説明

乗客コンベアの欄干装置

【課題】上方からの荷重に対して内側デッキ、スカートガードの変形が抑制される。
【解決手段】この発明に係る乗客コンベアの欄干装置は、パネル保持部材2と、踏段の両側に立設され、パネル保持部材2により下端部が固定された欄干パネル1と、踏段の両側に踏段と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガード16と、パネル保持部材2とスカートガード16との間に跨って設けられた内側デッキ9とを備えた乗客コンベアの欄干装置において、基端部がパネル保持部材2に固定され、先端部が内側デッキ9の裏面に面接触し、内側デッキ9を支持する支持体11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、欄干パネルを固定したパネル保持部材と、踏段と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガードとの間に、内側デッキが跨って設けられた乗客コンベアの欄干装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、踏段の両側に立設した欄干パネルと、踏段の両側に位置し、この踏段と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガードと、欄干パネルの下端部からスカートガードの上端部までを覆う内側デッキとを備えた乗客コンベアの欄干装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2007−31113号公報(図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記構成の乗客コンベアの欄干装置では、例えば悪戯で前記内側デッキに人が乗ったりして、内側デッキ、スカートガードが変形する虞れがあるという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、上方からの荷重に対して内側デッキ、スカートガードの変形が抑制される乗客コンベアの欄干装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベアの欄干装置は、パネル保持部材と、踏段の両側に立設され、前記パネル保持部材により下端部が固定された欄干パネルと、前記踏段の両側に踏段と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガードと、前記パネル保持部材と前記スカートガードとの間に跨って設けられた内側デッキとを備えた乗客コンベアの欄干装置において、基端部が前記パネル保持部材に固定され、先端部が前記内側デッキの裏面に面接触し、前記内側デッキを支持する支持体を備えている。
【発明の効果】
【0007】
この発明による乗客コンベアの欄干装置によれば、先端部が内側デッキの裏面に面接触した支持体により、内側デッキに対する上方からの荷重が支持されるので、内側デッキ、スカートガードの変形が抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1の乗客コンベアの欄干装置の全体構成を示す側面図、図2は図1の乗客コンベアの欄干装置を示す要部分解斜視図、図3は図1の乗客コンベアの欄干装置を示す要部側断面図である。
この乗客コンベアの欄干装置では、対向した一対の欄干パネル1の下端部を固定したパネル保持部材2は、約1m〜1.5mの間隔で主枠3に固定されている。欄干パネル1の上部では、運転方向に移動する移動手摺4が設けられている。一対の欄干パネル1の間には、運転方向に移動する踏段5が設けられている。
【0009】
パネル保持部材2は、ベース6に対して垂直に押さえ板7が設けられている。押さえ板7の下端部に面接触した欄干パネル1は、取付ボルト8により押さえ板7に固定されている。
押さえ板7の踏段5側の面には、ボルト12により支持体11が固定されている。
このパネル保持部材2には、踏段5側に設けられた内側デッキ9の上縁部が内側デッキ固定ネジ10により固定されている。パネル保持部材2の反踏段5側には外側デッキ19が設けられている。
【0010】
内側デッキ9の下縁部13側の裏側には、踏段5の移動方向に沿って所定の間隔をあけて断面L字状のクリップ体14が複数接合されている。各クリップ体14と下縁部13との間には、下方に開口した溝部15が形成されている。
なお、クリップ体14は、踏段5の移動方向の長さが30mm程度のものを所定の間隔あけて複数個設けてもよいし、内側デッキ9の全長に渡って設けてもよい。
この溝部15には、踏段5の両側に踏段5と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガード16の上縁部が嵌入されている。
溝部15に対するスカートガード16の上端部の嵌め代Xは、スカートガード16が溝部15から外れない、例えば10mm以上確保されていればよく、嵌め代Xの寸法に対しては高精度の調整は必要としない。
【0011】
内側デッキ9は、溝部15にスカートガード16の上縁部を嵌入し、また内側デッキ9の上縁部17を切り欠き部18で内側デッキ固定ネジ10により固定することで、主枠3に対して固定されている。
