予充填可能な流体フィルタ処理方法及び装置
【課題】生体液を処理するための簡潔で低コストな装置を提供する。
【解決手段】入口23及び出口24を有する生物学的機能装置21と、前記流体フィルタ処理装置の上流に位置し、出口を有する第1の生体液容器29と、前記第1の生体液容器の前記出口と前記生物学的機能装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管27と、前記流体フィルタ処理装置の下流に位置し、入口を有する生体液受容容器33と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管32とを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。生体液受容容器33には、当該システム内の液抜きをするのに十分な量のガスが予め充填される。
【解決手段】入口23及び出口24を有する生物学的機能装置21と、前記流体フィルタ処理装置の上流に位置し、出口を有する第1の生体液容器29と、前記第1の生体液容器の前記出口と前記生物学的機能装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管27と、前記流体フィルタ処理装置の下流に位置し、入口を有する生体液受容容器33と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管32とを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。生体液受容容器33には、当該システム内の液抜きをするのに十分な量のガスが予め充填される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を処理する方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は、例えば献血された血液などの生体液を、治療に役立つ成分となるように処理する方法及び装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、献血された血液又は準備された血液成分からの全ての血液製剤の回収を大幅に増加させるために改良されたベントレスシステムを使用した、献血された血液を治療に役立つ成分となるように処理する改良された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液を処理するための方法及び装置は、よく知られた従来技術である。米国特許第3、892、236号(Djerassi)には、ヒトドナーから血液を連続的に取出し、体外循環させたドナー血液から顆粒球を除去し、白血球除去全血を重力によってドナーに戻す装置が開示されている。
【0003】
米国特許第5、126、054号(Matkovich)には、液体送達システムの移送ラインからガスを排出するガス抜き手段が開示されている。このガス抜き手段は、ハウジングと、前記移送ラインと連通するように前記ハウジングに設けられた液体可湿性の第1の微細多孔性膜と、前記ハウジングの外側を向くように前記第1の微細多孔性膜に重ね合わされた非液体可湿性でガス透過性の第2の微細多孔性膜とを含んでいる。前記液体送達システム内のガスは、第1の微細多孔性膜が送達される液体によって湿潤されない限りは、前記システムから排出される。
【0004】
米国特許第5、451、321号(Matkovich)には、血液又は血液成分を有益な血液製剤となるように処理する血液処理システムが開示されている。この血液処理システムは、第1の容器と、前記第1の容器の下流側に位置する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器とを連通する移送ラインと、前記移送ラインにおける前記第1の容器と前記第2の容器との間に設けられた白血球除去フィルタと、前記移送ラインにおける白血球除去フィルタの下流側かつ前記第2の容器の上流側に設けられたガス出口とを備えている。
【0005】
米国特許第5、472、621号(Matkovich)には、移行帯材料を処理する方法及び装置が開示されている。この装置は、第1の容器と、第1の容器の下流側に位置する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に介在された赤血球障壁媒体とを備えている。前記赤血球障壁媒体は、前記第2の容器と第3の容器との間に介在させることもできる。気体収集及び置換ループは、前記赤血球障壁媒体の上流側と下流側の間に連結されている。
【0006】
米国特許第5、527、472号(Bellottiら)には、血液を処理するシステム及び方法が開示されている。このシステムでは、望ましくない物質を取り除くための分離装置の入口に血液を流入させる。そして、分離装置の出口から流出した望ましくない物質を実質的に含んでいない血液を、第1のポートを介して収集容器に導く。
【0007】
米国特許第5、863、436号(Matkovich)には、献血された血液を献血後に有益な血液製剤となるように処理するための無菌血液処理システムが示されている。このシステムは、第1の容器と、前記第1の容器の下流側に位置する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に介在されかつ前記両容器と連通された白血球除去フィルタとを備えている。第1の容器と白血球除去フィルタとの間には、白血球除去フィルタから血液を排出させるためのガスを白血球除去フィルタへ導入するためのガス入口が設けられている。
【0008】
米国特許第6、802、425B2号(Ziaら)には、開及び閉ループの生体液処理システムが開示されている。前記システムは、生体液が上流及び/又は下流のガス入口若しくは出口、ハウジング若しくはベントと接触することを防ぐように、又は生体液が流体フィルタ処理装置を迂回するように配置又は構成された移送ラインを備えており、生体液処理システムへガスが移送される、又は前記システムからガスが排出される、又は前記システム内でガスが移送されるという概念を共有している。
【0009】
これらの装置は、大まかには満足できるが、前記従来技術のいくつかの方法及び装置では、大量の生体液が流体処理装置の様々な構成要素内に閉じ込められて残留するため、それらの装置は全て何らかのガスによる液抜き装置又は迂回ラインが必要であった。そのため、装置が複雑化する及び高価になるという問題があった。
【0010】
そのため、当業者は、生体液処理システムから生体液を最適に回収することができ、コストが低く、かつ使用が容易な方法及び装置の模索を続けていた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術の問題点は、本発明に係る新規なベントレスで予充填可能な流体処理システムによって解決される。従来技術では、例えば血液バッグなどの生体液処理システムにおける完全に排液することができない構成要素から流体を排出するためには、ガスを液体の列の背後に移送する必要があるため、ベント型システムが用いられている。そこで、この問題を解決するために、従来、様々なベント型構造が案出されてきた。しかし、従来のいくつかの装置では、多量の生体液が流体処理システムの様々な構成要素内に閉じ込められて残留するため、その残留した生体液を排出する機構が必要となる。そのため、装置が比較的複雑にある及び製造コストが高くなるという問題があった。本発明は、実質的に全ての完全な排液が可能な構成要素及び完全な排液が不可能な構成要素の液抜きを行うことにより、生体液の回収を増加させることができるベントレスシステムを提供することにより、この従来技術の問題を解決する。システムに所定の量のガスを予め充填するという新規なアイデアを利用することにより、システムの予め定められた構成要素の液抜きをすることができる。
【0012】
本発明のある実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理装置と、前記流体フィルタ処理装置の上流に位置し、出口を有する第1の生体液容器と、前記第1の生体液容器の前記出口と前記流体フィルタ処理装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理装置の下流に位置し、入口を有する生体液受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管とを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。このシステムを使用して流体をフィルタ処理するためには、予充填又は過剰ガスが、第1の生体液又は上流の流体容器に導入される。第1の生体液容器内の流体は、望ましくない不純物や汚染物質を除去するために、流体フィルタ処理装置を通過させられて受容容器へ入る(例えば重力排水などの当該技術分野で公知の方法によって)。第1の生体液容器は予充填又は過剰ガスを含んでいるので、過剰ガスは上流チューブに入り、目的とする構成要素から流体を排出する。ガス(例えば空気)がある種の液体と接触することは好ましくないので、過剰又は予充填ガスは液体をフィルタ処理する直前に上流の流体容器に導入又は注入されることが好ましい。
【0013】
本発明の他の実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理装置と、前記流体フィルタ処理装置の上流に位置し、出口を有する流体容器と、前記流体容器の前記出口と前記流体フィルタ処理装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理装置の下流に位置し、入口を有する受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管と、前記受容容器に充填された当該システム内の液抜きをするのに十分な量の予充填又は過剰ガスを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。このシステムを使用して流体をフィルタ処理するためには、予充填又は過剰ガスが、前記受容容器から流体フィルタ処理装置を通って(前記デバイスを湿潤することなく)前記流体容器へ移動させられる。前記流体容器内の目的の不純物が除外された前記液体は、その後、流体フィルタ処理装置を通って前記受容容器へ戻される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理又は白血球除去装置と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の上流に位置し、出口を有する流体容器と、前記流体容器の前記出口と前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の下流に位置し、入口を有する受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管と、前記受容容器に充填された当該システム内の液抜きをするのに十分な量の予充填又は過剰ガスを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。
【0015】
本発明のさらなる他の実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理又は白血球除去装置と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の上流に前記デバイスよりも高く位置し、出口を有する流体容器と、前記流体容器の前記出口と前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の下流に位置し、入口を有する受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管と、前記受容容器に充填された当該システム内の液抜きをするのに十分な量の予充填又は過剰ガスを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。前記受容容器と流体的に連通される付属バッグが設けられ得る。
【0016】
本発明のさらなる別の実施形態では、白血球除去システムを使用して生体液を処理する方法が提供される。前記白血球除去システムは、第1の生体液容器と、前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きをするのに十分な量の予充填ガスを含む第1の生体液受容容器と、前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器を流体的に連通する白血球除去装置とを備える。前記方法は、前記予充填ガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、前記生体液を前記第1の生体液容器から前記白血球除去装置を通過させて移動させて、白血球が除去された生体液を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む。
【0017】
本発明のさらなる他の実施形態では、白血球除去システム使用して白血球含有体液を処理する方法が提供される。前記白血球除去システムは、第1の生体液容器又は血液容器と、前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きをするのに十分な量の予充填ガスを含む第1の生体液受容容器と、前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器を流体的に連通する白血球除去装置を備える。前記方法は、前記予充填ガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、前記システムを上下反転させることによって、前記生体液を前記第1の生体液容器から前記白血球除去装置を通過させて移動させ、白血球が除去された生体液を前記第1の生体液受容容器に収集し、その後前記システムを再び上下反転させるステップとを含む。
【0018】
本発明のさらなる別の実施形態では、生体液を処理する方法であって、予め定められた量のガスを、第1の生体液受容容器から、白血球除去装置を通過させて(前記白血球除去装置を湿潤させることなく)、白血球リッチ生体液を収容している第1の生体液容器へ移動させるステップと、差圧によって(例えば、重力、カフ圧、吸引など)、前記白血球リッチ生体液を、前記第1の生体液容器から、白血球除去装置を通過させて、前記第1の生体液受容容器へ移動させるステップとを含む方法を提供する。
【0019】
したがって、本発明の目的は、流体を処理するための向上した方法及び装置を提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、生体液を処理するための簡潔で低コストな装置を提供することにある。
【0021】
本発明の別の目的は、生体液を処理するための向上した方法及び装置を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、ベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、付属バッグを備えたベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0024】
本発明のさらなる目的は、血漿バッグを備えたベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、付属バッグ及び1つ以上の追加バッグを備えたベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0026】
本発明のさらなる目的は、ドナーバッグ、ドナーライン、及び前記ドナーバッグに連結された血液採取装置を備えたベントレスの全血セットを提供することにある。
【0027】
本発明のさらなる目的及び利点は、添付した図面を参照しつつ行う以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の説明では、以下の用語は、以下に説明するように使用される。
【0029】
「流体」は任意の液体又は気体を意味する。
【0030】
「生体液」は、食塩溶液、薬剤溶液、栄養溶液、血液、血液製剤を意味する。
【0031】
「多孔質媒体」は、流体が通過する任意の多孔質構造を意味する。多孔質媒体は、フィルタ処理する流体に適合する、任意の合成若しくは天然の繊維若しくは粒子、又は多孔質膜若しくは透過性膜から形成される。
【0032】
「無菌」又は「殺菌」は、生存能力がある汚染微生物が存在しない状態にシステムを保つことを意味する。
【0033】
「コネクタ」は、貫通コネクタ(例えば、スパイク、カニューレ又は針など)、嵌め合わせコネクタ(ルアー型、スクリュー型、摩擦型)、又は、連結部を作成するために若しくは自身を他の部品に連結させるために使用される任意の構造と互いに連結されるコネクタを意味する。
【0034】
「無菌連結」は、2つのチューブの間、又は、チューブと装置(容器、袋)との間を事実上密封し、生存能力がある汚染微生物が存在しない状態にシステムを保つ連結を意味する。「無菌切断」は、チューブ内の内容物の無菌を維持しながら(内容物が存在する場合は)、「チューブ」を密閉することを意味する。ヒートシールは、「無菌切断」の一例である。
【0035】
「液体親和性(Liquiphillic)」は、臨海ぬれ表面張力が適用された液体の表面張力よりも高く、適用された液体によって容易に又は自然発生的に濡れることができる物質を意味する。
【0036】
「液体非親和性(Liquiphobic)」は、臨海ぬれ表面張力が適用された液体の表面張力よりも低く、適用された液体によって容易に又は自然発生的に濡れることができない物質を意味する。液体非親和性物質は、前記表面に落ちる液滴と前記表面との接触角が大きいと特徴付けることができる。
【0037】
「チューブ」は、容器の間を流体的に連通する任意の導管又は手段で有り得え、一般的に、容器に使用されるのと同一の可撓性材料(好ましくは可塑化ポリ塩化ビニル)から作成される。
【0038】
「予充填」は、システム内で使用する前に、システム又はシステムの構成要素に導入される所定の量のガスを意味する。
【0039】
「ベントレス」は、フィルタ処理プロセス中にベントが存在しないことを意味する。
【0040】
「生物学的機能装置」は、その内部に空気又はガスが存在する、及び/又は、使用前に収集若しくは形成又は排出される様々な装置又はアセンブリであり得る。例示的な装置としては、例えば白血球除去フィルタなどのフィルタ、血小板濃縮器(好ましくは、非遠心分離血小板濃縮器)などの分離装置、気泡除去器、ポンプ、及びコネクタがある。また、前記装置としては、高輝度光波チャンバーなどの生物的汚染物質を破壊する装置や、生体液体を採取する装置などがある。
【0041】
図1を参照して、本発明の好適な実施形態が示されている。新規である、第1の予充填可能でベントレスの処理及び/又は採取装置又はシステム20が示されている。生体液フィルタ処理装置21の形態の生物学的機能装置が示されている。生体液フィルタ処理装置21は、生体液をフィルタ処理するための装置であり、多孔質媒体22によって隔てされた上流チャンバー21A及び下流チャンバー21Aを有する。生体液フィルタ処理装置21は、上流チャンバー21Aと流体的に連通された入口23と、下流チャンバー21Bと流体的に連通された出口24とを有する。第1のチューブ27の一端は、生体液フィルタ処理装置21の入口23に連結される。第1のチューブ27の他端は、カニューレ型の第1のコネクタ28を介して、第1の生体液容器29に連結される。所望であれば、第1の生体液容器29は、生体液フィルタ処理装置21に無菌接続で連結される。第1の生体液容器29は、第1のスパイクポートコネクタ34と、第2のスパイクポートコネクタ35とを有する。
【0042】
生体液フィルタ処理装置21の出口24に、第2のチューブ32が連結される。多孔質媒体22が、生体液フィルタ処理装置21の入口23と出口24との間に介在される。
【0043】
