説明

串供給装置

【課題】簡単かつコンパクトな構成でありながら、一台の装置で形状や長さが異なる多種類の串を供給でき、かつ、それらの串を詰まりや引っ掛かりを生じることなく確実に一本ずつ供給できる串供給装置を提供する。
【解決手段】多数の串が投入されるホッパー20と、揺動可能に設置された掻き揚げ板32でホッパー20内の串を掻き揚げて攪拌すると共にホッパー20の下端部20aを開閉する攪拌開閉機構30と、傾斜するスライド面41aとガイド面51aとの隙間に形成されて、ホッパー20の下端部20aから出た串を斜め下方に滑落させて搬送する搬送路40と、第2回転軸62に固定したカム63,73の回転に伴う分離部材61と開閉部材71の回転方向への揺動によって、搬送路40を搬送された多数の串Lを一本ずつ分離して排出口40aから排出する分離排出機構60とを備えた串供給装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼鳥や串焼など各種の串刺食品の製造に用いるための串刺装置に対して串を一本ずつ供給するための串供給装置に関し、特に、一種類の装置で形状や長さが異なる多種類の串を供給可能な串供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、肉や野菜など各種食材を串刺しにしてなる串刺食品がある。このような串刺食品として、焼鳥や串焼や串団子などがあるが、これらはいずれも手軽に食することができるため、近年、その消費量が増加している。これら串刺食品は、一般に工場で生産されているが、最近では、従来の手作業に代えて、専用の串刺装置を用いて肉や野菜などの食品への串刺しが効率的に行われている。
【0003】
上記のような串刺装置の従来例として、例えば、特許文献1に示す串刺装置がある。串刺装置では、肉や野菜などの食品に串を刺す作業を行う際、あらかじめ所定位置に一本ずつセットした串をアクチュエータで押し出して、トレイに載せた肉や野菜などの食品に貫通させる。そのため、食品に串を刺す工程の前に、あらかじめ串を一本ずつ所定位置に同じ向きで供給する工程が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−136266号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、上記のような串刺装置には、串を供給するための串供給装置が必要となる。このような串供給装置として、特許文献1に示すように、ホッパーに投入した多数の串を一本ずつ所定位置に排出するようにした装置がある。特許文献1の串刺装置が備える串供給装置は、ホッパーから垂下する通路に沿って串を自重で順に供給位置へ落下させるように構成されている。しかしながら、この構成では、搬送途中で串の位置や向きがずれ易く、串の詰まりや引っ掛かりが生じ易い。また、ホッパーに投入した多数の串には、曲がっているものや折れているものが混入している可能性もあり、そのよう場合にも詰まりや引っ掛かりが生じるおそれがある。このように、ホッパーに収容した多数の串をスムーズに一本ずつ所定位置に供給することは容易でない。
【0006】
そのうえ、串刺食品に用いられる串には、通常の丸串のみならず、角串や平串や鉄砲串など、様々な形状の串がある。なお、ここでいう丸串とは、断面が丸形状の串であり、角串とは、断面が略正方形状の串であり、平串とは、断面が平たい扁平形状(長方形状)の串であり、鉄砲串とは、根元部分に旗状の小突起からなる把持部を有する鉄砲型の串のことある。また、焼鳥用や串焼用の長串(例えば、長さ180mm程度)のみならず、小団子用や弁当の肉団子用の短串(例えば、長さ120mm程度)など、様々な長さの串がある。
【0007】
これらのうち、特に短串は、重量が軽いため搬送中に踊り易く、向きを揃えて一本ずつ供給することが非常に難しい。また、鉄砲串は、重心が中心からずれており、かつ、突起状の把持部を有する形状のため、通常の丸串を供給するための構造をそのまま用いても、スムーズな搬送が行えない。このように、近年の串刺食品の多様化に伴い、形状や長さが異なる多種類の串を供給できるようにすることが必要となっているにもかかわらず、各種の串には、それぞれ供給する際の問題点があり、そのことが多種類の串に対応可能な串供給装置を開発する上での大きな課題となっている。
【0008】
すなわち、従来の串供給装置では、上記のような形状や長さの異なる多種類の串を一台の装置で供給できるものが無かった。したがって、形状や長さが異なる串の種類ごとに異なる装置が必要で、串刺食品の製造コストや作業スペースが嵩む要因になっていた。
【0009】
また、上記のように、形状や長さが異なる多種類の串を供給できる装置がこれまで無かったため、特に、鉄砲串などの特殊な形状の串や、通常よりも長さが短い短串の供給は、機械に頼らず手作業でこれを行っていた。しかしながら、串の供給を手作業で行うのでは、串刺装置により串刺作業を自動化しても、結局のところ人件費がかかるうえ、生産量を上げるにも制限が生じてしまう。そのため、特に、鉄砲串や短串にも対応が可能な串供給装置の実用化が必要とされていた。
【0010】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単かつコンパクトな構成でありながら、一台の装置で形状や長さが異なる多種類の串を供給でき、かつ、それらの串を詰まりや引っ掛かりを生じることなく確実に一本ずつ供給できる串供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明にかかる串供給装置は、上部に開口する投入口(21)から投入された串を横置き状態で収容するホッパー(20)と、前記ホッパー(20)内の串を掻き揚げて攪拌すると共に該ホッパー(20)の下端部(20a)を開閉する攪拌開閉手段(30)と、を備える串投入部(110)と、前記ホッパー(20)に投入された串を該ホッパー(20)の下端部(20a)から斜め下方に向けて滑落させながら搬送するスライド面(41a)を有するスライド板(41)と、該スライド面(41a)に対向して所定間隔で平行に設置されたガイド面(51a)を有するガイド板(51)とを備え、前記スライド面(41a)と前記ガイド面(51a)との隙間に前記串を一本ずつ並べて搬送可能な搬送路(40)が形成された串搬送部(120)と、前記搬送路(40)の下流端に設けた排出口(40a)を有する串排出部(130)と、前記串排出部(130)において前記搬送路(40)を搬送されてきた多数の串(L)を一本ずつ分離して前記排出口(40a)から排出する分離排出機構(60)と、を備え、前記ホッパー(20)に収容された多数の串を前記攪拌開閉手段(30)で前記搬送路(40)に導入して、該搬送路(40)で前記串排出部(130)へ搬送し、前記分離排出機構(60)で一本ずつ分離して適当なタイミングで前記排出口(40a)から外部の供給位置へ排出するように構成したことを特徴とする。
【0012】
本発明にかかる串供給装置によれば、ホッパー内の串を掻き揚げて攪拌すると共にホッパーの下端部を開閉する攪拌開閉手段を備えたことで、ホッパー内に投入した多数の串を攪拌して一定の本数ずつ順番に下流側の搬送路へ導くことができる。これにより、下流側の搬送路を搬送される串に詰まりや引っ掛かりが生じることを効果的に防止できる。また、ホッパーに投入された串を該ホッパーの下端部からスライド面に沿って斜め下方に向けて滑落させながら搬送するようにしたことで、串を搬送するための複雑な構造やそれを駆動するための動力などを用いることなく、ホッパーから出た串を排出口へ向けてスムーズに搬送することが可能となる。また、傾斜するスライド面とガイド面との隙間に串を一本ずつ並べて搬送可能な搬送路を形成したので、簡単な構成でありながら、ホッパー内の多数の串を同じ向きに揃えた状態で一本ずつ順番に排出口へ送ることが可能となる。また、このように構成したことで、搬送される串の姿勢が長さの影響を受け難くなるので、搬送する串が比較的長い串と短い串のいずれであっても、当該串を向きを揃えた状態で安定的に供給することが可能となる。さらに、串排出部において搬送路を搬送されてきた多数の串を一本ずつ分離して該一本の串を適当なタイミングで排出口から排出する分離排出機構を設けたことで、串刺装置による串刺工程のタイミングに合わせて、串を一本ずつ所定の供給位置へ供給することが可能となる。したがって、串を供給する作業が完全に自動で行えるようになり、串刺食品の製造作業の効率を向上させることができる。
【0013】
また、この串供給装置では、前記攪拌開閉手段(30)は、前記ホッパー(20)内で支軸(31)を中心とする回転方向に沿って揺動可能に設置された掻き揚げ板(32)と、前記掻き揚げ板(32)の裏面(32a)側に設置した第1回転軸(35)と、前記第1回転軸(35)を回転駆動するための第1モータ(5)と、該第1回転軸(35)と一体に回転する掻き揚げ用カム(36)と、を備え、前記掻き揚げ用カム(36)の回転に伴い前記掻き揚げ板(32)が前記ホッパー(20)内で回転方向に沿って上下に揺動するようになっており、前記第1回転軸(35)が一回転する間に、前記掻き揚げ板(32)が前記ホッパー(20)の下端部(20a)を閉じる下限位置(P1)から一回上下に揺動して前記下限位置(P1)に戻る動作が行われるように構成してよい。
【0014】
この構成によれば、第1回転軸及び掻き揚げ用カムの回転で掻き揚げ板を上下に揺動させるという簡単な構成でありながら、ホッパーに収容した多数の串を効果的に攪拌でき、かつ、ホッパーの下端部の開閉を一定の間隔で行うことができるので、ホッパー内の串を一定量ずつ順番に搬送路へ導くことが可能となる。したがって、ホッパーに多数の串を投入した場合でも、当該串を詰まりや引っ掛かりを生じることなくホッパーの下端部から搬送路へスムーズに導くことが可能となる。
【0015】
また、この串供給装置では、前記分離排出機構(60)は、前記排出口(40a)の近傍に設置した第2回転軸(62)と、前記第2回転軸(62)を回転駆動するための第2モータ(6)と、該第2回転軸(62)と一体に回転する分離用カム(63)と、前記分離用カム(63)の押圧で揺動軸(64)を中心に回転方向へ揺動する分離部材(61)と、該分離部材(61)に設けた前記搬送路(40)における多数の串(L)の間に差し込まれる分離爪(61a)と、前記分離部材(61)を前記分離爪(61a)が前記搬送路(40)から退避した位置に付勢する付勢手段(66)と、前記第2回転軸(62)と一体に回転する開閉用カム(73)と、前記開閉用カム(73)の押圧で前記揺動軸(64)を中心に前記排出口(40a)を開く開位置と前記排出口(40a)を閉じる閉位置との間で回転方向へ揺動する開閉部材(71)と、前記開閉部材(71)を前記閉位置へ付勢する他の付勢手段(79)と、を備え、前記第2回転軸(62)が一回転する間に、前記分離用カム(63)で押圧された前記分離部材(61)が前記付勢手段(66)の付勢力に抗して揺動することで、前記分離爪(61a)が前記搬送路(40)を搬送されてきた多数の串(L)から最先の一本の串(L)のみを分離し、その状態で、前記開閉用カム(63)で押圧された前記開閉部材(71)が前記閉位置から前記開位置へ揺動して前記排出口(40a)が開かれることで、前記最先の一本の串(L)のみが前記排出口(40a)から排出されるように構成してよい。
