説明

予め規定されたマスター検量線の調整を使用する定量方法

リアルタイム核酸増幅によって分析物ポリヌクレオチドを定量するために使用される型の予め規定されたマスター検量線を作成および調整するための方法およびキット。特に、ある1つの機器において1つ以上のマスター検量線を作成し、次いで、マスター検量線を異なる機器において使用する方法を開示する。本発明によって、非常に少ない回数で検量標準反応を実施することによって得られる結果を用いて、保存マスター検量線を調整するための機構を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2006年11月30日に出願された、米国仮出願第60/868,004号の利益を主張する。この先行出願の全体の開示は、参考として本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関する。より詳しくは、本発明は、核酸増幅を用いる分析物ポリヌクレオチドの定量化に関し、さらにより詳しくは、リアルタイム核酸増幅反応の結果を解析するためのファクトリー供給型検量線および調整検量物質の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
インビトロ核酸増幅の動態解析を含む方法は、分析物ポリヌクレオチドを定量するための重要なツールとなっている。「リアルタイム」増幅手順と称されることもあるこのような手順では、核酸増幅反応混合物中に存在するアンプリコンの量を増幅手順の過程にわたって時間の関数としてモニタリングする。完全に自動化されたリアルタイム核酸アッセイには、その反応中に得られた時間依存性データを解析することが可能な、機械で実行可能なアルゴリズムが必要となる。この点に関して、観察される増幅結果をもたらし得る核酸の量または濃度を正確に出力するデータ処理アルゴリズムが必要である。
【0004】
特定の核酸標的の絶対量の定量化に伴う問題は、特許文献において認識されている。このような問題は、増幅プロセスの指数性および反応速度を制御するいずれかの変数(例えば、プライマー対の長さおよびヌクレオチド配列)の小さな相違により、アンプリコン収量に劇的な相違をもたらし得ることに起因している。Wangらは、特許文献1において、分析物ポリヌクレオチドを増幅するものと同じプライマーを用いて増幅した内部標準の使用について記載し、関連のないcDNAを標準として使用することにより、定量されている特定の標的核酸および関連のない第2の組のオリゴヌクレオチドプライマーが必要となることに対処した。Wangらによると、2組の関連のないプライマーを使用する解析では、核酸標的濃度の絶対尺度ではなく、2つの独立した増幅反応の相対比較しか得ることができない。他にも、この教示に従い、同様の配列を有することおよび共通のプライマー対を用いて増幅することで対象の標的と類似した内部標準を使用したものがある(公開された米国特許出願第10/230,489号参照)。さらに、他にも、増幅効率の決定に依存した定量的方法が記載されている(公開された特許文献2参照)。また別のアプローチは、対照および標的配列の増幅比の決定を伴うものであった(特許文献3参照)。
【0005】
また他のアプローチは、リアルタイム核酸増幅を用いて得られる定量結果の質を改善するため、およびアッセイ手順を単純化するための両方に使用されるものであった。アプローチの一例は、自動化解析装置のデータ処理要素にロードされ得る工場供給型検量線の使用を伴うものである。「保存マスター曲線」と称されることもあるかかる検量線の使用により、製造によって補助されなければならない検量標準反応の回数が好都合に減少し、エンドユーザーが行なわなければならない反応回数が減少する。保存マスター曲線の使用により、アッセイを行なうたびに完全な検量線を作成することが不必要となるため、そうでない場合では同時作成局所検量プロットが使用され得るバッチ試験の必要はない。
【0006】
本明細書に記載の発明は、非常に少ない回数で検量標準反応を実施することによって得られる結果を用いて、保存マスター検量線を調整するための機構を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,219,727号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1138784号明細書
【特許文献3】米国特許第6,066,458号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明の第1の態様は、調整後の検量線についての方程式を確立する方法に関する。該方法によれば、まず、各々が一定の出発量の内部検量物質および既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む複数の標準試料を得る工程がある。次に、複数の標準試料の各々における内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程がある。次に、複数の標準試料の各々において同時に増幅された内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定する工程がある。その結果、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、内部検量物質の決定された一群の増幅兆候、および既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、分析物ポリヌクレオチド標準について決定された一群の増幅兆候が得られる。次に、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として内部検量物質について決定された一群の増幅兆候に第1の曲線を適合するため、第1の方程式を最適化し、それにより適合した第1の方程式を得る工程がある。さらに、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として分析物ポリヌクレオチド標準について決定された一群の増幅兆候に第2の曲線を適合するため、第2の方程式を最適化し、それにより適合した第2の方程式を得る工程がある。次に、所定量の分析物ポリヌクレオチド標準および一定の出発量の内部検量物質を含む調整検量物質を得る工程がある。次に、調整検量物質の内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程がある。この後、調整検量物質について、同時に増幅された内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定する工程が続く。次に、調整検量物質の内部検量物質について決定された増幅兆候を用いて適合した第1の方程式を修正し、これにより、内部検量物質について適合された増幅兆候に対する調整後の第1の適合した方程式を、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として得る工程がある。また、調整検量物質の分析物ポリヌクレオチドで決定された増幅兆候を用いて適合した第2の方程式を修正し、これにより、分析物ポリヌクレオチド標準について適合された増幅兆候に対する調整後の第2の適合した方程式を、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として得る工程がある。最後に、調整後の第1の適合した方程式および調整後の第2の適合した方程式を互いに数学的に関係付けることにより、調整後の検量線についての方程式を確立する工程がある。本発明との関連において、「数学的に関係付ける」とは、加算、減算、乗算または除算などの演算を行なうことを意味する。比の計算をもたらす除算プロセスが非常に好ましい。一般的に好ましい一実施形態において、同時に増幅する工程は等温での同時増幅を含む。これには、RNAポリメラーゼを含む転写関連増幅反応で等温での同時増幅が含まれ得る。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程は、各々、異なる機器で行なわれる。別の一般的に好ましい実施形態では、最初の同時に増幅する工程は、第1の機器で行なわれる核酸増幅反応での同時増幅を含み、2番目の同時に増幅する工程は、第2の機器で行なわれる核酸増幅反応での同時増幅を含む。この場合のとき、最適化する工程の適合した第1および第2の方程式は、第2の機器に接続したコンピュータのメモリデバイスに保存してもよい。より好ましくは、該確立する工程は、第2の機器での使用のため、調整後の検量線についての方程式を確立する工程を含む。また別の一般的に好ましい実施形態では、最初の同時に増幅する工程が、第1の機器で行なわれる等温核酸増幅反応での同時増幅を含み、2番目の同時に増幅する工程は、第2の機器で行なわれる等温核酸増幅反応での同時増幅を含み、最適化する工程の適合した第1および第2の方程式を、第2の機器に接続したコンピュータのメモリデバイスに保存する。この一般的に好ましい実施形態の変形型の一例では、最適化する工程の適合した第1および第2の方程式は、各々、複数の係数を含み、調整検量物質を得る工程は、さらに、適合した第1および第2の方程式それぞれに対する複数の係数を得ることを含む。この一般的に好ましい実施形態の別の変形型では、最適化する工程の第1および第2の方程式が非線形方程式であり、各々が複数の係数を有する。非常に好ましい一実施形態において、該確立する工程において互いに数学的に関係付けるプロセスは、調整後の適合した第2の方程式を用いて計算された数値結果と、調整後の適合した第1の方程式を用いて計算された数値結果とを数学的に関係付けることを含む。これは除算プロセスを伴うものでもよく、それにより比を計算する。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の等温核酸増幅反応は、各々、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の等温核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準または内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の等温核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンが異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の一般的に好ましい実施形態では、最初の最適化工程の適合した第1の方程式は、適合した第1の方程式の複数の係数を含み、2番目の最適化工程の適合した第2の方程式は、適合した第2の方程式の複数の係数を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、最後の確立する工程において互いに数学的に関係付けるプロセスが、調整後の適合した第2の方程式を用いて計算された数値結果および調整後の適合した第1の方程式を用いて計算された数値結果を数学的に関係付けることを含む。これは除算プロセスを伴うものであり得、それにより比を計算することができる。別の一般的に好ましい実施形態では、最後の確立する工程において互いに数学的に関係付けるプロセスが、調整後の適合した第2の方程式を用いて計算された数値結果および調整後の適合した第1の方程式を用いて計算された数値結果を数学的に関係付けることを含む。これは減算プロセスを伴うものであり得、それにより差を計算することができる。別の一般的に好ましい実施形態では、最初の修正工程が、調整検量物質の内部検量物質について決定された増幅兆候、および調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の所定量に等しい分析物ポリヌクレオチドの出発量での適合した第1の方程式を解くことにより計算された値を用いて、内部検量物質に対する調整因子を決定することを含む。この後に、該内部検量物質に対する調整因子を、適合した第1の方程式の係数の1つに加算する工程を続けてもよい。同様に、2番目の修正工程は、調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準について決定された増幅兆候、および調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の所定量に等しい分析物ポリヌクレオチドの出発量での適合した第2の方程式を解くことにより計算された値を用いて、分析物ポリヌクレオチドに対する調整因子を決定することを含むものであり得る。この後に、分析物ポリヌクレオチドに対する調整因子を、適合した第2の方程式の係数の1つに加算する工程を続けてもよい。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程は、各々、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む核酸増幅反応での同時増幅を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程は、各々、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準または内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない核酸増幅反応での同時増幅を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程は、各々、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない核酸増幅反応での同時増幅を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、さらにいくつかの工程がある。より具体的には、さらに、第2の所定量の分析物ポリヌクレオチド標準および一定量の内部検量物質を含む第2の調整検量物質を得る工程があり得る。この後に、内部検量物質および第2の調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程を続けてもよい。次に、第2の調整検量物質について、同時に増幅された内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定する工程がある。この後、第2の調整検量物質の内部検量物質および第2の調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候をそれぞれ用いて、適合した第1および第2の方程式を修正する工程が続く。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンが異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の一般的に好ましい実施形態では、最適化する工程の第1および第2の方程式が非線形方程式であり、各々が複数の係数を有する。また別の一般的に好ましい実施形態では、最適化する工程の適合した第1および第2の方程式が、各々、複数の係数を有し、調整検量物質を得る工程が、さらに、適合した第1および第2の方程式に対する複数の係数のそれぞれを得ることを含む。
【0009】
本発明の第2の態様は、保存マスター検量線を調整するための検量物質を含むキットを作製するための方法に関する。該方法によれば、まず、各々が一定の出発量の内部検量物質および既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む複数の標準試料を形成する工程がある。次に、複数の標準試料の各々での核酸増幅反応において、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程がある。次に、各核酸増幅反応で同時に増幅された内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定する工程があり、これにより、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として内部検量物質について決定された一群の増幅兆候、および該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として分析物ポリヌクレオチド標準について決定された一群の増幅兆候が得られる。この後、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として決定された一群の内部検量物質の増幅兆候に第1の曲線を適合させるため、第1の方程式を最適化する工程が続き、それにより、適合した第1の方程式の一組の係数を含む適合した第1の方程式が得られる。また、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として分析物ポリヌクレオチド標準について決定された一群の増幅兆候に第2の曲線を適合させるため、第2の方程式を最適化し、それにより、適合した第2の方程式の一組の係数を含む適合した第2の方程式が得られる。最後に、(a)明確な形態の適合した第1の方程式の一組の係数、(b)明確な形態の適合した第2の方程式の一組の係数、および(c)所定量の分析物ポリヌクレオチド標準と一定の出発量の内部検量物質とを有する調整検量物質を含むパッケージ化された組合せを作製する工程がある。一般的に好ましい一実施形態において、同時に増幅する工程の核酸増幅反応は等温核酸増幅反応である。例えば、これには、RNAポリメラーゼを含む転写関連増幅反応における等温での同時増幅が含まれ得る。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準または内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない。別の一般的に好ましい実施形態では、増幅兆候を決定する工程が時間依存性増幅兆候の決定を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、最適化する工程の第1および第2の方程式が第1および第2の非線形方程式である。別の一般的に好ましい実施形態では、明確な形態の適合した第1および第2の方程式の係数の組が、機械可読形態の適合した第1および第2の方程式の係数の組である。例えば、機械可読形態の適合した第1および第2の方程式の係数の組には、バーコードが含まれてもよい。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、この場合、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なる長さである。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、この場合、内部検量物質アンプリコンおよび該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の一般的に好ましい実施形態では、該作製する工程のパッケージ化された組合せが、さらに、第2の所定出発量の分析物ポリヌクレオチド標準および同じ一定の出発量の内部検量物質を含む第2の調整検量物質を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の核酸増幅反応が等温核酸増幅反応であり、最適化する工程の第1および第2の方程式が第1および第2の非線形方程式である。非常に好ましい一実施形態において、同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準または内部検量物質のみを増幅するプライマーを含まない。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、この場合、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の非常に好ましい実施形態では、同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、この場合、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なる長さである。さらにより好ましくは、同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む。あるいは、同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準または内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない。また別の択一例によれば、同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない。
