説明

乾麺類の計量器

【課題】 熟練を必要とすることなく能率良く乾麺類を計量することができ、残った乾麺類の保存や管理を簡単にする。
【解決手段】 一方の対向辺12の内法が乾麺類24の長さより長く上方が開いた箱体10と、一方の対向辺12と平行であって箱体10の内側に他方の対向辺16方向に並設され所定量の乾麺類を束ねた断面積にほぼ等しい断面積を持つ断面略U字状の複数の計量溝14と、これら複数の計量溝14の長手方向の一部を横断し計量溝14の底より下方に位置する底板部18と、箱体10の他方の対向辺16の少なくとも一方に設けられ底板部18に臨む略U字状の切欠き部20と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スパゲッティなどの乾麺類を例えば一人分に対応する一定量ずつ計量するために用いる乾麺類の計量器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スパゲッティ、うどん、そば、そうめんなどの麺類では、乾燥して一定長さに切り揃えることにより、保存、搬送、包装を便利にした乾麺(乾燥麺ともいう)が広く用いられている。このような乾麺類を調理する際には食事する人数に合わせた量の乾麺類を計量する必要がある。
【0003】
パスタ料理店の場合には、料理人の手が空いた時に1人前分(例えば約100g)のパスタを計量して取り分け、ラップフィルム等に小分けして包んだものを、予め多数準備していた。
【0004】
乾麺類を計量するためには、台秤が広く用いられているが、乾麺類は長くまとまりにくいため台秤の皿に乾麺類を載せる際に乾麺が安定せずに皿から落ち易く、また秤の目盛がなかなか静止しないため正確に計量するのが困難であった。
【0005】
【特許文献1】実開平03−35406
【特許文献2】特開2003−339557
【特許文献3】特開2002−233464
【特許文献4】特開2003−90701
【0006】
特許文献1には、基体の中央に上下に長い開口を形成し、この開口の周囲に計量目盛を付した計量器が示されている。この計量器においては、開口に乾麺類を束ねて挿入し、乾麺類の上縁の高さに対応する位置の目盛を読むことにより計量するものである。
【0007】
特許文献2には、複数の円板に異なる直径の貫通穴を設け、乾麺類を束ねた状態で希望する量に対応する貫通穴に通すことによって計量するものが示されている。特許文献3には直径が異なる複数のリングを用意しておき、希望する量に対応する径のリングに束ねた乾麺類を通すことにより計量するものが示されている。
【0008】
特許文献4には、一定間隔空けて対向する一対の直立体(直立板)の内壁面(対向面)に各人数分の目盛となる突出片を設けた計量器が示されている。この計量器は、直立体の間に水平に重ねて入れた乾麺類の束が突出片によって区分けされ、この区分けの位置に割れ目ができることを利用して、指先で乾麺類を横に押し分けて摘み取れるようにしたものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に示された計量器においては、目盛り線より上に積み重なった余分な乾麺類を指先で摘み取る必要がある。例えば、余分な乾麺類を摘み上げたり、不足の時には少量の乾麺類を指先から離して落下させて、追加する必要がある。しかしその時の指先の動きは非常に集中した注意力を要することになり、相当な慣れや熟練を要するという問題があった。
【0010】
特許文献2,3の計量器では、貫通穴やリングの寸法に応じた適量の乾麺類を摘み取って貫通穴やリングに通す作業を何度か繰り返すことが必要で、作業能率が極めて悪いという問題がある。特許文献4の計量器では左右一対の直立体の間に乾麺類を重ねて入れると、乾麺類の両端が直立体の間から突出することになり、乾麺類が不安定になり、計量器が傾くと乾麺類が直立体の間から脱落し易い。このため乾麺類を入れたままで調理台などに長く放置することができず、使い残した乾麺類は調理終了の度に計量器から取出して別の保存容器に移さなければならない。このため乾麺類の保存や管理が面倒であった。
【0011】
この発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、熟練を必要とすることなく能率良く計量することができ、残った乾麺類の保存や管理が簡単でもある乾麺類の計量器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明によればこの目的は、所定長さの乾麺類を一定量ずつ計量し取り分けるために用いる乾麺類の計量器において、一方の対向辺の内法が乾麺類の長さより長く上方が開いた箱体と、前記一方の対向辺と平行であって前記箱体の内側に他方の対向辺方向に並設され所定量の乾麺類を束ねた断面積にほぼ等しい断面積を持つ断面略U字状の複数の計量溝と、これら複数の計量溝の長手方向の一部を横断し計量溝の底より下方に位置する底板部と、前記箱体の他方の対向辺の少なくとも一方に設けられ前記底板部に臨む略U字状の切欠き部と、を備えることを特徴とする乾麺類の計量器、により達成される。
【発明の効果】
【0013】
乾麺類を箱体に入れて複数の計量溝を埋め、計量溝の上縁からあふれる乾麺類を指先で除去すれば、各計量溝には一定量(例えば1人分)の乾麺類が入ることになる。
【0014】
この状態で箱体の中には計量溝の数に対応した所定分量(所定人数分)の乾麺類が収容されるので、この箱体のまま乾麺類を保管することができる。また箱体は上下に積み重ねて収納できるから、乾麺類の保存容器として利用できる。
【0015】
乾麺類の調理を行う時には、底板部に臨む切欠き部から指先を入れて、計量溝からこの底板部の上方に延出する乾麺類をすくい上げる。この時計量溝ごとに束になった乾麺類を最少単位として、1または複数の束としてすくい上げる。この結果一定量(一定人数分)の乾麺類を簡単かつ正確に計量して能率良く取り分けることができる。また箱体内に残った乾麺類は箱体に入れたまま保存できるから、調理の度に余った乾麺類を別の容器に移す必要もなくなり、便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
