説明

乾燥微粒子または凍結乾燥した治療薬の経皮デリバリーシステム

本発明は、乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物の経皮デリバリーのためのシステムおよびそれを使用する方法を提供する。本システムは薬剤の経皮膚デリバリーを容易にするための、親水性マイクロチャンネルを作る装置と治療活性薬剤を含むパッチを含む。本発明は、親水性薬剤、特に高分子量蛋白質の経皮デリバリーに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、経皮デリバリー装置と共に使用するための薬物製剤に関し、具体的には、患者の皮膚に経路を形成することによって作動する装置と共に、乾燥または凍結乾燥した薬剤の効果的な経皮デリバリーのための経皮システムにおける成分として有用なマトリックスを含む薬物に関する。
【背景技術】
【0002】
市販の経口または注射剤型の薬物の代わりの乾燥または凍結乾燥した薬物には、明らかに多くの理論上の利点がある。患者の皮膚を通す薬物のデリバリーによって、消化管液または酵素による薬物の不活性化、消化管からの吸収の変動、および肝臓の初回通過による薬物の不活性化の問題を回避できると同時に、注射の不便さもさけることができる。しかし、これまでに提案された、乾燥した微粒子または凍結乾燥した薬剤の経皮デリバリーのためのデバイスまたは方法によって、活性薬剤の信頼できる取り込みおよび血清濃度の持続は成功していない。
【0003】
一般的に云って、経皮薬物デリバリーの目的は、従来の技術で知られている2つの相補的な方法の内の1つを用いて取り組まれている。1つのアプローチでは異なる組成物のパッチ、フィルムまたはマトリックスの形で皮膚に適用できる薬物配合を提供し、別のアプローチでは薬物の体循環への移入を容易にするために皮膚の穿刺法、または皮膚の非透過層を崩壊する方法を利用する。
【0004】
経皮パッチ
パッチまたはマトリックスは殆ど例外なく、浸透増強剤またはある型の接着層を含み、刺激または浮腫を生じ、患者および皮膚型の違いによって、薬物の取り込みの速度および濃度の不均一が生じることが知られている。
【0005】
経皮パッチのデザインには2つの型が一般的である。即ち、薬物に対して透過性である基底表面を有する貯蔵場所に薬物が含まれている貯蔵型と、薬物が皮膚に貼り付けたポリマー層に分散されているマトリックス型の2型である。両型は通常、裏当て層と使用前に取り除ける内部剥離ライナー 層を含む。
【0006】
EP0391172は、水溶性/膨潤性ポリマー中に薬物の固体粒子の島を含む非水溶性物質からできたマトリックスと、皮膚からマトリックスへ通過する水蒸気の量を制御する下層を有する経皮パッチを開示している。マトリックスは皮膚からの水蒸気で活性化されると云われている。
【0007】
乾燥粉末または凍結乾燥した薬物の経皮薬物デリバリーに適合した特別な型のパッチの形の組成物またはデバイスが、例えば「経皮粒子のデリバリーに使用する密な粒子組成物の調製方法」を開示しているPowderJect Reseach LtdのEPB912239に開示されている。
【0008】
粉末の経皮デリバリー法はまた、Avrahamiの米国特許第5,983,135号にも開示されている。
【0009】
Mirandaらの米国特許第4,915,950号は、吸着剤源層を製剤学的に許容でき、薬物に対して透過性のある物質からできている接触接着剤層にラミネートし、吸着剤層の上に液状の薬物をプリントし、アンカー接着剤層を当該源層にラミネートし、アンカー接着剤層に裏当て層を適用することを含む経皮デリバリーデバイスを作る方法を開示している。
【0010】
Novo NordiskのWO 98/08492には成長ホルモン放出ペプチド(GHRP)の経皮デリバリー法が開示されている。成長ホルモン放出ペプチドの経皮デリバリー法はまた、Singh et al.(J. Controlled Release, 33, 293−298, 1995);Lau, et al.(Pharmaceutical Research 11、1742−1746、1994);Kumar et al.(J. Controlled Release 18, 213−220, 1992);Ellens et al.(Int. J. Pharm. 159, 1−11, 1997)の科学論文のイオン導入と関連して開示されている。これらの論文において、電流の開始によって皮膚を通すGHRPの流入が誘導され、電流の中止によってペプチドの流入が停止する。
【0011】
経皮デリバリー装置
経皮デリバリーが有利であると考えられる、乾燥または凍結乾燥した薬物のデリバリーに有用であるとして、電子輸送またはイオン導入薬物デリバリーデバイスが開示されている。例えば、Alzaの米国特許6,169,920号および6,317,629号はイオン導入薬物デリバリー装置を開示し、Alzaの米国特許5,983,130号はイオン化する薬物に適した電子輸送薬剤デリバリー法と装置を開示している。
【0012】
Jangらの米国特許第5,681,580号は、ゲル状のインスリンを保持するための容器を有する、インスリンのイオン導入薬物治療のためのパッチ様デバイス、および電気でインスリンを供給するための電力供給を開示している。
【0013】
電気穿孔法もまた、電場を印加して、孔サイズを増加する方法として当技術分野でよく知られている。電気穿孔法は角質層の電気抵抗を一過性に低下し、既に存在する孔のサイズを増加するために電場を印加することによって、小さな分子の経皮流を増加する方法として開示されている(Chizmadzhev et al., Biophysics Journal, 1998, 74(2)、843−856)。
【0014】
Weaverらの米国特許第5,019,034号は、電気穿孔を作るための皮膚上に高電圧の短時間の電気パルスを適用する装置を開示している。
【0015】
EppsteinらのWO97/07734は角質層と接触している電気抵抗性要素を用いる、角質層の熱剥離を開示している。当該要素を通る高電流はその近くの組織、とりわけ、皮膚の最も外側の10−50ミクロン層である角質層全体を加熱する。
【0016】
参考文献として本明細書に添付するEppsteinらの米国特許第5,885,211号、6,022,316号、6,142,939号および6,173,202号は、分析物または活性薬剤の経皮輸送を増強するために、熱伝導要素を用いて、組織の結合水を沸点以上に加熱することによって、角質層にミクロな孔を形成する方法を記載している。更なる増強技術には、音エネルギー、圧力および化学増強剤の使用等が含まれる。例えばMitragotiらの米国特許第6,002,961号は、皮膚を通して血液に治療用量の蛋白質をデリバリーするために、皮膚上に超音波と蛋白質を同時に適用することを含む方法を開示している。
【0017】
Gerstelの米国特許第3,964,482号、Zuckの米国特許第6,050,988号およびTrautmanらの米国特許第6,083,196号は、薬剤の経皮デリバリーを容易にする他の装置と方法を記載している。
【0018】
参考文献として、そのすべてを本明細書に添付するAvrahamiの米国特許第6,148,232号は、患者の皮膚のそれぞれの点に電極を適用し、2つ以上の電極の間に電気エネルギーを適用して抵抗熱を発生し、ついでそれぞれの点の中間の領域で主として角質層の剥離を生じる装置を記載している。電極の配置および隣接する電極間の皮膚の電気抵抗のモニターを含む、剥離を角質層に限定するための各種の技術が記載されている。
【0019】
米国特許第6,148,232号に開示された型の経皮薬物デリバリーおよび分析物抽出のための装置および,WO02/092163およびWO02/085451に開示されているその発明に対する各種改良もまた、本明細書において以降「ViaDerm」と言う用語を用いて表す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
従って、乾燥した粒子または凍結乾燥した剤型の薬物の経皮デリバリーのための信頼でき、且つ安全な方法について、満たされていないニーズがある。この方法の利点は、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドを含む他の生物活性薬剤とともに、ペプチドおよびポリペプチドに特に印象的である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
(発明の要約)
本発明は、活性のある乾燥または凍結乾燥した薬剤の経皮デリバリーのための有効なシステムおよび方法に関する。本発明は皮膚を剥離し、活性のある乾燥または凍結乾燥した薬剤を事前処理した皮膚に経皮デリバリーするための装置と方法に関する。
【0022】
特に本発明は、適切な医用皮膚パッチを用いる、活性のある乾燥または凍結乾燥した薬剤を経皮デリバリーするための装置と方法に関する。
【0023】
本発明はまた、乾燥した親水性の活性薬剤を含む医用皮膚パッチに関する。特に本発明は活性のある乾燥薬剤を経皮デリバリーするためのプリントパッチおよびその調製法に関する。
【0024】
プリントパッチを用いる本発明のシステムによる薬物の適用によって、特に有効で、予期せぬ利点のある例示的結果がえられたが、本発明の組成物と方法は、当技術分野で知られている多数のパッチとの併用に適する。
【0025】
マイクロチャンネルを生じる装置によって前処理された皮膚の領域に置かれた、治療的に活性な薬剤を含む乾燥または凍結乾燥した医薬品粗製物を含むパッチの使用によって、予期せぬ治療効果のある活性薬剤の血清濃度が得られることを初めて開示する。得られた生物学的利用率は、皮下投与で得られる値の約30%から100%の範囲内である。
【0026】
これらの結果は、通常、経皮デリバリーでは生物学的利用率が低い(3−25%)ことから、全く予期せぬことであった。更に、拡散係数が無視できる非常に大きな分子に対してさえ、予期せぬ結果が得られた。
【0027】
加えて、治療活性薬剤を含む乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物を含むパッチ、特にプリントパッチは、通常では溶液または懸濁液中では不安定である活性薬剤に、安定性および長期の使用期限を与えることが開示されている。
【0028】
治療活性薬剤を含む乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物を含むパッチ、特にプリントパッチは、既知の、正確で制御された用量で活性薬剤を経皮デリバリーするための手段を提供することが開示されている。本発明に従って、パッチ上に治療活性のある薬剤を含む医薬品組成物をプリントすることによって、プリントパッチ上に活性薬剤の均一かつ均等な分布が得られ、それによって、粉末パッチからのデリバリーに比べて、活性薬剤の経皮デリバリーと生物学的利用率が大幅に改善される。粉末パッチと比べて、プリントパッチからの改善された経皮デリバリーは、パッチ上に適用した活性薬剤の量が低い(数百マイクログラムまで)場合に最も顕著である。
【0029】
本発明の原理を以下に、22kDaの分子量を有するヒト成長ホルモンおよび6kDaの分子量を有するヒトインスリンを用いて説明する。本発明のシステムを含む組成物および方法は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドおよび多様な型の成長因子およびホルモン(これらに限定されない)を含む他の生物活性分子の幅広い種類に適用できる。
【0030】
第一の態様によると、本発明のシステムは、その後皮膚の上に置かれる皮膚パッチからの薬剤の経皮デリバリーを増強する手段としてのマイクロチャンネルを作る装置を含む。明細書と請求項を通して使用されるように、用語「マイクロチャンネル」は、一般に皮膚の表面から角質層の全体または大部分に延在しており、それを通って分子が拡散できる親水性経路を意味する。
【0031】
通常、本発明のシステムは、少なくとも1つの治療活性薬剤を含む乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物を含む医用パッチを含む。このパッチは、その中にマイクロチャンネルが存在する、処理された領域の上に置かれる。
