説明

乾燥装置及び溶液製膜方法

【課題】幅広の流延膜について、均一に乾燥を行う。
【解決手段】流延膜30を乾燥する第2乾燥ユニットは、箱状の供給ダクトと、乾燥風402を送り出す垂直ノズル32bと、乾燥風402を吸引する吸引ダクト32cとを有する。供給ダクトは流延膜30の上方に設けられる。垂直ノズル32bは、供給ダクトの下面にて、供給ダクトから流延膜30に向けて突出する。吸引ダクト32cは、A方向へ並べられる垂直ノズル32bのB方向両側に設けられる。吸引ダクト32cには、乾燥風402を吸引する吸引口32cxが設けられる。吸引口32cxは、垂直ノズル32bに設けられた送風スリット32bxよりも、流延膜30から離れた位置に設けられる。複数の垂直ノズル32bの間に、乾燥風の吸引ルートが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置及び溶液製膜方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光透過性を有するポリマーフィルム(以下、フィルムと称する)は、軽量であり、成形が容易であるため、光学フィルムとして多岐に利用されている。中でも、セルロースアシレートなどを用いたセルロースエステル系フィルムは、写真感光用フィルムをはじめとして、近年市場が拡大している液晶表示装置の構成部材である光学フィルム(例えば、位相差フィルムや偏光板保護フィルム等)に用いられている。
【0003】
このようなフィルムは、溶液製膜方法により製造される。溶液製膜方法の概要は次の通りである。第1に、ポリマーと溶剤とを含むポリマー溶液(以下、ドープと称する)を流し、支持体上に流延膜を形成する。第2に、流延膜が自立して搬送可能な状態となるまで、流延膜から溶剤を蒸発させる。第3に、流延膜を支持体から剥がして湿潤フィルムとする。その後、湿潤フィルムから溶剤を蒸発させることにより、湿潤フィルムからフィルムを得ることができる。
【0004】
流延膜の乾燥方法として、流延膜の上方から乾燥風を吹き付ける方法が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の乾燥方法は、図14に示すように、支持体である流延バンド200により搬送される流延膜201の上方に乾燥装置202を設ける。乾燥装置202には、流延膜201に向けて乾燥風203を送り出す送風スリット202aと、乾燥風203を吸引する吸引口202bとが、流延膜201の搬送方向に向かって交互に設けられる。このような乾燥装置202を用いて、流延膜201に乾燥風203をあてることにより、流延膜201に含まれる溶剤を蒸発させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−290375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、液晶表示装置の需要の増加及びLCD用表示パネル等の大型化に伴い、幅の広い光学フィルムの製造が、光学フィルムの提供者の新たな課題となっている。
【0007】
特許文献1に記載の方法を用いる場合、流延膜の幅広化に応じて、送風スリット202a及び吸引口202bを流延膜の幅方向へ長くする必要がある。しかしながら、吸引口202bを長くすることにより、乾燥風の吸引量を幅方向において均一にすることが困難となるため、乾燥の条件が流延膜の幅方向においてばらついてしまう。このような条件の乾燥工程を経た光学フィルムは、光学特性(例えば、Re、Rth)が幅方向においてばらついてしまう。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するものであり、流延膜を幅方向において均一な条件で乾燥工程を行う乾燥装置、及びこの乾燥工程を有する溶液製膜方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の乾燥装置は、ポリマー及び溶剤を含み長手方向へ搬送される帯状の流延膜と対面するように配されたダクトと、このダクトから前記流延膜に向かって突出するように設けられ、前記移動方向に並べられたノズルと、このノズルの先端にて前記流延膜の幅方向に長く伸びるように形成され、前記ダクトからの乾燥気体を乾燥風として前記流延膜へ送り出す送風スリットと、前記移動方向においては前記ノズルの間であり、前記流延膜よりも前記幅方向両側に位置し、前記送風スリットから送り出された前記乾燥風を吸い込む吸引口とを有し、前記吸引口と前記流延膜との距離は、前記送風スリットと前記流延膜との距離よりも大きいことを特徴とする。
【0010】
前記移動方向上流側から下流側に向かって、前記送風スリットと前記吸引口とが交互に並ぶことが好ましい。また、一の前記ノズルよりも前記移動方向上流側から、前記一のノズルよりも前記移動方向下流側にかけて、前記吸引口が形成されていてもよい。
【0011】
前記吸引口は前記流延バンドに対面することが好ましい。また、前記吸引口は前記幅方向中央側を向いていてもよい。
【0012】
