説明

主要有害心イベントのリスクを予測する方法

循環ST2および循環ナトリウム利尿ペプチド(例えば、NT-proBNP)の濃度の測定は、対象の予後判定のための評価、特に、有害な臨床転帰の予測、例えば、致死、移植、および心不全の予測に、有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2008年4月18日出願の米国仮特許出願第61/046,158号の恩典を主張するものであり、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
技術分野
本発明は、単独の、またはその他のバイオマーカーと組み合わせられた、ST2およびナトリウム利尿ペプチド(NP)、例えば、NT-proBNPの循環レベルに基づき、主要有害心イベントのリスクを予測し、重度の疾患の存在を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
疾患重度、および主要有害心イベント(MACE)、例えば、心不全による致死のリスクの決定のための臨床的評価は、必ずしも明白ではあり得ない。対象を侵襲的に処置すべきか、それとも保存的に処置すべきか、または対象を入院患者として入院させるべきか、それとも帰宅させるべきかの判断は、時には、個体の実際の状態についての医師による臨床的評価または「直感」のみによってなされる。対象の有害転帰、例えば、致死、移植、および/または再入院の可能性を決定するための公式は、医師の情報に基づく処置判断能力を有意に増強し、患者のケアを改善し、全体的な医療費を低下させるであろう。
【発明の概要】
【0004】
概要
本発明は、特定の期間、例えば、30日、3もしくは6ヶ月、または1年以上における主要有害心イベント(MACE)、例えば、初発の心イベントの再発(例えば、二次MI);アンギナ;心不全の代償不全;心血管疾患(CVD)のための入院;CVDによる致死;もしくは移植の可能性を予測するか、または重度の疾患(例えば、移植もしくはその他の侵襲的な処置を必要とする可能性が高い重度の疾患)の存在を検出するための、脳性ナトリウム利尿ペプチドの不活性N末端断片(NT-pro-BNP)のようなナトリウム利尿ペプチド(NP)のレベルと組み合わせられた、バイオマーカーST2(増殖刺激発現遺伝子(Growth Stimulation-Expressed Gene)2、インターロイキン1受容体様(Interleukin 1 Receptor Like)1(IL1RL-1)としても公知)の血清レベルの変化の使用に、少なくとも部分的に基づく。これらの方法は、例えば、急性心イベント後に入院加療された患者において、臨床転帰を予測するために使用され得る。
【0005】
いくつかの態様において、本明細書に記載された方法は、患者、例えば、非特異的な症状を有する患者、例えば、急性呼吸困難の患者および胸痛を有する者、または心不全を有すると診断されている患者についての診断のためのおよび予後判定のための評価を提供するために、経時的なST2レベルの変化(例えば、ST2比)をモニタリングし、NPレベルを決定することを含む。NPには、何らかの型の脳性ナトリウム利尿ペプチド、即ち、NT-proBNP、proBNP、およびBNP、ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド、即ち、NT-proANP、proANP、およびANPが含まれる。好ましい態様において、NTはNT-proBNPである。
【0006】
いくつかの態様において、本発明は、対象についての特定の期間、例えば、30、60、90、もしくは180日(例えば、1、2、3、もしくは6ヶ月)、または1、2、もしくは5年におけるMACEのリスクを評価するための方法を特徴とする。方法は、ST2の比およびNP、例えば、NT-proBNPのレベルを決定すること、ならびに本明細書に記載されたようにしてMACEのリスクを決定するためこれらの比およびレベルを使用することを含む。ST2の比の決定は、対象から少なくとも二つの試料、例えば、血液、血清、血漿、尿、または体組織の試料を得ること(両試料は同一の液体または組織に由来し、二つの異なる時点で採取される);試料中のST2のレベルを決定すること;および先の試料におけるST2のバイオマーカーレベルで後の試料におけるST2のレベルを割ることにより、ST2の比を得ることを含む。そのような比は、対象のST2のレベルが経時的にどのように変化しているかの指標を提供する。従って、いくつかの態様において、方法は、第一のST2レベル、例えば、ある試料、例えば、入院時または処置開始時に採取された試料における基線レベルと、第二のST2レベル、例えば、その後の何らかの時点、例えば、1、2、3、4日後、またはそれ以降に採取された試料における第二のST2レベルとを決定するかまたは得ることを含む。さらに、方法は、一般に、少なくとも第二の時点において、例えば、対象に由来する血液、血清、血漿、尿、または体組織の試料における、NPレベル、例えば、NT-proBNPレベルを決定するかまたは得ることを含むであろう。
【0007】
一つの局面において、本発明は、対象についての1年以内の主要有害心イベント(MACE)のリスクを評価するための方法、例えば、コンピューターにより実行される方法を提供する。方法は、第二の時点における対象のナトリウム利尿ペプチド(NP)のレベル(NP T1)の重み付けした対数と組み合わせた、第一の時点における対象の増殖刺激発現遺伝子2(ST2)の第一のレベル(ST2 T1)に対する第二の時点における対象のST2の第二のレベル(ST2 T0)の比に、少なくとも一部分基づく、対象についてのMACEリスクスコア(MACERS)を決定する工程、および該MACERSを参照MACERSと比較する工程を含み、参照MACERSと比較された該MACERSが、対象の1年以内のMACEのリスクを示す。
【0008】
いくつかの態様において、本明細書に記載された方法は、対象のMACEのリスクを決定するための下記式の使用を含む。
X=(ST2 T1/ST2 T0)+αln(NP T1)
【0009】
好ましい態様において、ST2比およびNT-proBNPレベルが、下記式を使用してMACEリスクスコアを決定するために使用される。
X=(ST2 T1/ST2 T0)+αln(NPproBNP T1)
いくつかの態様において、係数アルファは0.33である。
【0010】
いくつかの態様において、対象のMACEリスクスコアは、参照MACEリスクスコア(例えば、閾値)と比較される。対象のMACEリスクスコアの参照スコアに対する比較は、対象の特定の期間内のMACEのリスクを示す。いくつかの態様において、特定の期間は1年である。
【0011】
いくつかの態様において、参照MACEリスクスコアは、1年以内の死亡の低いリスクを有する対象または対象群におけるスコアを表す。いくつかの態様において、参照MACEリスクスコア以上である対象のMACEリスクスコアは、その対象が、上昇した、即ち、統計的に有意に上昇した、1年以内の死亡のリスクを有することを示す。いくつかの態様において、上昇した死亡のリスクは、少なくとも20%高く、例えば、30%、40%、または50%高い。
【0012】
いくつかの態様において、方法は、MACEリスクスコアを決定することを含み、任意で、MACEリスクスコアに基づき、対象のための処置を選択するかまたは修飾することを含む。例えば、MACEリスクスコアが、選択された参照より大きい場合には、その対象は高いリスクを有し、より侵襲的に処置されるべきであり;対象が既に処置されている場合には、その対象は、現行の処置に順調に応答しておらず、新たな処置、即ち、患者がより順調に応答する可能性がある別の処置が選択されるべきである。
【0013】
いくつかの態様において、対象は、一つまたは複数の非特異的な症状、例えば、胸痛または胸部不快感、息切れ(呼吸困難)、悪心、嘔吐、おくび、発汗、動悸、もうろう状態、疲労、および失神を示す。いくつかの態様において、症状は呼吸困難または胸痛である。
【0014】
いくつかの態様において、対象は心血管障害を有していない。様々な態様において、対象は、肺障害、例えば、急性感染(例えば、肺炎)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および肺塞栓を有する。
【0015】
特定の態様において、対象は、肝障害、例えば、標準的な肝機能検査によって決定されるような、化学療法、アルコール毒性、または薬物毒性に関連した肝障害を有する。
【0016】
いくつかの態様において、方法は、試料中の補助(非ST2、非IL-33、非NT-proBNP)バイオマーカー、例えば、トロポニン、CRP、Dダイマー、BUN、アルブミン、肝機能酵素、腎機能の尺度、例えば、クレアチニン、クレアチニンクリアランス速度、もしくは糸球体濾過速度、および/または細菌内毒素のレベルを決定すること;ならびに試料中の補助バイオマーカーのレベルを、補助バイオマーカーの参照レベルと比較することをさらに含む。参照と比較された試料中の補助バイオマーカーのレベルは、参照MACEリスクスコアと比較された試料中のMACEリスクスコアと組み合わせられて、対象が、特定の期間内の死亡の上昇したリスクを有するか否か、および/または現在重度の疾患を有しているか否かを示す。いくつかの態様において、方法は、第一のレベル、例えば、基線レベルを、第二のレベル、例えば、その後の何らかの時点、例えば、1日後、2日後、3日後、4日後、またはそれ以降に得られたレベルと比較することにより、補助バイオマーカーについての経時的なレベルの変化(例えば、比)を決定することを含む。
【0017】
いくつかの態様において、対象は、25〜29のBMI、30以上のBMI、または腎不全を有し、例えば、対象は、25〜29のBMI、30以上のBMI、または腎不全を有することを基準に選択される。
【0018】
もう一つの局面において、本発明は、経時的に対象の状態を評価する方法、例えば、対象における処置の効力を評価する方法を含む。方法は、第一のMACEリスクスコアを決定するため、ST2の第一の基線レベルと第二の時点において得られたST2の第二のレベルとの比、および第二の時点において得られたNP、例えば、NT-proBNPの第一のレベルに基づく、対象の第一のMACEリスクスコアを決定すること;ならびにST2の第一の基線レベルと第三の時点において得られた第三のST2レベルとの比、および第三の時点において得られたNP、例えば、NT-proBNPのレベルに基づく、第二のMACEリスクスコアを決定することを含む。ここで、第三の時点とは、第二の時点より後の時点、例えば、数日後、数週間後、数ヶ月後、または数年後である。第1および第二のMACEリスクスコアの比較は、対象が、減退中であるか、改善中であるか、それとも同一の状態を維持中であるかを示し、例えば、対象における処置の効力を示す。例えば、第一のMACEリスクスコアより低い第二のMACEリスクスコアは、処置が効果的であることを示す。
【0019】
