乗客コンベアの欄干
【課題】既設の乗客コンベアにおいて、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネルが破壊した際に、破壊されたガラスパネルがそのまま落下してしまうことを防止する手段を提供し、乗客コンベアの安全性を向上させること。
【解決手段】乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネル3a,3,3bにおいて、隣接するガラスパネル3a,3を架け渡して1枚の飛散防止フィルム18aを貼り、隣接するガラスパネル3,3bを架け渡して1枚の飛散防止フィルム18bを貼ることにより、ガラスパネル3が破壊されたときには、破壊されたガラスパネル3は破壊されていないガラスパネル3a,3bに飛散防止フィルム18a,18bを介して支持されることになるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下しない。
【解決手段】乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネル3a,3,3bにおいて、隣接するガラスパネル3a,3を架け渡して1枚の飛散防止フィルム18aを貼り、隣接するガラスパネル3,3bを架け渡して1枚の飛散防止フィルム18bを貼ることにより、ガラスパネル3が破壊されたときには、破壊されたガラスパネル3は破壊されていないガラスパネル3a,3bに飛散防止フィルム18a,18bを介して支持されることになるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下しない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ及び動く歩道などの乗客コンベアの踏段の両側に設けられ、移動手摺を支持し、かつ、案内する乗客コンベアの欄干に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアでは、欄干にガラスパネルを使用していることが多く、そのため、衝撃等によりガラスパネルが破壊してしまうことがある。また、下記特許文献1に示されるように、ガラスパネルに強化ガラスを使用すると自然破壊してしまうこともある。ガラスパネルが破壊してしまうと、周囲にガラス片が飛散し危険であるため、従来、ガラス片の飛散防止策として、下記特許文献2に示されるように、ガラスパネルに飛散防止フィルムを貼る方法が知られている。これにより、ガラスパネルが破壊した際にガラス片が周囲に飛散するのを防止していた。
【0003】
新設の乗客コンベアの場合、この飛散防止フィルムはあらかじめガラスパネル全面に貼っておき、この飛散防止フィルム貼着ガラスパネルにより欄干を形成することができる。その場合、乗客コンベアの構造上、ガラスパネルはデッキやパネル支え等で支持固定されるため、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネル部分も含めてデッキやパネル支え等で支持固定されることになる。したがって、ガラスパネルが破壊しても、飛散防止フィルムにガラス片が貼着していることによりガラス片は飛散せず、かつ、デッキやパネル支え等がガラスパネルと共に飛散防止フィルムを支持固定しているため、破壊されたガラスパネルが欄干から脱落することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−175791号公報
【特許文献2】特開平5−319759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10及び図11に示すように既設の乗客コンベアの場合、ガラスパネル3の上面には移動手摺を案内する手摺デッキ4が取り付けられており、下面はデッキ6、パネル支え5等で既に支持固定されている。そのため、ガラスパネル3の全面に飛散防止フィルムを貼ることができない。したがって、ガラスパネルが破壊した際には、ガラスパネル3の周縁部を除く表面には飛散防止フィルム108が貼ってあるのでガラス片は飛散しないが、飛散防止フィルム108が貼ってある部分が一枚のガラスパネルのように存在し、このガラス片が貼着された飛散防止フィルムを固定するものがないため、飛散防止フィルムが破壊されたガラス片を貼着した状態で欄干から落下してしまう危険があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、既設の乗客コンベアにおいて、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネルが破壊した際に、破壊されたガラスパネルがそのまま落下してしまうことを防止する手段を提供し、乗客コンベアの安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡して1枚の飛散防止フィルムを貼ったことを特徴とする。
【0008】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネルに貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネルと隣接する破壊されていないガラスパネルとに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネルは破壊されていないガラスパネルに飛散防止フィルムを介して支持されることになるので、破壊されたガラスパネルは欄干から脱落しないことになる。
【0009】
