説明

乗客コンベアの目地部材

【課題】目地部材の挟持部の一部を切欠く作業を、時間をかけず容易に行えるようにする。
【解決手段】無端状に連結されて循環移動する複数のステップの進行方向に沿って延出するとともにデッキと欄干パネルとの間の境界部分を覆う乗客コンベアの目地部材において、目地部材13は、一方向に延出した長尺状の基部15と、基部15からこの基部15の長手方向と直交する方向に延出してデッキの縁部を挟持する一対の挟持部16a、16bとを有し、挟持部16a、16bにはこの挟持部16a、16bの一部を切欠く場合の切欠線の形成を手で行なえる部分18が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアの目地部材に関する。
【背景技術】
【0002】
エスカレータ等の乗客コンベアは、無端状に連結された複数のステップを循環移動させることによりステップ上の乗客等を輸送する。ステップの両側には、スカートガードパネルが設けられ、スカートガードパネルの外側に欄干パネルが設けられている。スカートガードパネルと欄干パネルとの間には内側デッキが配置され、欄干パネルの外側には外側デッキが配置されている。これらの内側デッキや外側デッキは、トラスに設けられた取付部に固定ネジを用いて固定されている。欄干パネルの外周部分には、ステップと同期して循環移動する手摺ベルトが設けられている。
【0003】
欄干パネルと内側デッキとの間の境界部分、及び、欄干パネルと外側デッキとの間の境界部分には、例えば、下記特許文献1に記載されたように樹脂製の目地部材が設けられている。
【0004】
目地部材には様々な構造のものがあり、例えば、一対の挟持部とこれらの挟持部の間に位置する嵌合溝とを有し、嵌合溝にデッキ(内側デッキ、外側デッキ)の縁部を嵌合させることによりデッキへの目地部材の取付けを行なう構造のものがある。
【0005】
このような構造の目地部材をデッキに取付ける場合、目地部材の挟持部が、デッキをトラスの取付部に固定している固定ネジに干渉すると、目地部材をデッキに取付けることができなくなる。そこで、目地部材をデッキに取付けた場合に、目地部材の挟持部が固定ネジに干渉しないようにする切欠部を挟持部に形成することが行なわれている。
【0006】
なお、デッキを固定する固定ネジの取付位置は、乗客コンベアの階高や客先仕様により異なるため、目地部材の挟持部に切欠部を形成する作業は、乗客コンベアの設置工事を行なっている現地で行なっている。現地での切欠部の形成は、目地部材を裏返しにしてデッキに仮固定し、裏返しにすることにより視認可能となっている挟持部に対して切欠部を形成する位置(固定ネジの取付位置に対応する位置)に印を付け、その印に沿ってカッターナイフやニッパ等の工具を用いて切欠線を形成し、切欠線で囲まれた挟持部の一部を除去することにより行なわれている。
【特許文献1】特開2001−261273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
標準長さのデッキは、デッキ1枚につき複数の固定ネジが取付けられ、ステップの移動方向の長さ寸法が長くなるにつれて一台の乗客コンベアにおいて使用するデッキの数が多くなる。このため、一台の乗客コンベアにおいて目地部材の挟持部に形成する切欠部の数は多く、これらの切欠部を形成するための全ての切欠線をカッターナイフ等の工具を用いて形成する作業には多くの時間を費やしていた。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は、目地部材の挟持部の一部を切欠く作業を、時間をかけず容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施の形態に係る特徴は、無端状に連結されて循環移動する複数のステップの進行方向側方に沿って配置された欄干パネルと、前記欄干パネルの側方に配置されて前記ステップの進行方向に沿って延出したデッキとを備える乗客コンベアに設けられ、前記ステップの進行方向に沿って延出するとともに前記デッキと前記欄干パネルとの間の境界部分を覆う乗客コンベアの目地部材において、前記目地部材は、一方向に延出した長尺状の基部と、前記基部からこの基部の長手方向と直交する方向に延出して前記デッキの縁部を挟持する一対の挟持部とを有し、前記挟持部にはこの挟持部の一部を切欠く場合の切欠線の形成を手で行なえる部分が形成されていることである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、目地部材の挟持部の一部を切欠く場合の切欠線の形成を手で行なえる部分があるので、全ての切欠線の形成を工具を用いて行なう場合に比べて切欠加工に要する作業時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。