第2のチューブ32の他端には、第3のスパイクポートコネクタ39及び第4のスパイクポートコネクタ40を有する第1の生体液受容容器33が連結される。第2のチューブ32における生体液フィルタ処理装置21の出口24に近接する部分には、フィルタクランプ43が設けられる。所望であれば、フィルタクランプ43の代わりに止血鉗子を使用することもできる。止血鉗子又はフィルタクランプ43は、製造プロセスの間に設けられる、或いはその後に設けられる。フィルタクランプ43は、後述する目的で、初めは閉じられている。
【0044】
第1の生体液受容容器33と付属バッグ45とは、第3のチューブ44を介して流体的に連通されている。第3のチューブ44には、前述したようにして、付属バッグクランプ46が設けられる。付属バッグクランプ46は、後述する目的で、初めは閉じられている。付属バッグ45は、空っぽであり、過剰ガスを含んでいないことが好ましい。
【0045】
フィルタ処理する生体液に応じて、ベントレスで予充填可能な流体処理装置20は、様々な材料から作成される。フィルタ処理する生体液に適合する限り、任意の実験用材料を使用することができる。血液をフィルタ処理する場合は、前記バッグ及びチューブ構成要素は、国際規格ISO3826:1993(E)に基づいて、可塑化ポリ塩化ビニル(plasticized polyvinyl chlorid:PVC)から作成されることが好ましい。
【0046】
本発明に係る第1の方法を実施する際は、これ以上の装置は不要である。特に、第1の生体液受容容器33には、予充填又は過剰ガス37は存在しない。代わりに、過剰又は予充填ガス37は、第1の生体液容器29に直接的に注入される。前記注入は、フィルタ処理を実施する直前に行うことが好ましい。過剰又は予充填ガスは、後述するようにして計算される。
【0047】
図5を参照して、第1の生体液容器29に予充填ガス37を注入又は導入した後、フィルタクランプ43を開いて(カニューレ28が開いてなければカニューレ28も開く)、生体液フィルタ処理装置21を貫流する流体(例えば血液30)をフィルタ処理し、目的とする不純物(例えば白血球)を除去する。
【0048】
本発明に係る第2の方法を実施する際は、空の状態の容器に含まれるガスの体積を超過する体積の予充填又は過剰ガス37を第1の生体液受容容器33に供給する。過剰又は予充填ガス37は、製造中に又は使用前に、第1の生体液受容容器(33、132)に注入される。ガスの注入は無菌状態で行うことが好ましい。また、ガスの前記システム内への移送は、当該技術分野で周知のように、非殺菌ガス(例えば空気)を0.2ミクロンフィルタを通過させることによって無菌状態で行うことが好ましい。
【0049】
予充填ガスの体積は、第1の生体液容器が空になったときに液抜きすべき前記システムの構成要素内に、製造プロセス中に残った残留空気の体積以上にすべきである。目的とする前記システムの一部及び構成要素を液抜きするのに十分なガスの体積は、すなわち、前記システムを液抜きするのに十分な体積である。
【0050】
ベントレスの液体処理装置20では、予充填ガスの体積は、次の式から得られる。
【0051】
Vp≧Vft+Vuc
Vp=予充填ガスの体積
Vft=第1のチューブの容積
Vuc=上流チャンバーの容積
【0052】
したがって、第1の生体液受容容器33内の予充填又は過剰ガス37の体積は、第1のチューブ27内のガス体積と上流チャンバー21A内のガス体積とを足した体積以上になる。第1の生体液容器29内にガスが存在する場合は、第1の生体液容器29内のガス体積を、上記の式の右項から差し引く。したがって、次の式となる。
【0053】
Vp≧Vft+Vuc−Vfc
Vfc=第1の生体液容器内のガス体積
【0054】
上記の説明及び式により、第1の生体液容器29に含まれるガスの体積が、第1の生体液容器29が空になったときに液抜きをする必要があるチューブ及び生物学的機能装置の部分の体積以上である場合は、予充填ガス37は必要ではない。
【0055】
後述するように、本発明に係る方法に従って生体液をフィルタ処理する場合に、第1の生体液容器29、第1のチューブ27、又は生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21A内に生体液が実質的に残留しないようにするためには、予充填ガス37は必要である。これは、本発明の好ましい実施形態の条件である。
【0056】
ガスが生体液フィルタ処理装置21を貫流した場合は、前記システムのさらなる構成要素を液抜きすることが望ましい。例えば、予充填又は過剰ガス37が生体液フィルタ処理装置21を貫流した場合は、下流チャンバー21B及び第2のチューブ32を液抜きする。通常は、第1の生体液容器29、第1のチューブ27、及び上流チャンバー21Aから流体を排出した後に、予充填又は過剰ガス37が前記システム内に入る。予充填ガスの量は、次の式から計算される。
【0057】
Vp≧Vft+Vuc+Vb+Vdc+Vst
Vp=予充填ガスの体積
Vft=第1のチューブの容積
Vst=第2のチューブの容積
Vuc=上流チャンバー容積
Vdc=下流チャンバーの容積
Vb=生体液フィルタの容積−前記装置内に閉じ込められた残留生体液の体積
【0058】
上記の例での予充填ガスの体積は、フィルタ媒体22、生体液フィルタ処理装置21の下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32などの、前記システムのさらなる部分を液抜きする。これは、十分に本発明の範囲内である。この例では、生体液の第1の生体液受容容器への排出が完了した後に、過剰ガスを第1の生体液受容容器からサテライトバック内へ、又は生体液フィルタ処理装置を介して第1の生体液容器内へ移送させることによって、実質的にガスが存在しない第1の生体液受容容器が得られる。
【0059】
前述した国際規格ISO3826:1993(E)に基づいて、フィルタレス血液収集経路と、血液の収集に使用される容器(及び各移送容器とそれに関連するチューブ)とに含まれる空気の体積は、15mlを超えてはならない。それぞれの追加された移送容器及びそれに関連するチューブに含まれる空気の体積は、15mlを超えてはならない。したがって、予充填ガスの量は、用途毎に、容器とそれに関連するチューブの数、及び、前記システムを液抜きする方法に基づいて計算される。この要件は、血液又は血液製剤(さらなる溶液及び抗凝血剤を含む)が過剰ガスと共に残留するのを防止することを目的としている。例えば白血球除去フィルタなどの生物学的機能装置と共に使用される血液バッグセットでは、前記装置の滞留体積は、通常は15ml以上である。そのため、生物学的機能装置と共に使用されるセットは、一般に、15ml以上のガス(通常は空気)を保持する構成要素を有する。そして、流体が装置に入ったとき、前記空気は前記装置から、前記生物学的機能装置の下流側の容器へ移動する。したがって前記生物学的機能装置の下流に位置する前記容器内の過剰空気は追い出される。
【0060】
説明の便宜上、血液収集経路及び前記容器内の残留空気量が比較的少ないので、また前記残留空気は予充填又は過剰ガスと混合されるので、以下の説明では別々には示していない。
【0061】
図1〜10を参照して、図1に示した装置を使用して実施する本発明に係る第2の方法について説明する。この方法を実施するためには、第1の生体液容器29に所望の量のフィルタ処理する液体(例えば血液30)が収容されており、第1の生体液受容容器33内に予充填ガス37が含まれていると仮定して、第1のステップでは、図1に示す装置20を、フィルタクランプ43及びサテライトバック・クランプ46を閉じた状態で、上下反対させる。上下反転させた状態を、図2に示す。この状態では、予充填されたガス37を含んでいる第1の生体液受容容器33は、第1の体液容器容器29の上側に位置する。第1の生体液受容容器33を第1の生体液容器29よりも高い位置にする必要はないが、理解を容易にするために、及び溶液が第1のチューブ及び/又は生体液フィルタ装置へ早まって進入する機会を減少させるために、この方法では、第1の生体液受容容器33は第1の生体液容器29の垂直方向上側に位置している。また、説明を目的として、本発明によりフィルタ処理される生体液は、血液30として示されている。しかし、上記に規定した任意の「生体液」の使用は、十分に本発明の範囲内である。
【0062】
この方法を実施する次のステップでは、図3に示すように、第1の生体液受容容器33の外壁に力(矢印49で示す)を加える。前記力を加えるのは、第1の生体液容器29と第1の生体液受容容器33との間の流体経路を開くの(予め開いていなければ、フィルタクランプ43とカニューレ28も開く)と実質的に同時に行う。このことにより、予充填ガス37は、第1の生体液受容容器33から、第2のチューブ32、生体液フィルタ処理装置21、及び第1のチューブ27を通って、血液30を収容した第1の生体液容器29へ移送される。第1の生体液容器29は柔軟性を有するため、第1の生体液容器29は予充填ガス37の体積に対応して膨らむ。フィルタクランプ43はその後閉じられる。ガスを移動させる他の方法は、第1の生体液容器29の周囲に真空を生成した後に、第1の生体液容器29と第1の生体液受容容器33との間の流体経路を開くことである。ガスを一方のバッグから他方のバッグに移動させるのには、当該技術分野で公知の様々な方法を使用することができ、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0063】
図4を参照して、システム20を再び上下反転させる。あるいは、血液30及び予充填ガス37を含んでいる第1の生体液容器29を、実質的に空になった(十分な量の予充填又は過剰ガスを含んでいない)第1の生体液受容容器33よりも高い位置にする。
【0064】
図5を参照して、フィルタクランプ43を開くと、血液30が、第1の生体液容器29から第1のチューブ27、生体液フィルタ21(白血球除去フィルタ)及び第2のチューブ32を貫流して第1の生体液受容容器33へ入る。これらの構成要素内の空気は、第1の生体液受容容器33へ排出及び移動させられる。
【0065】
過剰ガス又は予充填ガス37の量は、第1の生体液容器29、第1のチューブ27、及び生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aから血液30を完全に排出できるように選択されることが好ましい。多孔質媒体22の両端での差圧が、ガスが多孔質媒体を通過するのに不十分である場合、多孔質媒体22、生体液フィルタ処理装置21の下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32の内部に血液30が残留する。前述したように、予充填又は過剰ガス37の量を適切に選択することにより、ガスが多孔質媒体22を通過することができれば、血液をフィルタ21及び第2のチューブ32から血液を完全に排出することが可能になる。しかしこれは、好ましい実施形態とは考えられていない。他の用途では、異なる量の過剰ガス37が使用され、異なる結果となる。
【0066】
図6を参照して、この時点まで、第1のチューブ27、第2のチューブ32、並びに生体液フィルタ処理装置21の上流及び下流チャンバー(21A、21B)の内容物は、本発明の理解には必須ではないので、詳しくは示されていない。この方法のこの時点では、予充填ガス37の選択された量によって、上流チューブ27、及び生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aには予充填ガスが充填されており、フィルタ媒体22、下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32には血液が充填されていること理解することが重要である。この状態は、図7〜10まで存続する。しかし、説明及び理解を容易にするため、詳細には示さない。
【0067】
図7を参照して、この方法を実施する次のステップでは、フィルタクランプ43を閉じ、付属バッグクランプ46を開ける。
【0068】
図8及び図9に示す2つの手法を使用することができる。図8に示すように、過剰ガス又は予充填ガス37だけを付属バッグ45に排出する力(矢印49で示す)を、第1の生体液受容容器33に加える。あるいは、図9に示すように、過剰ガス又は予充填ガス37と血液30とを付属バッグ45に排出する力(矢印49で示す)を、第1の生体液受容容器33に加える。フィルタ処理された血液30の試験を所望する場合は、図9に示す方法が望ましい。どちらの手法を使用した場合でも、その後、付属バッグクランプ46は閉じられる。
【0069】
図10を参照して、図8及び図9のどちらの手法を使用した場合でも、この方法を実施する最後のステップでは、第1の生体液受容容器33からの付属バッグ45の無菌切断51と、フィルタ処理装置21からの第1の生体液受容容器33の無菌切断50とが行われる。無菌切断は、当該技術分野で公知の方法によって行われる。好ましい実施形態では、無菌切断は、ヒートシールによって行われる。あるいは、フィルタクランプ43を閉じた後に第2のチューブ32を無菌切断し、付属バッグクランプ46を開いた後に、過剰ガスを第1の生体液受容容器33から付属バッグ45へ移動させることもできる。
【0070】
図1及び図11〜18を参照して、本発明に係る第3の方法について説明する。図1に示した装置が、この方法の実施に使用される。フィルタ処理される所定の量の血液が、第1の生体液容器29に収容されている。第1の生体液容器29は、第1のチューブ27と流体的に連通されている。第1のチューブ27は、第1のカニューレ又はコネクタ28を介して、第1の生体液容器29に連結されている。所望に応じて、第1の生体液容器29と第1のチューブ27は無菌接続される。
【0071】
血液30は、生体液フィルタ処理装置21によってフィルタ処理される。過剰ガス又は予充填ガス37が、第1の生体液受容容器33に充填されている。過剰ガス又は予充填ガス37の量は、前述したように、システム20の液抜きを十分に行うように選択される。第1の生体液受容容器33は、第2のチューブ32によってフィルタ処理装置21と流体的に連通されている。第3のチューブ44を介して第1の生体液受容容器33と流体的に連通された付属バッグ45が設けられている。フィルタクランプ43及び付属バッグクランプ46が、前述したようにして設けられている。
【0072】
図11を参照して、この第3の方法を実施するための第1のステップは、第1の生体液受容容器33に圧力(矢印60で示す)を加えることにより、過剰ガス37を第1の生体液容器29へ移動させることである。圧力を加えるのは、フィルタクランプ43及び第1のカニューレ又はコネクタ28を介した第1の生体液容器29と第1の生体液受容容器33との間の流体経路を開くのと実質的に同時に行われる。第1の生体液受容容器33に圧力を加える時間と、フィルタクランプを開く時間との間隔は、若干の幅がある。フィルタクランプ43が開いたときに血液30が第1のチューブ27へ、場合によっては生体液フィルタ処理装置21へ流入するのを防止するために、フィルタクランプ43は圧力を加えた後に開くことが好ましい。
【0073】
このようにして、過剰ガス37を、第2のチューブ32、生体液フィルタ処理装置21、及び第1のチューブ27を介して第1の生体液容器29へ移動させることにより、第1の生体液受容容器33内の過剰ガス37は空になる。また、前述した本発明に係る第2の方法のように、ベントレス流体処理装置20を上下反転させる必要がなくなる。
【0074】
この動作を実施した直後に、血液30及び過剰ガス37が第1の生体液容器29内に充填された状態で、フィルタクランプ43を閉じる。このとき、システム20は、図12の状態となる。
【0075】
次に、フィルタクランプ43を開く(図13参照)。血液30は、第1のチューブ27、フィルタ処理装置21、及び第2のチューブ32を通って、第1の生体液受容容器33に流入する。第1の生体液容器29内に存在する過剰ガス37が最小となるので、第1の生体液容器29、チューブ27、及びフィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aは液抜きされて実質的に空にされる。液体の流れが一旦発生すると、フィルタクランプ43を閉じる(図14)。
【0076】
図14Aを参照して、この時点まで、第1のチューブ27、第2のチューブ32、並びに上流チャンバー21A及び下流チャンバー21Bの内容物は、本発明の理解には必須ではないので、詳しくは示されていない。図6に示したように、予充填ガス37の量は前記システムを液抜きするのに十分であるように選択されるので、上流チューブ27、及び生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aには予充填ガスが充填されており、フィルタ媒体22、下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32には血液が充填されていること理解することが重要である。この状態は、図15〜図18まで存続する。図14〜図18では、予充填ガスが前記システムを液抜きするのに必要な量とちょうど等しいかのように、第1の生体液容器29が空であることが示されている。予充填ガスの量が、前記システムを液抜きするのに必要な量を超えた場合は、第1の生体液容器29に予充填ガスが入り込む。このことは、本発明の範囲に含まれる。前述した方法のように、過剰ガス37の選択された量が異なれば、異なる状態が存在する。このことも本発明の範囲に含まれる。
【0077】
図15を参照して、第1の生体液受容容器33と付属バッグ45との間を流体的に連通させるために、付属バッグクランプ46が開かれる。
【0078】
図16及び図17を参照して、前述した方法で説明したようにして、付属バッグ45に過剰ガス37(図16参照)を充填するために、第1の生体液受容容器33に圧力が加えられる。あるいは、付属バッグ45に過剰ガス37と血液30とを充填するために、第1の生体液受容容器33に十分な圧力が加えられる(図17参照)。どちらの手法を使用した場合でも、その後、付属バッグクランプ46は閉じられる。
【0079】
図18を参照して、どちらの手法を使用した場合でも、この第3の方法を実施する最後のステップでは、第1の生体液受容容器33からの付属バッグ45の無菌切断51と、フィルタ処理装置21からの第1の生体液受容容器33の無菌切断50とが行われる。無菌切断は、当該技術分野で公知の方法によって行われる。好ましい実施形態では、無菌切断は、ヒートシールによって行われる。第1のヒートシール及び切断50は、フィルタクランプ43の下流で行われる。第1のヒートシール及び切断51は、付属バッグクランプ46の上流で行われる。あるいは、フィルタクランプ43を閉じた後に第2のチューブ32を無菌切断し、付属バッグクランプ46を開いた後に、過剰ガスを第1の生体液受容容器33から付属バッグ45へ移動させることもできる。
【0080】
以上、本発明及びその動作原理について説明した。前記装置を実施する単純な方法及び様々な種類の方法を、血液銀行、病院、及び生体液を収集及び/又は貯蔵及び/又は投与する他の機関に提供することができる。
【0081】
図19は、生体液をフィルタ処理するための生体液フィルタ処理装置21を含む第1の装置105を示す。生体液フィルタ処理装置21は、多孔質媒体22で隔てられた上流チャンバー21A及び下流チャンバー21Bを有する。また、生体液フィルタ処理装置21は、上流チャンバー21Aと流体的に連通された入口23と、下流チャンバー21Bと流体的に連通された出口24とを有する。第1のチューブ27は少なくとも第1の端部27A及び第2の端部27Bを有し、第2の端部27Bは生体液フィルタ処理装置21の入口23と流体的に連通されている。第1のチューブ27の第1の端部27Aは、例えば第3のヒートシール52などの任意の実用的手段によって閉じられる又は終端される。
【0082】
生体液フィルタ処理装置21の出口24には、第2のチューブ32が流体的に連通される。第2のチューブ32は、第1の端部32A及び第2の端部32Bを有する。第2のチューブ32の第1の端部32Aは、出口24と無菌接続で連結される。多孔質媒体22が、生体液フィルタ処理装置21の入口23と出口24との間に介在される。
【0083】