【0032】
1つの実施形態によると、医薬品組成物は親水性である。好適な実施形態において、医薬品組成物は少なくとも1つの親水性の治療活性薬剤を含む。親水性の治療活性薬剤は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、成長因子、ホルモンおよびその塩からなる群から選ばれる。最近の例示的な実施形態では、親水性の治療活性薬剤はヒト成長ホルモン(hGH)である。もう1つの例示的な実施形態では、親水性の治療活性薬剤はヒトインスリンである。
【0033】
パッチは更に、追加の親水性乾燥薬剤を含んでもよい。パッチはまた、任意に適切な成分を含んでもよく、その使用に先立って活性薬剤が安定で、且つ選択によって、微生物学的に、無菌または滅菌的に管理された貯蔵に適合するならば、それは任意の幾何学的形状であってもよい。本発明に従って、医薬品組成物は保存剤、抗酸化剤、緩衝剤および当技術分野で知られている他の添加物を含んでもよい。
【0034】
好適な実施形態では、当該医薬品組成物はヒト成長ホルモン(hGH)、マニトールおよび蔗糖またはトレハローズを含む。
【0035】
更なる実施形態では、当該パッチは更に少なくとも1つの裏当て層、接着層および微細孔ライナー層を含む
【0036】
もう1つの態様では、本発明は、乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物を含むプリントパッチを提供する。好適には、 当該医薬品組成物は親水性である。更なる実施形態では、当該医薬品組成物は少なくとも1つの治療活性薬剤を含む。好適には、 当該治療活性薬剤は親水性である。当該治療活性薬剤は、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、成長因子、ホルモンおよびその塩からなる群から選ばれる。
【0037】
本発明の乾燥したした医薬品組成物は更に、追加の親水性乾燥薬剤を含んでもよい。最近の好適な実施形態では、追加の親水性薬剤はマニトールである。医薬品組成物はまた、保存剤、抗酸化剤、緩衝剤、安定剤および当技術分野で知られている他の添加物を含んでもよい。最近の1つの例示的実施形態では、プリントパッチ内の当該医薬品組成物は、ヒト成長ホルモン(hGH)、マニトールおよび蔗糖またはトレハローズを含む。もう1つの最近の例示的実施形態では、プリントパッチ内の当該医薬品組成物はヒトインスリンを含む。
【0038】
さらにもう1つの実施形態では、プリントパッチは更に、少なくとも1つの裏当て層、接着層および微細孔ライナー層を含む。
【0039】
もう1つの態様では、本発明は
a.少なくとも1つの活性治療剤を含む医薬品溶液または懸濁液を調製することと、
b.前記溶液または懸濁液の少なくとも1つの測定した容量を適切なマトリックスの上に置くことと
c.(b)のマトリックスを(a)の活性治療剤の治療活性を維持する乾燥手段によって乾燥することとを含む、治療活性薬剤を含むプリントパッチの調製法を提供する。
【0040】
パッチの必須成分の単純性は、パッチが患者の皮膚にマイクロチャンネルを作る装置と共に使用するために特別にデザインされていることによる。
【0041】
追加の態様では、本発明は少なくとも1つの治療活性薬剤を含む乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物を本発明の装置およびパッチを用いて経皮投与するための方法を提供する。
【0042】
従って、本発明は、患者の皮膚の1つの領域に少なくとも1つのマイクロチャンネルを作ることと、少なくとも1つの活性治療剤を含む乾燥した医薬品組成物を含むパッチを、マイクロチャンネルがある皮膚の領域に貼り付けることとを含む、乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物の経皮投与法を提供する。
【0043】
好適な実施形態では、本発明の乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物に関する治療活性薬剤は親水性であり、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、および製剤学的に許容できるその塩からなる群から選ばれる。最近のより好適な例示的実施形態はヒト成長ホルモン(hGH)およびヒトインスリンである。
【0044】
好適な実施形態では、本発明は 患者の皮膚の1つの領域に少なくとも1つのマイクロチャンネルを作ることと、少なくとも1つの活性治療薬剤を含む乾燥した医薬品組成物を含むパッチをマイクロチャンネルがある皮膚の領域に貼り付けることと、予め決めた期間に亘って活性薬剤の治療有効血中濃度を達成することとを含む、少なくとも1つの治療活性薬剤を含む、乾燥した医薬品組成物の経皮投与法を提供する。最近のより好適な例示的な実施形態は、ヒト成長ホルモン(hGH)およびヒトインスリンである。好適には、予め定めた期間は少なくとも4時間から6時間である。
【0045】
ある好適な実施形態では、本発明は、米国特許第6,148,232号、米国特許第5,983,135号、米国特許第6,597,946号、米国特許第6,611,706号、WO01/85234,WO02/085451およびWO02/092163(これらの完全な内容を参考までに本明細書に添付する)の1つ以上に開示されている、ViaDermまたはMicroDermと云われる装置を含む無線周波数(RF)エネルギーを用いて角質層の剥離を誘導する、マイクロチャンネルを作る技術を包含する。本発明の幾つかの好適な実施形態は、上記の装置による皮膚の剥離によって得られた経皮デリバリーに関するが、当技術分野で知られている、患者の皮膚にチャンネルを作る、実質的にすべての方法を使用してもよいことを強調する。
【0046】
本発明の最近の1つの好適な実施形態では、本システムは患者の皮膚を通して薬物の経皮デリバリーを容易にする装置を含み、当該装置は、
a.少なくとも1つの電極、好適には複数の電極を含む、任意に取り外せる電極カートリッジと、
b.電極が皮膚の近くにある時に、電極の下の領域で、角質層の剥離を可能にする通常、電流または1つ以上のスパークを発生する電気エネルギーを電極に適用するために適合されたコントロールユニットを含むメインユニットとを含む。
【0047】
もう1つの実施形態では、当該装置のコントロールユニットは、電流およびスパークの発生をコントロールし、従って形成されるマイクロチャンネルの幅、深さおよび形をコントロールするために、電極にデリバリーする電気エネルギーの大きさ、周波数および/または持続をコントロールする回路を含む。好適には電気エネルギーは無線周波数である。
【0048】
最近の好適な実施形態では、当該装置の電極カートリッジはマイクロチャンネルが均一な形で分布している複数のマイクロチャンネルを作ることが可能な複数の電極を含む。
【0049】
その好適な実施形態についての以下の詳細な記載から、本発明をより完全に理解できよう。
【0050】
(発明の詳細な記載)
本発明はマイクロチャンネルが作られた、処理された皮膚を通して乾燥または凍結乾燥した治療薬、好適には吸湿性の製剤をデリバリーするための配合、方法および製剤技術を提供する。
【0051】
最近の経皮パッチは、角質(SC)を通して薬物分子をデリバリーするためにデザインされている。そのため、複数の特徴がある。
a.分子のデリバリーはパッチの下のすべての領域を通して起きる。
b.パッチと皮膚の間の界面は疎水性である傾向がある。これによって、薬物分子が、疎水性の1つのマトリックス(パッチ)から他方(SC)へのデリバリーが容易になる。
c.パッチは通常、増強剤を含む。これらの分子の目的は、SCの構造を変え、また分断して、薬物分子のSCマトリックスへの溶解性を高める。増強剤はまた、紅斑、浮腫またはそう痒等の望ましくない副作用の原因でもある。
【0052】
マイクロチャンネルまたは電気穿孔処理によって、SCから上皮に水性のマイクロチャンネルが作られ、従って薬物分子は実行可能な組織に到達するために、リポイドのSCを通過する必要はない。これは以下の点を意味する。
1.分子のデリバリーは主に、処理した皮膚面積の1%未満を占めるマイクロチャンネルを通して起きる。
2.マイクロチャンネルを通しての薬剤の経皮デリバリー速度は、SCの限られた透過性によって制限されない。
3.配合に増強剤を含める必要はなく、従って皮膚の安全性が改善できる。
【0053】
これらの考察に基づいて、本発明のシステムは角質の剥離によって作られた新しい皮膚の環境を通して、乾燥または凍結乾燥した親水性の高分子のデリバリーに非常に適している。乾燥または凍結乾燥した製剤を使用する主な利点は、液体製剤に比べて、医薬品活性成分の潜在的な安定性にある。この利点は特に、ペプチドと蛋白質の形の活性成分に関係する。従って多様な製剤によって、多様な薬物、特に、且つ有利に、乾燥または凍結乾燥した吸湿性の製剤の効率的なデリバリーを提供する可能性がある。その結果、本発明のシステムでは、経皮薬物デリバリーに透過増強剤を使用する必要がなく、従って、それに付随する問題、特に刺激に対する感受性がない。刺激は皮膚が、局所適用された薬剤、特に閉塞症下で維持される薬剤に、不快な灼熱、そう痒および刺痛感を伴った発疱または発赤によって反応するために起きる。経皮デリバリーシステムでは、刺激性の可能性のある薬剤を避けるか、またはその数を最小限にすることが望ましい。
【0054】
マイクロチャンネルを作る装置で前処理した皮膚の領域に置かれた、治療活性薬剤を含む、乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物を含むパッチの使用が、予期せぬ治療効果のある薬物血清濃度を提供することを始めて開示する。得られた生物学的利用率は、約30%から約100%の範囲であった。更に、これらの予期せぬ結果は、拡散係数の低い非常に大きな分子に対してさえ達成できた。
【0055】
これらの結果は、通常経皮デリバリーでは生物学的利用率が低い(3−25%)ことから、全く予期せぬことであった。例えば、エストラジオールパッチ(3M社のClimara(登録商標))またはテストステロンパッチ(TheraTech,IncのAndroderm(登録商標))で達成される生物学的利用率はそれぞれ約9%から20%であることが知られている。
【0056】
本明細書および請求項との関連で使われているように、用語「乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物」は、その残留水分が最終の組成物の重量の20%未満、好ましくは10未満、より好ましくは5%未満、最も好ましくは3%未満である医薬品組成物を意味する。
【0057】
本明細書および請求項との関連で使われているように、用語「マイクロチャンネル」は一般に、皮膚の表面から角質の全体または大部分に延在し、そこを通って分子が拡散できる、上皮または真皮に達する可能性のある親水性経路を意味する。本発明の幾つかの好適な実施形態は、好適には無線周波数(RF)における電流またはスパークの発生による角質の剥離に関して記載されているが、患者の皮膚にチャンネルを作る当技術分野で知られている殆どすべての方法を使用してもよい(米国特許第5,885,211号、6,022,316号、6,142,939号、6,173,202号および6,148,232号、WO02/085451およびWO02/092163参照)。用語「マイクロポア」は本明細書で「マイクロチャンネル」と同義語である。
【0058】
本明細書で使用しているように、用語「新しい皮膚環境」は、本発明のシステムを使用して、角質層の剥離で作られる皮膚領域および少なくとも1つのマイクロチャンネルの形成を意味する。
【0059】
