回転によってフィルムF上の記録画像をヒートローラ24の手前まで移動させる。このとき、カードSの先端は、フィルムF上の記録画像の先端と位置合わせされ、カードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態で再転写部Bに送り込まれる。
【0021】
この再転写部Bにおいて、位置合わせされたカードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態でヒートローラ24と押圧ローラ25とで挟み込まれ、160〜200°Cに加熱されたヒートローラ24と押圧ローラ25との協働により、カードSとフィルムFとを加圧搬送させながら、フィルムF上の記録画像をカードSの表面に徐々に転写させる。このとき、カードS表面に圧着されたフィルムFは、後述する剥離処理によってカードSから剥離される。また、ヒートローラ24によって加熱されたカードSには反りが発生するので、カードSは、反り矯正部Cに送り込まれて加圧処理された後、真っ直ぐな状態で装置1外に排出される。
【0022】
以下、図2を参照して、中間転写型熱転写印刷装置1における再転写部B周辺の構成について詳細に説明する。
【0023】
再転写部Bには、カード搬送ラインL1に接するように押圧ローラ25が固定され、その押圧ローラ25の上方には、昇降自在なヒートローラ24が配置されている。このような構成において、ヒートローラ24を押圧ローラに向けて下降させると、押圧ローラ25の周面上部の再転写位置26において、カードSにフィルムF上の画像が転写可能になる。
【0024】
また、押圧ローラ25上の再転写位置26とカードSの供給側に位置するガイド溝13とを結ぶカード搬送ラインL1に沿ってカードSを水平方向に搬送するためのフィードローラ12,27が、押圧ローラ25の前後に回動自在に固定されている。これらのフィードローラ12,27の上方には、それぞれ、板バネによって各フィードローラ12,27の周面に向けて付勢された押圧ローラ12a,27aが支持されている。さらに、カード搬送ラインL1上のフィードローラ12,27に隣接する位置には、それぞれ、カードSの存在を検出するフォトセンサ28,29がカード搬送ラインL1を跨ぐように固定されている。
【0025】
また、ヒートローラ24と押圧ローラ25との間において、カード搬送ラインL1の上方には、カード搬送ラインL1と並行してフィルム搬送ラインL2が位置するようにフィルムFが張架されている。このフィルムFは、ボビン16,17及びプラテンローラ21(図1参照)の協働によってフィルム搬送ラインL2に沿って前進、後退される。さらに、ヒートローラ24とプラテンローラ21との間を通るフィルム搬送ラインL2の外側には、フィルムFの幅に対応する長さを有する軸状の剥離ピン30が、フィルムFの面に平行に固定されている。この剥離ピン30は、カード搬送ラインL1とフィルム搬送ラインL2との間であって、押圧ローラ25とフィードローラ12との間にくるように設置されている。なお、剥離ピン30と押圧ローラ25との距離は、カードSに関するフィルム剥離処理(詳細は、後述する)前の冷却時間が確保されるように十分な距離が設定されることが好ましい。
【0026】
次に、図3を参照して、カードSからのフィルムFの剥離処理を制御するモータ制御手段の構成について説明する。
【0027】
モータ制御手段31は、装置1内に内蔵され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を有する中央処理部32と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュROM等のデータ書き換え可能なROM(Read Only Memory)、又はRAMによって構成されるメモリ部33とを含んで構成されている。中央処理部32は、メモリ部33に格納されているプログラムコード及びデータを読み出すことにより、装置1全体の動作制御を行う。
【0028】
また、中央処理部32には、ステッピングモータM1〜M5が電気的に接続され、中央処理部32は、ステッピングモータM1〜M5に制御パルス信号を送出することにより、各ステッピングモータM1〜M5の回転角度及び回転方向を制御する。ここで、ステッピングモータM1,M2は、ベルト、歯車等の駆動手段を介してフィードローラ12,27に連結されて、フィードローラ12,27を回転駆動させる。ステッピングモータM3は、プラテンローラ21に連結されて、プラテンローラ21を回転駆動させる。また、ステッピングモータM4,M5は、それぞれ、ボビン17,16を回転駆動させるためのモータである。
【0029】
さらに、中央処理部32には、フォトセンサ28,29が電気的に接続されており、中央処理部32は、フォトセンサ28,29から送出される検出信号によりカードSのカード搬送ラインL1上の存在を検出して、その存在に応じてステッピングモータM1〜M5の回転を制御する。
【0030】
次に、このように構成された中間転写型熱転写印刷装置1におけるフィルム剥離方法について、図4〜図11を参照しながら説明する。図4に示した状態はフィルムFからカードSへの画像再転写前の待機状態であり、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM1の正転によりフィードローラ12が駆動されて、カードSがカード搬送ラインL1の再転写位置26の手前まで搬送されて停止された状態である。この状態において、フィルムFの表面には、既に記録部Aでカラー画像が熱転写されており、ヒートローラ24は、このカラー画像のカードSへの再転写のために上昇して待機している。
【0031】
その後、画像の再転写段階になると、図5に示すように、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM3,M4の正転によってプラテンローラ21、及び巻き取り側ボビン17が駆動され、フィルムFにおける画像の前端が再転写位置26の直前まで搬送され、フィルムF上の画像の前端とカードSの前端との位置合わせが行われる。
【0032】