本明細書において使用されるように、「試料」には、任意の体液または組織、例えば、血液、血清、血漿、尿、および体組織のうちの一つまたは複数が含まれる。ある種の態様において、試料は血清、血漿、または血液試料である。
【0020】
抗原「に特異的に結合する」抗体とは、他のタンパク質を含有している試料においてその抗原に優先的に結合する。
【0021】
本明細書に記載された方法およびキットは、多数の利点を有する。例えば、方法は、画定診断がなされているか否かに関わらず、さらなる評価のため患者を入院させるべきか、または入院患者として維持すべきかを決定するために使用され得る。例えば、方法は、例えば、本明細書に記載された方法により決定されるようなMACEリスクスコアに基づき、対象にとって適切な処置の侵襲性のレベルに関する判断を行うための、所定の対象のリスク層別化のために使用され得る。より良好な処置判断は、罹患率および死亡率の低下、ならびに乏しい医療資源のより良好な配分をもたらすことができる。本明細書に記載された方法は、患者が特定の診断を決定するためさらに試験されるべきか否か、についての一般的な評価を行うため、使用され得る。本明細書に記載された方法は、例えば、臨床的性能または治療的介入に対する予想される応答についての情報を提供するための、患者集団リスク層別化のためにも使用され得る。本明細書に記載された方法は、基礎をなす原因または最終診断に関わらず使用され得、従って、特定の適応症に限定されない。
【0022】
他に定義されない限り、本明細書において使用される技術用語および科学用語は、全て、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同一の意味を有する。本発明において使用するための方法および材料が、本明細書に記載されるが;当技術分野において公知の他の適当な方法および材料が使用されてもよい。材料、方法、および例は、例示的なものに過ぎず、限定的なものではない。
【0023】
本明細書において言及された全ての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリー、およびその他の参照は、参照により完全に組み入れられる。さらに、米国特許出願第11/789,169号、ならびに国際特許出願第PCT/US2007/067626号、第PCT/US2007/067914号、および第PCT/US2007/068024号の全内容が、参照により本願に組み入れられる。
【0024】
矛盾が生じた場合には、定義を含む本明細書が適用されるであろう。
【0025】
本発明のその他の特色および利点は、以下の詳細な説明および図面、ならびに特許請求の範囲より明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ST2比および2週目NT-proBNP値を組み合わせたアルゴリズムの受信者動作特性(ROC)スコア分析の折れ線グラフである。
【図2】スコアの関数としてプロットされた感度、特異度、および相対リスクの折れ線グラフである。
【図3】MACEリスクスコアおよび1年以内のイベントについてのROC曲線である。
【図4】図4Aは、1年以内の心イベントについてのMACEリスクスコアおよびST2比の箱ひげ図である。図4Bは、3.2という閾値においてMACEリスクスコアを使用したイベントについてのカプラン・マイヤー生存曲線である。
【図5】ST2比を使用したイベントについてのカプラン・マイヤー生存曲線である。
【図6】0.75という閾値においてNT-proBNP比を使用したイベントについてのカプラン・マイヤー生存曲線である。
【図7】0.85という閾値においてST2比を使用した1年以内の死亡または移植についてのカプラン・マイヤー生存曲線である。
【図8】0.70という閾値においてNT-proBNP比を使用した1年以内の死亡または移植についてのカプラン・マイヤー生存曲線である。
【図9】スコアおよび1年以内の死亡または移植についてのROC曲線である。ROC分析は、3.5を至適閾値として同定しているが、付加的な分析は、以前に同定された3.2という閾値がより良好な予後判定精度を提供することを確認している。
【図10】3.2という閾値においてMACEリスクスコアを使用した1年以内の死亡または移植についてのカプラン・マイヤー生存曲線である。
【図11】イベント(死亡もしくは移植)または無イベントについてのMACEリスクスコアを示す箱ひげ図である。
【図12】イベント(死亡もしくは移植)または無イベントについてのST2比を示す箱ひげ図である。
【図13】イベント(死亡もしくは移植)または無イベントについてのNT-proBNPを示す箱ひげ図である。
【図14】日毎のST2値を示すウィスカードットプロット(whisker and dot plot)である。
【図15】日毎のNT-proBNP値を示すウィスカードットプロットである。
【図16】日毎のBNP値を示すウィスカードットプロットである。
【図17】90日以内の致死についての比値のROC分析の結果を示す折れ線グラフである。
【図18】90日以内の致死についてのMACEリスク公式ROCを示す折れ線グラフである。
【図19】90日以内の致死についてのMACEリスク公式スコアを示す箱ひげ図である。
【図20】90日以内の致死についてのST2 R L:Fを示す箱ひげ図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
詳細な説明
患者、特に、呼吸困難または胸痛のような非特異的な症状を有する患者の臨床的評価は、しばしば難題である。本明細書に記載された結果は、ST2およびNT-proBNPに基づくMACEリスクスコアが、疾患の基礎をなす原因に関わらず、患者の予後判定のための評価において有用であるという証拠を提供する。いくつかの異なる集団において本明細書において証明されたように、MACEリスクスコアは、重度の疾患および切迫した死亡の強力な指標である。
【0028】
MACEの予測
ST2の上昇した濃度は、基礎をなす診断に関わらず、1年以内の死亡についての予後判定に著しく関連しており、上昇したST2を受診直後に有する者についての生存曲線には劇的な相違がある。一例として、ST2の上昇と、呼吸困難による受診後1年以内の致死についてのリスクとの間には、劇的な関係が存在する。呼吸困難の患者における、ST2と死亡との間の関係は、診断に依存せず、その他の炎症マーカー、筋壊死、腎機能障害を含む、この環境における致死の他の全てのバイオマーカー予測因子に取って代わり、そして最も注目すべきことには、この集団における死亡を予測するため有益であることが最近記載されたマーカーNT-proBNP(Januzzi et al.,Arch.Intern.Med.166(3):315-20(2006))にも取って代わった。実際、研究中の致死の大部分は、上昇したST2レベルを受診時に有していた対象に集中していた;しかしながら、上昇したST2およびNT-proBNPの組み合わせは、1年以内の死亡の最も高い率に関連していた。
【0029】
リスク層別化のためのそのようなマルチマーカーアプローチは、急性冠動脈症候群を有する患者のために一般に提唱されているが(Sabatine et al.,Circulation 105(15):1760-3(2002))、未鑑別の呼吸困難または一般的な愁訴である胸痛のような非特異的な症状を有する患者の評価のためには、そのような戦略は、未だ提唱されていない。
【0030】
疾患の重度の決定
上昇したMACEリスクスコアは、疾患の基礎をなす原因に関わらず、対象における重度の疾患の存在と相関している。一例として、胸痛で受診する患者の集団において、最も高いスコアは、移植を含む有害イベントの増加したリスクに関連しており、これら有害イベントは、一般に、重度の疾患の存在に関連している。
【0031】
従って、未診断の対象について、本明細書に記載された方法は、どの程度侵襲的に診断が求められるかを決定するために使用され得;高いST2レベルは、重度の疾患の存在を示し、対象が高リスク症例として処置されるべきであることを示唆するであろう。既知の診断を有する対象については、本明細書に記載された方法は、基礎をなす病理の重度の決定を補助するために使用され得;この場合にも、より高いST2レベルは、より重度の疾患に関連している。
【0032】
一般的な方法論−対象のMACEリスクスコアの決定
一般に、本明細書に記載された方法は、対象、例えば、哺乳動物、例えば、ヒトにおける、ST2およびNT-proBNPの循環レベル(例えば、血液、血清、血漿、尿、または体組織におけるレベル)を評価することを含む。これらのレベルは、対象が、例えば、特定の期間、例えば、30日、60日、90日、6ヶ月、1年、2年、3年、または5年の内に、有害転帰、例えば、致死を経験する可能性に関する情報を提供する。これらのレベルは、対象における疾患の重度に関する情報も提供する。いくつかの態様において、ST2のレベルは、例えば、受診時、例えば、症状の開始の2、4、6、8、12、18、および/もしくは24時間後、ならびに/または1〜3もしくは1〜7日後に1回目(T0)に決定される。次いで、ST2およびNT-proBNPのレベルは、2回目(T1)に決定される;第二の時点は、例えば、第一の時点の少なくとも1、2、4、6、8、12、18、もしくは24時間後、1〜7日後、1〜14日後、または2〜14日日後、例えば、14日以内であり得る。これらのレベルは、下記式を使用して、MACEリスクスコアを決定するために使用される。
X=(ST2 T1/ST2 T0)+αln(NTproBNP T1)
係数アルファは、それが作用する変数についての重み係数である。いくつかの態様において、係数アルファは、0.25〜0.5、例えば、約3、例えば、0.33である。
【0033】
対象におけるST2およびNTpro-BNPの循環レベルの評価は、典型的には、対象から、生物学的試料、例えば、血清、血漿、または血液を得ることを含む。試料中のST2およびNTpro-BNPのレベルは、当技術分野において公知でありかつ/または本明細書に記載される方法、例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)のようなイムノアッセイを使用して、試料中のポリペプチドのレベルを測定することにより決定され得る。例えば、いくつかの態様において、モノクローナル抗体を試料と接触させ;次いで、抗体の結合を検出し、任意で定量化し、抗体結合のレベルに基づきタンパク質のレベルを決定する。または、ST2およびNTpro-BNPのmRNAのレベルを、やはり当技術分野において公知でありかつ/または本明細書に記載される方法を使用して、例えば、定量的PCRまたはノーザンブロッティング分析により、測定してもよい。
【0034】
いくつかの態様において、MACEリスクスコアは、コンピューティングデバイス、例えば、パソコンを使用して計算される。
【0035】