第2のチューブ32の第2の端部32Bは、過剰ガス37が充填された第1の生体液受容容器33と無菌接続で連結される。第1の生体液受容容器33は、第3のスパイクポートコネクタ39と、第4のスパイクポートコネクタ40とを有する。
【0084】
図20は、第2の装置105Aを示す。第2の装置105Aは、図19に示した第1の装置105に、第1の端部106A及び第2の端部106Bを有する採取チューブ106を追加したものである。第2の装置105Aは、フィルタ処理装置21、第1のチューブ27、第2のチューブ32、及び、第3のスパイクポートコネクタ39と第4のスパイクポートコネクタ40とを有する第1の生体液受容容器33を備える。第1のチューブ27の第1の端部27Aは、第3のヒートシール及び切断52によって終端される。採取チューブ106の第2の端部106Bは、第4のヒートシール及び切断53によって終端される。
【0085】
図20Aは、図20に示した第2の装置105Aと実質的に同様である第3の装置105Bを示す。第3の装置105Bでは、第4のヒートシール及び切断53が閉鎖可能ベント54に置き換えられている。閉鎖可能ベント54は、取り外し可能なキャップを有する0.2ミクロンのベントフィルタ(疎水性多孔質媒体を有することが好ましい)、又は米国特許第5、126、054号(Matkovich)に開示された親水性及び疎水性ベントフィルタであり得る。生体液受容容器33が閉鎖可能ベント54を備えることにより、予充填又は過剰ガス37が充填されていない状態で、前記装置を供給することができる。この場合、予充填又は過剰ガス37は、前述したように使用時に前記システムの液抜きをするために、前述したように計算された量で第1の生体液受容容器33に追加される。
【0086】
第1の生体液容器29は、第1のチューブ27に、好ましくは無菌接続によって連結される。予充填又は過剰ガス37は、第1の生体液受容容器33から第1の生体液容器29へ移動させられる。その後、流体は、第1の生体液容器29からフィルタ21を通って第1の生体液受容容器33へ移動させられる。液体移動の後に、予充填又は過剰ガス37は、第1のチューブ27に入り、前記システムを実質的に液抜きする。第1の生体液容器29から第1の生体液受容容器33への液体の移動によって、移動させられた最初のガス体積(過剰ガス)は、容器33から閉鎖可能ベント54を通って排出される。当業者であれば、閉鎖可能ベント54を使用する場合に、前記容器33に予充填ガス37を注入するタイミングは、正確に判断することができるであろう。
【0087】
図21は、第4の装置105Cを示す。第4の装置105Cは、第1のチューブ27、生体液フィルタ処理装置21、第2のチューブ32、過剰又は予充填ガス37が充填された第1の生体液受容容器33、第3のスパイクポート39、及び第4のスパイクポート40を備えている。第1の生体液受容容器33には、第3又は付属バッグチューブ44を介して、第1の端部44A及び第2の端部44Bを有する付属バッグ45が連結される。付属バッグチューブ44の第1の端部44Aは、受容バッグカニューレ107を介して、第1の生体液受容容器33と流体的に連通される。付属バッグチューブ44の第2の端部44Bは、付属バッグ45と流体的に連通される。
【0088】
図21Aは、図21に示した第4の装置105Cと実質的に同様である第5の装置105Dを示す。第5の装置105Dでは、受容バッグカニューレ107が、第3のチューブ44の第2の端部44Bに設けられている。
【0089】
図21Bは、図21Aに示した第5の装置105Dと実質的に同様である第6の装置105Eを示す。第6の装置105Eでは、第3のチューブ44のいずれの端部にも受容バッグカニューレ107が設けられていない。そのため、予充填又は過剰ガス37は、付属バッグ45内にも存在する。
【0090】
図22は、図21に示した第4の装置105Cと実質的に同様である第7の装置105Fを示す。第7の装置105Fでは、第1の生体液受容容器33と第2のチューブ32の第2の端部32Bとの間に、第2の受容バッグカニューレ108が介在されている。
【0091】
図22Aは、図22に示した第7の装置105Fと実質的に同様である第8の装置105Gを示す。第8の装置105Gでは、第3のチューブ44の第2の端部に、受容バッグカニューレ107が設けられている。受容バッグカニューレ107は、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に介在される。
【0092】
図22Bは、図22Aに示した第8の装置105Gと実質的に同様である第9の装置105Hを示す。第9の装置105Hは、第3のチューブ44のいずれの端部にも受容バッグカニューレ107が設けられていない。そのため、予充填又は過剰ガス37は、付属バッグ45内にも存在する。換言すれば、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に、又は生体液受容容器33と第3のチューブ44との間に、カニューレ107が介在されていない。
【0093】
図23は、第10の装置105Iを示す。第10の装置105Iは、第1のチューブ27の上流側又は第1の端部27Aに連結されるスパイク109を備えている。スパイク109は、スパイクカバー109Aを有する。第1のチューブ27の下流側又は第2の端部27Bには、生体液フィルタ処理装置21が流体的に連通される。第10の装置105Iは、生体液フィルタ処理装置21の下流側と、第2の受容バッグカニューレ108との間を連結する第2のチューブ32をさらに備え、生体液フィルタ処理装置21は予充填又は過剰ガス37を含む生体液受容容器33の内部と流体的に連通される。予充填又は過剰ガス37は、第2の受容バッグカニューレ108が開かれるまでは放出されない。第10の装置105Iでは、生体液受容容器33に受容バッグカニューレ107が連結される。受容バッグカニューレ107は、第3のチューブ44を介して、付属バッグ45に連結される。
【0094】
図23Aは、図23に示した第10の装置105Iと実質的に同様である第11の装置105Jを示す。第11の装置105Jは、第3のチューブ44の第2の端部44Bに受容バッグカニューレ107を備える。受容バッグカニューレ107は、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に介在される。
【0095】
図23Bは、図23Aに示した第11の装置105Jと実質的に同様である第12の装置105Kを示す。第12の装置105Kは、第3のチューブ44のいずれの端部にも受容バッグカニューレ107が設けられていない。換言すれば、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に、又は生体液受容容器33と第3のチューブ44との間に、カニューレ107が介在されていない。
【0096】
図24は、第2のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置120を示す。この装置120は、後に処理及び/又は標本化する必要がある生体液を収集するのに特に有用であることが証明されている。このような装置は、「全血セット(whole blood set:WBS)」とも呼ばれる。
【0097】
全血セット120は、生体液フィルタ処理装置21の上流に設けられた、血液又は血液製剤を収集するのに使用される第1の生体液容器29を備える。生体液フィルタ処理装置21としては、Hemerus Medical, LLC社(St Paul, Minnesota)製のLeukoSep(登録商標)Model No. HWB-600-Wがある。通常は、所定の量の抗凝血剤126が、第1の生体液容器29に収容されている。
【0098】
生体液フィルタ処理装置21は、多孔質媒体22によって隔てられた入口23及び出口24を有する。第1の生体液容器29は、第1のカニューレ又はコネクタ28、並びに第1の端部27A及び第2の端部27Bを有する第1のチューブ27を介して、生体液フィルタ処理装置21と流体的に連通されている。
【0099】
生体液フィルタ処理装置21の下流側には、生体液フィルタ処理装置21でフィルタ処理された又は白血球除去処理された後の血液又は血液製剤を受け取るのに使用される第1の生体液受容容器33が配置されている。生体液フィルタ処理装置21は、第1の端部32A及び第2の端部32Bを有する第2のチューブ32を介して、第1の生体液受容容器33と流体的に連通されている。
【0100】
第1の生体液受容容器33内の流体(例えば血液又は血液製剤)を成分に分離する場合は、赤血球(red blood cell:RBC)カニューレ141(開いているときに)を介して第1の生体液受容容器33と流体的に連通された血漿バッグ135が設けられる。血漿バッグ135は、赤血球(red blood cell:RBC)チューブ136によって(必要に応じて、Yコネクタ138と血漿ライン136Bも使用して)、第1の生体液受容容器33と連結されている。
【0101】
使用目的によっては、処理中に、第1の生体液受容容器33内の前記流体に1つ以上の添加物が添加される。添加物の添加は、第1の追加バック137を設けることによって実現される。第1の追加バック137は、第1の追加チューブ139及びYコネクタ138によって、RBCチューブ136と流体的に連通される(第1の追加バッグカニューレ142を開いたときに)。
【0102】
前述した1つ以上の容器(29、33、135、137)は、バッグ又は容器とそれに関連する導管又はチューブとの間にカニューレを有することが好ましい。例えば、第1の生体液容器29は、第1の生体液容器29と第1のチューブ27の第1の端部27Aとの間に介在される第1のカニューレ又はコネクタ28を有し得る。血液は、第1のカニューレ28が開かない限り、第1の生体液容器29から第1のチューブ27へ(又はその反対に)へ移動することができない。第1のカニューレ28を他の血流を制御するための実用的装置に置き換えることは、十分に本発明の範囲に含まれる。
【0103】
同様に、第1の生体液受容容器33とRBCチューブ136の第1の端部136Aとの間に、RBCカニューレ141を介在させることができる。また、追加バッグ137と第1の追加チューブ139の第2の端部139Bとの間に、第1の追加バッグカニューレ142を介在させることができる。特定の用途に応じて、さらなるカニューレ又はコネクタを追加することができ、このことは本発明の範囲に含まれる。全ての場合において、この装置120は、様々な容器及びセットを一体に連結させる(所望であれば、無菌接続で連結する)ことにより組み立てられる。
【0104】
前述した容器(135及び/又は137)に、1つ以上の全血セットのスパイクポート又はコネクタを設けることが好ましい。
【0105】
前述した生体液処理システム又は全血セット120は、それらと接続されたドナー装置146を備えることが好ましい。ドナー装置146はドナーライン147を有し、ドナーライン147の第1の端部147Aは第1の生体液容器29と流体的に連通され、ドナーライン147の第2の端部147Bはニードルセット148と流体的に連通される。ニードルセット148は、ドナーライン147と流体的に連通された針149と、針プロテクター150とを有する。ドナー装置146は、単に例示を目的として示した。当該技術分野で公知の他のドナー装置又はセットの使用も、十分に本発明の範囲に含まれる。
【0106】
血液採取装置152もまた、例えばドナーの血液サンプルを試験するために、又は初期血液サンプルを第1の生体液容器29を通過させる前に迂回させるために、設けることができる。血液採取装置152は、ドナーライン147に介在された採取用Y字コネクタ154を備える。血液採取チューブ155の第1の端部155AはY字コネクタ154に連結され、血液採取チューブ155の第2の端部155Bは、真空チューブホルダ156又は他の血液を採取するための他の手段(例えば小袋)、或いはその組み合わせに連結される。当該技術分野で公知の他の採取装置を使用することもできる。
【0107】
図25は、第3のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置157を示す。この装置157は、第2の全血セット157とも呼ばれる。また、この装置157は、第2のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置又は全血セット120とほぼ等しい。第2の装置120と第3の装置157との根本的な相違点は、生体液の処理が2つ以上の添加物を必要とする用途のために、第3の装置157には第2の追加バッグ158が追加されたことである。多数の追加バッグを必要なだけ追加することは、本発明の範囲に十分に含まれる。
【0108】
第2の追加バッグ158は、第2の追加バッグカニューレ又はコネクタ159(開いているときは)及び第2の追加チューブ160を介して、第1の追加バッグ137と流体的に連通されている。
【0109】
前述した3つの方法全ては、図24及び図25に示した装置を使用して実施することができる。第1の方法を実施する際は、第1の生体液容器29にドナー血液を充填する前に又は充填した後に、その量が前述したようにして計算された予充填又は過剰ガス37を、当該技術分野で公知の手段によって第1の生体液容器29に注入又は導入する。このことにより、血液及び抗凝血剤126は、第1のチューブ27及び生体液フィルタ処理装置21を貫流して第1の生体液受容容器33へ入る。
【0110】
前述したように第1の生体液受容容器33に、過剰ガス又は予充填ガス37が充填されている場合は、血液は第1の生体液容器29に導入される。ドナーカニューレ129は、カニューレ28で説明したようにして動作する。フィルタクランプ43は、前述したようにして動作する。RBCバッグカニューレ141は、サテライトクランプ46で説明したようにして動作する。本発明に係る第2の方法は、図24及び図25に示す装置を使用して実施することができる。生体液処理システム157が本発明に係る第2の方法の実施時に前述したように上下反転される又は持ち上げられる間、第1の生体液受容容器33、血漿バッグ135、第1の追加バッグ137、及び第2の追加バッグ158(使用する場合)、並びにさらなる追加バッグは、当該技術分野で公知の方法によって、互いに隣り合った状態で配置又は保持される。他の全てのステップでもその状態が保たれる。前述した第3の方法の実施では、図示した構成要素の位置を変更する必要はない。
【0111】
図26は、第4のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置170を示す。この装置170は、本発明に係る第4の方法に使用することができる。図26に示すこの装置170は、ドナー装置146及び血液採取装置152以外は、図24に示した装置と同様である。
【0112】
本発明のこの変形例では、第2のドナー装置172が接続されている。第2のドナー装置172は前述したドナー装置146と同様にドナーライン147を備え、ドナーライン147の第1の端部147Aは第1の生体液容器29と流体的に連通され、ドナーライン147の第2の端部147Bはニードルセット148と流体的に連通されている。ニードルセット148は、ドナーライン147と流体的に連通された針149と、使用後に針149を覆う針プロテクター150とを有する。ドナー装置146は、単に例示を目的として示されている。当該技術分野で公知の他のドナー装置又はセットの使用も、十分に本発明の範囲に含まれる。ドナーラインにおける針149と第1の生体液容器29との間に、ドナーラインクランプ176が設けられる。第2のドナー装置172は、単に例示を目的として示されている。当該技術分野で公知の他のドナー装置を使用も、本発明の範囲に十分に含まれる。
【0113】
第2の血液採取装置174が設けられる。第2の血液採取装置174は、ドナーライン147に介在される採取用Y字コネクタ154を備え得る。しかし、本発明のこの変形例では、血液採取チューブ155の代わりに、第2の血液採取チューブ175が連結されている。第2の血液採取チューブ175の第1の端部175Aは、採取カニューレ177及びY字コネクタ154に、その順に連結される。第2の血液採取チューブ175の第2の端部175Bは、第2のY字コネクタ180に連結される。第2のY字コネクタ180は、当該技術分野で公知の方法によって連結され、迂回バッグ(diversion bag)182、第2の血液採取チューブ175の第2の端部175B、及び第3の血液採取チューブ184の一端との間を流体的に連通する。第3の血液採取チューブ184の他端は、真空チューブホルダ156に連結される。血液採取チ装置クランプ178が、第2の血液採取チューブ175におけるYコネクタ154と第2のYコネクタ180との間に設けられる。
【0114】
第1の生体液容器29内に抗凝血剤126が収容されているので、所望であれば、本発明のこの変形例では、第1の生体液受容容器33には予充填ガス37が充填されていない。その代わり、迂回バック182に、前述したようにして計算された量の、換言すれば、前記システムの液抜きをするのに十分な量の予充填ガス37が充填される。
【0115】
前述した第4の全血セット170によって、本発明に係る第4の方法が当業者には理解できよう。ドナーラインクランプ176及び第2の血液採取装置クランプ178を最初に開いておき、採取カニューレ177を開いた後に、迂回バック182の予充填ガス37を第1の生体液容器29に送り出す。このことは、血液が第1の生体液容器29に収集される前に行うことが好ましいが、後に行うこともできる。ドナー針149及び真空チューブホルダ156のデザインのため、予充填ガスは使用されるまでこれらの装置から放出されることはない。そのため、予充填ガスは、第2の血液採取チューブ175、採取カニューレ177、採取用Y字コネクタ154、及びドナーライン147を通って、第1の生体液容器29に流入する。その後、ドナーラインクランプ176は閉じられる。
【0116】
ドナー針149は、ドナーに挿入され、血液採取装置クランプは開けたままにされる。当該技術分野で公知の目的のために、初期量の血液が迂回バッグ182に(所望であれば、真空チューブホルダ156に連結された真空チューブに)引き込まれる。そして、血液採取装置クランプ178が閉じられる。この状態では、ドナーから第4の全血セット170へは、それ以上の血液は流出しない。
【0117】
ドナーラインクランプ176を開くことにより、血液採取は継続される。血は、その後再び第1の生体液容器29に流入し、予充填ガスを追い出して抗凝血剤と混合する。十分な血液が採集されたら、ドナーラインクランプ176は閉じられ、針149がドナーから引き出される。そして、針が不慮に突き刺さるのを防止するために、針149は針プロテクター50内に引き込まれる。ドナーライン147は、その後、第1の生体液容器29から無菌切断される(所望であれば、さらに無菌分割される)。血液を処理するために、フィルタクランプ43は開かれ、血液は生体液フィルタ処理装置21を貫流する。その他の処理は、前述したようにして行われる。
【0118】
このように、従来の生体液フィルタ処理システムに存在する問題を注意深く研究した結果、本願発明者は、生体液を処理するための新規な方法及び装置を開発するに至った。
【0119】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明を具現化した構造体を示す正面図である。
【図1A】図1〜25で使用される様々な種類の内容物を示す。
【図2】本発明に係る方法を実施するために、図1に示した構造体を上下反転させた状態を示す。
【図3】フィルタクランプを開いて、予充填又は過剰ガスを第1の生体液受容容器から第1の生体液容器へ移動させた後の図2の構造体を示す。
【図4】フィルタクランプを閉じて、構造体を再び上下反転させた後の図3の構造体を示す。第1の生体液受容容器は、低い位置に戻る。
【図5】フィルタクランプを開いて、予充填又は過剰ガスによって液体を、第1の生体液容器から第1の生体液受容容器へ移動させた後の図4の構造体を示す。
【図6】図5において円6で囲んだ部分の拡大図である。
【図7】フィルタクランプを閉じて、付属バッグクランプを開いた後の図5の構造体を示す。