また、本発明に係る乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、飛散防止フィルムをガラスパネルと、ガラスパネルの上面の手摺デッキ、ガラスパネルの踏段側下部の内レッジ又はガラスパネルの反踏段側下部の外デッキの少なくともいずれか1つとを架け渡して貼ったことを特徴とする。
【0010】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネルに貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネルと手摺デッキ、内レッジ又は外デッキの少なくともいずれか1つとに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネルは手摺デッキ、内レッジ又は外デッキの少なくともいずれか1つに飛散防止フィルムを介して支持されるので、破壊されたガラスパネルは欄干から脱落しないことになる。
【0011】
さらに、本発明に係る乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、各ガラスパネルに飛散防止フィルムを貼り、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネル間の隙間に隣接する飛散防止フィルムを架け渡すように目地材を設け、この目地材により隣接する2枚のガラスパネルに貼った飛散防止フィルムを繋いだことを特徴とする。
【0012】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネルに貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネルに隣接する破壊されていないガラスパネルに貼着された飛散防止フィルムと目地材を介して繋がっているため、破壊されたガラスパネルは双方の飛散防止フィルム及び目地材を介して破壊されていないガラスパネルに支持されるので、破壊されたガラスパネルは欄干から脱落しないことになる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明を構成したことにより、既設の乗客コンベアにおいて、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネルが破壊した際においても、破壊されたガラスパネルがそのまま落下してしまうことを防止することが可能となり、乗客コンベアの安全性を向上させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エスカレータの全体を表す概略側面図である。
【図2】本発明の実施例1を示す概略断面図である。
【図3】図2においてAから見た部分概略側面図である。
【図4】本発明の実施例2を示す概略断面図である。
【図5】図4においてBから見た部分概略側面図である。
【図6】本発明の実施例3を示す概略断面図である。
【図7】図6においてCから見た部分概略側面図である。
【図8】本発明の実施例4を示す部分概略側面図である。
【図9】図8におけるD−D断面図である。
【図10】従来のエスカレータにおける概略断面図である。
【図11】図10においてEから見た部分概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。図1〜図3は実施例1を示し、図3及び図4は実施例2を示し、図5及び図6は実施例3を示し、図7及び図9は実施例4を示す。
【実施例1】
【0016】
エスカレータは、図1に示すように、トラス1と無端状に連結された状態でトラス内に設けられ、かつ、循環移動する踏段2と、踏段2の両側に立設されている欄干と、欄干を構成するガラスパネル3とを備えている。エスカレータの欄干を構成するガラスパネル3は踏段2の移動方向に複数枚ずつ並べられている。ガラスパネル3の上面には、手摺デッキ4が取り付けられており、手摺デッキ4上を手摺ベルトが走行する。また、ガラスパネル3はその下部においてパネル受け5により支持され、かつ、固定されている。さらに、ガラスパネル3の踏段側下部には、踏段2の側部に対向するように取り付けられているスカートガードと欄干との間に取り付けられている内レッジ7が設けられ、ガラスパネル3の反踏段側下部には、欄干の外側でスカートガードと平行に取り付けられている外側板と欄干との間に設けられている外デッキ6が設けられている。これらの構成は、後述する実施例2〜4においても共通するので、各実施例においては実施例1における前記説明を援用し、各実施例におけるこれらの構成の説明は省略する。
【0017】
実施例1は、既設の乗客コンベアの欄干のガラスパネル3に対し、飛散防止フィルム18a,18bをその左右に隣接するガラスパネル3a,3bを架け渡して貼った構成である。すなわち、飛散防止フィルム18aが隣接する2枚のガラスパネル3a,3に架け渡して貼られており、飛散防止フィルム18bが隣接する2枚のガラスパネル3,3bに架け渡して貼られている。もちろん飛散防止フィルムはガラスパネルが破壊されたときのガラス片の飛散を防止するためのものであるから、既設の乗客コンベアにおいて貼着可能なガラスパネルの露出面全体に飛散防止フィルムが貼着される。このように構成したことにより、ガラスパネル3が破壊しても、ガラスパネル3は飛散防止フィルム18a,18bを介して隣接する2枚のガラスパネル3a,3bによって支えられるため、ガラスパネル3が欄干から落下してしまうことを防止できる。
【0018】