【0012】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る乗客コンベアの目地部材について、図1ないし図5に基づいて説明する。
【0013】
乗客コンベアであるエスカレータは、図1に示すように、建物の上階と下階との間に亘って据え付けられたトラス1と、無端状に連結されてトラス1内を上階と下階との間で循環移動する複数のステップ2とを備えている。トラス1には、図2及び図3に示すように一体支え3とパネル受け4とが取付けられている。
【0014】
図2は、図1におけるA−A線断面図であり、図3はその一部を拡大して示した断面図である。トラス1に取付けられた一体支え3には、ステップ2の進行方向に沿った両側に位置するスカートガードパネル5が固定されている。また、トラス1に取付けられたパネル受け4には、スカートガードパネル5を挟んでステップ2の反対側に位置する欄干パネル6が固定されている。欄干パネル6の外周部には手摺レール7が固定され、手摺レール7には無端状の手摺ベルト8が取付けられている。手摺ベルト8は、ステップ2と同期してステップ2と同じ方向に循環移動するように設けられている。
【0015】
欄干パネル6の一側には、欄干パネル6とスカートガードパネル5との間の隙間部分を塞ぐデッキである内側デッキ9が配置されている。欄干パネル6の他側には、欄干パネル6と建物外装(図示せず)との間の隙間部分を塞ぐデッキである外側デッキ10が配置されている。
【0016】
内側デッキ9は、欄干パネル6からスカートガードパネル5に向けて下方に傾斜して配置され、内側デッキ9の下端部はスカートガードパネル5の上端部に連結部材11を介して連結されている。内側デッキ9の上端部は、固定ネジ12によりパネル受け4にネジ止めされている。内側デッキ9の上端部と欄干パネル6の側面との間には、内側デッキ9と欄干パネル6との間の境界部分を覆う目地部材13が配置されている。
【0017】
外側デッキ10は略水平向きに配置され、外側デッキ10の一方の端部と欄干パネル6の側面との間には、外側デッキ10と欄干パネル6との間の境界部分を覆う目地部材14が配置されている。
【0018】
目地部材13は、樹脂により形成され、内側デッキ9の上端部に取付けられている。この目地部材13は、図4に示すように、一方向に延出した長尺状の基部15と、基部15からこの基部15の長手方向と直交する方向に延出した一対の挟持部16a、16bと、基部15からこの基部15の長手方向と直交する方向に延出するとともに内側デッキ9をパネル受け4に固定した固定ネジ12の頭部を覆う被覆部17とを有している。
【0019】
挟持部16a、16bは平行に配置され、挟持部16a、16bの間隔“a”は内側デッキ9の板厚より僅かに大きく設定され、挟持部16a、16bの間に内側デッキ9の縁部が挟持可能とされている。
【0020】
基部15から延出した挟持部16a、16bの根元部分には、基部15の長手方向に沿って直線状に伸びて板厚を薄くした凹状の溝18が、後述する切欠線19の形成を手で行なえる部分として形成されている。「切欠線19の形成を手で行なえる」とは、工具を用いずに手作業で切欠線19を形成できることを意味する。具体的には、挟持部16a、16bを溝18に沿って折り曲げることにより挟持部16a、16bが溝18に沿って破断され、この溝18上の位置に切欠線19が形成される。
【0021】
溝18の断面形状、言い換えると、この溝18を溝18の長手方向と直交する面で断面にした場合の断面形状がU字型に形成されている。また、溝18は、挟持部16a、16bの板厚方向の片面にのみ形成されている。
【0022】
内側デッキ9に取付けられた目地部材13の挟持部16a、16bには、図5に示すように、切欠部20が形成されている。この切欠部20は、内側デッキ9の縁部を挟持部16a、16bで挟持することにより目地部材13を内側デッキ9に取付けた場合、挟持部16a、16bが固定ネジ12に干渉することを防止するために形成されたものである。なお、目地部材13に形成されている切欠部20の数は、この目地部材13が取付けられる内側デッキ9をパネル受け4に固定するために使用されている固定ネジ12の数と同じ数である。
【0023】
図5は、挟持部16aに形成された切欠部20を示す目地部材13の水平断面図である。切欠部20は、三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた部分を挟持部16aから切欠くことにより矩形状に形成されている。
【0024】