【0010】
本発明の第3の態様は、一定量の内部検量物質を含む多重核酸増幅反応において分析物ポリヌクレオチドを定量するための方程式の作製方法に関する。該方法によれば、まず、核酸増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を特定する保存マスター曲線の第1の方程式の複数の係数を得る工程がある。次に、核酸増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候を特定する保存マスター曲線の第2の方程式の複数の係数を得る工程がある。次に、既知量の分析物ポリヌクレオチド標準および一定の出発量の内部検量物質を含む調整検量物質を用いて核酸増幅反応を実施する工程、ここで、核酸増幅反応により、調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質が同時に増幅され、核酸増幅反応により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンが生成される工程がある。次に、核酸増幅反応で同時に増幅された分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の増幅兆候を決定する工程がある。次に、核酸増幅反応により決定された分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候、および調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の既知量に等しい分析物ポリヌクレオチド標準の出発量での保存マスター曲線の第1の方程式を解くことにより計算された値を用いて分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整因子を確立する工程がある。また、核酸増幅反応で決定された内部検量物質の増幅兆候、および該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の既知量に等しい分析物ポリヌクレオチド標準の出発量での保存マスター曲線の第2の方程式を解くことにより計算された値を用いて内部検量物質に対する調整因子を確立する工程がある。次に、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整因子を用いて、保存マスター曲線の第1の方程式の係数の1つを修正する工程があり、これにより、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整後の検量線を特定する方程式が得られる。また、内部検量物質に対する調整因子を用いて、保存マスター曲線の第2の方程式の係数の1つを修正する工程があり、これにより、内部検量物質に対する調整後の検量線を特定する方程式が得られる。最後に、(a)分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整後の検量線を特定する方程式、および(b)内部検量物質に対する調整後の検量線を特定する方程式を互いに数学的に関係付けることにより、分析物ポリヌクレオチドの定量のための方程式を作成する工程がある。一般的に好ましい一実施形態において、核酸増幅反応を実施する工程が等温核酸増幅反応の実施を含む。これには、RNAポリメラーゼを含む転写関連増幅反応における等温での同時増幅が含まれ得る。別の一般的に好ましい実施形態では、該実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである。別の一般的に好ましい実施形態では、該実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の一般的に好ましい実施形態では、該実施する工程が、第1の核酸増幅機器での核酸増幅反応の実施を含み、該得る工程の保存マスター曲線の第1の方程式の複数の係数および保存マスター曲線の第2の方程式の複数の係数は、第1の核酸増幅機器を用いて決定されたものではない。別の言い方をすると、係数は、第1の機器とは異なる機器で行なわれた増幅反応の結果を用いて決定されたものである。別の一般的に好ましい実施形態では、増幅兆候を決定する工程が、時間依存性増幅兆候の決定を含む。別の一般的に好ましい実施形態では、保存マスター曲線の第1および第2の方程式が非線形方程式である。別の一般的に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む。別の一般的に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応は、共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない。別の一般的に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない。別の一般的に好ましい実施形態では、分析物ポリヌクレオチドの定量のための方程式を作成する工程が、比を求めるための除算プロセスによる数学的に関係付けすることを含む。別の一般的に好ましい実施形態では、分析物ポリヌクレオチドの定量のための方程式を作成する工程が、差を求めるための減算による数学的に関係付けすることを含む。一般的に言うと、分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、比を求めるための除算プロセスによる数学的に関係付けすることを含む場合、核酸増幅反応を実施する工程には等温核酸増幅反応の実施が含まれ得、保存マスター曲線の第1および第2の方程式は非線形方程式であり得る。非常に好ましい一実施形態において、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む。別の非常に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応は、共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない。別の非常に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない。別の非常に好ましい実施形態では、核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の非常に好ましい実施形態では、核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである。さらにより好ましくは、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む。あるいは、該実施する工程の核酸増幅反応は、共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない。また別の択一例によれば、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない。別の一般的に好ましい実施形態では、分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整後の検量線を特定する方程式を用いて計算された数値、および内部検量物質に対する調整後の検量線を特定する方程式を用いて計算された数値を数学的に関係付けることを含む。択一例の一例によれば、分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程は、比を計算するための除算プロセスによる数学的に関係付けすることを含む。別の択一例によれば、分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程は、差を計算するための減算による数学的関係付けを含む。別の一般的に好ましい実施形態では、核酸増幅反応を実施する工程が等温核酸増幅反応の実施を含み、保存マスター曲線の第1および第2の方程式が非線形方程式である。非常に好ましい一実施形態において、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む。別の非常に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応は、共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない。別の非常に好ましい実施形態では、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない。別の非常に好ましい実施形態では、核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を有する。別の非常に好ましい実施形態では、核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さを有する。この場合のとき、該実施する工程の核酸増幅反応には、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーが含まれ得る。あるいはまた、該実施する工程の核酸増幅反応は共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない。また別の択一例によれば、該実施する工程の核酸増幅反応は、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、4つの異なる増幅/検出機器で実施およびモニタリングされた一連の等温転写関連核酸増幅反応の結果を示すグラフプロットである。プロット上に示されたデータ点は、機器1(◇)、機器2(□)、機器3 (△)および機器4(×)での、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の種々のレベル(すなわち、x軸)での内部検量物質(y軸上)の増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分))を示す。
【図2A】図2A〜2Bは、マスター検量線を作成するために使用した結果を示すグラフである。図2Aは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた内部検量物質シグナルの増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す。図2Aにプロットされたデータ点は、図1にプロットされたものと同じである。図2Bは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチドシグナルの増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す。これらのグラフに示された結果は、アンプリコン生成を実施およびモニタリングするための4つの異なる機器を用いて、時間の関数として得たものである。
【図2B】図2A〜2Bは、マスター検量線を作成するために使用した結果を示すグラフである。図2Aは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた内部検量物質シグナルの増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す。図2Aにプロットされたデータ点は、図1にプロットされたものと同じである。図2Bは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチドシグナルの増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す。これらのグラフに示された結果は、アンプリコン生成を実施およびモニタリングするための4つの異なる機器を用いて、時間の関数として得たものである。
【図3A】図3A〜3Cは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す最良適合曲線のグラフである。図3Aは、内部検量物質のマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(すなわち、Cal_1(IC)およびCal_2(IC))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに2種類の調整検量物質(ΔCal_1(IC)およびΔCal_2(IC))各々での予測増幅兆候と測定増幅兆候との差を示す。図3Bは、内部検量物質のマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(すなわち、Cal_1(IC)およびCal_2(IC))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに内部検量物質の調整後のマスター検量線の位置を示す。図3Cは、分析物ポリヌクレオチドのマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(Cal_1(分析物)およびCal_2(分析物))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに分析物ポリヌクレオチドの調整後のマスター検量線の位置を示す。
【図3B】図3A〜3Cは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す最良適合曲線のグラフである。図3Aは、内部検量物質のマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(すなわち、Cal_1(IC)およびCal_2(IC))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに2種類の調整検量物質(ΔCal_1(IC)およびΔCal_2(IC))各々での予測増幅兆候と測定増幅兆候との差を示す。図3Bは、内部検量物質のマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(すなわち、Cal_1(IC)およびCal_2(IC))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに内部検量物質の調整後のマスター検量線の位置を示す。図3Cは、分析物ポリヌクレオチドのマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(Cal_1(分析物)およびCal_2(分析物))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに分析物ポリヌクレオチドの調整後のマスター検量線の位置を示す。
【図3C】図3A〜3Cは、一群の検量標準に含まれた分析物ポリヌクレオチドのlogコピーレベル(x軸)に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の増幅兆候(すなわち、測定されたTTime値(単位:分)を示すy軸)を示す最良適合曲線のグラフである。図3Aは、内部検量物質のマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(すなわち、Cal_1(IC)およびCal_2(IC))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに2種類の調整検量物質(ΔCal_1(IC)およびΔCal_2(IC))各々での予測増幅兆候と測定増幅兆候との差を示す。図3Bは、内部検量物質のマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(すなわち、Cal_1(IC)およびCal_2(IC))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに内部検量物質の調整後のマスター検量線の位置を示す。図3Cは、分析物ポリヌクレオチドのマスター検量線、2種類の異なる調整検量物質(Cal_1(分析物)およびCal_2(分析物))を用いて行なわれた増幅反応の結果、ならびに分析物ポリヌクレオチドの調整後のマスター検量線の位置を示す。
【図4】図4は、「IC調整プロット(比)」を示すグラフである。グラフに示された個々のデータ点を、増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量のインクリメント値において、図2Aおよび2Bに示した調整後のマスター検量線に対する別々の方程式の結果を用いて計算した。グラフに示された最良適合曲線は、4PL曲線適合を用いて決定した。
【図5】図5は、未処理データから計算したIOA(分析物)/IOA(IC)の比を表すデータ点を示すグラフプロットである。また、この一群のデータ点に適合させた曲線も示す。
【図6】図6は、演算処理後の兆候のマスター検量線を示すグラフである。黒菱形(◆)は、増幅/検出機器2〜4を用いて得られた未処理データから計算したIOA(分析物)/IOA(IC)の比を表す個々のデータ点を示す。この一群のデータ点に適合させた太い実線の曲線は、演算処理後の兆候のマスター検量線を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器ならびに10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準および30,000コピーの内部検量物質を含む調整検量物質を用いて得られた結果を示す。
【図7】図7は、核酸増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチドのマスター検量線標準を示すグラフである。黒菱形(◆)は、増幅/検出機器2〜4を用いて得られた個々の結果を示す。この一群のデータ点に適合させた太い実線の曲線は、マスター検量線を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器ならびに10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準および30,000コピーの内部検量物質を含む調整検量物質を用いて得られた結果を示す。白四角で示されたデータ点は、マスター曲線の作成には使用せず、その後の調整手順に使用した。
【図8】図8は、核酸増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質のマスター検量線を示すグラフである。黒菱形(◆)は、増幅/検出機器2〜4を用いて得られた個々の結果を示す。この一群のデータ点に適合させた太い実線の曲線は、マスター検量線を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器ならびに10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準および30,000コピーの内部検量物質を含む調整検量物質を用いて得られた結果を示す。
【図9】図9は、演算処理後の兆候のマスター検量線の一点調整の効果を示すグラフである。太い点線の曲線(「局所」と表示)は、エンドユーザーのモデル機器で得られた結果を用いて確立された局所検量線を示す。黒菱形(◆)は、局所検量線を決定するために用いたデータ点を示す。太い実線の曲線(「マスター」と表示)は、エンドユーザーのモデル機器とは別の機器を用いて決定された演算処理後の兆候のマスター検量線(図6にも図示)を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器および演算処理後の兆候のマスター検量線を調整するために使用された調整検量物質を用いて得られた結果を示す。破線の曲線(「比調整後のマスター」と表示)は、局所検量線を作成するために使用された機器において処理された単一の調整検量物質(すなわち、10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準および30,000コピーの内部検量物質含有)を用いた演算処理後の兆候のマスター検量線の調整の結果を示す。比調整後のマスター曲線の形状は、演算処理後の兆候のマスター検量線と同じである。