【0016】
この構成によれば、第2回転軸と一体に回転する分離用カム及び掻き揚げ用カムで分離部材及び開閉部材を揺動させるという簡単な構成でありながら、第2回転軸が一回転する間に、分離部材で最先の一本の串を分離し、開閉部材で該最先の一本の串のみを適当なタイミングで排出口から排出できる。したがって、第2回転軸を回転駆動するだけで、搬送路を搬送される串を一本ずつ確実に分離して、串刺装置から要求されたタイミングで供給位置へ供給することが可能となる。
【0017】
また、本発明にかかる串供給装置では、前記ホッパー(20)及び前記搬送路(40)における前記串の進行方向に対する幅方向の両側には、一対の幅板(7,7)を所定間隔で並べて設置可能であり、該一対の幅板(7,7)間の寸法に応じて前記ホッパー(20)に収容されて前記搬送路(40)を搬送される串の長さ寸法が設定されるようになっており、前記一対の幅板(7,7)は、前記ホッパー(20)の内面(22a,41a)と、前記掻き揚げ板(32)とに形成したスリット(11)に差し込んで設置するようになっており、前記スリット(11)は、前記幅方向において複数本が所定間隔で並べて形成されており、前記幅方向に並ぶ複数本のスリット(11)から前記幅板(7,7)を差し込むスリット(11)を選択することで、供給する串(L)の長さ寸法を複数種類に設定可能であってよい。
【0018】
このように、供給する串の長さ寸法を規定するための幅板と、該幅板を設置するための複数のスリットを設けたことで、幅板を差し込むスリットの位置を変更する簡単な作業を行うだけで、供給する串の長さ寸法を複数種類から選択して設定可能である。これにより、通常の焼鳥や串焼用の長串だけでなく、小団子用や弁当の肉団子用などの短串も供給することが可能となる。したがって、一台の串供給装置で複数種類の長さの串を供給できるので、製造可能な串刺食品の品種を増やすことができると共に、串刺食品の製造にかかるコストを効果的に低減することが可能となる。
【0019】
また、本発明にかかる串供給装置では、前記スライド面(41a)における前記串(L)の進行方向に対する幅方向の一部には、鉄砲串(204)の把持用の突出片(204a)を収容可能な窪み(42)が形成されており、前記搬送路(40)を搬送される前記串(L)が鉄砲串(204)である場合、前記ホッパー(20)の下端部(20a)から出て前記スライド面(41a)を滑落する前記鉄砲串(204)の前記突出片(204a)が前記窪み(42)内に配置されるように構成してよい。
【0020】
このように、スライド面における串の進行方向に対する幅方向の一部に鉄砲串用の窪みを形成したことで、スライド面を滑落する鉄砲串の突出片が窪み内に配置されるようになる。これにより、本発明にかかる串供給装置では、突出片が無い通常の丸串や角串だけでなく、把持用の突出片を有する鉄砲串も供給が可能である。したがって、一台の串供給装置で形状の異なる複数種類の串を供給できるので、製造可能な串刺食品の品種をより増やすことができると共に、串刺食品の製造にかかるコストをより効果的に低減することが可能となる。
【0021】
特に、本発明にかかる串供給装置では、搬送路における傾斜状のスライド面に上記の窪みを形成したことで、鉄砲串がスライド面を滑落する際、鉄砲串の突出片が自重で下側(スライド面側)を向くことで、当該突出片が自動的に窪み内に収まるという作用がある。これにより、突出片が進行方向を向いた状態で鉄砲串が搬送路に並ぶことを防げるので、搬送路の鉄砲串が進行方向に対して扇形に積み上がるおそれがなくなり、互いに平行な状態で並ぶようになる。したがって、搬送する串が鉄砲串であっても、向きを一定に揃えた状態で安定的に供給することが可能となる。よって、本発明にかかる串供給装置では、従来、安定した供給が非常に難しかった把持用の突出片を有する鉄砲串をスムーズに供給することが可能となる。
【0022】
また、上記の串供給装置では、前記搬送路(40)における第1の位置(A)において搬送される串の有無を検出する第1串検出手段(55)と、前記搬送路(40)における前記第1の位置(A)よりも下流側の第2の位置(B)において搬送される串の有無を検出する第2串検出手段(56)と、前記第1串検出手段(55)及び前記第2串検出手段(56)による串の有無の検出に基づいて、前記第1モータ(5)による前記第1回転軸(35)の回転駆動及び前記第2モータ(6)による前記第2回転軸(62)の回転駆動を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記第1串検出手段(55)と前記第2串検出手段(56)の両方が串を検出している間は、前記第1モータ(5)による前記第1回転軸(35)の回転駆動を停止して、前記第2モータ(6)による前記第2回転軸(62)の回転駆動のみを行い、前記第1串検出手段(55)が串を検出せず、かつ前記第2串検出手段(56)が串を検出している間は、前記第1モータ(5)による前記第1回転軸(35)の回転駆動を行うと共に、前記第2モータ(6)による前記第2回転軸(62)の回転駆動を行い、前記第1串検出手段(55)と前記第2串検出手段(56)の両方が串を検出しなくなった時点又はその時点から予め設定した所定時間が経過した時点で、前記第1モータ(5)による前記第1回転軸(35)の回転駆動を停止すると共に、前記第2モータ(6)による前記第2回転軸(62)の回転駆動を停止するとよい。
【0023】
この構成によれば、第1串検出手段が串を検出せず、かつ第2串検出手段が串を検出している間は、第1モータによる第1回転軸の回転駆動を行い、第1串検出手段と第2串検出手段の両方が串を検出している間は、第1モータによる第1回転軸の回転駆動を停止するので、搬送路の串が所定の本数よりも少なくなった場合にのみ掻き揚げ板の上下動によるホッパーの下端部の開閉が行われる。したがって、搬送路に串が十分ある状態では、ホッパーの下端部が開かれないので、搬送路への串の供給が過多になることを防止できる。これにより、搬送路の串を詰まりや引っ掛かりを生じることなくスムーズに搬送できる。また、第1回転軸の回転及び掻き揚げ板の上下動を最小限に抑えることができるので、装置の耐久性を向上させることができ、消費電力を低減することができる。
【0024】
また、第1串検出手段と第2串検出手段の両方が串を検出しなくなった時点又はその時点から予め設定した所定時間が経過した時点で、第1モータによる第1回転軸の回転駆動を停止すると共に、第2モータによる第2回転軸の回転駆動を停止することで、搬送路の串が全部無くなる前に串の供給を一旦停止することができる。したがって、ホッパーに串を補充して串の供給を再開する際に、搬送路に最初から全部の串を入れ直す必要がなくなるので、串の供給を簡単かつ迅速に再開することが可能となる。
【0025】
また、この串供給装置では、前記第2回転軸(62)の回転を検出する回転検出手段(67)を備え、前記制御手段は、前記回転検出手段(67)の検出に基づいて、前記第2回転軸(62)の回転を適当なタイミングで1回転ずつ間欠的に行わせることで、前記串(L)を当該タイミングで前記排出口(40a)から外部の供給位置へ排出するとよい。
【0026】
この構成によれば、串刺装置に要求されたタイミングで串を供給することが可能となるので、串刺装置に対する串の供給を安定的に行うことができる。また、串の供給を自動化することが可能となる。
【0027】
また、この串供給装置では、前記第1串検出手段(55)及び前記第2串検出手段(56)はいずれも、一体に構成された投光部及び受光部(55a,56a)を備えた光反射型のセンサであり、前記第1串検出手段(55)及び前記第2串検出手段(56)は、それらの投光部及び受光部(55a,56a)が前記ガイド板(51)を支持する支持部材(52)に設けた貫通穴(52a,52b)を介して前記スライド面(41a)上の前記第1の位置(A)と前記第2の位置(B)それぞれに対向して配置されているとよい。
【0028】
この構成によれば、第1串検出手段及び第2串検出手段として一体に構成された投光部及び受光部を備えた光反射型のセンサを用いたことで、投光部と受光部が検出位置の両側に分離している透過型のセンサを用いた場合と比較して、煩雑な光軸合わせの作業が不要となる。したがって、第1串検出手段及び第2串検出手段の組み付け作業を簡単かつ迅速に行えるようになる。また、第1串検出手段及び第2串検出手段による串の有無の検出精度を向上させることができる。さらに、第1串検出手段及び第2串検出手段は、それらの投光部及び受光部がガイド板を支持する支持部材の貫通穴を介して第1の位置と第2の位置それぞれに対向して配置されているので、簡単な構成で、第1の位置と第2の位置における串の有無を検出できるようになる。
【0029】
また、上記の串供給装置では、前記スライド板(41)に対する前記ガイド板(51)の高さ位置を調節するための高さ調節機構(80)を備え、該高さ調節機構(80)は、前記ガイド板(51)側と前記スライド板(41)側のいずれか一方に固定した調節具(81)と、該調節具(81)に形成した縦横に延びる十字型の溝部(83)と、前記ガイド板(51)側と前記スライド板(41)側のいずれか他方に固定したつまみ(85)と、該つまみ(85)に形成した直線状の突起部(86)と、を備え、前記つまみ(85)の前記突起部(86)は、前記調節具(81)の前記十字型の溝部(83)に対して縦向きと横向きとの両方に係合可能となっており、前記突起部(86)を前記十字型の溝部(83)に対して係合させる向きの縦横を切り替えることで、前記スライド板(41)に対する前記ガイド板(51)の高さ位置を変更可能であってよい。
【0030】
