説明

乗客コンベアの欄干

【課題】簡易な構造で、かつ容易に内デッキの着脱を行うことのできる乗客コンベアの欄干の提供。
【解決手段】ステップの側部に隣接するスカートガード1と、ステップの側方に立設されるパネル2と、パネル2下部を支持すると共にスカートガード1の上部が係合される枠体3と、スカートガード1の上部とパネル2の下部との間を覆う内デッキ4と、略U字状の断面を有しパネル2の下部が嵌入されるパネルパッキン5とを備えたものにおいて、パネルパッキン5の上端に一体形成され内デッキ4の上部を覆う縁部5aと、内デッキ4の上部に形成される切欠部10、及び枠体3における切欠部10に対向する位置に係止されるビス11を有してなる取付部と、縁部5aにおける切欠部10に対向する位置に形成される貫通孔とを設け、貫通孔から工具を差込みビス11を緩め内デッキ4の着脱を行う構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの欄干に係り、特に、内デッキの着脱に好適な乗客コンベアの欄干に関する。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアは、無端状に連結され移動するステップの側部に隣接するスカートガードと、ステップの側方に立設されるパネルの下部との間を覆う内デッキを有しており、この内デッキの固定方法として、従来、内デッキの上部に、欄干の基部に螺着される取付部を設け、ステップ近傍にビスを設けることなく、内デッキの着脱を可能とするとともに、内デッキのパネル側の端部における取付部を避けた位置に配設され、上面部に係合部を有する複数の第1のパッキンと、下面部に第1のパッキンの係合部に着脱可能に係合し得る係合体を有し、この係合体を第1のパッキンの係合部に係着させた複数の第2のパッキンとを備え、かつ、取付部を、乗客コンベアの長手方向に直交する方向に形成した長穴とし、ビスを外すことなく任意位置の内デッキの着脱を可能としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−347650号公報(段落番号0011〜0018、図1、図7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前述したものは、内デッキの上端が係止される第1のパッキン、及び、不連続的に配置される第1のパッキン間の間隙、及びこの間隙に配置される取付部を覆うため第2のパッキンをそれぞれ別途、設ける必要があり、構造が複雑になり設備コストの増加を招くという問題があった。
【0004】
本発明は、前述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、簡易な構造で、かつ容易に内デッキの着脱を行うことのできる乗客コンベアの欄干を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明は、無端状に連結され移動するステップの側部に隣接するスカートガードと、前記ステップの側方に立設されるパネルと、このパネルの下部を支持すると共に、前記スカートガードの上部が係合される枠体と、この枠体の基部に固定され前記スカートガードの上部と前記パネルの下部との間を覆う内デッキと、略U字状の断面を有し、前記パネルの下部が嵌入されるパネルパッキンとを備えた乗客コンベアの欄干において、前記パネルパッキンの上端に一体形成され、前記内デッキの上部を覆う縁部と、前記内デッキの上部に形成される切欠部、及び前記枠体における前記切欠部に対向する位置に係止されるビスを有してなる取付部と、前記縁部における前記切欠部に対向する位置に形成される貫通孔とを設け、前記貫通孔を介して工具を差込み前記ビスを緩めることで前記内デッキの着脱を行うことを特徴としたものである。
【0006】
このように構成した本発明では、内デッキの着脱は、パネルパッキンの縁部に設けられた孔から工具を差込み、枠体に係止されるビスを緩め、この状態で内デッキをスライドさせ、内デッキの上部に形成される切欠部にビスを嵌入、或いは切欠部からビスを離脱させ行う。このように、内デッキの上部はパネルパッキンの上端に一体形成された縁部で覆われるものであることから、パッキンの構造を簡易なものとすることができる。また、内デッキを着脱する場合、完全なビスの完全な取外しを要することがないと共に、ビスの操作も縁部に設けられた貫通孔を介して行えばよく、したがって、作業性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、パッキンの構造を簡易なものとすることができることから、設備コストの低減を図ることができる。また、内デッキを着脱する場合、完全なビスの完全な取外しを要することが無いと共に、ビスの操作も縁部に設けられた貫通孔を介して行えばよく、したがって、作業時間の短縮および労力の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明に係る乗客コンベアの欄干の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0009】
