説明

乗員検出および分類システム

乗員検出システムは、コントローラ、検知電極、およびシールド電極を備え、電極は車両シート内に設置される。コントローラは、検知回路によって、検知電極とシールド電極に電気的に結合される。コントローラは、入力信号を、検知電極、シールド電極、または両方に送るよう構成され、電流、インピーダンス、またはキャパシタンス値を測定し、シート上に物体が存在するかどうかを判断し、物体を分類し、またはその両方を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般的に、容量検知システムおよび検知方法の分野に関する。特に、本開示は車両シートの容量検知システムと検知方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
乗員分類システムにおいて、シート上に置かれた物体から乗員を正確に分類するシステムおよび方法が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【図1】例示的な実施形態による、車両シートの模式図である。
【図2】例示的な実施形態による、容量検知システムの概要図である。
【図3】別の例示的な実施形態による、容量検知システムの概要図である。
【図4】一つの例示的な実施形態による、乗員検出システムの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明のこれら、および他の特徴、形態、および利点は、以下の記述、および上記に簡単に説明される図面に示す添付の例示的な実施例から明らかになるだろう。
【0005】
図は、例示的な実施形態を詳細に示す。しかしながら、本出願は記述で述べたまたは図で示した詳細および方法に限られないことを理解すべきである。用語は説明の目的のみのものであり、限定するものとみなすべきではないことも理解すべきである。
【0006】
乗員分類システムおよび乗員検知システム(例えば、車両シートの占有度を検出するシステム)で使われる容量または電界型センサは、多くの方法で実現され得る。例えば、一実施形態に関し、AC電流は、車両シートに設置された検知電極に供給され得る。電流、またはセンサへの電流の変化は、検知電極から接地へのインピーダンスのインジケータとして測定され、使用され得る。ある車両シート構成では、シートヒータを備えてもよい。乗員検知システムの一つの実施形態に関し、電極は、容量検知電極とシートヒータの両方として機能し得る。
【0007】
乗員分類システムにおいて、乗員は、車両シート上に設置された物体についての性質を検知するセンサからの情報を使って分類される。システムの中には、シート上の全重量を検知するものもある。容量センサが乗員の分類に使われる場合、シートカバー上の環境は、様々な技術を使って検知され、乗員の誘電特性、および導電特性を識別する。導電検知要素がシート内に設置され、一つの実施形態によると、電極から接地へのインピーダンスは、シートカバー上の乗員状況のインジケータとして使われ得る。
【0008】
乗員検出および分類システムは、座面下の環境が乗員の分類に影響しないように構成される。シートヒータが設置される場合、通常は、抵抗性ヒータが使われる。抵抗性ヒータは、本質的に、車両シートに設置された接地電線または導体である。乗員分類および検出システムの検知電極は、シートヒータ上に配置され得る。検知電極とヒータ間の向きが変わった場合、オフセット容量が変化し、その変化により、正確な乗員分類をするためのシステム能力に悪い影響を及ぼす可能性がある。例えば、検出システムは、空のシートへの電導の測定に対するオフセットを含むよう構成され得る。測定における空のシートのオフセットが大幅にドリフトすると(例えば、電極とヒータの向きが変化したことによる)、システムは正確な乗員分類ができない。
【0009】
様々な例示的な実施形態に関し、自動車の乗員分類検知システムは、検知電極としてシート内に様々な導体を使用し得る。例えば、検知システムは、「シールド」導体上に設置された「センサ」導体または組立品を備え得る。シールド導体は、シールド下の物体(例えば、シートパン、シートヒータ等)への検知システムの感度、またはシールド下の物体からの干渉を減らすよう構成される。シールド電極を設置することで、シールドがシステムを検知電極下の物体を検知しないようにする間、乗員検知システムは、シート上の物体を検知するために、同じ検知構成で維持することができる。容量検知乗員分類システムは、車両シートの乗員を分類するために検知電極から得られた測定値を使い、乗員にシートベルトを締めるよう注意するかを判断するために使われ得る。
【0010】