前記乾燥風があたる前記流延膜の残留溶剤量は、150質量%以上350質量%以下であることが好ましい。また、前記ダクトは前記流延膜の上方に設けられることが好ましい。更に、前記流延膜の幅は、600mm以上2000mm以下であることが好ましい。
【0013】
本発明は、ポリマー及び溶剤を含む流延膜から前記溶剤を蒸発させて、フィルムを得る溶液製膜方法において、長手方向に搬送される帯状の前記流延膜に対面し、前記流延膜の幅方向に長く伸び前記搬送方向に並べられた送風スリットを用いて、前記流延膜へ乾燥風を送り出す供給工程と、前記乾燥風を吸引する吸引工程とを有し、前記吸引工程では、前記流延膜との距離が前記送風スリットよりも離れ、前記流延膜よりも幅方向両側の位置から、前記乾燥風を吸引することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乾燥風を吸引する吸引口を、流延膜よりも幅方向両端側に設けたため、流延膜の幅が広くなった場合であっても、乾燥風を均一に吸引することができる。更に、吸引口と流延膜との距離が、送風スリットと流延膜との距離よりも大きいため、乾燥風の吸引による弊害を抑えることができる。したがって、本発明によれば、光学特性のばらつきが抑えられた光学フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】溶液製膜設備の概要を示す説明図である。
【図2】第1乾燥ユニット及び第2乾燥ユニットの概要を示す側面図である。
【図3】第2乾燥ユニットの概要を示す斜視図である。
【図4】第2送風ダクト及び垂直ノズルの概要を示す斜視図である。
【図5】第2乾燥ユニットの概要を示すV−V線断面図である。
【図6】垂直ノズルの先端の概要を示す断面図である。
【図7】垂直ノズルが第2乾燥風を送り出し、吸引ダクトが第2乾燥風を吸引する概要を示す斜視図である。
【図8】垂直ノズルの間に設けられた吸引断面積の概要を示す断面図である。
【図9】第1の遮風板を有する第2乾燥ユニットの概要を示す断面図である。
【図10】第2の遮風板を有する第2乾燥ユニットの概要を示す断面図である。
【図11】第2の吸引ダクトの概要を示す断面図である。
【図12】第3の吸引ダクトの概要を示す断面図である。
【図13】第4の吸引ダクトの概要を示す断面図である。
【図14】従来の乾燥装置の概要を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(溶液製膜方法)
図1に示すように、溶液製膜設備10は、流延室12とクリップテンタ13と乾燥室15と冷却室16と巻取室17とを有する。流延室12には、流延ダイ21、流延バンド22、回転ローラ23a、23b及び剥取ローラ24が設けられる。
【0017】
流延バンド22は、帯状に形成されたバンド体の長手方向の両端同士を連結することにより形成され、環状となっている。軸を中心に回転自在となっている回転ローラ23a、23bは、軸方向が水平となるように並べられる。回転ローラ23a、23bには、環状の流延バンド22が巻きかけられる。図示しないモータの駆動により、回転ローラ23a、23bのうち少なくとも一方が回転すると、回転ローラ23a、23bに巻き掛けられた流延バンド22は、所定の方向(以下、A方向と称する)へ循環移動する。
【0018】
流延ダイ21は、ポリマーと溶剤とを含むドープ28を連続的に流出するものであり、ドープ28を流出するスリット出口を先端に有する。流延ダイ21は、回転ローラ23aの上方に位置し、スリット出口が流延バンド22と対向するように配される。
【0019】
流延ダイ21、流延バンド22及び回転ローラ23a、23bは、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有する点から、SUS316製であることがより好ましい。
【0020】
流延ダイ21のスリット出口から連続して流出したドープ28は、流延バンド22上で延ばされる結果、A方向に長くのびる帯状の流延膜30を形成する。循環移動する流延バンド22により、流延膜30はA方向へ搬送される。
【0021】
第1乾燥ユニット31〜第3乾燥ユニット33は、流延バンド22の近傍において、流延ダイ21よりもA方向下流側へ順次配される。第1乾燥ユニット31〜第2乾燥ユニット32は回転ローラ23a、23bよりも上方に設けられ、第3乾燥ユニット33は回転ローラ23a、23bよりも下方に設けられる。
【0022】
第1乾燥ユニット31〜第3乾燥ユニット33は、流延膜30に向けて所定の乾燥風を送り出す。第1乾燥ユニット31〜第3乾燥ユニット33からの乾燥風により、流延膜30から溶剤が蒸発する結果、自立して搬送可能な状態となる。
【0023】
剥取ローラ24は、流延バンド22の近傍であって、第3乾燥ユニット33と流延ダイ21との間に配される。自立して搬送可能な状態となった流延膜30は剥取ローラ24により剥ぎ取られ、湿潤フィルム37として、流延室12の下流側へ案内する。
【0024】
