説明

乗客コンベアの運転制御装置

【課題】 乗客コンベアを利用する乗客の有無を判別し、自動的に運転制御することが可能な乗客コンベアの運転制御装置を得る。
【解決手段】 乗客を載せて搬送する踏み段1と、移動手摺り3と、踏み段1および移動手摺り3を駆動する駆動部10と、一対の欄干2と、一対の欄干2にそれぞれ設けられて、発光装置23と受光装置24を備え、発光装置23から乗降口を照射した反射光16を受光装置24で受光することにより対象物までの距離を測定する距離測定部6と、距離測定部6からの受光信号により乗客までの距離を演算する距離演算部7と、距離演算部7の出力値と所定の閾値とを比較することにより乗客の有無を判定する乗客有無判定部8と、乗客有無判定部8からの信号により駆動部10の運転を制御する制御部9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乗客コンベアを利用する乗客の有無を判定し、乗客コンベアの動作を制御する乗客コンベアの運転制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乗客コンベアの運転制御装置として、乗り場付近に一対のポールを設置し、この一対のポールに装備された光電センサによって乗客を検知する技術が知られている。この乗客コンベアの運転制御装置はポールに設置された光電センサによって乗客を検出した場合にのみ、乗客コンベアを定格速度で運転するように構成されている。
しかしながら、従来の乗客コンベアの運転制御装置では、乗降口にポールを設置する必要があり、建物の有効面積が失われてしまうという問題があった。また、乗客コンベアの設置場所によっては設置ができないという問題があった。さらに、床下に配線を通す必要があり、設置費用が高くなるという問題があった。
このような問題に対し、特許文献1に開示されているように、検出領域の異なる複数種類のセンサを備えて、検出状況に応じて運転を制御するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−112616号公報(第4−6頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の乗客コンベアの運転制御装置では、複数種類のセンサを設置するため、コストが高くなるという問題点があった。また、対象物からの反射光の有無によって乗客の有無を判別する場合、反射率によって検出能力が大きく左右されるという問題点があった。さらに、検出範囲に人が入ったことを検知したときに乗客コンベアの運転を開始するものであるため、人が乗客コンベアの前を横切る際にたまたま検出範囲内に入ったのみの場合でも乗客コンベアを運転することにより、無駄な運転が発生するという問題点があった。
【0005】
この発明は上述のような問題点を解決するためになされたもので、対象物の反射率による影響を抑制し、乗客コンベアを利用する乗客を確実に検出し、低消費電力動作を可能とする乗客コンベアの運転制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る乗客コンベアの運転制御装置は、乗降口の間を乗客を載せて搬送する踏み段と、踏み段と同じ速度で移動する移動手摺りと、踏み段および移動手摺りを駆動する駆動部と、移動手摺り、移動手摺りを支持する内側板および内側板の下部にあって踏み段の進行方向に連続したパネルからなるデッキボードで構成される一対の欄干と、一対の欄干にそれぞれ設けられて、発光装置と受光装置を備え、発光装置から乗降口を照射した反射光を受光装置で受光することにより対象物までの距離を測定する距離測定部と、距離測定部からの受光信号により乗客までの距離を演算する距離演算部と、距離演算部の出力値と所定の閾値とを比較することにより乗客の有無を判定する乗客有無判定部と、乗客有無判定部からの信号により駆動部の運転を制御する制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、乗降口の間を乗客を載せて搬送する踏み段と、踏み段と同じ速度で移動する移動手摺りと、踏み段および移動手摺りを駆動する駆動部と、移動手摺り、移動手摺りを支持する内側板および内側板の下部にあって踏み段の進行方向に連続したパネルからなるデッキボードで構成される一対の欄干と、一対の欄干にそれぞれ設けられて、発光装置と受光装置を備え、発光装置から乗降口を照射した反射光を受光装置で受光することにより対象物までの距離を測定する距離測定部と、距離測定部からの受光信号により乗客までの距離を演算する距離演算部と、距離演算部の出力値と所定の閾値とを比較することにより乗客の有無を判定する乗客有無判定部と、乗客有無判定部からの信号により駆動部の運転を制御する制御部とを備えたことにより、対象物の反射率の違いによらず、検出した距離によって乗客コンベアの運転を制御することが可能であり、不要な運転を抑制し、低消費電力動作を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による乗客コンベアの運転制御装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1による距離測定部の側面図である。
