説明

乱光遮蔽装置又は蛇腹装置若しくはレーザ加工機

【課題】蛇腹を備えたレーザ加工機において、蛇腹の内部を通過する乱光を光路の途中で遮蔽し、蛇腹が損傷することを防止することができるとともに、乱光の発生を把握し、不具合に対して迅速に対処することができること。
【解決手段】電源又はランプ31若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子1a,1bを有するレーザ加工機1から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹15,16間に配置される乱光遮蔽装置12であって、ほぼ中央にはレーザ光の光路用開口23aが形成され該光路用開口23aを通過しない乱光を遮蔽する乱光乱光遮蔽板23と、この乱光乱光遮蔽板23の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに、端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子25,26に接続されてなるリード線24とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ加工機を構成する蛇腹に配置される乱光遮蔽装置、または、この乱光遮蔽装置が配置された蛇腹装置、若しくは上記乱光遮蔽装置又は蛇腹装置が固定されたレーザ加工機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蛇腹は、例えば写真機やアコーディオン等に使用されていたが、近年では、レーザ加工機にも使用されるに至っている。これは、レーザ加工機本体に設けられた発振器と加工ヘッドとの間に蛇腹を取り付けることにより、レーザ加工機本体に取り付けられた反射ミラーや加工ヘッドに固定された集光レンズに塵埃が付着しこれによりレーザ光が確実に集光されない事態や、作業者がレーザ光に触れる等の危険性を有効に防止するためである。しかしながら、このようにレーザ加工機に蛇腹を取り付けた場合、上記発振器から放射されたレーザ光が乱反射し、或いはワークに照射されたレーザ光が反射して再び集光レンズを通過する等して蛇腹に照射され、蛇腹に穴が開き、場合によっては蛇腹が燃焼する場合がある。特に、ワークの素材がステンレススチールやアルミニウム等のように、反射率が高い場合には、これらの素材から反射した反射光(以下乱光という。)により蛇腹が損傷することが多い。
【0003】
そこで、こうした乱光等による蛇腹の損傷を防止するために、内側に多数の金属板を貼付した蛇腹が提案され実施されているが、こうした蛇腹以外に、本願出願人は、電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる一方及び他方の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設され、蛇腹本体の一端側から他端側に亘ってリード線を配設した蛇腹を提案した(特許文献1参照)。この蛇腹によれば、乱光の照射によりリード線が断線(短絡)され、通電が解除されることによりレーザ加工機が停止し、またはランプが点灯又は消灯し若しくはブザー等が駆動し、その状態を迅速且つ確実に把握することができる。
【特許文献1】特許第3353059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の蛇腹では、特定の箇所にレーザ光が照射され上記リード線が断線した場合には、損傷を受けた蛇腹全体を取り除くとともに新たな蛇腹を組み付ける必要が生じ、コスト高となるばかりではなく、復旧時間に長時間を要することとなる。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来の蛇腹が有する課題を解決するために提案されたものであって、蛇腹の内部を通過する乱光を光路の途中で遮蔽し、蛇腹が損傷することを有効に防止することができるとともに、レーザ加工機の駆動中における乱光の発生を短時間内に把握することができ、レーザ加工機の不具合に対して迅速に対処することができる乱光遮蔽装置、または、この乱光遮蔽装置が配置された蛇腹装置、若しくは上記乱光遮蔽装置又は蛇腹装置が固定されたレーザ加工機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため、本発明(請求項1記載の発明)は、乱光遮蔽装置に係るものであり、電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹間に配置される乱光遮蔽装置であって、ほぼ中央にはレーザ光の光路用開口が形成され該光路用開口を通過しない乱光を遮蔽する乱光遮蔽板と、この乱光遮蔽板の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに、端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子に接続されてなるリード線と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0007】