MACEリスクスコアが決定された後は、MACEリスクスコアを参照スコアと比較することができる。いくつかの態様において、参照スコアは閾値レベルを表し得、それより上で、対象は、増加した死亡のリスクを有しかつ/または重度の疾患を有する。選ばれる参照スコアは、ST2のレベルを測定するために使用される方法論に依るかもしれない。例えば、可溶性ST2の循環レベルが、例えば、本明細書に記載されるようなイムノアッセイを使用して決定されるいくつかの態様において、参照スコアは、約3、例えば、3.2または3.5であり、その参照レベルより上のスコアは、対象が増加した死亡のリスクを有しかつ/または重度の疾患を有することを示す。
【0036】
複数のMACEリスクスコアが本明細書に記載されるようにして決定された場合、スコアの変化は、対象が増加または減少した死亡のリスクを有するか否かを示す。増加するスコアは、対象が、切迫した死亡の増加中のリスク、例えば、悪化中の予後を有し、処置が奏効していないか、または変化もしくは開始させられるべきであることを意味する。経時的に減少するスコアは、対象が、切迫した死亡の減少中のリスク、例えば、向上中の予後を有することを示し、例えば、処置の効力の指標となり得、処置は、継続されるべきであり、またはスコアが十分に低くなった場合には、恐らく中止されるべきである。一例として、スコアの増加は、より侵襲的な処置または入院加療(例えば、初回入院、またはより急性の環境、例えば、集中治療室における入院加療、または対象の心状態をモニタリングするための遠隔測定もしくはその他の方法の使用)の必要性を示すことができ、スコアの減少は、より侵襲性の低い処置、短い入院加療、または退院が可能であることを示すことができる。この情報は、処置する医師が、より正確な処置判断を行うことを可能にし;例えば、対象は、入院患者として、例えば、救急治療部または重症治療部に入院させられるかもしれない。
【0037】
例えば、対象の実際の状態を決定するため、付加的な試験が実施されてもよい。より侵襲的な処置が、付加的な試験の前または後に投与されてもよい。例えば、心筋梗塞(MI)が疑われる場合、対象は、より詳細な画像法および/または心臓カテーテル法へ差し向けられるかもしれない。
【0038】
いくつかの態様において、方法は、基礎をなす病理を同定するための付加的な診断法の使用を含む。当技術分野において公知の任意の診断法が使用され得、当業者は、対象の症状にとって適切な診断法を選択することができるであろう。いくつかの態様において、本明細書に記載された方法は、他のバイオマーカーの測定に加えて、またはその別法として、他の診断法、例えば、当技術分野において公知であるような肺機能または心機能の理学的測定を含む。
【0039】
例えば、本明細書に記載された方法は、対象の診断を支援する一つまたは複数の付加的なバイオマーカーを測定すると共に、MACEリスクスコアを決定することを含む。一例として、胸痛または呼吸困難を有する対象の場合、心疾患の指標となるバイオマーカー、例えば、心筋トロポニン(cTn)、例えば、cTnI、BNP、および/またはANPが測定され得;別法として、または付加的に、肺疾患のバイオマーカー、例えば、肺塞栓のためのDダイマーが測定され得る。従って、鑑別診断にMIを含む症状により受診する対象において、方法は、対象がMIを有しているか否かを決定するため、MACEリスクスコアの決定に加えて、例えば、cTnI、BNP、proBNPのレベルを測定することを含むことができる。鑑別診断に心不全(HF)を含む症状により受診する対象において、方法は、対象がHFを有しているか否かを決定するため、MACEリスクスコアの決定に加えて、BNPまたはproBNPのレベルを測定することを含むことができる。鑑別診断にCOPDを含む症状により受診する対象において、方法は、対象がCOPDを有するか否かを決定するため、MACEリスクスコアの決定に加えて、肺機能を測定することを含むことができる。当業者は、情況および対象の状態に依って適用され得る付加的な診断法が多数存在することを認識するであろう。いくつかの態様において、方法は、BUNのレベルを測定することを含み、上昇したBUNの存在および上昇したMACEリスクスコアの決定は、その対象を最高リスクカテゴリに分類する。
【0040】
ST2
ST2遺伝子は、インターロイキン-1受容体ファミリーのメンバーであり、そのタンパク質産物は、膜貫通型としても、血清中に検出可能な可溶型受容体としても存在する(Kieser et al.,FEBS Lett.372(2-3):189-93(1995);Kumar et al.,J.Biol.Chem.270(46):27905-13(1995);Yanagisawa et al.,FEBS Lett.302(1):51-3(1992);Kuroiwa et al.,Hybridoma 19(2):151-9(2000))。ST2は、最近、心不全の実験モデルにおいて著しくアップレギュレートされることが記載され(Weinberg et al.,Circulation 106(23):2961-6(2002))、予備的な結果は、慢性の重度のHFを有する者においても(Weinberg et al.,Circulation 107(5):721-6(2003))、急性心筋梗塞(MI)を有する者においても(Shimpo et al.,Circulation 109(18):2186-90(2004))、ST2濃度が上昇し得ることを示唆している。
【0041】
ST2の膜貫通型は、Tヘルパー2型細胞の応答のモジュレーションにおいて役割を果たすと考えられており(Lohning et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95(12):6930-5(1998);Schmitz et al.,Immunity 23(5):479-90(2005))、重度または慢性の炎症状態における寛容の発達において役割を果たしているかもしれず(Brint et al.,Nat.Immunol.5(4):373-9(2004))、一方、ST2の可溶型は、増殖刺激を受けた繊維芽細胞においてアップレギュレートされる(Yanagisawa et al.,1992(前記))。実験データは、ST2遺伝子が、BNP遺伝子(Bruneau et al.,Cardiovasc.Res.28(10):1519-25(1994))の誘導と類似した様式で、筋細胞伸展の状態において著しくアップレギュレートされることを示唆している(Weinberg et al.,2002(前記))。
【0042】
Tominaga,FEBS Lett.258:301-304(1989)は、BALB/c-3T3細胞において増殖刺激により特異的に発現されるマウス遺伝子を単離し;これらの遺伝子のうちの一つをSt2(増殖刺激発現遺伝子2を表す)と名付けた。St2遺伝子は、二つのタンパク質産物:可溶性分泌型であるST2;およびインターロイキン-1受容体に極めて類似している膜貫通受容体型であるST2Lをコードする。HUGO Nomenclature Committeeは、ヒトホモログをインターロイキン1受容体様1(IL1RL1)と命名しており、そのクローニングは、Tominaga et al.,Biochim.Biophys.Acta.1171:215-218(1992)に記載された。二つの用語は、本明細書において交換可能に使用される。
【0043】
ヒトST2の短い方の可溶性アイソフォームのmRNA配列は、GenBankアクセッション番号NM_003856.2に見出され得、ポリペプチド配列はGenBankアクセッション番号NP_003847.2にある;ヒトST2の長い方の型のmRNA配列は、GenBankアクセッション番号NM_016232.4にあり;ポリペプチド配列はGenBankアクセッション番号NP_057316.3にある。付加的な情報は、GeneID:9173、MIM ID # 601203、およびUniGene No.Hs.66で、公的データベースにおいて入手可能である。一般に、本明細書に記載された方法においては、ST2ポリペプチドの可溶型が測定される。
【0044】
ST2を検出し測定する方法は、例えば、米国特許公開第2003/0124624号、第2004/0048286号、および第2005/0130136号に記載されるように、当技術分野において公知であり、これらの全内容は、参照により本明細書に組み入れられる。ST2ポリペプチドを測定するためのキット、例えば、Medical & Biological Laboratories Co.,Ltd.(MBL International Corp.,Woburn,MA)により製造されたST2 ELISAキットno.7638も、市販されている。さらに、ST2およびその他のバイオマーカーを測定するためのデバイスは、米国特許公開第2005/0250156号に記載されている。
【0045】
ナトリウム利尿ペプチド
ナトリウム利尿ペプチドとは、バランスのとれた動脈および静脈の血管拡張因子として作用し、ナトリウム利尿および利尿を調節する血管作用性ペプチドホルモンのファミリーである。これらのホルモンの循環レベルは、心血管疾患を有する患者の診断のためのおよび予後判定のための評価の増強において使用するために調査されている。以前の研究は、NT-proBNPの循環レベルが、急性MIを有する患者において増加しており、致死を予測することを証明した(Talwar et al.,Eur.Heart J.21:1514-1521(2000);Omland et al.,Am.J.Cardiol.76:230-235(1995)。Sabatine et al.,J.Am.Coll.Cardiol.44:1988-1995(2004)は、急性虚血発作の重度とBNPの循環レベルとの間の関連性を証明した。NT-proBNPを測定する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Talwar et al.,2000(前記);Omland et al.,1995(前記);Sabatine et al.,2004(前記);Alehagen and Dahlstrom,"Can NT-proBNP predict risk of cardiovascular mortality within 10 years? Results from an epidemiological study of elderly patients with symptoms of heart failure,"Int J Cardiol.2008 Apr 11[Epub ahead of print];およびKavsak et al.,Clin Chem.54(4):747-51(2008)を参照のこと。
【0046】
本明細書に提示された例は、NT-proBNPに関するものであるが、NPのうちの任意のものが、本明細書に記載された方法において使用され得ると考えられる。いくつかの態様において、複数のNPが測定されてもよい。
【0047】
その他のバイオマーカー