【図8】過剰ガスを付属バッグに移動させ、付属バッグクランプを閉じた後の図7の構造体を示す。
【図9】図8と一部分において類似する図であり、過剰ガス及び生体液を付属バッグに移動させて、付属バッグクランプを閉じた後を示す。
【図10】第1の体液受容容器及び付属バッグを、装置の残りの部分から無菌切断によって切断した状態を示す。
【図11】図1に示した構造体を使用する本発明の変形例を示す。第1の体液受容容器に充填された予充填又は過剰ガスは、フィルタクランプ43(及びカニューレ28)を開いた状態で、第1の体液受容容器に圧力を加えることによって、第1の体液容器へ供給される。
【図12】予充填又は過剰ガスを第1の生体液容器へ移動させ、フィルタクランプを閉じた後の図11の構造体を示す。
【図13】流体を第1の体液受入容器へ流入させるために、フィルタクランプを開いた後の図12の構造体を示す。
【図14】生体液が第1の体液受入容器に移動した後の図13の構造体を示す。
【図14A】図14において円14aで囲んだ部分の拡大図である。
【図15】フィルタクランプを閉じて、付属バッグクランプを開いた後の図14の構造体を示す。このとき、第1の体液受容容器にはまだ圧力は加えられていない。
【図16】第1の体液受容容器に圧力を加えて、過剰ガスを付属バッグに移動させて、付属バッグクランプを閉じた後の図15の構造体を示す。
【図17】図16と一部分において類似する図であり、過剰ガス及び生体液を付属バッグに移動させて、付属バッグクランプを閉じた後を示す。
【図18】第1の体液受容容器及び付属バッグを、装置の残りの部分から無菌切断によって切断した状態を示す。
【図19】本発明の変形例を示す正面図である。
【図20】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図20A】図20と実質的に同一であるが、採取ラインの無菌切断されていた部分に閉鎖可能ベントが設けられた場合を示す。
【図21】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図21A】図21と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブの他端に設けられた場合を示す。
【図21B】図21と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブのいずれの端部にも設けられていない場合を示す。
【図22】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図22A】図22と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブの他端に設けられた場合を示す。
【図22B】図22と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブのいずれの端部にも設けられていない場合を示す。
【図23】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図23A】図23と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブの他端に設けられた場合を示す。
【図23B】図23と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブのいずれの端部にも設けられていない場合を示す。
【図24】血漿バッグ及び付属バッグを備えた本発明の変形例を示す正面図である。
【図25】血漿バッグ、第1の付属バッグ、及び第2の付属バッグを備えた本発明の変形例を示す正面図である。
【図26】予充填又は過剰ガスを充填した迂回バッグを備えた本発明の変形例を示す正面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を処理する方法及び装置に関する。より詳しくは、本発明は、例えば献血された血液などの生体液を、治療に役立つ成分となるように処理する方法及び装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、献血された血液又は準備された血液成分からの全ての血液製剤の回収を大幅に増加させるために改良されたベントレスシステムを使用した、献血された血液を治療に役立つ成分となるように処理する改良された方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
血液を処理するための方法及び装置は、よく知られた従来技術である。米国特許第3、892、236号(Djerassi)には、ヒトドナーから血液を連続的に取出し、体外循環させたドナー血液から顆粒球を除去し、白血球除去全血を重力によってドナーに戻す装置が開示されている。
【0003】
米国特許第5、126、054号(Matkovich)には、液体送達システムの移送ラインからガスを排出するガス抜き手段が開示されている。このガス抜き手段は、ハウジングと、前記移送ラインと連通するように前記ハウジングに設けられた液体可湿性の第1の微細多孔性膜と、前記ハウジングの外側を向くように前記第1の微細多孔性膜に重ね合わされた非液体可湿性でガス透過性の第2の微細多孔性膜とを含んでいる。前記液体送達システム内のガスは、第1の微細多孔性膜が送達される液体によって湿潤されない限りは、前記システムから排出される。
【0004】
米国特許第5、451、321号(Matkovich)には、血液又は血液成分を有益な血液製剤となるように処理する血液処理システムが開示されている。この血液処理システムは、第1の容器と、前記第1の容器の下流側に位置する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器とを連通する移送ラインと、前記移送ラインにおける前記第1の容器と前記第2の容器との間に設けられた白血球除去フィルタと、前記移送ラインにおける白血球除去フィルタの下流側かつ前記第2の容器の上流側に設けられたガス出口とを備えている。
【0005】
米国特許第5、472、621号(Matkovich)には、移行帯材料を処理する方法及び装置が開示されている。この装置は、第1の容器と、第1の容器の下流側に位置する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に介在された赤血球障壁媒体とを備えている。前記赤血球障壁媒体は、前記第2の容器と第3の容器との間に介在させることもできる。気体収集及び置換ループは、前記赤血球障壁媒体の上流側と下流側の間に連結されている。
【0006】
米国特許第5、527、472号(Bellottiら)には、血液を処理するシステム及び方法が開示されている。このシステムでは、望ましくない物質を取り除くための分離装置の入口に血液を流入させる。そして、分離装置の出口から流出した望ましくない物質を実質的に含んでいない血液を、第1のポートを介して収集容器に導く。
【0007】
米国特許第5、863、436号(Matkovich)には、献血された血液を献血後に有益な血液製剤となるように処理するための無菌血液処理システムが示されている。このシステムは、第1の容器と、前記第1の容器の下流側に位置する第2の容器と、前記第1の容器と前記第2の容器との間に介在されかつ前記両容器と連通された白血球除去フィルタとを備えている。第1の容器と白血球除去フィルタとの間には、白血球除去フィルタから血液を排出させるためのガスを白血球除去フィルタへ導入するためのガス入口が設けられている。
【0008】
米国特許第6、802、425B2号(Ziaら)には、開及び閉ループの生体液処理システムが開示されている。前記システムは、生体液が上流及び/又は下流のガス入口若しくは出口、ハウジング若しくはベントと接触することを防ぐように、又は生体液が流体フィルタ処理装置を迂回するように配置又は構成された移送ラインを備えており、生体液処理システムへガスが移送される、又は前記システムからガスが排出される、又は前記システム内でガスが移送されるという概念を共有している。
【0009】
これらの装置は、大まかには満足できるが、前記従来技術のいくつかの方法及び装置では、大量の生体液が流体処理装置の様々な構成要素内に閉じ込められて残留するため、それらの装置は全て何らかのガスによる液抜き装置又は迂回ラインが必要であった。そのため、装置が複雑化する及び高価になるという問題があった。
【0010】
そのため、当業者は、生体液処理システムから生体液を最適に回収することができ、コストが低く、かつ使用が容易な方法及び装置の模索を続けていた。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術の問題点は、本発明に係る新規なベントレスで予充填可能な流体処理システムによって解決される。従来技術では、例えば血液バッグなどの生体液処理システムにおける完全に排液することができない構成要素から流体を排出するためには、ガスを液体の列の背後に移送する必要があるため、ベント型システムが用いられている。そこで、この問題を解決するために、従来、様々なベント型構造が案出されてきた。しかし、従来のいくつかの装置では、多量の生体液が流体処理システムの様々な構成要素内に閉じ込められて残留するため、その残留した生体液を排出する機構が必要となる。そのため、装置が比較的複雑にある及び製造コストが高くなるという問題があった。本発明は、実質的に全ての完全な排液が可能な構成要素及び完全な排液が不可能な構成要素の液抜きを行うことにより、生体液の回収を増加させることができるベントレスシステムを提供することにより、この従来技術の問題を解決する。システムに所定の量のガスを予め充填するという新規なアイデアを利用することにより、システムの予め定められた構成要素の液抜きをすることができる。
【0012】
本発明のある実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理装置と、前記流体フィルタ処理装置の上流に位置し、出口を有する第1の生体液容器と、前記第1の生体液容器の前記出口と前記流体フィルタ処理装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理装置の下流に位置し、入口を有する生体液受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管とを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。このシステムを使用して流体をフィルタ処理するためには、予充填又は過剰ガスが、第1の生体液又は上流の流体容器に導入される。第1の生体液容器内の流体は、望ましくない不純物や汚染物質を除去するために、流体フィルタ処理装置を通過させられて受容容器へ入る(例えば重力排水などの当該技術分野で公知の方法によって)。第1の生体液容器は予充填又は過剰ガスを含んでいるので、過剰ガスは上流チューブに入り、目的とする構成要素から流体を排出する。ガス(例えば空気)がある種の液体と接触することは好ましくないので、過剰又は予充填ガスは液体をフィルタ処理する直前に上流の流体容器に導入又は注入されることが好ましい。
【0013】
本発明の他の実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理装置と、前記流体フィルタ処理装置の上流に位置し、出口を有する流体容器と、前記流体容器の前記出口と前記流体フィルタ処理装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理装置の下流に位置し、入口を有する受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管と、前記受容容器に充填された当該システム内の液抜きをするのに十分な量の予充填又は過剰ガスを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。このシステムを使用して流体をフィルタ処理するためには、予充填又は過剰ガスが、前記受容容器から流体フィルタ処理装置を通って(前記デバイスを湿潤することなく)前記流体容器へ移動させられる。前記流体容器内の目的の不純物が除外された前記液体は、その後、流体フィルタ処理装置を通って前記受容容器へ戻される。
【0014】
本発明の別の実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理又は白血球除去装置と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の上流に位置し、出口を有する流体容器と、前記流体容器の前記出口と前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の下流に位置し、入口を有する受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管と、前記受容容器に充填された当該システム内の液抜きをするのに十分な量の予充填又は過剰ガスを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。
【0015】
本発明のさらなる他の実施形態では、入口及び出口を有する流体フィルタ処理又は白血球除去装置と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の上流に前記デバイスよりも高く位置し、出口を有する流体容器と、前記流体容器の前記出口と前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の前記入口とを流体的に連通する第1の導管と、前記流体フィルタ処理又は白血球除去装置の下流に位置し、入口を有する受容容器と、前記生体液受容容器の前記入口と前記流体フィルタ処理装置の前記出口とを流体的に連通する第2の導管と、前記受容容器に充填された当該システム内の液抜きをするのに十分な量の予充填又は過剰ガスを備えた流体フィルタ処理システムが提供される。前記受容容器と流体的に連通される付属バッグが設けられ得る。
【0016】
本発明のさらなる別の実施形態では、白血球除去システムを使用して生体液を処理する方法が提供される。前記白血球除去システムは、第1の生体液容器と、前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きをするのに十分な量の予充填ガスを含む第1の生体液受容容器と、前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器を流体的に連通する白血球除去装置とを備える。前記方法は、前記予充填ガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、前記生体液を前記第1の生体液容器から前記白血球除去装置を通過させて移動させて、白血球が除去された生体液を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む。
【0017】
本発明のさらなる他の実施形態では、白血球除去システム使用して白血球含有体液を処理する方法が提供される。前記白血球除去システムは、第1の生体液容器又は血液容器と、前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きをするのに十分な量の予充填ガスを含む第1の生体液受容容器と、前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器を流体的に連通する白血球除去装置を備える。前記方法は、前記予充填ガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、前記システムを上下反転させることによって、前記生体液を前記第1の生体液容器から前記白血球除去装置を通過させて移動させ、白血球が除去された生体液を前記第1の生体液受容容器に収集し、その後前記システムを再び上下反転させるステップとを含む。
【0018】
本発明のさらなる別の実施形態では、生体液を処理する方法であって、予め定められた量のガスを、第1の生体液受容容器から、白血球除去装置を通過させて(前記白血球除去装置を湿潤させることなく)、白血球リッチ生体液を収容している第1の生体液容器へ移動させるステップと、差圧によって(例えば、重力、カフ圧、吸引など)、前記白血球リッチ生体液を、前記第1の生体液容器から、白血球除去装置を通過させて、前記第1の生体液受容容器へ移動させるステップとを含む方法を提供する。
【0019】
したがって、本発明の目的は、流体を処理するための向上した方法及び装置を提供することにある。
【0020】
本発明のさらなる目的は、生体液を処理するための簡潔で低コストな装置を提供することにある。
【0021】
本発明の別の目的は、生体液を処理するための向上した方法及び装置を提供することにある。
【0022】
本発明の別の目的は、ベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0023】
本発明の別の目的は、付属バッグを備えたベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0024】
本発明のさらなる目的は、血漿バッグを備えたベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0025】
本発明の別の目的は、付属バッグ及び1つ以上の追加バッグを備えたベントレスの白血球除去システムを提供することにある。
【0026】
本発明のさらなる目的は、ドナーバッグ、ドナーライン、及び前記ドナーバッグに連結された血液採取装置を備えたベントレスの全血セットを提供することにある。
【0027】
本発明のさらなる目的及び利点は、添付した図面を参照しつつ行う以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明の説明では、以下の用語は、以下に説明するように使用される。
【0029】
「流体」は任意の液体又は気体を意味する。
【0030】
「生体液」は、食塩溶液、薬剤溶液、栄養溶液、血液、血液製剤を意味する。
【0031】
「多孔質媒体」は、流体が通過する任意の多孔質構造を意味する。多孔質媒体は、フィルタ処理する流体に適合する、任意の合成若しくは天然の繊維若しくは粒子、又は多孔質膜若しくは透過性膜から形成される。
【0032】
「無菌」又は「殺菌」は、生存能力がある汚染微生物が存在しない状態にシステムを保つことを意味する。
【0033】
「コネクタ」は、貫通コネクタ(例えば、スパイク、カニューレ又は針など)、嵌め合わせコネクタ(ルアー型、スクリュー型、摩擦型)、又は、連結部を作成するために若しくは自身を他の部品に連結させるために使用される任意の構造と互いに連結されるコネクタを意味する。
【0034】
「無菌連結」は、2つのチューブの間、又は、チューブと装置(容器、袋)との間を事実上密封し、生存能力がある汚染微生物が存在しない状態にシステムを保つ連結を意味する。「無菌切断」は、チューブ内の内容物の無菌を維持しながら(内容物が存在する場合は)、「チューブ」を密閉することを意味する。ヒートシールは、「無菌切断」の一例である。
【0035】
「液体親和性(Liquiphillic)」は、臨海ぬれ表面張力が適用された液体の表面張力よりも高く、適用された液体によって容易に又は自然発生的に濡れることができる物質を意味する。
【0036】
「液体非親和性(Liquiphobic)」は、臨海ぬれ表面張力が適用された液体の表面張力よりも低く、適用された液体によって容易に又は自然発生的に濡れることができない物質を意味する。液体非親和性物質は、前記表面に落ちる液滴と前記表面との接触角が大きいと特徴付けることができる。
【0037】
「チューブ」は、容器の間を流体的に連通する任意の導管又は手段で有り得え、一般的に、容器に使用されるのと同一の可撓性材料(好ましくは可塑化ポリ塩化ビニル)から作成される。
【0038】
「予充填」は、システム内で使用する前に、システム又はシステムの構成要素に導入される所定の量のガスを意味する。
【0039】
「ベントレス」は、フィルタ処理プロセス中にベントが存在しないことを意味する。
【0040】