この切欠部20の形成に際しては、まず、エスカレータの設置工事を行っている現地において、目地部材13を裏返しにした状態、言い換えると、挟持部16a、16bを上向きにした状態で内側デッキ9に仮固定する。目地部材13を裏返しにして仮固定することにより、上方を向いた挟持部16a、16bが視認可能となり、この挟持部16a、16bに対して、固定ネジ12と対向する位置に切欠部20を形成するための印を付ける。そして、この印の位置に切欠線19、21a、21bを形成することにより挟持部16a、16bの一部を切欠き、切欠部20を形成する。
【0025】
三つの切欠線19、21a、21bのうち、溝18と直交する向きに形成された二つの切欠線21a、21bは、印の位置をカッターナイフやニッパ等の工具を用いて形成されている。切欠線21a、21bは、先端部が溝18に達する位置まで形成されている。切欠線19は溝18上に形成されており、この切欠線19は、切欠線21a、21bを形成した後、挟持部16aにおける切欠線21a、21bに挟まれた部分を手で持って溝18に沿って折り曲げ、その溝18に沿って挟持部16aを破断することにより形成されている。溝18は、挟持部16aにおける他の部分に比べて肉厚を薄くした断面形状U字型に形成されており、手で折り曲げることにより容易に破断して切欠線19を形成することができる。
【0026】
このような構成において、挟持部16a、16bに三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた切欠部20を形成する場合、二つの切欠線21a、21bについてはカッターナイフ等の工具を用いて形成する。一方、溝18上の切欠線19については、挟持部16a、16bを溝18に沿って手で折り曲げて破断することにより形成することができ、切欠線19の形成を短時間で容易に行なうことができる。このため、エスカレータの設置工事を行っている現地において、挟持部16a、16bの一部を切欠いて切欠部20を形成する作業に要する時間を短縮することができ、エスカレータの設置工事の作業効率を上げることができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る乗客コンベアの目地部材について、図6に基づいて説明する。なお、第2の実施の形態及び以下に説明する他の実施の形態において、先行して説明した実施の形態の構成要素と同じ構成要素には同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】
図6は、第2の実施の形態に係る目地部材13Aを示す斜視図である。目地部材13Aの基本的な構造は第1の実施の形態(図4及び図5参照)に係る目地部材13と同じであり、基部15と、一対の挟持部16a、16bと、被覆部17とを有している。
【0029】
基部15から延出した挟持部16a、16bの根元部分には、基部15の長手方向に沿って直線状に伸びて板厚を薄くした凹状の溝18aが、切欠線19の形成を手で行なえる部分として形成されている。この切欠線19は、挟持部16a、16bを溝18aに沿って折り曲げて破断することにより、溝18a上の位置に形成される。
【0030】
溝18aの断面形状、言い換えると、この溝18aを溝18aの長手方向と直交する面で断面にした場合の断面形状がV字型に形成されている。また、溝18aは、挟持部16a、16bの板厚方向の両面に形成されている。
【0031】
このような構成において、図5に示す場合と同様に、挟持部16a、16bに三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた切欠部20を形成する場合、二つの切欠線21a、21bについてはカッターナイフ等の工具を用いて形成する。一方、溝18a上の切欠線19については、挟持部16a、16bを溝18aに沿って手で折り曲げて破断することにより形成することができ、切欠線19の形成を短時間で容易に行なうことができる。このため、エスカレータの設置工事を行っている現地において、挟持部16a、16bの一部を切欠いて切欠部20を形成する作業に要する時間を短縮することができ、エスカレータの設置工事の作業効率を上げることができる。
【0032】
なお、溝18aは断面形状がV字型に形成されているため、挟持部16a、16bを折り曲げた場合において挟持部16a、16bが溝18aに沿って破断しやすくなり、切欠線19の形成をより一層容易に行なうことができる。
【0033】
さらに、溝18aは、挟持部16a、16bの板厚方向の両面に形成されているため、挟持部16a、16bを折り曲げた場合において挟持部16a、16bが溝18aに沿って破断しやすくなり、切欠線19の形成をより一層容易に行なうことができる。