【図3】TOF法の説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1による距離測定部の上面図である。
【図5】本発明の実施の形態1による乗客コンベアの運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施の形態2によるエスカレータの運転制御装置を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態2による乗客コンベアの運転制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態3によるエスカレータの運転制御装置を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態4によるエスカレータの運転制御装置を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態4による距離測定部の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による乗客コンベアの運転制御装置を示す斜視図である。乗客コンベアとしてはエスカレータ、動く歩道等があり、ここではエスカレータを例にして説明するが、他の乗客コンベアにも同様に適用できる。図1に示すように、エスカレータの運転制御装置は踏み段1、一対の欄干2、距離測定部6aおよび6b、距離演算部7aおよび7b、乗客有無判定部8、制御部9、駆動部10を備えている。踏み段1の両側には一対の欄干2が配置され、この一対の欄干2はそれぞれ、移動手摺り3、内側板4およびデッキボード5から構成される。内側板4は移動手摺り3の下に配置され、移動手摺り3を支持するものである。デッキボード5は内側板4の下に配置され、踏み段1の進行方向に連続したパネルとして構成される。乗降口には移動手摺り3が出入りするインレット部11a、11bを有する。
【0010】
踏み段1は制御部9が制御する駆動部10によって駆動され、乗客を載せて乗降口の間を搬送する。移動手摺り3も駆動部10によって駆動され、踏み段1と同じ速度で移動する。一対の欄干2にはそれぞれ、乗降口に距離測定部6a、6bが装着される。
距離測定部6の側面図を図2に示す。距離測定部6は、発光装置23と受光装置24で構成され、発光装置23は光線14を出射するための発光手段であり、乗降口付近を照射するように構成されている。距離測定部6としては、例えば三角測量法、TOF(Time of Flight)法等のように対象物からの反射光によって距離を測定するものを使用する。
【0011】
三角測量法について図2を用いて説明する。同図に示すように、発光素子12から光線14を出射し、投光レンズ13を通った後に対象物15に当たって反射した反射光16を、受光レンズ17を通して受光素子18で受光する。受光素子18としては、例えば光位置検出器(Position Sensitive Detector、以下PSDと呼ぶ)等を使用する。対象物の位置によって受光素子18上での照射位置が決定され、受光素子18の出力電流から照射位置を特定することができるため、照射位置から対象物までの距離を得ることができる。
【0012】
次に、TOF法について図3を用いて説明する。同図に示すように、時間測定部29からの送信信号21により送信機19を駆動し、送信機19からパルス状の照射光を出射し、照射光(光線14)が対象物15に当たって反射し、その反射光16を受信機20で受光する。受信機20は時間測定部29に受信信号22を出力し、時間測定部29において送信信号21と受信信号22との時間差τを測定し、光速cを用いて対象物までの距離を算出することができる。
図4は本実施の形態における距離測定部6の上面図である。同図において、距離測定部6に搭載された発光装置23からの光線14は、同図に示すようなスポット光として乗降口を照射する。
【0013】
本実施の形態では以下、距離測定部6として三角測量法によるものを使用した場合について説明するが、距離測定部6はこれに限るものでなく、対象物までの距離を測定する手段であればよい。
【0014】