次に、図6に示すように、ヒートローラ24の下降によりフィルムFがヒートローラ24と押圧ローラ25とで挟み込まれ、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM1の正転によってフィードローラ12が駆動され、カードSは再転写位置26を通過して前進し続ける。このとき、カードSは、フィルムFの表面にヒートローラ24が押圧された状態で搬送され、カードSの前端から順次画像が熱転写され、フィルムFとカードSとは一体化した状態でカード搬送ラインL1を前方に移動する。また、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM4の逆転によって巻取り側ボビン17は、フィルムFを巻取り側ボビン17から再転写位置26に向けて搬送し続ける。これにより、カードSの前進時において、カードS表面にフィルムFが貼り付けられた状態を維持する。
【0033】
さらに、図7に示すようにモータ制御手段31の制御によるステッピングモータM2の正転によってフィードローラ27を駆動させることにより、カードSの更なる前進が維持される。このステッピングモータM2の正転は、カードSの全面が再転写位置26を通過してカードSの全面に完全に画像が再転写されるまで続けられる(以上、画像転写ステップ)。その後、ヒートローラ24を二点鎖線で示すように上昇させて再転写処理を終了するとともに、ステッピングモータM4と巻取り側ボビン17の間に配置されたクラッチ34が解除され、巻取り側ボビン17からフィルムFの送り出しが可能になる。
【0034】
その後、図8に示すように、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM2の逆転によってフィードローラ27が駆動され、カードSの後端(図8におけるカードSの右側)が剥離ピン30の下方にくるまで、カードSがカード搬送ラインL1上を後退搬送される。また、モータ制御手段31の制御によってステッピングモータM3,M5を逆転させることによりプラテンローラ21及び送出し側ボビン16が回転させられ、フィルムFはプラテンローラ21を経由して送出し側ボビン16側に徐々に引戻し搬送される(後退搬送ステップ)。なお、モータ制御手段31によるカードSの後退搬送及びフィルムFの引戻し搬送は、カードSの全面にフィルムFが貼り付いた状態を保ったまま交互に間欠的に行われる。
【0035】
そして、図9に示すように、カードSの後退によってカードSの後端が剥離ピン30の位置に達すると、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM2,M3の逆転によってフィードローラ27及びプラテンローラ21が同時に連続的に駆動される(フィルム剥離ステップ)。この場合、カードSの表面が剥離ピン30の下方を通過する時、フィルムFは、カードSの後端側から剥離ピン30の前方周面に引っ掛けられた状態で、プラテンローラ21に向けて引戻し搬送される。従って、フィルムFにはカードSの後端から上方に引き離すような力が作用し、カードS後端から前端にかけてフィルムFが徐々に剥離される。この際、モータ制御手段31がステッピングモータM2,M3の回転速度を制御してフィードローラ27の回転速度(カードSの後退搬送速度)とプラテンローラ21の回転速度(フィルムFの引戻し搬送速度)とを同一にすることによって、カードSの表面からのフィルムFの剥離角度が所定角度に安定に保たれる。
【0036】
更に、上記の剥離処理の途中でカードSの後端がフィードローラ12に到達すると、図10に示すように、ステッピングモータM1の逆転により回転し続けるフィードローラ12によって、カードSからのフィルムFの剥離処理が継続される。この場合のフィードローラ12の回転速度は、フィードローラ27の回転速度と等しくなるように制御されている。その後、図11に示すように、カードSからフィルムFが完全に剥離されるまでモータ制御手段31がモータM1,M3,M5の回転を制御し、カードSの後退搬送及びフィルムFの引戻し搬送を行う(以上、フィルム剥離ステップ)。そして、カードSが反転部4(図1参照)に向けて送り出され、この反転部4でカードSの表裏が反転された後、再転写部BにおいてカードSの裏面に画像が再転写される。なお、カードSの両面印刷が必要ない場合には、カードSからフィルムFが完全に剥離された後、フィードローラ12,27を駆動させて、カード搬送ラインL1及び反り矯正部C(図1参照)を経由してカードSを外部に排出するように動作してもよい。
【0037】
ここで、図12を参照して、前述の後退搬送ステップ及びフィルム剥離ステップについて詳細に説明する。なお、図12は、モータ制御手段31において送受信される制御信号及び検出信号の時間変化を示す図であり、(a)は、プラテンローラ21を駆動する制御パルス信号、(b)は、フィードローラ12,27を駆動する制御パルス信号、(c)は、カード搬送ラインL1における後方のフォトセンサ28(図2参照)の検出信号、(d)は、カード搬送ラインL1における前方のフォトセンサ29(図2参照)の検出信号、(e)は、送出し側ボビン16を駆動する制御パルス信号を示している。ここでは、後退搬送ステップにおけるカードSの後退搬送及びフィルムFの引戻し搬送の間欠回数を3回としている。
【0038】
図8及び図12に示すように、後退搬送ステップ(ST1)においては、先ず最初にフィードローラ12,27を駆動する制御パルス信号Ct1が、モータ制御手段31からモータM1,M2に向けて送出される。その後に制御パルス信号Ct1がオフされた後、プラテンローラ21を駆動する制御パルス信号Ct2が、モータ制御手段31からモータM3に向けて送出される。以降は、それぞれの制御パルス信号Ct1,Ct2が交互に間欠的に3回ずつ送出される。この制御パルス信号Ct1に含まれるパルス数は、1回の制御パルス信号Ct1によるフィードローラ12,27の回転距離が、再転写位置26と剥離ピン30までの距離D1(図8参照)の1/3となるように設定される。すなわち、モータ制御手段31による3回の間欠的な制御パルス信号Ct1の送出により、カードSの後端が再転写位置26から剥離ピン30まで後退搬送されるように設定される。
【0039】