回転ローラ23a、23bには温調装置39が接続される。温調装置39は、伝熱媒体の温度を調節する温度調節部を内蔵する。温調装置39は、温度調節部及び回転ローラ23a、23b内に設けられる流路との間で、所望の温度に調節された伝熱媒体を循環させる。この伝熱媒体の循環により、流延バンド22の温度を所望の温度に保つことができる。
【0025】
回転ローラ23aの温度は、回転ローラ23bの温度よりも低いことが好ましい。回転ローラ23aの温度は、例えば、3℃以上30℃以下であることが好ましい。また、回転ローラ23bの温度は、例えば、20℃以上50℃以下であることが好ましい。
【0026】
また、図示は省略するが、流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤を凝縮する凝縮装置、凝縮した溶剤を回収する回収装置を設けることにより、流延室12内の雰囲気に含まれる溶剤の濃度を一定の範囲に保つことができる。
【0027】
なお、ドープ28によって流延ダイ21から流延バンド22にかけて形成される流延ビードの移動方向上流側の気体を吸引する減圧チャンバを設けても良い。減圧チャンバは、流延ダイ21よりもA方向の上流側にて、流延ダイ21と隣接するように配置することが好ましい。減圧チャンバによる気体の吸引により、流延ビードの上流側の圧力が流延ビードの下流側の圧力よりも低い状態をつくることができる。流延ビードの上流側及び下流側の圧力差は、10Pa以上2000Pa以下であることが好ましい。
【0028】
流延室12の下流には、クリップテンタ13、乾燥室15、冷却室16、及び巻取室17が順に設置されている。流延室12とクリップテンタ13との間の渡り部51には、湿潤フィルム37に乾燥風をあてる送風機51aと、湿潤フィルム37を支持する支持ローラ51bとが設けられる。複数の支持ローラ51bは、湿潤フィルム37の搬送方向へ並べられている。支持ローラ51bは、図示しないモータにより、軸を中心に回転する。支持ローラ51bは、流延室12から送り出された湿潤フィルム37を支持して、クリップテンタ13へ案内する。なお、図では、渡り部51に2つの支持ローラ51bを並べた場合をしているが、本発明はこれに限られず、渡り部51に3つ以上の支持ローラ51bを並べてもよい。
【0029】
クリップテンタ13は、湿潤フィルム37に所定の処理を施すものであり、湿潤フィルム37からフィルム55を得る。クリップテンタ13から送出されたフィルム55は、乾燥室15へ送出される。
【0030】
乾燥室15には、多数のローラ57が設けられており、これらにフィルム55が巻き掛けられて搬送される。乾燥室15内の雰囲気の温度や湿度などは、図示しない空調機により調節されている。乾燥室15ではフィルム55の乾燥処理が行われる。乾燥室15には吸着回収装置58が接続する。吸着回収装置58は、フィルム55から蒸発した溶剤を吸着により回収する。
【0031】
冷却室16は、フィルム55の温度が略室温となるまで、フィルム55を冷却する。冷却室16及び巻取室17の間では、上流側から順に、除電バー59、ナーリング付与ローラ60、及び耳切装置61が設けられる。除電バー59は、冷却室16から送り出され、帯電したフィルム55から電気を除く除電処理を行う。ナーリング付与ローラ60は、フィルム55の幅方向両端に巻き取り用のナーリングを付与する。耳切装置61は、切断後のフィルム55の幅方向両端にナーリングが残るように、フィルム55の幅方向両端を切断する。
【0032】
巻取室17には、プレスローラ64と巻き芯65を有する巻取機66とが設置されており、巻取室17に送られたフィルム55は、プレスローラ64によって押し付けられながら巻き芯65に巻き取られ、ロール状となる。
【0033】
図2に示すように、第1乾燥ユニット31は、図示しない供給ユニットにより乾燥気体を供給される第1供給ダクト31aと、第1供給ダクト31aに供給された乾燥気体を第1乾燥風401として送り出す斜めノズル31bとからなる。斜めノズル31bは、第1供給ダクト31aの下面に設けられ、複数の斜めノズル31bはA方向に並ぶ。図示しないコントローラにより、所定の温度、所定の風速の第1乾燥風401が、斜めノズル31bから流延膜30に向かって送り出され、流延膜30から溶剤が蒸発する。
【0034】
斜めノズル31bは、乾燥風401の噴射方向が方向Aと鋭角になるように配されることが好ましい。これにより、斜めノズル31bから送り出された乾燥風401が流延ダイ21側に流れ、流延ダイ21及び流延バンド22の間に形成された流延ビードが振動することを防ぐことができる。
【0035】
図2及び図3に示すように、第2乾燥ユニット32は、供給ユニット32pにより乾燥気体を供給される第2供給ダクト32aと、第2供給ダクト32aに供給された乾燥気体を第2乾燥風402として送り出す垂直ノズル32bと、第2乾燥風402を吸引する吸引ダクト32cとからなる。
【0036】
図4及び図5に示すように、第2供給ダクト32aは、箱状に形成され、流延バンド22を覆うように設けられる。垂直ノズル32bは、第2供給ダクト32aの下面32auに設けられ、下面32auにおいてA方向に並び、下面32auから流延膜30に向かって突出するように設けられる。