発光装置23としては、例えば発光ダイオード(Light Emitted Diode、以下LEDと呼ぶ)、レーザダイオード(Laser Diode、以下LDと呼ぶ)等の発光素子12と、発光素子12からの出射光線を平行光とするための投光レンズ13から構成される。投光レンズ13には例えば、平凸レンズ、フレネルレンズ等を使用することができる。また、受光装置24は、発光装置23と同じ距離測定部6の筐体内に収納され、発光素子12から出射された光線14が対象物15に当たり、その反射光16を受光する。受光装置24としては、例えば光位置検出器(Position Sensitive Detector、以下PSDと呼ぶ)等の受光素子18と、反射光16を集光するための受光レンズ17から構成される。受光レンズ17としては例えば、平凸レンズ、フレネルレンズ等を使用することができる。
【0015】
距離演算部7a、7bは、距離測定部6a、6bにおける受光装置24からの受光強度に応じた距離を演算する。乗客有無判定部8は距離演算部7a、7bで算出した距離に応じて乗客の有無を判定し、乗客検出信号を制御部9へ出力する。制御部9は乗客有無判定部8からの乗客検出信号により、駆動部10を制御してエスカレータの運転を開始する。
【0016】
次に、本実施の形態による乗客コンベアの運転制御装置の動作について説明する。
乗客がいないときエスカレータは停止状態にある。乗り場付近に乗客が接近すると、距離測定部6a、6bに搭載された発光装置23から出射される光線14a、14bが乗客に当たり、その反射光が距離測定部6a、6bに搭載された受光装置24で検出される。受光装置24からの受光信号が距離演算部7a、7bに出力され、距離演算部7a、7bで距離を演算する。演算した距離は距離信号として乗客有無判定部8に出力され、予め設定された閾値以下であれば、乗客有無判定部8は乗客ありと判定する。
乗客有無判定部8が乗客ありと判定した場合、乗客検出信号を制御部9に出力し、制御部9は駆動部10を制御して、踏み段1および移動手摺り3の運転を開始する。
【0017】
本実施の形態によれば、距離測定部6a、6bによって対象物までの距離を測定し、乗客の有無を判定するようにしたので、光電センサを用いた場合と異なり、対象物の反射率の差による誤作動を抑制することが可能となる。
なお、乗客有無判定部8において、乗客の有無を判定するための閾値は2つ以上であってもよい。このように構成された乗客コンベアの運転制御装置の動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
【0018】
同図に示すように、ステップ100において距離測定部6a、6bの出力からそれぞれ距離演算部7a、7bによって対象物からの距離を演算し、距離出力A、Bとする。次にステップ110において距離出力A、Bのうち少なくとも一方がゼロより大きいか否かを判断する。距離出力A、Bが共にゼロの場合は、乗客なしと判定し、ステップ100に戻る。距離出力A、Bの少なくとも一方がゼロより大きい場合は、乗客を含む対象物ありと判断してステップ120へ進む。
ステップ120では、以降のステップにおいて距離出力A、Bのいずれを参照するかを判断する。すなわち、距離出力Aが距離出力Bよりも大きいかあるいは距離出力Bがゼロの場合は、距離出力Aを参照するものと判断して、ステップ130に進む。また、距離出力Aが距離出力Bよりも大きいかあるいは距離出力Aがゼロの場合は、距離出力Bを参照するものと判断し、ステップ131に進む。ステップ130、131で参照する距離出力を決定したら、ステップ140で距離出力が閾値T1以下か否かを判定する。参照した距離出力が閾値T1より大きい場合は、乗客なしと判定する。また、参照した距離出力が閾値T1以下の場合は、ステップ150に進み、出力が閾値T2以下か否かを判定する。ここで、閾値T2は閾値T1よりも小さい値とする。
【0019】
参照した距離出力が閾値T2よりも大きい場合にはステップ161に進み、エスカレータを定格速度よりも小さな速度で運転(低速運転)を開始する。また、参照した距離出力が閾値T2以下であればステップ160に進み、定格速度でエスカレータの運転を開始する。なお、上記具体例では閾値の設定を2つとしたが、3つ以上であっても適用可能である。
このように、距離出力と閾値T1、T2との大小を比較した判定結果を基に、エスカレータの運転速度を変更することができ、例えば、エスカレータから人が遠ざかるに従いエスカレータの運転速度を低速にすれようにすることにより、エスカレータの乗り場前を横切る人のみを検出した場合に定格速度で運転することを避けることができ、エスカレータが消費するエネルギーを削減することが可能となる。
【0020】
以上のように構成された乗客コンベアの運転制御装置によれば、乗客有無判定部8において乗客の有無およびエスカレータ前を横切るのみの人を判定することができ、エスカレータの運転速度を変えるようにしたので、より低消費エネルギーでの運転が可能となる。
【0021】
実施の形態2.