また、制御パルス信号Ct2は、プラテンローラ21の回転距離が、制御パルス信号Ct1によるフィードローラ12,27の回転距離よりもわずかに小さくなるように設定される。これにより、カードSが後退搬送される際に、カードS後端におけるフィルムFの弛み量を小さくすることができるので、後続するフィルム剥離処理が円滑に行われる。なお、後退搬送ステップにおいては、フォトセンサ29(図2参照)がカードSを検知したとき、検出信号Sg2がモータ制御手段31に送信される。
【0040】
その後のフィルム剥離ステップ(ST2)においては、モータ制御手段31によって制御パルス信号Ct1,Ct2が同時に連続的に送出されている。この場合、カードSの搬送速度とフィルムFの搬送速度とが同一となるように制御パルス信号Ct1,Ct2に含まれるパルス数が設定されている。さらに、制御パルス信号Ct1,Ct2の送出に重畳して送出し側ボビン16を駆動する制御パルス信号Ct3も送出されている。この制御パルス信号Ct3は、プラテンローラ21によるフィルムFの引戻し搬送によって生じた送出し側ボビン16側のフィルムFの弛みを、送出し側ボビン16に巻き取るべく送出される。なお、フィルム剥離ステップにおいては、フォトセンサ28(図2参照)がカードSを検知したとき、検出信号Sg1がモータ制御手段31に送信される。これにより、モータ制御手段31はカードSの搬送状態が正常であることを検出する。
【0041】
以上説明した中間転写型熱転写印刷装置1においては、ヒートローラ24によってカードSの表面にフィルムFを押圧させて画像が熱転写された後、カードSとフィルムFとが一体化された状態で、フィルム搬送ラインL2の外側に配置された剥離ピン30に向けてカードSが後退搬送される。その後、フィルムFを剥離ピン30に引っ掛けながら引戻し搬送させることで、カードSの後端からフィルムFが剥離される。この場合、画像熱転写後からフィルム剥離までの間においては、カードSの後退搬送とフィルムFの引戻し搬送とが交互に間欠的に行われるので、カードSとフィルムFとを連続的に搬送する場合に比較して、カードS後端部におけるフィルムFの弛み量の範囲を所定範囲内に容易に維持することができる。これにより、カードSの搬送路L1からのズレやフィルムFのカードSの端部における引っ掛かりを防止することができる。その結果、カードへの画像転写後におけるフィルム剥離を安定して実施することができる。
【0042】
また、フィルム剥離ステップでは、カードSの後退搬送速度と、プラテンローラ21の回転速度とが同一であるので、フィルムF剥離時のカードS表面に対するフィルムFの剥離角度を安定化させることができるので、フィルムF剥離後の転写画像の欠けやバリを効果的に防止することができる。
【0043】
さらに、フィルム剥離ステップでは、カードSの表面からフィルムFが完全に剥離されるまでカードSの後退及びフィルムFの引戻し搬送を続けるので、カードSの1回の往復運動で再転写及びフィルムF剥離が完了するので、カードS毎の処理を効率的に実施できる。特に、カードS両面への転写処理を行う必要がある場合にはカードSの搬送ラインL1上の往復運動が必須となるので有利である。
【0044】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、フィードローラ12,27及びプラテンローラ21の駆動手段としては、ステッピングモータに限られるものではなく、直流モータ等の他の電動モータを用いてもよい。
【0045】
また、カードSの後退速度とプラテンローラ21の回転速度との差を設けるようにして、カードSからのフィルムFの剥離角度を変化させながら剥離処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の熱転写印刷装置における再転写部周辺の構成を示す正面図である。
【図3】図1の熱転写印刷装置におけるモータ制御手段を示す概略構成図である。
【図4】記録媒体であるカードが再転写位置直前まで搬送された状態を示す概略図である。
【図5】フィルムの前端が再転写位置まで搬送された状態を示す概略図である。
【図6】再転写処理が開始された状態を示す概略図である。
【図7】再転写処理が終了した状態を示す概略図である。
【図8】カードがフィルムと一緒に後退する状態を示す概略図である。
【図9】カードからのフィルムの剥離処理が開始された状態を示す概略図である。
【図10】カードからのフィルムの剥離処理が継続されている状態を示す概略図である。
【図11】カードからのフィルムの剥離処理の終了後にカードが搬送されている状態を示す概略図である。
【図12】図3のモータ制御手段において送受信される制御信号及び検出信号の時間変化を示す図であり、(a)は、プラテンローラを駆動する制御パルス信号、(b)は、フィードローラを駆動する制御パルス信号、(c)は、カード搬送ライン後方のフォトセンサの検出信号、(d)は、カード搬送ライン前方のフォトセンサの検出信号、(e)は、送出し側ボビンを駆動する制御パルス信号である。
【符号の説明】
【0047】
1…中間転写型熱転写印刷装置、12,27…フィードローラ、21…プラテンローラ、24…ヒートローラ、26…再転写位置、30…剥離ピン、31…モータ制御手段、F…フィルム、L1…カード搬送ライン(媒体搬送ライン)、L2…フィルム搬送ライン、M1,M2…ステッピングモータ(媒体搬送用モータ)、M3…ステッピングモータ(フィルム搬送用モータ)、R…カラーインクリボン、S…カード(記録媒体)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像をフィルム上に一旦転写した後、フィルム上の画像を記録媒体の表面に再転写するための中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、特開平5−261952号公報がある。この公報に記載された熱転写印刷装置は、磁気ストライプ付きのカード、ICカードなどのカード状記録媒体の表面に所望の画像を印刷するための装置である。すなわち、この熱転写印刷装置は、透明材リボン(透明フィルム)及びカラーインクリボンをサーマルヘッドと送りローラ(プラテンローラ)とで挟み込んで、カラーインクリボンによって透明フィルム上に画像を一旦熱転写(一次転写)し、その後、透明フィルム上の画像とカードの表面とを重ね合わせながら、加熱ローラで透明フィルムを加熱させている。このとき、透明フィルムをカードに押圧することによって、カードの表面に透明フィルム上の画像が再転写(二次転写)される。