本発明の原理との関連で使用するのに適した薬物は、インスリン、プロインスリン、卵胞刺激ホルモン、インスリン様成長因子−1およびインスリン様成長因子−2、血小板由来成長因子、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、神経成長因子、コロニー刺激因子、芽球分化成長因子、腫瘍壊死因子、カルシトニン、副甲状腺ホルモン、成長ホルモン、骨形成蛋白質、エリスロポエチン、造血成長因子および黄体形成ホルモン、カルシトニン、グルカゴン、VIIIC因子、IX因子、組織因子およびvon Willebrand因子のような凝固因子、プロテインCのような抗凝固因子、心房性ナトリウム利尿因子、肺界面活性剤、ウロキナーゼまたはヒト組織型プラスミノーゲン賦活剤(t−PA)を含む組織型プラスミノーゲン賦活剤、ボンベシン、トロンビン、エンケファリナーゼ、コラーゲン、コラーゲン領域、ミューラー阻害剤、リラクシンA鎖、リラクシンB鎖、プロリラクシン、Dナーゼ、インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子、ホルモンまたは成長因子の受容体、インテグリン、プロテインAまたはD,リウマチ因子、骨由来神経栄養因子(BDNF)のような神経栄養因子、ニューロトロフィン−3,4,5または6(NT−3,NT−4,NT−5またはNT−6)、CD−3,CD−4,CD−8およびCD−19のようなCD蛋白質、骨誘導因子、免疫毒素、インターフェロン−α、βおよびγのようなインターフェロン、例えばM−CSF,GM−CSFおよびG−CSFのようなコロニー刺激因子(CSFs)、例えばIL−1からIL−10のようなインターロイキン、スーパーオキサイドディスムターゼ、T細胞受容体、表面膜蛋白質、老化加速因子、例えばAIDSエンベロープ部分のようなウイルス抗原、輸送蛋白質、里帰り受容体、アドレッシン、制御蛋白質、抗体および上に挙げたすべてのポリペプチドの断片を含むがこれに限定されない、蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、他の生物活性のある分子およびその薬剤学的に許容できる塩の広範な種類を含む乾燥または凍結乾燥した高分子である。
【0060】
本明細書で使用しているように、「薬剤学的に許容できる塩」は、その中で親化合物が当該薬剤の酸または塩基の塩を作ることによって修飾される、開示された薬剤の誘導体を意味する。例えば、酸塩は、適切な酸との反応を含む、当技術分野で知られている従来の手段を用いて遊離塩基(その中で、通常当該薬物の中性の形は中性の−NH基を有する)から調製される。酸塩を調製するのに適した酸には、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、蓚酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸および類似酸のような有機酸、および例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸および類似酸が含まれる。反対に薬物に存在する酸の部分の塩基塩は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、トリメチルアミンまたは類似塩基のような薬剤学的に許容できる塩基を用いて調製される。
【0061】
乾燥した医薬組成物中の治療活性薬剤が親水性である実施形態、および乾燥した医薬組成物が更に不活性な(薬物を含まない)親水性の乾燥した薬剤を含む実施形態を含む、幾つかの一般的な実施形態は本発明の範囲内である。本技術分野において、乾燥したhGHとマニトールの組み合わせが、hGH粉末の溶解に有利である可能性があることが知られている。
【0062】
本明細書で同義語として用いられている「医薬品組成物」または「治療薬」または「薬物」は、その中で組成物が治療活性を保持しながら、乾燥または凍結乾燥されている活性薬剤の治療有効量を含む医薬品組成物を意味する。
【0063】
本発明の好適な実施形態において、乾燥した医薬組成物は、2つ以上の活性治療薬剤を含むことができる。
【0064】
本発明の原理に従った使用のための医薬品組成物は、安定性のような問題を考慮に入れて最適化される。本明細書において、「安定」と言う用語は、室温または室温以下で少なくとも3ヶ月の期間、少なくとも80%の活性成分が最初の化学形状を維持する程堅牢である組成物を意味する。
【0065】
本発明に従って、乾燥または凍結乾燥した医薬品組成物は少なくとも1つの安定剤を含んでも良い。「安定剤」は本明細書において、定義されているように、貯蔵中に、活性薬剤、好適には蛋白質、ポリペプチドまたはペプチドを安定化する。安定剤はまた、活性薬剤のデリバリーを援助してもよい。
本技術分野で知られている安定剤は,例えばグルコース、ガラクトース、ラフィノーズ、セロビオーズ、ゲンチオビオーズ、蔗糖およびトレハローズのような炭化水素、および例えばソルビトールヘキサアセテート,α−グルコースペンタアセテート、β−グルコースペンタアセテート、トレハローズオクタアセテート、トレハローズオクタプロパノエート、蔗糖オクタアセテート、蔗糖オクタプロパノエート、セロビオーズオクタアセテート、セロビオーズオクタプロパノエート、ラフィノーズウンデカアセテートおよびラフィノーズウンデカプロパノエートのような疎水的に誘導体化された炭化水素を含むが、これらに限定されない。組成物はまた、薬物の安定性を増加するためにアミノ酸を含んでも良い。医薬品組成物に添加してもよいアミノ酸にはヒスチジンおよびグルタミン酸が含まれるが、これらに限定されない。
【0066】
通常、水溶性ポリマーの共有結合で修飾された蛋白質が対応する非修飾の蛋白質よりも静脈注射後、実質的に長い血中半減期を示すことが知られている。そのような修飾は、水性溶液中の蛋白質の溶解度を増加し、凝集を取り除き,蛋白質の物理的および化学的安定性を増強し、蛋白質の免疫原性と抗原性を大幅に減らす可能性がある。従って、本発明による医薬品組成物は、ポリマー、好適にはポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルローズ、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンまたはポリプロリン、ヒドロキシプロピルメタアリールアミド、および類似物のような水溶性ポリマーを含んでよい。
【0067】
医薬品組成物はまた,多様な緩衝剤含量、pHおよびイオン強度の希釈剤、表面への吸着を防ぐためのアルブミンまたはゼラチンのような添加剤、合成洗剤(例えば,Tween 20, Tween 80, Pluronic F68, Pluronic 127),抗酸化剤(例えばアスコルビン酸、メタ重亜硫酸ナトリウム)及び保存剤(例えば、チメロサール、ベンジルアルコール、パラベンズ、m−クレゾール)を含んでよい。本発明による治療活性薬剤を含む医薬品組成物の配合は、その生物学的利用率を保持、又は改善したままで、活性薬物が改善された安定性を提供するように決められる。以下に、薬剤の安定性を検出する方法をHPLC分析によって例示する。しかし、活性薬物の薬剤の安定性の測定に、当技術分野で知られている他の方法を使用してもよい。
【0068】
血清中の所望の量および濃度を提供するのに必要な、医薬品組成物中の治療活性薬剤の量は、以下に記載する方法および当技術分野で知られている方法によって測定される。従って、乾燥した医薬品組成物、およびロット当たりの治療活性薬剤の濃度と量は、所望の効果を達成するために独立して変えられる。
【0069】
粉末パッチ
本発明はペプチドまたは蛋白質および他の水溶性の高い薬物のような、親水性高分子のデリバリーシステムとして、医薬品組成物を含むパッチの使用をはじめて開示する。前処理した新しい皮膚環境に、そのようなパッチを適用後、医薬品組成物はマイクロチャンネルから出る液体に溶解し、ついでマイクロチャンネルを通って体に吸収される。この方法は、高濃度においても皮膚を刺激しない薬物に特に適している。
【0070】
本発明のある実施形態に従って、角質の剥離に先立って、皮膚から出て来る液体の損失に関して、新しい皮膚環境においてマイクロチャンネルから出て来る液体の損失の相対的評価をモニターして、得ることが可能である。この型の測定は本明細書で「経上皮水分損失」または「TEWL」と命名され、次の実施例に記載する。
【0071】
従って、固体状態での薬物に基づくパッチには、幾つかの利点がある。
i. 溶媒および他の賦形剤がないために安定性が改良されている。
ii. 飽和溶液または懸濁液からのデリバリーのために、比較的デリバリー速度が速い。
iii.薬物含有接着型のパッチに適さない敏感な活性物質に対してさえ、貯蔵型パッチの代わりに薄くて便利なパッチの製造が可能である。
iv. 高価な薬剤の非常に少量の使用が可能なため、実際的である。
【0072】
異なる型の粉末パッチの調製法、特に蛋白質を含む少量の活性薬物を、そこから薬物が放出される固体の支持体上に正確に置くのに適した方法を、本明細書に開示する。
【0073】
A.プリント
プリント法は医薬品組成物の少量の液滴を、制御した仕方で均一なライナー上に置く技術を包含する。液滴は急速に乾燥し、医薬品組成物の固体のドットを残す。用量は、溶液または懸濁液中の活性薬剤の濃度、および製造装置の形状とプログラミングによって正確に決定される。治療活性薬剤以外に、医薬品組成物は、溶解度増加剤、安定剤およびポリマーのような他の物質を有利に含んでもよい。
【0074】
皮膚と血液循環に浸透するために、ライナー上のプリントドット内の医薬品組成物は、マイクロチャンネルを通って皮膚から滲み出る液体中に溶解する。
【0075】
当技術分野で知られている、液滴を適用するための方法には、小容量(1から数マイクロリッター)のシリンジまたはシリンジの列、小容量のシリンジまたはシリンジの列と計量ポンプの組み合わせ、小さなピン(pin)の列、溶液/懸濁液に浸したピンの先端、インクジェットプリンターのようなデバイスを用いる印刷、医薬品組成物の溶液を含むカートリッジを用いる印刷、活性薬剤の溶液の薄いフィルムのライナーまたは類似物上への噴霧が含まれる。
【0076】
新しい皮膚環境へのプリントパッチの付着を可能にするために、印刷は経皮接着裏当てライナー上に行われる。別法として、非粘着性のライナー上に、薬物のプリント間に適した接着剤をプリントできる。
【0077】
B.非均一ライナー
本目的に適したライナーは、正確な穴を有する多種類のライナーである。基本的に、ライナーは治療活性物質の溶液中に漬けるか浸漬され、ついで通気乾燥または凍結乾燥または他の適した乾燥又は蒸発法で乾燥される。ライナー上に適用される治療活性物質の溶液の量は、ライナー自身の構造、およびその化学的特性および表面特性によって決められる。
【0078】
ろ紙又は濾過膜を薬物の溶液で浸漬し、それを乾燥する方法、ミクロンネットまたはスクリーンを活性溶液に漬け、それを乾燥する方法(以下に例示する)、特定の密度またはパターン中に、小さな正確な刻み目または孔を有するシートを用いて、その孔を活性薬物の溶液で満たして乾燥するか、又は活性粉末フィルムを突き出た凸面に残すように、刻み目をはじき飛ばす方法、その上に小さな突起を有するシートを作り、ついで、それぞれの突起上に小さな液滴が残るように、突起の先端を医薬活性溶液に漬け、乾燥する方法を含む、非均一な乾燥した薬物を含むライナーの各種調製法が当技術分野で知られている。
【0079】
乾燥は、例えば温度、湿度又は圧力を変えることによって、制御された条件下で実施できる。
【0080】
ライナーを作るために、各種パターンのスクリーンおよび織物およびポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリエチレンおよびポリブチレンのようなポリオレフィン、ポリウレタン、ポリビニルブチレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルクロライド、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、セルローズアセテート、セルローズトリアセテート、セルローズニトレートの群から選ばれる各種のポリマーから作られた合成の編まれたメッシュを含む多様な型の物質(これに限定されない)を用いても良い。最近の好適なライナー物質は45μmのメッシュと39%の開放領域を含むポリエステルスクリーンである。もう1つの好適な物質は密なナイロン(ポリアミド)の織物である(例えば、GBopp&CoLtd,Derbyshire,UKのSefarNitex(登録商標))。
【0081】