本実施の形態は検出した乗客の位置によってエスカレータの運転を制御する乗客コンベアの運転制御装置に関するものである。図6は本実施の形態におけるエスカレータの運転制御装置の斜視図である。同図において乗客有無判定部8にメモリ25およびタイマ30が設けられる。その他の構成は図1と同様であるため、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
次に、本実施の形態の動作について図7のフローチャートに沿って説明する。ステップ100からステップ130および131までは実施の形態1と共通であるため、本実施の形態において詳細な説明は省略する。ステップ140において、ステップ130および131で参照するものと決定した距離出力(AあるいはB)が所定の閾値T以下か否かを判定する。参照した距離出力が閾値Tよりも大きければ、ステップ141でメモリをリセットしてステップ100に戻り、以下、ステップ100から開始するループを繰り返す。参照した距離出力が閾値T以下であれば、ステップ170に進み、参照した距離出力をメモリ25に格納し、ステップ180においてタイマ30をスタートし、次にステップ190でタイマスタートからtm秒後に再度、参照している側の距離出力(距離出力AまたはBの内、ステップ130、131で参照対象と決定したもの)を取得し、ステップ200でメモリ25内の距離以下か否かを判定する。ここで、tmの値はエスカレータの運転速度、設置場所等に対応して、任意に設定可能であるが、例えば1.0まあるいは2.0等を用いることができる。なお、このtmの値はこれらに限るものではなく、エスカレータの設置位置環境、運転時間等に応じて適宜可能である。
【0023】
再度取得した距離出力がメモリ25内の距離の値よりも大きければ、ステップ211でタイマ30をリセットし、さらにステップ141でメモリをリセットして最初のステップ100に戻り、ループを繰り返す。再度取得した距離出力がメモリ25内の距離以下であれば、ステップ210に進んで、エスカレータの運転を開始する。
【0024】
このように構成することにより、メモリ25内に距離出力を格納し、tm秒後に再度取得した同じ距離測定部から得られる距離出力がメモリ25内に格納された距離よりも小さい場合には、乗客コンベアに乗客が近づいて利用意思があると判断し、乗客コンベアの運転を開始するようにしたので、乗客コンベアを横切って利用意思のない人も検知してしまうという誤動作を抑制することが可能となる。
【0025】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、エスカレータ停止時に乗客の有無を判定し、乗客ありと判定した場合にエスカレータの運転を開始する乗客コンベアの運転制御装置の構成について述べたが、ここでは、エスカレータ運転時にインレット部11に近づいた人を検知し、乗客に警告、あるいはエスカレータの運転を減速、緊急停止するものについて述べる。
【0026】
図8は本実施の形態におけるエスカレータの運転制御装置の斜視図である。同図において検出部26は距離演算部7a、7bで算出した距離に応じてインレット部11a、11bへ接近した人の有無を判定する。警告部27は検出部26がインレット部11a、11bに接近する人を検出したときに出力する検出信号により動作し、警告手段28を用いて警告を行う。警告手段28は乗客に危険を警告するための手段であり、例えば、スピーカによる音声アナウンス、警告灯等を用いる。制御部9は、検出部26が人を検出したときに出力する検出信号により駆動部10を制御して、エスカレータの減速や緊急停止を行う。その他の構成は実施の形態1に対する図1と同様であり、対応する部分に同一符号を付してその説明を省略する。
【0027】
次に、本実施の形態の乗客コンベアの運転制御装置の動作について説明する。
乗降口付近に人が接近すると、距離測定部6a、6bに搭載された発光装置23から出射される光線14が人に当たり、その反射光16は距離測定部6a、6bに搭載された受光装置24で検出される。受光装置24からの受光信号が距離演算部7a、7bに出力されると、距離演算部7a、7bは受光信号から距離を演算し、演算の結果得られる距離出力を検出部26に出力する。距離信号が所定の閾値以下であれば検出部26は対象物ありと判定する。検出部26は検出信号を警告部27へ出力し、警告部27は警告手段28を用いてインレット部11a、11bに近づいた人に危険を警告する。
あるいは、検出部26は検出信号を制御部9へ出力し、制御部9は駆動部10を制御して踏み段1と移動手摺り3とを減速または緊急停止する。
【0028】
また、検出部26は検出信号を警告部27と制御部9の両方に出力するようにしてもよい。この場合、インレット部11a、11bに近付いた人に危険を警告すると共に、踏み段1と移動手摺り3を減速または緊急停止する。
あるいは検出部26が最初に対象物ありと判定した結果として得られる検出信号を警告部27へ出力し、さらに対象物ありの判定をある一定時間以上継続したときに、検出信号を制御部9に出力するようにしてもよい。この場合は、先に警告が発せられ、一定時間経過後に制御部9が動作し、踏み段1と移動手摺り3を減速または緊急停止を行う。
このように構成することにより、距離測定部6a、6bによって、インレット部11a、11bへ接近する人を検出し、警告を発するかまたは乗客コンベアを緊急停止するようにしたので、乗客コンベアにより事故を未然に防止することをより確実にできる。また、警告が発せられて一定時間経過後に運転制御を行うように構成したことにより、乗客への注意を促した後に乗客コンベアを停止するため、誤停止を減少させることができる。
【0029】
実施の形態4.