【特許文献1】特開平5−261952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような熱転写印刷装置においては、透明フィルムからカードに画像を再転写した後、カードから透明フィルムを剥離させる必要がある。この際には、カードを十分に冷却してから剥離を行わないと、カードに再転写された画像の欠けやカードの端部における画像のバリの発生の原因となる。特に、近年ではカードの材料がポリ塩化ビニル(PVC)からポリエチレンテレフタレート(PET)まで多様化し、特にフィルムに接着層が設けられている場合には、フィルム剥離時のカードの冷却は必要不可欠となっている。
【0004】
このようにフィルム剥離前にカードの冷却を行うための方法としては、再転写後にカードをフィルムと共に搬送させて冷却させることが考えられる。その際、カードの搬送速度とフィルムの巻き取り速度によっては、カードがフィルムの巻き取り方向に持ち上がることがあり、カードのジャムの原因となる。また、逆に、フィルムの弛み量が大きくなりカードの端部にフィルムの引っ掛かりを生じることがあり、この場合は、カードからフィルムを円滑に剥離することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明はかかる課題に鑑みて為されたものであり、記録媒体への画像転写後におけるフィルム剥離を安定して行わせるようにした中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法は、サーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボン上の配色に基づいてフィルムに画像が熱転写され、このフィルムを、ヒートローラで加熱させながら記録媒体に押圧することによって、記録媒体の表面にフィルム上の画像を再転写する中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法であって、記録媒体を前進させながら、ヒートローラによってフィルムを記録媒体の表面に押圧して画像を熱転写する画像転写ステップと、画像転写ステップ後、プラテンローラを回転させてフィルムをプラテンローラに向けて引戻し搬送させながら、ヒートローラとプラテンローラとの間におけるフィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピンに向けて記録媒体を後退させる後退搬送ステップと、フィルムをプラテンローラに向けて引戻し搬送させて、フィルムを剥離ピンに引っ掛けながら記録媒体の後端からフィルムを剥離するフィルム剥離ステップと、を備え、フィルム剥離ステップ前において、後退搬送ステップでは、記録媒体の後退搬送とフィルムの引戻し搬送とを交互に間欠的に行うことを特徴とする。
【0007】
このようなフィルム剥離方法によれば、ヒートローラによって記録媒体の表面にフィルムを押圧させて画像が熱転写された後、記録媒体とフィルムとが一体化された状態で、フィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピンに向けて記録媒体が後退搬送される。その後、フィルムを剥離ピンに引っ掛けながら引戻し搬送させることで、記録媒体の後端からフィルムが剥離される。この場合、画像熱転写後からフィルム剥離までの間においては、記録媒体の後退搬送とフィルムの引戻し搬送とが交互に間欠的に行われるので、記録媒体後端部におけるフィルムの弛み量の範囲を所定範囲内に容易に維持することができる。その結果、記録媒体の搬送路からのズレやフィルムの記録媒体の端部における引っ掛かりを防止することができる。
【0008】
また、フィルム剥離ステップでは、記録媒体の後退搬送速度と、プラテンローラの回転速度とが略同一であることが好ましい。こうすれば、フィルム剥離時のカード表面に対するフィルムの剥離角度を安定化させることができるので、フィルム剥離後の転写画像の欠けやバリを効果的に防止することができる。
【0009】
さらに、フィルム剥離ステップでは、記録媒体の表面からフィルムが完全に剥離されるまで記録媒体の後退及びフィルムの引戻し搬送を続けることも好ましい。この場合、記録媒体の1回の往復運動で再転写及びフィルム剥離が完了するので、記録媒体毎の処理を効率的に実施できる。特に、記録媒体両面への転写処理を行う必要がある場合には記録媒体の搬送ライン上の往復運動が必須となるので有利である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法によれば、カードへの画像転写後におけるフィルム剥離を安定して行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0012】
図1に示すように、中間転写型熱転写印刷装置1は、カードプリンタとも呼ばれ、印刷画像を厚さ約20μm程度の透明なフィルムFに一旦転写した後、このフィルムFから記録媒体(例えばプラスチック製のキャッシュカード、クレジットカード、プリペードカード、ICカードなど)Sに再転写する装置である。このような熱転写印刷装置1は、カードSを発行する際に利用され、高品位な画像をカードSの表面に印刷することができる。従って、セキュリティを高める目的で顔写真の入ったカードSの発行をも可能にする。
【0013】
このような中間転写型熱転写印刷装置1は、画像再転写前のプラスチック製カードSを積層状態で着脱可能にセッティングするためのカードカセット2を有する。カードSは、送出し爪3の進退運動によってカードカセット2の一番下から一枚ずつ繰り出され、カードカセット2から繰り出されたカードSは、反転部4内に一旦装填される。反転部4が水平状態から90度回転した後、送りローラ6によってカードSが上昇すると、カードSは磁気読み/書き部7内に送り込まれる。そして、この磁気読み/書き部7で、カードSの磁気ストライプ内に所定の情報を書き込んだり、磁気ストライプ内の所定の情報を読み取る。
【0014】
これに対して、送りローラ6によってカードSが下降すると、カードSは、非接触IC読み/書き部8内に送り込まれる。そして、この非接触IC読み/書き部8で、カードSのIC内に所定の情報を書き込んだり、IC内の所定の情報を読み取る。その後、反転部4から送り出されたカードSは、着脱自在なクリーニングローラ10を通過した後、ガイド溝13で両側を支持されながら、搬送ローラ11,フィードローラ12によりカードSは画像印刷される直前まで移動する。