本明細書に記載された方法は、ST2およびNPに加えてその他のバイオマーカーのレベルを測定することを含んでいてもよい。適当なバイオマーカーには、トロポニン、CRP、IL-6、Dダイマー、BUN、肝機能酵素、アルブミン、腎機能の尺度、例えば、クレアチニン、クレアチニンクリアランス速度、もしくは糸球体濾過速度、および/または細菌内毒素が含まれる。これらのバイオマーカーを測定する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Leeらの米国特許公開第2004/0048286号および第2005/0130136号;Dhalla et al.,Mol.Cell.Biochem.87:85-92(1989);Moe et al.,Am.Heart.J.139:587-95(2000);Januzzi et al.,Eur.Heart J.27(3):330-7(2006);Maisel et al.,J.Am.Coll.Cardiol.44(6):1328-33(2004);ならびにMaisel et al.,N.Engl.J.Med.347(3):161-7(2002)(これらの全内容が参照により本明細書に組み入れられる)を参照のこと。肝機能酵素には、アラニンアミノ基転移酵素(ALT);アスパラギン酸アミノ基転移酵素(AST);アルカリホスファターゼ(ALP);および総ビリルビン(TBIL)が含まれる。
【0048】
これらの態様において、MACEリスクスコアおよび一つまたは複数の付加的なバイオマーカーのレベルが決定され、スコアおよびそれぞれの参照レベルとのバイオマーカーの比較からの情報が、対象の死亡のリスクおよび/または対象における重度の疾患の存在に関する付加的な情報を提供し、それが、対象のリスクに関するより正確かつ具体的な情報を提供することができる。次いで、レベルを、閾値比を表す参照比と比較してもよく、その閾値比より上で、対象は、増加した死亡のリスクおよび/または重度の疾患を有する。
【0049】
処置の選択−侵襲的か保存的か
対象が予定された参照スコアより上のMACEリスクスコアを有することが決定されたならば、その情報は、多様な方式で使用され得る。例えば、対象が、上昇したスコア、例えば、参照レベルと比較して上昇したスコアを有する場合、侵襲的に処置する判断がなされ得、対象は、例えば、入院患者として処置するため、例えば、救急治療部または重症治療部に入院させられ得る。携帯用試験キットは、救急医療従事者が、EDに移送すべきか否かを決定するため、野外で対象を評価することを可能にし得る。例えば、EDまたはその他の臨床的環境におけるトリアージ判断も、本明細書に記載された方法によって提供される情報に基づきなされ得る。高いスコアを有する患者は、より低いスコアを有するものより優先され得る。
【0050】
本明細書に記載された方法は、対象が改善しているか否か、例えば、処置に対して応答しているか否か、例えば、入院加療された対象が退院し外来患者方式で追跡され得る程度に十分に改善したか否かに関する情報も提供する。一般に、これらの方法は、対象についてのMACEリスクスコアを複数回決定することを含むであろう。経時的なMACEリスクスコアの減少は、対象が改善中である可能性が高いことを示す。対象が退院できる程度に十分に改善したか否かを決定するため、本明細書に記載されるように、最も最近のMACEリスクスコアを参照スコアと比較することもできる。
【0051】
対象は、臨床試験、例えば、比較的高いリスクを保持する処置の臨床試験への参加について考慮されてもよい。対象は、切迫したMACE、例えば、受診から30日以内または1年以内のMACEのより低いリスクを有する者にとって適切であると見なされるであろうものより比較的高いリスクを保持している計画によって処置されてもよい。
【0052】
臨床的環境の範囲を超えて、対象のMACEリスクスコアに関する情報は、その他の方式で、例えば、第三者支払人による支払い判断のため、または保険提供者による医療保険料または生命保険料の設定のため、使用されてもよい。例えば、高いMACEリスクスコア、例えば、予定された閾値スコアより上のスコアは、対象のための保険料を増加させることを判断するために使用されてもよい。
【0053】
患者集団
本明細書に記載された方法は、多様な臨床的な状況において有用である。例えば、方法は、例えば、病院および外来診療所ならびにEDにおける医師によるスクリーニングを含む、一般集団スクリーニングのために使用され得る。一例として、MACEリスクスコアは、任意の時点で決定され得、MACEリスクスコアが上昇している場合、医師は適切に行動することができる。
【0054】
本明細書に記載された方法は、任意の時点で、任意の対象のために使用され得るが、診断または状態の重度の決定が困難である対象のために特に有用である。例えば、そのような対象は、非特異的な症状、例えば、特定の診断を示さない症状により受診するかもしれない。非特異的な症状には、胸痛または胸部不快感、息切れ、悪心、嘔吐、おくび、発汗、動悸、もうろう状態、疲労、および失神が含まれるが、これらに限定はされない。各症状は多様な病因を有し得る。
【0055】
胸痛
胸痛は、外来患者の診察の約1〜2パーセントにおける主訴であり、原因はしばしば非心臓性であるが、心疾患は米国における主要な死因のままである。従って、胸痛の原因が重篤であるか良性であるかを識別することは重大である。本明細書に記載された方法は、この決定を行うために有用である。
【0056】
胸痛によりEDを受診する対象は、食道痛、潰瘍、肺塞栓(PE)のような急性肺障害(致命的である可能性あり)、破裂性または解離性の大動脈瘤(高度に致死的)、胆嚢発作、心膜炎(心臓を包む袋の炎症)、狭心症(傷害を伴わない心臓痛)、またはMI(致命的である可能性あり)を有する可能性がある。直ちに正確な診断を行うことは困難である場合もあるが、対象を入院させるべきか否か、または保存的に処置すべきであるか否かの判断は、一般に、直ちになされるべきである。対象が、有害臨床転帰、例えば、切迫したMACEの増加したリスクまたは重度の疾患を有することを、本明細書に記載された方法が示した場合には、有害転帰を防止できる可能性のため、対象を侵襲的に処置する判断がなされ得る。
【0057】
胸痛の処置および診断についての付加的な情報は、例えば、Cayley,Am.Fam.Phys.72(10):2012-2028(2005)に見出され得る。
【0058】
呼吸困難
呼吸困難または息切れ(異常呼吸または呼吸苦としても定義される)は、ED受診時の対象の一般的な症状である。呼吸困難のための鑑別診断には、以下の四つの一般的なカテゴリーが含まれる:(1)心臓性、(2)肺性、(3)心臓性と肺性の混合型、および(4)非心臓性非肺性。
【0059】
呼吸困難の心臓性の原因には、結果として収縮期機能障害を伴う右心室、左心室、または両心室のうっ血性心不全、冠動脈疾患、最近または陳旧性の心筋梗塞、心筋症、心臓弁膜機能障害、結果として拡張期機能障害を伴う左室肥大、非対称隔膜肥厚、心膜炎、および不整脈が含まれる。
【0060】
肺性の原因には、閉塞性の過程(例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および喘息)ならびに拘束性の過程(例えば、肥満、脊椎もしくは胸壁の変形のような肺外の原因、および間質繊維症、塵肺、肉芽腫性疾患、または膠原病性脈管疾患のような内因性の肺病理)が含まれる。
【0061】
心臓性および肺性の混合型の障害には、肺高血圧および肺性心を伴うCOPD、条件反応消去、肺塞栓、ならびに外傷が含まれる。
【0062】
非心臓性非肺性の障害には、貧血、糖尿病性ケトアシドーシス、およびその他のような代謝状態、比較的稀な原因である代謝性アシドーシス、胸壁または体内の他の場所における疼痛、ならびに多発性硬化症および筋ジストロフィーのような神経筋障害が含まれる。閉塞性鼻喉頭障害には、ポリープまたは鼻中隔湾曲症による鼻閉、扁桃腺肥大、および声門上または声門下の気道狭窄が含まれる。
【0063】
呼吸困難は、結果として換気亢進を伴う精神障害、例えば、不安障害の身体的徴候として現われることもある。
【0064】
呼吸困難の評価および処置に関する付加的な情報は、例えば、Morgan and Hodge,Am.Fam.Phys.57(4):711-718(1998)に見出され得る。
【0065】
特別な集団
特定の対象の集団は、特に、本明細書に記載された方法から利益を得る可能性がある。これらの対象には、腎機能障害を有する者(Anwaruddin et al.,J.Am.Coll.Cardiol.47(1):91-7(2006);McCullough et al.,Am.J.Kidney Dis.41(3):571-9(2003))、または過体重(25〜29の肥満度指数(BMI))もしくは肥満(30以上のBMI)である者(Krauser et al.,Am.Heart J.149(4):744-50(2005);McCord et al.,Arch.Intern.Med.164(20):2247-52(2004))のような、BNPまたはNT-proBNPが単独では比較的有用でない人々が含まれる。高いBMIを有する患者は、通常、同一の疾患レベルの正常体重の患者と比べて予想されるより低いナトリウム利尿ペプチドのレベルを有することが、当領域において公知であり、受け入れられているが;この現象の正確な機序は未知である。ST2の循環レベルはBMIによって影響を受けないことが示されており、従って、高いBMIを有する対象において、MACEリスクスコアの決定は、ナトリウム利尿ペプチドレベル単独より有用である。従って、本明細書に記載された方法は、対象のBMIを決定することを含んでいてもよく、対象が過体重または肥満である場合に、本明細書に記載されるようなMACEリスクスコアの決定のため、その患者を選択することを含むことができる。
【実施例】
【0066】
以下の実施例において本発明をさらに説明するが、実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものではない。
【0067】
実施例1 急性非代償性心不全(HF)を有する患者におけるMACEリスク決定のための、ST2をNT-proBNPと組み合わせた公式の誘導
受診時または処置中もしくは追跡中の時点における、ST2またはNT-proBNPのいずれかの測定は、予後判定のために有益であることが個々に示されている。予後判定のための最も強力な測定が、二つの時点でのST2の変化であることも決定されている。この分析においては、悪化中のHFの兆候および症状を有する、二つのHF診療所に通院している、確立された症候性HFを有する患者48人を評価した。sST2およびアミノ末端プロB型ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)の濃度の基線時(T0)および2週目(T1)の測定値を得た。1年間の追跡期間中、患者の56%において、有害心イベント(死亡、HFのための入院、および心臓移植)が報告された。このデータセットにおいてなされた一連の測定について計算された、表1に示されるROC曲線下面積(AUC)値は、全ての心イベントを転帰として使用した場合の、この時点を例示する。
【0068】
(表1)1年以内のイベントについての個々の各測定値および比値についてのROC AUC値の概要