この構成によれば、簡単な作業でスライド面に対するガイド面の高さ位置を調整することが可能となる。すなわち、仮に、ガイド板の高さ調整を長穴に対するネジ止め位置の変更で行う場合には、ネジを緩めた状態で、ガイド板又はそれを支持する部材を手で支えながら高さを調整し、その状態で再度ネジを止め直す作業が必要となる。この作業は、ガイド板を手で支えながらネジ止めしなければならず、非常に行い難いため、ガイド板の高さ調整の作業が煩雑になる。これに対して、本発明にかかる高さ調節機構では、つまみの突起部を調節具の十字型の溝部に対して係合させる向きを縦向きと横向きとで切り替えるだけで、ガイド板の高さ調節が行える。したがって、スライド面に対するガイド面の高さ位置を調整することが簡単に行えるので、搬送する串の微細な断面寸法や形状の違いにも容易に対応できる。したがって、搬送する串の詰まりや引っ掛かりを効果的に防止できるので、串をよりスムーズに搬送することが可能となる。
【0031】
なお、上記のつまみは、バネなどの付勢手段で突起部が調節具の溝部に係合する位置へ付勢されていることが望ましい。これによれば、当該付勢手段の付勢力に抗してつまみを引っ張るだけで、突起部の溝部に対する係合を外すことができ、つまみを引っ張る力を解除するだけで、再度、突起部を溝部に係合させることができる。したがって、つまみの突起部を調節具の十字型の溝部に対して係合させる向きを切り替える作業がさらに簡単に行えるようになる。
【0032】
また、上記の串供給装置では、前記開閉部材(71)は、前記揺動軸(64)を中心に回転方向へ揺動可能に設置した揺動部材(74)と、該揺動部材(74)に取り付けた前記排出口(40a)を塞ぐ板状の蓋部材(75)と、を備え、前記蓋部材(75)には、前記排出口(40a)に挿入されて最下端の串(L)を停止させる突起状のストッパー片(76)が形成されており、前記ストッパー片(76)は、前記蓋部材(75)の一方の面(75a)に設けた長い突出寸法の第1ストッパー片(76a)と、前記蓋部材(75)の他方の面(75b)に設けた短い突出寸法の第2ストッパー片(76b)とを含み、前記揺動部材(74)に対する前記蓋部材(75)の取り付け向きを前記一方の面(75a)側と前記他方の面(75b)側とで変えることで、前記第1ストッパー片(76a)と前記第2ストッパー片(76b)とを切り替えて設置可能であるとよい。
【0033】
上記の第1ストッパー片と第2ストッパー片のうち、長い突出寸法の第1ストッパー片は、搬送方向の断面寸法がより小さい丸串や角串あるいは鉄砲串の供給に使用し、短い突出寸法の第2ストッパー片は、搬送方向の断面寸法がより大きい平串の供給に使用するものである。すなわち、平串の場合は、短い突出寸法の第2ストッパー片を使用することで、搬送路の最下端でストッパー片に当接して停止する串の位置を若干下流側にずらすことで、搬送路に進入する分離爪が最下端の串に衝突することを防止できるようにする。そして、本発明にかかる上記の構成によれば、揺動部材に対する蓋部材の取り付け向きを変えるだけの簡単な作業で、第1ストッパー片と第2ストッパー片とを切り替えて設置可能である。したがって、丸串又は角串あるいは鉄砲串の供給と、平串の供給とを簡単かつ迅速に切り替えることが可能である。また、この構成によれば、用意する蓋部材が一種類で足りるので、串供給装置の部品点数が少なくて済む。
なお、ここでの括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0034】
本発明にかかる串供給装置によれば、簡単かつコンパクトで低廉な構成でありながら、一台の装置で形状や長さが異なる多種類の串を供給することが可能となり、かつ、それらの串を詰まりや引っ掛かりを生じることなく確実に一本ずつ分離して供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態にかかる串供給装置を示す正面図である。
【図2】串供給装置の外観構成を示す側面図(左側面図)である。
【図3】串供給装置の外観構成を示す側面図(右側面図)である。
【図4】串供給装置の内部構造を示す側面図である。
【図5】串供給装置の平面図である。
【図6】搬送路を示す図で、図4のC−C矢視断面における概略構成を示す図である。
【図7】スライド板を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のD−D矢視断面を示す図である。
【図8】スライド板の他の構成例を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、(a)のE−E矢視断面を示す図、(c)は、(a)のE´−E´矢視断面を示す図である。
【図9】分離排出機構の分離部材及びその周辺の構成を示す図で、図1のA−A矢視断面を示す図である。
【図10】分離排出機構の開閉部材及びその周辺の構成を示す図で、図1のB−B矢視断面を示す図である。
【図11】開閉部材のスイングプレートを示す図で、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、側面図である。
【図12】開閉部材の蓋板を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、背面図である。
【図13】分離排出機構の動作を説明するための図である。
【図14】幅板を示す図で、(a)は、側面図、(b)は、正面図である。
【図15】高さ調節機構を示す図で、(a)は、図2のG−G矢視断面における概略構成を示す図、(b)は、(a)のF部分の拡大図、(c)は、F部分を側方から見た図である。
【図16】高さ調節機構による高さ調節の手順を説明するための図である。
【図17】串供給装置で供給可能な串の種類を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1乃至図5は、本発明の一実施形態にかかる串供給装置を示す図で、図1は、正面図、図2は、外観構成を示す左側面図、図3は、外観構成を示す右側面図、図4は、内部構造を示す側面図、図5は、平面図である。なお、図5では、後述するベース板2や上部モータ5及び下部モータ6などは図示を省略している。本実施形態にかかる串供給装置1は、焼鳥や串焼などの串刺食品の製造に用いるための串刺装置(図示せず)に対して、串刺用のアクチュエータで肉や野菜などの食品に差し込む串を押し出す前の所定位置へ一本ずつ串を供給するための装置である。この串供給装置1は、串刺装置における串刺食品に差し込む串を押し出す前の所定位置(串セット位置)の近傍に設置して使用される。なお、以下の説明では、手前側又は前側というときは、串供給装置1における図1に示す正面の側を示し、奥側又は後側というときは、その反対側を示すものとする。また、幅方向というときは、串供給装置1の正面から見た両側方向(搬送される串の長手方向でもある。)を示し、左右というときは、同じく串供給装置1の正面から見た左右を示すものとする。
【0037】
図17は、本実施形態の串供給装置1で供給可能な串の種類を説明するための図で、同図(a),(b)は、丸串201を示す図、(c),(d)は、角串202を示す図、(e),(f)は、平串203を示す図、(g)は、鉄砲串204を示す図、(h)は、他の鉄砲串204−2を示す図である。なお、同図(a),(c),(e),(g),(h)は、各串の側面図であり、(b),(d),(f)は、各串の断面図である。また、断面図は、側面図よりも若干拡大して図示している。本実施形態の串供給装置1では、通常の丸串201に加えて、角串202、平串203、鉄砲串204を供給することが可能である。各串には、主に竹製の串が用いられる。丸串201は、同図(a),(b)に示すように、断面が丸形状の串であり、角串202は、同図(c),(d)に示すように、断面が正方形の串であり、平串203は、同図(e),(f)に示すように、断面が平たい扁平形状(長方形状)の串であり、鉄砲串204は、同図(g)に示すように、根元部分に把持用の突出片204aが形成された串である。また、同図(h)に示す鉄砲串204−2のように、把持用の突出片204−2aが幅方向の両側に突出した形状の鉄砲串も供給が可能である。なお、図示は省略しているが、鉄砲串204(20−2)の断面は、丸串201と同様の丸形状でも良いし、角串202と同様の正方形状でもよい。
【0038】
図1乃至図5に示すように、串供給装置1は、ベース板2の上に所定間隔で平行に立設された一対の側板3,3を備え、全体が箱型の外形を有している。一対の側板3,3は、複数の連結軸4で連結されている。そして、図4に示すように、一対の側板3,3の内側には、奥側の上部に設けた串を投入するためのホッパー20を有する串投入部110と、串投入部110から串供給装置1の手前側の下端に設けた串排出部130まで延びる搬送路40を有する串搬送部120と、搬送路40の下流端の排出口40aに設けた分離排出機構60とが設置されている。この串供給装置1は、ホッパー20に収容された多数の串を搬送路40で順次に排出口40aへ搬送し、当該串を分離排出機構60で一本ずつ分離して排出口40aから排出し、外部へ供給するように構成されている。以下、串供給装置1の各部の構成及び動作を詳細に説明する。
【0039】
串投入部110は、上部に開口する投入口21から投入された多数の串を収容するホッパー20と、ホッパー20内に収容された多数の串を掻き揚げて攪拌すると共にホッパー20の下端部20aを開閉する攪拌開閉機構(攪拌開閉手段)30とを備えて構成されている。攪拌開閉機構30は、ホッパー20内で支軸31を中心に回転方向へ揺動可能に設置された掻き揚げ板32を備えている。
【0040】
ホッパー20は、一対の側板3,3の間で前面側の掻き揚げ板32と後面側の背板22との間に形成された有底容器状の部分である。このホッパー20は、投入口21から投入された多数の串をその長手方向が幅方向に延びるように横置き(横積み)状態で収容するようになっている。その際、各串は先端と後端の向きを互いに揃えた状態で収容する。背板22は、ホッパー20内の後側に立設されており、下端側が若干手前に向かって傾斜している。また、ホッパー20の下端部20aから串供給装置1の手前側の下端に向かって斜めに傾斜する平板状のスライド板41が設置されている。スライド板41の上面は、ホッパー20内の串を排出口40aに向けて滑落させるためのスライド面41aになっている。スライド面41aにおける掻き揚げ板32よりも後側の部分は、ホッパー20の底面を構成している。
【0041】
一方、ホッパー20内に設置した掻き揚げ板32は、上端から下端に向かって前側から後側へ若干傾斜した状態で立設されている。掻き揚げ板32は、その上端辺32c側が支軸31に揺動自在に支持されており、該支軸31を支点として下端辺32dが上下方向(前後方向)に揺動するようになっている。支軸31は、一対の側板3,3の間に架け渡されて、串供給装置1の幅方向に延びている。一方、掻き揚げ板32の裏面(ホッパー20とは反対の正面側の面)32aにおける幅方向の中央には、ローラー33が設置されている。ローラー33は、掻き揚げ板32の裏面32aに断面略コ字型のブラケット33aで回転自在に取り付けられている。