【0015】
なお、磁気検出や非接触IC検出が必要ない場合には、反転部4は水平に維持される。また、磁気読み/書き部7又は非接触IC読み/書き部8で不適切と判断されたカードSは、反転部4の回転後、送りローラ6によってイジェクトボックス9内に排出される。
【0016】
次に、カードSへの画像転写を可能にするために、この熱転写印刷装置1は、フィルムFに画像を熱転写する記録部(一次転写部)Aと、フィルムFに転写された画像とカードSとを対向させて、カードSに画像を熱転写する再転写部(二次転写部)Bと、画像転写後のカードSの反りを矯正する反り矯正部Cとを備えている。
【0017】
さらに、この熱転写印刷装置1は、抜き差しにより交換可能なフィルムカートリッジ14とリボンカートリッジ15とを有している。このフィルムカートリッジ14では、フィルムFが上下一対のボビン16,17に巻かれ、リボンカートリッジ15では、カラーインクリボンRが上下一対のボビン18,19に巻かれている。そして、リボンカートリッジ15内のカラーインクリボンRには、溶融性又は昇華性のイエロー・マゼンタ・シアンの3色(またはブラックを加えた4色)のインクを1フレームとして周期的にインクが塗布されている。
【0018】
ここで、前述した記録部Aでは、水平方向に進退可能なフィルム引出しローラ20a,20bとプラテンローラ(通称「プラテン」)21の協働により、プラテンローラ21の略半周にフィルムFが巻き付けられ、サーマルヘッド22によって、プラテンローラ21上のフィルムFにカラーインクリボンRが押し当てられる。そして、フィルムFとカラーインクリボンRとを同期させながら下方に送ることで、加熱状態のサーマルヘッド22によって、カラーインクリボンRの第1色目(イエロー)がフィルムF上に熱転写される。このサーマルヘッド22は、基板上の印画ラインに沿って微小発熱体が一次元的に配列された構造を有している。
【0019】
次に、ラック・ピニオン駆動機構23によってサーマルヘッド22を後退させて、フィルムFとカラーインクリボンRとを離間させた状態で、プラテンローラ21を逆転させながらフィルムFを上昇させて元の位置に復帰させる。その後、前述の転写動作を繰り返しながら、フィルムF上にマゼンタ、シアン、ブラックの順に色を重層させて、所望のカラー画像をフィルムF上に作り出した後、このカラー画像をカードS上に定着させるためのプライマー(接着層)を、カラー画像上に熱転写する。
【0020】
その後、巻取り側ボビン17等の回転によってフィルムF上の記録画像をヒートローラ24の手前まで移動させる。このとき、カードSの先端は、フィルムF上の記録画像の先端と位置合わせされ、カードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態で再転写部Bに送り込まれる。
【0021】
この再転写部Bにおいて、位置合わせされたカードSとフィルムFとは、重ね合わされた状態でヒートローラ24と押圧ローラ25とで挟み込まれ、160〜200°Cに加熱されたヒートローラ24と押圧ローラ25との協働により、カードSとフィルムFとを加圧搬送させながら、フィルムF上の記録画像をカードSの表面に徐々に転写させる。このとき、カードS表面に圧着されたフィルムFは、後述する剥離処理によってカードSから剥離される。また、ヒートローラ24によって加熱されたカードSには反りが発生するので、カードSは、反り矯正部Cに送り込まれて加圧処理された後、真っ直ぐな状態で装置1外に排出される。
【0022】
以下、図2を参照して、中間転写型熱転写印刷装置1における再転写部B周辺の構成について詳細に説明する。
【0023】
再転写部Bには、カード搬送ラインL1に接するように押圧ローラ25が固定され、その押圧ローラ25の上方には、昇降自在なヒートローラ24が配置されている。このような構成において、ヒートローラ24を押圧ローラに向けて下降させると、押圧ローラ25の周面上部の再転写位置26において、カードSにフィルムF上の画像が転写可能になる。
【0024】
また、押圧ローラ25上の再転写位置26とカードSの供給側に位置するガイド溝13とを結ぶカード搬送ラインL1に沿ってカードSを水平方向に搬送するためのフィードローラ12,27が、押圧ローラ25の前後に回動自在に固定されている。これらのフィードローラ12,27の上方には、それぞれ、板バネによって各フィードローラ12,27の周面に向けて付勢された押圧ローラ12a,27aが支持されている。さらに、カード搬送ラインL1上のフィードローラ12,27に隣接する位置には、それぞれ、カードSの存在を検出するフォトセンサ28,29がカード搬送ラインL1を跨ぐように固定されている。
【0025】
また、ヒートローラ24と押圧ローラ25との間において、カード搬送ラインL1の上方には、カード搬送ラインL1と並行してフィルム搬送ラインL2が位置するようにフィルムFが張架されている。このフィルムFは、ボビン16,17及びプラテンローラ21(図1参照)の協働によってフィルム搬送ラインL2に沿って前進、後退される。さらに、ヒートローラ24とプラテンローラ21との間を通るフィルム搬送ラインL2の外側には、フィルムFの幅に対応する長さを有する軸状の剥離ピン30が、フィルムFの面に平行に固定されている。この剥離ピン30は、カード搬送ラインL1とフィルム搬送ラインL2との間であって、押圧ローラ25とフィードローラ12との間にくるように設置されている。なお、剥離ピン30と押圧ローラ25との距離は、カードSに関するフィルム剥離処理(詳細は、後述する)前の冷却時間が確保されるように十分な距離が設定されることが好ましい。
【0026】
次に、図3を参照して、カードSからのフィルムFの剥離処理を制御するモータ制御手段の構成について説明する。
【0027】
モータ制御手段31は、装置1内に内蔵され、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を有する中央処理部32と、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュROM等のデータ書き換え可能なROM(Read Only Memory)、又はRAMによって構成されるメモリ部33とを含んで構成されている。中央処理部32は、メモリ部33に格納されているプログラムコード及びデータを読み出すことにより、装置1全体の動作制御を行う。