C.粉末の直接適用
医薬品粉末の適用の基本的方法は、処理する部位に粉末を直接適用することである。1つの実施形態によれば、粉末のスポットが追加の接着層によって、新しい皮膚環境に取り付けられた柔らかい平坦なシートにはめ込まれる。別法として、シート自身が自己粘着性であっても良い。2番目の実施形態では、粉末が水溶性フィルムでカプセル化される。粉末カプセルは粉末をウェルの列を含む水溶性フィルム上に分布し、ウェルを満たし、過剰な粉末を取り除くことによって調製できる。次いで、シートを同様のシートで覆い、両方のシートのウェルが同じ位置にあるようにする。別法として、水溶性シート中の孔を平坦な水溶性フィルムのシートで覆う。次いで粉末パッチを、平坦なシートまたはウェルを含むシートのいずれかが、新しい皮膚環境に面するように、皮膚に取り付けることができる。平坦なシートはまた、非溶解性裏当てライナーで作られてもよい。
【0082】
新しい皮膚環境への接着が可能なように、顕微鏡的なサクションカップ(suction cup)をその表面上に含むライナー上に薬物粉末を分散できる。
【0083】
本発明の粉末パッチは更に、医用パッチに組み入れても良い。粉末パッチを含む医用パッチは更に、裏当て層,接着層及び適した微細孔ライナー層の少なくとも1つを、薬物含有層が裏当て層と微細孔ライナー層の間に配置されるように、含んでも良い。
【0084】
用語「裏当て層」は、物理的シールのために提供された薬物不透過性のすべての層を定義し、従ってパッチ,特に薬物を含む層を保護する。裏当て層は、ポリエステル、ポリエチレンまたはポリプロピレンで作られても良い。
【0085】
医用パッチの新しい皮膚環境への適用は、使用前に、被覆または包装の少なくとも部分的な除去後に達成される。これは、それ自身接着性を有する薬物含有層を曝すか、または薬物含有層に取り付けられる接着層を更に含んでもよい。使用指示に適切に従うことによって、一般的にパッチが滅菌的に置かれることが確実になる。
【0086】
本発明に従って、粉末パッチは治療活性薬剤の既知量を各モジュール(module)に含むようにモジュラーであってもよい。既知量の治療活性薬剤は例えば、単位用量であってもよい。従って、モジュラーパッチを新しい皮膚環境に貼り付けることにより、正確で、管理された治療活性薬剤の用量の経皮デリバリーが可能になる。
【0087】
乾燥または凍結乾燥した治療薬の経皮デリバリーを増強するための装置
本発明のシステムは更に、薬剤の経皮デリバリーを増強するための装置を含む。本発明の原理に従って、当該装置は乾燥または凍結乾燥した治療薬が、それを通って効率的にデリバリーされる新しい皮膚環境を作るために用いられる。
【0088】
本発明の好適な実施形態において、RFエネルギーを用いる薬剤の経皮デリバリーを増強する装置は、米国特許第6,148,232号およびその継続(米国特許第6,597,946号および6,611,706号;WO02/085451;WO02/092163、参考資料としてその内容を完全に記載するかのように添付する)に開示されているように、少なくとも1つの電極とメインユニット含む、任意に取り外し可能な電極カートリッジを含み、ここで電極カートリッジを搭載したメインユニットは、本明細書で同様にViaDermと記される。
【0089】
コントロールユニットは、電極カートリッジが皮膚の近くにある時に、通常、電流または1つ以上のスパークを発生して、電気エネルギーを電極に適用するために適合する。電極の列内の各電極の電気エネルギーが、電極の下の領域の角質の剥離を生じ、それによって、少なくとも1つのマイクロチャンネルが作られる。
【0090】
コントロールユニットは電流およびスパークの発生をコントロールし、従って、形成されたマイクロチャンネルの幅、深さおよび形をコントロールするために、電極にデリバリーされる電気エネルギーの大きさ、周波数および/または持続をコントロールすることができる回路を含む。通常、電極カートリッジは1回の使用後廃棄され、そのため、メインユニットへの取り付けと、その後のユニットからの取り外しが容易なようにデザインされている。
【0091】
カートリッジおよびその関連電極の汚染の機会を最小化するために、カートリッジの取り付けと取り外しは、ユーザーがカートリッジに物理的に触れないで行われる。好適には、カートリッジは滅菌カートリッジホールダー内に密封され、ホールダーを使用直前に開き、その際、カートリッジをメインユニットに施錠する機構が働くように、メインユニットをカートリッジの最上部表面と接触させる。ユーザーがカートリッジに触れずに、カートリッジを解錠し放出する単純な手段も、提供されている。
【0092】
医用パッチが皮膚の処理領域に正確に置かれるように、電極カートリッジはマイクロチャンネルが作られた皮膚領域を標識するための手段を、更に含んでもよい。通常生成する多数のマイクロチャンネルでさえ、新しい皮膚環境に感知できる刺激と関係しないので、マイクロチャンネルの生成(本特許出願の譲渡人に譲渡されたAvrahamiらの上記米国特許または継続特許出願に記載された技術に従って実施する場合)によって、一般的に目に見える標識は残らない。
【0093】
本発明のシステムを使用するための方法
最近の発明は、本発明のシステムを使用する乾燥または凍結乾燥した治療薬で処理する方法を提供する。一般的な実施形態では、新しい皮膚環境を形成する手順は皮膚の上に少なくとも1つのマイクロチャンネルを作る装置を置く段階を含む。好適には、マイクロチャンネルを作るに先立って、処理部位を滅菌アルコールで消毒する。好適には処理の前にその部位を乾燥する。
【0094】
最近の発明の好適な実施形態において、マイクロチャンネルを作る装置の型が、米国特許第6,148,232号およびWO02/085451に開示されている。電極の列を含む装置を処理部位上に置き、列にRFエネルギーでエネルギーを与え、処理を開始する。原則的に、剥離とマイクロチャンネルの形成は数秒内に終了する。マイクロチャンネルが限定された深さ、好適にはSCと上皮の深さで作られた後、装置を取り外す。治療活性薬剤を含む、上記の本発明のシステムの使用に適した当技術分野で知られているすべてのパッチが新しい皮膚環境に取り付けられる。
【0095】
本発明は更に、治療活性薬剤を含む乾燥した医薬品組成物の経皮投与法を提供する。当該方法は、患者の皮膚の1つの領域に少なくとも1つのマイクロチャンネルを作り、乾燥した医薬品組成物を含むパッチをマイクロチャンネルが存在する皮膚の領域に貼り付け、予め定めた期間に亘って活性薬剤の治療に有効な血中濃度を達成することを含む。
【0096】
本明細書に定義したように、「治療上有効な血中濃度」は、治療効果をもたらす活性薬剤の濃度を意味する。好適な実施形態によれば、活性薬剤はhGHである。本発明によると、ラットで20ng/mlから120/ml、モルモットで10ng/mlから80ng/mlのhGHの血中濃度が、約6−10時間の期間に亘って、1−2時間内に得られた。最近のより好適な実施形態では、活性薬剤はヒトインスリンである。ラットにおいて、正常な血糖値(100mg/dlから200mg/dl)をもたらすヒトインスリンの治療血中濃度が、約4−6時間に亘って、約1−3時間以内に得られた。従って本発明は、少なくとも1時間、好適には少なくとも6−10時間に亘って治療血中濃度を達成するhGHまたはヒトインスリンを含むパッチ、好適にはプリントパッチを包含する。しかし、6−10時間を超す期間に亘って、治療血中濃度を達成するhGHまたはヒトインスリンを含むパッチ、好適にはプリントパッチもまた、考えられている。加えて、本発明の親水性の活性薬物の血中濃度は、当技術分野で知られているので、血中濃度を達成するために予め決定された期間は、以下に記載する方法または当技術分野で知られている任意の方法で決定できる。
【0097】
最近の発明の好適な実施形態に従って、他の適用に関して、マイクロチャンネルを医用パッチの適用と隔ててまたは同時に作ってもよい。他の適用の中で、このシステムは、皮膚上に置かれる接着剤を含まぬテンプレートを含んでも良く、それを通して、カートリッジが、当該テンプレートを通して暴露される皮膚領域を処理するために置かれる。本発明の実施形態によるプリントパッチ又は他の任意の適したパッチ内に含まれる、乾燥または凍結乾燥した治療薬は、皮膚の処理領域の上に置かれるテンプレートに取り付けられる。これらの適用において、保護の裏当てを取り除いた後で、医用パッチのテンプレート部分が皮膚上に置かれ、接着剤で確保される。ついで電極カートリッジがハンドルに固定され、ユーザーはテンプレート内の皮膚領域に対してカートリッジを置くように、ハンドルを保持し、電極に皮膚を処理するためにエネルギーを与える。その後、カートリッジを取り除く。ついで、処理した皮膚領域の上に薬物入りマトリックスを同時に持ち上げて置くために、カバーから突き出しているタブを引くことによって、保護カバーを薬物入りマトリックスから取り除く。テンプレートとパッチを1つのユニットに統合することで、ユーザーが薬物入りパッチを処理した皮膚上に正確に置くことを支援する。このような仕方で本発明のシステムを用いることは、滅菌した適用に有利になる。
【0098】
その他の適用に対しても、本特許出願の譲渡人に譲渡され、参考資料として本明細書に添付し、またMicroDermと記載される、国際出願WO02/092163に開示された実際の装置を提供するために、統合した電極/薬物入りパッドカートリッジが用いられる。これらの適用においては、カートリッジは電極の列、コントロールされたユニットおよび薬物入りパッドを含む。従って通常、テンプレートは必要でない。ユーザーは皮膚に対して電極を置き、この接触は電流の開始または電極内でのスパークの形成、およびその後のマイクロチャンネルの形成に十分である。電極が皮膚に対して置かれた場合、薬物入りパッドの底と連結する接着剤のストリップ(strip)が皮膚と接触し、付着する。薬物入りマトリックスのトップカバーは、ハンドルに対して固定された電極領域が皮膚から取り去られるに従って、トップカバーは、薬物入りパッドから引き離され、パッドは、皮膚の処理領域の上に同時に畳まれる。この型の適用では、ユーザーが電極カートリッジまたは薬物入りパッドの如何なる部分にも触れる必要がないので、ユーザーが装置を汚染する可能性を顕著に減らすか、または無くす。
【0099】
好適な実施形態では、細胞を加熱して角質層を剥離するために、電流を適用する。1つの好適な実施形態では、スパークの発生、スパークの発生の中止または特定の電流レベルを、所望の厚さが達成され、電流の適用を中止すべきことを示すフィードバックの形として使用してもよい。これらの適用に対して、電極は、角質と上皮を所望の深さであるが、それを超えない深さへの剥離を容易にするために、電導性であるカートリッジ中に、好適に形で作られ、および/または支持される。別法として、電流は、スパークを発生せずに角質を剥離するように、設定してもよい。
【0100】
一般に、本発明の好適な実施形態は、通常、本特許出願の譲渡人に譲渡され、参考資料として本明細書に添付した「経皮的薬物デリバリーと分析物の抽出への単極および双極電流の適用」と題するWO02/092163に記載された方法と装置を組み入れる。例えば、この適用は剥離電極を皮膚と接触するか、またはそこから約500ミクロンの距離を隔てるかのいずれかで維持することを記載している。この適用は更に、約10kHzと4000kHzの間、好適には、約10kHzと500kHzの間の、周波数を有する電場を適用して、角質のスパーク誘発剥離を記載されている。
【0101】
替わりに、または加えて、本発明の好適な実施形態は、参考資料として本明細書に添付した「経皮的薬物デリバリーと分析物の抽出のための把握装置と方法」と題するWO02/085451に記載された方法と装置を組み入れる。
【0102】
更に、替わりに、または加えて、本発明の好適な実施形態は、本特許出願の譲渡人に譲渡され、参考資料として本明細書に添付し、上で引用したAvrahamiの米国特許第6,148,232号に記載されている。
【0103】
本発明のいくつかの好適な実施形態では、カートリッジは電極の列、好適には、カートリッジの下の皮膚の領域に高い密度のマイクロチャンネルを形成するように、共同して働く緊密に配置された電極の列を支持する。しかし、通常角質層に作られたマイクロチャンネルの全体の面積は、電極の列で覆われた全体の面積に比べて小さい。