【図10】図10は、演算処理後の兆候のマスター検量線の二点調整の効果を示すグラフである。太い点線の曲線(「局所」と表示)は、エンドユーザーのモデル機器で得られた結果を用いて確立された局所検量線を示す。黒菱形(◆)は、局所検量線を決定するために用いたデータ点を示す。太い実線の曲線(「マスター」と表示)は、エンドユーザーのモデル機器とは別の機器を用いて決定された演算処理後の兆候のマスター検量線(図6にも図示)を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器および演算処理後の兆候のマスター検量線を調整するために使用された調整検量物質を用いて得られた結果を示す。破線の曲線(「比調整後のマスター」と表示)は、局所検量線を作成するために使用された機器において処理された2種類の調整検量物質(すなわち、10および10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準ならびに30,000コピーの内部検量物質を含有)を用いた演算処理後の兆候のマスター検量線の調整の結果を示す。垂直方向にシフトしていること以外は、比調整後のマスター曲線の形状は、演算処理後の兆候のマスター検量線と同じである。
【図11】図11は、一点調整を用いた、2つのマスター検量線の独立した調整の効果を示すグラフである。太い点線の曲線(「局所」と表示)は、エンドユーザーのモデル機器で得られた結果を用いて確立された局所検量線を示す。黒菱形(◆)は、局所検量線を決定するために用いたデータ点を示す。太い実線の曲線(「マスター」と表示)は、図7に示した未調整マスター検量線を図8に示した未調整マスター検量線で除算した結果を示し、それにより、エンドユーザーのモデル機器とは異なる機器を用いて得られた結果を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器および調整検量物質を用いて得られた結果を示す。破線の曲線(「独立した調整後のマスター」と表示)は、局所検量線を作成するために使用された機器において処理された単一の調整検量物質(すなわち、10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準および30,000コピーの内部検量物質含有)を用いた、図7〜8において決定された個々のマスター検量線の垂直次元における第1の調整の結果を示す。次いで、この2つの調整後の曲線を、分析物ポリヌクレオチド標準の調整後の曲線に対する方程式を、内部検量物質の調整後の曲線に対する方程式(各々、反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数として)で除算することにより互いに関係付けた。独立した調整後のマスター曲線の形状は、個々の未調整マスター検量線の比から得られる曲線の形状と異なり、局所検量線により近く近似する。
【図12】図12は、二点調整を用いた、2つのマスター検量線の独立した調整の効果を示すグラフである。太い点線の曲線(「局所」と表示)は、エンドユーザーのモデル機器で得られた結果を用いて確立された局所検量線を示す。黒菱形(◆)は、局所検量線を決定するために用いたデータ点を示す。太い実線の曲線(「マスター」と表示)は、図7に示した未調整マスター検量線を図8に示した未調整マスター検量線で除算した結果を示し、それにより、エンドユーザーのモデル機器とは異なる機器を用いて得られた結果を示す。白四角(□)は、エンドユーザーのモデル機器および調整検量物質を用いて得られた結果を示す。破線の曲線(「独立した調整後のマスター」と表示)は、局所検量線を作成するために使用された機器において処理された2種類の調整検量物質(すなわち、10および10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準ならびに30,000コピーの内部検量物質を含有)を用いた、図7〜8において決定された個々のマスター検量線の垂直次元における第1の調整の結果を示す。次いで、この2つの調整後の曲線を、分析物ポリヌクレオチド標準の調整後の曲線に対する方程式を、内部検量物質の調整後の曲線に対する方程式(各々、反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数として)で除算することにより互いに関係付けた。独立した調整後のマスター曲線の形状は、個々の未調整マスター検量線の比から得られる曲線の形状と異なり、局所検量線により近く近似する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
定義
以下の用語は、本明細書においてそうでないと明白に述べていない限り、本開示の目的のため、以下の意味を有する。
【0013】
本明細書で用いる場合、「ポリヌクレオチド」は、RNA、DNA、またはRNAおよびDNAの両方を含有するキメラ分子のいずれかを意味する。また、該用語には、RNAまたはDNAのヌクレオチド類縁体を含有する分子が包含される。
【0014】
「分析物ポリヌクレオチド」または「分析物核酸」とは、定量される対象のポリヌクレオチドを意味する。
【0015】
本明細書で用いる場合、「試験試料」は、特定のポリヌクレオチド種の存在について調べられる任意の試料である。試験試料としては、ヒト、動物から得られる任意の組織もしくはポリヌクレオチド含有物質、環境由来または研究室で誘導されるもしくは合成試料が挙げられる。
【0016】
本明細書で用いる場合、「標準試料」は、分析物ポリヌクレオチド標準を含有する試料である。
【0017】
「分析物ポリヌクレオチド標準」とは、既知量の分析物ポリヌクレオチドまたはその断片を意味する。例えば、HIV−I分析物ポリヌクレオチド標準は、既知数のコピーのHIV−Iゲノム、HIV−I転写物、またはウイルスゲノムの一部に相当するインビトロ合成転写物を含有し得る。
【0018】
「アンプリコン」は、標的核酸配列がポリヌクレオチドコピーまたは増幅産物の合成の鋳型として役立つ増幅反応のポリヌクレオチド産物である。
【0019】
「増幅」または「核酸増幅」または「インビトロ核酸増幅」とは、標的核酸配列またはその相補体またはその断片の浮く数のコピー(RNAおよびDNA同等物を許容する)を得るための任意の既知手順を意味する。「その断片」の増幅は、完全な標的領域核酸配列またはその相補体より短い配列を含有する増幅核酸の生成をいう。かかる断片は、標的核酸の一部を増幅することにより、例えば、標的核酸の内部位置にハイブリダイズし、該位置から重合を開始する増幅オリゴヌクレオチドを使用することにより、生成され得る。
【0020】
本明細書で用いる場合、用語「同時に増幅する」および「同時に増幅すること」およびその語尾変化形は、異なる標的核酸配列が単一の増幅反応で増幅されるプロセスをいう。例えば、分析物ポリヌクレオチドおよび関連のない内部検量物質核酸は、両方の核酸が単一のチューブ内で行なわれる反応において増幅される場合、ならびに両方の増幅反応において、少なくとも1種類の試薬(例えば、デオキシリボヌクレオチド三リン酸、酵素、プライマー(1種類もしくは複数種)など)が共通して共用される場合、「同時に増幅」される。
【0021】
本明細書で用いる場合、「熱サイクリング」は、反応混合物における温度の反復変更(すなわち、温度の上昇または低下)をいう。熱サイクリングを受ける試料は、ある温度から別の温度にシフトされ、その温度で安定化させ、第2の温度に移行されるか、または出発温度に戻され得る。温度サイクルは、対象の具体的な化学反応を研究または終了するのに必要なだけ多数回繰り返してもよい。
【0022】
「標的核酸」または「標的」とは、標的核酸配列を含む核酸を意味する。一般に、増幅される標的核酸配列は、反対の位置にに配置された2つのオリゴヌクレオチドの間に位置し、該オリゴヌクレオチドの各々に相補的な標的核酸の部分を含む。
【0023】
「標的核酸配列」または「標的配列」または「標的領域」とは、単鎖核酸分子のヌクレオチド配列の全部または一部、それに相補的なデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を含む特定のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を意味する。
【0024】
「転写関連増幅」とは、RNAポリメラーゼが使用され、核酸鋳型から多数のRNA転写物が生成される任意の型の核酸増幅を意味する。慣用的に、このような増幅反応では、DNAポリメラーゼ活性によって伸長され得る3’末端を有する少なくとも1種類のプライマーが使用される。転写関連増幅法の一例は、「転写媒介型増幅」(TMA)と称されるものであり、一般的に、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、および標的核酸に相補的なプロモーター含有オリゴヌクレオチドが使用される。TMAの変化型は、当該技術分野でよく知られており、Burgら,米国特許第5,437,990号;Kacianら,米国特許第5,399,491号および同第5,554,516号;Kacianら,PCT出願公開番号WO93/22461;Gingerasら,PCT出願公開番号WO88/01302;Gingerasら,PCT出願公開番号WO88/10315;Malekら,米国特許第5,130,238号;Urdeaら,米国特許第4,868,105号および同第5,124,246号;McDonoughら,PCT出願公開番号WO94/03472;ならびにRyderら,PCT出願公開番号WO95/03430に詳細に開示されている。DNAポリメラーゼによって伸長され得る単一のプライマーのみが使用される他の転写関連増幅法(出願番号が11/213,519である米国特許出願に開示されているようなもの)は、特に該定義に包含され、本明細書に開示した方法に関連する使用に非常に好ましい。
【0025】
本明細書で用いる場合、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、少なくとも2個、一般的には約5〜約100個の化学的サブユニットのポリマー鎖であって、各サブユニットは、ヌクレオチド塩基部分、糖部分、およびサブユニットを線形の空間的立体配置で接続する連結部分を含む。一般的なヌクレオチド塩基部分は、グアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)であるが、水素結合が可能な他の稀な、または修飾されたヌクレオチド塩基は、当業者によく知られている。オリゴヌクレオチドは、任意選択で、糖部分、塩基部分、および主鎖構成要素のいずれかの類縁体を含むものであってもよい。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、約10〜約100残基のサイズの範囲に含まれるものである。オリゴヌクレオチドは、天然に存在する供給源から精製されたものであってもよいが、好ましくは、任意のさまざまなよく知られた酵素的または化学的方法を用いて合成されたものである。
【0026】
「増幅オリゴヌクレオチド」または「増幅オリゴマー」とは、標的核酸またはその相補体にハイブリダイズするオリゴマーを意味し、核酸増幅反応に参与する。増幅オリゴマーの例としては、増幅プロセスの一部として伸長される3’末端を含むプライマーが挙げれれるが、ポリメラーゼによって伸長されないがプライマーからの効率的な増幅に参与するか、または該増幅を助長するオリゴマー(例えば、3’ブロック型オリゴマー)が挙げられる。増幅オリゴマーの好ましいサイズの範囲としては、約10〜約80nt長、または10〜約60nt長のものが挙げられ、標的核酸配列(またはその相補鎖)の一領域に相補的な少なくとも約10個の連続する塩基、より好ましくは少なくとも12個の連続する塩基を含む。連続する塩基は、増幅オリゴマーが結合する標的配列に、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは約100%相補的である。増幅オリゴマーは、任意選択で、修飾されたヌクレオチドもしくは類縁体含むものであってもよく、または増幅反応に参与するが標的核酸に相補的でない、もしくは標的核酸に含有されていないさらなるヌクレオチドを含むものであってもよい。3’ブロック型であるが、標的核酸にハイブリダイズでき、転写を開始させるのに役立つ上流プロモーター配列を供給する増幅オリゴマーは、「プロモーター供給体」オリゴマーと称される。
【0027】
「プライマー」は、鋳型核酸にハイブリダイズする増幅オリゴマーであり、DNAポリメラーゼによって伸長され得る3’OH末端を有する。プライマーの5’領域は、標的核酸(例えば、プロモーター配列)に相補的でなくてもよく、「プロモーター−プライマー」と称されるオリゴマーとなる。当業者には、プライマーとしての機能を果たし得る任意のオリゴマーが、5’プロモーター配列を含むように修飾され得、したがって、プロモーター−プライマーとしての機能を果たすものとなり得ることが認識されよう。同様に、任意のプロモーター−プライマーが、プロモーター配列の除去またはプロモーター配列なしでの合成によって修飾され得るが、依然としてプライマーとしての機能を果たす。
【0028】
本明細書で用いる場合、増幅オリゴヌクレオチドの「組」は、協同的にインビトロ核酸増幅反応に参与してアンプリコンを合成する2つ以上の一群の増幅オリゴヌクレオチドをいう。
【0029】
本明細書で用いる場合、「プローブ」は、ハイブリダイゼーションを促進し、検出可能なハイブリッドが形成される条件下で、核酸内の標的配列、好ましくは増幅された核酸内の標的配列に特異的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドである。
【0030】
本明細書で用いる場合、核酸増幅の「時間依存性」モニタリング、または「リアルタイム」での核酸増幅のモニタリングは、核酸増幅反応中に存在するアンプリコンの量を、反応時間またはサイクル数の関数として測定し、次いで、これを用いて、増幅反応を開始した時点の反応混合物中に存在していた鋳型の出発量を決定するプロセスをいう。例えば、アンプリコンの量は、熱サイクリングを含む増幅反応(PCRなど)の各完全サイクルを開始する前に測定され得る。あるいは、増幅サイクル間の移行を起こすために物理的介入が必要とされない等温増幅反応を連続的に、または一定の時間間隔でモニタリングすると、存在するアンプリコンの量に関する情報が時間の関数として得ることができる。
【0031】
本明細書で用いる場合、「増殖曲線」は、時間またはサイクル数の関数としての、反応中での合成生成物(アンプリコンなど)の出現の特徴的なパターンをいう。増殖曲線は、生成物量の何らかのインジケータ(蛍光測定値など)(y軸)に対する時間(x軸)の2次元プロットで簡便に表される。一部の(すべてではないが)増殖曲線はS字形状を有する。
【0032】
本明細書で用いる場合、増殖曲線の「ベースライン相」は該曲線の初期相をいい、この相では、生成物(アンプリコンなど)の量が実質的に一定速度で増加し、この速度は、増殖曲線の増殖相(対数線形プロフィールを有する場合があり得る)に特徴的な増加速度より小さい。増殖曲線のベースライン相は、典型的には傾きが非常に小さく、多くの場合ゼロである。
【0033】
本明細書で用いる場合、増殖曲線の「増殖相」は、測定可能な生成物が時間とともに相当増加している該曲線の部分をいう。典型的な核酸増幅反応におけるベースライン相から増殖相への移行は、時間とともに増大する速度でのアンプリコンの出現を特徴とする。増殖曲線の増殖相からプラトー相への移行は、アンプリコン出現速度が減少し始める屈曲点から始まる。
【0034】
本明細書で用いる場合、3相増殖曲線の「プラトー相」は、該曲線の最終相をいう。プラトー相では、測定可能な生成物の形成速度は、一般的に、対数線形相でのアンプリコン生成の速度よりも相当低く、ゼロに近づくことさえあり得る。
【0035】
本明細書で用いる場合、語句「増幅兆候」は、核酸増幅反応において所定の進行レベルを示すリアルタイム実施曲線の特色をいう。かかる兆候は、一般に、実施曲線(場合によっては「増殖曲線」という)の数学的解析によって判定され、これは、強度が時間、サイクル数などの関数として反応混合物中に存在するアンプリコンの量と関連する測定可能なシグナル(蛍光読み値など)で表示される。
【0036】
本明細書で用いる場合、語句「閾値に基づく増幅兆候」は、増殖曲線シグナルが自由裁量値または閾値と交差したときの時間またはサイクル数を尺度とする増幅兆候をいう。TTime測定値は、閾値に基づく増幅兆候の一例であり、一方、TArcおよびOTArc測定値は、閾値に基づかない増幅兆候の一例である。
【0037】
本明細書で用いる場合、語句「時間依存性」増幅兆候は、一般的に、時間を単位(例えば、分)で測定される増幅兆候(例えば、反応進行パラメータ)をいう。時間依存性増幅兆候は、個別の「サイクル」を特徴としない等温核酸増幅反応の進行のモニタリングに一般に使用される。TTime、TArcおよびOTArcはすべて、時間依存性増幅兆候の例である。
【0038】
「核酸検量物質」または「内部検量物質」とは、インビトロ核酸増幅反応において増幅可能であり、同じ増幅反応で同時に増幅される分析物ポリヌクレオチドおよび識別可能なポリヌクレオチドを意味する。特定のある好ましい実施形態において、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチドは、1種類以上の異なる増幅オリゴマーまたはプライマーを用いて、インビトロ核酸増幅反応で同時に増幅される。例えば、以下に詳述するデータ収集した実施例で用いた分析物および内部検量物質ポリヌクレオチドは、共用されていない増幅オリゴヌクレオチドを用いて増幅した。他の好ましい実施形態では、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチドは、同一の増幅オリゴマーまたはプライマーを用いて、インビトロ核酸増幅反応で同時に増幅される。
【0039】
本明細書で用いる場合、「内部検量調整」は、「核酸検量物質」または「内部検量物質」と称する同時に増幅標的核酸で得られた結果との比較によって、増幅を受けた試験試料中の分析物核酸の出発量を決定するための定量的手順をいう。
【0040】
本明細書で用いる場合、語句「〜の関数として」は、従属変数(すなわち、1つ以上の他の変数に依存する変数)と独立変数(すなわち、任意の他の変数の値を考慮せずにその値が自由に選択され得る変数)間の関係を示し、このとき、独立変数に対する各入力値は、従属変数に対するちょうど1つの出力値に関係する。y値(すなわち、従属変数)がx値(すなわち、独立変数)「の関数として」関係する方程式に対する慣用的な記数法は、y=f(x)である。
【0041】
本明細書で用いる場合、方程式を「最適化すること」とは、数学的モデル作成または曲線適合手順で一般に行なわれているような、実験測定値を「適合」または近似するための式を得るために方程式の係数の数値を得るためのプロセスをいう。典型的には、最適化後の方程式により、最良適合曲線が規定される。
【0042】
本明細書で用いる場合、用語「最適化された方程式」および「適合した方程式」は、最適化手順の結果、固定数値の係数を含む方程式に、互換的に言及するものである。
【0043】
本明細書で用いる場合、「インクリメント(incremental)」値は、規則的な程度で徐々に増加または減少する値をいう。
【0044】
本明細書で用いる場合、「反復式」コンピュータ計算法は、解に対する逐次近似によって問題(例えば、方程式または方程式系)を解くことを試みるものである。
【0045】
「検量標準」とは、一定の既知量の内部検量物質ポリヌクレオチドとの組合せた既知または所定量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む組成物を意味する。2種類の異なる検量標準が異なる量の分析物ポリヌクレオチドまたはその断片を含んでいてもよいが、これらは同じ量の内部検量物質核酸を含む。「調整検量物質」は、保存マスター曲線を調整するためのデータを提供する(すなわち、エンドユーザーのシステムが、マスター検量線を得るのに使用されたシステムと同じ検量出力が得られるように調整され得るように)増幅反応を行なうために使用される検量標準である。
【0046】
「キット」とは、典型的には互いに使用することが意図された材料のパッケージ化された組合せを意味する。本発明によるキットには、「明確な(tangible)」形態の使用説明書または他の情報(例えば、印刷された情報、コンピュータ可読媒体に電子記録されたもの、あるいは機械可読媒体に記録されたもの(数値格納バーコードなど)を含めてもよい。
【0047】
「本質的に〜からなる」とは、本発明の基本的特徴および新規特徴を実質的に変化させないさらなる成分(1種類もしくは複数種)、組成物(1種類もしくは複数種)または方法工程(1つもしくは複数)を、本発明に含めてもよいことを意味する。本発明の基本的特徴および新規特徴に対して実質的な影響を有する成分(1種類もしくは複数種)、組成物(1種類もしくは複数種)または方法工程(1つもしくは複数)はいずれも、この用語の範囲外であり得る。
【0048】
発明の詳細な説明
序論および概説