別の例示的な実施形態において、検知システムは、厚い発泡材料の反対側にある複数の電極を使うことができる。電極の構成は様々でありながら、測定は行われ得る。更に別の例示的な実施形態において、検知システムは、単一のシステム内で重量検知コンセプトを容量検知コンセプトと組合せ、統合し得る。統一されたシステムは、容量情報に加えて重量/圧力情報を使い、乗員状況を識別し、好ましい分類を生成することができる。
【0011】
様々な例示的な実施形態において、検知システムは容量測定をするために電子的な方法を用い得る(例えば、高周波数電流測定、または別の方法を用いる)。センサ組立材料は、電極としていかなる種類の導電材料(例えば、銅、導電インク、導電布)も含むことができ、センサとシールド間のスペーサーとしていかなる圧縮性材料(例えば、不織布フェルト、織布、発泡材料、空気調整シートを動作させるよう空気を流れさせるために使う材料、または、1psi以下の圧力で大幅に圧縮する別の材料)も含むことができる。
【0012】
添付の図を全般的に参照すると、乗員分類システムは、シート占有度を検出し、シート上の重量を検出するために、センサ(例えば、容量車両センサ)を使うと説明される。一般的に、乗員分類システムは、センサとシールドを備えることができる。乗員を検知するために、センサはシールド上に配置され、シールド下に設置された影響を及ぼす物体(例えば、シートヒータ)を減らすことができ、センサ測定法を備え得る。分類システムは、重量または力検知機能を備え得る。重量を検知すると、センサとシールドは、シールド下に配置されたセンサを用いて(例えば、電子的な切り替えを介し)向きを切り替え、シートの上に配置された影響を及ぼす物体(例えば、電子機器)を減らすことができ、センサ測定法を備え得る。乗員検知、および重量または力検知測定法は、ともに使われ、シート上の物体が人間かどうかを判断でき、人間として誤って物体を検出してしまうことを減らすことができる。
【0013】
図1を参照すると、例示的な実施形態に関し、車両10は、車両10のシート14に乗員12を伴って示される。シート14は、乗員分類および検出システム16を備え得る。図1に示すように、乗員分類システム16は、一般的に、車両10の乗員12が座る場所の下のシート14内に設置することができ、シート14または車両10の別の場所に設置することができる。
【0014】
乗員分類システム16は、一般的に、シート14の占有度を検知し分類するためのセンサ、シールド、電子装置を備えることができる。例えば、センサは、物体の導電度と重量の両方のためのセンサ上の物体による影響に対応する測定を行うために使われ得る。センサからの測定値は、シート14内の物体、または乗員がいるかどうかを判断するために評価され得る。乗員分類システム16は、車両10のシート14のためのシート暖房システム、および/または別のシステムを備えることができ、またはそれらとともに動作するよう構成することができる。
【0015】
乗員分類システム16は、検知電極を含む容量または電界センサを備える。容量センサは、一般的に、物体の近接度、位置、重量等のような特性を検知することが可能である。検知電極からの様々な測定値は、シート内に物体があることを検出するために使われ得る。例えば、システムはキャパシタンスの変化(例えば、二つの導電物体間の電気的な特性の変化)を測定できる。乗員12がシート14に座ると、システムは、キャパシタンスの変化を検出して、乗員分類システム16によって乗員12が存在するかを判断することができる。
【0016】
一つの実施形態において、図2Aに示すように、キャパシタンスに基づく乗員分類システム200は、上部電極202と下部平板電極204を備える。図2Aの実施形態において、上部平板電極202は検知電極202であり、下部平板電極204はシールド電極である。典型的な、または通常の測定モード、または構成の間、システム200は検知電極−乗員206に最も近い上部電極202−からの信号の変化を検知し、乗員が存在するかどうかを判断する。シールド電極(下部電極204)は、車両シート内の検知電極下に設置される。検知電極およびシールド電極は、シート表面の力を測定するために、様々な構成に変更することができる。
【0017】