【0028】
また、中央処理部32には、ステッピングモータM1〜M5が電気的に接続され、中央処理部32は、ステッピングモータM1〜M5に制御パルス信号を送出することにより、各ステッピングモータM1〜M5の回転角度及び回転方向を制御する。ここで、ステッピングモータM1,M2は、ベルト、歯車等の駆動手段を介してフィードローラ12,27に連結されて、フィードローラ12,27を回転駆動させる。ステッピングモータM3は、プラテンローラ21に連結されて、プラテンローラ21を回転駆動させる。また、ステッピングモータM4,M5は、それぞれ、ボビン17,16を回転駆動させるためのモータである。
【0029】
さらに、中央処理部32には、フォトセンサ28,29が電気的に接続されており、中央処理部32は、フォトセンサ28,29から送出される検出信号によりカードSのカード搬送ラインL1上の存在を検出して、その存在に応じてステッピングモータM1〜M5の回転を制御する。
【0030】
次に、このように構成された中間転写型熱転写印刷装置1におけるフィルム剥離方法について、図4〜図11を参照しながら説明する。図4に示した状態はフィルムFからカードSへの画像再転写前の待機状態であり、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM1の正転によりフィードローラ12が駆動されて、カードSがカード搬送ラインL1の再転写位置26の手前まで搬送されて停止された状態である。この状態において、フィルムFの表面には、既に記録部Aでカラー画像が熱転写されており、ヒートローラ24は、このカラー画像のカードSへの再転写のために上昇して待機している。
【0031】
その後、画像の再転写段階になると、図5に示すように、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM3,M4の正転によってプラテンローラ21、及び巻き取り側ボビン17が駆動され、フィルムFにおける画像の前端が再転写位置26の直前まで搬送され、フィルムF上の画像の前端とカードSの前端との位置合わせが行われる。
【0032】
次に、図6に示すように、ヒートローラ24の下降によりフィルムFがヒートローラ24と押圧ローラ25とで挟み込まれ、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM1の正転によってフィードローラ12が駆動され、カードSは再転写位置26を通過して前進し続ける。このとき、カードSは、フィルムFの表面にヒートローラ24が押圧された状態で搬送され、カードSの前端から順次画像が熱転写され、フィルムFとカードSとは一体化した状態でカード搬送ラインL1を前方に移動する。また、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM4の逆転によって巻取り側ボビン17は、フィルムFを巻取り側ボビン17から再転写位置26に向けて搬送し続ける。これにより、カードSの前進時において、カードS表面にフィルムFが貼り付けられた状態を維持する。
【0033】
さらに、図7に示すようにモータ制御手段31の制御によるステッピングモータM2の正転によってフィードローラ27を駆動させることにより、カードSの更なる前進が維持される。このステッピングモータM2の正転は、カードSの全面が再転写位置26を通過してカードSの全面に完全に画像が再転写されるまで続けられる(以上、画像転写ステップ)。その後、ヒートローラ24を二点鎖線で示すように上昇させて再転写処理を終了するとともに、ステッピングモータM4と巻取り側ボビン17の間に配置されたクラッチ34が解除され、巻取り側ボビン17からフィルムFの送り出しが可能になる。
【0034】
その後、図8に示すように、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM2の逆転によってフィードローラ27が駆動され、カードSの後端(図8におけるカードSの右側)が剥離ピン30の下方にくるまで、カードSがカード搬送ラインL1上を後退搬送される。また、モータ制御手段31の制御によってステッピングモータM3,M5を逆転させることによりプラテンローラ21及び送出し側ボビン16が回転させられ、フィルムFはプラテンローラ21を経由して送出し側ボビン16側に徐々に引戻し搬送される(後退搬送ステップ)。なお、モータ制御手段31によるカードSの後退搬送及びフィルムFの引戻し搬送は、カードSの全面にフィルムFが貼り付いた状態を保ったまま交互に間欠的に行われる。
【0035】
そして、図9に示すように、カードSの後退によってカードSの後端が剥離ピン30の位置に達すると、モータ制御手段31の制御によるステッピングモータM2,M3の逆転によってフィードローラ27及びプラテンローラ21が同時に連続的に駆動される(フィルム剥離ステップ)。この場合、カードSの表面が剥離ピン30の下方を通過する時、フィルムFは、カードSの後端側から剥離ピン30の前方周面に引っ掛けられた状態で、プラテンローラ21に向けて引戻し搬送される。従って、フィルムFにはカードSの後端から上方に引き離すような力が作用し、カードS後端から前端にかけてフィルムFが徐々に剥離される。この際、モータ制御手段31がステッピングモータM2,M3の回転速度を制御してフィードローラ27の回転速度(カードSの後退搬送速度)とプラテンローラ21の回転速度(フィルムFの引戻し搬送速度)とを同一にすることによって、カードSの表面からのフィルムFの剥離角度が所定角度に安定に保たれる。
【0036】