本明細書では、リアルタイム核酸増幅手法を用いて、分析物ポリヌクレオチドの定量化を単純化するための方法を開示する。より詳しくは、本発明は、1つ以上の機器において得られたリアルタイム増幅結果を用いてマスター検量線を作成し、次いで該マスター検量線を用いて、異なる機器において得られたリアルタイム増幅結果を評価することにより分析物ポリヌクレオチドを定量する方法に関する。これは、好ましくは、1つ以上のマスター検量線を調整することにより行なわれる。該手順により、異なるアッセイを行なうたびに完全な検量線を作成する広範な一連の核酸増幅反応を行なう必要性が少なくなる。これにより、試験試料の処理量が効果的に増加し、アッセイの製造が単純化され、材料コストが削減される。
【0049】
開示した保存マスター検量線の調整方法の開発は、増幅反応を実施およびモニタリングする異なる機器を用いて作成された2次元検量線の形状が、時間依存性増幅兆候(例えば、閾値に基づくTTime値(時間単位で測定))を表す軸において垂直方向にシフトしていること以外は、実質的に類似していることを見い出したことにより可能となった。例えば、図1は、リアルタイム核酸増幅反応を実施およびモニタリングするための異なる機器を用いて得られた内部検量物質の増幅兆候の結果を示す。プロット上の各データ点は、異なる記号(◇、□、×、△)で示した4つの異なる機器のうちの1つでの、一定の出発量の核酸検量物質および既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を用いて行なった単一の増幅反応の結果を表す。プロットの視覚的検討により、投入された分析物ポリヌクレオチド標準のlogコピー数の関数としての増幅兆候を表すデータ点間の一般傾向が異なる機器で実質的に類似するように、結果がクラスター化することが明らかになった。図示していないが、機器の1つでの一群のデータ点に適合させた曲線は、プロットの垂直軸上でシフトしていること以外は、異なる機器での一群のデータ点に適合させた曲線と実質的に類似した。これは、増幅反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準の量が約10〜10コピー/ml試験試料の範囲に含まれる場合、特にそうであった。
【0050】
一般的に言うと、開示した方法は、アッセイを異なる機器で行なった場合、増幅兆候に関連する次元において曲線がシフトすること以外は、実質的に類似した形状を有する検量線が得られるリアルタイム核酸増幅反応の解析に有用である。より詳しくは、該方法は、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量(例えば、x軸)に対する増幅兆候のプロット(例えば、y軸)において、実質的に類似した形状の検量線が確実に得られる増幅兆候を表す軸において曲線が上方に移動すること以外は、アッセイの解析に適用可能である。したがって、保存マスター検量線(1つまたは複数)の調整は、曲線の上方または下方への平行移動しか伴わず、曲線形状の調整は必要でなかった。実際、保存マスター検量線(1つまたは複数)の形状は、好ましくは、エンドユーザーによって操作されるデバイスで行なわれることが意図された本発明の調整手順によって変化しない。しかしながら、後述するように、数学演算によって2つのマスター検量線(すなわち、一方は分析物ポリヌクレオチド標準のもの、および他方は内部検量物質のもの)を互いに関係付ける検量線の形状は、本明細書に開示した調整手順によって好都合に変化され得る。曲線調整手順は、標準的な増幅反応に使用された分析物ポリヌクレオチド投入量(例えば、x軸)に対応する次元における曲線の平行移動またはシフトを伴わないものであることが好ましい。
【0051】
本明細書に記載の方法は、反応を異なる機器で行なった場合、実質的に類似した形状の曲線を有する検量線が得られる増幅系核酸アッセイとの関連において有用である。一部の一般的に好ましい場合では、該方法は、核酸増幅を行なうために温度サイクルを使用しない増幅反応との関連において使用される。実際、一部の一般的に好ましい場合では、該方法は、等温核酸増幅反応との関連において使用される。非常に好ましい場合では、該方法は、等温転写関連増幅反応との関連において使用される。
【0052】
好都合には、本明細書に開示した方法は、分析物ポリヌクレオチドと同時に増幅され得る内部検量物質の増幅効率におけるばらつきに非常に抵抗性である。さらに、共用プライマーまたは共用されるプライマーの組を用いて分析物ポリヌクレオチドまたは分析物標準および内部検量物質を増幅する必要はない。
【0053】
注目すべきことに、開示した定量的手順によって処理され得る同時に増幅反応で使用するプライマーの選択に柔軟性がある。一般的に好ましい一実施形態において、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質は、完全に独立したプライマーが使用される単一の増幅反応で同時に増幅される。これは、単一のプライマーは、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質核酸の両方を増幅する機能を果たさないことを意味する。別の一般的に好ましい実施形態では、少なくとも1種類のプライマーが、単一の増幅反応において、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質核酸の両方を増幅する機能を果たす。したがって、少なくとも1種類のプライマーが2種類の標的の増幅に共用される。また別の一般的に好ましい実施形態では、同時に増幅反応に参与するプライマーすべてが、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質核酸の両方の増幅に使用され得る。この後者の場合、プライマーはいずれも、2種類の標的(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質核酸)の一方のみの増幅に特異的でない。
【0054】
本明細書に開示した方法を使用し、まず、製造業者によって、各ロットの試薬に対するマスター検量線が作成され、検量線を特定する一組のマスター検量線のパラメータまたは係数がエンドユーザーに提供される。次いで、エンドユーザーが、製造業者によって供給された1種類、またはより好ましくは2種類の調整検量物質を用いて増幅反応を行ない、該反応の結果を用いて、ユーザーのシステムのシグナルと、試薬の製造業者がマスター曲線を作成するために使用したシステムのシグナルとを相関させる。最初に新規な試薬ロットをエンドユーザーの機器に負荷する場合、試料の結果がエンドユーザーのシステムによって報告され得る前に、マスター検量線のパラメータまたは係数を入力、保存および調整しなければならない。
【0055】
注目すべきことに、本発明で使用され得る有用なマスター検量線の性質には柔軟性がある。増幅された分析物ポリヌクレオチドおよび内部検量物質に対して個々のマスター曲線を作成することができ、増幅された分析物ポリヌクレオチドおよび内部検量物質に対する2つの個々のマスター曲線からの未処理データまたは処理データに関する数学演算の結果に対して単一のマスター曲線を作成することができる。例えば、マスター検量線は、内部検量物質の時間依存性増幅兆候に対する分析物ポリヌクレオチドの時間依存性増幅兆候の比に対して、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の初期量の関数として作成され得る。あるいは、個々の分析物ポリヌクレオチドのマスター検量線および内部検量物質を、エンドユーザーの機器での調整検量物質の同時に増幅から得られた結果を用いて、独立して調整し、次いで、数学演算によって2つの調整後の曲線を互いに関係付けることができる。2つの調整後の曲線を互いに関係付けるためのこの手順は、独立して調整された曲線を示す数学的方程式の関係付けを伴うものであってもよい。該方程式は互いに関係付けされ得るが(例えば、一方の方程式を他方で除算した後、単一の方程式に単純化することにより)、別のアプローチでは、電子表計算を用いて、投入された分析物ポリヌクレオチド標準のインクリメント値において、個々の方程式を解くことにより得られた数値の列を互いに関係付けること(例えば、除算によって比を得る、または減算によって差を得ることにより)を伴う。関係付けされた結果(例えば、演算処理後の増幅兆候)を表す数値の列は、標準的な曲線適合手法によって第3の方程式を規定するために使用され得る。すべての場合において、マスター検量線を確立および使用するために使用される反応に投入された内部検量物質の量は、好ましくは一定に維持される。
【0056】
マスター検量線曲線の作成 − 独立した調整方法
マスター検量線の作成は、各々が一定量の核酸検量物質(すなわち、内部検量物質)と、異なる既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む複数の標準試料を形成する工程から始める。例えば、該複数の標準試料の各々は、30,000コピーの内部検量物質ポリヌクレオチドを含むものであり得る。また、異なる試料が、既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を含むものであってもよく、例えば、該標準の量は、試料の1つと次のものとで10倍異なる。
【0057】
次に、単一の増幅反応において、核酸検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅し、標準反応における該核酸検量物質標準および分析物ポリヌクレオチドの各々の増幅兆候を測定あるいは決定する工程がある。一般的に言うと、これらの兆候は、好ましくは、増幅反応がある時点に達するのに要する時間の値、または生成されるアンプリコンの量が特定の量もしくは閾値に達するのに要する時間の値である。かかる兆候は、熱サイクリングまたは他のサイクリングを伴う増幅反応のサイクル数、または時間インクリメントにて測定され得る。時間インクリメントを表す兆候は、増幅反応を促進するための作業者または機械介入を必要としない個別の反応サイクルを伴わない等温増幅反応に好ましい。このような手順の結果は、増幅反応を開始する前の反応混合物中に存在した既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、核酸検量物質と分析物ポリヌクレオチドの各々に対する一群の増幅兆候である。
【0058】
もちろん、増幅された分析物ポリヌクレオチド標準と増幅された内部検量物質について測定された結果得られる増幅兆候は、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量と関連しているか、または該量と関係付けされる。これは、グラフ作成、プロット作業によって、またはより好ましくは、(a)既知量の分析物ポリヌクレオチド標準(Tt)を用いて行なった反応増幅兆候と、(b)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準(S)の量をコンピュータにより関係付けることによって形式化され得る。同様に、これには、グラフ作成、プロット作業、またはより好ましくは、(a)内部検量物質の増幅兆候(ICt)と、(b)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準(S)の量をコンピュータにより関係付けることが含まれ得る。図2A〜2Bの個々のデータ点は、増幅された内部検量物質と増幅された分析物ポリヌクレオチド標準について測定された増幅兆候を表し、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としてプロットされたものである。
【0059】
該検量線の作成方法によれば、関係付けの手順または工程は、好ましくは、(1)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての、増幅された分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候(2)反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての、増幅された内部検量物質の増幅兆候に適合させる方程式の最適化を伴うものである。これは、標準的な数学的曲線適合手法をデータセットの各々に適用することにより行なわれ得、関連する曲線を規定する方程式(すなわち、「適合した方程式」)が得られる。したがって、この手順により、2種類の異なる2次元曲線の各々に対して適合した方程式が得られ得る。一実施形態では、各曲線を示すために単一の型の方程式が使用され、該2次元曲線は各々、該方程式の係数の異なる組の数値と関連している。曲線適合手順に使用される方程式は、好ましくは、曲線適合手順で最適化または決定された2つ以上の、より好ましくは3つ以上の、より好ましくは4つ以上の係数を含む非線形方程式である。一部の非常に好ましい方程式は、ちょうど4つの係数を有するものであり、一方、他の一部の非常に好ましい方程式は、ちょうど5つの係数を有するものである。決定された増幅兆候に適合させる方程式の最適化は、市販のソフトウェアパッケージ、例えば、SOLVERプログラム(これは、式に対する最適値を見出すため、および方程式を解くためのEXCELアドインツールとして利用可能である、Microsoft Corporation(Redmond、WA)製)などを用いて容易に行なわれ得る。この手順によって作成される曲線は、好ましくは、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準のレベルの増大が、分析物ポリヌクレオチド標準プロットの増幅兆候の減少と相関し(例えば、出現時間が減少する)、内部検量物質の増幅兆候プロットの増大と相関する(例えば、出現時間が増大する)ような形状である。あるいはまた、この手順によって作成される曲線は、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準のレベルの増大が分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候プロットの減少と相関し(例えば、出現時間が減少する)、反応に投入された投入分析物ポリヌクレオチド標準の範囲全体にわたって実質的に一定の内部検量物質の増幅兆候プロットと相関するような形状であり得る。図2A〜2Bに示された曲線は、既知出発量の投入された分析物ポリヌクレオチド標準(S)のある範囲の値において適合した方程式を解いた結果のグラフを表し、本明細書では「適合された増幅兆候」という。
【0060】
一般的に言うと、マスター検量線を作成および使用に有用な方程式は、曲線の形状に影響を及ぼすことなくベースラインが調整された1つ、好ましくは1つだけの係数を
含む。この係数は、本明細書において「ベースライン調整係数」または適合された係数と称し、これは、保存マスター曲線を、増幅兆候を特定する軸においてのみ調整し、y軸上の曲線(すなわち、従属変数に相当)の位置に影響を及ぼすが、これ以外に曲線の形状には影響を及ぼさない。他の方程式が該曲線適合手順に使用され得るが、後述する方法では、以下の式:
【0061】
【数1】

を有する4パラメータロジスティック方程式を使用した。
【0062】
これらの方程式において、従属変数Ttは、反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準(S)の量の関数としての、既知量の分析物ポリヌクレオチドの増幅兆候を表し、従属変数ICtは、反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準(S)の量の関数としての、内部検量物質の増幅兆候を表す。標準的な手順によって最適化され得るこれらの方程式のこの4つの係数を、a〜dと特定する。増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチドのコピー数を、方程式において「S」(すなわち、独立変数)と特定する。このような方程式の係数aは、上記のベースライン調整係数である。もちろん、本発明の使用における成功は、なんら特定の方程式の使用を必要としないことは理解されよう。
【0063】
上記および図2A〜2Bに図示した型の適合された検量線は、マスター検量線として供され得、該適合された曲線を規定する最良適合方程式を解いたものは、マスター検量線を特定する方程式として供され得る。単純にエンドユーザーに、マスター検量線を特定する方程式の係数の値を提供することにより、エンドユーザーが、製造業者により提供されたマスター曲線を用いて、解析装置またはこれに接続されたデータ処理要素のプログラムを作成することが可能になる。データ処理要素またはコンピュータのメモリデバイスに保持する場合、検量線の数学的モデルを、「保存」マスター検量線、あるいは「前規定(pre−defined)」マスター検量線と称する。
【0064】
保存マスター検量線曲線の調整
リアルタイム核酸増幅反応を実施およびモニタリングするための2つの機器が、全く同じ増幅効率調節能力を有することはないため、ならびに2つの蛍光光度計が、同じレベルの光子入力に対して全く同じシグナル出力をもたらすことはないため、各ユーザーのシステムの出力は、ソフトウェアによって、マスター検量線を得るために使用されたシステムの較正濃度出力と同じ較正濃度出力が得られるように調整されなければならない。この調整は、エンドユーザーが、既知量の分析物ポリヌクレオチド標準と、マスター検量線を作成するために使用された反応の場合と同じ一定量の内部検量物質とを含む調整検量物質を用いて1回、またはより好ましくは2回の増幅反応を行ない、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の両方の増幅兆候を決定し、次いで、これらの結果に基づいて保存マスター検量線を調整することによってなされ得る。ユーザーが行なった反応によるデータ点(1つまたは複数)の結果を、保存マスター検量線を示すグラフ上にプロットすると、ユーザーによって決定された時間依存性増幅兆候と、保存マスター検量線を特定する方程式を用いた計算から予想される時間依存性増幅兆候との間に、ある低度の量の差がみられることが予測される。
【0065】
エンドユーザーが、単一の調整検量物質から得られた1つのデータ点を用いて保存マスター検量線を調整する場合、調整を行なうためには、単に、保存マスター検量線を増幅兆候に相当する次元(すなわち、y軸)において、データ点が重ね合うように調整すること(これ以外に曲線の形状は変化しない)で充分である。これは、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質に対して別々の調整因子を確立することにより行なわれ得る。この手順では、まず、2種類の同時に増幅された標的(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質)の増幅兆候を決定する。もちろん、調整検量物質中に存在する分析物ポリヌクレオチド標準の出発量は既知である。次に、それぞれの保存マスター検量線方程式における独立変数として、調整検量物質中に存在する分析物ポリヌクレオチド標準の出発量を代入することにより、保存マスター曲線から予想される増幅兆候値を計算する。(a)マスター曲線の方程式を用いて計算された値を、(b)決定された増幅兆候から減算することにより計算された差(例えば、このような差は、図3Aにおける2種類の調整検量物質で例示される)は、調整後の検量線を特定する方程式を得るために保存マスター曲線の方程式を修正するための調整因子として使用され得る。例えば、内部検量物質に対する調整因子の数値が、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候を特定する保存マスター曲線の方程式のベースライン調整係数に加算され得る。同様に、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整因子の数値が、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を特定する保存マスター曲線の方程式のベースライン調整係数に加算され得る。マスター曲線の方程式に対するこのような修正を、方程式6に例示する。この手順は、単一の調整検量物質による結果を用いて、どのようにして2つの保存マスター曲線が独立して調整され得るかを示す。非常に好ましい実施形態では、内部検量物質と分析物ポリヌクレオチド標準に関する独立して調整された検量線についての方程式、または該方程式から計算された数値は、数学演算(例えば、加算、減算、乗算または除算)によって互いに関係付けされる。
【0066】