底板部は計量溝の一端側を横断していれば、乾麺類を一端側ですくい上げて取り出せるので、そのまま乾麺類を沸騰水に投入するのに都合がよい(請求項2)。底板部は計量溝の一端側に代えてその長さ方向の途中に設けてもよい。この場合は乾麺類の中央寄りですくい上げることができるので、左右の重量バランス良く取り上げることができ、束から一部が抜け落ちることを防ぐことができる。
【0017】
箱体の上縁は計量溝の上縁よりも上方に突出させれば、計量溝に乾麺類を入れた時に計量溝からあふれた余分な乾麺類が箱体から外に落ちることがない(請求項3)。
【0018】
箱体は同一寸法として積み重ねて収納することができるが、この時箱体の位置ずれを防ぐために、箱体の底面および上縁の少なくとも一方に他の箱体の上縁または底面に係脱する係合部を設けておくのがよい(請求項4)。
【実施例1】
【0019】
図1は本発明の一実施例を示す斜視図、図2はその平面図、図3は図2におけるIII−III線断面図、図4は同じくIV−IV線断面図、図5は使用状態を示す斜視図、図6は箱体を積み重ねた収納状態を示す図である。
【0020】
これらの図において符号10は箱体であり、硬質のプラスチック製である。この箱体10は上方が開いたもので、一方の対向辺(長辺)12,12の内法(内幅)が乾麺類の長さより僅かに長い。箱体10の内側には、長辺12と平行な5本の計量溝14が他方の対向辺(短辺)16,16方向に併設されている。これらの計量溝14は断面が略U字状であり(図3参照)、その断面積は、所定量(例えば1人分、あるいは約100gとする)の乾麺類を束ねた時の断面積にほぼ等しい。なお計量溝14の断面形状は上方に開いた溝状であればよく、半円弧状、V字状、四角状などを含む。
【0021】
これらの計量溝14の一端側には計量溝14を横断し計量溝14の底よりも下方に位置する底板部18が形成されている。また長辺12,12にはこの底板部18に臨む略U字状の切欠き部20,20が形成されている。これら切欠き部20,20が形成されている。これら切欠き部20,20は、料理人の指先が入り得る大きさであり、また指先を計量溝14に入った乾麺類の束の下方に進入させられるように計量溝14の底よりも深い。切欠き部20,20は両方の長辺12,12に設けるのが望ましいが、一方の長辺12だけに設けてもよい。
【0022】
箱体10の底面の四隅には、係合部22が突設されている。係合部22は箱体10の長辺12および短辺16の上縁の厚さ分だけ四隅より内側に位置する。このため複数の箱体10を積み重ねる時に上の箱体10の係合部22がその下の箱体10の上縁に内側から係合し、箱体10の位置ずれを防ぐことができる。
【0023】
この計量器を使う時には、図5に示すように、箱体10の中に乾麺類24を入れ、全ての計量溝14を乾麺類24で埋める。余った乾麺類は箱体10から取出しておく。料理店などでこのように乾麺類24を入れた箱体10を多数個用意する場合には、これらの箱体10を図6に示すように積み重ねておけば収納場所が狭くて済み、便利である。
【0024】
料理にあたって乾麺類をゆでる時には、注文人数と同じ数の計量溝14から乾麺類を取出す。すなわち料理人は切欠き部20から指を差し込んで、計量溝14に入っている乾麺類24の束をすくい上げる。複数人数分の乾麺類24を一度にすくい上げてもよいし、1人分ずつに分けてすくい上げてもよい。必要な人数分の乾麺類を24を手軽に取り出せるから、熟練も不要で能率よく料理することができる。また箱体10に乾麺類24が残っていれば、この箱体10は図6のように積み重ねておけばよいので、保存、保管が容易である。
【0025】
なお箱体10の寸法、特に長辺12の寸法は、使用する乾麺類の長さに基づいて設定すべきであり、計量溝14の断面積は乾麺類の太さや断面形状などにより変えるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図
【図2】同じく平面図
【図3】図2におけるIII−III線断面図
【図4】同じくIV−IV線断面図
【図5】使用状態を示す斜視図
【図6】積み重ねた収納状態を示す図
【符号の説明】
【0027】
10 箱体
12 一方の対向辺(長辺)
14 計量溝
16 他方の対向辺(短辺)
18 底板部
20 切欠き部
22 係合部
24 乾麺類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さの乾麺類を一定量ずつ計量し取り分けるために用いる乾麺類の計量器において、
一方の対向辺の内法が乾麺類の長さより長く上方が開いた箱体と、
前記一方の対向辺と平行であって前記箱体の内側に他方の対向辺方向に並設され所定量の乾麺類を束ねた断面積にほぼ等しい断面積を持つ断面略U字状の複数の計量溝と、
これら複数の計量溝の長手方向の一部を横断し計量溝の底より下方に位置する底板部と、
前記箱体の他方の対向辺の少なくとも一方に設けられ前記底板部に臨む略U字状の切欠き部と、
を備えることを特徴とする乾麺類の計量器。
【請求項2】
底板部は計量溝の一端側を横断している請求項1の乾麺類の計量器。
【請求項3】
箱体の上縁は計量溝の上縁よりも上方に位置する請求項1または2の乾麺類の計量器。
【請求項4】
箱体の底面および上縁の一方には他の箱体の底面および上縁の他方に係脱可能な係合部が形成され、複数の箱体を積み重ねて位置決め可能にした請求項1〜3のいずれかの乾麺類の計量器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−105726(P2006−105726A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291390(P2004−291390)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(504370715)有限会社大泉物産東京 (1)
【Fターム(参考)】