図2Bを参照すると、一つの例示的な実施形態において、検知電極およびシールド電極の役割または機能は、乗員分類および検出システムが力または重量測定モードで動作する場合に切り替えることが可能である。重量測定モードにおいて、システム200は、乗員の存在に感受性がより低くなるよう構成することができ、乗員206の重量を判断するために使うことができる。重量測定モードの間、容量または電界検知は、乗員から最も離れた下部電極204(乗員検知測定におけるシールド電極)から得られる測定値を使って行われ、乗員206に最も近い上部電極202は、切り替えられてシールド電極になるる。電極202、204は、電極を通る電流の流れを変更するよう構成された電子的、または機械的なスイッチを使って切り替えられ得る。乗員の存在を測定するために下部検知電極を使う代わりに、力および重量測定モードにおいて、システムの電子装置および/またはソフトウェアは、センサとシールド(電極202、204)間のキャパシタンス(または、電流やインピーダンス)を測定するよう構成され得る。測定されたキャパシタンス(または、キャパシタンスや電流、またはインピーダンスを代表する測定値、またはそれらに関連する測定値)は、閾値と比較され得る。測定値と閾値間の差は、シート上の力によるセンサの相対的な位置の変化によって発生し得る。測定は、乗員206が上部電極202による測定からシールドされるので、乗員206の導電または誘電性質によって大幅に影響されることなく行われ得る。
【0018】
図2Cを参照すると、シート座部上の力が増すにつれて、センサ(電極204)とシールド(電極202)間の物質208が圧縮される。この圧縮により電極202、204が互いに近づくよう動かされ、2つの電極202、204間のキャパシタンスがそれに応じて増加することになる。電極202、204間のキャパシタンス(または、電極202、204間の相対的な位置の変化を示す、他のあらゆる測定値)は、乗員206によって加えられたシート上の力を推定するために使われる。シート上の力は、乗員(すなわち、人間)と無生物(例えば、コンピュータ)間の区別をするために使われる。
【0019】
図3Aと3Bは、容量または電界型乗員分類および検出システムの、別の例示的な実施形態を開示する。図3Aと3Bに示すシステム300は、図2A−2Cのシステム200と同様であり、乗員306を検知するための上部電極302と下部電極304を備える。システム300は、更に、電極302、304を駆動するため、および電極302、304上の測定値を提供するための電流または信号を提供するよう構成された電子装置310(例えば、検知および信号調整電子装置)を備える。
【0020】
本明細書で開示される乗員分類および検出システムは、システムを制御し、システム構成要素(例えば、検知電極)からの様々な測定値を受信するコントローラ、プロセッサ、または電子制御ユニット(ECU)を備えることができる。コントローラは、例えば車両安全システム(例えば、エアバッグおよびシートベルトシステム)のように、他の車両システムと互いに作用し合うよう構成される。コントローラは、可能であれば安全装置が作動するようにするために、大人が車両シートにいるかどうかを示す車両安全システムに信号を提供することができる。乗員分類システムのコントローラは、例えば、車両安全システムで使われるコントローラのような他の車両システムのコントローラと統合され得る。
【0021】
特に図3Aを参照すると、一つの例示的な実施形態に関し、システム300は、システム300の下からの干渉をシールドしつつ乗員306を検出するための乗員検知モードまたは構成を備える。システム300は、上部電極302を電子装置310の検知ポート316に電気的に結合するスイッチ312を備え、下部電極304を電子装置310のシールドポート318に電気的に結合するスイッチ314を備える。図3Aの構成において、上部電極302は検知電極であり、下部電極304はシールド電極である。
【0022】
図3Bを参照すると、一つの例示的な実施形態に関し、システム300は、乗員306の電気的特性への感度を減らす重量または力検知モードまたは構成も備え、乗員306の重量を判断するために使われ得る。図3Bの実施形態において、乗員306に近い導体または上部電極302は接地320に切り替えられ、乗員306から離れた下部電極308は電子装置310の検知ポート316に切り替えられる。図3Bの構成において、上部電極302はシールド電極であり、下部電極304は検知電極である。
【0023】
システムで使われる電子装置310は、乗員分類システム300を制御できるソフトウェアおよびいかなるアナログまたはデジタル回路であってもよい。また、様々な例示的な実施形態に関し、スイッチ312、314は、電流の流れを変えることができるいかなる電子的または機械的に作動するスイッチであってもよい。電子装置310は、スイッチ312、314の切替えを制御するよう構成される。例えば、システム300は、一般的に、乗員検知構成内にあり、検知構成により乗員が大人の大きさかを判断する場合の検証のためにのみ、重量検知構成に切り替え得る。あるいは、ある時間間隔で周期的に切り替えることができる。