好ましくは、一点調整方法または他の調整方法が使用される場合、分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の増幅兆候(各々、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数)を別々に示す適合した方程式を関係付けるためのさらなる工程がある。これは、例えば、(a)分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候に対する数値および(b)内部検量物質の増幅兆候に対する数値(各々、調整後のマスター検量線から決定)を関係付けることにより行なわれ得る。これには、数学演算(乗算、除算、加算または減算など)が含まれ得る。例えば、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の異なる値における分析物ポリヌクレオチドと内部検量物質に対する調整後のマスター検量線方程式を用いて、IOA(分析物)/IOA(IC)比が計算され得る。これは、好ましくは、まず、マスター検量線を作成するために使用された検量標準に対応する分析物ポリヌクレオチドの投入レベルでの、または投入された分析物ポリヌクレオチドの自由裁量値を用いた計算を行なうことにより、分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候および内部検量物質の増幅兆候の値を計算することを伴うものである。この演算の結果は、増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチドの量に依存性である演算処理後の増幅兆候を表す一群のデータ点である。本明細書に記載の特定の例では、演算結果は、増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチドの量に依存性である比の値を表す一群のデータ点である。
【0067】
エンドユーザーが2つのデータ点を用いて保存マスター検量線を調整する場合(すなわち、2種類の異なる検量標準を使用)、以下の手順が使用され得る。
【0068】
保存マスター検量線曲線の二点調整
二点調整を用いて保存マスター曲線を調整するための手順は、上記の一点調整方法に非常に類似している。まず、異なる調整検量物質を用いて2つの核酸増幅反応を行なう。各反応は、異なる既知量の分析物ポリヌクレオチドまたはその断片(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準)を、保存マスター検量線を作成するために使用されたものと同じ一定量の核酸検量物質とともに含む。検量反応に使用される調整検量物質を、「第1」および「第2」調整検量物質、あるいは、それぞれ「Cal_1」および「Cal_2」と称する。
【0069】
次に、内部検量物質(図3A〜3Bにおいて、データ点「Cal_1(IC)」および「Cal_2(IC)」で示す)および分析物ポリヌクレオチド標準(図3Cにおいて、データ点「Cal_1(分析物)」および「Cal_2(分析物)」で示す)の両方の2つの検量反応増幅兆候を各々測定する。
【0070】
次に、2つの検量反応から得られた各データ点について、測定された増幅兆候と保存マスター検量線からの増幅兆候値の差を計算する。好ましくは、これは、内部検量物質(図3A〜3Bにおいて、「ΔCal_1(IC)」および「ΔCal_2(IC)」と表示))および分析物ポリヌクレオチド(図3Cにおいて、「ΔCaLl(分析物)」および「ΔCal_2(分析物)」と表示)の両方について行なう。関連する保存マスター検量線上に位置する増幅兆候の値は、上記のように、2種類の調整検量物質の各々に存在する既知量の分析物ポリヌクレオチドを用いて、保存マスター検量線についての方程式を解くことにより計算され得る。
【0071】
次に、調整される各曲線について、測定された増幅兆候(「IOA」)と保存マスター検量線からの増幅兆候値の差の平均を計算する。これは、下記の方程式を用いて行なわれ得る。
【0072】
【数2】

次に、分析物ポリヌクレオチドおよび内部検量物質の調整後の検量線を特定する方程式を作成する。これは、AvgΔIOAの計算値を、ベースライン調整係数(例えば、例示した4PL保存マスター検量線を特定する方程式の係数「a」)に加算し、他のすべての係数は変更せずに維持することにより行なわれ得る。これにより、保存マスター検量線が、単一の次元(例えば、y軸上)だけにおいて有効に調整される。この手順によって、保存マスター検量線は、増幅兆候を表す次元においてのみ調整される。したがって、保存マスター検量線について、y次元における増幅兆候(IOA)を、x次元における分析物ポリヌクレオチド標準(S)の出発量の関数として関係付ける方程式は、
【0073】
【数3】

で示される。そして、調整検量線についての方程式は、
【0074】
【数4】

となる。
【0075】
この手順により、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整後の検量線(すなわち、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候)および内部検量物質の調整後のマスター検量線(すなわち、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量に対してプロットされた内部検量物質の増幅兆候)が得られる。保存検量線および対応する調整後のマスター検量線のグラフプロットを、図3B(内部検量物質)と図3C(分析物ポリヌクレオチド)に示す。また、該手順に使用したCal_1およびCal_2データ点も図3Bと3Cに示す。
【0076】
好ましくは、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の増幅兆候(各々、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数)を別々に示す適合した方程式を関係付けるためのさらなる工程がある。これは、例えば、(a)分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候に対する数値および(b)内部検量物質の増幅兆候に対する数値に対する数値(各々、調整後のマスター検量線から測定)を関係付けることにより行なわれ得る。これには、数学演算(乗算、除算、加算または減算など)が含まれ得る。例えば、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の異なる値における分析物ポリヌクレオチドと内部検量物質に対する調整後のマスター検量線方程式を用いて、IOA(分析物)/IOA(IC)比が計算され得る。これは、好ましくは、まず、マスター検量線を作成するために使用された検量標準に対応する分析物ポリヌクレオチドの投入レベルでの、または投入された分析物ポリヌクレオチドの自由裁量値を用いた計算を行なうことにより、分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候と内部検量物質の増幅兆候の値を計算することを伴うものである。この演算の結果は、増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチドの量に依存性である演算処理後の増幅兆候を表す一群のデータ点である。本明細書に記載の特定の例では、演算結果は、増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチドの量に依存性である比の値を表す一群のデータ点である。図4は、このようなデータ点のプロットを示す。
【0077】
一点および二点の独立した調整方法の好ましい実施形態では、4パラメータロジスティック(すなわち、「4PL」)方程式などの方程式を最適化し、データ点を、調整後のマスター検量線から測定された数値間の関係の計算値のプロット上に適合(例えば、表計算形式での2次元プロットの電子的表示)させるためのまた別の工程がある。例えば、方程式は、慣用的な曲線適合手順を用いて、曲線が、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量(すなわち、x軸)に対して、IOA(分析物)/IOA(IC)比の計算値を表すデータ点(すなわち、y軸)に適合されるように最適化され得る。方程式の係数は、最良適合曲線を得るための標準的なソフトウェア曲線適合手法を用いて調整され得る。例示的な最良適合曲線を図4に示す。適合された曲線に対する方程式の一例は、下記の形態を有するものであり得、係数a〜dに対する数値解を含むものであり得る。
【0078】
【数5】

この方程式において、従属変数「y」は、既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を表すSの関数である。適合された曲線は、「IC調整プロット(比)」と称され、該適合された曲線を示す方程式と一緒に、ともに、試験試料中の未知の量の分析物ポリヌクレオチドの定量化に有用である。
【0079】
調整後のマスター検量線曲線の使用:試験試料の解析
上記の手順によって得られるマスター検量線を特定する方程式を、マスター検量線を作成するために使用されたもの(1つまたは複数)とは異なるプロセッサまたは機械にプログラムまたは保存することができる。未知の量の分析物ポリヌクレオチドおよび同じ量の内部検量物質ポリヌクレオチドを含む試験試料を用いて増幅反応を行ない、増幅の特定の特色を決定し、次いで、決定された特色を用いて保存マスター検量線についての方程式を解くことにより、試験試料中に存在する分析物ポリヌクレオチドの量に対する数値出力が得られ得る。これは、以下の手順工程を用いて行なわれ得る。
【0080】
まず、未知の量の分析物ポリヌクレオチドを、反応混合物中において、マスター検量線を作成および調整するために使用されたものと同じ一定量の核酸検量物質と合わせて含む試験試料を用いて、インビトロ核酸増幅反応を行なう工程がある。分析物ポリヌクレオチドと核酸検量物質を同じ増幅反応で同時に増幅し、アンプリコン合成を時間の関数としてモニタリングする。上記の手法を用いて、分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候および内部検量物質の増幅兆候(すなわち、それぞれ、IOA(分析物)およびIOA(IC))を、試験試料を含む増幅反応増幅反応について決定し、数学演算(乗算、除算、加算または減算など)を行なって、2つの結果を互いに関係付ける。もちろん、試験試料を含む増幅反応による結果を演算処理するために使用する数学演算の性質は、独立して調整された保存マスター曲線の方程式、または(a)分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候の数値および(b)内部検量物質の増幅兆候の数値(各々、調整後のマスター検量線とは独立して測定)を関係付ける工程で使用された数学演算と同じであるのがよい。例示的な数学演算としては、IOA(分析物)/IOA(IC)比の計算が挙げられる。
【0081】
次に、試験反応の2つの結果を互いに関係付けるために行なわれた数学演算の結果を用いて、調整後のマスター検量線から測定された数値間の関係の計算値のデータ点に適合させた最適化後の方程式から、反応混合物中に存在していたはずの投入された分析物ポリヌクレオチドの出発量を計算する。例えば、適合させた比のプロット(すなわち、IC調整プロット(比))に対する方程式から、反応混合物中に存在していたはずの投入された分析物ポリヌクレオチド(すなわち、方程式7の「S」)の量が、試験試料のIOA(分析物)/IOA(IC)の比(すなわち、方程式7の「Y」)の計算値を用いて計算され得る。図4は、試験試料中の分析物ポリヌクレオチドの量(logコピーが約2を示している)を測定するために、IC調整プロット(比)と試験試料のIOA(分析物)/IOA(IC)比の計算値(約3.0を示している)がどのようにして使用され得るかをグラフによって示す。
【0082】
前述のことは、比として、(a)既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候と、(b)既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての内部検量物質の増幅兆候の、独立して調整されたマスター検量線の結果を関係付けることによる本発明を示す。しかしながら、独立して調整されたマスター検量線の結果を差として(すなわち、数学的関係付ける工程を行なうために、除算の代わりに減算を使用)関係付けることによっても優れた結果が得られた。この後者の場合、試験試料について測定された分析物ポリヌクレオチドと内部検量物質の増幅兆候は、差の値を求める減算によって同様に互いに関係付けされる。次いで、この差の値を、差に基づいて調整された検量線と比較し、試験試料中に存在する分析物ポリヌクレオチドの出発量を求める。独立して調整されたマスター検量線を、加算および乗算によって関係付けることもまた、本明細書に詳述した定量方法とともに使用される択一的なアプローチとして想定される。
【0083】
増幅兆候の結果の予備演算処理に基づいたマスター検量線曲線の作成
先のセクションでは、分析物ポリヌクレオチドおよび同時に増幅された核酸検量物質の増幅兆候に対するマスター曲線の独立した調整後、別々に調整された曲線の結果を用いる数学演算を伴う手順において、別々に調整された曲線を使用することを記載した。この手順を「独立した調整」方法と称する。上記の特定の例では、別々に調整されたマスター曲線の結果を用いて、IOA(分析物)/IOA(IC)比を計算した。
【0084】
以下に、まず調整前のデータを用いて数学演算を行ない、次いで、その結果を用いてマスター曲線を作成する択一的な方法を記載する。比較を簡単にするため、以下、分析物ポリヌクレオチド標準および核酸検量物質の増幅の結果を比として関係付けるマスター曲線の作成に関して記載する。しかしながら、分析物ポリヌクレオチドと核酸検量物質の増幅兆候は、演算処理後の兆候のマスター検量線の作成に使用する前に、任意の数学関数、例えば、乗算、除算、加算または減算などによって互いに関係付けされ得ることは理解されよう。
【0085】
上記のように、マスター検量線を作成する手順は、各々が一定量の核酸検量物質(すなわち、内部検量物質)および異なる既知量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む複数の標準試料を形成する工程から始める。
【0086】
次に、単一の増幅反応において、核酸検量物質と分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅し、反応における内部検量物質と分析物ポリヌクレオチド標準の各々の増幅兆候を測定あるいは決定する工程がある。この場合も上記のように、このような手順の結果は、増幅反応を開始する前の反応混合物中に存在した既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、核酸検量物質と分析物ポリヌクレオチド標準の各々に対する一群の増幅兆候である。
【0087】
次に、個々の増幅反応の既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての核酸検量物質および分析物ポリヌクレオチドの各々の該一群の増幅兆候を用いて、数学関数、例えば、比を求めるための除算、または差を求めるための減算を行なう。上記の例に続き、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の特定のレベルで測定された分析物ポリヌクレオチドの増幅兆候に対する数値は、同じ増幅反応で測定された核酸検量物質の増幅兆候に対する数値で除算され得る。この手順の結果は、増幅反応を開始する前に反応混合物中に存在した既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての比の計算値を表す一群のデータ点である。注目すべきことに、この場合、分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の増幅兆候を関係付ける数学演算は、調整検量物質による結果を用いた検量線のいずれかの調整前に行なう。これは、独立した調整方法の実施に使用されるアプローチとは対照的である。
【0088】
増幅兆候の結果の予備演算処理に基づいたマスター検量線の作成方法によれば、方程式は、反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての、増幅された分析物ポリヌクレオチド標準と核酸検量物質の演算処理後の増幅兆候に適合するように最適化される。この場合も、これは、標準的な数学的曲線適合手法をデータセットに適用することにより行なわれ得、関連する曲線を規定する方程式(すなわち、「適合した方程式」)が得られる。したがって、この手順により、最良適合曲線に対する方程式が得られ得る。また、個々の増幅兆候の曲線適合(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準と核酸検量物質の独立した関係付け)における使用に適切であり得る任意の方程式が、演算処理後の増幅兆候に対する曲線を規定する方程式の確立に有用であり得る。例えば、マスター曲線調整方法を例証するために使用した方程式は、下記の形態を有するものであった。
【0089】
【数6】

この方程式において、従属変数(P)は、反応に使用された分析物ポリヌクレオチド(S)の量の関数としての、既知量の分析物ポリヌクレオチドの演算処理後の増幅兆候の値を表す。標準的な手順によって最適化され得るこの4つの係数を、a〜dと特定する。増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチドのコピー数を、方程式において「S」(すなわち、独立変数)と特定する。この方程式の係数aは、上記のベースライン調整係数である。図5は、増幅反応を開始する前に反応混合物中に存在した既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数としての、比の計算値を表す一群のデータ点を示す。また、図5には、この一群のデータ点に適合させた最適化後の方程式で規定される曲線も示す。
【0090】
演算処理後の兆候の保存マスター検量線の調整
増幅兆候の結果の予備演算処理に基づいたマスター検量線を調整するための手順は、検量線の独立した調整に使用される手順に実質的に類似している。より詳しくは、1種類または2種類の調整検量物質を用いて増幅反応を行ない、分析物ポリヌクレオチドと核酸検量物質の増幅兆候を測定する。次いで、この2種類の標的について得られた増幅兆候を、演算処理後の兆候のマスター検量線を作成するために使用されたものと同じ数学演算によって互いに関係付ける。例えば、演算処理後の兆候の検量線を、反応に使用された既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチドと核酸検量物質の増幅兆候の比を用いて作成した場合、検量標準について測定された増幅兆候は、比として同様に互いに関係付けされ得る。あるいは、演算処理後の兆候の検量線を、反応に使用された既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準に対してプロットされた分析物ポリヌクレオチドと核酸検量物質の増幅兆候の差を用いて作成した場合、調整検量物質について測定された増幅兆候は、減算によって同様に互いに関係付けされ得る。マスター検量線の一点調整を行なう場合、必要なのは、演算処理後の兆候に対応する次元において検量標準データ点が重ね合う(すなわち、分析物ポリヌクレオチドおよび核酸検量物質の増幅兆候の比を表す)ように曲線を調整することだけであり、反応に使用された既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準に対応する次元における調整は行なわない。これは、演算処理後の兆候に対応する次元における検量標準データ点と保存マスター曲線の差を計算し、次いで、この差の平均を用いて上記の手順に従って曲線を調整することにより行なわれ得る。同様に、演算処理後の兆候の保存マスター検量線の二点調整は、演算処理後の増幅兆候に対応する次元における適合された曲線と検量標準データ点の差の平均を計算し、次いで、この差の平均を用いて本質的に上記の手順に従って曲線を調整することにより行なわれ得る。
【0091】