【0037】
垂直ノズル32bの先端には、第2乾燥風402が送り出される送風スリット32bxが設けられる。送風スリット32bxは、流延膜30の幅方向(以下、B方向と称する)へ長く伸びる。垂直ノズル32bは、乾燥風402の噴射方向が方向Aと略直角となるように設けられる。これにより、斜めにした場合に比べ、熱伝達係数、物質移動係数を高くすることができ、結果として、乾燥の効率を高くすることができる。
【0038】
B方向における送風スリット32bxの長さL1は、流延膜30のB方向全域に乾燥風402が送り出せる程度のものであればよく、例えば、流延膜30の幅と等しいまたは流延膜30の幅よりも長いことが好ましい。また、第2供給ダクト32aのB方向の長さも、流延膜30の幅と等しいまたは流延膜30の幅よりも長いことが好ましい。
【0039】
図6に示すように、送風スリット32bxから第2乾燥風402が送り出されると、送風スリット32bx近傍にある空気が巻き込まれる結果、この空気が第2乾燥風402とともに流延膜30にあたってしまう(図6(A)参照)。この結果、第2乾燥風402の条件の調節により、流延膜30の乾燥条件を調節することが困難となる。このため、垂直ノズル32bにおいて、送風スリット32bxの周縁において、折り返し部32byを設けることが好ましい(図6(B)参照)。折り返し部32byにより、送風スリット32bx近傍にある空気が第2乾燥風402とともに流延膜30にあたってしまうことを防ぐことができる。
【0040】
図5及び図7に示すように、吸引ダクト32cは、A方向における垂直ノズル32bの間であって、垂直ノズル32bよりもB方向両側に設けられることが好ましい。吸引ダクト32cには、第2乾燥風402を吸引する第2吸引口32cxが設けられる。第2吸引口32cxは、送風スリット32bxよりも上方に位置する。第2吸引口32cxの開口方向は、B方向中央側であることが好ましい。
【0041】
図1に戻って、第3乾燥ユニット33は、図示しない供給ユニットから供給された乾燥気体を第3乾燥風403として、流延膜30に向けて送り出す平行ノズル33aと、第3乾燥風403を吸引する吸引ノズル33bとからなる。平行ノズル33aと吸引ノズル33bとは、A方向上流側から下流側に向けて順次設けられる。平行ノズル33aは、第3乾燥風403を送り出す第3供給口33axを有し、この第3供給口33axは、A方向下流側に向かって開口する。吸引ノズル33bは、第3乾燥風403を吸引する第3吸引口33bxを有し、この第3吸引口33bxは、A方向上流側に向かって開口する。平行ノズル33aと吸引ノズル33bとにより、第3乾燥風403を流延膜30と略平行に流すことができる。
【0042】
次に、本発明の作用について説明する。溶液製膜設備10において、流延室12では、膜形成工程、膜乾燥工程、及び剥ぎ取り工程が順次行われる。また、クリップテンタ13や乾燥室15では、フィルム乾燥工程が行われ、巻取室17では、巻取工程が行われる。以下、各工程の詳細について説明する。
【0043】
(膜形成工程)
流延室12では、流延ダイ21は、A方向へ循環移動する流延バンド22に向けて、ドープ28を連続的に流出する。流延バンド22には、ドープ28からなる流延膜30が形成される。
【0044】
(膜乾燥工程)
流延膜30は、流延バンド22により、A方向へ搬送される。搬送速度は、例えば、10m/分以上60m/分以下である。第1〜第3乾燥ユニット31〜33は、流延バンド22によって搬送される流延膜30に向けて、所定の乾燥風401〜403を送る。各乾燥風401〜403との接触により、流延膜30から溶剤が蒸発する。なお、膜乾燥工程の詳細は後述する。
【0045】
(剥取工程)
剥取ローラ24は、膜乾燥工程を経て、自立して搬送可能な状態となった流延膜30を湿潤フィルム37として剥ぎ取り、渡り部51を介して、クリップテンタ13へ案内する。
【0046】
剥ぎ取り時の流延膜30の残留溶剤量は、25重量%以上50重量%以下であることが好ましい。なお、本発明では、流延膜30や各フィルム中に残留する溶剤量を乾量基準で示したものを残留溶剤量とする。また、その測定方法は、対象のフィルムからサンプルを採取し、このサンプルの重量をx、サンプルを乾燥した後の重量をyとするとき、{(x−y)/y}×100で算出する。
【0047】
(フィルム乾燥工程及び巻取工程)
クリップテンタ13は、湿潤フィルム37の両端を保持して、湿潤フィルム37を搬送する。更に、クリップテンタ13は、湿潤フィルム37に乾燥風をあてて、湿潤フィルム37から溶剤を蒸発させる。この結果、湿潤フィルム37からフィルム55を得ることができる。耳切装置47は、クリップテンタ13から送り出されたフィルム55の両端を切断する。両端が切り離されたフィルム55は、乾燥室15及び冷却室16を順次通過し、各室において所定の処理が施される。冷却室16から送り出されたフィルム55には、除電バー59による除電処理、ナーリング付与ローラ60によるナーリング付与処理、耳切装置61による耳切処理が順次施される。巻取室17に送られたフィルム55は、プレスローラ64によって押し付けられながら巻き芯65に巻き取られ、ロール状となる。