【0042】
掻き揚げ板32の裏面32a側には、側板3,3の間に架け渡された回転軸(第1回転軸)35が設置されており、第1回転軸35には、カム(以下、「掻き揚げ用カム」という。)36が固定されている。掻き揚げ用カム36は、図1に示すように、第1回転軸35に固定した円筒状のカム座35aの端面に固定されている。また、図4に示すように、掻き揚げ用カム36の外周面36aはローラー33に当接している。掻き揚げ用カム36は、その外周面36aにおける回転方向の一箇所に段部36bを有しており、段部36bの周りを一周する間に回転方向に沿って次第に拡径する形状になっている。
【0043】
また、図1に示すように、一方の側板3の外側には、第1回転軸35を回転駆動するための上部モータ(第1モータ)5が設置されている。上部モータ5は、側板3にモータブラケット5aを介して固定されている。上部モータ5の駆動軸5bは、モータブラケット5a及び側板3を貫通して第1回転軸35に連結されている。上部モータ5の駆動は、後述する制御部(図示せず)によって制御されるようになっている。
【0044】
また、図4に示すように、掻き揚げ板32の裏面32a側には、掻き揚げ板32の下方への揺動を規制するためのストッパー37が設置されている。ストッパー37は、ウレタンゴムなどのクッション性を有する円筒状の部材であり、側板3,3間に架け渡したストッパー軸37aの外周に設置されている。また、掻き揚げ板32の裏面32a側から突出する細片状の固定片38aと、串供給装置1内で掻き揚げ板32の手前側に離間した位置に設置したスプリング支持軸38bとの間には、コイルスプリング(付勢手段)38が架け渡されている。掻き揚げ板32は、このコイルスプリング38の付勢力(引張力)によって、裏面32aがストッパー37に当接するホッパー20内の下限位置P1へ付勢されている。したがって、掻き揚げ板32は、掻き揚げ用カム36でローラー33が押し上げられていない状態では、コイルスプリング38の付勢力でストッパー37に当接した下限位置P1で停止している。この下限位置P1では、掻き揚げ板32の下端辺32dがホッパー20の底面(スライド面41a)に対して僅かな離間寸法(串の断面が容易に通らない程度の離間寸法)で対向している。したがって、掻き揚げ板32によって、搬送路40の入口であるホッパー20の下端部20aが閉じられた状態になっている。
【0045】
そして、第1回転軸35の回転に伴い、掻き揚げ用カム36の外周面36aがローラー33上を転動し、ローラー33が掻き揚げ用カム36の段部36bを乗り越えるようになっている。この際、掻き揚げ用カム36の外周面36aがローラー33上を転動する間、掻き揚げ板32が下限位置P1から図4の一点鎖線で示す上限位置P2まで揺動し、その後、ローラー33が段部36bを乗り越えることで、掻き揚げ板32が上限位置P2から下限位置P1に落下する。こうして、第1回転軸35及び掻き揚げ用カム36が一回転するごとに、掻き揚げ板32が下限位置P1から一回上下に揺動して下限位置P1に戻る動作が行われ、掻き揚げ板32によって閉じられていたホッパー20の下端部20aが一回だけ開かれるようになっている。
【0046】
図6は、搬送路40を示す図で、図4のC−C矢視断面における概略構成を示す図である。スライド面41aにおける掻き揚げ板32よりも前側は、搬送路40の底面を構成している。また、スライド面41aの上方には、下面側に平面状のガイド面51aを有するガイド板51が設置されている。搬送路40は、互いに平行であるスライド面41aとガイド面51aとの間に形成された隙間に設けられている。ガイド板51は、一対の側板3,3間に架け渡した平板状のガイド板ブラケット52に固定されている。このガイド板51は、断面が下向きに凸の略コ字型の支持部51bを有しており、該支持部51bを介してガイド板ブラケット52の下面に固定されている。ガイド面51aは、搬送路40の幅方向における中央付近の一部のみに設置されている。
【0047】
搬送路40の高さ寸法(スライド板41とガイド板51の離間寸法)Hは、搬送路40を串が一本ずつのみ通過可能な寸法に設定されている。これにより、搬送路40を搬送される串が一本ずつ順番に搬送されるようになっている。なお、搬送路40の高さ寸法Hは、後述するガイド板51の高さ位置を調節するための高さ調節機構80によって微調整することが可能である。
【0048】
また、図4に示すように、搬送路40における串の有無を検出するための検出手段として、第1センサ(第1串検出手段)55と第2センサ(第2串検出手段)56が設置されている。第1センサ55は、搬送路40のX位置(第1の位置)において串の有無を検出するように設置されており、第2センサ56は、搬送路40におけるX位置よりも下流側のY位置(第2の位置)において串の有無を検出するように設置されている。第1センサ55及び第2センサ56はいずれも、一体に構成された投光部及び受光部からなる検出部55a,56aを備えた光反射型のセンサである。
【0049】
図6に示すように、第1センサ55及び第2センサ56は、断面が略コ字型の支持具57で側板3の内面に固定されており、ガイド板ブラケット52の上方に配置されている。そして、図4に示すように、第1センサ55の検出部55aは、ガイド板ブラケット52に設けた貫通穴52aを介して搬送路40のX位置に対向して(面して)おり、第2センサ56の検出部56aは、ガイド板ブラケット52に設けた貫通穴52bを介して搬送路40のY位置に対向して(面して)いる。これにより、第1センサ55で搬送路40のX位置における串の有無を検出可能であり、第2センサ56で搬送路40のY位置における串の有無を検出可能である。なお、X位置及びY位置のスライド面41a(窪み42)には、X位置又はY位置に串が無い場合に第1センサ55又は第2センサ56からの光が反射することを防止するための開口部42a(図6参照)が設けられている。
【0050】
図7は、スライド板41を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、(a)のD−D矢視断面を示す図である。同図に示すスライド板41は、上面側の左右それぞれに設置した薄板状の左上板41−1及び右上板41−2と、それらの下面側に設置した下板41−3とで構成されている。左上板41−1と右上板41−2の上面がスライド面41aになっている。また、左上板41−1は、右上板41−2よりも厚み寸法が僅かに薄くなっており、これにより、スライド面41aは、左上板41−1と右上板41−2の間で搬送方向に延びる直線状の段差部41bを境として、右側の方が左側よりも若干面の高さが高くなっている。このように、スライド面41aの左右の高さを僅かに異ならせたことで、搬送路40を滑落する串が斜めに傾斜することを抑制でき、串が横向きの状態を保ったまま搬送され易くなる。なおここでは、スライド面41aを構成する上板41−1,41−2が左右二枚に分割されている場合を示したが、これ以外にも、図示は省略するが、スライド面41aを構成する上板を左右に分割せず一枚で構成してもよい。なお、図6では、段差部41bは図示を省略している。
【0051】
図8は、スライド板41の他の構成例を示す図であり、(a)は、平面図、(b)は、(a)のE−E矢視断面を示す図、(c)は、(a)のE´−E´矢視断面を示す図である。同図に示すスライド板41は、一枚の薄板で構成された平板状の部材からなり、その上面がスライド面41aになっている。同図に示すスライド板41には、図7に示すスライド板41と同様に、スリット11b(11)や窪み42などが形成されている。それに加えて、図8に示すスライド板41のスライド面41aには、搬送方向に延びる直線状の突起41cが形成されている。突起41cは、スライド板41にプレス加工で形成したもので、幅方向の右側寄りの位置に、適当な間隔で互いに平行な複数本が形成されている。図8(c)に示すように、突起41cはスライド面41aよりも僅かに隆起しており、これによってスライド面41aの幅方向に高低差を形成している。このような突起41cを設けることによっても、スライド面41aの左右の高さを僅かに異ならせることができる。したがって、搬送路40を滑落する串が搬送方向に対して傾斜することを抑制でき、串が横向きの状態を保ったまま搬送され易くなる。また、搬送する串が竹製などの場合、串から出た屑(竹の削り屑)がスライド面41aに溜り易いが、上記の突起41cを設けていれば、突起41cの無い部分のスライド面41aを屑が滑り落ち易くなるので、スライド面41aに溜まった屑を取り除く作業が不要になるか、あるいはその作業の頻度を少なく抑えることが可能となる。なお、図8に示すスライド板41では、面の強度が十分に確保できない場合や串供給装置1の動作時にスライド板41に振動音が生じる場合には、同図に示すように、スライド板41の下面側に断面が略コ字型の補強板43を取り付けると良い。
【0052】
また、スライド面41aにおける幅方向の両側には、後述する幅板7,7(図4、図5参照)を差し込むためのスリット11bが形成されている。スリット11bは、搬送方向に延びる直線状の細溝からなり、複数本が所定間隔で幅方向に並べて形成されている。スリット11bは、後述する背板22の上端部22aに形成したスリット11aと、掻き揚げ板32に形成したスリット11cと、ストッパー軸37aに形成した円周溝14とに対応しており、それらに対して幅方向の同位置に一直線状に設けられている。
【0053】
また、図6及び図7に示すように、スライド面41aの幅方向の端部(右側の端部)には、鉄砲串204の突出片204a(鉄砲串204−2の突出片204−2aでもよい。以下同じ。)を収容するための所定深さの窪み42が形成されている。窪み42は、右側のスリット11bの手前側(搬送方向の下流側)に設けられており、スライド面41aにおける搬送路40に対応する部分のみに設けられている。これにより、スライド面41aを滑落しながら搬送される串が鉄砲串204である場合、図6に示すように、該鉄砲串204の突出片204aが窪み42内に配置されるようになっている。なお、図7に示すスライド板41を備える場合、下板41−3における窪み42に対応する位置には、切り欠き41−3aが形成されており、スリット11に対応する位置には、開口41−3bが形成されている。
【0054】