なお、この第1の発明に係る乱光遮蔽装置は、電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機に配置されるものであり、さらに、該レーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹間に配置されるものである。すなわち、上記電源又はランプ若しくはブザー等と接続された第1及び第2の接続端子を備え、通電状態においては、レーザ加工機が駆動し、又はランプが消灯又は点灯し、短絡した場合には、それまで駆動していたレーザ加工機が停止し、またはランプが点灯又は消灯し、若しくは、ブザーが駆動し警報音が発せられる等の機能を有するレーザ加工機であって、この発明に係る乱光遮蔽装置は、該レーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹間に配置されるものである。なお、上記電源には、レーザ加工機本体の電源ばかりではなく、例えば、発振器の駆動電源も含むものであり、この乱光遮蔽装置を構成するリード線が断線した場合には、上記発振器の駆動が停止される場合も含まれる。
【0008】
そして、この第1の発明を構成する乱光遮蔽板は、蛇腹と蛇腹との間に配置されるものであり、その素材は特に限定されるものではない。例えば、熱溶融樹脂等のように、乱光(レーザ光の反射光等)が照射されることにより溶融する素材を使用することもでき、或いは、熱可塑性樹脂や金属若しくはセラミック等の無機材料等の耐熱性を有する素材を使用することも可能である。但し、このように耐熱性を有する素材を使用した場合においては、以下に説明するリード線は、乱光が照射される側に配線されている必要がある。例えば、乱光が、レーザ光の放射方向と同一の方向から照射される場合には、該レーザ光の発光側にリード線が配線されている必要があり、逆に、該レーザ光により加工するワーク側から乱光が照射される場合には、レーザ光の照射方向とは反対側にリード線が配線されている必要があり、さらに、両方向から乱光が照射される可能性がある場合には、上記乱光遮蔽板の両面にリード線が配線されている必要がある。
【0009】
また、上記乱光遮蔽板のほぼ中央には、レーザ光の光路用開口が形成されている必要がある。なお、この光路用開口の大きさは、通過するレーザ光の光径、遮蔽すべき乱光の範囲、蛇腹の伸縮動作の精度(ブレの範囲)、蛇腹を構成する多数の谷部の位置(特に、収縮した時点における谷部の位置)等に応じて適宜設定されるものであり、本発明においては特に限定されるものではない。
【0010】
また、上記リード線は、通電性を有するものであることは言うまでも無く、少なくとも乱光の照射により断線(溶断)する太さ及び/又は素材であることを要する。また、このリード線は、少なくとも乱光が照射される部位に可能な限り高い占有率で配線されていることが好ましく、その配線の態様は、格子状,蜘蛛の巣状或いは渦巻状であっても良い。また、このリード線は、レーザ加工機に設けられた第1の接続端子に接続される第3の接続端子及び第2の接続端子に接続される第4の接続端子がそれぞれ形成されている必要がある。但し、これら第1の接続端子と第3の接続端子、第2の接続端子と第4の接続端子との接続状態は、必ずしも直接的ではなく、間に1又は複数のリード線を介して間接的に(電気的に)接続されるものであっても良い。なお、こうしたリード線は、上述したように、乱光遮蔽板の素材や乱光が照射される方向に応じて、該乱光遮蔽板の一面又は両面に配線されている必要があるが、さらに、このリード線は、乱光遮蔽板の内部に配線されているものであっても良い。例えば、乱光遮蔽板が板状又はシート状に成形された2枚の熱溶融性樹脂により形成され、上記リード線がこれら2枚の熱溶融性樹脂の間に配線されているものであっても良い。
【0011】
そして、この第1の発明では、上記一方又は他方の蛇腹内に乱光が入光し、この乱光が上記乱光遮蔽板の一面に照射され上記リード線が断線すると、それまでの通電状態から短絡し、例えば、それまで駆動していたレーザ加工機又は発振器の駆動が停止し、或いは、ランプが点灯又は消灯し、若しくは、ブザーが駆動し警報音が発せられる。