【0048】
次に、膜乾燥工程の詳細について説明する。膜乾燥工程では、第1乾燥風401による第1膜乾燥工程と、第2乾燥風402による第2膜乾燥工程と、第3乾燥風403による第3膜乾燥工程とが順次行われる。
【0049】
(第1膜乾燥工程)
図1及び図2に示すように、第1乾燥ユニット31は、流延膜30へ第1乾燥風401を送る。第1乾燥風401との接触により、流延膜30から溶剤が蒸発する。第1膜乾燥工程は、残留溶剤量が250質量%以上400質量%以下の流延膜30に対して行うことが好ましく、残留溶剤量が300質量%以上350質量%以下の流延膜30に対して行うことがより好ましい。第1乾燥風401の温度は30℃以上80℃以下であることが好ましい。また、第1乾燥風401の風速は5m/秒以上25m/秒以下であることが好ましい。
【0050】
(第2膜乾燥工程)
垂直ノズル32bは、第2乾燥風402を流延膜30に向けて送り出す。第2乾燥風402との接触により、流延膜30から溶剤が蒸発する。第2膜乾燥工程は、残留溶剤量が150質量%以上300質量%以下の流延膜30に対して行うことが好ましい。第2乾燥風402の温度は30℃以上80℃以下であることが好ましい。また、第2乾燥風402の風速は5m/秒以上25m/秒以下であることが好ましい。
【0051】
(第3膜乾燥工程)
第3乾燥ユニット33は、流延膜30へ第3乾燥風403を送る。第3乾燥風403との接触により、流延膜30から溶剤が蒸発する。第3膜乾燥工程は、残留溶剤量が20質量%以上150質量%以下の流延膜30に対して行うことが好ましい。第3乾燥風403の温度は40℃以上80℃以下であることが好ましい。また、第3乾燥風403の風速は5m/秒以上20m/秒以下であることが好ましい。
【0052】
図7に示すように、第2乾燥風402を吸引する第2吸引口32cxは、A方向における垂直ノズル32bの間、かつ、流延膜30よりもB方向両側に設けられ、送風スリット32bxよりも上方に位置するため、流延膜30及び第2乾燥ユニット32の間において、A方向へ並ぶ垂直ノズル32bに挟まれる空間が、第2乾燥風402の吸引ルート70(図8参照)となる。
【0053】
このように、A方向における垂直ノズル32bの間、かつ、流延膜30よりもB方向両側に、第2吸引口32cxを設けたため、送風スリット32bxの長大化に応じて、第2吸引口32cxの長大化を行わずに済む。したがって、本発明によれば、第2乾燥風402をB方向において均一に吸引することができる。
【0054】
更に、送風スリット32bxの長大化に伴い、第2吸引口32cxにおける吸引量を増大する必要があるが、第2吸引口32cxと流延膜30とが近い場合には、吸引される乾燥風402の流れた方向にスジ等が形成され、最終的に得られるフィルム55の面状が悪化してしまう。本発明によれば、第2吸引口32cxが送風スリット32bxに比べて流延膜30から離れているため、吸引量を増大させても、乾燥風402の吸引に起因するフィルム55の面状の悪化を回避することができる。
【0055】
図8に示すように、第2供給ダクト32aと流延バンド22との間において、隣り合う垂直ノズル23bにより挟まれる吸引ルート70の断面積(以下、排気断面積と称する)S1と、送風スリット32bxの開口面積S2との比(=S1/S2)は、15以上であることが好ましく、25以上であることがより好ましい。
【0056】
また、吸引口32cxと流延膜30との距離CL1と送風スリット32bxと流延膜30との距離CL2との比(=CL1/CL2)は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましい。
【0057】
なお、図9及び図10に示すように、垂直ノズル32bのB方向両側に遮風板80を設けてもよい。遮風板80は、吸引ルートのうち、B方向両側から露呈する部分全体を塞ぐように設けても良いし(図9参照)、B方向両側から露呈する部分の一部を塞ぐように設けてもよい(図10参照)。このように遮風板80を設けることにより、乾燥風が外部へ流出しにくくなるため、吸引ルートの圧力が第2乾燥ユニットの外部の圧力よりも高い状態を維持することができる。そして、吸引ルートの圧力を高い状態に維持することにより、第2乾燥ユニットの外部にある空気が吸引ルートへ流入することを防ぐことができるため、結果として、乾燥条件を均一に維持することが容易となる。なお、遮風板80に代えて、ブロック状等の遮風部材を用いても良い。
【0058】
上記実施形態では、吸引口32cxをB方向内側に設けたが、本発明はこれに限られず、吸引口32cxを下向き、すなわち、流延バンド22と対向するように設けてもよい(図11参照)。
【0059】