図4に示すように、搬送路40を搬送された串を排出する串排出部130は、串供給装置1の手前側の下端に設けられており、排出口40aから出た串を串供給位置1の手前側下方に落下させるようになっている。なお、ベース板2における排出口40aから出た串が落下する箇所には、略矩形状の切込部2aが設けられている。そして、串排出部130には、搬送路40を搬送されてきた串を一本ずつ分離して排出するための分離排出機構60が設けられている。分離排出機構60は、搬送路40に並ぶ多数の串Lから最先の一本の串Lのみを分離する分離部材61と、排出口40aを開閉するための開閉部材71とを備えている。
【0055】
図9は、分離部材61及びその周辺の構成を示す図で、図1のA−A矢視断面を示す図である。また、図10は、開閉部材71及びその周辺の構成を示す図で、図1のB−B矢視断面を示す図である。図1及び図9に示すように、分離排出機構60は、搬送路40の下流端近傍の上方に設置した回転軸(以下、「第2回転軸」という。)62と、第2回転軸62に固定したカム(以下、「分離用カム」という。)63と、第2回転軸62の手前側の近傍に設置した揺動軸64と、該揺動軸64を中心に回転方向へ揺動自在に設置した分離部材61とを備えている。分離部材61の下面側には、細片状の分離爪61aが形成されている。この分離爪61aは、搬送路40を搬送されてきた多数の串Lにおける最下端(最先端)に位置する一本の串Lとその手前の他の串Lとの間に差し込まれるものである。分離爪61aは、その先端が尖状に形成されている。
【0056】
分離部材61は、側板3,3の間に架け渡した細板状のスプリングプレート65との間に介在させたコイルスプリング(付勢手段)66の付勢力(押圧力)で、揺動軸64周りの一方向へ付勢されている。分離部材61は、通常、コイルスプリング66の付勢力で、分離爪61aが搬送路40を塞いだ分離位置に配置されている。そして、第2回転軸62の回転に伴い分離用カム63の突起部63aが分離部材61に当接してこれを押圧することで、コイルスプリング66の付勢力に抗して上記の分離位置から分離爪61aが搬送路40の上方に退避した退避位置へ揺動(回動)するようになっている。そして、分離爪61aが再度分離位置へ戻る際に、搬送路40の最下端に位置する一本の串Lのみを残して、それ以外の串Lを分離爪61aで下流側へ押し上げて(あるいは押さえ込んで)分離するようになっている。
【0057】
また、図1及び図10に示すように、分離排出機構60は、第2回転軸62に固定した他のカム(以下、「開閉用カム」という。)73と、揺動軸64を中心に揺動可能に設置された開閉部材71とを備えている。開閉部材71は、揺動軸64に揺動自在に支持されたスイングプレート(揺動部材)74と、該スイングプレート74に取り付けられた排出口40aを塞ぐための蓋板(蓋部材)75とを備えている。
【0058】
また、図1に示すように、一方の側板3の外側には、第2回転軸62を回転駆動するための下部モータ(第2モータ)6が設置されている。下部モータ6は、側板3にモータブラケット6aを介して固定されている。下部モータ6の駆動軸6bは、モータブラケット6a及び側板3を貫通して第2回転軸62に連結されている。下部モータ6の駆動は、図示しない制御部で制御されるようになっている。下部モータ6の駆動による第2回転軸62の回転で、第2回転軸62に固定された分離用カム63と開閉用カム73が一体に回転する。
【0059】
また、第2回転軸62には、該第2回転軸62の回転を検出するための回転検出センサ(回転検出手段)67が設けられている。回転検出センサ67は、第2回転軸62に固定した円形平板状のセンサ板67aと、該センサ板67aに設けた切り込み(図示せず)の有無を検出する検出部67bとを備えており、検出部67bでセンサ板67aの切り込みを検出することで、第2回転軸62が一回転したことを検出するように構成されている。
【0060】
図11は、開閉部材71のスイングプレート74を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、側面図である。スイングプレート74は、搬送路40の幅方向に延びる細板状の本体部74aと、該本体部74aの両端から搬送路40の上流側に延びる一対の支持片74b,74bとを有し、平面視の形状が略コ字型に形成されている。両方の支持片74b,74bには、揺動軸64を貫通させるための円形穴74c,74cが形成されている。なお、一方の支持片74bの先端には、後述するコイルスプリング79(図10参照)の一端が架けられる小孔74dが形成されている。
【0061】
また、本体部74aの一端の上部には、搬送路40の上流側に延びる突起状の突出片74eが形成されており、該突出片74eには、開閉用カム73を当接させるための当接片74gが取り付けられている。図10に示す開閉用カム73の突起部73aが当接片74gの先端に当接することで、開閉用カム73で開閉部材71が押圧されて揺動するようになっている。
【0062】
図12は、蓋板75を示す図で、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、背面図である。蓋板75は、スイングプレート74の本体部74aの正面に取り付けられる部材であり、長方形型の外形を有する略平板状である。蓋板75の背面(一方の面)75aと正面(他方の面)75bにはそれぞれ、搬送路40の排出口40aを塞いで串の落下を止めるためのストッパー片76が形成されている。ストッパー片76は、蓋板75の背面75a又は正面75bの下端から突出する小突起状の部分であり、蓋板75の背面75aに形成した長い突出寸法の第1ストッパー片76aと、蓋板75の正面75bに形成した短い突出寸法の第2ストッパー片76bとからなる。第1ストッパー片76aは、断面の幅寸法(搬送方向の長さ寸法)が小さい丸串201や角串202あるいは鉄砲串204を供給する場合に使用するもので、第2ストッパー片76bは、断面の幅寸法が大きい平串203を供給する場合に使用するものである。
【0063】
蓋板75は、スイングプレート74の本体部74aに設けたネジ穴74fに貫通させたネジ(図示せず)をネジ溝75cに挿入し、その状態で蝶ねじ77(図10参照)を締結して固定するようになっている。そして、該蓋板75は、スイングプレート74の本体部74aに対して背面75a側及び正面75b側のどちら向きでも取り付けが可能な構造を有している。
【0064】
開閉部材71は、図10に示すように、スプリングプレート65の上面に固定したステイ78の先端とスイングプレート74の支持片74bの先端との間に架け渡したコイルスプリング(付勢手段)79の付勢力(引張力)で、通常は、排出口40aを閉じる閉位置に配置されている。開閉部材71が閉位置にある状態で、ストッパー片76の先端が排出口40aに差し込まれている。そして、第2回転軸62の回転に伴い、開閉用カム73の突起部73aが開閉部材71の当接片74gに当接してこれを押圧することで、開閉部材71がコイルスプリング79の付勢力に抗して閉位置から排出口40aを開く開位置へ揺動(回動)するようになっている。
【0065】
また、図1に示すように、分離用カム63及び開閉用カム73が固定された揺動軸64は、その両端が支持片64a,64aによってスプリングプレート65の下面に支持されている。この揺動軸64は、幅方向の長さ寸法が一対の側板3,3間の寸法よりも短くなっており、搬送路40の幅方向の中央に設置されている。また、揺動軸64に支持されたスイングプレート74の本体部74a及び蓋板75は、幅方向の寸法が揺動軸64の長さよりもさらに小さくなっている。
【0066】
なお、上記の分離用カム63及び分離部材61は、図1に示すように、第2回転軸62の軸方向(串供給装置1の幅方向)において、所定間隔で2組が並べて設置されている。また、開閉用カム73及び当接片74gは、第2回転軸62の軸方向において、上記2組の分離用カム63及び分離部材61から離間した他の位置に設置されている。
【0067】
次に、上記構成の分離排出機構60の動作を説明する。図13は、分離排出機構60の動作を説明するための図である。まず、同図(a)に示すように、搬送路40の排出口40aが開閉部材71のストッパー片76で閉じられており、かつ、分離部材61の分離爪61aが搬送路40を塞ぐ分離位置にある状態で、搬送路40を滑落した多数の串Lが分離爪61a上に積み上がり、搬送路40に沿って整列する。この状態から、下部モータ6の駆動により第2回転軸62が所定角度だけ回転したとき、同図(b)に示すように、分離用カム63で押圧された分離部材61がコイルスプリング66の付勢力に抗して退避位置へ揺動する。これにより、分離爪61aが搬送路40から上方へ退避する。このとき、開閉部材71はまだ閉位置にあるので、それまで分離爪61a上に積み上がっていた多数の串Lが搬送路40を滑落してストッパー片76上に積み上がる。
【0068】
この状態から、第2回転軸62がさらに所定角度だけ回転したとき、同図(c)に示すように、分離部材61に対する分離用カム63の押圧が解除され、コイルスプリング66の付勢力で分離部材61が分離位置へ戻る。これにより、分離部材61の分離爪61aが搬送路40の最下端に位置する一本の串Lとその手前の串Lとの間に差し込まれる。これにより、搬送路40の最下端に位置する一本の串Lのみを残して、それ以外の串Lが分離爪61aで搬送路40の上流側へ押し上げられて分離される。
【0069】
この状態から、第2回転軸62がさらに所定角度だけ回転したとき、同図(d)に示すように、分離爪61aが搬送路40内に停止したまま、開閉用カム73で押圧された開閉部材71がコイルスプリング79の付勢力に抗して閉位置から開位置へ揺動する。これにより、ストッパー片76が上方へ退避して搬送路40の排出口40aが開かれる。したがって、搬送路40の最下端に位置する分離爪61aで分離された一本の串Lが排出口40aから落下して所定の供給位置へ供給される。
【0070】
その後、第2回転軸62がさらに所定角度だけ回転したとき、同図(e)に示すように、開閉用カム73による開閉部材71に対する押圧が解除されることで、開閉部材71がコイルスプリング79の付勢力で開位置から閉位置に復帰する。これにより、搬送路40の排出口40aが開閉部材71のストッパー片76で閉じられる。ここまでの動作が終了した時点で、第2回転軸62が一回転する。以降、第2回転軸62の回転に伴い、上記一連の動作が繰り返して行われる。
【0071】
このように、分離排出機構60では、下部モータ6の駆動で第2回転軸62が一回転する間に、分離部材61が搬送路40を搬送された多数の串Lから最下端に位置する一本の串Lを分離し、その状態で、開閉部材71が開位置へ揺動して排出口40aが開かれることで、該一本の串Lのみが排出口40aから排出されるようになっている。