演算処理後の兆候の調整後のマスター検量線は、増幅反応において測定される増幅兆候を用いて、試験試料中に含まれる分析物ポリヌクレオチドの量を推測するのに有用である。上記のように、未知の量の分析物ポリヌクレオチドを、反応混合物中において、マスター検量線を作成するために使用されたものと同じ一定量の核酸検量物質と合わせて含む試験試料を用いて、インビトロ核酸増幅反応を行なう工程がある。分析物ポリヌクレオチドおよび核酸検量物質を同じ増幅反応で増幅し、アンプリコン合成を時間の関数としてモニタリングする。上記の手法を用いて、IOA(分析物)およびIOA(IC)を試験試料について測定し、数学演算(乗算、除算、加算または減算など)を行なって、2つの結果を互いに関係付ける。例示的な数学演算としては、IOA(分析物)/IOA(IC)比の計算が挙げられる。次いで、この計算の結果は、調整後の演算処理後の兆候のマスター検量線と比較され、試験試料に含まれていた初期の分析物ポリヌクレオチドの量が推測され得る。
【0092】
有用な増幅方法
本発明との関連において有用な増幅方法の例としては、限定されないが、転写媒介型増幅(TMA)、単一プライマー核酸増幅、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、自己持続性配列複製(3SR)、DNAリガーゼ連鎖反応(LCR)ならびに自己複製ポリヌクレオチド分子および複製酵素(MDV−1 RNAおよびQ−β酵素など)を使用する増幅方法が挙げられる。これらの種々の増幅手法を行なうための方法は、それぞれ、米国特許第5,399,491号、米国特許出願第11/213,519号、欧州特許出願公開公報EP 0 525 882、米国特許第4,965,188号、米国特許第5,455,166号、Guatelliら、Proc. Natl. Acad. Sci USA 87:1874−1878 (1990)、国際特許出願番号WO 89/09835、米国特許第5,472,840号およびLizardiら、Trends Biotechnol. 9:53−58 (1991)をみるとよい。どのようにして核酸増幅反応を行なうかが記載されたこれらの文献の開示内容は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0093】
単一の伸長可能なプライマーのみが必要とされる増幅反応は、開示したアルゴリズムとの関連における使用に特に好ましい。このような反応としては、単一の伸長可能なプライマーが、核酸ポリメラーゼによって伸長され得ない3’−ブロック型オリゴヌクレオチドと組合せて使用される転写関連増幅系が挙げられる。かかる増幅反応を行なうための方法は、例えば、米国特許出願第11/213,519号に詳述されている。
【0094】
有用な増幅兆候の例
さまざまな増幅兆候が、開示した方法との関連において使用され得る。例えば、当業者に熟知された 数学的計算手法およびコンピュータ計算手法を用いて、リアルタイム実施曲線の一次導関数の極大の出現時間、または二次導関数の極大の出現時間が特定され得る。増殖曲線のこのような特色を規定するためのアプローチは、Wittwerらによって、米国特許第6,503,720号(その開示は、引用により本明細書に組み込まれる)に詳述されている。他の有用なアプローチは、増殖曲線の導関数の計算、増殖曲線の特徴の特定、次いで、該導関数の特徴に対応する閾値時間またはサイクル数の決定を含むものである。かかる手法は、米国特許第6,783,934号(その開示は、引用により本明細書に組み込まれる)に開示されている。さらに他の有用な増幅兆候としては、「TTime」および「TArc」が挙げられる。注目すべきことに、TArc値を決定するための種々のアプローチで、方向性が類似したベクター (すなわち、単純に「Tarc」で特定される値が得られる)と、方向性が反対のベクター(すなわち、「OTArc」で特定される値が得られる)が使用される。このような方法の一般的記載は、以下に後述する。
【0095】
TTime値の決定方法
簡単に記載すると、TTime値により、リアルタイム増幅反応においてアンプリコン生成の表示が特定の閾値を超えた時間が推測される。TTime値を計算および使用するためのアルゴリズムは、出願番号60/659,874で特定される米国特許出願(その開示は、引用により本明細書に組み込まれる)に記載されている。このアルゴリズムによれば、標準化およびバックグラウンド調整されたデータに対して、曲線適合手順が適用される。任意のよく知られた曲線適合方法論が使用され得るが、好ましい実施形態では、線形最小二乗(「LLS」)曲線適合が使用される。この曲線適合は、所定の下限と上限の間の一部のデータのみに対して行なわれる。データを適合させた曲線を得た後の最終目的は、曲線またはその突出部が予め規定した閾値と交差する点に対応する時間を推測することである。一実施形態において、標準化されたデータの閾値は0.11である。上限と下限は、曲線をさまざまな制御データセットに適合させる範囲が、与えられた閾値に関連する時間において最も少ないばらつきを示すように、実験的に決定される。一実施形態において、下限は0.04であり、上限は0.36である。曲線は、最初に下限より下になったデータ点から最初に上限を超えたデータ点に及ぶデータに対して適合させる。次に、該適合の傾きが統計学的に有意であるか否かの判定が行なわれる。例えば、一次係数のp値が0.05未満である場合、該適合は有意であるとみなして演算処理を継続するが、そうでない場合は演算処理を終了する。あるいは、データの妥当性が、R値によって判定され得る。適合された曲線について、直線y=mx+bの傾きmと切片bが決定される。この情報を用いて、Ttimeは、以下のようにして決定され得る。
【0096】
【数7】

TArc値の決定方法
「TArc」および「OTArc」と称する時間依存性増幅兆候は、リアルタイム実施曲線のベクターに基づく解析を用いて決定される。TArc値により、増殖曲線が曲線となり始める、または上方に「曲がり」始める時点が特定される。この測定点は、標準曲線を作成するため、または試験試料中の分析物ポリヌクレオチドの量または濃度に関する増幅反応のパラメータを確立するために使用され得る。ベクター解析は、実質的に均一な時間間隔にわたって分布したデータ点を有する増殖曲線を用いて最も簡便に行なわれる。TArc値およびOTArc値の決定および使用に関する詳細の提示は、出願番号が60/693,455である米国特許出願(この出願の明細書および図面は、引用により本明細書に組み込まれる)に見られる。
【0097】
マスター曲線の調整方法の曲線工程を行なうための択一的な方程式
注目すべきことに、4−パラメータロジスティック(4PL)方程式を、特に本発明の例示において使用したが、他の数学関数もまた、該手順に使用され得る。実際、ベースライン調整係数を有する実質的に任意の方程式が、リアルタイム増幅結果のモデル作成を行なうための曲線適合手順において使用され得る。上記のように、ベースライン調整係数は、標準的なプロットにおいて、曲線の形状を変更することなく曲線全体を垂直次元においてのみ調整する目的に供される。
【0098】
当業者には、数多くの型の方程式が、本明細書に開示した手順において使用され得ることが認識されよう。リアルタイムデータ(具体的には、増幅兆候)のモデル作成のため、およびマスター検量線の調整手順において修正され得るベースライン係数を有するマスター検量線を作成するためには、ベースライン係数を含む推移関数が使用され得る。対称性推移関数の例としては、限定されないが、シグモイド、ガウス累積(Cumulative)、ローレンツ累積および累積的対称性ダブルシグモイドが挙げられる。非対称性推移関数の例としては、限定されないが、ロジスティック用量応答(LDR)、Log Normal Cumulative、極値累積、パルス累積、Power Termを伴うパルス累積、ワイブル累積、非対称性シグモイド、非対称性シグモイド逆非対称、Cascade Formation、およびCumulative Exponentially Modified Gaussianが挙げられる。さらに、単純な線形および非線形方程式、例えば、高次多項式、べき関数、指数関数および対数関数が、リアルタイムデータのモデル作成のために使用され得、本明細書に詳述しているように、その後、ベースライン係数の調整が行なわれる。ベースライン係数を有する動態関数もまた、同様に使用され得る。ベースライン係数を含む例示的な基本動態方程式としては、限定されないが、Half Order Decay and Formation、First Order Decay and Formation、Second Order Decay and Formation、Second Order Decay and Formation (双曲型)およびThird Order Decay and Formation、Variable Order Decay and Formationが挙げられる。ベースライン係数を含む例示的な複雑な動態方程式としては、限定されないが、Simultaneous First and Second Order Decay and Formation、First Order Sequential Formation、Two Component First Order Decay、Two First Order Independent Decay and Formation、Two Second Order Independent Decay and Formation、およびFirst and Second Order Independent Decay and Formationが挙げられる。ベースライン係数を含む例示的な動態均衡方程式としては、限定されないが、Simple Equilibrium (Forward and Reverse Rate)、Simple Equilibrium (Net Rate and Equilibrium Concentration)、Complex Equilibrium A=B+C、およびComplex Equilibrium A+B=C+Dが挙げられる。ベースライン係数を含む例示的な中間動態方程式としては、限定されないが、First Order Intermediate and First Order Intermediate with Equilibriumが挙げられる。当業者には、開示したマスター検量線の調整方法の成功が、曲線適合工程を行なうとマスター検量線の作成がもたらされるなんら特定の方程式の使用に依存しないことが容易に理解されよう。実際、曲線適合手順において最適化され得る係数、およびベースライン調整係数を含む係数を有する任意の方程式が、開示したマスター検量線の調整手順の実施に使用され得ると考えられる。
【0099】
上記の型の方程式はすべて、リアルタイムデータの増幅兆候の曲線適合対し、優れた結果(適合度によって判定)を伴って使用されている。したがって、これらの型の各方程式は、開示した方法(例えば、独立した調整方法)を行なうために、優れた結果を伴って使用され得る。これは、該手順の成功が、使用される具体的な方程式だけでなく、データが最適に適合できる可能性にも依存するためである。さらに、単一のマスター曲線調整手順における異なる型の方程式の使用は、本発明の範囲に含まれる。これは、増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候が、ある1つの型の方程式によってモデル作成され得、増幅反応に投入される分析物ポリヌクレオチド標準の量の関数としての内部検量物質の増幅兆候は、該手順において第2の型の方程式によってモデル作成され得ることを意味する。同様に、ある1つの曲線(またはこの曲線を規定する方程式)を別の曲線(この曲線を規定する方程式)に数学的に関係付けるプロセスの結果は、さらに第3の型の方程式によってモデル作成され得る。
【0100】

検量アルゴリズムの実行のための装置
本明細書に開示した方法は、コンピュータまたは類似した演算処理デバイス(本明細書において以下、「コンピュータ」)を用いて簡便に実行される。種々の好ましい実施形態において、アルゴリズムを実行するためのソフトウェアまたは機械で実行可能な使用説明書が、独立型のコンピュータのメモリ要素、または解析中の生成物の量を(好ましくは時間の関数として)モニタリングするために使用されるデバイスに連結されたコンピュータのメモリ要素に、ロードあるいは保持され得る。非常に好ましい実施形態において、検量アルゴリズムを実行するためのソフトウェアは、反応混合物中に存在するアンプリコンの量が時間の関数としてモニタリングされ得るデバイスに接続された、または該デバイスの一体化された一部であるコンピュータのメモリ要素に保持される。
【0101】
実際、リアルタイム増幅デバイスを制御するためのコントローラシステムおよび/または該リアルタイム増幅デバイスの検出システムのいずれかまたは両方が、予めプログラムされた、またはユーザーが入力した使用説明書に従ってこれらの機器を操作することを指示する機能を果たすように適切にプログラムが組み込まれたコンピュータに接続され得る。また、該コンピュータは、好ましくはこれらの機器からのデータおよび情報を受信、解釈、操作し、この情報をユーザーに報告することができるものである。
【0102】
一般に、該コンピュータは、典型的には、ユーザー使用説明書を受容するための適切なソフトウェアを、ユーザーが一組のパラメータフィールドに入力した形態、または予めプログラムされた使用説明書(例えば、さまざまな異なる特定の演算のために予めプログラムされたもの)の形態のいずれかで含む。次いで、所望の演算が行われるようにリアルタイム増幅コントローラの演算を指示するため、該ソフトウェアにより、このような使用説明書が適切な言語に変換される。また、該コンピュータは、システム内に含まれた1つ以上のセンサー/検出器からのデータを受信し、プログラムに従って該データを解釈できるものである。該システムは、好ましくは、時間の関数として増幅された目的の核酸コピーの量(検出器によって検出)を示す増殖曲線の特色を、試験試料中に存在する目的の核酸のコピー数に相関させるソフトウェアを含む。
【0103】
好ましくは、開示した検量アルゴリズムの実行に使用されるコンピュータが、リアルタイム核酸増幅反応を実行および解析するための装置の一体化された一部の要素である場合、該装置は、好ましくは、温度制御されたインキュベータ、シグナルを収集するための検出デバイス、シグナルを解析するための解析デバイス(例えば、コンピュータまたはプロセッサ)、および解析デバイスによって取得または生成されたデータを表示するための出力デバイスを含む。解析デバイスは、当該技術分野で知られた入力デバイスを介して温度制御されたインキュベータに接続されていてもよい、および/またはデータ表示のための当該技術分野で知られた出力デバイスに接続されていてもよい。一実施形態において、温度制御されたインキュベータは、温度サイクリングが可能なものである。
【0104】
一般的に言うと、開示した方法との関連において有用なリアルタイム核酸増幅を行なうための装置の種々の要素は、当業者に熟知された慣用的な要素である。リアルタイム核酸増幅を実施および解析するために使用される温度制御されたインキュベータは、複数の反応チューブまたは反応試料を、標準的な増幅反応チューブまたはマルチウェルプレートのウェルの温度制御されたブロック内に収容することができる慣用的な設計のものであり得る。一態様において、検出システムは、1つ以上の蛍光標識からの光信号の検出に適したものである。検出システムの出力(例えば、増幅反応中に生じたものに対応するシグナル)は、データの保存と操作のためにコンピュータに供給され得る一実施形態において、該システムは、多数の異なる型の光信号(多数の異なる型の蛍光標識など)を検出し、マイクロプレート蛍光リーダーの能力を有するするものである。検出システムは、好ましくは、励起光源(これは、可視光レーザーまたは紫外線ランプまたはハロゲンランプであり得る)、励起光を個々の反応チューブに分散させ、該反応チューブからの蛍光を受けるためのマルチプレクサデバイス、波長によって蛍光を励起光から分離するためのフィルタリング手段、および蛍光強度を測定するための検出手段を含む多重型蛍光計である。好ましくは、温度制御されたインキュベータの検出システムは、フルオロフォア選択の柔軟性、高感度および優れた信号対雑音比を許容する広い検出範囲を提供するものである。検出システムによって受信された光信号は、一般的に、プロセッサと連通しているユーザーデバイスのディスプレイ上でユーザーが見ることができるデータが得られるように、該プロセッサで操作され得るシグナルに変換される。ユーザーデバイスは、ユーザーインターフェースを含むものであってもよく、キーボードとビデオモニターを有する慣用的な市販のコンピュータシステムであってもよい。ユーザーデバイスに表示され得るデータの例としては、増幅プロット、散布図、アセンブリ内のすべてのチューブまたは反応槽および使用したすべての標識に対する標本値スクリーン、光信号強度スクリーン(例えば、蛍光シグナル強度スクリーン)、ファイナルコールの結果、テキストレポートなどが挙げられる。
【0105】
種々のマスター検量線曲線調整方法の比較
以下に、上記の方法によってマスター検量線を調整するための2種類の異なるアプローチの比較を例示する。各場合において、マスター検量線は、第1の組の増幅/検出機器で得られた結果を用いて作成した(すなわち、アッセイ製造業者によるマスター曲線の作成をシミュレーション)。次いで、作成されたマスター曲線(1つまたは複数)を、異なる増幅/検出機器で得られた結果の解析に使用した(すなわち、エンドユーザーまたはカスタマーによって操作された機器でシミュレーション)。
【0106】
第1のアプローチでは、分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候の結果を、内部検量物質の増幅兆候で除算して比を計算した。曲線適合を行ない、例示した4PL方程式係数を最適化し、増幅反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数として比の値を示した。次いで、この単一のマスター検量線(「演算処理後の兆候のマスター検量線」と称する)を、エンドユーザーのシミュレーション機器での1種類または2種類の調整検量物質いずれかの増幅によって得られた結果を用いて調整した。重要なことに、演算処理後の兆候のマスター検量線の調整によって得られた結果を、エンドユーザーのシミュレーション機器において作成された完全な検量線(すなわち、「局所」検量線)と比較すると、金標準検量線が示された。
【0107】
第2のアプローチでは、2つのマスター検量線(すなわち、第1は、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候のもの、第2は、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候のもの)は、製造業者のシミュレーション機器において得られた結果を用いて、例示した4PL方程式の係数を最適化するための曲線適合によって作成された。次いで、この2つの曲線を、エンドユーザーのシミュレーション機器での1種類または2種類の調整検量物質いずれかの増幅によって得られた結果を用いて独立して調整した。次いで、独立して調整された検量線を特定する方程式を、数学演算によって互いに関係付けた。実施例では、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整後の曲線を規定する方程式を、内部検量物質に対する方程式で除算し、独立して調整された検量線についての方程式を得た(すなわち、この場合も、2つの方程式を、比を得る除算プロセスによって関係付ける)。第1のアプローチの場合のように、独立して調整された検量線を用いて得られた結果を、エンドユーザーのシミュレーション機器において作成された完全な検量線(すなわち、「局所」検量線)と比較すると、この場合も、金標準検量線が示された。
【0108】
以下の実施例では、等温単一プライマー転写関連増幅系を用いてマスター検量線の調整方法を示した。該手順に使用した分析物ポリヌクレオチド標準は、モデルウイルスポリヌクレオチドであった。同時に増幅反応において分析物ポリヌクレオチド標準と関連のない内部検量物質の増幅に使用したオリゴヌクレオチド(すなわち、プライマー)は完全に独立したものとし、これは、単一の反応槽で行なわれた2つの増幅反応において、個々の増幅反応のプライマーが共用されなかったことを意味する。さらに、2種類のアンプリコンは、異なる長さおよび異なるG+C含有率(%)を有した。このようなストリンジェントアッセイ条件下で優れた結果が得られたことにより、両方の核酸標的を増幅する1種類以上のプライマーを使用すること、ならびに分析物ポリヌクレオチド標準と同じ長さとG+C含有率(%)を有するアンプリコンをもたらす内部検量物質を使用することによってもまた、優れた結果が予測され得ることが示された。
【0109】