上記実施形態では、垂直ノズル32bの間に吸引ダクト32cを複数設けたが、本発明はこれに限られない。複数の吸引ダクト32cを一体として設けても良い(図12及び図13参照)。なお、第2乾燥風402の流れを安定化させるためには、垂直ノズル32bにおける第2乾燥風402の供給と、吸引ダクト32cにおける第2乾燥風402の吸引とのバランスを調節する必要がある。第2乾燥風402の供給と吸引とのバランスの調節の容易さの観点では、吸引ダクト32cを垂直ノズル32bごとに設けたほうが好ましい。
【0060】
上記実施形態では、吸引ダクト32cを垂直ノズル32bよりもB方向両側に設けたが、本発明はこれに限られず、吸引ダクト32cを流延膜30よりもB方向両側に設ければよい。
【0061】
上記実施形態では、第2乾燥ユニット32を用いて、流延バンド22の上面にある流延膜30を乾燥したが、本発明はこれに限られず、流延バンド22の下面にある流延膜30を乾燥してもよい。図1に示す溶液製膜設備10の場合には、第3乾燥ユニット33に代えて、第2乾燥ユニット32と同一の構造のものを用いても良い。すなわち、吸引口32cxが、垂直ノズル32bの間に位置していてもよい。
【0062】
本発明により得られるフィルム55は、特に、位相差フィルムや偏光板保護フィルムに用いることができる。
【0063】
フィルム55の幅は、600mm以上であることが好ましく、1400mm以上2500mm以下であることがより好ましい。また、本発明は、フィルム55の幅が2500mmより大きい場合にも効果がある。またフィルム55の膜厚は、30μm以上120μm以下であることが好ましい。
【0064】
また、フィルム55の面内レターデーションReは、20nm以上300nm以下であることが好ましく、フィルム55の厚み方向レターデーションRthは、−100nm以上300nm以下であることが好ましい。
【0065】
面内レターデーションReの測定方法は次の通りである。面内レターデーションReは、サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、自動複屈折率計(KOBRA21DH 王子計測(株))にて632.8nmにおける垂直方向から測定したレターデーション値を用いた。なおReは以下式で表される。
Re=|n1−n2|×d
n1は遅相軸の屈折率,n2は進相軸2の屈折率,dはフィルムの厚み(膜厚)を表す
【0066】
厚み方向レターデーションRthの測定方法は次の通りである。サンプルフィルムを温度25℃,湿度60%RHで2時間調湿し、エリプソメータ(M150 日本分光(株)製)で632.8nmにより垂直方向から測定した値と、フィルム面を傾けながら同様に測定したレターデーション値の外挿値とから下記式に従い算出した。
Rth={(n1+n2)/2−n3}×d
n3は厚み方向の屈折率を表す。
【0067】
(ポリマー)
上記実施形態では、ポリマーフィルムの原料となるポリマーは、特に限定されず、例えば、セルロースアシレートや環状ポリオレフィン等がある。
【0068】
(セルロースアシレート)
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでも良いし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていても良い。2種類以上のアシル基を用いるときは、その1つがアセチル基であることが好ましい。セルロースの水酸基をカルボン酸でエステル化している割合、すなわち、アシル基の置換度が下記式(I)〜(III)の全てを満足するものが好ましい。なお、以下の式(I)〜(III)において、A及びBは、アシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、トリアセチルセルロース(TAC)の90重量%以上が0.1mm〜4mmの粒子であることが好ましい。
(I) 2.0≦A+B≦3.0
(II) 1.0≦ A ≦3.0
(III) 0 ≦ B ≦2.0
【0069】
アシル基の全置換度A+Bは、2.20以上2.90以下であることがより好ましく、2.40以上2.88以下であることが特に好ましい。また、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度Bは、0.30以上であることがより好ましく、0.5以上であることが特に好ましい。
【0070】
セルロースアシレートの原料であるセルロースは、リンター,パルプのどちらから得られたものでも良い。
【0071】
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でも良く特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していても良い。これらの好ましい例としては、プロピオニル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、トリデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、iso−ブタノイル、t−ブタノイル、シクロヘキサンカルボニル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、プロピオニル、ブタノイル、ドデカノイル、オクタデカノイル、t−ブタノイル、オレオイル、ベンゾイル、ナフチルカルボニル、シンナモイルなどがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル、ブタノイルである。