【0034】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る乗客コンベアの目地部材について、図7及び図8に基づいて説明する。
【0035】
図7は、第3の実施の形態に係る目地部材13Bを示す斜視図である。目地部材13Bの基本的な構造は第1の実施の形態(図4及び図5参照)に係る目地部材13と同じであり、基部15と、一対の挟持部16a、16bと、被覆部17とを有している。
【0036】
基部15から延出した挟持部16a、16bの根元部分には、基部15の長手方向に沿って点線状に配列された複数の切込み22が、切欠線19の形成を手で行なえる部分として形成されている。この複数の切込み22は、基部15の長手方向に沿って直線状に配列されている。
【0037】
図8は、挟持部16aに形成された切欠部20を示す目地部材13Bの水平断面図である。切欠部20は、三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた部分を挟持部16aから切欠くことにより矩形状に形成されている。
【0038】
三つの切欠線19、21a、21bのうち、二つの切欠線21a、21bは、カッターナイフ等の工具を用いて形成されている。複数の切込み22の上の切欠線19は、挟持部16aにおける切欠線21a、21bに挟まれた部分を手で持って複数の切込み22に沿って折り曲げたり、挟持部16aを複数の切込み22の上から手で押圧し、挟持部16aを切込み22に沿って破断することにより形成されている。
【0039】
このような構成において、挟持部16a、16bに三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた切欠部20を形成する場合、二つの切欠線21a、21bについてはカッターナイフ等の工具を用いて形成する。一方、複数の切込み22を結んだ線上に形成される切欠線19については、挟持部16a、16bを複数の切込み22に沿って折り曲げたり、挟持部16a、16bを複数の切込み22の上から押圧したりして挟持部16a、16bを複数の切込み22に沿って破断することにより手で形成することができ、切欠線19の形成を短時間で容易に行なうことができる。このため、エスカレータの設置工事を行っている現地において、挟持部16a、16bの一部を切欠いて切欠部20を形成する作業に要する時間を短縮することができ、エスカレータの設置工事の作業効率を上げることができる。
【0040】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る乗客コンベアの目地部材について、図9及び図10に基づいて説明する。
【0041】
図9は、第4の実施の形態に係る目地部材13Cを示す斜視図である。目地部材13Cの基本的な構造は第3の実施の形態(図7及び図8参照)に係る目地部材13Bと同じである。異なる点は、目地部材13Bでは、挟持部16a、16bの根元部分に複数の切込み22が点線状に配列されているのに対し、目地部材13Cでは、挟持部16a、16bの根元部分に、基部15の長手方向に沿って点線状に配列された複数の穴23が、切欠線19の形成を手で行なえる部分として形成されている点である。この複数の穴23は、基部15の長手方向に沿って直線状に配列されている。
【0042】
図10は、挟持部16aに形成された切欠部20を示す目地部材13Cの水平断面図である。切欠部20は、三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた部分を挟持部16aから切欠くことにより矩形状に形成されている。
【0043】
三つの切欠線19、21a、21bのうち、二つの切欠線21a、21bは、カッターナイフ等の工具を用いて形成されている。複数の穴23の上の切欠線19は、挟持部16aにおける切欠線21a、21bに挟まれた部分を手で持って複数の穴23に沿って折り曲げたり、挟持部16aを複数の穴23の上から押圧し、挟持部16aを穴23に沿って破断することにより形成されている。
【0044】
このような構成において、挟持部16a、16bに三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた切欠部20を挟持部16a、16bに形成する場合、二つの切欠線21a、21bについてはカッターナイフ等の工具を用いて形成する。一方、複数の穴23を結んだ線上に形成される切欠線19については、挟持部16a、16bを複数の穴23に沿って折り曲げたり、挟持部16a、16bを複数の穴23の上から押圧したりして挟持部16a、16bを複数の穴23に沿って破断することにより手で形成することができ、切欠線19の形成を短時間で容易に行なうことができる。このため、エスカレータの設置工事を行っている現地において、挟持部16a、16bに切欠部20を形成する作業に要する時間を短縮することができ、エスカレータの設置工事の作業効率を上げることができる。