【0024】
重量または力の測定に電界または容量測定を加えることで、物体が容量検知システム200、300にとって大きく見える(例えば、大人のように見える)が物理的には小さい場合のケース間で、システムが選り分けたり区別したりすることを可能にする。例えば、シート上の電子機器による容量性負荷または電気的な干渉は、特にそれらの機器が車両内にある12V付属コンセントに差し込まれている場合、検知ノードがシールドノード上にあるとき、測定されたキャパシタンスを増やす原因になる。そのような電子機器には、携帯電話、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)、全地球測位システム(GPS)、光ディスク(例えば、DVD、Blu−Ray等)プレイヤー、ラップトップコンピュータ、または他のあらゆる電子機器であり得る。電子機器は、それらが導体であり、接地に十分に結合されているので、容量センサには大きく見える可能性がある。シート上の電子機器または他の物体は大人ではないと認識すると、車両のシートベルト警告器が起動した場合、面倒事の原因になるかもしれない。上記の例示的な実施形態により、低コスト力測定を容量検知システムに統合することによって面倒事の問題は解決する。重量検知構成は、空のシートを識別するためにも使われ、容量検知システムを使って問題を診断し、同じ測定電子装置とセンサ外への接続を重量測定および容量測定に使うことができ、結果として、低コストの解決策となる。
【0025】
図2および図3の例示的な実施形態では、シールドに対するセンサの相対的な物理的位置の変化が電子的に測定され、乗員の導電および誘電性質による大幅な影響のない、いかなる構成の電極でも使うことができる。他の例示的な実施形態に関し、センサおよびシールド電極間のキャパシタンスを検出する代わりに、システムは、センサおよびシールド間だけに流れる高周波数(例えば、約100kHz、100kHzより大きい、等)AC電流を計算するための複数の構成における複数の測定値を使うことができる。測定された電流の増加が大きい場合、乗員からの力が増えたためにセンサとシールドの相対的な位置の変更を指示するキャパシタンスをシールドするために、センサの増加を指示する。別の実施例に関し、センサとシールド電極間のキャパシタンスはRC時定数の変化、電極へのステップ電圧に対するシステムの応答の変化、電極間で共有する変化の変化、またはキャパシタンスを測定する他のあらゆる方法を解析することによって測定することができる。
【0026】
図4は、一つの例示的な実施形態によると乗員検出システム400の代表的、または例示的な回路図を表す。乗員検出システム400は、検知電極410を電気的に接続する検知回路402、シールド電極412、スイッチSWDSおよびSWload、および電子装置420を備える。検知回路402は、電子装置420とシールド電極412の間に配置された、増幅器またはトランジスタのような、信号生成装置406も備える。検知電極410は、電子装置420の外に配置された、インダクタのような、導体、検知ノード、または他の装置も備えることができる。シールド電極412は、シールド電極412と信号生成装置406の間に配置された、シールドノードのような、導体または他の装置も備えることができる。検知回路402が電子装置420の外に見られる場合、電子装置420は、スイッチのような検知回路402、増幅器、または他の装置の構成要素を備えることができる。例えば、電子装置420および検知回路402の構成要素は、一体であることができ、共通のハウジング内、または共通の回路基板上に配置されることができ、一方、検知およびシールド電極410、412はハウジングの外部にあり、電気装置420に電気的に結合される。しかしながら、当業者は、別の実施形態に関して他の構成が可能であることを認識するだろう。
【0027】
一般的に、電子装置420は、コントローラ422および信号調整装置424を備える。一般的に、信号調整装置424は、正弦波出力装置425、電流検知回路426、および復調およびフィルタリング装置427を備える。信号調整装置424は、出力信号を生成し、電流を測定し、測定された電流に対応する入力信号を生成する。
【0028】
コントローラ422は、マイクロプロセッサまたは電子制御ユニット(ECU)であり得、乗員検出システム400を制御する。コントローラ422は、信号調整装置424が出力信号を生成すると、スイッチSWDSおよびSWloadを開くか閉じるかを判断し、信号調整装置から受信した入力信号を解釈する。
【0029】