【0072】
(溶剤)
ドープを調製する溶剤としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。なお、本発明において、ドープとはポリマーを溶剤に溶解または分散して得られるポリマー溶液,分散液を意味している。
【0073】
これらの中でも炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素が好ましく用いられ、ジクロロメタンが最も好ましく用いられる。ポリマーの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フィルムの機械的強度など及びフィルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを1種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶剤全体に対し2重量%〜25重量%が好ましく、5重量%〜20重量%がより好ましい。アルコールの具体例としては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられるが、メタノール,エタノール,n−ブタノールあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0074】
ところで、最近、環境に対する影響を最小限に抑えることを目的に、ジクロロメタンを使用しない場合の溶剤組成についても検討が進み、この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステル、炭素数1〜12のアルコールが好ましく用いられる。これらを適宜混合して用いることがある。例えば、酢酸メチル,アセトン,エタノール,n−ブタノールの混合溶剤が挙げられる。これらのエーテル、ケトン,エステル及びアルコールは、環状構造を有するものであってもよい。また、エーテル、ケトン,エステル及びアルコールの官能基(すなわち、−O−,−CO−,−COO−及び−OH)のいずれかを2つ以上有する化合物も、溶剤として用いることができる。
【0075】
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]段落から[0195]段落に記載されている。これらの記載も本発明にも適用できる。また、溶剤及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤(UV剤),光学異方性コントロール剤,レターデーション制御剤,染料,マット剤,剥離剤,剥離促進剤などの添加剤についても、同じく特開2005−104148号の[0196]段落から[0516]段落に詳細に記載されている。
【実施例】
【0076】
(実験1)
図1に示す溶液製膜設備10において、フィルム55をつくった。流延室12では、流延ダイ21を用いて流延バンド22上にドープを流延し、流延バンド22上に流延膜30を形成した。このときの流延幅は1800mmであった。その後、第1〜第3乾燥ユニット31〜33を用いて、流延膜30の乾燥を行った。A方向における送風スリット32bxの間隔は5mmであり、B方向における送風スリット32bxの長さL1(図5参照)は1800mm、CL1(図8参照)は150mm、CL2(図8参照)は150mmであった。そして、ノズル32bから、温度が50℃の第2乾燥風402を風速20m/秒で噴出した。
【0077】
(実験2)
CL1を250mmとしたこと以外は実験1と同様にしてフィルム55をつくった。
【0078】
(実験3)
CL1を350mmとしたこと以外は実験1と同様にしてフィルム55をつくった。
【0079】
(実験4)
吸引ダクト32cとして、図13に示すものを用いたこと、及びCL1を250mmとしたこと以外は実験1と同様にしてフィルム55をつくった。
【0080】
(実験5)
第2乾燥ユニット32として、図14に示す乾燥装置202を用いたこと以外は実験1と同様にしてフィルム55をつくった。
【0081】
(実験6)
第2膜乾燥工程時間に要する時間を40秒増やしたこと以外は実験5と同様にしてフィルム55をつくった。
【0082】
(評価)
実験1〜6で得られたフィルム55について、以下の項目について評価を行った。
【0083】
1.面状評価
シュリーレン法を用いて、得られたフィルムにおいてスジが観察できたか否かを調べた。評価は、以下基準に基づいて行った。
○:スジが観察できなかった。
×:スジが観察された。
【0084】
2.乾燥効率
剥ぎ取り時の流延膜における残留溶剤量ZY1を測定した。
【0085】
3.Rth測定
