説明

乾燥装置

本発明は、外ケース(12)と、物品を乾燥させることができるキャビティ(16)を構成する外ケース(12)の一部分と、キャビティ(16)の下端部のところに設けられた出口(26)とを有する乾燥装置(10)を提供する。取り外し可能な液体処理モジュール(30)が、出口(26)の下流側に且つ外ケース(12)内に配置され、この液体処理モジュールは、液体分散ユニット(35)を有する。取り外し可能な液体処理モジュール(30)を提供することにより、液体処理モジュール(30)を過度の負担なく未熟練ユーザでも容易且つ迅速に交換できる。本発明は、ハンドドライヤへの使用に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に関する。特に、本発明は、廃液、例えば水を収集し、処理し、そして処分する液体処理モジュールを有する乾燥装置に関するが、これには限定されない。
【背景技術】
【0002】
乾燥装置、例えばハンドドライヤから廃水を集めてこれを除去する従来の構成が、例えば米国特許第5,459,944号明細書から周知である。廃液は、ダクト又はこれに類似した手段を介して集められ、滴下型収集器に送られ、次に手作業で除去される。かかる廃液の貯留は、非衛生的であり、これが原因となって細菌が広がる場合があり、又、滴下型収集器を空にして清潔な環境を維持するよう定期的な保守が必要である。
【0003】
蒸発を促進する広い表面積を備えた抗菌性水吸収シートの追加が、日本国特開平11−18999(A)号公報から知られている。これは、細菌による汚染の問題のうちの幾つかに取り組み、その結果、水収集器を頻繁に空にする必要性は少なくなった。しかしながら、廃水は、所望の時間よりも長い時間にわたりハンドドライヤ内に依然として存在し、依然として保守が必要である。
【0004】
別の構成としては、熱源の使用による廃水の蒸発が挙げられる。これは又、空気の流れと関連して利用できる。これら技術は、日本国特許出願公開2002−345681(A)号公報から知られている。電気コンポーネントの使用は、これらコンポーネントが保守又は交換を必要とする場合、ベテランのエンジニアにより機械を補修しなければならないということを意味する場合が多い。これは、時間がかかり、結果的に、相当長い期間にわたり機械を使えなくなる。これは、不便であり、しかも消費者にとって潜在的にコスト高である。
【0005】
本発明の目的は、液体を収集して分散させることができ、又、使用にあたり、先行技術の装置よりも迅速且つ容易に保守できる乾燥装置を提供することにある。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,459,944号明細書
【特許文献2】日本国特開平11−18999(A)号公報
【特許文献3】日本国特許出願公開2002−345681(A)号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明は、乾燥装置であって、外ケースと、物品を乾燥させることができるキャビティを構成する外ケースの一部分と、キャビティの下端部のところに設けられた出口と、出口の下流側に配置された液体処理モジュールとを有し、液体処理モジュールは、液体分散ユニットを有し、液体処理モジュールが、乾燥装置から取り外し可能であることを特徴とする乾燥装置を提供する。一ユニットとして取り外し可能である液体処理モジュールを提供することにより、乾燥装置を過度の負担なく未熟練ユーザでも容易且つ迅速に保守できる。
【0008】
好ましくは、乾燥装置は、液体処理モジュールを取り出し可能に受け入れるチャンバを更に有し、液体処理モジュールを乾燥装置に電気的に接続するための電気コネクタが、チャンバ内に且つ液体処理モジュールに取り付けられた状態で設けられている。これにより、液体処理モジュールを乾燥装置内に容易に設置することができ、しかも、電気接続部を液体処理モジュールがチャンバ内に挿入されると自動的に作ることができる。さらに、液体処理モジュール内に設けられた電子コンポーネントは、単に液体処理モジュールを交換することにより未熟練者によって容易に交換できる。
【0009】
好ましくは、電気接続部は、液体処理モジュールが乾燥装置から取り外された場合、ユーザにとって接近不能であるように配置される。これにより、液体処理モジュールを取り外したときに、生きている電気コネクタに接近可能である場合に生じ得るユーザに対する外傷の恐れが阻止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0011】
図1a及び図1bは、本発明のハンドドライヤ10を示している。ハンドドライヤ10は、外ケース12と、前壁14aと、後壁14bと、2つの側壁14c,14dと、キャビティ16とを有している。後壁14bは、ハンドドライヤ10を壁面又は他の適当な固定具に取り付けるのに適した要素を有するのが良い。ハンドドライヤ10を電源に接続する要素も又、設けられるのが良い。