更に、上記の剥離処理の途中でカードSの後端がフィードローラ12に到達すると、図10に示すように、ステッピングモータM1の逆転により回転し続けるフィードローラ12によって、カードSからのフィルムFの剥離処理が継続される。この場合のフィードローラ12の回転速度は、フィードローラ27の回転速度と等しくなるように制御されている。その後、図11に示すように、カードSからフィルムFが完全に剥離されるまでモータ制御手段31がモータM1,M3,M5の回転を制御し、カードSの後退搬送及びフィルムFの引戻し搬送を行う(以上、フィルム剥離ステップ)。そして、カードSが反転部4(図1参照)に向けて送り出され、この反転部4でカードSの表裏が反転された後、再転写部BにおいてカードSの裏面に画像が再転写される。なお、カードSの両面印刷が必要ない場合には、カードSからフィルムFが完全に剥離された後、フィードローラ12,27を駆動させて、カード搬送ラインL1及び反り矯正部C(図1参照)を経由してカードSを外部に排出するように動作してもよい。
【0037】
ここで、図12を参照して、前述の後退搬送ステップ及びフィルム剥離ステップについて詳細に説明する。なお、図12は、モータ制御手段31において送受信される制御信号及び検出信号の時間変化を示す図であり、(a)は、プラテンローラ21を駆動する制御パルス信号、(b)は、フィードローラ12,27を駆動する制御パルス信号、(c)は、カード搬送ラインL1における後方のフォトセンサ28(図2参照)の検出信号、(d)は、カード搬送ラインL1における前方のフォトセンサ29(図2参照)の検出信号、(e)は、送出し側ボビン16を駆動する制御パルス信号を示している。ここでは、後退搬送ステップにおけるカードSの後退搬送及びフィルムFの引戻し搬送の間欠回数を3回としている。
【0038】
図8及び図12に示すように、後退搬送ステップ(ST1)においては、先ず最初にフィードローラ12,27を駆動する制御パルス信号Ct1が、モータ制御手段31からモータM1,M2に向けて送出される。その後に制御パルス信号Ct1がオフされた後、プラテンローラ21を駆動する制御パルス信号Ct2が、モータ制御手段31からモータM3に向けて送出される。以降は、それぞれの制御パルス信号Ct1,Ct2が交互に間欠的に3回ずつ送出される。この制御パルス信号Ct1に含まれるパルス数は、1回の制御パルス信号Ct1によるフィードローラ12,27の回転距離が、再転写位置26と剥離ピン30までの距離D1(図8参照)の1/3となるように設定される。すなわち、モータ制御手段31による3回の間欠的な制御パルス信号Ct1の送出により、カードSの後端が再転写位置26から剥離ピン30まで後退搬送されるように設定される。
【0039】
また、制御パルス信号Ct2は、プラテンローラ21の回転距離が、制御パルス信号Ct1によるフィードローラ12,27の回転距離よりもわずかに小さくなるように設定される。これにより、カードSが後退搬送される際に、カードS後端におけるフィルムFの弛み量を小さくすることができるので、後続するフィルム剥離処理が円滑に行われる。なお、後退搬送ステップにおいては、フォトセンサ29(図2参照)がカードSを検知したとき、検出信号Sg2がモータ制御手段31に送信される。
【0040】
その後のフィルム剥離ステップ(ST2)においては、モータ制御手段31によって制御パルス信号Ct1,Ct2が同時に連続的に送出されている。この場合、カードSの搬送速度とフィルムFの搬送速度とが同一となるように制御パルス信号Ct1,Ct2に含まれるパルス数が設定されている。さらに、制御パルス信号Ct1,Ct2の送出に重畳して送出し側ボビン16を駆動する制御パルス信号Ct3も送出されている。この制御パルス信号Ct3は、プラテンローラ21によるフィルムFの引戻し搬送によって生じた送出し側ボビン16側のフィルムFの弛みを、送出し側ボビン16に巻き取るべく送出される。なお、フィルム剥離ステップにおいては、フォトセンサ28(図2参照)がカードSを検知したとき、検出信号Sg1がモータ制御手段31に送信される。これにより、モータ制御手段31はカードSの搬送状態が正常であることを検出する。
【0041】
以上説明した中間転写型熱転写印刷装置1においては、ヒートローラ24によってカードSの表面にフィルムFを押圧させて画像が熱転写された後、カードSとフィルムFとが一体化された状態で、フィルム搬送ラインL2の外側に配置された剥離ピン30に向けてカードSが後退搬送される。その後、フィルムFを剥離ピン30に引っ掛けながら引戻し搬送させることで、カードSの後端からフィルムFが剥離される。この場合、画像熱転写後からフィルム剥離までの間においては、カードSの後退搬送とフィルムFの引戻し搬送とが交互に間欠的に行われるので、カードSとフィルムFとを連続的に搬送する場合に比較して、カードS後端部におけるフィルムFの弛み量の範囲を所定範囲内に容易に維持することができる。これにより、カードSの搬送路L1からのズレやフィルムFのカードSの端部における引っ掛かりを防止することができる。その結果、カードへの画像転写後におけるフィルム剥離を安定して実施することができる。
【0042】
また、フィルム剥離ステップでは、カードSの後退搬送速度と、プラテンローラ21の回転速度とが同一であるので、フィルムF剥離時のカードS表面に対するフィルムFの剥離角度を安定化させることができるので、フィルムF剥離後の転写画像の欠けやバリを効果的に防止することができる。
【0043】
さらに、フィルム剥離ステップでは、カードSの表面からフィルムFが完全に剥離されるまでカードSの後退及びフィルムFの引戻し搬送を続けるので、カードSの1回の往復運動で再転写及びフィルムF剥離が完了するので、カードS毎の処理を効率的に実施できる。特に、カードS両面への転写処理を行う必要がある場合にはカードSの搬送ラインL1上の往復運動が必須となるので有利である。
【0044】
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。例えば、フィードローラ12,27及びプラテンローラ21の駆動手段としては、ステッピングモータに限られるものではなく、直流モータ等の他の電動モータを用いてもよい。
【0045】
また、カードSの後退速度とプラテンローラ21の回転速度との差を設けるようにして、カードSからのフィルムFの剥離角度を変化させながら剥離処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る中間転写型熱転写印刷装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の熱転写印刷装置における再転写部周辺の構成を示す正面図である。