なお、本実施例においては、隣接する2枚のガラスパネルを架け渡すように飛散防止フィルムを貼着したが、飛散防止フィルムは、3枚のガラスパネル3a,3,3bに架け渡して貼ってもよく、それ以上の枚数のガラスパネルに架け渡して貼着してもよい。
【実施例2】
【0019】
実施例2は、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡さず、すなわち各ガラスパネルごとに飛散防止フィルムを貼着する場合である。本実施例においては、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル3に対し、飛散防止フィルム28が、1枚のガラスパネル3とその上面の手摺デッキ4とに架け渡して貼着されている。
【0020】
このように構成したことにより、複数のガラスパネル3のうちの1枚が破壊され、飛散防止フィルム28にガラスパネル3のガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルム28は破壊されたガラスパネル3と手摺デッキ4とに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネル3は手摺デッキ4に飛散防止フィルム28を介して支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【実施例3】
【0021】
実施例3は、実施例2の変更例であって、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡さず、すなわち各ガラスパネルごとに飛散防止フィルムを貼着する場合である。本実施例においては、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル3に対し、飛散防止フィルム38が、1枚のガラスパネル3とその踏段側下部の内レッジ7とに架け渡して貼着されている。
【0022】
このように構成したことにより、複数のガラスパネル3のうちの1枚が破壊され、飛散防止フィルム38にガラスパネル3のガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルム38は破壊されたガラスパネル3と内レッジ7とに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネル3は内レッジ7に飛散防止フィルム38を介して支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【0023】
なお、貼着状態を表す図を省略するが、他の変更例として、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル3に対し、飛散防止フィルムを、1枚のガラスパネル3とその反踏段側下部の外デッキ6とに架け渡して貼着してもよく、その場合には、複数のガラスパネル3のうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネル3に貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネル3と外デッキ6とに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネル3は外デッキ6に飛散防止フィルムを介して支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【実施例4】
【0024】
実施例4は、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡さず、すなわち各ガラスパネルごとに飛散防止フィルムを貼着する場合であって、各ガラスパネルと、手摺デッキ4、内レッジ7及び外デッキ6のいずれとも架け渡して飛散防止フィルムを貼ることができない場合である。本実施例においては、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル毎に飛散防止フィルム48を貼着し、飛散防止フィルム48を貼ったガラスパネル間の隙間9に、隣接する飛散防止フィルム48を架け渡すように目地材10を設け、その目地材10にて隣接する2枚のガラスパネルに貼った飛散防止フィルム48を繋いだ構成とする。
【0025】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚のガラスパネル3が破壊され、飛散防止フィルム48にガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルム48は隣接する破壊されていないガラスパネル3a,3bに貼着された飛散防止フィルム48と目地材10を介して繋がっているため、破壊されたガラスパネル3は双方の飛散防止フィルム48及び目地材10を介して破壊されていないガラスパネル3a,3bに支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0026】
1…トラス 2…踏段 3,3a,3b…ガラスパネル
4…手摺デッキ 5…パネル受け 6…外デッキ
7…内レッジ 18a,18b,28,38,48…飛散防止フィルム
9…ガラスパネル間の隙間 10…目地材
【技術分野】
【0001】