【0012】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)は、電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される一方及び他方の蛇腹間に配置される乱光遮蔽装置であって、ほぼ中央には第1の光路用開口が形成され該第1の光路用開口を通過しない乱光を遮蔽する乱光遮蔽板と、この乱光遮蔽板の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに、端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子に接続されてなるリード線と、を有してなる乱光遮蔽装置本体と、上記一方の蛇腹と他方の蛇腹との間に配置され、該一方の蛇腹に固定される一方の側板面と上記他方の蛇腹に固定される他方の側板面とを有し、上記乱光遮蔽装置本体が左側又は右側若しくは上側又は下側から装着される装着部が形成されてなるとともにほぼ中央には上記第1の光路用開口よりも広い面積となされた第2の光路用開口が形成されてなる装着体と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0013】
この第2の発明は、前記第1の発明と比較した場合、乱光遮蔽装置本体が装着体を介して一方及び他方の蛇腹に配置されてなることを特徴とするものであり、この装着体は、上記一方の蛇腹と他方の蛇腹との間に配置され、該一方の蛇腹に固定される一方の側板面と上記他方の蛇腹に固定される他方の側板面とを有し、上記乱光遮蔽装置本体が左側又は右側若しくは上側又は下側から装着される装着部が形成されてなるとともにほぼ中央には上記第1の光路用開口よりも広い面積となされた第2の光路用開口が形成されてなるものである。そして、この装着体は、乱光遮蔽装置本体が装着される装着部を有してなるものであれば、その形状や大きさ或いは肉厚等は特に限定されるものではないが、レーザ加工機を構成する加工ヘッドの駆動により伸縮する一方の蛇腹と他方の蛇腹を含めた蛇腹全体の縮小長さ(ミニマム長さ)に悪影響を与えることを考慮すると、可能な限り薄い肉厚であることが望ましい。また、この装着体に形成された装着部は、少なくとも乱光遮蔽装置本体を左側又は右側若しくは上側又は下側から装着できる構造であれば特に限定されない。
【0014】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)は、蛇腹装置に係るものであり、電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される蛇腹装置であって、一方の蛇腹及び他方の蛇腹と、ほぼ中央には第1の光路用開口が形成され該第1の光路用開口を通過しない乱光を遮蔽する乱光遮蔽板と、この乱光遮蔽板の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子に接続されてなるリード線と、を有してなる乱光遮蔽装置本体と、上記一方の蛇腹と他方の蛇腹との間に配置され、該一方の蛇腹に固定される一方の側板面と上記他方の蛇腹に固定される他方の側板面とを有し、上記乱光遮蔽装置本体が左側又は右側若しくは上側又は下側から装着される装着部が形成されてなるとともにほぼ中央には上記第1の光路用開口よりも広い面積となされた第2の光路用開口が形成されてなる装着体と、を備えてなることを特徴とするものである。
【0015】
また、第4の発明(請求項4記載の発明)は、上記第3の発明において、前記一方及び他方の蛇腹には、該蛇腹の伸縮方向に沿ってそれぞれ蛇腹側リード線が配線され、これらの蛇腹側リード線には、前記第1又は第2の接続端子に直接的又は間接的に接続される第5の接続端子と、前記第3又は第4の接続端子に接続されてなる第6の接続端子とがそれぞれ形成されてなることを特徴とすることを特徴とするものである。
【0016】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)は、レーザ加工機に係るものであり、前記第1又は第2の発明の何れかに係る乱光遮蔽装置、若しくは前記第3又は第4の発明に係る何れかの蛇腹装置が固定されてなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
上記第1の発明(請求項1記載の発明)では、先ず、一方又は他方の蛇腹内に乱光が入光すると、乱光遮蔽板に遮蔽され、一方又は他方の蛇腹に照射されない。したがって、乱光により蛇腹が損傷する危険性を有効に回避することができる。また、このように、乱光が乱光遮蔽板の一面に照射され上記リード線が断線すると、それまでの通電状態から短絡し、例えば、それまで駆動していたレーザ加工機又は発振器の駆動が停止し、或いは、ランプが点灯又は消灯し、若しくは、ブザーが駆動し警報音が発せられることから、作業者はこうした異常事態を即座に発見することが可能となり、しかも、損傷を受けた蛇腹を交換するのではなく、乱光遮蔽装置を交換することで足りるので、これまで要していた蛇腹の交換費用に比べて安価なものとすることができる。