【0069】
単純二元層別化アプローチにおいてST2比を使用して、本発明者らは、この場合、0.75というROC至適閾値を使用して、表2に示される結果を得た。
【0070】
(表2)0.75というST2比閾値を使用した1年以内の心イベントのリスクについての患者層別化の概要

【0071】
この表に見られるように、ROC至適閾値は中央値または平均値のいずれよりも低い。しかしながら、中央値のようなより高い閾値が使用された場合、相対リスクが1.9へと減少する。従って、この分析目的のためには、最も高い予後判定精度を提供する0.75という閾値が使用されるであろう。
【0072】
他の研究(Januzzi et al.,J.Am.Coll.Cardiol.50:607-613(2007);Mueller et al.,Clin.Chim.54(4):752-756(2008))において、リスク層別化または予後判定のために使用された場合、ST2とNT-proBNPとの間に相乗的な関係が存在することも観察された。このコホートにおいてその関係を確認し、かつST2およびNT-proBNPを共に使用するための最も強力な方法を同定することを試みて、様々な数学的組み合わせについて検討した。表3は、比として表されるST2の変化を、第二の時点におけるNT-proBNP値と組み合わせた場合の、単純二元分析において得られた至適な結果を表す。ST2比値についての0.75という閾値は、ROC分析により決定され、至適であることが主観的に確証された。1000pg/mlというNT-proBNP値は、1年の追跡期間内の予後判定のため理想的であると一般に見なされている。
【0073】
(表3)ST2比について0.75、NT-proBNPについて1000pg/mlという閾値を使用した、ST2比および2週目NT-proBNP値を使用した患者層別化の概要