実施の形態1ないし3では、距離測定部6a、6bの発光装置23から照射する光はスポット光を用いる構成としたが、本実施の形態では、発光装置23からの光線14を光の照射方向と垂直な一方向に広げて検出領域を拡大したものについて述べる。図9は本実施の形態におけるエスカレータの運転制御装置の斜視図である。同図において、距離測定部6a、6bは発光装置23と受光装置24で構成され、発光装置23は光線14を出射し、乗降口付近を照射するように構成される。図10は本実施の形態における距離測定部6の上面図である。図9および図10に示すように、距離測定部6a、6bに搭載された発光装置からの光線14a、14bは一方向に広がった光として照射される。発光装置23としては、例えば、LED、LD等の発光素子および発光素子からの出射光を一方向だけ平行光とするための投光レンズ13から構成されたものである。投光レンズ13には例えば、シリンドリカルレンズ等を使用する。また、受光装置24は発光装置23と同じ筐体内に収納されており、発光装置23から出射された光線14が対象物にあたり、その反射光16を受光する。受光装置24としては、例えば、PSD等の受光素子と、反射光16を集光するための受光レンズ17から構成されたものである。受光レンズ17としては、投光レンズ13と同様に、例えばシリンドリカルレンズ等を使用する。
【0030】
このように構成された乗客コンベアの運転制御装置によれば、距離測定部6a、6bからの光線14a、14bは一方向だけ集光し、もう一方向は発散光となるように構成したので、より広範囲に渡って乗客を検出することが可能となる。
なお、実施の形態1ないし4において、乗り場に近づく乗客を検出する構成としたが、降り場にも設置しておけば、逆走しようとする乗客を検出し警告やエスカレータの運転を制御することも可能である。このように構成することにより、危険な乗り方をしようとする乗客を検出し事故を未然に防止することが可能となる。また、降り場に設置しておけば、滞留検知も可能であり、滞留度合いに応じてエスカレータの運転を制御することも可能である。
以上の実施の形態1ないし4においてはエスカレータ等の乗客コンベアについて述べたが、本発明はエレベータ、建物の自動ドアや列車のドア等への接近検知にも適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 踏み段、2 一対の欄干、3 移動手摺り、4 内側板、5 デッキボード、6 距離測定部、7 距離演算部、8 乗客有無判定部、9 制御部、10 駆動部、11 インレット部、12 発光素子、13 投光レンズ、14、14a、14b 光線、15 対象物、16 反射光、17 受光レンズ、18 受光素子、19 送信機、20 受信機、21 送信信号、22 受信信号、23 発光装置、24 受光装置、25 メモリ、26 検出部、27 警告部、28 警告手段、29 時間測定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降口の間を乗客を載せて搬送する踏み段と、上記踏み段と同じ速度で移動する移動手摺りと、上記踏み段および上記移動手摺りを駆動する駆動部と、上記移動手摺り、上記移動手摺りを支持する内側板および上記内側板の下部にあって上記踏み段の進行方向に連続したパネルからなるデッキボードで構成される一対の欄干と、上記一対の欄干にそれぞれ設けられて、発光装置と受光装置を備え、上記発光装置から乗降口を照射した反射光を上記受光装置で受光することにより対象物までの距離を測定する距離測定部と、上記距離測定部からの受光信号により乗客までの距離を演算する距離演算部と、上記距離演算部の出力値と所定の閾値とを比較することにより乗客の有無を判定する乗客有無判定部と、上記乗客有無判定部からの信号により上記駆動部の運転を制御する制御部とを備えたことを特徴とする乗客コンベアの運転制御装置。
【請求項2】
上記乗客有無判定部は乗客の有無を判定する所定の閾値を2つ以上備え、上記距離演算部の出力値と上記閾値とを比較することにより、乗客の有無を判定し、判定した結果に応じて上記駆動部の運転速度を変更する運転制御装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの運転制御装置。
【請求項3】
上記距離演算部の出力値を格納するメモリを備え、上記メモリに格納された上記出力値と所定時間後に取得した上記距離演算部の出力値とを比較することにより乗客の有無を判定する乗客有無判定部を備えたことを特徴とする請求項1記載の乗客コンベアの運転制御装置。
【請求項4】
上記乗客有無判定部からの信号により警告を行なう警告部を備え、上記移動手摺りが上記一対の欄干に入るインレット部分に近づいた乗客に対して上記警告部により警告することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の乗客コンベアの運転制御装置。
【請求項5】
上記制御部は上記乗客有無判定部からの出力により、減速運転または緊急停止をすることを特徴とする請求項4に記載の乗客コンベアの運転制御装置。
【請求項6】
上記発光装置から出射される光は、出射方向と直交する一方向に偏光されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の乗客コンベアの運転制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−11874(P2011−11874A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157905(P2009−157905)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】