【0018】
また、第2の発明(請求項2記載の発明)及び第4の発明(請求項3記載の発明)では、装着体を介して乱光遮蔽装置本体が装着されることから、本発明によれば、より乱光遮蔽装置本体の装着作業及び取り外し作業を迅速に行うことができる。
【0019】
また、第3の発明(請求項3記載の発明)では、一方の蛇腹又は他方の蛇腹には、該蛇腹の伸縮方向に沿って蛇腹側リード線が配線され、この蛇腹側リード線には、前記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に接続されるとともに、前記第3及び第4の接続端子に接続されてなる第5及び第6の接続端子が形成されてなることから、配線作業が簡単になるとともに、蛇腹に配線された蛇腹側リード線が乱光の照射により断線した場合であっても、レーザ加工機の異常事態を早急に発見することができる。
【0020】
また、第5の発明(請求項5記載の発明)による場合であっても、蛇腹の内部を通過する乱光を光路の途中で遮蔽し、蛇腹が損傷することを有効に防止するとともに、駆動中における乱光の発生を短時間内に把握することができ、不具合に対して迅速に対処することができるレーザ加工機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための最良の形態に係るレーザ加工機1を、第1及び第2の蛇腹装置10,11並びに乱光遮蔽装置12と共に図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
このレーザ加工機1は、図1に模式的に示すように、レーザ光を発振する発振部2と、この発振部2から発振されたレーザ光を反射させる反射板3が内蔵された反射部4と、この反射部4により反射したレーザ光を集光する集光レンズ5が内蔵され先端から集光されたレーザ光を図示しないワークに放射する加工ヘッド6とから概略構成されている。そして、上記発振部2と反射部4との間には、第1の蛇腹装置10が配置され、また、上記反射部4と加工ヘッド6との間には、第2の蛇腹装置11が配置されている。
【0023】
そして、上記発振部2には、後述する第1及び第2の接続端子が設けられている。また、上記第1の蛇腹装置10は、一方の蛇腹15と他方の蛇腹16と、これら一方の蛇腹15と他方の蛇腹16との間に配置された乱光遮蔽装置12とから構成されている。上記一方の蛇腹15及び他方の蛇腹16は、それぞれ図示しない内側シート体と外側シート体とを含むシートを折曲することにより多数の山部15a,16aと谷部15b,16bとが交互に形成されてなるものであり、該一方の蛇腹15の一端(図1中左端)は、上記発振部2に図示しない固定板を介して固定され、上記他方の蛇腹16の他端(図1中右端)は、上記反射部4に図示しない固定板を介して固定されている。また、上記一方の蛇腹15には、第1の蛇腹側リード線17と第2の蛇腹側リード線18とが互いに平行に配線されている。なお、これら第1及び第2の蛇腹リード線17,18は、図1中実線とされているが、該一方の蛇腹15の内側面に配線されている。なお、上記第1の蛇腹側リード線17の一端は、後述するように、上記発振部2に設けられた第1の接続端子に接続されており、また、上記第2の蛇腹側リード線18の一端は、上記発振部2に設けられた第2の接続端子に接続されている。また、上記他方の蛇腹16には、第3の蛇腹側リード線19と第4の蛇腹側リード線20とが平行に配線されている。なお、この実施の形態においては、上記第3の蛇腹側リード線19と第4の蛇腹リード線20は、上記反射部4側において連続している。また、第3及び第4の蛇腹リード線19,20は、図1中実線とされているが、他方の蛇腹16の内側面に配線されている。
【0024】
また、上記乱光遮蔽装置12は、図2に示すように、乱光遮蔽装置本体21と、装着体22とから構成されている。この乱光遮蔽装置本体21は、本発明(請求項1)に係る乱光遮蔽装置であり、上記他方の蛇腹16内を通過した乱光が照射され、上記一方の蛇腹15内への照射を遮蔽する乱光遮蔽板23が構成要素とされている。この乱光遮蔽板23は、熱可塑性樹脂等の耐熱性素材により略方形状に一体成形されてなるものであり、図3に示すように、中央には、第1の光路用開口23aが形成されている。なお、この乱光遮蔽板23の端部には端子用突片23bが形成され、また、この端子用突片23bの近傍には透孔23cが穿設されている。