【0012】
キャビティ16は、対向した弧状の前壁16aと後壁16bで構成されている。キャビティ16は、その上端部18のところが開口しており、開口部の寸法は、ユーザの手(図示せず)を乾燥のためにキャビティ16に容易に挿入することができるのに十分である。高速空気流が、ファンを備えたモータユニット(図示せず)によって生じる。モータユニット及びファンは、外ケース12の内部に配置される。高速空気流は、キャビティ16の上端部18のところに設けられた2つのスロット状開口部20を通って放出されてユーザの手を乾燥させる。これらの特徴は、本発明にとって重要ではないので、これらについてはこれ以上説明しない。キャビティ16は、図1a及び図1bで理解できるように側部が開口している。
【0013】
図2で理解できるように、排水チャネル22が、キャビティ16の下端部24のところに配置されている。排水チャネル22は、キャビティ16の前壁16a及び後壁16bの下縁部によって画定されていて、キャビティ16の一方の側部に向かって下方に傾斜している。出口26が、排水チャネル22に設けられている。出口26は、任意適当な形態を取ることができる。この実施形態では、この出口は、中央の栓26aを備えた円形孔から成る。出口26及び栓26aは、幅の狭い環状の開口部を画定する。
【0014】
図2及び図3を参照すると、チャンバ40が、キャビティ16の下で外ケース12の下方部分に形成されている。チャンバ40は、複数のチャンバ壁40aにより画定され、このチャンバは、開口した下端部を有している。液体処理モジュール30が、チャンバ40内に配置されており、この液体処理モジュールは、クリップ、4分の1回転(クォーターターン)形締結具又は他の締結具手段(図示せず)によって定位置に保持されている。
【0015】
図3及び図4を参照すると、液体処理モジュール30は、通路34内に配置されたフィルタ33を有している。通路34は、液体処理モジュール30がチャンバ40内に配置されたときに出口26に通じる開口した上端部を有している。フィルタ33は、粒子及び不純物を水から濾過すると共に水中の細菌を殺菌するよう設計されている。フィルタ33は、沃素含有樹脂を含浸させたセラミック材料から成る。セラミック材料は、望ましく不純物及び粒子を除去するために特定のサイズの細孔を有する。沃素含有樹脂は、水中に存在する細菌を殺菌する殺菌化合物としての役目を果たす。
【0016】
液体処理モジュール30は、フィルタ33の下に配置された液体分散ユニット35を更に有している。開口部36が、通路34の下端部のところに設けられていて、かかる開口部により、水は、液体分散ユニット35内に流入することができる。液体分散ユニット35内に配置された排出導管37が、液体分散ユニット35からハンドドライヤ10の外ケース12の外部への連絡経路となっている。液体分散ユニット35は、第1の出口208からの水を収集する収集器100を更に有している。収集器100は、ベース100aを有している。圧電装置102の形態をした高周波攪拌器が、ベース100aのところに配置されている。ファン104が、チャンバ壁40aのうちの1つで支持されている。ファン104は、液体処理モジュール30とは別個にチャンバ40の外部に配置されている。ファン104は、液体処理モジュール30に設けられた孔38を通って空気流を収集器100内に差し向けるよう構成されている。
【0017】
図4及び図5aを参照すると、電気コネクタ32が、液体処理モジュール30の上方に向いた表面31に設けられている。電気コネクタ32は、上向きの表面31から液体処理モジュール30の上端部に向かって上方に突き出ている。液体処理モジュール30がチャンバ40内に配置されると、電気コネクタ32は、チャンバ40の側壁40aのうちの1つに取り付けられた案内41によって受け入れられる。電気コネクタ42は、案内41の上端部のところに配置される。案内41の幅及び長さ並びに電気コネクタ42の位置は、電気コネクタ42が探りを行っている指に接近不能であるように選択される。液体処理モジュール30がチャンバ40内に配置されると(図2及び図3に示すように)、電気コネクタ32は、電力を液体処理モジュール30に供給するために、電気コネクタ42と接触関係をなす。
【0018】
使用にあたり、乾燥プロセス中にユーザの手から除去された水は、キャビティ16の前壁16a及び後壁16bに沿って流下してキャビティ16の下端部24のところに設けられた排水チャネル22内に流入する。排水チャネル22は、水を集めてこれを出口26に向かって案内する。
【0019】
水は、出口26に流入すると、通路34内に流入し、フィルタ33を通り、開口部36を通って収集器100内に流入する。フィルタ33内のセラミック化合物は、水をきれいにするために不純物及び粒子を水から除去する。さらに、フィルタ33内の沃素含浸樹脂は、水中の細菌を殺菌することにより水を滅菌する。清浄にされて滅菌された水は、圧電装置102と連絡状態にある収集器100のベース100aのところに集まる。圧電装置102は、所定の周波数及び振幅で振動するよう設定されており、その結果、十分な振動エネルギーが収集器100内の水の表面上の水粒子に与えられて表面張力の効果に打ち勝つようになっている。したがって、水は、収集器100の内部空間内の細かいミストになる。