更に以下に記載するように、システム400は、乗員の重量が検知電極410をシールド電極412に向かわせる場合のように、車両シート上の力の代表的な指示を得るために使われるある測定値を得るために動作することができる。電子装置420は、検知電極410とシールド電極412間のインピーダンスを計算するために使われ、それは乗員を分類するために使うことができる。電子装置420は、検知電極410と接地間のインピーダンスを計算するためにも使われ、それは乗員を検出するために使うことができる。電子装置420は、検知電極410と、シールド電極412および接地の両方との間のインピーダンスを計算するためにも使われ、乗員の検出と分類のどちらのためにも使うことができる。
【0030】
コントローラ422は、マイクロプロセッサまたは電子制御ユニット(ECU)であり得、乗員検出システム400を制御する。コントローラ422は、信号調整装置424が出力信号を生成すると、スイッチSWDSおよびSWloadを開くか閉じるかを判断し、信号調整装置424から受信した入力信号を解釈する。
【0031】
スイッチSWDSおよびSWloadの開閉により、乗員検出システム400の検知回路402は、4つの異なる構成(すなわち、スイッチSWDSおよびSWloadがそれぞれ、クローズ/オープン、クローズ/クローズ、オープン/オープン、およびオープン/クローズ)に配置され得る。SWDSを閉じると、シールド電極412の出力信号の振幅が変化し、SWloadを閉じると、センサとシールド電極410、412間のインピーダンスZSWを導入する。
【0032】
4つの回路構成のそれぞれにおいて、電流は信号調整装置424によって測定され、それにより、4つの電流測定値M、M、M、およびMを供給する。MはSWDSがクローズでSWloadがオープンの場合に測定され、MはSWDSがクローズでSWloadがクローズの場合に測定され、MはSWDSがオープンでSWloadがオープンの場合に測定され、MはSWDSがオープンでSWloadがクローズの場合に測定される。
【0033】
これら4つの電流測定値から、検知電極410とシールド電極412間のインピーダンスに比例した数は、コントローラ422によって次の通りに計算される。
【0034】
【数1】

【0035】
本式は、以下の式から得られる。
【0036】
【数2】

【0037】
このように、数
【数3】

は、検知電極410とシールド電極412間のインピーダンスに比例し、乗員を分類するために車両シート上の相対的な力を判断するために使うことができる。例えば、乗員分類の結果は、シートベルト警告器を起動させるべきかどうか、またはエアバッグを作動させるべきかどうかを判断するために使うことができる。
【0038】
電流の測定値M、M、M、およびMから、検知電極410と接地間のインピーダンスに対応する数(すなわち、検出値)も次の通りに計算される。
【0039】
【数4】

【0040】
本式は、以下の式から得られる。
【0041】
【数5】

【0042】
ここで、ZSWは相殺され、既知である必要はないが、計算の意味のある変化のために十分大きいべきであり、Zセンサ/シールドは、上記の
【数6】

に対する式から得られる。ioccに対する値は、検知電極410と接地間のインピーダンスに対応し(すなわち、反比例する)、乗員または物体が存在するかを判断する(すなわち、乗員を検出する)ために使うことができる。
【0043】
一つの例示的な実施形態に関し、乗員検出システムは、正規化回路404も備えることができる。正規化回路404は電子装置420が、検知回路402内の利得、オフセットシフト、および位相シフトの変化による測定値変動を調整することを可能にする。
【0044】
正規化回路404は、高基準インピーダンス装置442および低基準インピーダンス装置444を備え、どちらも異なる既知のインピーダンスを持つ。対応するスイッチSWrefhiおよびSWrefloは、高および低基準インピーダンス装置442、444をそれぞれ接地に選択的に接続する。信号調整装置424は、一つの例として、一定電圧で100kHzのAC電流を生成し、基準電流MrefhiとMrefloを測定する。基準電流Mrefhiは、SWrefhiがクローズでSWrefloがオープンの場合に測定され、基準電流Mrefloは、SWrefhiがオープンでSWrefloがクローズの場合に測定される。
【0045】
検知回路402は、検知回路402および正規化回路404を特定するためにスイッチSWsensを備える。電流測定値M、M、M、およびMが測定されると、SWsensはクローズする。基準電流MrefhiおよびMrefloが測定されると、SWsensがオープンし、それにより、正規化回路404は検知回路402から切り離される。