【0072】
ところで、本実施形態の串供給装置1で供給可能な各種の串(図17参照)のうち、平串203は、断面の幅寸法が丸串201の径寸法の数倍程度と大きい。そのため、搬送路40を搬送される平串203は、断面の幅方向が串の進行方向(搬送方向)を向いた平置き状態で搬送される。そして、図13(b)に示す状態で搬送路40の最下端に位置する一本の串Lは、開閉部材71のストッパー片76に当接して停止しているが、この停止位置が丸串201や角串202と平串203とで同じ位置であると、分離部材61が分離位置へ揺動する際、分離爪61aが平串203に引っ掛かって(衝突して)しまう。そこで、丸串201や角串202を搬送する場合には、長い突出寸法の第1ストッパー片76aを使用し、平串203を搬送する場合には、短い突出寸法の第2ストッパー片76bを使用するようにする。これにより、最下端の平串203を丸串201や角串202よりも若干低い位置に停止させることができるので、分離部材61が分離位置へ揺動する際に、分離爪61aが平串203に引っ掛かることを回避できるようになる。
【0073】
そして、既述のように、蓋板75は、スイングプレート74の本体部74aに対して正面75b側と背面75a側のどちら向きでも取り付けが可能な構造を有しており、スイングプレート74に対する蓋板75の取り付け向きを交代することが簡単に行える。したがって、簡単な作業で第1ストッパー片76aと第2ストッパー片76bとを切り替えて設置できるので、丸串201や角串202の供給と平串203の供給とを簡単かつ迅速に切り替えることが可能である。また、用意する蓋板75が一種類で足りるので、串供給装置1の部品点数が少なくて済むという利点や、蓋部材75を常時串供給装置1に取り付けておくことができるので、紛失のおそれが無いという利点もある。
【0074】
また、本実施形態の串供給装置1では、分離爪61aで2本目以降の串Lを分離する際、分離爪61aで串Lを下流側へ押し上げるか、あるいは串Lを押える動作が行われる。その際、分離爪61aを先尖状に形成していることで、串Lと串Lの隙間に分離爪61aが差し込まれ易くなり、かつ、分離爪61aで串Lが押し上げられ易くなるという作用がある。したがって、分離部材61の動作及び串の分離がスムーズに行われるようになり、串の詰まりや引っ掛かりを効果的に防止できる。
【0075】
また、本実施形態の串供給装置1は、第1センサ55及び第2センサ56による串の有無の検出や回転検出センサ67による第2回転軸62の回転検出などに基づいて、上部モータ5や下部モータ6の動作を制御する制御部(図示せず)を備えている。制御部は、第1センサ55と第2センサ56及び回転検出センサ67から信号を受けると共に、上部モータ5及び下部モータ6に信号を送ることが可能なコントローラなどで構成されている。また、この制御部は、串刺装置からの串供給指令を受けて、それに基づいて下部モータ6の動作を制御するようになっている。
【0076】
上記の制御部は、第1センサ55がX位置の串を検出し、かつ第2センサ56がY位置の串を検出している間は、上部モータ5による第1回転軸35の回転駆動を停止して、下部モータ6による第2回転軸62の回転駆動のみを行う。その一方で、第1センサ55がX位置の串Lを検出せず、かつ、第2センサ56のみがY位置の串を検出している間は、上部モータ5による第1回転軸35の回転駆動を行うと共に、下部モータ6による第2回転軸62の回転駆動を行う。これにより、搬送路40に並ぶ串Lの最後端がX位置とY位置の間にある間は、第1回転軸35の回転が継続するので、掻き揚げ板32の上下動によるホッパー20の下端部20aの開閉動作が繰り返して行われる。その一方で、搬送路40の串Lの最後端がX位置よりも上流側になったときには、第1回転軸35の回転による掻き揚げ板32の上下動が停止し、第2回転軸62の回転による分離排出機構60の動作のみが行われる。これにより、搬送路40に串Lが十分ある状態では、ホッパー20の下端部20aが開かれないので、搬送路40への串の供給が過多になることを防止できる。したがって、搬送路40に串Lが溢れてホッパー20の下端部20aなどに詰まりや引っ掛かりを生じることを防止できる。また、第1回転軸35の回転及び掻き揚げ板32の上下動を最小限に抑えることができるので、串供給装置1の耐久性を向上させることができ、かつ、消費電力を低減することができる。
【0077】
さらに、制御部は、第1センサ55と第2センサ56の両方が串Lを検出しなくなった時点から予め設定した所定時間が経過した時点で、上部モータ5による第1回転軸35の回転駆動を停止すると共に、下部モータ6による第2回転軸62の回転駆動を停止する。これにより、搬送路40の串が完全に無くなる前に串供給装置1による串の供給動作を停止することができる。したがって、ホッパー20に串を補充して次回の串の供給を再開する際、搬送路40に最初から全部の串を入れ直す必要がないので、串の供給を簡単かつ迅速に再開することが可能となる。なお、上記以外にも、第1センサ55と第2センサ56の両方が串Lを検出しなくなった時点で上部モータ5による第1回転軸35の回転駆動を停止すると共に、下部モータ6による第2回転軸62の回転駆動を停止するように設定してもよい。
【0078】
また、制御部は、回転検出センサ67の検出に基づいて、第2回転軸62の回転を適当なタイミングで1回転ずつ間欠的に行わせることができる。これにより、串を当該タイミングで排出口40aから外部の供給位置へ供給することができる。そして、串供給装置1の制御部は、串刺装置から受けた串供給の指令に基づいて、第2回転軸62を回転駆動する(一回転させる)ことで、串刺装置における串刺工程のタイミングに合わせて串を供給することができる。
【0079】
また、本実施形態の串供給装置1では、図4及び図5に示すように、ホッパー20及び搬送路40の幅方向の両側(側板3,3の内側)には、一対の幅板7,7が設置されている。図14は、一方の幅板7を示す図で、(a)は、側面図、(b)は、正面図である。幅板7は、ホッパー20の断面に沿う幅広の本体部7aと、該本体部7aの下端に連接された搬送路40の断面に沿う細片部7bとを有する薄板状の部材である。本体部7aは、ホッパー20内に配置され、細片部7bは、搬送路40に配置されるようになっている。一対の幅板7,7は、互いが略同一の形状で、供給する串の長さ寸法に応じて設定された所定の間隔で並べて設置される。これにより、ホッパー20に投入されて搬送路40を搬送される串は、幅板7,7によってその長さ寸法が規定されるようになっている。
【0080】
図4及び図5に示すように、ホッパー20の内面を構成している背板22の上端部22a及びスライド板41及び掻き揚げ板32には、スリット11が形成されている。また、ストッパー軸37aには、円周溝14が形成されている。スリット11は、搬送方向に延びる直線状の細溝からなり、背板22の上端部22aに設けたスリット11aと、スライド板41に設けたスリット11bと、掻き揚げ板32に設けたスリット11cとで構成されている。そして、スリット11とストッパー軸37aの円周溝14とは、互いが搬送方向で対応する位置(一直線上に並ぶ位置)に形成されている。さらに、スリット11及び円周溝14は、ホッパー20及び搬送路40の幅方向において複数本(図では、左右に3本ずつ)が所定間隔で並べて形成されている。なお、本実施形態の各図では、掻き揚げ板32の右側のスリット11cは、幅方向に並ぶ複数本が一体になった切り込み(開口)として形成されたものを示している。図5に示すように、掻き揚げ板32のスリット11cに差し込まれた幅板7の端辺は、ストッパー軸37aの円周溝14に差し込まれて位置決めされるようになっている。
【0081】
幅板7,7を差し込むスリット11及び円周溝14の幅方向の位置を変えることで、長串から短串まで複数種類の長さの串を供給することができる。なお、本実施形態の串供給装置1では、搬送路40の左側と右側に3列ずつあるスリット11及び円周溝14の中から、一対の幅板7,7それぞれを差し込むスリット11及び円周溝14を選択することで、合計9種類の長さの串を供給することが可能である。
【0082】
本実施形態の串供給装置1には、スライド板41に対するガイド板51の高さ位置を調節するための高さ調節機構80が設けられている。この高さ調節機構80によって、スライド板41に対するガイド板51の高さ(スライド板41とガイド板51の離間寸法)H(図6参照)を調節可能である。以下、この高さ調節機構80について説明する。
【0083】
図15は、高さ調節機構80の詳細構成を示す図で、(a)は、図2のG−G矢視断面における概略構成を示す図、(b)は、(a)のF部分の詳細構成を示す部分拡大図、(c)は、F部分を側方から見た図である。高さ調節機構80は、同図(a)に示すように、ガイド板ブラケット52の両側それぞれに互いに対称な形状及び配置で設けられている。この高さ調節機構80は、側板3に設けた開口部3aを介してガイド板ブラケット52の端辺に固定された調節具81と、側板3に固定されたつまみ85とを備えている。つまみは、調節具81を挟んでネジ88で側板3に固定されている。
【0084】
調節具81は、合成樹脂製の板状部材で、下部の内面がボルト81aでガイド板ブラケット52の端辺に固定されており、上部には、側板3につまみ85を固定するためのネジ88を貫通させている縦長のネジ穴81bが設けられている。調節具81は、ネジ穴81bの縦寸法分だけネジ88に対して相対的に上下動が可能である。そして、調節具81の外面におけるネジ穴81bの周囲には、ネジ穴81bを中心に縦溝83aと横溝83bとが交差する十字型の溝部83が形成されている。
【0085】
一方、つまみ85は、ネジ88が貫通する中心軸の周囲に設けた円形平板状の操作部85aと、該操作部85aの一端から中心軸の軸方向に突出する突起部86とを有している。突起部86は、中心軸から径方向の両側に延びる直線状の突起からなる。この突起部86は、調節具81の十字型の溝部83に対して、縦向きと横向きとに切り替えて係合可能である。また、つまみ85は、ネジ88の頭部88aとの間に介在するコイルバネ(付勢手段)87で調節具81に向けて付勢されている。この付勢力で、突起部86が溝部83に係合している。
【0086】