そして、この乱光遮蔽板23の他面(上記他方の蛇腹16側の面)には、渦巻状にリード線24が配線されている。このリード線24は、乱光が照射されることにより溶融し断線する素材からなるものである。また、上記端子用突片23bには、第3の接続端子25と、第4の接続端子26とが設けられている。上記第3の接続端子25は、上記リード線24の一端に接続されており、上記第4の接続端子26は、該リード線24の他端に接続されている。そして、上記第3の接続端子25と第4の接続端子26との近傍であって上記乱光遮蔽板23の一面(上記一方の蛇腹15側の面)には、上記一方の蛇腹15に配線された第1の蛇腹側リード線17の他端(図4参照)に接続される図示しない一方の中間端子が形成され、該乱光遮蔽板23の他面(上記他方の蛇腹16側の面)には、上記他方の蛇腹16に配線された第3の蛇腹側リード線19が接続される他方の中間端子27が配置されている。なお、上記一方の中間端子と他方の中間端子27とは電気的に接続されていない。そして、上記乱光遮蔽装置本体21の一面においては、上記図示しない一方の中間端子と第3の接続端子25とは、導電性金属により成形され図3中一点鎖線で示す第1の接続板28を介して電気的に接続され、該乱光遮蔽装置本体21の他面においては、上記他方の中間端子27と第4の接続端子26とは、導電性金属により成形された第2の接続板29を介して電気的に接続されている。したがって、上記一方の蛇腹15に配線された第1の蛇腹側リード線17は、上記第1の接続板28を介して上記リード線24の一端に接続され、該リード線24の他端は、上記第2の接続板29を介して、上記他方の蛇腹16に配線された第3の蛇腹側リード線19に接続されている。また、上記乱光遮蔽板23に形成された透孔23cは、上記一方の蛇腹15に配線された第2の蛇腹側リード線18(図4参照)と、他方の蛇腹16に配線された第4の蛇腹側リード線20とを電気的に接続する接続ピン29(図6(A)参照)が挿通される部位である。また、上記乱光遮蔽板23の上端には、上部薄肉部23dが形成され、下端には、上記上部薄肉部23dと平行となされた下部薄肉部23eが形成されている。
【0025】
また、上記装着体22は、一面が上記一方の蛇腹15の他端が固定される部位(本発明を構成する一方の側板面)となされ、他面は上記他方の蛇腹16の一端が固定される部位(本発明を構成する他方の側板面)とされてなるものであるとともに、上述した乱光遮蔽装置本体21が装着されるものである。そして、この装着体22は、上記一方及び他方の蛇腹15,16の伸縮方向とは直交する方向から上記乱光遮蔽装置本体21を装着し取り外す方形状の開口22aが形成されている。この開口22aは、本発明を構成する第2の光路用開口であり、上記一方及び他方の蛇腹15,16の内側に形成されレーザ光の光路とされる空洞と略同じ面積の空洞とされているとともに、図5(A)に示すように、上部端面22bと、この上部端面22bと平行に形成された下部端面22cと、乱光遮蔽装置本体21の端部が当接する垂直端面22dとにより三方から囲まれてなるものであり、該垂直端面22dの形成位置とは反対側は開放されている。そして、図5(B)に示すように、上記上部端面22bには、上記乱光遮蔽装置本体21を構成する乱光遮蔽板23の上端に形成された上部薄肉部23dが挿入されガイドされる上部スライドガイド溝22eが形成され、上記下部端面22cには、上記乱光遮蔽板23の下端に形成された下部薄肉部23eが挿入されガイドされる下部スライドガイド溝22fが形成されている。なお、この装着体22の上部には、上記一方及び他方の蛇腹15,16の上方であって該一方及び他方の蛇腹15,16の伸縮動作をガイドするガイドシャフトS(図1参照)が挿通される2つの挿通穴22g,22hが形成されている。
【0026】
そして、上述したレーザ加工機1と、一方の蛇腹15に配線された第1及び第2の蛇腹側リード線17,18と、乱光遮蔽装置本体21を構成するリード線24との電気的接続関係の一例を説明すると、図6(A)に示すように、レーザ加工機1には、第1及び第2の接続端子1a,1bが設けられており、この第1の接続端子1aから第2の接続端子1bとの間には、スイッチ30及びランプとしてのLED31と図示しない電源とが接続されている。そして、上記第1の接続端子1aは、上記第1の蛇腹側リード線17の一端(第5の接続端子17a)と接続され、さらにこの第1の蛇腹側リード線17の他端(第6の接続端子17bとリード線24の一端に接続された第3の接続端子25とは、前述した第1の接続板28を介して互いに接続されている。また、このリード線24の他端と他方の蛇腹16に配線された第3の蛇腹側リード線19の一端19aとは、第4の接続端子26と第2の接続板29を介して互いに接続されている。また、この第3の蛇腹側リード線19の他端19bと、上記一方の蛇腹15に配線された第2の蛇腹側リード線18の他端18aとは、前記接続ピン29を介して互いに接続され、該第2の蛇腹側リード線18の一端18bは上記第2の接続端子1bに接続されている。すなわち、図6(A)に示す例では、スイッチ30のオン操作によりランプとしてのLED31が点灯するように構成されたものであって、上記乱光遮蔽装置本体21を構成するリード線24が乱光の照射により断線した場合には、該LED31が消灯されるように構成されたものである。したがって、作業者はこのLED31の消灯により、乱光遮蔽装置本体21に乱光が照射されたことを確認することができる。