「生物学的機能装置」は、その内部に空気又はガスが存在する、及び/又は、使用前に収集若しくは形成又は排出される様々な装置又はアセンブリであり得る。例示的な装置としては、例えば白血球除去フィルタなどのフィルタ、血小板濃縮器(好ましくは、非遠心分離血小板濃縮器)などの分離装置、気泡除去器、ポンプ、及びコネクタがある。また、前記装置としては、高輝度光波チャンバーなどの生物的汚染物質を破壊する装置や、生体液体を採取する装置などがある。
【0041】
図1を参照して、本発明の好適な実施形態が示されている。新規である、第1の予充填可能でベントレスの処理及び/又は採取装置又はシステム20が示されている。生体液フィルタ処理装置21の形態の生物学的機能装置が示されている。生体液フィルタ処理装置21は、生体液をフィルタ処理するための装置であり、多孔質媒体22によって隔てされた上流チャンバー21A及び下流チャンバー21Aを有する。生体液フィルタ処理装置21は、上流チャンバー21Aと流体的に連通された入口23と、下流チャンバー21Bと流体的に連通された出口24とを有する。第1のチューブ27の一端は、生体液フィルタ処理装置21の入口23に連結される。第1のチューブ27の他端は、カニューレ型の第1のコネクタ28を介して、第1の生体液容器29に連結される。所望であれば、第1の生体液容器29は、生体液フィルタ処理装置21に無菌接続で連結される。第1の生体液容器29は、第1のスパイクポートコネクタ34と、第2のスパイクポートコネクタ35とを有する。
【0042】
生体液フィルタ処理装置21の出口24に、第2のチューブ32が連結される。多孔質媒体22が、生体液フィルタ処理装置21の入口23と出口24との間に介在される。
【0043】
第2のチューブ32の他端には、第3のスパイクポートコネクタ39及び第4のスパイクポートコネクタ40を有する第1の生体液受容容器33が連結される。第2のチューブ32における生体液フィルタ処理装置21の出口24に近接する部分には、フィルタクランプ43が設けられる。所望であれば、フィルタクランプ43の代わりに止血鉗子を使用することもできる。止血鉗子又はフィルタクランプ43は、製造プロセスの間に設けられる、或いはその後に設けられる。フィルタクランプ43は、後述する目的で、初めは閉じられている。
【0044】
第1の生体液受容容器33と付属バッグ45とは、第3のチューブ44を介して流体的に連通されている。第3のチューブ44には、前述したようにして、付属バッグクランプ46が設けられる。付属バッグクランプ46は、後述する目的で、初めは閉じられている。付属バッグ45は、空っぽであり、過剰ガスを含んでいないことが好ましい。
【0045】
フィルタ処理する生体液に応じて、ベントレスで予充填可能な流体処理装置20は、様々な材料から作成される。フィルタ処理する生体液に適合する限り、任意の実験用材料を使用することができる。血液をフィルタ処理する場合は、前記バッグ及びチューブ構成要素は、国際規格ISO3826:1993(E)に基づいて、可塑化ポリ塩化ビニル(plasticized polyvinyl chlorid:PVC)から作成されることが好ましい。
【0046】
本発明に係る第1の方法を実施する際は、これ以上の装置は不要である。特に、第1の生体液受容容器33には、予充填又は過剰ガス37は存在しない。代わりに、過剰又は予充填ガス37は、第1の生体液容器29に直接的に注入される。前記注入は、フィルタ処理を実施する直前に行うことが好ましい。過剰又は予充填ガスは、後述するようにして計算される。
【0047】
図5を参照して、第1の生体液容器29に予充填ガス37を注入又は導入した後、フィルタクランプ43を開いて(カニューレ28が開いてなければカニューレ28も開く)、生体液フィルタ処理装置21を貫流する流体(例えば血液30)をフィルタ処理し、目的とする不純物(例えば白血球)を除去する。
【0048】
本発明に係る第2の方法を実施する際は、空の状態の容器に含まれるガスの体積を超過する体積の予充填又は過剰ガス37を第1の生体液受容容器33に供給する。過剰又は予充填ガス37は、製造中に又は使用前に、第1の生体液受容容器(33、132)に注入される。ガスの注入は無菌状態で行うことが好ましい。また、ガスの前記システム内への移送は、当該技術分野で周知のように、非殺菌ガス(例えば空気)を0.2ミクロンフィルタを通過させることによって無菌状態で行うことが好ましい。
【0049】
予充填ガスの体積は、第1の生体液容器が空になったときに液抜きすべき前記システムの構成要素内に、製造プロセス中に残った残留空気の体積以上にすべきである。目的とする前記システムの一部及び構成要素を液抜きするのに十分なガスの体積は、すなわち、前記システムを液抜きするのに十分な体積である。
【0050】
ベントレスの液体処理装置20では、予充填ガスの体積は、次の式から得られる。
【0051】
Vp≧Vft+Vuc
Vp=予充填ガスの体積
Vft=第1のチューブの容積
Vuc=上流チャンバーの容積
【0052】
したがって、第1の生体液受容容器33内の予充填又は過剰ガス37の体積は、第1のチューブ27内のガス体積と上流チャンバー21A内のガス体積とを足した体積以上になる。第1の生体液容器29内にガスが存在する場合は、第1の生体液容器29内のガス体積を、上記の式の右項から差し引く。したがって、次の式となる。
【0053】
Vp≧Vft+Vuc−Vfc
Vfc=第1の生体液容器内のガス体積
【0054】
上記の説明及び式により、第1の生体液容器29に含まれるガスの体積が、第1の生体液容器29が空になったときに液抜きをする必要があるチューブ及び生物学的機能装置の部分の体積以上である場合は、予充填ガス37は必要ではない。
【0055】
後述するように、本発明に係る方法に従って生体液をフィルタ処理する場合に、第1の生体液容器29、第1のチューブ27、又は生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21A内に生体液が実質的に残留しないようにするためには、予充填ガス37は必要である。これは、本発明の好ましい実施形態の条件である。
【0056】
ガスが生体液フィルタ処理装置21を貫流した場合は、前記システムのさらなる構成要素を液抜きすることが望ましい。例えば、予充填又は過剰ガス37が生体液フィルタ処理装置21を貫流した場合は、下流チャンバー21B及び第2のチューブ32を液抜きする。通常は、第1の生体液容器29、第1のチューブ27、及び上流チャンバー21Aから流体を排出した後に、予充填又は過剰ガス37が前記システム内に入る。予充填ガスの量は、次の式から計算される。
【0057】
Vp≧Vft+Vuc+Vb+Vdc+Vst
Vp=予充填ガスの体積
Vft=第1のチューブの容積
Vst=第2のチューブの容積
Vuc=上流チャンバー容積
Vdc=下流チャンバーの容積
Vb=生体液フィルタの容積−前記装置内に閉じ込められた残留生体液の体積
【0058】
上記の例での予充填ガスの体積は、フィルタ媒体22、生体液フィルタ処理装置21の下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32などの、前記システムのさらなる部分を液抜きする。これは、十分に本発明の範囲内である。この例では、生体液の第1の生体液受容容器への排出が完了した後に、過剰ガスを第1の生体液受容容器からサテライトバック内へ、又は生体液フィルタ処理装置を介して第1の生体液容器内へ移送させることによって、実質的にガスが存在しない第1の生体液受容容器が得られる。
【0059】
前述した国際規格ISO3826:1993(E)に基づいて、フィルタレス血液収集経路と、血液の収集に使用される容器(及び各移送容器とそれに関連するチューブ)とに含まれる空気の体積は、15mlを超えてはならない。それぞれの追加された移送容器及びそれに関連するチューブに含まれる空気の体積は、15mlを超えてはならない。したがって、予充填ガスの量は、用途毎に、容器とそれに関連するチューブの数、及び、前記システムを液抜きする方法に基づいて計算される。この要件は、血液又は血液製剤(さらなる溶液及び抗凝血剤を含む)が過剰ガスと共に残留するのを防止することを目的としている。例えば白血球除去フィルタなどの生物学的機能装置と共に使用される血液バッグセットでは、前記装置の滞留体積は、通常は15ml以上である。そのため、生物学的機能装置と共に使用されるセットは、一般に、15ml以上のガス(通常は空気)を保持する構成要素を有する。そして、流体が装置に入ったとき、前記空気は前記装置から、前記生物学的機能装置の下流側の容器へ移動する。したがって前記生物学的機能装置の下流に位置する前記容器内の過剰空気は追い出される。
【0060】
説明の便宜上、血液収集経路及び前記容器内の残留空気量が比較的少ないので、また前記残留空気は予充填又は過剰ガスと混合されるので、以下の説明では別々には示していない。
【0061】
図1〜10を参照して、図1に示した装置を使用して実施する本発明に係る第2の方法について説明する。この方法を実施するためには、第1の生体液容器29に所望の量のフィルタ処理する液体(例えば血液30)が収容されており、第1の生体液受容容器33内に予充填ガス37が含まれていると仮定して、第1のステップでは、図1に示す装置20を、フィルタクランプ43及びサテライトバック・クランプ46を閉じた状態で、上下反対させる。上下反転させた状態を、図2に示す。この状態では、予充填されたガス37を含んでいる第1の生体液受容容器33は、第1の体液容器容器29の上側に位置する。第1の生体液受容容器33を第1の生体液容器29よりも高い位置にする必要はないが、理解を容易にするために、及び溶液が第1のチューブ及び/又は生体液フィルタ装置へ早まって進入する機会を減少させるために、この方法では、第1の生体液受容容器33は第1の生体液容器29の垂直方向上側に位置している。また、説明を目的として、本発明によりフィルタ処理される生体液は、血液30として示されている。しかし、上記に規定した任意の「生体液」の使用は、十分に本発明の範囲内である。
【0062】
この方法を実施する次のステップでは、図3に示すように、第1の生体液受容容器33の外壁に力(矢印49で示す)を加える。前記力を加えるのは、第1の生体液容器29と第1の生体液受容容器33との間の流体経路を開くの(予め開いていなければ、フィルタクランプ43とカニューレ28も開く)と実質的に同時に行う。このことにより、予充填ガス37は、第1の生体液受容容器33から、第2のチューブ32、生体液フィルタ処理装置21、及び第1のチューブ27を通って、血液30を収容した第1の生体液容器29へ移送される。第1の生体液容器29は柔軟性を有するため、第1の生体液容器29は予充填ガス37の体積に対応して膨らむ。フィルタクランプ43はその後閉じられる。ガスを移動させる他の方法は、第1の生体液容器29の周囲に真空を生成した後に、第1の生体液容器29と第1の生体液受容容器33との間の流体経路を開くことである。ガスを一方のバッグから他方のバッグに移動させるのには、当該技術分野で公知の様々な方法を使用することができ、それらは本発明の範囲に含まれる。
【0063】
図4を参照して、システム20を再び上下反転させる。あるいは、血液30及び予充填ガス37を含んでいる第1の生体液容器29を、実質的に空になった(十分な量の予充填又は過剰ガスを含んでいない)第1の生体液受容容器33よりも高い位置にする。
【0064】
図5を参照して、フィルタクランプ43を開くと、血液30が、第1の生体液容器29から第1のチューブ27、生体液フィルタ21(白血球除去フィルタ)及び第2のチューブ32を貫流して第1の生体液受容容器33へ入る。これらの構成要素内の空気は、第1の生体液受容容器33へ排出及び移動させられる。
【0065】
過剰ガス又は予充填ガス37の量は、第1の生体液容器29、第1のチューブ27、及び生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aから血液30を完全に排出できるように選択されることが好ましい。多孔質媒体22の両端での差圧が、ガスが多孔質媒体を通過するのに不十分である場合、多孔質媒体22、生体液フィルタ処理装置21の下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32の内部に血液30が残留する。前述したように、予充填又は過剰ガス37の量を適切に選択することにより、ガスが多孔質媒体22を通過することができれば、血液をフィルタ21及び第2のチューブ32から血液を完全に排出することが可能になる。しかしこれは、好ましい実施形態とは考えられていない。他の用途では、異なる量の過剰ガス37が使用され、異なる結果となる。
【0066】
図6を参照して、この時点まで、第1のチューブ27、第2のチューブ32、並びに生体液フィルタ処理装置21の上流及び下流チャンバー(21A、21B)の内容物は、本発明の理解には必須ではないので、詳しくは示されていない。この方法のこの時点では、予充填ガス37の選択された量によって、上流チューブ27、及び生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aには予充填ガスが充填されており、フィルタ媒体22、下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32には血液が充填されていること理解することが重要である。この状態は、図7〜10まで存続する。しかし、説明及び理解を容易にするため、詳細には示さない。
【0067】
図7を参照して、この方法を実施する次のステップでは、フィルタクランプ43を閉じ、付属バッグクランプ46を開ける。
【0068】
図8及び図9に示す2つの手法を使用することができる。図8に示すように、過剰ガス又は予充填ガス37だけを付属バッグ45に排出する力(矢印49で示す)を、第1の生体液受容容器33に加える。あるいは、図9に示すように、過剰ガス又は予充填ガス37と血液30とを付属バッグ45に排出する力(矢印49で示す)を、第1の生体液受容容器33に加える。フィルタ処理された血液30の試験を所望する場合は、図9に示す方法が望ましい。どちらの手法を使用した場合でも、その後、付属バッグクランプ46は閉じられる。
【0069】
図10を参照して、図8及び図9のどちらの手法を使用した場合でも、この方法を実施する最後のステップでは、第1の生体液受容容器33からの付属バッグ45の無菌切断51と、フィルタ処理装置21からの第1の生体液受容容器33の無菌切断50とが行われる。無菌切断は、当該技術分野で公知の方法によって行われる。好ましい実施形態では、無菌切断は、ヒートシールによって行われる。あるいは、フィルタクランプ43を閉じた後に第2のチューブ32を無菌切断し、付属バッグクランプ46を開いた後に、過剰ガスを第1の生体液受容容器33から付属バッグ45へ移動させることもできる。
【0070】
図1及び図11〜18を参照して、本発明に係る第3の方法について説明する。図1に示した装置が、この方法の実施に使用される。フィルタ処理される所定の量の血液が、第1の生体液容器29に収容されている。第1の生体液容器29は、第1のチューブ27と流体的に連通されている。第1のチューブ27は、第1のカニューレ又はコネクタ28を介して、第1の生体液容器29に連結されている。所望に応じて、第1の生体液容器29と第1のチューブ27は無菌接続される。
【0071】
血液30は、生体液フィルタ処理装置21によってフィルタ処理される。過剰ガス又は予充填ガス37が、第1の生体液受容容器33に充填されている。過剰ガス又は予充填ガス37の量は、前述したように、システム20の液抜きを十分に行うように選択される。第1の生体液受容容器33は、第2のチューブ32によってフィルタ処理装置21と流体的に連通されている。第3のチューブ44を介して第1の生体液受容容器33と流体的に連通された付属バッグ45が設けられている。フィルタクランプ43及び付属バッグクランプ46が、前述したようにして設けられている。
【0072】
図11を参照して、この第3の方法を実施するための第1のステップは、第1の生体液受容容器33に圧力(矢印60で示す)を加えることにより、過剰ガス37を第1の生体液容器29へ移動させることである。圧力を加えるのは、フィルタクランプ43及び第1のカニューレ又はコネクタ28を介した第1の生体液容器29と第1の生体液受容容器33との間の流体経路を開くのと実質的に同時に行われる。第1の生体液受容容器33に圧力を加える時間と、フィルタクランプを開く時間との間隔は、若干の幅がある。フィルタクランプ43が開いたときに血液30が第1のチューブ27へ、場合によっては生体液フィルタ処理装置21へ流入するのを防止するために、フィルタクランプ43は圧力を加えた後に開くことが好ましい。
【0073】
このようにして、過剰ガス37を、第2のチューブ32、生体液フィルタ処理装置21、及び第1のチューブ27を介して第1の生体液容器29へ移動させることにより、第1の生体液受容容器33内の過剰ガス37は空になる。また、前述した本発明に係る第2の方法のように、ベントレス流体処理装置20を上下反転させる必要がなくなる。
【0074】
この動作を実施した直後に、血液30及び過剰ガス37が第1の生体液容器29内に充填された状態で、フィルタクランプ43を閉じる。このとき、システム20は、図12の状態となる。
【0075】
次に、フィルタクランプ43を開く(図13参照)。血液30は、第1のチューブ27、フィルタ処理装置21、及び第2のチューブ32を通って、第1の生体液受容容器33に流入する。第1の生体液容器29内に存在する過剰ガス37が最小となるので、第1の生体液容器29、チューブ27、及びフィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aは液抜きされて実質的に空にされる。液体の流れが一旦発生すると、フィルタクランプ43を閉じる(図14)。
【0076】
図14Aを参照して、この時点まで、第1のチューブ27、第2のチューブ32、並びに上流チャンバー21A及び下流チャンバー21Bの内容物は、本発明の理解には必須ではないので、詳しくは示されていない。図6に示したように、予充填ガス37の量は前記システムを液抜きするのに十分であるように選択されるので、上流チューブ27、及び生体液フィルタ処理装置21の上流チャンバー21Aには予充填ガスが充填されており、フィルタ媒体22、下流チャンバー21B、及び第2のチューブ32には血液が充填されていること理解することが重要である。この状態は、図15〜図18まで存続する。図14〜図18では、予充填ガスが前記システムを液抜きするのに必要な量とちょうど等しいかのように、第1の生体液容器29が空であることが示されている。予充填ガスの量が、前記システムを液抜きするのに必要な量を超えた場合は、第1の生体液容器29に予充填ガスが入り込む。このことは、本発明の範囲に含まれる。前述した方法のように、過剰ガス37の選択された量が異なれば、異なる状態が存在する。このことも本発明の範囲に含まれる。
【0077】
図15を参照して、第1の生体液受容容器33と付属バッグ45との間を流体的に連通させるために、付属バッグクランプ46が開かれる。
【0078】
図16及び図17を参照して、前述した方法で説明したようにして、付属バッグ45に過剰ガス37(図16参照)を充填するために、第1の生体液受容容器33に圧力が加えられる。あるいは、付属バッグ45に過剰ガス37と血液30とを充填するために、第1の生体液受容容器33に十分な圧力が加えられる(図17参照)。どちらの手法を使用した場合でも、その後、付属バッグクランプ46は閉じられる。
【0079】
図18を参照して、どちらの手法を使用した場合でも、この第3の方法を実施する最後のステップでは、第1の生体液受容容器33からの付属バッグ45の無菌切断51と、フィルタ処理装置21からの第1の生体液受容容器33の無菌切断50とが行われる。無菌切断は、当該技術分野で公知の方法によって行われる。好ましい実施形態では、無菌切断は、ヒートシールによって行われる。第1のヒートシール及び切断50は、フィルタクランプ43の下流で行われる。第1のヒートシール及び切断51は、付属バッグクランプ46の上流で行われる。あるいは、フィルタクランプ43を閉じた後に第2のチューブ32を無菌切断し、付属バッグクランプ46を開いた後に、過剰ガスを第1の生体液受容容器33から付属バッグ45へ移動させることもできる。