【図3】図1の熱転写印刷装置におけるモータ制御手段を示す概略構成図である。
【図4】記録媒体であるカードが再転写位置直前まで搬送された状態を示す概略図である。
【図5】フィルムの前端が再転写位置まで搬送された状態を示す概略図である。
【図6】再転写処理が開始された状態を示す概略図である。
【図7】再転写処理が終了した状態を示す概略図である。
【図8】カードがフィルムと一緒に後退する状態を示す概略図である。
【図9】カードからのフィルムの剥離処理が開始された状態を示す概略図である。
【図10】カードからのフィルムの剥離処理が継続されている状態を示す概略図である。
【図11】カードからのフィルムの剥離処理の終了後にカードが搬送されている状態を示す概略図である。
【図12】図3のモータ制御手段において送受信される制御信号及び検出信号の時間変化を示す図であり、(a)は、プラテンローラを駆動する制御パルス信号、(b)は、フィードローラを駆動する制御パルス信号、(c)は、カード搬送ライン後方のフォトセンサの検出信号、(d)は、カード搬送ライン前方のフォトセンサの検出信号、(e)は、送出し側ボビンを駆動する制御パルス信号である。
【符号の説明】
【0047】
1…中間転写型熱転写印刷装置、12,27…フィードローラ、21…プラテンローラ、24…ヒートローラ、26…再転写位置、30…剥離ピン、31…モータ制御手段、F…フィルム、L1…カード搬送ライン(媒体搬送ライン)、L2…フィルム搬送ライン、M1,M2…ステッピングモータ(媒体搬送用モータ)、M3…ステッピングモータ(フィルム搬送用モータ)、R…カラーインクリボン、S…カード(記録媒体)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボン上の配色に基づいてフィルムに画像が熱転写され、このフィルムを、ヒートローラで加熱させながら記録媒体に押圧することによって、前記記録媒体の表面にフィルム上の画像を再転写する中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法であって、
前記記録媒体を前進させながら、前記ヒートローラによって前記フィルムを前記記録媒体の表面に押圧して画像を熱転写する画像転写ステップと、
前記画像転写ステップ後、前記プラテンローラを回転させて前記フィルムを前記プラテンローラに向けて引戻し搬送させながら、前記ヒートローラと前記プラテンローラとの間におけるフィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピンに向けて前記記録媒体を後退させる後退搬送ステップと、
前記フィルムを前記プラテンローラに向けて引戻し搬送させて、前記フィルムを前記剥離ピンに引っ掛けながら前記記録媒体の後端から前記フィルムを剥離するフィルム剥離ステップと、
を備え、
前記フィルム剥離ステップ前において、前記後退搬送ステップでは、前記記録媒体の後退搬送と前記フィルムの引戻し搬送とを交互に間欠的に行うことを特徴とする中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法。
【請求項2】
前記フィルム剥離ステップでは、前記記録媒体の後退搬送速度と、前記プラテンローラの回転速度とが略同一であることを特徴とする請求項1記載の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法。
【請求項3】
前記フィルム剥離ステップでは、前記記録媒体の表面からフィルムが完全に剥離されるまで前記記録媒体の後退及び前記フィルムの引戻し搬送を続けることを特徴とする請求項1又は2記載の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法。
【請求項1】
サーマルヘッドとプラテンローラとの協働により、インクリボン上の配色に基づいてフィルムに画像が熱転写され、このフィルムを、ヒートローラで加熱させながら記録媒体に押圧することによって、前記記録媒体の表面にフィルム上の画像を再転写する中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法であって、
前記記録媒体を前進させながら、前記ヒートローラによって前記フィルムを前記記録媒体の表面に押圧して画像を熱転写する画像転写ステップと、
前記画像転写ステップ後、前記プラテンローラを回転させて前記フィルムを前記プラテンローラに向けて引戻し搬送させながら、前記ヒートローラと前記プラテンローラとの間におけるフィルム搬送ラインの外側に配置された剥離ピンに向けて前記記録媒体を後退させる後退搬送ステップと、
前記フィルムを前記プラテンローラに向けて引戻し搬送させて、前記フィルムを前記剥離ピンに引っ掛けながら前記記録媒体の後端から前記フィルムを剥離するフィルム剥離ステップと、
を備え、
前記フィルム剥離ステップ前において、前記後退搬送ステップでは、前記記録媒体の後退搬送と前記フィルムの引戻し搬送とを交互に間欠的に行うことを特徴とする中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法。
【請求項2】
前記フィルム剥離ステップでは、前記記録媒体の後退搬送速度と、前記プラテンローラの回転速度とが略同一であることを特徴とする請求項1記載の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法。
【請求項3】
前記フィルム剥離ステップでは、前記記録媒体の表面からフィルムが完全に剥離されるまで前記記録媒体の後退及び前記フィルムの引戻し搬送を続けることを特徴とする請求項1又は2記載の中間転写型熱転写印刷装置におけるフィルム剥離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−198963(P2006−198963A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−14602(P2005−14602)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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