【0074】
最高リスク患者および最低リスク患者の両方を同定するためには効果的であるが、このアプローチの弱点は、最低リスク群に極めて少数の患者が存在し、患者の大きい割合が不定の範囲に存在するという点である。
【0075】
NT-proBNP値と組み合わせられたST2比の機能的利用可能性をよりよく定義するため、以下の公式を開発した。
X=(ST2 T1/ST2 T0)+αln(NTproBNP T1)
この公式は、NT-proBNP項に関連した係数のある範囲について、ROC AUCの関数として結果を評価することにより開発された。この一連の計算からの結果は、図1に示される。
【0076】
最大AUC値は、0.33というαの係数において達成され、最終方程式は以下のようになった。
X=(ST2 T1/ST2 T0)+0.33ln(NTproBNP T1)
感度、特異度、および相対リスク(右側軸)を比較する一連の計算において、このアルゴリズムを使用して、本発明者らは、図2中のプロットを得た。
【0077】
このプロットにおいて、最大相対リスク値をもたらすスコア値は3.2である。図3に例示された、このデータのROC分析は、至適閾値が3.3であることを確認している。次に高いAUC値を生じた、ST2比についての0.77、NT-proBNP比についての0.72と比較して、このスコアを使用したAUC値が0.80であることにも注目されたい。
【0078】
イベント(入院、移植、または致死)のリスクを有するこのコホート内の患者を層別化するため、3.2という閾値で、このスコアを使用した場合、低リスク患者と高リスク患者との間の明白な区別が達成される。これらの結果は表4に例示される。
【0079】
(表4)3.2というスコアカットポイントを使用した1年以内の有害イベントのリスクについての患者層別化の概要