【0104】
本発明の更に好適な実施形態では、カートリッジの皮膚接触表面を電極の列から皮膚へ通過する電流の戻りの経路として用いて、同心電極のセットが形成される。好適には、カートリッジは、皮膚との比較的大きな接触表面積を有し、カートリッジの近くの皮膚で比較的低い電流密度をもたらし、従って接触表面で、皮膚に顕著な加熱または実質的な障害がない。
【0105】
対照的に、電極の列中の各電極の近くで、高いエネルギーが適用された電場は通常、角質層の非常に早い加熱と剥離を誘導する。
【0106】
本発明を一般的に記載したが、本発明は例示のために提供し、本発明を制限する意図のない、以下の実施例を参照してより容易に理解できよう。
【実施例】
【0107】
ヒト成長ホルモン(hGH)は、プリントパッチとViaDerm技術を用いて、大きな親水性分子の経皮デリバリー能力を代表するために、その組み換え型(rhGH)で選ばれた22kDaのポリペプチドホルモンである。
【0108】
GHは下垂体(hypophysis)で作られ、複数の仕方で複数の標的に作用する。GHによる特有の役割は、肝細胞(hepatocyte)によるIGF−1の誘導である。GHはIGF−1の産生の主な引き金であるので、GHの活性は血中のIGF−1濃度の測定によって検出できる。血中のGH濃度は直接分析することもできる。
【0109】
下垂体切除動物では、IGF−1濃度は無処理動物で、無視でき、処理動物で用量依存であると予想される。
【0110】
本試験に選ばれた試験薬剤は、GENOTROPIN(登録商標)(Pharmacia&Upjohn,Sweden)で、これはE.Coliの変種によって合成され、皮下注射にデザインされた組み換えhGH(1用量は16IU,5.3mgを含む)とマニトール(1.5mg)を含む。
【0111】
GENOTROPIN(登録商標)のrhGH組成物中における、吸湿性薬剤であるマニトールの存在が重要である。本発明の原理に従って、ViaDermによって形成されたような、親水性マイクロチャンネルを含む前処理した皮膚上に、粉末パッチが適用される。マニトールの含量によって、吸湿性である医薬品粉末は、マイクロチャンネルからの浸出液に溶解し、従って、薬物の効率的な経皮デリバリーが可能になる。
【0112】
(実施例1)rhGHプリントパッチの調製
本質的に、プリントパッチは市販の適した裏当てライナーの最上部に予め定められたパターンで、rhGHの溶液の正確な、少量の液滴をスポットすることによって調製した。これは本明細書において、これを室温で乾燥後の「プリント」と云う。
【0113】
rhGHの溶液のプリントは、短い太針を差し込んだマイクロリッターシリンジを用いて行った。プリントは、12x12列中、予め定めた144マイクロリッターサイズのパターンに対して、基本プログラムによって制御されたディジタル制御XYZ投与機械を用いて行った。全体のプリント面積は1.44cmであった。
【0114】
a. rhGHの溶液の調製
GENOTROPIN(登録商標)を脱イオン水に溶解して、8.8mg/mlから17.6mg/mlの各種濃度のrhGHの溶液を調製した。各溶液を100μlのシリンジに移し、シリンジからの泡を取り除いた。
【0115】
b. rhGHの溶液のプリント
必要量のrhGHを有するパッチの調製のために、各液滴の容量を溶液中のrhGHの濃度に従って計算し、それに対応して1つの液滴のプリントあたりに必要なシリンジのプランジャーの変位を調整した(0.035−0.105mmの範囲が0.09−0.18μlに相当する)。この変位の範囲を、プリントを制御する基本プログラムにフィードした。ついで、裏当て層フィルム(DOW BLF2080(登録商標),The Dow Chemical, MI, USA)を、平坦な金属ブロック上に、輝いた側を上に平坦に置いた。rhGH溶液を含むシリンジをXYZ投与機械に搭載し、ついで、これが、裏当てライナー上に、測定したrhGHの液滴を置いた。液滴は数分以内に連続的に乾燥を開始することに注目すべきである。プリント液滴の144のドットの列が形成されると、新しい列のプリントを新しい位置上で開始した。この手順に従って、5.5x1.6”の裏当てライナー上に、6つの列を形成することが可能であった。プリント144のドットの列(例えば図8)の2x2cmの切片を、4°Cで密閉バイアル中で保存した。
【0116】
(実施例2)不均一ライナーを用いるrhGH粉末の調製
本実験の目的は、医薬品活性粉末が、ライナー上に均一に分散した、パッチを作ることである。この実験では、ライナーとしてポリエステルスクリーンを用いた。10μlのrhGH溶液(18.5μg/μl)を通気乾燥後、ポリエステルスクリーン(45のメッシュと39%の開放領域)のピース(15x15mm,7.7mg)上に適用して、粉末rhGHパッチを調製した。各製剤について、この手順を5回繰り返した。図1は、スクリーン上に分散された0.5mgのrhGHを含むスクリーンを示す。この図は、この製剤で大部分のrhGH粉末が均一に分布しているよりも、むしろグリッドの縁部に位置していたことを示す。
【0117】
この型のポリエステルスクリーン上の親水性薬剤の大量の付着を試験するために、希釈したrhGH溶液を用いた。通気乾燥後、希釈したrhGH溶液の数滴をポリエステルスクリーン上に適用した。この手順後、スクリーンに付着した粉末は、図2に示すように均一に分布しなかった。この手順後、スクリーン上に残されている粉末のパターンのイメージを強調するために、ポリエステルスクリーン上に、マニトールとメチレンブルーの混合物を適用した(図3の黒い線)。
【0118】
粉末の搭載の増加が、水分の蒸発後に残る粉末の均一な分布に寄与するか否かを検討するために、薬物の代わりに、蔗糖を用いて乾燥したパッチを調製した。正方形のポリエステルスクリーンのピース(15x15mm,7.8mg、45μmのメッシュおよび開放領域39%)のピース内に捕獲された空気を取り除いた後、攪拌して50%の蔗糖溶液に浸漬した。スクリーンピースを乾燥し、過剰な蔗糖溶液を取り除いた。乾燥した蔗糖が、スクリーン中の四角い孔を均一に満たすことが明瞭に観察された。
【0119】
蔗糖を搭載したスクリーンの全重量は、2.5mgの蔗糖に対応して10.3mgであり、これはスクリーンの最初の重量の32%である。図5は蔗糖溶液に浸漬前(左パネル)および浸漬乾燥後(右パネル)のポリエステルスクリーンのイメージを示す。この図で、乾燥した蔗糖の均一な分布が明瞭に観察される。
【0120】
(実施例3)下垂体切除ラットにおけるViaDermマイクロチャンネル技術を用いた粉末rhGHの経皮浸透−血中濃度と蛋白質の活性
材料と方法
動物:Harlan USA labsで下垂体切除されたSprague Dawley雄ラット(250g)。
下垂体切除によって生じる障害を最小化するために、ラットを、到着から試験開始まで、チロキシンナトリウム塩(GlaxoGmbH,Bad Oldesole,GermanyのELITROXIN(登録商標))とHYDROCORTISONEで処理した。
試験薬剤:GENOTROPIN(登録商標)(rhGHおよびマニトール)の乾燥分画を経皮適用に用いた。この分画を低アレルギー性透明医用テープ(Emergency Medical Products Inc.,USAのKendall Cirity(登録商標))上に、下記に特定した用量で広げ、経皮パッチとして直接皮膚上に置いた。皮下処理には、再溶解GENOTROPIN(登録商標)を用いた。
実験の設定:餌と飲料(0.45%のNaCl水溶液)を自由摂取させた24匹のラットを4群(各群6匹)に分けた。
群1:ViaDerm処理皮膚上の〜0.8mg/ラットrhGH経皮パッチ
群2:健全な皮膚上の〜0.8mg/ラットrhGH経皮パッチ
群3:rhGHの皮下注射、150μg/ラット(0.33ml/ラット)
群4:無処理
【0121】
経皮群(1と2)は剃髪、乾燥、ベースラインでの経上皮水分損失測定(TWEL;Cortex Technology, Hadsund, DenmarkのDERMALAB(登録商標))、200マイクロポア/cmのViaDermの2回の適用(群2のプラセボ)、2回目のTWEL測定およびパッチの適用を含む処理を受けた。試験の終わりに、動物はすべてペントバルビタールナトリウムのIV過剰投与(140mg/kg)で犠牲にした。
ViaDermパラメーター:破裂長さ−500μ秒、開始振幅−250V,破裂数−5および部位あたり適用−2(200マイクロポア/cm
採血:麻酔したラットの尾端からt=0,2,4,6,12および24時間の6時点で採血した(20mg/ラット ケラミン、筋肉内)
血清分析:血清中のrhGHをrhGH特異性Elisa kit(DSL−10−1900;Diagnostic Systems Laboratories, TX,USA)を用いて検出した。このキットは内因性ラットGHは検出しない。IGF−1はRIAプロトコール(Endocrine、Vol.16, no.1, 1−6,October 2001)に従って、検出した。この検出プロトコールを用いて、内因性GHで規制されているIGF−1の合成と、外因性GHで規制されているIGF−1の合成とを識別することは困難である。
【0122】
結果
1.血清中のrhGH
血清中のrhGHの平均濃度を図6にプロットする。群1(ViaDerm+rhGH)は、投与後4時間にピークがある平均的な特徴を示した。このピークは低く、SC群(群3)のrhGHの最大濃度よりも遅れて達成された。群2(rhGH無処理/健全な皮膚)と群4(無処理)は、予想どおり無視できる血清中rhGH濃度を示した。群3(皮下注射)では、6ラット中の5ラットが、注射2時間後にピーク濃度がある通常の注射の特徴を示し、6番目のラットは4時間後に示した。rhGHは、すべてのラットの血清中で類似したパターンで減少したが、平均値はViaDermで処理した群で見られた変動よりも大きな変動を示した。
【0123】
2.薬物動態−rhGHのAUCの計算
AUCは曲線下面積として定義され、ng*hr/mlの単位で表される。生物学的利用率は、次式に従ってSC値に対して相対的に計算した:(AUC/用量)/(AUCSC/用量SC)・100=生物学的利用率(%)
ViaDerm処理群(群1)−AUCの絶対値:3052μg/hr/ml、0.1grhGHに対して正規化したAUC値:381.6μg/hr/ml
SC群(群3)−AUCの絶対値:1692μg/hr/ml、0.1grhGHに対して正規化したAUC値:1128μg/hr/ml
これらの計算によると、ViaDerm処理群は、SC群と比べて33.8%の生物学的利用値を示した。AUC値は、低用量のrhGHを用いて改善され、次の実施例に示すように、プリントパッチを用いてパッチ内の広がりの均一性が増加した。
【0124】
3.血清中のIGF−1
血清中のIGF−1の平均濃度を図7にプロットする。群1(ViaDerm+rhGH)は、rhGHの活性の増加を示す、IGF−1の上昇が、ViaDerm+rhGH粉末パッチシステムを用いて維持されることを示した。最大平均濃度が処理後12時間で見られ、各ラットについて、処理後6−12時間の間で見られた。群2(rhGH単独)は、処理期間を通して低いIGF−1濃度を示した。この結果は、この群の血清中のrhGHの低濃度と一致する。群3(皮下注射)は、平均してすべてのラットおよびそれぞれの個々のラットに、処理12時間後にピーク濃度がある予期したIGF−1の上昇を示した。これらの結果は、ViaDerm+rhGH群(図7)でIGF−1濃度と類似していた。群4(無処理)は、処理期間を通して予想したIGF−1の低濃度を示し、rhGHに対して得られた結果を確認した。
【0125】
ViaDerm+rhGH群とSC群の両群の類似した活性は、前者の群についての試験で使用された用量が、非常に高く(〜0.8mg/パッチ)、ラットの吸収能力よりも高いことから更に合理的に説明されよう。これによって、達成されたAUCの結果を招来した可能性がある。
【0126】
前述の実施例は、パッチあたりの正確な用量と、各パッチ上の均一な広がりを改善するパッチと方法を提供する。
【0127】