【0045】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る乗客コンベアの目地部材について、図11及び図12に基づいて説明する。
【0046】
図11は、第5の実施の形態に係る目地部材13Dを示す斜視図である。目地部材13Dの基本的な構造は第3の実施の形態(図7及び図8参照)に係る目地部材13Bと同じである。異なる点は、目地部材13Bでは、点線状に配列された複数の切込み22が基部15の長手方向に沿って一列形成されているのに対し、目地部材13Dでは、点線状に形成された複数の切込み22が、基部15の長手方向に沿って複数列形勢されている点である。
【0047】
このような構成において、挟持部16a、16bに三つの切欠線19、21a、21bで囲まれた切欠部20を形成する場合、切欠線19については、挟持部16a、16bを一つの直線上に配列された複数の切込み22に沿って折り曲げたり、挟持部16a、16bを一つの直線上に配列された複数の切込み22の上から押圧したりすることにより手で形成することができ、切欠線19の形成を短時間で容易に行なうことができる。このため、エスカレータの設置工事を行っている現地において、挟持部16a、16bの一部を切欠いて切欠部20を形成する作業に要する時間を短縮することができ、エスカレータの設置工事の作業効率を上げることができる。
【0048】
また、切欠線19を形成する場合、複数列形成された複数の切込み22のうち、どの列の切込み22に沿って切欠線19を形成するかを固定ネジ12の位置に応じて選択することができる。この選択により、例えば、実線で示した位置に切欠部20を形成することができ、又は、ハッチングで示した位置に切欠部20aを形成することができる。
【0049】
なお、第5の実施の形態では、点線状に配列された複数の切込み22を基部15の長手方向に沿って複数列形成した場合を例に挙げて説明しているが、切込み22に代えて点線状に配列された複数の穴を基部15の長手方向に沿って複数列形成した場合でも、同様の切欠部20、20aを形成することができる。
【0050】
(第6の実施の形態)
本発明の第6の実施の形態に係る乗客コンベアの目地部材について、図13及び図14に基づいて説明する。
【0051】
図13は、第6の実施の形態に係る目地部材13Eを示す斜視図である。目地部材13Eの基本的な構造は第4の実施の形態(図9及び図10参照)に係る目地部材13Cと同じであり、点線状に配列された複数の穴23が、基部15の長手方向に沿って直線状に形成されている。さらに、目地部材13Eには、基部15の長手方向と直交する方向にも点線状に配列された複数の穴24が、切欠線25a、25bの形成を手で行なえる部分として複数列形成されている。
【0052】
図14は、挟持部16aに形成された切欠部20を示す目地部材13Eの水平断面図である。切欠部20は、三つの切欠線19、25a、25bで囲まれた部分を挟持部16aから切欠くことにより矩形状に形成されている。切欠線25a、25bは、直線状に配列された複数の穴24を結んで形成され、切欠線19は直線状に配列された複数の穴23を結んで形成されている。
【0053】
切欠線25a、25bは、挟持部16aを切欠線25a、25bを形成したい位置の複数の穴24の上から押圧し、挟持部16aを複数の穴24に沿って破断することにより形成されている。また、切欠線19は、切欠線25a、25bを形成した後、挟持部16aにおける切欠線25a、25bに挟まれた部分を手で持って複数の穴23に沿って折り曲げたり、又は、挟持部16aを複数の穴23の上から手で押圧し、挟持部16aを穴23に沿って破断することにより形成されている。
【0054】
このような構成において、三つの切欠線19、25a、25bで囲まれた切欠部20を挟持部16a、16bに形成する場合、挟持部16a、16bを複数の穴23、24に沿って折り曲げたり押圧したりして破断することにより、全ての切欠線19、25a、25bを手で形成することができ、切欠線19、25a、25bの形成を短時間で容易に行なうことができる。このため、エスカレータの設置工事を行っている現地において、挟持部16a、16bに切欠部20を形成する作業に要する時間を大幅に短縮することができ、エスカレータの設置工事の作業効率を上げることができる。
【0055】