図1は本発明に係る乗客コンベアの欄干の一実施形態を示す全体断面図、図2は内デッキが装着された状態を示す要部拡大断面図、図3は内デッキが外された状態を示す斜視図である。
【0010】
本実施形態の乗客コンベアの欄干は図1に示すように、無端状に連結され移動する図示しないステップの側部に隣接するスカートガード1と、ステップの側方に立設されるパネル2と、このパネル2の下部を支持すると共に、スカートガード1の上部が係合される枠体3と、スカートガード1の上部とパネル2の下部との間を覆う内デッキ4と、略U字状の断面を有し、パネル2の下部が嵌入されると共に、その上端に一体形成される縁部5aで内デッキ4の上部を覆うパネルパッキン5とを備えている。
【0011】
また、内デッキ4の上部には図3に示すように、その端部からパネル2と直交する方向に向かって形成される切欠部10が設けられている。また、枠体3には図2に示すように、切欠部10と対向する位置にビス11が係止されている。すなわち、枠体3にナット12が埋設され、このナット12にビス11が螺合した状態となっており、ビス11を緩めるとビス頭部と枠体3の上端との間に間隙ができ、この間隙に内デッキ4を挿入し、ビス11を締め付けて内デッキ4を固定するものである。なお、これらの切欠部10、ビス11及びナット12により前述した取付部をなしている。また、図3に示すように、パネルパッキン5の縁部5aには、切欠部10およびビス11に対向する位置に貫通孔13が設けられており、この貫通孔13を介して工具14を差込みビス11を操作するようになっている。
【0012】
本実施形態にあっては、内デッキ4を装着する場合、工具14を貫通孔13を介してビス11に差込み、ビス11を緩めてビス頭部と枠体3の上端との間に間隙を形成する。この間隙に内デッキ4をスライドさせつつ挿入すると共に、切欠部10にビス11を嵌入する。この状態でビス11を締め付けて内デッキ4を固定する。一方、内デッキ4を取外す場合、ビス11を工具14を用いて緩め、内デッキ4を図3の矢印に示す方向にスライドさせ、内デッキ4のビス11および枠体3に対する係合を解除する。
【0013】
本実施形態によれば、内デッキ4の上部はパネルパッキン5の上端に一体形成された縁部5aで覆われるものであることから、パッキンの構造を簡易なものとし、ひいては設備コストの低減を図ることができる。また、内デッキ4を着脱する場合、完全なビス11の完全な取外しを要することが無いと共に、ビス11の操作も縁部5aに設けられた貫通孔13を介して行えばよく、すなわち、パネルパッキン5をめくる等の手間を省き、したがって、作業性を向上し、作業時間の短縮および労力の低減を図ることができる。さらに、ビス11はナット12を介して枠体3に係止されるものであることから、緩めた際に枠体3から抜け落ちることはなく、作業者にかかる負担をさらに軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る乗客コンベアの欄干の一実施形態を示す全体断面図である。
【図2】内デッキが装着された状態を示す要部拡大断面図である。
【図3】内デッキが外された状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 スカートガード
2 パネル
3 枠体
4 内デッキ
5 パネルパッキン
5a 縁部
10 切欠部
11 ビス
12 ナット
13 貫通孔
14 工具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結され移動するステップの側部に隣接するスカートガードと、前記ステップの側方に立設されるパネルと、このパネルの下部を支持すると共に、前記スカートガードの上部が係合される枠体と、この枠体の基部に固定され前記スカートガードの上部と前記パネルの下部との間を覆う内デッキと、略U字状の断面を有し、前記パネルの下部が嵌入されるパネルパッキンとを備えた乗客コンベアの欄干において、
前記パネルパッキンの上端に一体形成され、前記内デッキの上部を覆う縁部と、前記内デッキの上部に形成される切欠部、及び前記枠体における前記切欠部に対向する位置に係止されるビスを有してなる取付部と、前記縁部における前記切欠部に対向する位置に形成される貫通孔とを設け、前記貫通孔を介して工具を差込み前記ビスを緩めることで前記内デッキの着脱を行うことを特徴とした乗客コンベアの欄干。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−230772(P2008−230772A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−73126(P2007−73126)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000232944)日立水戸エンジニアリング株式会社 (227)
【Fターム(参考)】