【0046】
インピーダンスが既知であるインピーダンス装置442、444に関して基準電流MrefhiおよびMrefloを測定し、検知回路402から正規化回路404を切り離すことによって、マイクロプロセッサ422は、検知回路402の独立したシステムインピーダンスを計算できる。このような方法で、マイクロプロセッサ422は、検知回路402内の利得、オフセットシフト、および位相シフトの変化を判断することができ、より正確に乗員の検出と分類ができる。
【0047】
様々な例示的な実施形態に関し、シールドは、測定コンセプトおよび関連づけられた電子部品と適合するいかなる電位または信号で駆動され得る。例えば、シールドは、センサ信号と同様か、または同じ信号で駆動され得、固定DCレベルに接続され得、上記の複数の測定コンセプトを可能にするための様々な信号で駆動され得る。
【0048】
乗員分類システム200、300は、互いとともに利用される複数の機能を備える様に示されたが、あるいは、システム200、300は、記載した機構または機能のすべてより多くとも少なくとも利用可能である。例えば、別の例示的な実施形態において、より多くの電極をシステム200、300内で使うことができる。
【0049】
各要素の特定の形状は図面内に特定的に記載したが、各要素は、その要素によって実行される機能を促進する他のいかなる形状であっても良い。例えば、電極は平板電極であるよう示されているが、別の例示的な実施形態において、その構造は別の形状の電極で規定することができる。更に、スイッチの特定の形状が図3に示されているが、別の例示的な実施形態に関し、スイッチは、別の形状になることができ、異なる方向に作動することができる。上記に詳細に記載された検知および分類システムは、米国特許第12/541,825号に記載されたもののような周知の乗員検出システムとともに使うことができる。上記特許出願は、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。
【0050】
本開示の目的のために、用語「結合」は、2つの構成要素が互いに直接、または間接的に接合することを意味する。そのような接合は、事実上静止した、または事実上可動であることができる。そのような接合は、2つの構成要素(電気的または機械的)、および互いを用いて、または、2つの構成要素や2つの構成要素と互いに取り付けられた追加の部材を用いて、単一で一体型の本体として一体的に規定される追加のあらゆる中間部材で達成することができる。そのような接合は、事実上恒久的であり得、あるいは、事実上可動、または分離可能であり得る。
【0051】
本開示について例示的な実施形態を参照して記述したが、当業者は、請求項に記載した対象の精神及び範囲から逸脱することなく、形状及び詳細について変更を行えるものと理解するであろう。例えば、異なる例示的な実施形態を、1つまたは複数の利益を提供する1つまたは複数の特徴を含むように記述したかも知れないが、記述した特徴は互いに交換できる、あるいは記述した例示的な実施形態または他の別の実施形態において、互いに組合せてもよいと考えられる。本開示の技術は比較的複雑であるため、本技術に関する全ての変更を予見できるというわけではない。例示的な実施形態を参照して記載し、以下の請求項で明記する本開示は、明らかに出来る限り広範なものとする。例えば、例示的に言及しない限り、単一の特定要素を引用する請求項には、複数のかかる特定要素も包含する。
【0052】
好ましい、および他の例示的な実施形態に示すようなシステムの要素の構造および構成は例示目的にすぎないことに留意することも重要である。本開示においてほんのいくつかの実施の形態を詳細に説明したが、この開示を吟味した当業者なら、列挙された要旨の利点及び新規な教示から実質的に逸脱することなく、多くの修正(例えば、様々な要素の寸法、範囲、構造、形状及び比率の変更、パラメータの値、装着構成、材料、色彩、方位の使用等)が可能であることを容易に認識できよう。例えば、一体に形成されたように示された要素は複数の部品で構成されることができ、複数の部品のように示された要素は一体に形成されることができ、組立品の動作は逆になる、そうでなければ変更することも可能であり、システムの構造および/または部材、またはコネクタや別の要素の長さおよび幅は変更可能であり、要素間に設置された調整および取り付け位置の本質または数は変更可能である。システムの要素および/または組立品は、十分な強度と耐久性を備える多種多様な材料のどれからでも構成されることができることに留意されたい。したがって、そのような変形は全て、本開示の範囲に含まれるものである。本開示の範囲から逸脱することなく、好ましい実施形態および他の例示的な実施形態の設計、動作条件、および構成に他の代替、修正、変更、および省略がなされてもよい。
