説明

乗客コンベアの欄干照明装置

【課題】幅方向に省スペース化を図っている幅狭形の乗客コンベアに設置できる踏段を均一に照らす低コストの乗客コンベアの欄干照明装置を提供する。
【解決手段】乗客コンベアの欄干照明装置は、踏段の両側に立設する欄干パネル、上記踏段の両側に位置し上記踏段と僅かな隙間を確保して配置されるスカートガード、および上記欄干パネルの下縁部から上記スカートガードの上端の手前に所定の隙間が残る位置までを覆う内デッキを備える乗客コンベアに配置され、且つ上記スカートガードの上縁部と上記内デッキの下縁部との間に配置される透光部を通して照明する乗客コンベアの欄干照明装置において、上記スカートガードの上縁部より下方に配置されるとともに上方に光を発光する光源と、上記光源から発光された光を上記透光部に向かうように反射する光反射板と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、乗客コンベアの乗客が載る踏段を照明する乗客コンベアの欄干照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のスカートガード内照明装置は、主に蛍光灯が適用されているが、蛍光灯の継目部分の暗部を目立たなくする目的で、蛍光灯を照明カバーから遠ざけた奥まった位置に配置する必要があり、奥行き方向にスペースを必要とした。この構成では、スカートガード内のスペースに余裕がなくなるため、乗客コンベアの保守点検や調整作業の邪魔になり、保守管理の作業性が悪化する場合があった。また、蛍光灯の継目部分の暗部を完全に目立たなくすることは不可能であった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この問題点を解決する目的で、照明装置を発光ダイオードまたは冷陰極管からなる複数の線状光源とすることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−20183号公報
【特許文献2】特開2006−290518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、採用する発光ダイオードまたは冷陰極管は何れもコストが高いという問題点がある。
【0006】
この発明の目的は、幅方向に省スペース化を図っている幅狭形の乗客コンベアに設置できる踏段を均一に照らす低コストの乗客コンベアの欄干照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る乗客コンベアの欄干照明装置は、踏段の両側に立設する欄干パネル、上記踏段の両側に位置し上記踏段と僅かな隙間を確保して配置されるスカートガード、および上記欄干パネルの下縁部から上記スカートガードの上端の手前に所定の隙間が残る位置までを覆う内デッキを備える乗客コンベアに配置され、且つ上記スカートガードの上縁部と上記内デッキの下縁部との間に配置される透光部を通して照明する乗客コンベアの欄干照明装置において、上記スカートガードの上縁部より下方に配置されるとともに上方に光を発光する光源と、上記光源から発光された光を上記透光部に向かうように反射する光反射板と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る乗客コンベアの欄干照明装置の効果は、光源がスカートガードの近傍に配置されているので、照明ケースの幅が狭くでき、省スペース、特に幅方向に省スペース化を図っている幅狭形の乗客コンベアに適用することが有利であるということである。
また、光源からの光が光反射板で少なくとも1回反射してから照明カバーに向かうので、光源での明暗が直接照明カバーを写らずに外観は明暗の少ないライン照明を実現できるし、光源の照度ムラ・色ムラも軽減できるということである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの欄干照明装置が配置された乗客コンベアの斜視図である。
【図2】図1のA−A線に沿った欄干基部の矢視断面図である。
【図3】光反射板に光源を離散的に配備した様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の乗客コンベアの欄干照明装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの欄干照明装置が配置された乗客コンベアの斜視図である。図2は、図1のA−A線に沿った欄干基部の矢視断面図である。
この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアは、図1に示すように、図示しない上階床建築梁と図示しない下階床建築梁との間に架設され、乗客コンベアと乗客との重量を支持するトラス構造の主枠1、無端状に連結されて循環移動し乗客が載っかる踏段2、踏段2の両側に立設され欄干部の主体を構成する欄干パネルであるところの鉛直ガラスパネル3、踏段2と同期して移動する移動手摺4、および、鉛直ガラスパネル3の頂部に取り付けられ移動手摺4を案内するガードレール5を備える。
【0011】
また、乗客コンベアは、図2に示すように、踏段2の側面と僅かな隙間を確保し踏段2の移動方向に沿って連続的に配置された板状のスカートガード6、一方の上縁部8aが鉛直ガラスパネル3に接続され、他方の下縁部8bがスカートガード6の上端から上方に所定の距離だけ離間する内デッキ8、および、スカートガード6の上縁部の踏段2の反対側に溶接される裏面補強板9を備える。
【0012】
鉛直ガラスパネル3は、要所に設けられた欄干パネル保持部材20を用いて図示しないボルトなどを用いて主枠1に強固に取り付けられている。
裏面補強板9は、スカートガード6に溶接される辺9aの上縁部9bがスカートガード6との間に隙間を得られるように曲げられている。
内デッキ8は、一方の上縁部8aが欄干パネル保持部材20に嵌合され、他方の下縁部8bにデッキ挟み部28と、このデッキ挟み部28の近傍に皿ねじ27の頭部が埋め込まれるように窪んだねじ貫通孔29とが設けられて、皿ねじ27により固定されている。
【0013】
この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの欄干照明装置7は、図1に示すように、スカートガード6の上縁部に設けられ、踏段2側を照らす。