本発明は、エスカレータ及び動く歩道などの乗客コンベアの踏段の両側に設けられ、移動手摺を支持し、かつ、案内する乗客コンベアの欄干に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアでは、欄干にガラスパネルを使用していることが多く、そのため、衝撃等によりガラスパネルが破壊してしまうことがある。また、下記特許文献1に示されるように、ガラスパネルに強化ガラスを使用すると自然破壊してしまうこともある。ガラスパネルが破壊してしまうと、周囲にガラス片が飛散し危険であるため、従来、ガラス片の飛散防止策として、下記特許文献2に示されるように、ガラスパネルに飛散防止フィルムを貼る方法が知られている。これにより、ガラスパネルが破壊した際にガラス片が周囲に飛散するのを防止していた。
【0003】
新設の乗客コンベアの場合、この飛散防止フィルムはあらかじめガラスパネル全面に貼っておき、この飛散防止フィルム貼着ガラスパネルにより欄干を形成することができる。その場合、乗客コンベアの構造上、ガラスパネルはデッキやパネル支え等で支持固定されるため、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネル部分も含めてデッキやパネル支え等で支持固定されることになる。したがって、ガラスパネルが破壊しても、飛散防止フィルムにガラス片が貼着していることによりガラス片は飛散せず、かつ、デッキやパネル支え等がガラスパネルと共に飛散防止フィルムを支持固定しているため、破壊されたガラスパネルが欄干から脱落することはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−175791号公報
【特許文献2】特開平5−319759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図10及び図11に示すように既設の乗客コンベアの場合、ガラスパネル3の上面には移動手摺を案内する手摺デッキ4が取り付けられており、下面はデッキ6、パネル支え5等で既に支持固定されている。そのため、ガラスパネル3の全面に飛散防止フィルムを貼ることができない。したがって、ガラスパネルが破壊した際には、ガラスパネル3の周縁部を除く表面には飛散防止フィルム108が貼ってあるのでガラス片は飛散しないが、飛散防止フィルム108が貼ってある部分が一枚のガラスパネルのように存在し、このガラス片が貼着された飛散防止フィルムを固定するものがないため、飛散防止フィルムが破壊されたガラス片を貼着した状態で欄干から落下してしまう危険があった。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、既設の乗客コンベアにおいて、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネルが破壊した際に、破壊されたガラスパネルがそのまま落下してしまうことを防止する手段を提供し、乗客コンベアの安全性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡して1枚の飛散防止フィルムを貼ったことを特徴とする。
【0008】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネルに貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネルと隣接する破壊されていないガラスパネルとに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネルは破壊されていないガラスパネルに飛散防止フィルムを介して支持されることになるので、破壊されたガラスパネルは欄干から脱落しないことになる。
【0009】
また、本発明に係る乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、飛散防止フィルムをガラスパネルと、ガラスパネルの上面の手摺デッキ、ガラスパネルの踏段側下部の内レッジ又はガラスパネルの反踏段側下部の外デッキの少なくともいずれか1つとを架け渡して貼ったことを特徴とする。
【0010】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネルに貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネルと手摺デッキ、内レッジ又は外デッキの少なくともいずれか1つとに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネルは手摺デッキ、内レッジ又は外デッキの少なくともいずれか1つに飛散防止フィルムを介して支持されるので、破壊されたガラスパネルは欄干から脱落しないことになる。
【0011】
さらに、本発明に係る乗客コンベアの欄干は、乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、各ガラスパネルに飛散防止フィルムを貼り、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネル間の隙間に隣接する飛散防止フィルムを架け渡すように目地材を設け、この目地材により隣接する2枚のガラスパネルに貼った飛散防止フィルムを繋いだことを特徴とする。