【0053】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年11月19日に出願した米国仮出願第61/272,928の優先権および利益を主張するものである。先の出願は参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両シートのシート座部内に取り付け得る検知電極と、
前記車両シート内の前記検知電極下に設置されたシールド電極と、
前記検知電極と前記シールド電極に結合されて動作する検知回路と、
前記検知回路に結合されて動作するコントローラとを備え、
前記コントローラは乗員検知モードと重量検知モードで前記検知回路を動作するよう構成され、
前記乗員検知モードにおいて、前記検知回路は前記検知電極に信号を供給するよう構成され、前記検知回路は前記車両シート上の物体の電界に影響を及ぼす特性による前記検知電極への電流の変化を検出するよう構成され、
前記重量検知モードにおいて、前記検知回路は前記シールド電極に信号を供給するよう構成され、前記検知回路は前記車両シート上に配置された前記物体の重量により前記シールド電極に対する前記検知電極の相対的な位置の変化から結果として生じる前記シールド電極への電流の変化を検出するよう構成される、
車両内の乗員を検出するシステム。
【請求項2】
前記乗員検知モードにおいて、前記コントローラは、前記物体の存在を判断するための電流の変化に基づいて、前記検知電極と接地間のインピーダンスを計算し、
前記重量検知モードにおいて、前記コントローラは、前記物体を分類するための電流の変化に基づいて、前記シールド電極と検知電極間のインピーダンスを計算する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記乗員検知モードと前記重量検知モードにおける前記検知回路の構成を複数の回路構成に変更するよう構成され、
複数の電流測定値を測定し、各電流測定値は前記複数の回路構成の一つに対応し、
前記乗員検知モードで測定された前記複数の測定値に基づいて前記物体の存在を判断し、前記重量検知モードで測定された前記複数の測定値に基づいて前記乗員を分類する、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、シートベルトインジケータまたはエアバッグを作動するかどうか判断する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
圧縮可能材料が、前記検知電極と前記シールド電極間に配置される、請求項3に記載のシステム。
【請求項6】
車両シートのシート座部内に設置された検知電極と、
前記車両シート内の前記検知電極下に設置されたシールド電極と、
前記検知電極と前記シールド電極に結合されて動作する検知回路と、
前記検知回路に結合されて動作するコントローラとを備え、
前記コントローラは、第1信号を前記検知電極に印加し、第2信号と第3信号を前記シールド電極に交互に印加する前記検知回路を構成するよう動作し、
前記コントローラは、各測定値の結果を使って、前記検知電極から接地へのインピーダンスに関連した検出値を計算することによって、前記シート内の物体の存在を検出するよう構成され、前記シールド電極に印加された前記信号は、前記各測定値のそれぞれに対して異なり、
前記コントローラは、前記各測定値の前記結果を使うことによって、前記検知電極と前記シールド電極間の前記インピーダンスに関連した力の値を計算することによって、前記物体により前記シートに印加された相対的な力を検出するよう構成される、
車両内の乗員を検出するシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記検知電極と前記シールド電極間の複数のインピーダンスを交互に結合するための前記検知回路を構成するよう動作し、前記検出値および力の値の前記計算で使われた前記各測定値は、前記結合しているインピーダンスが異なる構成にある場合に測定される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記各測定値は、第1、第2、第3、第4の電流測定値である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1および第2の電流測定値は、前記第2信号が前記シールド電極に印加された場合に発生し、前記第3および第4の電流測定値は、前記第3信号が前記シールド電極に印加された場合に発生する、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1および第3の電流測定値は、前記複数のインピーダンスのいずれも前記検知電極とシールド電極間で結合しない場合に発生し、前記第2および第4の電流測定値は、前記複数のインピーダンスが前記検知電極とシールド電極間で結合した場合に発生する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