【0080】
これらの結果を、表2に示されたST2比単独を使用した結果と直接比較すると、ST2比をNT-proBNP値と組み合わせることにより、リスク予測の評価を表す関連パラメーター;PPV、NPV、およびRRが、全て、より強力になることが例証される。
【0081】
比較のため、次に強力な値、NT-proBNP比についての層別化結果を表5に要約する。NT-proBNP比を使用した値は、ST2比を使用した場合、またはST2をNT-proBNPと組み合わせた公式からのものより、はるかに低い。
【0082】
(表5)NT-proBNP比を使用した1年以内の有害イベントのリスクについての患者層別化の概要

【0083】
(表6)ST2比およびスコアの値の比較

【0084】
図4Aに示されるような箱ひげ図を使用して、スコアおよびST2比の値の相対的な差を図示することもできる。予想通り、両方の群は、イベントクラスタと無イベントクラスタとの間の統計的に有意な分解を有していた(スコアについてはP=0.0004、ST2比についてはP=0.0013)。
【0085】
この公式から生じたスコアとST2値についての比との間の区別は、カプラン・マイヤー生存曲線により分析された場合にも観察される。図4Bは、5.93という計算されたハザード比を有する公式スコアについての生存曲線結果を示す。以前の計算と一致して、図5は、ST2比についてのこの同一の分析が、2.72というハザード比を有していたことを示し、それは、図6に示されるように、NT-proBNP比について計算された2.39という値に類似している。
【0086】
カプラン・マイヤー曲線から計算されたハザード比は、コックス比例ハザード回帰分析と一致していた。表7は、三つの最も情報価値のある測定についての両方の計算からのハザード比(HR)値を要約する。
【0087】
(表7)1年追跡時のイベントのリスクについてのハザード比値の概要

【0088】
この公式を、表8に示されるように、死亡および/または移植という、より決定的な終点の予測における精度についても評価した。
【0089】
(表8)1年以内の死亡または移植についての個々の各測定値および比値についてのROC AUC値の概要

【0090】
この分析において、0.7より大きいAUCを有していた変数は、ST2比のみである。表9に示されるように、死亡または移植という転帰について、ST2比については0.85という閾値が至適であることが、ROC分析により決定された。
【0091】
(表9)ST2比ROC値

【0092】
これらの結果を、NT-proBNPの変化について一般に受け入れられている0.7という閾値と比較した場合(NT-proBNP比についてのROC至適値は0.58である)、表10に示される結果が生じた。ST2比および1年以内の死亡または移植のリスクについての至適閾値が、1年以内の任意の有害心イベントについての0.75という至適閾値より高く、0.85であったことに注目されたい。
【0093】
(表10)ST2比およびNT-proBNP比を比較した1年以内の死亡または移植のリスクについての患者層別化の概要

【0094】
各バイオマーカーは類似した予測力を有していたが、閾値より下に同定された患者5人のうち、両方のバイオマーカーによって予測されたのは1人のみであった。
【0095】
カプラン・マイヤー生存曲線分析は、この集団内で個々に考慮された場合、NT-proBNP比についての曲線は初期に分岐し、分岐したままであり、ST2比についての曲線ははるかに遅く分岐するが、ST2比およびNT-proBNP比は、転帰予測に関して機能的に識別不能であることを示した。ST2比について、HRは2.66であり(p=0.0506)、NT-proBNP比について、HRは2.60である(P=0.0201)。
【0096】
コックス比例ハザード回帰分析により得られた結果は、わずかに異なる。個々に分析された場合、HR値は、ST2比について1.94、NT-proBNP比について0.55であり、共に分析された場合、ほとんど同一であり、ST2比について2.03、NT-proBNP比について0.53であった。p値は、いずれの変数についても有意ではなく、それぞれ0.176および0.168であった。
【0097】
しかしながら、イベントが転帰パラメーターとして評価された場合に観察されたように、ST2比を第二のNT-proBNP値と組み合わせると、ROC分析の結果は、図9に示されるように、この公式を使用した、より大きな予測精度を例証する。
【0098】
ROC分析は3.5を至適閾値として同定したが、付加的な分析は、以前に同定された3.2という閾値が、より良好な予後判定精度を提供することを確認している。カプラン・マイヤー生存分析(図10)からのHRは、6.02であった(p=0.0060)。コックス比例ハザード回帰分析から計算されたHRは、極めて類似しており、6.08であった(p=0.016)。
【0099】
表11は、ST2比およびNT-proBNP比ならびにMACEリスクスコアについて以前に決定された値を比較する相対リスク計算の概要を提供する。
【0100】
(表11)1年以内の死亡または移植のリスクについての患者層別化の概要

【0101】
単純ボックスプロット(図11)による例示は、MACEリスクスコア値についてのイベント群と無イベント群との間の区別を確認する。このプロットについては、p=0.002である。中央値が25〜75%境界線と重複しないことに注目されたい。ST2比およびNT-proBNP比についてのこの同一の比較は、図12および13に示される。これらのプロットについてのp値は、それぞれ0.017および0.046であり、イベント群と無イベント群との間の区別は、MACEリスクスコアの場合ほど決定的ではない。
【0102】
結論
このデータセットから得られたように、二つの時点におけるST2値の比と、第二の時点において測定されたNT-proBNP値とを組み合わせた記載された公式は、患者が、入院、移植、または死亡として定義された有害心イベントを経験するであろうリスクの最も強力かつ正確な尺度を提供する。
【0103】
実施例2 MACEリスク予測のための、ST2をNT-proBNPと組み合わせた公式の検証解析
この実施例に記載された研究においては、Veteran Affairs Healthcare System(San Diego,California)で、急性的に不安定になったHFにより入院加療された患者150人を追跡した。ST2、BNP、NT-proBNP、および血中尿素窒素(BUN)を含む、複数の心臓関連パラメーターを測定した。入院から退院までの間の六つの時点において、血漿試料を収集した。バイオマーカー濃度を、90日目の生存と相関させた。これらの150人の患者を、行われた様々な測定と、これらの測定が行われた時点との間の協調を至適化するため、以下の基準によりさらに選別した。
1.1日目のST2値
2.2日という最低経過時間のため3日目以降のST2値
3.最終ST2値と同じ最終日のNT-proBNP値
4.退院時に生存
この選別により、残りの患者数は、全部で107人となり、90日以内のイベント(再入院または死亡)は35例、これらのイベントのうちの13例が90日以内の死亡であった。以下の分析は、90日以内の致死の予測における精度について、様々な個々の測定値を比較し、ST2をNT-proBNPと組み合わせた公式をバリデートする。
【0104】
バイオマーカーを、患者が生存したかまたは死亡したかの関数として、日毎に報告した場合、経時的な明白な区別が存在する。生存しなかった患者においては、ST2のみならず、BNPおよびNT-proBNPについての値も増加し、生存した患者においては、これらの値が減少したかまたは低いままであった。図14〜16に、中央値が、25〜75パーセンタイルを表すエラーバーと共にプロットされる。
【0105】
この分析において、4日目(3日経過)までに、三つのバイオマーカー全てが、生存者と死者との間の中央値の最大分離を達成したが、中央値のみならず25〜75パーセンタイル値の有意な分解も達成し維持することができたのは、ST2およびNT-proBNPのみであった。
【0106】
表13に要約されたROC分析は、この観察を支持し、各バイオマーカーについての最大AUC値は、個々の4日目測定値、または基線と4日目との間の比として報告された変化についてであった。しかしながら、患者107人のこのコホートから、4日目について報告された値は60例しか存在しなかったため、4日目からの測定値を使用することの機能的強度は、この事例においては、限定されていた。分析に含まれていた患者の数を最大限にするため、3日目以降、各患者について入手可能であった最終値を得ることにより、最終(L)の値を得た。最終値についてのAUC値は、各バイオマーカーからの4日目値についての値と有意に異なっておらず、4:1測定またはL:F測定の比についてのAUC値も同様であったことが注目される。従って、この分析の残りのため使用した値は、最初(1)、最終(L)、および最終対最初(L:F)比であった。
【0107】
(表13)90日以内の致死についてのROC分析からの個々のAUC値