フィルムの厚み方向のレターデーションRthを、幅方向において測定し、レターデーションRthのばらつきΔRthの値を算出した。ΔRthは、レターデーションRthの測定値の平均値をXavとし、レターデーションRthの測定値の最大値をXmaxとし、レターデーションRthの測定値の最小値をXminとするときに、{(Xmax−Xmin)/Xav}×100で表される。
【0086】
実験1〜6において膜乾燥工程に要した時間及び評価結果を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
実験5において、剥ぎ取り時における流延膜の残留溶剤量ZY1が41質量%であったため、得られたフィルムにおいて、剥ぎ取り張力に起因する遅相軸のばらつきがみられた。一方、実験1〜4において、剥ぎ取り時の流延膜は乾燥が進んでいたため、最終的に得られたフィルムにおいて、剥ぎ取り張力に起因する遅相軸のばらつきがみられなかった。実験5の条件下で、剥ぎ取り時の流延膜の残留溶剤量ZY1が実験1〜4と同程度となるためには、第2膜乾燥工程に要する時間を増やさなければならない。実験5及び6の結果より、本発明によれば、従来の乾燥方法にくらべ第2膜乾燥工程を40秒短縮できたといえる。したがって、本発明によれば、従来に比べ、効率良く流延膜の乾燥を行うことができるといえる。
【符号の説明】
【0089】
10 溶液製膜設備
22 流延バンド
30 流延膜
32 第2乾燥ユニット
32a 第2供給ダクト
32b 垂直ノズル
32bx 送風スリット
32c 吸引ダクト
32cx 吸引口
55 フィルム
402 第2乾燥風

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー及び溶剤を含み長手方向へ搬送される帯状の流延膜と対面するように配されたダクトと、
このダクトから前記流延膜に向かって突出するように設けられ、前記移動方向に並べられたノズルと、
このノズルの先端にて前記流延膜の幅方向に長く伸びるように形成され、前記ダクトからの乾燥気体を乾燥風として前記流延膜へ送り出す送風スリットと、
前記移動方向においては前記ノズルの間であり、前記流延膜よりも前記幅方向両側に位置し、前記送風スリットから送り出された前記乾燥風を吸い込む吸引口とを有し、
前記吸引口と前記流延膜との距離は前記送風スリットと前記流延膜との距離よりも大きいことを特徴とする乾燥装置。
【請求項2】
前記移動方向上流側から下流側に向かって、前記送風スリットと前記吸引口とが交互に並ぶことを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
一の前記ノズルよりも前記移動方向上流側から、前記一のノズルよりも前記移動方向下流側にかけて、前記吸引口が形成されることを特徴とする請求項1記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記吸引口は前記流延バンドに対面することを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記吸引口は前記幅方向中央側を向くことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥風があたる前記流延膜の残留溶剤量は、150質量%以上350質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし5のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記ダクトは前記流延膜の上方に設けられることを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記流延膜の幅は、1500mm以上2400mm以下であることを特徴とする請求項1ないし7のうちいずれか1項記載の乾燥装置。
【請求項9】
ポリマー及び溶剤を含む流延膜から前記溶剤を蒸発させて、フィルムを得る溶液製膜方法において、
長手方向に搬送される帯状の前記流延膜に対面し、前記流延膜の幅方向に長く伸び前記搬送方向に並べられた送風スリットを用いて、前記流延膜へ乾燥風を送り出す供給工程と、
前記乾燥風を吸引する吸引工程とを有し、
前記吸引工程では、前記流延膜との距離が前記送風スリットよりも離れ、前記流延膜よりも幅方向両側の位置から、前記乾燥風を吸引することを特徴とする溶液製膜方法。
【請求項10】
前記乾燥風があたる前記流延膜の残留溶剤量は、150質量%以上350質量%以下であることを特徴とする請求項9記載の溶液製膜方法。
【請求項11】
前記流延膜の幅は、1500mm以上2400mm以下であることを特徴とする請求項9または10記載の溶液製膜方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−30481(P2012−30481A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−171922(P2010−171922)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】