圧縮可能材料が前記検知電極とシールド電極間に配置される、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラが、シートベルトインジケータまたはエアバッグを作動するかどうか判断する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1および第2信号は、実質的に同じである、請求項6に記載のシステム。
【請求項14】
車両シートのシート座部内に設置された検知電極と、
前記車両シート内の前記検知電極下に設置されたシールド電極と、
前記検知電極と前記シールド電極に結合されて動作する検知回路と、
前記検知回路に結合されて動作するコントローラとを備え、
前記コントローラは、複数の回路構成内に前記検知回路を構成するために動作し、前記検知回路に信号を送り、複数の電流測定値を測定し、各電流測定値は前記複数の回路構成の一つに対応し、
前記複数の電流測定値は、前記車両シート上に物体が存在するかどうかを判断するために使われる、
車両内の乗員を検出するシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記複数の電流測定値に基づいて、前記物体を分類する、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、前記物体の存在を判断するための前記複数の電流測定値に基づいて、前記検知電極と接地間のインピーダンスに関係する検出値を計算し、前記物体を分類するための前記複数の電流測定値に基づいて、前記検知電極と前記シールド電極間のインピーダンスに関係する力の値を計算する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の電流回路構成は4つの回路構成を含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記検知回路は、
第1振幅と第2振幅間の信号を変更するよう構成された第1スイッチと、
前記検知回路内のインピーダンスを導入するよう構成された第2スイッチとを備え、
前記第1スイッチおよび第2スイッチは、前記4つの回路構成内に前記検知回路を構成するために前記コントローラによって開閉される、
請求項17記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、シートベルトインジケータまたはエアバッグを作動するかどうか判断する、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
圧縮可能材料が、前記検知電極と前記シールド電極の間に配置される、請求項18に記載のシステム。
【請求項21】
検知ノードに結合され、車両シートのシート座部内に設置される検知電極と、
シールドノードに結合され、前記車両シート内の前記検知電極下に設置されるシールド電極と、
前記検知電極と前記シールド電極に結合されて動作する検知回路と、
前記センサノードと前記シールドノード間のインピーダンスの追加を制御するよう構成され、前記シールドノードへの第1および第2信号を制御するよう構成されたコントローラとを備える、
車両内の乗員を検出するシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−511428(P2013−511428A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−540058(P2012−540058)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/US2010/057255
【国際公開番号】WO2011/063136
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(501199379)ティ.ケイ.ホールディングス、インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】