【0080】
以上、本発明及びその動作原理について説明した。前記装置を実施する単純な方法及び様々な種類の方法を、血液銀行、病院、及び生体液を収集及び/又は貯蔵及び/又は投与する他の機関に提供することができる。
【0081】
図19は、生体液をフィルタ処理するための生体液フィルタ処理装置21を含む第1の装置105を示す。生体液フィルタ処理装置21は、多孔質媒体22で隔てられた上流チャンバー21A及び下流チャンバー21Bを有する。また、生体液フィルタ処理装置21は、上流チャンバー21Aと流体的に連通された入口23と、下流チャンバー21Bと流体的に連通された出口24とを有する。第1のチューブ27は少なくとも第1の端部27A及び第2の端部27Bを有し、第2の端部27Bは生体液フィルタ処理装置21の入口23と流体的に連通されている。第1のチューブ27の第1の端部27Aは、例えば第3のヒートシール52などの任意の実用的手段によって閉じられる又は終端される。
【0082】
生体液フィルタ処理装置21の出口24には、第2のチューブ32が流体的に連通される。第2のチューブ32は、第1の端部32A及び第2の端部32Bを有する。第2のチューブ32の第1の端部32Aは、出口24と無菌接続で連結される。多孔質媒体22が、生体液フィルタ処理装置21の入口23と出口24との間に介在される。
【0083】
第2のチューブ32の第2の端部32Bは、過剰ガス37が充填された第1の生体液受容容器33と無菌接続で連結される。第1の生体液受容容器33は、第3のスパイクポートコネクタ39と、第4のスパイクポートコネクタ40とを有する。
【0084】
図20は、第2の装置105Aを示す。第2の装置105Aは、図19に示した第1の装置105に、第1の端部106A及び第2の端部106Bを有する採取チューブ106を追加したものである。第2の装置105Aは、フィルタ処理装置21、第1のチューブ27、第2のチューブ32、及び、第3のスパイクポートコネクタ39と第4のスパイクポートコネクタ40とを有する第1の生体液受容容器33を備える。第1のチューブ27の第1の端部27Aは、第3のヒートシール及び切断52によって終端される。採取チューブ106の第2の端部106Bは、第4のヒートシール及び切断53によって終端される。
【0085】
図20Aは、図20に示した第2の装置105Aと実質的に同様である第3の装置105Bを示す。第3の装置105Bでは、第4のヒートシール及び切断53が閉鎖可能ベント54に置き換えられている。閉鎖可能ベント54は、取り外し可能なキャップを有する0.2ミクロンのベントフィルタ(疎水性多孔質媒体を有することが好ましい)、又は米国特許第5、126、054号(Matkovich)に開示された親水性及び疎水性ベントフィルタであり得る。生体液受容容器33が閉鎖可能ベント54を備えることにより、予充填又は過剰ガス37が充填されていない状態で、前記装置を供給することができる。この場合、予充填又は過剰ガス37は、前述したように使用時に前記システムの液抜きをするために、前述したように計算された量で第1の生体液受容容器33に追加される。
【0086】
第1の生体液容器29は、第1のチューブ27に、好ましくは無菌接続によって連結される。予充填又は過剰ガス37は、第1の生体液受容容器33から第1の生体液容器29へ移動させられる。その後、流体は、第1の生体液容器29からフィルタ21を通って第1の生体液受容容器33へ移動させられる。液体移動の後に、予充填又は過剰ガス37は、第1のチューブ27に入り、前記システムを実質的に液抜きする。第1の生体液容器29から第1の生体液受容容器33への液体の移動によって、移動させられた最初のガス体積(過剰ガス)は、容器33から閉鎖可能ベント54を通って排出される。当業者であれば、閉鎖可能ベント54を使用する場合に、前記容器33に予充填ガス37を注入するタイミングは、正確に判断することができるであろう。
【0087】
図21は、第4の装置105Cを示す。第4の装置105Cは、第1のチューブ27、生体液フィルタ処理装置21、第2のチューブ32、過剰又は予充填ガス37が充填された第1の生体液受容容器33、第3のスパイクポート39、及び第4のスパイクポート40を備えている。第1の生体液受容容器33には、第3又は付属バッグチューブ44を介して、第1の端部44A及び第2の端部44Bを有する付属バッグ45が連結される。付属バッグチューブ44の第1の端部44Aは、受容バッグカニューレ107を介して、第1の生体液受容容器33と流体的に連通される。付属バッグチューブ44の第2の端部44Bは、付属バッグ45と流体的に連通される。
【0088】
図21Aは、図21に示した第4の装置105Cと実質的に同様である第5の装置105Dを示す。第5の装置105Dでは、受容バッグカニューレ107が、第3のチューブ44の第2の端部44Bに設けられている。
【0089】
図21Bは、図21Aに示した第5の装置105Dと実質的に同様である第6の装置105Eを示す。第6の装置105Eでは、第3のチューブ44のいずれの端部にも受容バッグカニューレ107が設けられていない。そのため、予充填又は過剰ガス37は、付属バッグ45内にも存在する。
【0090】
図22は、図21に示した第4の装置105Cと実質的に同様である第7の装置105Fを示す。第7の装置105Fでは、第1の生体液受容容器33と第2のチューブ32の第2の端部32Bとの間に、第2の受容バッグカニューレ108が介在されている。
【0091】
図22Aは、図22に示した第7の装置105Fと実質的に同様である第8の装置105Gを示す。第8の装置105Gでは、第3のチューブ44の第2の端部に、受容バッグカニューレ107が設けられている。受容バッグカニューレ107は、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に介在される。
【0092】
図22Bは、図22Aに示した第8の装置105Gと実質的に同様である第9の装置105Hを示す。第9の装置105Hは、第3のチューブ44のいずれの端部にも受容バッグカニューレ107が設けられていない。そのため、予充填又は過剰ガス37は、付属バッグ45内にも存在する。換言すれば、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に、又は生体液受容容器33と第3のチューブ44との間に、カニューレ107が介在されていない。
【0093】
図23は、第10の装置105Iを示す。第10の装置105Iは、第1のチューブ27の上流側又は第1の端部27Aに連結されるスパイク109を備えている。スパイク109は、スパイクカバー109Aを有する。第1のチューブ27の下流側又は第2の端部27Bには、生体液フィルタ処理装置21が流体的に連通される。第10の装置105Iは、生体液フィルタ処理装置21の下流側と、第2の受容バッグカニューレ108との間を連結する第2のチューブ32をさらに備え、生体液フィルタ処理装置21は予充填又は過剰ガス37を含む生体液受容容器33の内部と流体的に連通される。予充填又は過剰ガス37は、第2の受容バッグカニューレ108が開かれるまでは放出されない。第10の装置105Iでは、生体液受容容器33に受容バッグカニューレ107が連結される。受容バッグカニューレ107は、第3のチューブ44を介して、付属バッグ45に連結される。
【0094】
図23Aは、図23に示した第10の装置105Iと実質的に同様である第11の装置105Jを示す。第11の装置105Jは、第3のチューブ44の第2の端部44Bに受容バッグカニューレ107を備える。受容バッグカニューレ107は、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に介在される。
【0095】
図23Bは、図23Aに示した第11の装置105Jと実質的に同様である第12の装置105Kを示す。第12の装置105Kは、第3のチューブ44のいずれの端部にも受容バッグカニューレ107が設けられていない。換言すれば、付属バッグ45と第3のチューブ44との間に、又は生体液受容容器33と第3のチューブ44との間に、カニューレ107が介在されていない。
【0096】
図24は、第2のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置120を示す。この装置120は、後に処理及び/又は標本化する必要がある生体液を収集するのに特に有用であることが証明されている。このような装置は、「全血セット(whole blood set:WBS)」とも呼ばれる。
【0097】
全血セット120は、生体液フィルタ処理装置21の上流に設けられた、血液又は血液製剤を収集するのに使用される第1の生体液容器29を備える。生体液フィルタ処理装置21としては、Hemerus Medical, LLC社(St Paul, Minnesota)製のLeukoSep(登録商標)Model No. HWB-600-Wがある。通常は、所定の量の抗凝血剤126が、第1の生体液容器29に収容されている。
【0098】
生体液フィルタ処理装置21は、多孔質媒体22によって隔てられた入口23及び出口24を有する。第1の生体液容器29は、第1のカニューレ又はコネクタ28、並びに第1の端部27A及び第2の端部27Bを有する第1のチューブ27を介して、生体液フィルタ処理装置21と流体的に連通されている。
【0099】
生体液フィルタ処理装置21の下流側には、生体液フィルタ処理装置21でフィルタ処理された又は白血球除去処理された後の血液又は血液製剤を受け取るのに使用される第1の生体液受容容器33が配置されている。生体液フィルタ処理装置21は、第1の端部32A及び第2の端部32Bを有する第2のチューブ32を介して、第1の生体液受容容器33と流体的に連通されている。
【0100】
第1の生体液受容容器33内の流体(例えば血液又は血液製剤)を成分に分離する場合は、赤血球(red blood cell:RBC)カニューレ141(開いているときに)を介して第1の生体液受容容器33と流体的に連通された血漿バッグ135が設けられる。血漿バッグ135は、赤血球(red blood cell:RBC)チューブ136によって(必要に応じて、Yコネクタ138と血漿ライン136Bも使用して)、第1の生体液受容容器33と連結されている。
【0101】
使用目的によっては、処理中に、第1の生体液受容容器33内の前記流体に1つ以上の添加物が添加される。添加物の添加は、第1の追加バック137を設けることによって実現される。第1の追加バック137は、第1の追加チューブ139及びYコネクタ138によって、RBCチューブ136と流体的に連通される(第1の追加バッグカニューレ142を開いたときに)。
【0102】
前述した1つ以上の容器(29、33、135、137)は、バッグ又は容器とそれに関連する導管又はチューブとの間にカニューレを有することが好ましい。例えば、第1の生体液容器29は、第1の生体液容器29と第1のチューブ27の第1の端部27Aとの間に介在される第1のカニューレ又はコネクタ28を有し得る。血液は、第1のカニューレ28が開かない限り、第1の生体液容器29から第1のチューブ27へ(又はその反対に)へ移動することができない。第1のカニューレ28を他の血流を制御するための実用的装置に置き換えることは、十分に本発明の範囲に含まれる。
【0103】
同様に、第1の生体液受容容器33とRBCチューブ136の第1の端部136Aとの間に、RBCカニューレ141を介在させることができる。また、追加バッグ137と第1の追加チューブ139の第2の端部139Bとの間に、第1の追加バッグカニューレ142を介在させることができる。特定の用途に応じて、さらなるカニューレ又はコネクタを追加することができ、このことは本発明の範囲に含まれる。全ての場合において、この装置120は、様々な容器及びセットを一体に連結させる(所望であれば、無菌接続で連結する)ことにより組み立てられる。
【0104】
前述した容器(135及び/又は137)に、1つ以上の全血セットのスパイクポート又はコネクタを設けることが好ましい。
【0105】
前述した生体液処理システム又は全血セット120は、それらと接続されたドナー装置146を備えることが好ましい。ドナー装置146はドナーライン147を有し、ドナーライン147の第1の端部147Aは第1の生体液容器29と流体的に連通され、ドナーライン147の第2の端部147Bはニードルセット148と流体的に連通される。ニードルセット148は、ドナーライン147と流体的に連通された針149と、針プロテクター150とを有する。ドナー装置146は、単に例示を目的として示した。当該技術分野で公知の他のドナー装置又はセットの使用も、十分に本発明の範囲に含まれる。
【0106】
血液採取装置152もまた、例えばドナーの血液サンプルを試験するために、又は初期血液サンプルを第1の生体液容器29を通過させる前に迂回させるために、設けることができる。血液採取装置152は、ドナーライン147に介在された採取用Y字コネクタ154を備える。血液採取チューブ155の第1の端部155AはY字コネクタ154に連結され、血液採取チューブ155の第2の端部155Bは、真空チューブホルダ156又は他の血液を採取するための他の手段(例えば小袋)、或いはその組み合わせに連結される。当該技術分野で公知の他の採取装置を使用することもできる。
【0107】
図25は、第3のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置157を示す。この装置157は、第2の全血セット157とも呼ばれる。また、この装置157は、第2のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置又は全血セット120とほぼ等しい。第2の装置120と第3の装置157との根本的な相違点は、生体液の処理が2つ以上の添加物を必要とする用途のために、第3の装置157には第2の追加バッグ158が追加されたことである。多数の追加バッグを必要なだけ追加することは、本発明の範囲に十分に含まれる。
【0108】
第2の追加バッグ158は、第2の追加バッグカニューレ又はコネクタ159(開いているときは)及び第2の追加チューブ160を介して、第1の追加バッグ137と流体的に連通されている。
【0109】
前述した3つの方法全ては、図24及び図25に示した装置を使用して実施することができる。第1の方法を実施する際は、第1の生体液容器29にドナー血液を充填する前に又は充填した後に、その量が前述したようにして計算された予充填又は過剰ガス37を、当該技術分野で公知の手段によって第1の生体液容器29に注入又は導入する。このことにより、血液及び抗凝血剤126は、第1のチューブ27及び生体液フィルタ処理装置21を貫流して第1の生体液受容容器33へ入る。
【0110】
前述したように第1の生体液受容容器33に、過剰ガス又は予充填ガス37が充填されている場合は、血液は第1の生体液容器29に導入される。ドナーカニューレ129は、カニューレ28で説明したようにして動作する。フィルタクランプ43は、前述したようにして動作する。RBCバッグカニューレ141は、サテライトクランプ46で説明したようにして動作する。本発明に係る第2の方法は、図24及び図25に示す装置を使用して実施することができる。生体液処理システム157が本発明に係る第2の方法の実施時に前述したように上下反転される又は持ち上げられる間、第1の生体液受容容器33、血漿バッグ135、第1の追加バッグ137、及び第2の追加バッグ158(使用する場合)、並びにさらなる追加バッグは、当該技術分野で公知の方法によって、互いに隣り合った状態で配置又は保持される。他の全てのステップでもその状態が保たれる。前述した第3の方法の実施では、図示した構成要素の位置を変更する必要はない。
【0111】
図26は、第4のベントレス及び予充填可能な流体処理及び/又は採取装置170を示す。この装置170は、本発明に係る第4の方法に使用することができる。図26に示すこの装置170は、ドナー装置146及び血液採取装置152以外は、図24に示した装置と同様である。
【0112】
本発明のこの変形例では、第2のドナー装置172が接続されている。第2のドナー装置172は前述したドナー装置146と同様にドナーライン147を備え、ドナーライン147の第1の端部147Aは第1の生体液容器29と流体的に連通され、ドナーライン147の第2の端部147Bはニードルセット148と流体的に連通されている。ニードルセット148は、ドナーライン147と流体的に連通された針149と、使用後に針149を覆う針プロテクター150とを有する。ドナー装置146は、単に例示を目的として示されている。当該技術分野で公知の他のドナー装置又はセットの使用も、十分に本発明の範囲に含まれる。ドナーラインにおける針149と第1の生体液容器29との間に、ドナーラインクランプ176が設けられる。第2のドナー装置172は、単に例示を目的として示されている。当該技術分野で公知の他のドナー装置を使用も、本発明の範囲に十分に含まれる。
【0113】
第2の血液採取装置174が設けられる。第2の血液採取装置174は、ドナーライン147に介在される採取用Y字コネクタ154を備え得る。しかし、本発明のこの変形例では、血液採取チューブ155の代わりに、第2の血液採取チューブ175が連結されている。第2の血液採取チューブ175の第1の端部175Aは、採取カニューレ177及びY字コネクタ154に、その順に連結される。第2の血液採取チューブ175の第2の端部175Bは、第2のY字コネクタ180に連結される。第2のY字コネクタ180は、当該技術分野で公知の方法によって連結され、迂回バッグ(diversion bag)182、第2の血液採取チューブ175の第2の端部175B、及び第3の血液採取チューブ184の一端との間を流体的に連通する。第3の血液採取チューブ184の他端は、真空チューブホルダ156に連結される。血液採取チ装置クランプ178が、第2の血液採取チューブ175におけるYコネクタ154と第2のYコネクタ180との間に設けられる。
【0114】
第1の生体液容器29内に抗凝血剤126が収容されているので、所望であれば、本発明のこの変形例では、第1の生体液受容容器33には予充填ガス37が充填されていない。その代わり、迂回バック182に、前述したようにして計算された量の、換言すれば、前記システムの液抜きをするのに十分な量の予充填ガス37が充填される。
【0115】
前述した第4の全血セット170によって、本発明に係る第4の方法が当業者には理解できよう。ドナーラインクランプ176及び第2の血液採取装置クランプ178を最初に開いておき、採取カニューレ177を開いた後に、迂回バック182の予充填ガス37を第1の生体液容器29に送り出す。このことは、血液が第1の生体液容器29に収集される前に行うことが好ましいが、後に行うこともできる。ドナー針149及び真空チューブホルダ156のデザインのため、予充填ガスは使用されるまでこれらの装置から放出されることはない。そのため、予充填ガスは、第2の血液採取チューブ175、採取カニューレ177、採取用Y字コネクタ154、及びドナーライン147を通って、第1の生体液容器29に流入する。その後、ドナーラインクランプ176は閉じられる。
【0116】
ドナー針149は、ドナーに挿入され、血液採取装置クランプは開けたままにされる。当該技術分野で公知の目的のために、初期量の血液が迂回バッグ182に(所望であれば、真空チューブホルダ156に連結された真空チューブに)引き込まれる。そして、血液採取装置クランプ178が閉じられる。この状態では、ドナーから第4の全血セット170へは、それ以上の血液は流出しない。
【0117】
ドナーラインクランプ176を開くことにより、血液採取は継続される。血は、その後再び第1の生体液容器29に流入し、予充填ガスを追い出して抗凝血剤と混合する。十分な血液が採集されたら、ドナーラインクランプ176は閉じられ、針149がドナーから引き出される。そして、針が不慮に突き刺さるのを防止するために、針149は針プロテクター50内に引き込まれる。ドナーライン147は、その後、第1の生体液容器29から無菌切断される(所望であれば、さらに無菌分割される)。血液を処理するために、フィルタクランプ43は開かれ、血液は生体液フィルタ処理装置21を貫流する。その他の処理は、前述したようにして行われる。