この乗客コンベアの欄干照明装置7は、踏段2側に開放部11aを有するとともに内デッキ8の下縁部8bと皿ねじ27により固定される照明ケース11、上辺がデッキ挟み部28と照明ケース11により挟まれ且つ下辺がスカートガード6と裏面補強板9により挟まれる照明カバー12、裏面補強板9の上縁部9bの位置より下側に配置されるとともに上側に光を照射する光源としての直管蛍光灯10、直管蛍光灯10が踏段2の進む方向に縦列して搭載されるとともに直管蛍光灯10からの光を照明カバー12側に反射する光反射板14を備える。これら直管蛍光灯10、照明ケース11、照明カバー12および光反射板14は、踏段2の移動方向に沿って配置されている。
【0014】
照明ケース11は、断面コの字状のケース本体18と、このケース本体18の上辺の端から上方に延びる取り付け片19とを有しており、要所で主枠1に図示しないボルトにより強固に取り付けられている。
取り付け片19には、内デッキ8を取り付けるためのねじ穴19aが設けられ、このねじ穴19aと内デッキ8のねじ貫通孔29とを貫通する皿ねじ27を締着することにより、照明ケース11に内デッキ8が固着される。
ケース本体18の下辺部18aは、スカートガード6により遮られて踏段2上に載っている人からは直接見ることが出来ない位置に配置されている。直管蛍光灯10がこの下辺部18bに配置されるので、直管蛍光灯10が発光した光が光反射板14により反射された光だけが人の目に達する。
【0015】
光反射板14は、条が幅方向に3つ折りにされたものであり、ケース本体18の下辺部18bに固定されてその上に直管蛍光灯10が搭載される水平面14aと、水平面14aから直角に立ち上がる垂直面14bと、垂直面14bから斜めに折り曲がる反射面14cを有する。
照明カバー12は、下辺部をスカートガード6と裏面補強板9との間の隙間に挿入され、上辺部を照明ケース11と内デッキ8との間に挟持されて取り付けられている。
【0016】
直管蛍光灯10が発光した光は、光反射板14の垂直面14bと反射面14cで反射し、照明カバー12を通過して踏段2側を照らす。光反射板14は、踏段2の移動方向に連続して延びているので、直管蛍光灯10の光が光反射板14の様々な面で反射して照明カバー12に達するので、直管蛍光灯10の明るい部分と暗い部分からの光が混ざり合って照明カバー12を均一に照らし、直管蛍光灯10の暗部が目立たない。
【0017】
この発明の実施の形態1に係る乗客コンベアの欄干照明装置は、直管蛍光灯10がスカートガード6の近傍に配置されているので、照明ケース11の幅を狭くでき、省スペース、特に幅方向に省スペース化を図っている幅狭形の乗客コンベアに適用することが有利である。
また、直管蛍光灯10からの光が光反射板14で少なくとも1回反射してから照明カバー12に向かうので、直管蛍光灯10での明暗が直接照明カバー12を写らずに外観は明暗の少ないライン照明を実現できる。また、直管蛍光灯10の照度ムラ・色ムラも軽減できる。
【0018】
このように光源に明暗があっても照明カバー12が均一に明るくなるので、踏段2付近が均一に照らされる。
そこで、光源としてLED照明器具30を、図3に示すように、光反射板14の水平面14aに所定の間隔を空けて離散的に配備しても良い。他の光源として電球形の照明器具、スポットライトなどであっても良い。
そして、光源が離散的に配備されたとしても外部へは連続した明かりとして見える。よって、光源数を減らすことができコストを最小限とすることができるほか、光源の選択肢やレイアウトの幅を広げることができる。
なお、本発明に関わる照明装置は、乗客コンベアの乗降口に設けられるフットライトとしても用いられる。
【0019】
上述のように光源を離散的に配置できることから、必要最小数量の光源とすることができ、低コスト化・省エネ化・省スペース化が実現できる。
また、光源を離散的に配置できることから、従来一般的に適用されていた直管蛍光灯10に代表される棒状形態の照明器具以外にも、電球形の照明器具や指向性の高いスポット照明器具、ドット式のLED照明など、幅広い種類の光源を適用することができる。
【符号の説明】
【0020】
1 主枠、2 踏段、3 鉛直ガラスパネル、4 移動手摺、5 ガードレール、6 スカートガード、7 欄干照明装置、8 内デッキ、8a 上縁部、8b 下縁部、9 裏面補強板、9a 辺、9b 上縁部、10 直管蛍光灯、11 照明ケース、11a 開放部、12 照明カバー、14 光反射板、14a 水平面、14b 垂直面、14c 反射面、18 ケース本体、18a 下辺部、19a 穴、19 取り付け片、20 欄干パネル保持部材、27 皿ねじ、28 デッキ挟み部、29 貫通孔、30 LED照明器具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏段の両側に立設する欄干パネル、上記踏段の両側に位置し上記踏段と僅かな隙間を確保して配置されるスカートガード、および上記欄干パネルの下縁部から上記スカートガードの上端の手前に所定の隙間が残る位置までを覆う内デッキを備える乗客コンベアに配置され、且つ上記スカートガードの上縁部と上記内デッキの下縁部との間に配置される透光部を通して照明する乗客コンベアの欄干照明装置において、
上記スカートガードの上縁部より下方に配置されるとともに上方に光を発光する光源と、
上記光源から発光された光を上記透光部に向かうように反射する光反射板と、
を備えることを特徴とする乗客コンベアの欄干照明装置。
【請求項2】
上記光反射板は、上記踏段の移動方向に延びる条が幅方向に複数折りに折られ、
上記光源は、上記光反射板の1つの折り上に配置されることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの欄干照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−190018(P2011−190018A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56317(P2010−56317)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】