【0027】
また、図6(B)に示す例では、レーザ加工機1に、上記LED31と二つのトランジスタ32,33を設け、スイッチ30のオン操作を行うとともに、上記リード線24が断線した場合には、それまで消灯していた上記LED31が点灯するように構成したものであり、作業者は該LED31の点灯によりリード線24が断線したことを確認し得るようにしたものである。
【0028】
このように、上述した乱光遮蔽装置12を有する蛇腹装置10並びに、該蛇腹装置10を備えたレーザ加工機1によれば、例えば、反射率の高い素材であるステンレススチールやアルミニウム等の金属からなるワークをレーザ光により加工する場合において、該ワークから反射した乱光が、第2の蛇腹装置11を通過し反射板3を介して他方の蛇腹16から一方の蛇腹15内に至る途中に、上記乱光遮蔽装置本体21を構成する乱光遮蔽板23に照射されることから、一方の蛇腹15が損傷することを有効に防止することができる。また、このように、乱光が乱光遮蔽板23に照射されリード線24が断線した場合には、上述ように、それまで点灯していたLED31が消灯し、或いはそれまで消灯していたLED31が点灯することから、レーザ加工機1に発生した不具合を迅速に確認することができ、乱光の発生を防止する措置を迅速い採ることができる。しかも、こうした乱光遮蔽装置12を固定したことにより、上記一方の蛇腹15の損傷を防ぐことができることから、損傷した蛇腹15全体を交換する必要性はない。
【0029】
特に、上述した実施の形態に係るレーザ加工機1では、乱光遮蔽装置本体21は装着体22に装着された状態で一方の蛇腹15と他方の蛇腹16との間に配置されており、該乱光遮蔽装置本体21が直接一方の蛇腹15と他方の蛇腹16に固定されているものではないことから、一旦装着された乱光遮蔽装置本体21をリード線24の断線を原因として交換する場合には、乱光遮蔽装置本体21のみを交換することで足り、さらに迅速且つ低コストで交換することが可能となる。さらに、この乱光遮蔽装置本体21は、横方向から該装着体22にスライドさせることで装着することができ、該装着体22から取り出す場合にも、前述した各接続端子(符号は省略する。)との接続状態を解除させた後にスライドさせることで取り外すことができることから、より簡単且つ一層迅速に交換することができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態では、装着体22を介して、乱光遮蔽装置本体21が一方の蛇腹15と他方の蛇腹16との間に配置されているが、本発明は、必ずしも該装着体22を介して配置するする必要は無く、該乱光遮蔽装置(本体)21を直接一方の蛇腹15と他方の蛇腹16との間に配置したものであって良い。また、乱光遮蔽装置本体21を上述したように装着体22に装着する場合であっても、該乱光遮蔽装置本体21を横方向から装着するのではなく、縦方向(上方)から装着するものであっても、或いは下方から装着するものであっても良い。また、上記実施の形態では、第2の蛇腹装置11には、乱光遮蔽装置12が配置されていないが、この第2の蛇腹装置11を、図示しない第3の蛇腹と第4の蛇腹からなる二つの蛇腹と、この第3の蛇腹と第4の蛇腹との間に配置された乱光遮蔽装置12とから構成したものであっても良い。
【0031】
さらに、上記実施の形態では、リード線24が断線することにより、ランプとしてのLED31が消灯し又は点灯する例を揚げて説明したが、本発明は、必ずしもランプに接続されている必要はなく、レーザ加工機1の電源又は発振器の電源或いはブザー等に接続され、リード線24が断線した場合には、該レーザ加工機1又は発信器の駆動が停止され、または、ブサーが作動するように構成されたものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】レーザ加工機を模式的に示す平面図である。
【図2】一方の蛇腹と装着体と乱光遮蔽装置本体とを分解して示す分解斜視図である。
【図3】乱光遮蔽装置本体を示す平面図である。