図16は、高さ調節機構80による高さ調節の手順を説明するための図である。同図(a)に示すように、つまみ85の突起部86が調節具81の横溝83bに係合した場合と、同図(b)に示すように、突起部86が縦溝83aに係合した場合とで、つまみ85及びネジ88に対する調節具81の高さ位置が若干に異なるように設定されている。これにより、つまみ85及びネジ88に対する調節具81の高さ位置を2段階に切り替えることができる。すなわち、この高さ調節機構80では、コイルバネ87の付勢力に抗してつまみ85を引っ張ることで、溝部83に対する突起部86の係合を外し、その状態で、つまみ85を回転させて、溝部83に係合する突起部86の向きを横向きと縦向きとで切り替えることで、つまみ85及びスライド板41に対する調節具81及びガイド板51の高さ位置を2段階に変更可能である。
【0087】
上記の高さ調節機構80によれば、スライド面41aに対するガイド面51aの高さ位置を簡単な作業で調整することができる。すなわち、詳細な図示は省略するが、仮に、ガイド板51の高さ調節を長穴に対するネジ止め位置の変更で行うように構成した場合には、当該ネジを緩めた状態で、ガイド板ブラケット52を手で支えながらその高さを微調節し、所望の高さ位置でガイド板ブラケット52を静止させたままネジを締め直す作業が必要となる。このようにガイド板ブラケット52を手で支えながらネジを締める作業は非常に行い難いため、ガイド板51の高さ調節の作業が煩雑になる。これに対して、本実施形態の高さ調節機構80によれば、つまみ85を一度手前に引いて、調節具81の十字型の溝部83に対して突起部86が係合する向きを切り替えるだけで、ガイド板51の高さ調節が行えるようになる。したがって、ガイド板51の高さ調節の作業が非常に簡単に行えるようになる。これにより、スライド面41aに対するガイド面51aの高さ寸法Hの調節がきわめて簡単に行え、かつ正確な調節が可能となるので、搬送路40を通過する串Lの僅かな断面寸法や形状の違いにも容易に対応でき、串をよりスムーズに搬送することが可能となる。
【0088】
また、コイルバネ87の付勢力に抗してつまみ85を引っ張るだけで、突起部86の溝部83に対する係合を外すことができ、つまみ85を引っ張る力を解除するだけで、突起部86を溝部83に再度係合させることができる。したがって、この点でも、つまみ85の係合向きを切り替える作業が非常に簡単に行える。
【0089】
なお、本実施形態では、高さ調節機構80の調節具81をガイド板51側に固定し、つまみ85をスライド板41側に固定した場合を示したが、これとは逆に、図示は省略するが、高さ調節機構の調節具をスライド板側に固定し、つまみをガイド板側に固定した構成を採用することも可能である。
【0090】
また、本実施形態の串供給装置1では、図1に示すように、分離部材61及び開閉部材71が取り付けられた揺動軸64は、その両端が支持片64a,64aでスプリングプレート65の下面に支持されている。この揺動軸64は、搬送路40の幅方向の中央に設置されており、長さ寸法が一対の側板3,3間の寸法よりも短くなっている。このように、揺動軸64を一対の側板3,3間の寸法よりも短くして、側板3,3ではなくスプリングプレート65に取り付けたことで、揺動軸64の組み付けが簡単に行えるようになる。すなわち、揺動軸64を側板3,3に組み付けるように構成した場合は、モータブラケット6aなどが邪魔になり、組付作業が非常に行い難い。これに対して、搬送路40における幅方向の内側に設置した支持片64a,64aに短い揺動軸64を支持するように構成すれば、周辺に比較的大きな空きスペースを確保できるので、組付作業が行い易くなる。また、あらかじめスプリングプレート65に対して揺動軸64及び分離部材61や開閉部材71を取り付けてユニット化しておき、当該ユニット化した部品を装置本体に組み付けることが可能となるので、串供給装置1の組立工程の効率化を図ることが可能となる。
【0091】
加えて、本実施形態の串供給装置1では、揺動軸64を搬送路40の幅方向の中央に配置し、その長さ寸法を搬送路40の全幅の半分程度に短く抑えたことで、装置の運転中に揺動軸64が撓むことを効果的に防止できる。すなわち、側板3,3間に揺動軸64を架け渡した構成を採用した場合は、特に長い串を搬送するために搬送路40の幅寸法を大きくすると、揺動軸64が長くなる。すると、分離部材61や開閉部材71の揺動に伴って揺動軸64の中間が撓む現象が顕著になり、分離部材61や開閉部材71のスムーズな動作に支障をきたすおそれがある。この点、本実施形態では、揺動軸64が短いので撓むおそれがほとんどなく、分離部材61や開閉部材71の動作に影響を与えずに済む。
【0092】
また、本実施形態の串供給装置1では、図1に示すように、第1回転軸35に対する掻き揚げ用カム36の固定は、第1回転軸35に取り付けた円筒状のカム座35aを介して行っている。すなわち、掻き揚げ用カム36は、カム座35aの端面に固定されている。これにより、掻き揚げ用カム36を第1回転軸35に直接固定する場合と比較して、掻き揚げ用カム36の確実な固定を確保しながら、厚み寸法の薄型化を図ることができる。したがって、串供給装置1の材料費を低く抑えることができ、コスト低減が可能となる。同様に、図示は省略するが、第2回転軸62に対する分離用カム63及び開閉用カム73の固定も円筒状のカム座を介して行っている。
【0093】
また、本実施形態の串供給装置1では、第1センサ55及び第2センサ56として、一体に構成された投光部及び受光部からなる検出部55a,56aを備えた光反射型のセンサを用いている。これにより、投光部と受光部が検出位置の両側に分離している透過型のセンサを備えた場合と比較して、煩雑な光軸合わせの作業が不要となる。したがって、第1センサ55及び第2センサ56の組み付け作業を簡単かつ迅速に行えるようになる。また、第1センサ55及び第2センサ56による串の有無の検出精度を向上させることができる。また、第1センサ55及び第2センサ56として比較的安価なセンサを使用できるので、串供給装置1の製造コストを低く抑えることができる。さらに、第1センサ55及び第2センサ56は、それらの検出部55a,56aがガイド板ブラケット52の貫通穴52a,52bを介してスライド面41a上の第1の位置Xと第2の位置Yそれぞれに対向して配置されているので、簡単な構成で、搬送路40を搬送される串の有無を正確に検出できるようになる。
【0094】
以上説明したように、本実施形態の串供給装置1によれば、ホッパー20内の串を掻き揚げて攪拌すると共にホッパー20の下端部20aを開閉する攪拌開閉機構30を備えたことで、ホッパー20内に投入した多数の串を攪拌して一定の本数ずつ順番に下流側の搬送路40へ導くことができる。これにより、下流側の搬送路40を搬送される串に詰まりや引っ掛かりが生じることを効果的に防止できる。また、ホッパー20に投入された串を該ホッパー20の下端部20aからスライド面41aに沿って斜め下方に向けて滑落させながら搬送するように構成したことで、串を搬送するための複雑な構造やそれを駆動するための動力などを用いることなく、ホッパー20内の串を排出口40aへ向けてスムーズに搬送することが可能となる。また、スライド面41aとガイド面51aとの隙間に串を一本ずつ並べて搬送可能な搬送路40を形成したので、簡単な構成でありながら、ホッパー20内の多数の串を同じ向きに揃えた状態で一本ずつ順番に排出口40aへ送ることが可能となる。さらに、串排出部130において搬送路40を搬送されてきた多数の串を一本ずつ分離して該一本の串を適当なタイミングで排出口40aから排出する分離排出機構60を設けたことで、串刺装置による串刺工程のタイミングに合わせて、串を一本ずつ所定の供給位置へ供給することが可能となる。したがって、串を供給する作業が完全に自動で行えるようになり、串刺食品の製造作業の効率を向上させることができる。
【0095】
また、本実施形態の串供給装置1では、供給する串の長さ寸法を規定するための幅板7,7と、該幅板7,7を設置するための複数のスリット11とを設けたことで、幅板7,7を差し込むスリット11の幅方向の位置を変更する簡単な作業を行うだけで、供給する串の長さ寸法を複数種類から選択して設定可能である。これにより、通常の焼鳥や串焼用の長串だけでなく、小団子用や弁当の肉団子用などの短串も供給することが可能となる。したがって、一台の串供給装置1で複数種類の長さの串を供給できるので、製造可能な串刺食品の品種を増やすことができると共に、串刺食品の製造にかかるコストを効果的に低減することが可能となる。
【0096】
さらに、本実施形態の串供給装置1では、スライド面41aにおける串の進行方向に対する幅方向の一部に鉄砲串204用の窪み42を形成したことで、スライド面41aを滑落する鉄砲串204の突出片204aが窪み42内に配置されるようになる。これにより、本実施形態にかかる串供給装置1では、突出片が無い丸串201や角串202だけでなく、把持用の突出片204aを有する鉄砲串204も供給が可能である。したがって、一台の串供給装置1で形状の異なる複数種類の串を供給できるので、製造可能な串刺食品の品種をより増やすことができると共に、串刺食品の製造にかかるコストをより効果的に低減することが可能となる。
【0097】
特に、本実施形態の串供給装置1では、搬送路40における傾斜状のスライド面41aに上記の窪み42を形成したことで、鉄砲串204がスライド面41aを滑落する際、鉄砲串204の突出片204aが自重でスライド面41a側(下面側)を向くことで、当該突出片204aが自動的に窪み42内に収まるという作用がある。これにより、突出片204aが進行方向を向いた状態で鉄砲串204が搬送路40に並ぶことを防げるので、搬送路40の鉄砲串204が進行方向に対して先端を中心とする扇形に積み上がるおそれがなくなり、互いに平行な状態で並ぶようになる。したがって、搬送する串が鉄砲串204であっても、その向きを一定に揃えた状態で安定的に供給することが可能となる。よって、本発明にかかる串供給装置1では、従来、安定した供給が非常に難しかった把持用の突出片204aを有する鉄砲串204をスムーズに供給することが可能となる。
【0098】
また、本実施形態の串供給装置1が備える攪拌開閉機構30では、掻き揚げ用カム36の回転で掻き揚げ板32を上下に揺動(回動)させるという簡単な構成でありながら、ホッパー20に収容した串を効果的に攪拌でき、かつ、ホッパー20の下端部20aの開閉を一定の間隔で行えるので、ホッパー20内の串を一定量ずつ順番に搬送路40へ導くことが可能となる。したがって、ホッパー20に多数の串を投入した場合でも、当該串を詰まりや引っ掛かりを生じることなくホッパー20の下端部20aから搬送路40へスムーズに導くことが可能となる。
【0099】