【0020】
ファン104は、空気流を収集器100内に下方に差し向ける。これにより、細かいミストは、外ケース12の外部に通じている排出導管37の方に差し向けられてこれを流下する。このプロセスは、収集器100内に収容された水が全て収集器100から効率的且つ衛生的に除去されるまで続く。
【0021】
図5a及び図5bは、保守又は交換のために液体処理モジュール30を外ケース12から取り外す仕方を示している。液体処理モジュール30をハンドドライヤ10から下方に取り出す。これが行われると、電気コネクタ32,42は、液体処理モジュール30が完全に取り外される前に互いに切り離される。これにより、電気ショックの恐れが減少する。さらに、電気コネクタ42は、液体処理モジュール30がチャンバ40から取り出されると、これら電気コネクタがユーザにとって接近可能ではないように位置決めされると共に(或いは)構成されている。
【0022】
交換用の液体処理モジュール30をチャンバ40内に上方に挿入することができる。これが行われると、電気コネクタ32は、チャンバ40の内部に設けられた案内41によって受け入れられる。液体処理モジュール30がチャンバ40内に配置されると、電気コネクタ32は、チャンバ40内に設けられている電気コネクタ40に接触し、すると、電力を液体処理モジュール30に供給することができる。
【0023】
本発明により、ハンドドライヤ10を容易に保守することができる。液体処理モジュール30を未熟練者でもハンドドライヤ10から簡単且つ迅速に取り外すことができ、交換が必要な場合、交換用モジュールを挿入することができる。これは、液体処理モジュール30が電子コンポーネントを収容しているので消費者にとって有利であるが、電子コンポーネントは、故障した場合、結果的に相当な作動停止期間を招くと共に熟練エンジニアを呼ぶことになる。しかしながら、液体処理モジュール30が性質上、取り外し可能であることにより、液体処理モジュール30は、ハンドドライヤ10を迅速に供用状態に戻すことができるよう交換可能である。
【0024】
理解されるように、本発明は、上述の細部そのものに限定されることはない。当業者には、他の変形例及び改造例が明らかであろう。
【0025】
例えば、乾燥装置は、ハンドドライヤの形態を取る必要はない。乾燥装置は、凝縮器型洗濯物用乾燥機であっても良い。かかる洗濯物用乾燥機では、洗濯物用乾燥機のドラム(キャビティ)内の濡れた織物又は編織布から蒸発した水を凝縮させ、濾過ユニットにより濾過し、次に、攪拌又は蒸発により除去することができる。もし保守又は交換が必要になった場合、液体処理モジュールを洗濯物用乾燥機から取り外すことができる。
【0026】
さらに、本発明は、他の形式の乾燥装置、例えば、他の形式の家庭用又は商用乾燥装置、例えば洗濯機用乾燥機、換気型洗濯物用乾燥機又はフルレングスボディ型乾燥機に利用できる。
【0027】
加うるに、他形式の液体分散ユニット、例えば、超音波発生器、ファン、発熱体(加熱エレメント)又は電気分解装置を用いて収集された液体を分散させることができる。これら装置のどれも、必要に応じて水(又は他の液体)を攪拌し、蒸発させ又は電気分解するために圧電装置に代えて使用できる。
【0028】
液体処理モジュールは、乾燥装置内に設けられたチャンバ内に配置される必要はない。他の構成も可能であり、例えば、液体処理モジュールは、乾燥装置の外ケースの一部をなしても良く、かかる外ケースに取り付けられても良く、或いは、外ケースの外部に設けられても良い。
【0029】
さらに、液体処理モジュールは、乾燥装置の下方部分から取り出される必要はない。液体処理モジュールは、乾燥装置の上方側部又は頂部の一部をなしても良く、この場合、これを乾燥装置の要件に応じて側方に又は上方に取り外すことができる。
【0030】
別の変形例として、他形式の空気流発生器の使用が可能である。例えば、空気ブリード又は排出空気流をモータユニットから取っても良い。例えば、ハンドドライヤの乾燥プロセスを駆動するモータユニットは、ファンを有している。このファンを用いると、追加のファンを用いないで、空気流を発生させて蒸発した水を乾燥装置の外部に抜くことができる。
【0031】
加うるに、フィルタは、沃素含有樹脂を含浸したセラミックフィルタである必要はない。他形式の濾過材、例えば、ガラス繊維又はプラスチックブラシを使用することができる。さらに、フィルタを別の細菌殺菌媒体、例えば、二酸化チタン又はUV放射線活性化銀ナノ粒子で含浸されても良い。変形例として、粒子濾過材及び細菌殺菌媒体は、フィルタ内の別々の段を形成する必要はなく、これを組み合わせて単一のユニットを形成しても良い。
【0032】