【0012】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネルに貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネルに隣接する破壊されていないガラスパネルに貼着された飛散防止フィルムと目地材を介して繋がっているため、破壊されたガラスパネルは双方の飛散防止フィルム及び目地材を介して破壊されていないガラスパネルに支持されるので、破壊されたガラスパネルは欄干から脱落しないことになる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明を構成したことにより、既設の乗客コンベアにおいて、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネルが破壊した際においても、破壊されたガラスパネルがそのまま落下してしまうことを防止することが可能となり、乗客コンベアの安全性を向上させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】エスカレータの全体を表す概略側面図である。
【図2】本発明の実施例1を示す概略断面図である。
【図3】図2においてAから見た部分概略側面図である。
【図4】本発明の実施例2を示す概略断面図である。
【図5】図4においてBから見た部分概略側面図である。
【図6】本発明の実施例3を示す概略断面図である。
【図7】図6においてCから見た部分概略側面図である。
【図8】本発明の実施例4を示す部分概略側面図である。
【図9】図8におけるD−D断面図である。
【図10】従来のエスカレータにおける概略断面図である。
【図11】図10においてEから見た部分概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照して説明する。図1〜図3は実施例1を示し、図3及び図4は実施例2を示し、図5及び図6は実施例3を示し、図7及び図9は実施例4を示す。
【実施例1】
【0016】
エスカレータは、図1に示すように、トラス1と無端状に連結された状態でトラス内に設けられ、かつ、循環移動する踏段2と、踏段2の両側に立設されている欄干と、欄干を構成するガラスパネル3とを備えている。エスカレータの欄干を構成するガラスパネル3は踏段2の移動方向に複数枚ずつ並べられている。ガラスパネル3の上面には、手摺デッキ4が取り付けられており、手摺デッキ4上を手摺ベルトが走行する。また、ガラスパネル3はその下部においてパネル受け5により支持され、かつ、固定されている。さらに、ガラスパネル3の踏段側下部には、踏段2の側部に対向するように取り付けられているスカートガードと欄干との間に取り付けられている内レッジ7が設けられ、ガラスパネル3の反踏段側下部には、欄干の外側でスカートガードと平行に取り付けられている外側板と欄干との間に設けられている外デッキ6が設けられている。これらの構成は、後述する実施例2〜4においても共通するので、各実施例においては実施例1における前記説明を援用し、各実施例におけるこれらの構成の説明は省略する。
【0017】
実施例1は、既設の乗客コンベアの欄干のガラスパネル3に対し、飛散防止フィルム18a,18bをその左右に隣接するガラスパネル3a,3bを架け渡して貼った構成である。すなわち、飛散防止フィルム18aが隣接する2枚のガラスパネル3a,3に架け渡して貼られており、飛散防止フィルム18bが隣接する2枚のガラスパネル3,3bに架け渡して貼られている。もちろん飛散防止フィルムはガラスパネルが破壊されたときのガラス片の飛散を防止するためのものであるから、既設の乗客コンベアにおいて貼着可能なガラスパネルの露出面全体に飛散防止フィルムが貼着される。このように構成したことにより、ガラスパネル3が破壊しても、ガラスパネル3は飛散防止フィルム18a,18bを介して隣接する2枚のガラスパネル3a,3bによって支えられるため、ガラスパネル3が欄干から落下してしまうことを防止できる。
【0018】
なお、本実施例においては、隣接する2枚のガラスパネルを架け渡すように飛散防止フィルムを貼着したが、飛散防止フィルムは、3枚のガラスパネル3a,3,3bに架け渡して貼ってもよく、それ以上の枚数のガラスパネルに架け渡して貼着してもよい。
【実施例2】
【0019】
実施例2は、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡さず、すなわち各ガラスパネルごとに飛散防止フィルムを貼着する場合である。本実施例においては、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル3に対し、飛散防止フィルム28が、1枚のガラスパネル3とその上面の手摺デッキ4とに架け渡して貼着されている。
【0020】
このように構成したことにより、複数のガラスパネル3のうちの1枚が破壊され、飛散防止フィルム28にガラスパネル3のガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルム28は破壊されたガラスパネル3と手摺デッキ4とに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネル3は手摺デッキ4に飛散防止フィルム28を介して支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【実施例3】
【0021】
実施例3は、実施例2の変更例であって、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡さず、すなわち各ガラスパネルごとに飛散防止フィルムを貼着する場合である。本実施例においては、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル3に対し、飛散防止フィルム38が、1枚のガラスパネル3とその踏段側下部の内レッジ7とに架け渡して貼着されている。
【0022】