また、本実施形態の串供給装置1が備える分離排出機構60では、第2回転軸62と一体に回転する分離用カム63及び開閉用カム73で分離部材61及び開閉部材71を揺動(回動)させるという簡単な構成でありながら、第2回転軸62が一回転する間に、分離部材61で最先の一本の串Lを分離し、開閉部材71で該最先の一本の串Lのみを排出口40aから適当なタイミングで排出することができる。したがって、第2回転軸62を回転駆動するだけで、搬送路40を搬送される串Lを一本ずつ確実に分離して串刺装置が要求するタイミングで供給位置へ供給することが可能となる。
【0100】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1 串供給装置
2 ベース板
3 側板
4 連結軸
5 上部モータ(第1モータ)
6 下部モータ(第2モータ)
7 幅板
11 スリット
14 円周溝
20 ホッパー
20a 下端部
21 投入口
22 背板
30 攪拌開閉機構(攪拌開閉手段)
31 支軸
32 掻き揚げ板
33 ローラー
35 第1回転軸
36 掻き揚げ用カム
37 ストッパー
38 コイルスプリング(付勢手段)
40 搬送路
40a 排出口
41 スライド板
41a スライド面
42 窪み(鉄砲串用)
51 ガイド板
51a ガイド面
52 ガイド板ブラケット(支持部材)
52a,52b 貫通穴
55 第1センサ(第1串検出手段)
55a 検出部(投光部及び受光部)
56 第2センサ(第2串検出手段)
56a 検出部(投光部及び受光部)
60 分離排出機構
61 分離部材
61a 分離爪
62 第2回転軸
63 分離用カム
64 揺動軸
65 スプリングプレート
66 コイルスプリング(付勢手段)
71 開閉部材
73 開閉用カム
74 スイングプレート
75 蓋板(蓋部材)
75a 表面
75b 裏面
76 ストッパー片
76a 第1ストッパー片
76b 第2ストッパー片
80 高さ調節機構
81 調節具
83 (十字型の)溝部
83a 縦溝
83b 横溝
85 つまみ
85a 操作部
86 突起部
88 ネジ
88a 頭部
87 コイルバネ(付勢手段)
110 串投入部
120 串搬送部
130 串排出部
201 丸串
202 角串
203 平串
204 鉄砲串
204a 突出片
L 串

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に開口する投入口から投入された串を横置き状態で収容するホッパーと、
前記ホッパー内の串を掻き揚げて攪拌すると共に該ホッパーの下端部を開閉する攪拌開閉手段と、を備える串投入部と、
前記ホッパーに投入された串を該ホッパーの下端部から斜め下方に向けて滑落させながら搬送するスライド面を有するスライド板と、該スライド面に対向して所定間隔で平行に設置されたガイド面を有するガイド板とを備え、前記スライド面と前記ガイド面との隙間に前記串を一本ずつ並べて搬送可能な搬送路が形成された串搬送部と、
前記搬送路の下流端に設けた排出口を有する串排出部と、
前記串排出部において前記搬送路を搬送されてきた多数の串を一本ずつ分離して前記排出口から排出する分離排出機構と、
を備え、
前記ホッパーに収容された多数の串を前記攪拌開閉手段で前記搬送路に導入し、該搬送路で前記串排出部へ搬送し、前記分離排出機構で一本ずつ分離して適当なタイミングで前記排出口から外部の供給位置へ排出する串供給装置であって、
前記攪拌開閉手段は、
前記ホッパー内で支軸を中心とする回転方向に沿って揺動可能に設置された掻き揚げ板と、
前記掻き揚げ板の裏面側に設置した第1回転軸と、
前記第1回転軸を回転駆動するための第1モータと、
該第1回転軸と一体に回転する掻き揚げ用カムと、を備え、
前記掻き揚げ用カムの回転に伴い前記掻き揚げ板が前記ホッパー内で回転方向に沿って上下に揺動するようになっており、
前記第1回転軸が一回転する間に、前記掻き揚げ板が前記ホッパーの下端部を閉じる下限位置から一回上下に揺動して前記下限位置に戻る動作が行われるように構成し、
前記分離排出機構は、
前記排出口の近傍に設置した第2回転軸と、
前記第2回転軸を回転駆動するための第2モータと、
該第2回転軸と一体に回転する分離用カムと、
前記分離用カムの押圧で揺動軸を中心に回転方向へ揺動する分離部材と、該分離部材に設けた前記搬送路における多数の串の間に差し込まれる分離爪と、前記分離部材を前記分離爪が前記搬送路から退避した位置に付勢する付勢手段と、
前記第2回転軸と一体に回転する開閉用カムと、
前記開閉用カムの押圧で前記揺動軸を中心に前記排出口を開く開位置と前記排出口を閉じる閉位置との間で回転方向へ揺動する開閉部材と、
前記開閉部材を前記閉位置へ付勢する他の付勢手段と、を備え、
前記第2回転軸が一回転する間に、前記分離用カムで押圧された前記分離部材が前記付勢手段の付勢力に抗して揺動することで、前記分離爪が前記搬送路を搬送されてきた多数の串から最先の一本の串のみを分離し、その状態で、前記開閉用カムで押圧された前記開閉部材が前記閉位置から前記開位置へ揺動して前記排出口が開かれることで、前記最先の一本の串のみが前記排出口から排出されるように構成した
ことを特徴とする串供給装置。
【請求項2】
前記ホッパー及び前記搬送路における前記串の進行方向に対する幅方向の両側には、一対の幅板を所定間隔で並べて設置可能であり、該一対の幅板間の寸法に応じて前記ホッパーに収容されて前記搬送路を搬送される串の長さ寸法が設定されるようになっており、
前記一対の幅板は、前記ホッパーの内面と、前記掻き揚げ板とに形成したスリットに差し込んで設置するようになっており、
前記スリットは、前記幅方向において複数本が所定間隔で並べて形成されており、
前記幅方向に並ぶ複数本のスリットから前記幅板を差し込むスリットを選択することで、供給する串の長さ寸法を複数種類に設定可能である
ことを特徴とする請求項1に記載の串供給装置。
【請求項3】
前記スライド面における前記串の進行方向に対する幅方向の一部には、鉄砲串の把持用の突出片を収容可能な窪みが形成されており、
前記搬送路を搬送される前記串が鉄砲串である場合、前記ホッパーの下端部から出て前記スライド面を滑落する前記鉄砲串の前記突出片が前記窪み内に配置されるように構成した
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の串供給装置。
【請求項4】
前記搬送路における第1の位置において搬送される串の有無を検出する第1串検出手段と、
前記搬送路における前記第1の位置よりも下流側の第2の位置において搬送される串の有無を検出する第2串検出手段と、
前記第1串検出手段及び前記第2串検出手段による串の有無の検出に基づいて、前記第1モータによる前記第1回転軸の回転駆動及び前記第2モータによる前記第2回転軸の回転駆動を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、
前記第1串検出手段と前記第2串検出手段の両方が串を検出している間は、前記第1モータによる前記第1回転軸の回転駆動を停止して、前記第2モータによる前記第2回転軸の回転駆動のみを行い、
前記第1串検出手段が串を検出せず、かつ前記第2串検出手段が串を検出している間は、前記第1モータによる前記第1回転軸の回転駆動を行うと共に、前記第2モータによる前記第2回転軸の回転駆動を行い、
前記第1串検出手段と前記第2串検出手段の両方が串を検出しなくなった時点又はその時点から予め設定した所定時間が経過した時点で、前記第1モータによる前記第1回転軸の回転駆動を停止すると共に、前記第2モータによる前記第2回転軸の回転駆動を停止する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の串供給装置。
【請求項5】
前記第2回転軸の回転を検出する回転検出手段を備え、
前記制御手段は、
前記回転検出手段の検出に基づいて、前記第2回転軸の回転を適当なタイミングで1回転ずつ間欠的に行わせることで、前記串を当該タイミングで前記排出口から排出する
ことを特徴とする請求項5に記載の串供給装置。
【請求項6】
前記第1串検出手段及び前記第2串検出手段はいずれも、一体に構成された投光部及び受光部を備えた光反射型のセンサであり、
前記第1串検出手段及び前記第2串検出手段は、それらの投光部及び受光部が前記ガイド板を支持する支持部材に設けた貫通穴を介して前記スライド面上の前記第1の位置と前記第2の位置それぞれに対向して配置されている
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の串供給装置。
【請求項7】
前記スライド板に対する前記ガイド板の高さ位置を調節するための高さ調節機構を備え、
該高さ調節機構は、前記ガイド板側と前記スライド板側のいずれか一方に固定した調節具と、該調節具に形成した縦横に延びる十字型の溝部と、前記ガイド板側と前記スライド板側のいずれか他方に固定したつまみと、該つまみに形成した直線状の突起部と、を備え、
前記つまみの前記突起部は、前記調節具の前記十字型の溝部に対して縦向きと横向きとの両方に係合可能となっており、
前記突起部を前記十字型の溝部に対して係合させる向きの縦横を切り替えることで、前記スライド板に対する前記ガイド板の高さ位置を変更可能である
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の串供給装置。
【請求項8】
前記開閉部材は、前記揺動軸を中心に揺動可能に設置した揺動部材と、該揺動部材に取り付けた前記排出口を塞ぐ板状の蓋部材と、を備え、
前記蓋部材には、前記排出口に挿入されて最下端の串を停止させる突起状のストッパー片が形成されており、
前記ストッパー片は、前記蓋部材の一方の面に設けた長い突出寸法の第1ストッパー片と、前記蓋部材の他方の面に設けた短い突出寸法の第2ストッパー片とを含み、
前記揺動部材に対する前記蓋部材の取り付け向きを前記一方の面側と前記他方の面側とで変えることで、前記第1ストッパー片と前記第2ストッパー片とを切り替えて設置可能である
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の串供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−75421(P2012−75421A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226104(P2010−226104)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【特許番号】特許第4713685号(P4713685)
【特許公報発行日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(507321934)
【Fターム(参考)】