(実施例4)下垂体切除ラットにおけるプリントパッチとViaDermマイクロチャンネル技術を用いたrhGHの生物学的利用率
材料と方法
この実施例に適用される材料と方法は、以下の点を除き、実施例3のそれらと類似している。
a)動物は処理開始前10日までだけ、ELTROXIN(登録商標)とヒドロコーチゾンで処理された。
b)試験薬剤は、0.15mg/パッチと0.5mg/パッチの2用量でのrhGHのプリントパッチであった。パッチはその上に、GENOTROPIN(登録商標)の液滴が均一に置かれる裏当てライナー(The Dow Chemical Conpany,MI,USAのDOW BLF2080(登録商標))から構成された。すべてのパッチは1.4x1.4cmの面積に144の液滴を含んだ。プリントパッチは、裏当てライナー上に2cmx2cmで、厚さが300μmの(湿った)糊(DURO−TAK(登録商標)3872516;National Starch&Chemical Pty Ltd, NSW,Australia)の固定パッチで皮膚に取り付けられた。
c)実験の設定は各3ラットの2群であった。
群1:ViaDerm+1つの0.15mgプリントパッチで処理
群2:ViaDerm+1つの0.5mgプリントパッチで処理
【0128】
結果
1.プリントパッチ
プリントパッチは、rhGHの2つの用量、0.15mgと0.5mgで作られた。代表的なプリントパッチ(図8A)とパッチ内の個々のプリントドット(図8B)の概観は、比較的均一な分布を示した。同じ生産ロットからのパッチをHPLCで分析し、予想される量に関してパッチ当たりのrhGHの実際の量を測定した。0.15mgのプリントパッチ中のrhGHの濃度は、予想よりも2−9%高く、0.5mgのプリントパッチ中では、予想よりも10−19%高いことが判った。
【0129】
2.血清中のrhGH
TEWLの結果は、設定の範囲内、即ち処理前のTEWL濃度は8.5g/h/m未満で、ViaDerm処理前後のTEWLの差は、18g/h/mよりも高かった。
【0130】
群1(ViaDerm+0.15mgプリントパッチ)は、投与4時間後にピークがある特徴を示した(図9)。群2(ViaDerm+0.5mgプリントパッチ)は、投与6時間後にピークがある平均的な特徴を示した。両群で、4時間と6時間の結果は高く、類似していた。群1では、6時間と12時間の間に、かなりの低下があったが、群2では、12時間まで高いレベルが維持され、低下は適用12および24時間後に起きた。プリントパッチの2つの用量は、時点あたりの血清rhGH濃度の顕著な差を示し、これは、これらの用量が、用量依存性を確認する満足な実験の設定を提供することを示している。
【0131】
ViaDerm処理(図9)に続く、rhGHプリントパッチ適用後の血清rhGH濃度と、rhGHの皮下注射(実施例3)後の血清rhGH濃度の比較を行った。皮下注射によって達成されたピークは、プリントパッチの2群(2時間)におけるよりも速いようであった。皮下注射のピーク濃度は、0.15mgのプリントパッチ群よりも高く、0.5mgのプリントパッチ群よりも低かった。
【0132】
3.薬物動態
0.1mgのrhGHの投与に正規化した代表的なAUC値を図10に示す。ここで、100%はSC注射を意味する。先述の、および最近の実施例中のrhGHで処理された各群のAUC値は次の通りであった。
a)群1(ViaDerm+0.15mgプリントパッチ):AUCの絶対値:1594μg/hr/ml、0.1grhGHに対して正規化したAUC値:1063μg/hr/ml。
b)群2(ViaDerm+0.5mgプリントパッチ):AUCの絶対値:6563μg/hr/ml、0.1grhGHに対して正規化したAUC
値1313μg/hr/ml。
c)群3(0.15mg/ラットのSC注射):AUCの絶対値:1692μg/hr/ml、0.1grhGHに対して正規化したAUC値:1128μg/hr/ml。
【0133】
これらの計算に従って、プリントパッチの群1は、SC注射群と比較して95.2%の生物学的利用率値を示し、プリントパッチの群2は、SC注射群と比較して118%の生物学的利用率値を示した。これらの結果は、rhGH粉末パッチと比較して、rhGHプリントパッチの使用によりデリバリー速度と生物学的利用率がより高いことを示す。
【0134】
(実施例5)正常ラットとモルモットにおけるViaDermマイクロチャンネル技術を用いたrhGHプリントパッチの生物学的利用率
装置と材料
ViaDermマイクロチャンネル装置を用いた。これらの試験で用いた微小電極列の密度は、100微小電極/cmであった。デバイスを同じ場所に2回適用し、従って、マイクロチャンネルの密度は200/cmであった。皮膚は330vの印加電圧、100kHzの周波数、2回の破裂、700マイクロ秒の破裂時間で処理され、電流の制限はなかった。
【0135】
In vivo経皮デリバリー
雄のモルモット(500−800グラム、Dunkin Harlan laboratories Ltd. Israel)と雄のラット(350−400グラム、Sprague Dawley,Dunkin Harlan laboratories Ltd. Israel)に70:30の比率の10%ケタミンと2%キシラジン溶液1ml/kgをIP注入で前治療した。イソフルオランスとハロタンガスで麻酔を維持した。腹部の毛を注意深く剃り、イソプロピルアルコールで洗浄した。30分後、皮膚の健全性をチェックするために、経上皮水分損失測定(TEWL,Dermalab Cortex Tchnlogy、Hadsund Denmark)を実施した。上述の条件でViaDerm装置を用いて、皮膚のマイクロチャンネル形成した。ついで、再度TEWLを測定し、操作を制御した。処理した皮膚をrhGHパッチで覆い、適用後、予め決めた時間に、モルモットに予め挿入した頚動脈カニューレまたはラットの尾部から採血した。血清を遠心分離し、Elisa、 kit(DSL−10−1900,Diagnostic Systems Laboratories, Inc. Webster, Texas, USA)によってrhGHを分析した。rhGHの経皮デリバリーを、皮下のhGHのデリバリーと比較した。
【0136】
結果
1.ラットにおける経皮デリバリーと生物学的利用率
ViaDerm処理した皮膚上にhGHプリントパッチを経皮適用後の、ラット血清中の組み換えhGH血中濃度を図11Aに示す。75−300μgのパッチ濃度で、用量依存性rhGH血中特性が観察された。より高い濃度のhGHの投与によって、その血中濃度の顕著な増加がなかったので、300μgの最高有効量が最適と思われる(図11A参照)。
【0137】
AUCと相対的生物学的利用率値を表1に示す。経皮デリバリー後のrhGHの生物学的利用率は高かった(皮下(SC)投与に対して75%)。パッチ中のrhGHの量の増加とともにAUC値は増加したが、rhGHの量が75−300μgの範囲で、生物学的利用率は同じ値(SC投与の約75%)に留まった。
【0138】


各パッチに適用したrhGHの量は200μgであった。
数値はピーク面積の%に対応する。
RP:逆相、SE:サイズ排除、NA:該当せず、NP:実施せず
【0139】
2.モルモットにおける経皮デリバリーと生物学的利用率
ViaDerm処理した皮膚上にhGHプリントパッチの経皮適用後の、モルモット血漿中の組み換えhGH血中濃度を図11Bに示す。ラットと同様、50−300μgのパッチ濃度で、用量依存性rhGH血中特性が見られた。より高いhGH濃度の投与によって、血漿濃度の顕著な増加がなかったので(図11B参照)、モルモットでも300μgの最高有効量が最適と認められた(図11B参照)。
【0140】
AUCと相対的生物学的利用率値を表2に示す。モルモットでの経皮デリバリー後のrhGHの生物学的利用率は、SC投与に対して約30%であった。AUC値は用量依存性であったが、生物学的利用率値は同じ値に留まった。ラットとモルモットの間の生物学的利用率の差は、各動物中の特異的プロテアーゼ、rhGHの皮膚受容体の違い、細胞外マトリックス成分への吸収、クレアランスパラメーターの差、SC注射に対する反応の差等による可能性がある。
【0141】

【0142】
(実施例6)糖尿病ラットにおけるプリントパッチとViaDerm技術を用いたインスリンの経皮デリバリー
装置と材料
ViaDerm装置を用いた。これらの試験で用いた微小電極列の密度は、100微小電極/cmであった。デバイスを同じ場所に2回適用した。従って、マイクロチャンネルの密度は200/cmであった。皮膚は、330vの印加電圧、100kHzの周波数、2回の破裂、700マイクロ秒の破裂時間で処理され、電流の制限はなかった。
【0143】
Keto−Diastrix−GlucoseおよびKetones尿分析スティック、Glucometer(登録商標)および血糖試験ストリップを用いた(Ascensia Elite, Bayer)。血糖試験ストリップNorm:75−108 mg/dl(ロット番号:A2G05EC072)。
【0144】
ストレプトゾトシン(STZ)をSigma(Sigma, St.Louis,MO,USA)から入手した。ヒト組み換えインスリンHumilin(登録商標)(Regularの100IU/ml)とHumalog(登録商標)(Lipso−100IU/ml)をLilly(Lilly France S.A., Fegershein, France)から購入した。
【0145】
プリントパッチ製剤
インスリンを含むプリントパッチを、rhGHのプリントパッチに記載したように調製した(実施例1参照)。
【0146】
糖尿病ラットにおける生物学的利用率
パッチの適用48時間前、雄ラット(300−325、Sprague Dawley, Harlan laboratories Ltd., Israel)に餌を与えず、水を自由に与えた。糖尿病を誘発するために、パッチの適用24時間前に、ストレプトゾトシン(55mg/kg、クエン酸緩衝液中0.1M,pH4.5)を腹腔内投与した。ストレプトゾトシン注入24時間後、血糖値が300mg/dlを超え、尿糖が陽性で、尿ケトンが陰性であればラットは糖尿病と考えた。70:30の比率の10%ケタミンと2%キシラジン溶液1ml/kgをIP注入で前治療した。イソフルオランスとハロタンガスで麻酔を維持した。腹部の毛を注意深く剃り、イソプロピルアルコールで洗浄した。30分後、皮膚の健全性をチェックするために、経上皮水分損失測定(TEWL,Dermalab Cortex Tchnlogy、Hadsund,Denmark)を実施した。上述の条件でViaDerm装置を用いて、皮膚のマイクロチャンネル形成を行った。ついで、再度TEWLを測定し、操作を制御した。処理した皮膚をLipso(Humalog(登録商標))とRegular(Humilin(登録商標))の1.5IUのインスリンパッチで覆った。0.4IUのSC注入を、陽性対照に用いた。適用後、0,2,4および6時間に、ラットの尾端から採血し、血糖値を測定した。
【0147】
結果
糖尿病ラットにおける生物活性
糖尿病ラットのマイクロチャンネル形成皮膚に、インスリンプリントパッチの適用後の血中糖濃度を図12に示す。Humalog(登録商標)とHumilin(登録商標)プリントパッチ間に血中糖濃度の差はなかった。パッチの適用3時間後、糖濃度は、SCおよびプリントパッチ実験群とも、約400mg/dlから約70mg/dlに減少した。糖濃度は、インスリンのSC投与4時間後に増加を始め、6時間後に約200mg/dlの濃度に達したが、糖濃度はパッチ適用4時間後、減少を続け、6時間後に約30mg/dlの濃度に達した。正常ラットの血糖濃度は、100−200mg/dlの範囲であることに留意すべきである。従ってこれは、SC注入と類似の効果を得るためには、糖尿病ラットに対して、プリントパッチ中のインスリンの最適用量は1.5IU未満でなければならないことを示唆する。従って発明者らの所見は、糖尿病ラットにおけるインスリン投与の新しい、効率的な、痛みのない方法を示す。
【0148】
(実施例7)プリントパッチ内のrhGHの安定性:各種の配合の効果