【0108】
図17および表14は、各バイオマーカーについてのL:F比値についてのROC分析を要約する。対比較において、いずれの曲線も、統計的に有意な分解を達成しない。
【0109】
(表14)90日以内の致死についての比のROC分析結果

【0110】
誘導のためにペプチドコホートデータを使用して決定されたように、致死リスクスコアの公式の結果は、個々の測定値または比値のいずれよりも大きなROC分析AUCを与えた。この公式についてのROC分析は、図18に示され、ROC分析データは、表15に要約される。
【0111】
(表15)90日以内の致死についてのMACEリスクスコア公式 ROCデータ

【0112】
この分析からのROC至適値は3.52であった。ペプチドコホートデータを使用して認められたように(実施例1参照)、MACEリスクスコア公式ROC至適値はやはり3.5であったが、そのコホートにおいて、最良の予後判定(致死)精度は、3.2という値により達成された。基本の箱ひげ図(図19)は、生存者群と死者群との間の明白な分解を示す(p<0.0001)。比較のため、ST2 R L:Fの箱ひげ図分析は、類似している(p=0.0001)(図20)。ペプチドコホートデータを使用しても認められたように、基本のマトリックス分析および相対リスク計算は、MACEリスクスコアが最も正確な致死予測を提供することを確認する。
【0113】
(表16)最も強力な致死予測変数のマトリックス分析および相対リスク分析

【0114】
ST2比およびNTproBNP比は、いずれも、良好な相対リスク値を与えたが、MACEリスクスコアを使用した相対リスクははるかに高かった。
【0115】
結論
ペプチドコホートデータを使用して決定されたように(実施例1)、本明細書に記載されたMACEリスクスコア公式は、ROC、ハザード比、および相対リスク計算により決定されるように、特に転帰パラメーターが致死である場合、最も高い予後判定精度を提供する。これらの二つのコホートにおける閾値には、小さいが有意である可能性が高い差が存在する。実施例1に記載されたペプチドコホートは、0.75というST2比閾値および3.2というMACEリスクスコア公式閾値を有する外来患者群であり、この実施例2に記載されたVETコホートは入院患者群であり、それぞれの閾値は0.85および3.5である。この閾値の差は、入院患者状態と外来患者状態との間の疾患重度の差による可能性もあるし、または測定間の時間的な差による可能性もある。外来患者コホートにおいては測定間に2週間の時間枠が存在したが、それに対し、入院患者コホートにおいては3〜5日の時間枠であったためである。Shimpo et al.,Circulation 109(18):2186-90(2004)は、ST2値が、心筋梗塞後の最初の12時間に急速に増加することを報告した。これらの二つの実施例に記載された結果は、心不全を有する患者においてもST2レベルの動的な変化が存在することを明白に例証しているが、絶対的な動力学的パラメーターは未だ決定されていない。
【0116】
他の態様
本発明をその詳細な説明と共に説明したが、以上の説明は、本発明を例示するものであって、本発明の範囲を限定するためのものではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の範囲によって定義されることが理解されるべきである。その他の局面、利点、および修飾も、以下の特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第二の時点における対象のナトリウム利尿ペプチド(NP)のレベル(NP T1)の重み付けした対数と組み合わせた、第一の時点における対象の増殖刺激発現遺伝子2(ST2)の第一のレベル(ST2 T1)に対する第二の時点における対象のST2の第二のレベル(ST2 T0)の比に、少なくとも一部分基づく、対象についての主要有害心イベント(MACE)リスクスコア(MACERS)を決定する工程、および
該MACERSを参照MACERSと比較する工程
を含む、対象についての1年以内のMACEのリスクを評価する方法であって、参照MACERSと比較された前記MACERSが、対象の1年以内のMACEのリスクの指標である、方法。
【請求項2】
ST2 T0を決定するため、第一の時点における対象のST2の第一のレベルを得る工程、
ST2 T1を決定するため、第二の時点における対象のST2の第二のレベルを得る工程、および
NP T1を決定するため、第二の時点における対象のナトリウム利尿ペプチド(NP)のレベルを得る工程
をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記NP T1の対数が自然対数を含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
MACERSが、下記式を使用して決定される、請求項1記載の方法:
MACERS=(ST2 T1/ST2 T0)+αln(NP T1)
式中、係数アルファは自身が作用する変数に対する重み係数である。
【請求項5】
係数アルファが約0.33である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
NPが脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
第一の時点が、症状の開始から1〜7日以内である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
第二の時点が、第一の時点から2〜14日後である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
有害イベントが、初発の心イベントの再発、アンギナ、心不全の代償不全、心血管疾患(CVD)のための入院、CVDによる致死、および移植からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
対象が心不全を有すると診断されている、請求項1記載の方法。
【請求項11】
参照MACERSが、1年以内の有害イベントの低いリスクに対応するスコアを表す、請求項1記載の方法。
【請求項12】
試料が、血清、血液、血漿、尿、または体組織を含む、請求項1記載の方法。
【請求項13】
参照MACERSが約3.2であり、かつ参照スコア以上であるスコアにより、対象が、参照レベル未満のスコアを有する対象と比較して上昇した1年以内の有害イベントのリスクを有することが示される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
対象が、25〜29のBMI、30以上のBMI、または腎不全を有する、請求項1記載の方法。
【請求項15】
退院させるか、または入院患者として処置を継続するかの判断が、MACERSに基づいてなされる、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公表番号】特表2011−520098(P2011−520098A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505224(P2011−505224)
【出願日】平成21年4月17日(2009.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/040941
【国際公開番号】WO2009/129454
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(508317295)クリティカル ケア ダイアグノスティクス インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】