注目すべきことに、以下の実施例に示した定量的リアルタイムの結果は、図1、2A〜2Bおよび5に示したデータのサブセットに相当する。より詳しくは、これらの図は、単一プライマー増幅反応を、4つの異なる増幅/検出機器(すなわち、機器1〜4)において実施およびモニターした場合に得られる結果の集合体を提示する。以下の記載において、機器1をエンドユーザーのモデル機器とした。したがって、後述するエンドユーザーデータは、例えば、局所検量線(1つまたは複数)との関連において、機器1のみを用いて得られた図2A〜2Bおよび5に示されたデータ点のサブセットに相当する。機器2〜4は、異なる機器で得られるデータの解析に有用なマスター検量線を作成するために使用され得るモデル機器とした。したがって、後述するマスター検量線を作成するために使用した結果は、機器2〜4のみを用いて得られた図2A〜2Bおよび5に示されたデータ点のサブセットを示した。もちろん、単一の核酸増幅/検出機器だけを使用し、本明細書に開示した方法によるマスター検量線の作成、調整および使用もまた、本発明の範囲に含まれる。
【実施例】
【0110】
実施例1
保存マスター検量線曲線の作成および使用
まず、米国特許出願公開公報番号2006/0046265A1に開示された一般的な方法に従って行なわれる標準的な単一プライマー等温核酸増幅反応のための一群の標準試料を調製した。試料は、10〜10コピー/試料にわたる範囲の出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を含むものとした。さらに、各試料には、分析物ポリヌクレオチド標準と関連のない一定の出発量の30,000コピーの内部検量物質核酸を含む。この場合、内部検量物質は、分析物ポリヌクレオチド標準内の増幅対象の配列の長さとは異なるある長さのHIV−1核酸(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準と異なるウイルス標的)内に提示される複数の塩基のスクランブル型配列からなる人工標的配列とした。したがって、増幅反応で合成された内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準のアンプリコンは、長さとG+C含有率(%)の両方が異なった。さらに、分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質は、異なるオリゴヌクレオチドを用いた核酸増幅反応において同時に増幅した(すなわち、2種類の標的は、共用プライマーを用いて増幅されたものではなかった)。
【0111】
分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質のアンプリコンの時間依存性合成を、2種類のアンプリコン特異的分子トーチハイブリダイゼーションプローブの蛍光発光をモニタリングすることにより評価した。リアルタイム増殖曲線は、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質のアンプリコンの各々の増幅兆候を測定するための閾値に基づくTTimeアルゴリズムを用いて解析した。分析物ポリヌクレオチド標準の出発量は、各反応で既知であるため、解析の結果により、(a)分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候、および(b)分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候が得られた。結果を、3つの異なるマスター検量線の作成に使用した。
【0112】
マスター検量線の作成に使用しなかったエンドユーザーのモデル増幅/検出機器において得られた結果を用いて、局所検量線を作成した。簡単には、上記の完全な一群の標準試料(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質を含む)を用いて、分析物ポリヌクレオチドの増幅兆候を内部検量物質の増幅兆候に比として関係付ける検量線を作成した。この局所曲線は、エンドユーザー機器で行なわれた定量に対して予測された結果であり、そのため、調整手順の目的である金標準を示す。局所検量線を、図9〜12に太い点線で示す。各グラフ上の黒菱形は、局所曲線を作成(この場合も、4PL方程式を最適化するための標準的な曲線手法によって)するために使用した反復結果を示す。
【0113】
演算処理後の兆候のマスター検量線は、分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候値を内部検量物質の増幅兆候値で除算することにより作成した(得られる各比は、それぞれの反応で使用された分析物ポリヌクレオチド標準の投入量と関連する)。当業者に熟知された標準的な曲線適合手法を用いて、本明細書に示した型の4PL方程式の係数を最適化した。方程式を解くと、エンドユーザーのモデル機器において得られた結果を用いて調整され得る演算処理後の兆候のマスター検量線が示された。図6は、3つの増幅/検出機器を用いて得られた個々のデータ点、およびマスター検量線に対応する適合された曲線(太い実線の曲線で示す)を示す。もちろん、マスター検量線を特定する適合された係数を有する方程式を、その後の調整手順に使用した。注目すべきことに、図6に示した演算処理後の兆候のマスター検量線を作成するために使用したデータは、機器2〜4を用いて得られた図5の結果に対応する。また、演算処理後の兆候のマスター検量線を、図9と10にも太い実線の曲線(すなわち、「マスター」と表示)で示す。
【0114】
また、異なる手順では、分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質に対する別々のマスター検量線を作成した。当業者に熟知された標準的な曲線適合手法を別々に使用し、(a)該一群の分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候 (すなわち、上記の方程式1)、および(b)該一群の分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候(すなわち、上記の方程式2)に適合されるように4PL方程式の係数を最適化した。該手順に使用した内部検量物質の増幅兆候のデータ点は、機器2〜4を用いて得られた図2Aのデータ点のサブセットに相当する。該手順に使用した分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候のデータ点は、機器2〜4を用いて得られた図2Bのデータ点のサブセットに相当する。図7は、3つの機器によるデータ点、および増幅反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチドのマスター検量線標準の増幅兆候を表す適合された曲線を示す。図8は、3つの機器によるデータ点、および増幅反応に使用された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質のマスター検量線の増幅兆候を表す適合された曲線を示す。図7〜8の曲線に対する適合した方程式により、エンドユーザーのモデル機器において得られた結果を用いて独立して調整され得る2つのマスター検量線が規定された。次いで、この2つの調整後の検量線または調整後の曲線を表す方程式は、数学演算によって互いに関係付けされ得る。図11および12に示した太い実線の曲線(すなわち、「マスター」と表示)は、(a)分析物ポリヌクレオチド標準の未調整検量線についての方程式を(b)内部検量物質の未調整検量線についての方程式で除算した結果を表す。
【0115】
図6に示した演算処理後の兆候のマスター検量線、および図7〜8に示した独立したマスター検量線は、エンドユーザーのモデル機器で増幅させた1種類または2種類の調整検量物質いずれかの増幅の増幅による結果を用いて調整した。試行は、10コピーの分析物ポリヌクレオチド標準および30,000コピーの内部検量物質を含む単独の調整検量物質を用いて行なった。試行は、同じ一定量の内部検量物質および10コピーまたは10コピーいずれかの分析物ポリヌクレオチド標準を含む調整検量物質が使用される二点検量方法を用いて行なった。また、調整検量物質中の分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の同時に増幅には、マスター検量線および局所検量線を作成するために使用されたものと同じ核酸増幅手順を使用した。決定された分析物ポリヌクレオチド標準と内部検量物質の増幅兆候は、上記の一点または二点調整を行なうために使用した。グラフ表示を単純にするため、図6〜8に示した白四角は、一点調整検量物質を用いて得られた結果を示す。したがって、これらの図は、マスター検量線およびその決定に使用されたデータ点を示し、さらに、本明細書に開示した方法によるその後の調整工程に使用された調整検量物質による結果を示す。図9および10の白四角は、決定された分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を、内部検量物質の増幅兆候で除算した結果を示す。これらのデータ点は、グラフの垂直次元における演算処理後の兆候のマスター検量線の調整に使用し、図9および10において「比調整後のマスター」と表示した破線が得られた。エンドユーザーのモデル機器での調整検量物質増幅反応により測定された(a)分析物ポリヌクレオチド標準および(b)内部検量物質の別々の増幅兆候を、独立して2つのマスター検量線調整に使用したが(例えば、図7〜8参照)、これらの値の比の計算値を表す白四角は、図11および12において単一のプロット上に示される。これは、局所検量線上に含まれる結果を独立した調整手順に使用したことを示すことを意図するが、比の値を有する表示したデータ点をマスター曲線の修正に使用したことは示さない。独立して調整されたマスター検量線(例えば、任意の調整前の独立したマスター検量線を示す図7および8)に対する方程式を、市販の電子表計算ソフトウェアプログラムを用いて互いに除算した(すなわち、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準調整後のプロットを表す方程式を、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の調整後のプロットを表す方程式で除算した)。得られた適合された曲線を、図11および12において「独立した調整後のマスター」と特定する。
【0116】
図9と11の比較、および図10と12の比較により、演算処理後の兆候のマスター検量線に基づいた調整手順と、別々のマスター曲線(すなわち、第1は、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候のもの、第2は、分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候のもの)の独立した調整との根本的な違いが明らかとなった。より具体的には、演算処理後の兆候のマスター検量線の調整に基づいた方法では、予測どおり、演算処理後の兆候のマスター検量線の形状が変化することなく、単に曲線が垂直次元において調整された。対照的に、2つのマスター検量線の独立した調整に基づいた方法の後、調整後の曲線を関係付ける工程を行なうと(例えば、調整後の曲線を表す方程式)、予想外なことに、結果が局所検量線に、より近く近似するようにマスター検量線の形状が変化した。この効果による改善は、表1〜2の結果から明白である。
【0117】
表1は、単一の調整検量物質のみを用いてマスター検量線を調整することにより得られた結果を示す。表の第1の欄は、各増幅反応(n=4)で使用された分析物ポリヌクレオチド標準のlogコピー数を示す。表中の残りの欄は、(a)局所検量線、(b)比での関係を確立するための除算プロセスによって互いに関係付けされた独立して調整されたマスター曲線、および(c)調整後の演算処理後の兆候のマスター検量線の各々を用いて計算された定量値での、「決定されたLogコピー」数(すなわち、適合した方程式を用いて計算された値)、および回収率(%)(すなわち、決定された値を予測値で除算することによって計算された値)を示す。表に示したデータを検討すると明白なように、独立した調整方法により、投入された分析物ポリヌクレオチド標準量の試験範囲において卓越した定量が得られた。実際、独立した調整方法を用いて測定された結果は、局所検量線を用いて計算された結果に、より近く近似し、回収率(%)は予想logコピー数から、100コピーレベルで2分の1logコピー数をちょうど超える分だけ逸れた。より高いレベルの出発分析物ポリヌクレオチド標準で、顕著な結果が得られた。独立した調整方法に特徴的な相対的改善は、システムが、未調整曲線と比べて調整後の曲線の形状を変化させる能力に起因する。
【0118】
【表1】

表2に示された結果により、独立した調整方法は、演算処理後の兆候の検量線の調整方法と比べ、局所検量線に、より近く近似する卓越した結果が得られることが確認された。一点調整試行と比べて、二点独立した調整プロトコルでは、投入された分析物ポリヌクレオチド標準の最低レベルでの回収の改善が示されたとともに、全試験範囲において非常に良好な結果が得られた。
【0119】
【表2】

本発明をそのいくつかの具体的な実施例および実施形態に関して記載した。もちろん、前述の詳細説明を検討すると、当業者には本発明のいくつかの異なる実施形態が示唆されよう。したがって、本発明の真の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調整後の検量線についての方程式を確立する方法であって、該方法は、
(a)各々が一定の出発量の内部検量物質および既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む複数の標準試料を得る工程;
(b)該複数の標準試料の各々における該内部検量物質および該分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程;
(c)該複数の標準試料の各々に対して、同時に増幅された該内部検量物質および該分析物ポリヌクレオチド標準の増幅の兆候を決定し、それにより
該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該内部検量物質の決定した一群の増幅兆候、および
該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該分析物ポリヌクレオチド標準の決定した一群の増幅兆候
が得られる工程;
(d)該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該内部検量物質の決定した一群の増幅兆候に第1の曲線を適合させるため、第1の方程式を最適化し、それにより適合した第1の方程式を得る工程;
(e)該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該分析物ポリヌクレオチド標準の決定した一群の増幅兆候に第2の曲線に適合させるため、第2の方程式を最適化し、それにより適合した第2の方程式を得る工程;
(f)所定量の該分析物ポリヌクレオチド標準および該一定の出発量の内部検量物質を含む調整検量物質を得る工程;
(g)該調整検量物質の内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程;
(h)該調整検量物質に関して、同時に増幅された該内部検量物質および該分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定する工程;
(i)該調整検量物質の内部検量物質について決定された増幅兆候を用いて、該適合した第1の方程式を修正し、これにより、該内部検量物質の適合された増幅兆候に対する調整後の適合した第1の方程式が、該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として得られる工程;
(j)該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチドに対して決定された増幅兆候を用いて、該適合した第2の方程式を修正し、これにより、該分析物ポリヌクレオチド標準の適合された増幅兆候に対する調整後の適合した第2の方程式が、該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として得られる工程;ならびに
(k)該調整後の適合した第1の方程式および該調整後の適合した第2の方程式を互いに数学的に関係付けることにより、調整後の検量線についての方程式を確立する工程
を含む、方法。
【請求項2】
同時に増幅する工程(b)および(g)が等温での同時増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
等温での同時増幅が、RNAポリメラーゼを含む転写関連増幅反応における等温での同時増幅を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
同時に増幅する工程(b)および(g)が異なる機器で行なわれる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
同時に増幅する工程(b)が、第1の機器で行なわれる核酸増幅反応での同時増幅を含む、
同時に増幅する工程(g)が、第2の機器で行なわれる核酸増幅反応での同時増幅を含む、ならびに
最適化する工程(d)および(e)の適合した第1および第2の方程式を該第2の機器に接続したコンピュータのメモリデバイスに保存する、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
確立する工程(k)が、前記第2の機器での使用のため、前記調整後の検量線についての方程式を確立することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
同時に増幅する工程(b)が、第1の機器で行なわれる等温核酸増幅反応においての同時増幅を含む、
同時に増幅する工程(g)が、第2の機器で行なわれる等温核酸増幅反応での同時増幅を含む
;ならびに
最適化する工程(d)および(e)の適合した第1および第2の方程式を、該第2の機器に接続したコンピュータのメモリデバイスに保存する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程(d)および(e)の適合した第1および第2の方程式が、各々、複数の係数を含み、得る工程(f)が、さらに、該適合した第1および第2の方程式それぞれに対する該複数の係数を得ることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
最適化する工程(d)および(e)の第1および第2の方程式が非線形方程式であり、各々が複数の係数を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
確立する工程(k)で互いに数学的に関係付けるプロセスが、前記調整後の適合した第2の方程式を用いて計算された数値結果および前記調整後の適合した第1の方程式を用いて計算された数値結果を比として数学的に関係付けることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記同時に増幅する工程(b)および(g)の等温核酸増幅反応が、各々、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
同時に増幅する工程(b)および(g)の等温核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、該分析物ポリヌクレオチド標準または該内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
同時に増幅する工程(b)および(g)の等温核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
同時に増幅する工程(b)および(g)により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび該内部検量物質アンプリコンは異なる長さである、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
同時に増幅する工程(b)および(g)により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび該内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