【0118】
このように、従来の生体液フィルタ処理システムに存在する問題を注意深く研究した結果、本願発明者は、生体液を処理するための新規な方法及び装置を開発するに至った。
【0119】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で規定された本発明の精神と範囲から逸脱しない範囲内で様々な変更及び修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明を具現化した構造体を示す正面図である。
【図1A】図1〜25で使用される様々な種類の内容物を示す。
【図2】本発明に係る方法を実施するために、図1に示した構造体を上下反転させた状態を示す。
【図3】フィルタクランプを開いて、予充填又は過剰ガスを第1の生体液受容容器から第1の生体液容器へ移動させた後の図2の構造体を示す。
【図4】フィルタクランプを閉じて、構造体を再び上下反転させた後の図3の構造体を示す。第1の生体液受容容器は、低い位置に戻る。
【図5】フィルタクランプを開いて、予充填又は過剰ガスによって液体を、第1の生体液容器から第1の生体液受容容器へ移動させた後の図4の構造体を示す。
【図6】図5において円6で囲んだ部分の拡大図である。
【図7】フィルタクランプを閉じて、付属バッグクランプを開いた後の図5の構造体を示す。
【図8】過剰ガスを付属バッグに移動させ、付属バッグクランプを閉じた後の図7の構造体を示す。
【図9】図8と一部分において類似する図であり、過剰ガス及び生体液を付属バッグに移動させて、付属バッグクランプを閉じた後を示す。
【図10】第1の体液受容容器及び付属バッグを、装置の残りの部分から無菌切断によって切断した状態を示す。
【図11】図1に示した構造体を使用する本発明の変形例を示す。第1の体液受容容器に充填された予充填又は過剰ガスは、フィルタクランプ43(及びカニューレ28)を開いた状態で、第1の体液受容容器に圧力を加えることによって、第1の体液容器へ供給される。
【図12】予充填又は過剰ガスを第1の生体液容器へ移動させ、フィルタクランプを閉じた後の図11の構造体を示す。
【図13】流体を第1の体液受入容器へ流入させるために、フィルタクランプを開いた後の図12の構造体を示す。
【図14】生体液が第1の体液受入容器に移動した後の図13の構造体を示す。
【図14A】図14において円14aで囲んだ部分の拡大図である。
【図15】フィルタクランプを閉じて、付属バッグクランプを開いた後の図14の構造体を示す。このとき、第1の体液受容容器にはまだ圧力は加えられていない。
【図16】第1の体液受容容器に圧力を加えて、過剰ガスを付属バッグに移動させて、付属バッグクランプを閉じた後の図15の構造体を示す。
【図17】図16と一部分において類似する図であり、過剰ガス及び生体液を付属バッグに移動させて、付属バッグクランプを閉じた後を示す。
【図18】第1の体液受容容器及び付属バッグを、装置の残りの部分から無菌切断によって切断した状態を示す。
【図19】本発明の変形例を示す正面図である。
【図20】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図20A】図20と実質的に同一であるが、採取ラインの無菌切断されていた部分に閉鎖可能ベントが設けられた場合を示す。
【図21】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図21A】図21と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブの他端に設けられた場合を示す。
【図21B】図21と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブのいずれの端部にも設けられていない場合を示す。
【図22】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図22A】図22と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブの他端に設けられた場合を示す。
【図22B】図22と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブのいずれの端部にも設けられていない場合を示す。
【図23】本発明のさらなる変形例を示す正面図である。
【図23A】図23と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブの他端に設けられた場合を示す。
【図23B】図23と実質的に同一であるが、カニューレが第3のチューブのいずれの端部にも設けられていない場合を示す。
【図24】血漿バッグ及び付属バッグを備えた本発明の変形例を示す正面図である。
【図25】血漿バッグ、第1の付属バッグ、及び第2の付属バッグを備えた本発明の変形例を示す正面図である。
【図26】予充填又は過剰ガスを充填した迂回バッグを備えた本発明の変形例を示す正面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を、前記第1の生体液容器から前記生物学的機能装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項2】
白血球除去システムを使用して白血球含有生体液を処理する方法であって、
前記白血球除去システムが、
所定の量の白血球含有生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された白血球除去装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記白血球含有生体液を、前記第1の生体液容器から前記白血球除去装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項3】
生体液を処理する方法であって、
a)予め定められた量のガスを、第1の生体液受容容器から、白血球除去装置を通して、白血球リッチ生体液を含む第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記白血球リッチ生体液を、前記第1の生体液容器から白血球除去装置を通過させて前記第1の生体液受容容器へ移動させるステップとを含む方法。
【請求項4】
予充填可能な液体フィルタ処理システムであって、
a)入口、出口、及び前記入口と出口との間に介在された多孔質媒体を有する生物学的機能装置と、
b)その一端が前記生物学的機能装置の前記入口と流体的に連通された第1のチューブと、
c)その一端が前記生物学的機能装置の前記出口と流体的に連通された第2のチューブと、
d)前記第2のチューブの他端と流体的に連通された第1の生体液受容容器と、
e)前記第1の生体液受容容器に予充填された、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスとを備えるシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、
a)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液受容容器内の前記予充填されたガスと流体的に連通され、かつ前記第2の端部が閉じられている、少なくとも1つの採取チューブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムであって、
a)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液受容容器内の前記予充填されたガスと流体的に連通され、かつ前記第2の端部が閉鎖可能ベントによって閉じられている、少なくとも1つの採取チューブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項4に記載のシステムであって、
a)少なくとも1つの付属バッグと、
b)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記少なくとも1つの第1の生体液受容容器の内部と流体的に連通され、かつ前記第2の端部が前記少なくとも1つの付属バッグの内部と流体的に連通された、少なくとも1つの第3のチューブとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第3のチューブの前記第1の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第3のチューブの前記第2の端部と前記少なくとも1つの付属バッグとの間に介在された受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第2のチューブの前記第2の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された第2の受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項8に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第2のチューブの前記第2の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された第2の受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第2のチューブの前記第2の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された第2の受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第1のチューブの前記第1の端部に連結されたスパイクをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項11に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第1のチューブの前記第1の端部に連結されたスパイクをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第1のチューブの前記第1の端部に連結されたスパイクをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項4に記載のシステムであって、
a)前記予充填されたガスの体積は、完全に空にした状態のベントレス生体液処理システムに含まれる残流空気の体積以上であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項4に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液受容容器に連結された血漿バッグをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液受容容器に連結された第1の追加バッグをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
a)前記第1の追加バッグに連結された第2の追加バッグをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、
a)前記第1のチューブの他端と流体的に連通された第1の生体液容器と、
b)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液容器に連結されたドナーラインとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、
a)前記ドナーラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に連結された採取装置をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20に記載のシステムであって、
a)前記ドナーラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に連結された第2の採取装置をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、
前記第2の採取装置は、
a)前記ドナーラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在された採取用Y字コネクタと、
b)前記採取用Y字コネクタの一方の分岐に連結された採取カニューレと、
c)前記採取カニューレを開いた場合に前記ドナーラインと流体的に連通される迂回バッグと、
d)前記採取カニューレを開いた場合に前記ドナーラインと流体的に連通される血液採取装置とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液容器に収容された抗凝血剤をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項23に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液受容容器の代わりに又は前記第1の生体液受容容器に加えて、前記迂回バッグ内に充填された予充填ガスをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
ベントレス生体液処理システムであって、
a)入口、出口、及び前記入口と出口との間に介在された多孔質媒体を有する生物学的機能装置と、
b)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の端部が前記生物学的機能装置の前記入口と流体的に連通された第1のチューブと、
c)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記生物学的機能装置の前記出口と流体的に連通された第2のチューブと、
d)前記第1のチューブの前記第1の端部と流体的に連通された第1の生体液容器と、
e)前記第2のチューブの前記第2の端部と流体的に連通された第1の生体液受容容器と、
f)前記第1の生体液受容容器に予充填されたガスとを含むシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液容器に収容された血液をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液容器に収容された抗凝血剤をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、
a)前記生物学的機能装置の下流において、前記第2のチューブに設けられたフィルタクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項26に記載のシステムであって、
a)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された第3のチューブと、
b)前記第3のチューブの前記第2の端部と流体的に連通された付属バッグとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、
a)前記第3のチューブの前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた付属バッグクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムであって、
a)前記生物学的機能装置の下流において、前記第2のチューブに設けられたフィルタクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)第1の生体液容器の周りに真空を生成することによって、前記予充填されたガスを前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を前記第1の生体液容器から前記機能的生物医学装を通過させて移動させ、前記生体液を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む方法。
【請求項34】
処理システムを使用して流体を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記生物学的機能装置を湿潤することなく、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を前記第1の生体液容器から前記機能的生物医学装を通過させて移動させ、フィルタ処理された流体を収集するステップとを含む方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
前記流体が液体であることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記流体が生体液であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記生体液が血液であり、前記生物学的機能装置が白血球除去装置であることを特徴とする方法。
【請求項38】
ベントレスで予充填可能な流体処理システムであって、
a)入口、出口、及び前記入口と出口との間に介在された多孔質媒体を有する生物学的機能装置と、
b)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の端部が前記生物学的機能装置の前記入口と流体的に連通された第1のチューブと、
c)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記生物学的機能装置の前記出口と流体的に連通された第2のチューブと、
d)前記第2のチューブの前記第2の端部と流体的に連通された第1の生体液受容容器と、
e)前記第1の生体液受容容器に予充填された、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスとを備えるシステム。
【請求項39】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記第1の生体液容器へ導入するステップと、
b)前記生体液を前記第1の生体液容器から前記機能的生物医学装を通過させて移動させ、白血球が除去された生体液を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む方法。
【請求項40】
処理システムを使用して流体を処理する方法であって、
前記処理システムが、
第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流側に位置する第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された流体フィルタ処理装置とを有し、
a)予め定められた量の予充填ガスを、前記第1の生体液容器へ注入するステップと、
b)前記流体を前記第1の生体液容器から前記流体フィルタ処理装置を通過させて移動させ、フィルタ処理された流体を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、
前記流体が液体であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、
前記流体が生体液であることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、
前記生体液が血液又は血液製剤であり、前記流体フィルタ処理装置が白血球除去装置であることを特徴とする方法。
【請求項44】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