別の変形例として、フィルタは、乾燥装置から取り外し可能である必要はない。フィルタは、液体処理モジュールを取り外したときに乾燥装置のケーシングの内部に位置したままであっても良い。フィルタは、液体処理モジュールから別個に取り外し可能であっても良く、或いは、乾燥装置のケーシング内に永続的に固定されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1a】本発明のハンドドライヤの斜視図である。
【図1b】図1aのハンドドライヤの側面図である。
【図2】図1aのハンドドライヤの断面図である。
【図3】図2の一部分の拡大図であり、ハンドドライヤ及びフィルタユニットの内部の仕組みを詳細に示す図である。
【図4】図1aのハンドドライヤから取り外された液体処理モジュールの斜視図である。
【図5a】図1aのハンドドライヤの上から見た斜視図であり、液体処理モジュールがハンドドライヤから部分的に取り外されている状態を示す図である。
【図5b】図1aのハンドドライヤの下から見た斜視図であり、液体処理モジュールがハンドドライヤから部分的に取り外されている状態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥装置であって、外ケースと、物品を乾燥させることができるキャビティを構成する前記外ケースの一部分と、前記キャビティの下端部のところに設けられた出口と、前記出口の下流側に配置された液体処理モジュールとを有し、前記液体処理モジュールは、液体分散ユニットを有し、前記液体処理モジュールは、前記乾燥装置から取り外し可能である、乾燥装置。
【請求項2】
前記液体処理モジュールを取り外し可能に受け入れるチャンバを更に有する、請求項1記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記チャンバは、前記乾燥装置の前記外ケース内に配置されている、請求項2記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記液体処理モジュールを前記乾燥装置に電気的に接続するための電気コネクタが、前記チャンバ内に且つ前記液体処理モジュールに取り付けられた状態で設けられており、前記電気コネクタは、前記液体処理モジュールが前記チャンバ内に受け入れられるとき、電気接続部を形成する、請求項2又は3記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記電気接続部は、前記液体処理モジュールが前記乾燥装置から取り外された場合、ユーザにとって接近不能となるように配置されている、請求項4記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記乾燥装置と前記液体処理モジュールとの間における前記チャンバ内の前記電気コネクタは、前記液体処理モジュールが前記チャンバから取り出されると、開路される、請求項4又は5記載の乾燥装置。
【請求項7】
液体分散ユニットは、液体を収集する収集器及び前記収集器と連通状態にあり、前記収集器内に収集された液体を蒸発させる蒸発ユニットを有する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記蒸発ユニットは、高周波攪拌器である、請求項7記載の乾燥装置。
【請求項9】
前記蒸発ユニットは、熱源を有する、請求項7記載の乾燥装置。
【請求項10】
前記液体処理モジュールは、濾過ユニットを更に有する、請求項1〜9のうちいずれか一に記載の乾燥装置。
【請求項11】
前記濾過ユニットは、少なくとも1つのセラミックフィルタを有する、請求項10記載の乾燥装置。
【請求項12】
前記濾過ユニットは、殺菌化合物を有する、請求項10又は11記載の乾燥装置。
【請求項13】
前記乾燥装置は、ハンドドライヤであり、前記キャビティは、ユーザの手を受け入れるよう寸法決めされている、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の乾燥装置。
【請求項14】
前記乾燥装置は、洗濯物用乾燥機であり、前記キャビティは、編織布を受け入れるよう寸法決めされている、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の乾燥装置。

【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【公表番号】特表2009−523224(P2009−523224A)
【公表日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549916(P2008−549916)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004437
【国際公開番号】WO2007/080363
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】