最適化する工程(d)の適合した第1の方程式が、適合した第1の方程式の複数の係数を含み、最適化する工程(e)の適合した第2の方程式が、適合した第2の方程式の複数の係数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
確立する工程(k)で互いを数学的に関係付けるプロセスが、前記調整後の適合した第2の方程式を用いて計算された数値結果および前記調整後の適合した第1の方程式を用いて計算された数値結果を比として数学的に関係付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
確立する工程(k)で互いを数学的に関係付けるプロセスが、該調整後の適合した第2の方程式を用いて計算された数値結果および該調整後の適合した第1の方程式を用いて計算された数値結果を差として数学的に関係付けることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
修正する工程(i)が、
前記調整検量物質の内部検量物質に対して決定した増幅兆候、および
該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の所定量に等しい該分析物ポリヌクレオチドの出発量で前記適合した第1の方程式を解くことにより計算された値
を用いて、該内部検量物質に対する調整因子を決定すること;および
該内部検量物質に対する調整因子を、該適合した第1の方程式の係数の1つに加算すること
を含み;ならびに
修正する工程(j)が、
該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準について決定した増幅兆候、および
該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の所定量に等しい該分析物ポリヌクレオチドの出発量で適合した前記第2の方程式を解くことにより計算された値
を用いて、分析物ポリヌクレオチドに対する調整因子を決定すること;および
該分析物ポリヌクレオチドに対する調整因子を、該適合した第2の方程式の係数の1つに加算すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
同時に増幅する工程(b)および(g)が、各々、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む核酸増幅反応での同時増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
同時に増幅する工程(b)および(g)が、各々、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含むが該分析物ポリヌクレオチド標準または該内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない核酸増幅反応での同時増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
同時に増幅する工程(b)および(g)が、各々、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない核酸増幅反応中での同時増幅を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
さらに、
第2の所定量の前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記一定量の内部検量物質を含む第2の調整検量物質を得る工程;
該第2の調整検量物質の内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程;
該第2の調整検量物質について、同時に増幅された該内部検量物質および該分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定する工程;ならびに
該第2の調整検量物質の内部検量物質および該第2の調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候をそれぞれ用いて、前記適合した第1および第2の方程式を修正する工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記同時に増幅する工程(b)および(g)により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび該内部検量物質アンプリコンは異なる長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
前記同時に増幅する工程(b)および(g)により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンの合成がもたらされ、該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび該内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
最適化する工程(d)および(e)の第1および第2の方程式が非線形方程式であり、各々が複数の係数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項27】
工程(d)および(e)の適合した第1および第2の方程式が、各々、複数の係数を含み、得る工程(f)が、さらに、該適合した第1および第2の方程式に対するそれぞれの複数の係数を得ることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項28】
保存マスター検量線を調整するための検量物質を備えるキットを作製するための方法であって、該方法は、
各々が一定出発量の内部検量物質および既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準を含む複数の標準試料を形成する工程;
該複数の標準試料の各々における核酸増幅反応において、該内部検量物質および該分析物ポリヌクレオチド標準を同時に増幅する工程;
各核酸増幅反応において同時に増幅された該内部検量物質および該分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を決定し、これにより、
該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該内部検量物質について決定した一群の増幅兆候、および
該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該分析物ポリヌクレオチド標準について決定した一群の増幅兆候
が得られる、工程;
該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該内部検量物質について決定した該一群の増幅兆候に第1の曲線を適合させるため、第1の方程式を最適化し、それにより、適合した第1の方程式の一組の係数を含む適合した第1の方程式を得る工程;
該既知出発量の分析物ポリヌクレオチド標準の関数として、該分析物ポリヌクレオチド標準について決定した該一群の増幅兆候に第2の曲線を適合させるため、第2の方程式を最適化し、それにより、適合した第2の方程式の一組の係数を含む適合した第2の方程式を得る工程;ならびに
(a)明確な形態の適合した第1の方程式の該一組の係数、
(b)明確な形態の適合した第2の方程式の該一組の係数、および
(c)所定量の該分析物ポリヌクレオチド標準と、
該一定の出発量の内部検量物質と
を含む調整検量物質
を含むパッケージ化された組合せを作製する工程
を含む、方法。
【請求項29】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が等温核酸増幅反応である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記等温核酸増幅反応が、RNAポリメラーゼを含む転写関連増幅反応である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、該分析物ポリヌクレオチド標準または該内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記増幅兆候を決定する工程が時間依存性増幅兆候の決定を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記最適化する工程の第1および第2の方程式が第1および第2の非線形方程式である、請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記明確な形態の適合した第1および第2の方程式の係数の組が、機械可読形態の適合した該第1および第2の方程式の係数の組を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記機械可読形態の適合した第1および第2の方程式の係数の組がバーコードを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、該内部検量物質アンプリコンおよび該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なる長さである、請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、該内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記作製する工程のパッケージ化された組合せが、さらに、
第2の所定出発量の前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記一定出発量の内部検量物質を含む第2の調整検量物質を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が等温核酸増幅反応であり、最適化する工程の第1および第2の方程式が第1および第2の非線形方程式である、請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、該分析物ポリヌクレオチド標準または該内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、該内部検量物質アンプリコンおよび該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記同時に増幅する工程により、内部検量物質アンプリコンおよび分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンが生成され、該内部検量物質アンプリコンおよび該分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンは異なる長さである、請求項41に記載の方法。
【請求項47】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応が、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するプライマーを含み、該分析物ポリヌクレオチド標準または該内部検量物質のみを増幅するプライマーは含まない、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記同時に増幅する工程の核酸増幅反応は、前記分析物ポリヌクレオチド標準および前記内部検量物質の両方を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
一定量の内部検量物質を含む多重核酸増幅反応において分析物ポリヌクレオチドを定量するための方程式の作成方法であって、該方法は、
核酸増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候を特定する保存マスター曲線の第1の方程式の複数の係数を得る工程;
核酸増幅反応に投入された分析物ポリヌクレオチド標準の出発量の関数としての内部検量物質の増幅兆候を特定する保存マスター曲線の第2の方程式の複数の係数を得る工程;
既知量の分析物ポリヌクレオチド標準および一定の出発量の内部検量物質を含む調整検量物質を用いて核酸増幅反応を実施する工程であって、ここで、該核酸増幅反応により、該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質が同時に増幅され、該核酸増幅反応により、分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンが生成される、工程;
該核酸増幅反応で同時に増幅された分析物ポリヌクレオチド標準および内部検量物質の増幅兆候を決定する工程;
該核酸増幅反応により決定された分析物ポリヌクレオチド標準の増幅兆候、および
該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の該既知量に等しい分析物ポリヌクレオチド標準の該出発量での該保存マスター曲線の第1の方程式を解くことにより計算された値
を用いて分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整因子を確立する工程;
該核酸増幅反応により決定された内部検量物質の増幅兆候、および
該調整検量物質の分析物ポリヌクレオチド標準の該既知量に等しい分析物ポリヌクレオチド標準の該出発量での保存マスター曲線の第2の方程式を解くことにより計算された値
を用いて内部検量物質に対する調整因子を確立する工程;
分析物ポリヌクレオチド標準に対する該調整因子を用いて、該保存マスター曲線の第1の方程式の係数の1つを修正し、これにより、分析物ポリヌクレオチド標準に対する調整後の検量線を特定する方程式を得る工程;
内部検量物質に対する該調整因子を用いて、該保存マスター曲線の第2の方程式の係数の1つを修正し、これにより、内部検量物質に対する調整後の検量線を特定する方程式を得る工程;ならびに
(a)分析物ポリヌクレオチド標準に対する該調整後の検量線を特定する方程式、および
(b)内部検量物質に対する該調整後の検量線を特定する方程式
を互いに数学的に関係付けることにより、分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程
を含む、方法。
【請求項51】
前記核酸増幅反応を実施する工程が等温核酸増幅反応の実施を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記等温核酸増幅反応が、RNAポリメラーゼを含む転写関連増幅反応である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記実施する工程が、第1の核酸増幅機器での前記核酸増幅反応の実施を含み、ならびに
前記得る工程の保存マスター曲線の第1の方程式の前記複数の係数および保存マスター曲線の第2の方程式の前記複数の係数は、該第1の核酸増幅機器を用いて決定されない、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記増幅兆候を決定する工程が時間依存性増幅兆候の決定を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記保存マスター曲線の第1および第2の方程式が非線形方程式である、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記実施する工程の核酸増幅反応が共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない、請求項50に記載の方法。
【請求項61】
前記分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、比を求めるための除算による数学的関係付けを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項62】
前記分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、差を求めるための減算による数学的関係付けを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項63】
前記核酸増幅反応を実施する工程が等温核酸増幅反応の実施を含み、前記保存マスター曲線の第1および第2の方程式が非線形方程式である、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記実施する工程の核酸増幅反応が共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
前記核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項68】
前記核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである、請求項63に記載の方法。
【請求項69】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記実施する工程の核酸増幅反応が共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、
分析物ポリヌクレオチド標準に対する前記調整後の検量線を特定する方程式を用いて計算された数値、および
内部検量物質に対する前記調整後の検量線を特定する方程式を用いて計算された数値
を数学的に関係付けることを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項73】
前記分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、比を計算するための除算による数学的関係付けを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記分析物ポリヌクレオチドの定量化のための方程式を作成する工程が、差を計算するための減算による数学的関係付けを含む、請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記核酸増幅反応を実施する工程が等温核酸増幅反応の実施を含み、前記保存マスター曲線の第1および第2の方程式が非線形方程式である、請求項50に記載の方法。
【請求項76】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記実施する工程の核酸増幅反応が共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない、請求項75に記載の方法。
【請求項79】
前記核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なるパーセンテージのG+C塩基を含む、請求項75に記載の方法。
【請求項80】
前記核酸増幅反応を実施する工程の分析物ポリヌクレオチド標準アンプリコンおよび内部検量物質アンプリコンは異なる長さである、請求項75に記載の方法。
【請求項81】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅する少なくとも1種類のプライマーを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記実施する工程の核酸増幅反応が共用プライマーを含み、分析物ポリヌクレオチド標準もまた増幅することなく内部検量物質を増幅するいかなるプライマーも含まない、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
前記実施する工程の核酸増幅反応が、内部検量物質および分析物ポリヌクレオチド標準の両方を増幅するいかなる共用プライマーも含まない、請求項80に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−511390(P2010−511390A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539528(P2009−539528)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/086192
【国際公開番号】WO2008/067567
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(500506530)ジェン−プロウブ インコーポレイテッド (58)
【Fターム(参考)】