【図4】一方の蛇腹の端面を示す端面図である。
【図5】装着体を示すものであり、(A)はその平面図、(B)はその側面図である。
【図6】電気的接続関係を模式的に示す回路図であり、(A)はリード線の断線によりLEDが消灯するよう構成された回路図であり、(B)はリード線の断線によりLEDが点灯するよう構成された回路図である。
【符号の説明】
【0033】
1 レーザ加工機
1a 第1の接続端子
1b 第2の接続端子
10 蛇腹装置
12 乱光遮蔽装置
15 一方の蛇腹
16 他方の蛇腹
17 第1の蛇腹側リード線
17a 第5の接続端子
17b 第6の接続端子
18 第2の蛇腹側リード線
19 第3の蛇腹側リード線
20 第4の蛇腹側リード線
21 乱光遮蔽装置本体
22 装着体
23 乱光遮蔽板
23a 光路用開口
24 リード線
25 第3の接続端子
26 第4の接続端子
31 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される複数の蛇腹間に配置される乱光遮蔽装置であって、
ほぼ中央にはレーザ光の光路用開口が形成され該光路用開口を通過しない乱光を遮蔽する乱光遮蔽板と、
この乱光遮蔽板の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに、端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子に接続されてなるリード線と、
を備えてなることを特徴とする乱光遮蔽装置。
【請求項2】
電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される一方及び他方の蛇腹間に配置される乱光遮蔽装置であって、
ほぼ中央には第1の光路用開口が形成され該第1の光路用開口を通過しない乱光を遮蔽する乱光遮蔽板と、この乱光遮蔽板の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに、端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子に接続されてなるリード線と、を有してなる乱光遮蔽装置本体と、
上記一方の蛇腹と他方の蛇腹との間に配置され、該一方の蛇腹に固定される一方の側板面と上記他方の蛇腹に固定される他方の側板面とを有し、上記乱光遮蔽装置本体が左側又は右側若しくは上側又は下側から装着される装着部が形成されてなるとともにほぼ中央には上記第1の光路用開口よりも広い面積となされた第2の光路用開口が形成されてなる装着体と、
を備えてなることを特徴とする乱光遮蔽装置。
【請求項3】
電源又はランプ若しくはブザー等と接続されてなる第1及び第2の接続端子を有するレーザ加工機から放射されるレーザ光の光路に沿って配設される蛇腹装置であって、
一方の蛇腹及び他方の蛇腹と、
ほぼ中央には第1の光路用開口が形成され該第1の光路用開口を通過しない乱光を遮蔽する乱光遮蔽板と、この乱光遮蔽板の一面又は両面若しくは内部に配線され上記乱光の照射により断線するとともに端部には上記第1及び第2の接続端子に直接的又は間接的に電気的な接続がなされる第3及び第4の接続端子に接続されてなるリード線と、を有してなる乱光遮蔽装置本体と、
上記一方の蛇腹と他方の蛇腹との間に配置され、該一方の蛇腹に固定される一方の側板面と上記他方の蛇腹に固定される他方の側板面とを有し、上記乱光遮蔽装置本体が左側又は右側若しくは上側又は下側から装着される装着部が形成されてなるとともにほぼ中央には上記第1の光路用開口よりも広い面積となされた第2の光路用開口が形成されてなる装着体と、
を備えてなることを特徴とする蛇腹装置。
【請求項4】
前記一方及び他方の蛇腹には、該蛇腹の伸縮方向に沿ってそれぞれ蛇腹側リード線が配線され、
これらの蛇腹側リード線には、前記第1又は第2の接続端子に直接的又は間接的に接続される第5の接続端子と、前記第3又は第4の接続端子に接続されてなる第6の接続端子とがそれぞれ形成されてなることを特徴とする請求項3記載の蛇腹装置。
【請求項5】
前記請求項1又は2記載の何れかの乱光遮蔽装置、若しくは前記請求項3又は4記載の何れかの蛇腹装置が固定されてなることを特徴とするレーザ加工機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−61913(P2006−61913A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243669(P2004−243669)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(593208751)株式会社ナベル (20)
【Fターム(参考)】