経皮薬物デリバリーを目的とするパッチは、延長された使用期限に亘って長期の安定性を示すことが有利である。パッチ上にプリントされるrhGHの最適の配合を見つけるために、実施例1に記載したように、プリントパッチ上にrhGHを多様な配合中で調製し、ついで各rhGHのプリントパッチ中のrhGHの安定性を、複数の貯蔵温度でチェックした。
【0149】
装置と材料
市販のrhGH、GENOTROPIN(登録商標)(5.3mg/16IU,Pharmacia Stockholm, Sweden)の多様な配合を次のように調製した:すべての配合は200μgのrhGHを含んだ。蔗糖、D(+)トレハローズ、プルロニック127、Tween 20,ヒト血清アルブミン、PEG6000,ヒスチジンおよびポロキサマー188が多様な配合で賦形剤として用いられた。各種の賦形剤をrhGHと混合し(混合比については表3参照)、ついで実施例1に記載したように、Dowフィルム裏当てライナー(DOW BLF 2080(登録商標)、3mm)にプリントし、包装した。多様なrhGHパッチは−18°C,4°CおよびRTで保存した。
【0150】
HPLC分析
安定性試験は、局法の方法(欧州局法、4版、2002、ソマトロピン01/2002:0951、p1937−1939)に従って行った。0,1,2および3ヶ月の時点で、rhGHを燐酸緩衝液(0.025mM)に抽出し、溶液のrhGH量および高分子量蛋白質の凝集物および2量体の存在を分析した。高分子量蛋白質の凝集物および2量体の分析は、TSKゲルG2000SWx1(30cmxΦ7.8mm、5μm)およびPre−column−TSKゲル(6cmxΦ6mm)を用いて、サイズ排除(SE)HPLCで行った。移動層は燐酸/2−プロパノール溶液(0.063M緩衝燐酸pH7.0 97容量、および2−プロパノール3容量)で、検出は214nmで行った。溶液はまた、他の不純物と分解物について、C4カラムとpH7.5の0.05MのTris塩酸緩衝液の移動層を用いる逆相(RF)HPLCで分析した。分解物の検出は220nmで行った。
【0151】
欧州局法による不純物と分解物の許容限度量は、SE−HPLCとRF−HPLCで測定したとき、それぞれ6%と13%である。
【0152】
In vivo経皮デリバリー−生物学的利用率
雄のモルモット(500−800グラム、Dunkin Harlan laboratories Ltd., Israel)に70:30の比率の10%ケタミンと2%キシラジン溶液1ml/kgをIP注入で前治療した。イソフルオランスとハロタンガスのいづれかで麻酔を維持した。腹部の皮膚の毛を注意深く剃り、イソプロピルアルコールで洗浄した。30分後、皮膚の健全性をチェックするために、経上皮水分損失測定(TEWL,Dermalab Cortex Tchnlogy、Hadsund,Denmark)を実施した。次の条件でViaDerm装置を用いて皮膚のマイクロチャンネル形成を行った:皮膚は330vの印加電圧、100kHzの周波数、2回の破裂、700マイクロ秒の破裂時間で処理され、電流の制限はなかった。この試験に用いた微小電極列の密度は、100微小電極/cmであった。デバイスを同じ場所に2回適用した。従って、マイクロチャンネルの密度は200/cmであった。ついで、再度TEWLを測定し、操作を制御した。処理した皮膚を、rhGHプリントパッチで覆い、適用1,2,4,6,9,12および15時間後の時点で、モルモットに予め挿入した頚動脈カニューレから採血した。血清を遠心分離し、Elisa、 kit(DSL−10−1900,Diagnostic Systems Laboratories, Inc. Webster, Texas, USA)によってrhGHを分析した。添加剤を含まぬ、プリントパッチ中のrhGHの経皮デリバリーを、蔗糖またはトレハローズを含むプリントパッチ中のrhGHのデリバリーと比較した。
【0153】
結果
安定性
パッチ中のrhGH量と不純物および分解物の量の分析の間には、高い相関性が見られた。添加剤を含まぬrhGHを含むプリントパッチの安定性の結果を、表3に纏める。表3に示したように、−18°Cで3ヶ月貯蔵後、抽出した溶液中に認められた2量体と凝集物の量は顕著でなく(0.1%)、他の不純物と分解物の濃度は、僅か1.2%であった。プリントパッチの4°Cおよび22°Cでの貯蔵によって、許容レベル(表3参照)未満である不純物と分解物の僅かな生成があった。これらの安定性の所見は、添加剤を含まない、rhGHを含むプリントパッチの好適な貯蔵温度は、4°Cであることを示唆する。
【0154】

【0155】
各種のrhGH配合を含むプリントパッチの3ヶ月間の貯蔵後の安定性試験の結果を表4に纏める。安定性はまた、早期にもチェックした。−18°Cと4°Cでの貯蔵は、用いた配合にかかわらず高い安定性を示した。しかし、rhGHがTween20またはPEG6000のいずれかを含む配合中で調製された、rhGHプリントパッチの室温貯蔵は、rhGHの対照パッチで観察された安定性と比べて、rhGHの不安定性を示した。Tween20またはPEG6000を含むrhGH配合中の凝集物と2量体の合計量は、各ケースで8.5%であることが見られた(表4参照)。rhGHが、蔗糖またはトレハローズのいずれかを含む配合中で調製された組み換えhGHプリントパッチは、対照のrhGHプリントパッチよりも、より安定であることが示された。これは、蔗糖またはトレハローズのいずれかの中で配合されたrhGHプリントパッチの22°Cでの貯蔵で、不純物と分解産物の濃度が最低であった所見によって示される。
【0156】

【0157】
生物学的利用率
ViaDerm処理したモルモットの皮膚を通すrhGHのデリバリーを図13に示す。図13に示すように、添加剤を含まない、プリントパッチ中でのrhGHのデリバリー後、および蔗糖を含むプリントパッチ中でのrhGHのデリバリー後に類似した生物学的利用率が認められた。トレハローズを賦形剤として含むプリントパッチ中でのrhGHのデリバリーでは、rhGHの生物学的利用率の顕著な減少は認められなかった(図13)。rhGHの配合における蔗糖およびトレハローズの使用が、rhGHの生物学的利用率を妨げず、rhGHの安定性を増加したので、これらの所見は、rhGHの配合に糖を含めることが有利なことを示す。
【0158】
(実施例8)ViaDermデバイス:規格およびin vivoでの性能
本明細書に記載した前臨床および臨床試験で、マイクロチャンネルを作るために使用されたViaDerm装置は、米国特許第6,148,232号およびWO02/085451およびWO02/092163に開示されている。要約すると、ViaDermは以下を含む:
1.RF電流を発生する、コントロールユニットを含む再使用可能なメインユニット
2.メインユニットの端部に取り付けられた微小電極の列を含む、使い捨ての電極カートリッジ(図15)
【0159】
ブタの皮膚内に、ViaDermによって形成された、マイクロチャンネルの組織学的試験によって、マイクロチャンネルの大きさは制御可能であり、且つ正確であることが示された:各チャンネルは、幅30μm、深さ50−100μmであった。上皮の深さが約40μmであるブタの皮膚において、これらのマイクロチャンネルは真皮の中に浸透した。しかし、上皮の深さが約100μmであるヒトでは、そのようなマイクロチャンネルは、上皮の限界内に存在する。加えて、マイクロチャンネルは非常に局在化しており、マイクロチャンネルを囲む皮膚は、正常な構造内に維持されていることに留意すべきである(図16)。
【0160】
異なった量のマイクロチャンネル(図17)を作った後、ブタの耳の皮膚の切片でTEWLを測定した。TEWLは、マイクロチャンネルの数の増加とともに、直線的に増加した。
【0161】
(実施例9)ViaDerm性能の臨床試験
材料と方法
被験者:ViaDerm性能を10名の男性と10名の女性の合計10名の健常ボランティアで実施した試験で評価した。本試験は、適正な臨床試験の実施基準(GLP)の下で、臨床試験受託機関であるClinRxで行った。各被験者は、ある処理が異なる被験者に適用されるか、および/または異なる施設で各被験者に適用されるように無作為な仕方で、10の処理を受けた。
【0162】
処理のプロトコール:処理部位は内腕および手であった。各処理は、以下のステップを含んだ:皮膚(洗浄)の調製;処理部位と隣接部位でのTEWL(T)の測定;処理部位上へのViaDermの配置と管理されたRF電気エネルギーによる電極の活性化;処理部位と隣接部位での即座のTEWL測定;処理部位での紅斑、処理部位での浮腫および忍容性(T0+)のスコア付け;処理部位の滅菌ヒドロゲル(The.Medical Supply Company Inc.NY, USAのVIGILON(登録商標))パッチによる被覆;T=24時間でのパッチの除去;処理部位と隣接部位でのTEWL測定;T=25時間と48時間での処理部位での紅斑と浮腫のスコア付け。
【0163】
ViaDermの性能:隣接した無処理皮膚と比較した、ViaDermで処理された皮膚部位での経皮水分損失の測定によって、マイクロチャンネルの形成を評価した。ViaDermの安全性は、Draizeの刺激係数(表5)に従って、0から8までのスケールを用いて、処理部位での刺激(紅斑と浮腫)の測定によって評価した。ViaDermによって誘発された刺激に対する反応は、累積刺激係数(表6)によって評価した。皮膚の忍容性は、ViaDerm処理後、100mmの視覚アナログスケール(Visual Analog Scale(VAS)上で。疼痛を測定して検討した。
【0164】
結果
a.安全性の評価
紅斑が、ViaDermで処理された部位、および24時間パッチで覆われた部位に認められた。この紅斑は、パッチを取り除いた24時間後に消失した。無処理の隣接部位には紅斑は認められなかった。紅斑の最大平均値は、表5による非常に僅かな紅斑のために、0.81であった。別の適用部位は、類似した刺激スコアを示した。
【0165】
浮腫が、ViaDermで処理された部位、および24時間パッチで覆われた部位に認められた。この浮腫は、パッチを取り除いた24時間後に消失した。無処理の隣接部位には浮腫は認められなかった。浮腫の最大平均値は、表6による非常に僅かな浮腫のために、0.25であった。別の適用部位は、類似した刺激スコアを示した。
【0166】
最大の平均総合刺激係数(紅斑と浮腫)は、ViaDermで処理された部位で、閉塞された場合、0.75、隣接した非閉塞部位では0.5で、これは僅かな反応を意味する。
【0167】

【0168】

【0169】
b.忍容性の評価
疼痛スコアは、0−50mmの範囲内であった。被験者あたりの疼痛スコアは、10回のViaDerm適用の平均であった。平均値(処理の部位あたり)は、2.1mmから7.02mmの範囲であった。これらの値は、無視しうると考えられた。
【0170】
先述の特別な実施形態の記載は本発明の一般的な性格を十分に示したので、第三者が最近の知識を適用して、そのような実施形態を余分な実験を行わずに、且つ一般的な概念から離れることなく、多様な適用に容易に修正および/または適合することができ、従ってそのような適応および修正は、開示した実施形態の等価物の意味と範囲内として理解されるべきでありまた、理解されることを企図したものである。本明細書で使用した表現法または用語は、記載目的のためであり、制限するためではない。開示した多種類の機能を実施するための手段、材料および段階は、本発明から外れることなく、多様な別の形を採ってもよい。従って、その後に機能的な説明が続く、「....をするための手段」および「....のための手段」の表現、または上記の明細書および/または以下の請求項に見られる方法段階の言葉は、実施形態または上述の明細書に開示した実施形態と正確に等価であるか否かにかかわらず、即ち、同じ機能を実施するための他の手段または段階を使用できる、現存するか、または将来存在する、再引用された機能を実施する、すべての構造的、物理的、化学的または電気的要素または構造、またはすべての方法段階を定義し、包括することを意図し、且つ、そのような表現にその最も広範な解釈を与えることを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0171】
【図1】rhGHの乾燥溶液とポリエステルスクリーンからなるプリントパッチを示す図である。