このように構成したことにより、複数のガラスパネル3のうちの1枚が破壊され、飛散防止フィルム38にガラスパネル3のガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルム38は破壊されたガラスパネル3と内レッジ7とに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネル3は内レッジ7に飛散防止フィルム38を介して支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【0023】
なお、貼着状態を表す図を省略するが、他の変更例として、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル3に対し、飛散防止フィルムを、1枚のガラスパネル3とその反踏段側下部の外デッキ6とに架け渡して貼着してもよく、その場合には、複数のガラスパネル3のうちの1枚が破壊され、当該破壊されたガラスパネル3に貼られている飛散防止フィルムにガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルムは破壊されたガラスパネル3と外デッキ6とに架け渡して貼着されているため、破壊されたガラスパネル3は外デッキ6に飛散防止フィルムを介して支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【実施例4】
【0024】
実施例4は、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡さず、すなわち各ガラスパネルごとに飛散防止フィルムを貼着する場合であって、各ガラスパネルと、手摺デッキ4、内レッジ7及び外デッキ6のいずれとも架け渡して飛散防止フィルムを貼ることができない場合である。本実施例においては、既設の乗客コンベアの欄干の各ガラスパネル毎に飛散防止フィルム48を貼着し、飛散防止フィルム48を貼ったガラスパネル間の隙間9に、隣接する飛散防止フィルム48を架け渡すように目地材10を設け、その目地材10にて隣接する2枚のガラスパネルに貼った飛散防止フィルム48を繋いだ構成とする。
【0025】
このように構成したことにより、複数のガラスパネルのうちの1枚のガラスパネル3が破壊され、飛散防止フィルム48にガラス片が貼着した状態になったとしても、この飛散防止フィルム48は隣接する破壊されていないガラスパネル3a,3bに貼着された飛散防止フィルム48と目地材10を介して繋がっているため、破壊されたガラスパネル3は双方の飛散防止フィルム48及び目地材10を介して破壊されていないガラスパネル3a,3bに支持されるので、破壊されたガラスパネル3は欄干から落下してしまうことを防止できる。
【符号の説明】
【0026】
1…トラス 2…踏段 3,3a,3b…ガラスパネル
4…手摺デッキ 5…パネル受け 6…外デッキ
7…内レッジ 18a,18b,28,38,48…飛散防止フィルム
9…ガラスパネル間の隙間 10…目地材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡して1枚の飛散防止フィルムを貼ったことを特徴とする乗客コンベアの欄干。
【請求項2】
乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、飛散防止フィルムをガラスパネルと、ガラスパネルの上面の手摺デッキ、ガラスパネルの踏段側下部の内レッジ又はガラスパネルの反踏段側下部の外デッキの少なくともいずれか1つとを架け渡して貼ったことを特徴とする乗客コンベア。
【請求項3】
乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、各ガラスパネルに飛散防止フィルムを貼り、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネル間の隙間に隣接する飛散防止フィルムを架け渡すように目地材を設け、この目地材により隣接する2枚のガラスパネルに貼った飛散防止フィルムを繋いだことを特徴とする乗客コンベアの欄干。
【請求項1】
乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、隣接する2枚以上のガラスパネルを架け渡して1枚の飛散防止フィルムを貼ったことを特徴とする乗客コンベアの欄干。
【請求項2】
乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、飛散防止フィルムをガラスパネルと、ガラスパネルの上面の手摺デッキ、ガラスパネルの踏段側下部の内レッジ又はガラスパネルの反踏段側下部の外デッキの少なくともいずれか1つとを架け渡して貼ったことを特徴とする乗客コンベア。
【請求項3】
乗客コンベアの欄干を構成する複数のガラスパネルにおいて、各ガラスパネルに飛散防止フィルムを貼り、飛散防止フィルムを貼ったガラスパネル間の隙間に隣接する飛散防止フィルムを架け渡すように目地材を設け、この目地材により隣接する2枚のガラスパネルに貼った飛散防止フィルムを繋いだことを特徴とする乗客コンベアの欄干。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−215393(P2010−215393A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66478(P2009−66478)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】
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