なお、折曲した支持体11の先端部は、隣接した内側デッキ9間の継ぎ目を含めて面接触している。
【0012】
この実施の形態による乗客コンベアの欄干装置によれば、パネル保持部材2と、踏段5の両側に立設され、パネル保持部材2により下端部が固定された欄干パネル1と、踏段5の両側に踏段5と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガード16と、パネル保持部材2とスカートガード16との間に設けられた内側デッキ9とを備え、一端部がパネル保持部材2に固定され、他端部が内側デッキ9の裏面の中間部に面接触し、内側デッキ9を支持する支持体11を備えている。
従って、内側デッキ9の表面に上方から荷重が加わった場合、内側デッキ固定ネジ10により内側デッキ9の上縁部17を固定した押さえ板7、支持体11及びスカートガード16の三点で内側デッキ9は支持されるが、主に支持体11で支持されている。
この結果、変形し易い内側デッキ9の中間部での変形が抑制されるとともに、座屈変形し易いスカートガード16に対する荷重負担は軽減され、スカートガード16の変形も抑制される。
【0013】
また、支持体11の先端部は、隣接した内側デッキ9間の継ぎ目を含めて面接触しているので、乗客コンベアの据付時に隣接した内側デッキ9間で段差がある場合、低い方の内側デッキ9が高い方の内側デッキ9を押し上げ、段差は解消される。
【0014】
ところで、主枠3に対する、パネル保持部材2及びスカートガード16の固定は、それぞれ別工程で固定され、パネル保持部材2及びスカートガード16の相対位置が所定の位置から外れることがある。
このようなことが生じた場合、パネル保持部材2に対するスカートガード16の垂直方向の調整は、内側デッキ9の溝部15に嵌入されるスカートガード16の先端部の嵌め代Xで調整される。また、パネル保持部材2に対するスカートガード16の水平方向の調整は、内側デッキ9の上縁部17に形成された切り欠き部18で調整される。
従って、パネル保持部材2及びスカートガード16の相対位置が所定の位置から外れることが生じても、内側デッキ9は、溝部15にスカートガード16の上縁部が嵌入され、また上縁部17が切り欠き部18で内側デッキ固定ネジ10により固定され、主枠3に対して、それぞれ個別にパネル保持部材2及びスカートガード16を位置調整する必要性はない。
【0015】
また、溝部15は、内側デッキ9の踏段5方向に折曲した下縁部と、この下縁部に対面して内側デッキ9の裏面に接合された板状のクリップ体14とにより簡単に形成される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1の乗客コンベアの欄干装置の全体構成を示す側面図である。
【図2】図1の乗客コンベアの欄干装置を示す要部分解斜視図である。
【図3】図1の乗客コンベアの欄干装置を示す要部側断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 欄干パネル、2 パネル保持部材、5 踏段、9 内側デッキ、11 支持体、14 クリップ体、15 溝部、16 スカートガード、18 切り欠き部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル保持部材と、
踏段の両側に立設され、前記パネル保持部材により下端部が固定された欄干パネルと、
前記踏段の両側に踏段と僅かな隙間を確保して配置されたスカートガードと、
前記パネル保持部材と前記スカートガードとの間に跨って設けられた内側デッキとを備えた乗客コンベアの欄干装置において、
基端部が前記パネル保持部材に固定され、先端部が前記内側デッキの裏面に面接触し、前記内側デッキを支持する支持体を備えたことを特徴とする乗客コンベアの欄干装置。
【請求項2】
前記内側デッキの前記スカートガード側の端部には、下方向に開口した溝部が形成されており、この溝部に前記スカートガードの先端部が嵌入されていることを特徴とする請求項1に記載の乗客コンベアの欄干装置。
【請求項3】
前記内側デッキの前記パネル保持部材側の端部には、前記踏段側に延びた切り欠き部が形成されており、前記端部がこの切り欠き部で前記パネル保持部材に固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の乗客コンベアの欄干装置。
【請求項4】
前記溝部は、前記内側デッキの前記踏段方向に折曲した下縁部と、この下縁部に対面して前記内側デッキの前記裏面に接合された板状のクリップ体とにより形成されていることを特徴とする請求項2に記載の乗客コンベアの欄干装置。
【請求項5】
前記支持体の前記先端部は、隣接した前記内側デッキ間の継ぎ目を含めて面接触していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の乗客コンベアの欄干装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−227458(P2009−227458A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−78695(P2008−78695)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】