【図2】ポリエステルスクリーン上で通気乾燥した市販の希釈rhGHの乾燥溶液のイメージである。
【図3】ポリエステルスクリーン上で通気乾燥したメチレンブルー溶液と混合したマニトールのイメージである。
【図4】ポリエステルスクリーン上で通気乾燥した蔗糖溶液のイメージである。
【図5】スクリーンが蔗糖溶液に浸漬され、通気乾燥される前(左パネル)と後(右パネル)のポリエステルスクリーンのイメージである。
【図6】ラットの血清中のrhGH濃度を示す図である。
【図7】ラットの血清中のIGF−Iの濃度を示す図である。
【図8】プリントパッチを示す図である。
【図9】経皮プリントパッチおよび皮下注射によって適用したrhGHの血清濃度を示す図である。
【図10】0.1mgrhGHの投与に正規化したAUC値を示す図である。
【図11A】ViaDerm処理皮膚領域上にrhGHプリントパッチを経皮適用した後のrhGH濃度を示す図である。(A)、ラットの血清濃度(ng/ml);パッチ上にプリントしたrhGHの量は次の通りである。75μg(◇);150μg(●);300μg(■);400μg(△);(B)モルモットの血漿濃度(ng/ml);パッチ上にプリントしたrhGHの量は次の通りである。50μg(◇);150μg(●);300μg(△);400μg(■)
【図11B】ViaDerm処理皮膚領域上にrhGHプリントパッチを経皮適用した後のrhGH濃度を示す図である。(A)、ラットの血清濃度(ng/ml);パッチ上にプリントしたrhGHの量は次の通りである。75μg(◇);150μg(●);300μg(■);400μg(△);(B)モルモットの血漿濃度(ng/ml);パッチ上にプリントしたrhGHの量は次の通りである。50μg(◇);150μg(●);300μg(△);400μg(■)
【図12】ViaDerm処理皮膚領域上にインスリンプリントパッチを経皮適用した後の血糖値を示す図である。インスリンHumulin(登録商標) R (Regular) (◇)、Humalog(登録商標)(Lipro) (■)。皮下投与インスリン(△)
【図13】その中でrhGHが蔗糖(●)、トレハローズ(■)またはなし(△)のいづれかを含む配合で調製されたプリントパッチを用いて、ViaDerm処理モルモット皮膚を通してのrhGHのデリバリーを示す図である。
【図14】ViaDermデバイスのコントロールユニットの上面、側面、底面を示す図である。
【図15】皮膚の中にマイクロチャンネルを作るために利用される微小電極列の写真である。
【図16】ViaDerm処理ブタの耳の皮膚のヘマトキシリンおよびエオジン染色組織切片の写真である。
【図17】マイクロチャンネルの形成後または角質層の除去後のブタの耳の皮膚からの上皮の水の損失(TEWL)を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥した医薬品組成物からの活性治療剤の経皮デリバリーシステムであって、患者の皮膚を通して活性治療剤の経皮デリバリーを容易にする装置を含み、前記装置が患者の皮膚の1つの領域に少なくとも1つのマイクロチャンネルと、乾燥した医薬品組成物中に少なくとも1つの活性治療剤とを含むパッチを作ることができるシステム。
【請求項2】
前記パッチが更に、少なくとも1つの裏当て層、接着層および微細孔ライナー層を含む請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記乾燥した医薬品組成物が親水性である請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記乾燥した医薬品組成物が少なくとも1つの親水性活性治療剤を含む請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記親水性活性治療剤が蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、成長因子、ホルモンおよびその塩からなる群から選ばれる請求項4記載のシステム。
【請求項6】
前記親水性活性治療剤がヒト成長ホルモンである請求項5記載のシステム。
【請求項7】
前記親水性活性治療剤がヒトインスリンである請求項5記載のシステム。
【請求項8】
前記乾燥した医薬品組成物が更に少なくとも1つの追加の親水性薬剤を含む請求項4記載のシステム。
【請求項9】
前記親水性薬剤がマニトールである請求項8記載のシステム。
【請求項10】
前記乾燥した医薬品組成物がヒト成長ホルモンとマニトールを含む請求項8記載のシステム。
【請求項11】
前記乾燥した医薬品組成物が更に安定剤を含む請求項8記載のシステム。
【請求項12】
前記安定剤が炭水化物、アミノ酸およびポリマーから選ばれる請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記炭水化物が蔗糖およびトレハローズから選ばれるジサッカライドである請求項12記載のシステム。
【請求項14】
前記医薬品組成物がヒト成長ホルモン、マニトールおよび蔗糖を含む請求項11記載のシステム。
【請求項15】
前記医薬品組成物がヒト成長ホルモン、マニトールおよびトレハローズを含む請求項11記載のシステム。
【請求項16】
前記活性薬剤が約22°Cで少なくとも3ヶ月間安定である請求項1〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記医薬品組成物が更に抗酸化剤、緩衝剤および保存剤から選ばれる少なくとも1つの成分を含む請求項1〜16のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
患者の皮膚を通して活性治療薬剤の経皮デリバリーを容易にする装置を含む請求項1記載のシステムであって、前記装置が
a.少なくとも1つの電極を含む電極カートリッジと、
b.電極が皮膚の近くにある時に、電極の下の領域で、角質層の剥離を生じることを可能にする通常、電流または1つ以上のスパークを発生する電気エネルギーを電極に適用するために適合されたコントロールユニットを含むメインユニットとを含むシステム。
【請求項19】
電極カートリッジが取り外し可能な請求項18記載のシステム。
【請求項20】
前記電極カートリッジが均一な形状と大きさの複数のマイクロチャンネルを発生することができる複数の電極を含む請求項18記載のシステム。
【請求項21】
前記電気エネルギーが無線周波数である請求項18記載のシステム。
【請求項22】
乾燥した医薬品組成物を含むプリントパッチ。
【請求項23】
前記パッチが更に、裏当て層、接着層および微細孔ライナー層から選択される少なくとも1つの層を含む請求項22記載のプリントパッチ。
【請求項24】
前記乾燥した医薬品組成物が親水性である請求項22記載のプリントパッチ。
【請求項25】
前記乾燥した医薬品組成物が少なくとも1つの親水性の活性治療薬剤を含む請求項24記載のプリントパッチ。
【請求項26】
前記親水性活性治療薬剤が蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、成長因子、ホルモンおよびその塩からなる群から選ばれる請求項25記載のプリントパッチ。
【請求項27】
前記親水性活性治療薬剤がヒト成長ホルモンである請求項26記載のプリントパッチ。
【請求項28】
前記親水性活性治療薬剤がヒトインスリンである請求項26記載のプリントパッチ。
【請求項29】
前記乾燥した医薬品組成物が更に少なくとも1つの追加の親水性薬剤を含む請求項25記載のプリントパッチ。
【請求項30】
前記親水性剤がマニトールである請求項29記載のプリントパッチ。
【請求項31】
前記乾燥した医薬品組成物がヒト成長ホルモンとマニトールを含む請求項29記載のプリントパッチ。
【請求項32】
前記乾燥した医薬品組成物が更に安定剤を含む請求項29記載のプリントパッチ。
【請求項33】
前記安定剤が炭水化物、アミノ酸およびポリマーから選ばれる請求項32記載のプリントパッチ。
【請求項34】
前記炭水化物が蔗糖およびトレハローズから選ばれるジサッカライドである請求項33記載のプリントパッチ。
【請求項35】
前記乾燥した医薬品組成物がヒト成長ホルモン、マニトールおよび蔗糖を含む請求項32記載のプリントパッチ。
【請求項36】
前記乾燥した医薬品組成物がヒト成長ホルモン、マニトールおよびトレハローズを含む請求項32記載のプリントパッチ。
【請求項37】
前記活性薬剤が約22°Cで少なくとも3ヶ月間安定である請求項22〜26のいずれか一項に記載のプリントパッチ。
【請求項38】
前記医薬品組成物が更に抗酸化剤、緩衝剤および保存剤から選ばれる少なくとも1つの成分を含む請求項22〜37のいずれか一項に記載のプリントパッチ。
【請求項39】
前記パッチが請求項22〜38のいずれか一項に記載のパッチである請求項1記載のシステム。
【請求項40】
活性治療薬剤を含む乾燥した医薬品組成物の経皮投与法であって、
(a)患者の皮膚の1つの領域に少なくとも1つのマイクロチャンネルを作ることと、
(b)少なくとも1つの活性治療薬剤を含む乾燥した医薬品組成物を含むパッチをマイクロチャンネルがある皮膚の領域に貼り付けることとを含む方法。
【請求項41】
活性治療薬剤を含む乾燥した医薬品組成物の経皮投与法であって、
(a)患者の皮膚の1つの領域に少なくとも1つのマイクロチャンネルを作ることと、
(b)少なくとも1つの活性治療薬剤を含む乾燥した医薬品組成物を含むパッチをマイクロチャンネルがある皮膚の領域に貼り付けることと、
(c)予め決めた期間に亘って活性薬剤の治療血中濃度を達成することとを含む方法。
【請求項42】
前記乾燥した医薬品組成物が親水性である請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記乾燥した医薬品組成物が少なくとも1つの親水性の活性治療薬剤を含む請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記親水性活性治療薬剤が蛋白質、ポリペプチド、ペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、成長因子、ホルモンおよびその塩からなる群から選ばれる請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記親水性活性治療薬剤がヒト成長ホルモンである請求項44記載のプリントパッチ。
【請求項46】
予め定めた期間が約1時間から約6時間である請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記親水性活性治療薬剤がヒトインスリンである請求項44記載の方法。
【請求項48】
予め定めた期間が約4時間から約6時間である請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記パッチが請求項22に記載のプリントパッチである請求項40〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
活性治療剤を含むプリントパッチを調製する方法であって、
a.少なくとも1つの活性治療剤を含む医薬品溶液または懸濁液を調製することと、
b.前記溶液または懸濁液の少なくとも1つの測定した容量を適切なマトリックスの上に置くことと、
c.(b)のマトリックスを(a)の活性治療剤の治療活性を維持する乾燥手段によって乾燥することとを含む方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公表番号】特表2006−509534(P2006−509534A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547955(P2004−547955)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/IL2003/000903
【国際公開番号】WO2004/039428
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(505158127)トランスファーマ メディカル リミテッド (3)
【Fターム(参考)】