なお、上述した各実施の形態では、内側デッキ9に取付けられる目地部材13、13A、13B、13C、13D、13Eに切欠線の形成を手で行なえる部分である溝18、18aや切込み22や穴23,24を形成した場合を例に挙げて説明したが、外側デッキ10に取付けられる目地部材14についても、同様に切欠線の形成を手で行なえる部分を形成することにより、同様の作用、効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る目地部材を備えたエスカレータの全体構成を示す側面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す断面図である。
【図4】目地部材を示す斜視図である。
【図5】その目地部材を示す水平断面図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る目地部材を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る目地部材を示す斜視図である。
【図8】その目地部材を示す水平断面図である。
【図9】本発明の第4の実施の形態に係る目地部材を示す斜視図である。
【図10】その目地部材を示す水平断面図である。
【図11】本発明の第5の実施の形態に係る目地部材を示す斜視図である。
【図12】その目地部材を示す水平断面図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態に係る目地部材を示す斜視図である。
【図14】その目地部材を示す水平断面図である。
【符号の説明】
【0057】
2 ステップ
6 欄干パネル
9 内側デッキ(デッキ)
13、13A、13B、13C、13D、13E 目地部材
14 目地部材
15 基部
16a、16b 挟持部
18 溝(切欠線の形成を手で行なえる部分)
18a 溝(切欠線の形成を手で行なえる部分)
19 切欠線
21a、21b 切欠線
22 切込み(切欠線の形成を手で行なえる部分)
23 穴(切欠線の形成を手で行なえる部分)
24 穴(切欠線の形成を手で行なえる部分)
25a、25b 切欠線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて循環移動する複数のステップの進行方向側方に沿って配置された欄干パネルと、前記欄干パネルの側方に配置されて前記ステップの進行方向に沿って延出したデッキとを備える乗客コンベアに設けられ、前記ステップの進行方向に沿って延出するとともに前記デッキと前記欄干パネルとの間の境界部分を覆う乗客コンベアの目地部材において、
前記目地部材は、一方向に延出した長尺状の基部と、前記基部からこの基部の長手方向と直交する方向に延出して前記デッキの縁部を挟持する一対の挟持部とを有し、前記挟持部にはこの挟持部の一部を切欠く場合の切欠線の形成を手で行なえる部分が形成されていることを特徴とする乗客コンベアの目地部材。
【請求項2】
前記切欠線の形成を手で行える部分は、前記基部の長手方向に沿って板厚を薄くした凹状の溝であることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの目地部材。
【請求項3】
前記溝は、断面形状がU字型又はV字型に形成されていることを特徴とする請求項2記載の乗客コンベアの目地部材。
【請求項4】
前記溝は、前記挟持部の片面又は両面に形成されていることを特徴とする請求項2又は3記載の乗客コンベアの目地部材。
【請求項5】
前記切欠線の形成を手で行える部分は、前記基部の長手方向に沿って点線状に配列された複数の切込み又は複数の穴であることを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの目地部材。
【請求項6】
点線状に配列された前記複数の切込み又は前記複数の穴が、前記基部の長手方向に沿って複数列形成されていることを特徴とする請求項5記載の乗客コンベアの目地部材。
【請求項7】
前記切欠線の形成を手で行える部分は、さらに、前記基部の長手方向と直交する方向にも形成されていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれか一に記載の乗客コンベアの目地部材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−190871(P2009−190871A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35114(P2008−35114)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(390025265)東芝エレベータ株式会社 (2,543)
【Fターム(参考)】