少なくとも1つの第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された、少なくとも1つの第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された少なくとも1つの第1の生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記少なくとも1つの第1の生体液受容容器から前記少なくとも1つの第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を前記少なくとも1つの第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて移動させ、フィルタ処理された流体を前記第1の生体液受容容器で収集するステップとを含む方法。
【請求項45】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
フィルタ処理する流体を収容した1つの第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流側に位置する1つの第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)当該システムの液抜きを行うのに十分な量の予充填されたガスを、前記第1の生体液受容容器へ注入するステップと、
b)前記生体液を、前記少なくとも1つの第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて前記第1の生体液受容容器へ移動させるステップとを含む方法。
【請求項46】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器に連結され、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された迂回バッグと、
第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記迂回バッグから前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)血液を前記第1の生体液容器へ導入するステップと、
c)前記血液を前記第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項47】
処理システムを使用して流体を処理する方法であって、
前記処理システムが、
第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器に連結され、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された迂回バッグと、
第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)血液を前記第1の生体液容器へ導入するステップと、
b)前記予充填されたガスを、前記迂回バッグから前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
c)前記血液を前記第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項1】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を、前記第1の生体液容器から前記生物学的機能装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項2】
白血球除去システムを使用して白血球含有生体液を処理する方法であって、
前記白血球除去システムが、
所定の量の白血球含有生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された白血球除去装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記白血球含有生体液を、前記第1の生体液容器から前記白血球除去装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項3】
生体液を処理する方法であって、
a)予め定められた量のガスを、第1の生体液受容容器から、白血球除去装置を通して、白血球リッチ生体液を含む第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記白血球リッチ生体液を、前記第1の生体液容器から白血球除去装置を通過させて前記第1の生体液受容容器へ移動させるステップとを含む方法。
【請求項4】
予充填可能な液体フィルタ処理システムであって、
a)入口、出口、及び前記入口と出口との間に介在された多孔質媒体を有する生物学的機能装置と、
b)その一端が前記生物学的機能装置の前記入口と流体的に連通された第1のチューブと、
c)その一端が前記生物学的機能装置の前記出口と流体的に連通された第2のチューブと、
d)前記第2のチューブの他端と流体的に連通された第1の生体液受容容器と、
e)前記第1の生体液受容容器に予充填された、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスとを備えるシステム。
【請求項5】
請求項4に記載のシステムであって、
a)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液受容容器内の前記予充填されたガスと流体的に連通され、かつ前記第2の端部が閉じられている、少なくとも1つの採取チューブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項4に記載のシステムであって、
a)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液受容容器内の前記予充填されたガスと流体的に連通され、かつ前記第2の端部が閉鎖可能ベントによって閉じられている、少なくとも1つの採取チューブをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項4に記載のシステムであって、
a)少なくとも1つの付属バッグと、
b)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記少なくとも1つの第1の生体液受容容器の内部と流体的に連通され、かつ前記第2の端部が前記少なくとも1つの付属バッグの内部と流体的に連通された、少なくとも1つの第3のチューブとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第3のチューブの前記第1の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項7に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第3のチューブの前記第2の端部と前記少なくとも1つの付属バッグとの間に介在された受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項7に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第2のチューブの前記第2の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された第2の受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項8に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第2のチューブの前記第2の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された第2の受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項9に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第2のチューブの前記第2の端部と前記第1の生体液受容容器との間に介在された第2の受容バッグカニューレをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第1のチューブの前記第1の端部に連結されたスパイクをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項11に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第1のチューブの前記第1の端部に連結されたスパイクをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、
a)前記少なくとも1つの第1のチューブの前記第1の端部に連結されたスパイクをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項4に記載のシステムであって、
a)前記予充填されたガスの体積は、完全に空にした状態のベントレス生体液処理システムに含まれる残流空気の体積以上であることを特徴とするシステム。
【請求項17】
請求項4に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液受容容器に連結された血漿バッグをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液受容容器に連結された第1の追加バッグをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
a)前記第1の追加バッグに連結された第2の追加バッグをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムであって、
a)前記第1のチューブの他端と流体的に連通された第1の生体液容器と、
b)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液容器に連結されたドナーラインとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項20に記載のシステムであって、
a)前記ドナーラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に連結された採取装置をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項20に記載のシステムであって、
a)前記ドナーラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に連結された第2の採取装置をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
請求項22に記載のシステムであって、
前記第2の採取装置は、
a)前記ドナーラインの前記第1の端部と前記第2の端部との間に介在された採取用Y字コネクタと、
b)前記採取用Y字コネクタの一方の分岐に連結された採取カニューレと、
c)前記採取カニューレを開いた場合に前記ドナーラインと流体的に連通される迂回バッグと、
d)前記採取カニューレを開いた場合に前記ドナーラインと流体的に連通される血液採取装置とをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項24】
請求項21に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液容器に収容された抗凝血剤をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項25】
請求項23に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液受容容器の代わりに又は前記第1の生体液受容容器に加えて、前記迂回バッグ内に充填された予充填ガスをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項26】
ベントレス生体液処理システムであって、
a)入口、出口、及び前記入口と出口との間に介在された多孔質媒体を有する生物学的機能装置と、
b)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の端部が前記生物学的機能装置の前記入口と流体的に連通された第1のチューブと、
c)少なくとも第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記生物学的機能装置の前記出口と流体的に連通された第2のチューブと、
d)前記第1のチューブの前記第1の端部と流体的に連通された第1の生体液容器と、
e)前記第2のチューブの前記第2の端部と流体的に連通された第1の生体液受容容器と、
f)前記第1の生体液受容容器に予充填されたガスとを含むシステム。
【請求項27】
請求項26に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液容器に収容された血液をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27に記載のシステムであって、
a)前記第1の生体液容器に収容された抗凝血剤をさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項28に記載のシステムであって、
a)前記生物学的機能装置の下流において、前記第2のチューブに設けられたフィルタクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項26に記載のシステムであって、
a)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された第3のチューブと、
b)前記第3のチューブの前記第2の端部と流体的に連通された付属バッグとをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項30に記載のシステムであって、
a)前記第3のチューブの前記第1の端部と前記第2の端部との間に設けられた付属バッグクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項31に記載のシステムであって、
a)前記生物学的機能装置の下流において、前記第2のチューブに設けられたフィルタクランプをさらに備えることを特徴とするシステム。
【請求項33】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)第1の生体液容器の周りに真空を生成することによって、前記予充填されたガスを前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を前記第1の生体液容器から前記機能的生物医学装を通過させて移動させ、前記生体液を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む方法。
【請求項34】
処理システムを使用して流体を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記生物学的機能装置を湿潤することなく、前記第1の生体液受容容器から前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を前記第1の生体液容器から前記機能的生物医学装を通過させて移動させ、フィルタ処理された流体を収集するステップとを含む方法。
【請求項35】
請求項34に記載の方法であって、
前記流体が液体であることを特徴とする方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、
前記流体が生体液であることを特徴とする方法。
【請求項37】
請求項36に記載の方法であって、
前記生体液が血液であり、前記生物学的機能装置が白血球除去装置であることを特徴とする方法。
【請求項38】
ベントレスで予充填可能な流体処理システムであって、
a)入口、出口、及び前記入口と出口との間に介在された多孔質媒体を有する生物学的機能装置と、
b)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第2の端部が前記生物学的機能装置の前記入口と流体的に連通された第1のチューブと、
c)第1の端部及び第2の端部を有し、前記第1の端部が前記生物学的機能装置の前記出口と流体的に連通された第2のチューブと、
d)前記第2のチューブの前記第2の端部と流体的に連通された第1の生体液受容容器と、
e)前記第1の生体液受容容器に予充填された、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスとを備えるシステム。
【請求項39】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
所定の量の生体液を含む第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記第1の生体液容器へ導入するステップと、
b)前記生体液を前記第1の生体液容器から前記機能的生物医学装を通過させて移動させ、白血球が除去された生体液を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む方法。
【請求項40】
処理システムを使用して流体を処理する方法であって、
前記処理システムが、
第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流側に位置する第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された流体フィルタ処理装置とを有し、
a)予め定められた量の予充填ガスを、前記第1の生体液容器へ注入するステップと、
b)前記流体を前記第1の生体液容器から前記流体フィルタ処理装置を通過させて移動させ、フィルタ処理された流体を前記第1の生体液受容容器に収集するステップとを含む方法。
【請求項41】
請求項40に記載の方法であって、
前記流体が液体であることを特徴とする方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、
前記流体が生体液であることを特徴とする方法。
【請求項43】
請求項42に記載の方法であって、
前記生体液が血液又は血液製剤であり、前記流体フィルタ処理装置が白血球除去装置であることを特徴とする方法。
【請求項44】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
少なくとも1つの第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流に位置し、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された、少なくとも1つの第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された少なくとも1つの第1の生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記少なくとも1つの第1の生体液受容容器から前記少なくとも1つの第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)前記生体液を前記少なくとも1つの第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて移動させ、フィルタ処理された流体を前記第1の生体液受容容器で収集するステップとを含む方法。
【請求項45】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
フィルタ処理する流体を収容した1つの第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器の下流側に位置する1つの第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)当該システムの液抜きを行うのに十分な量の予充填されたガスを、前記第1の生体液受容容器へ注入するステップと、
b)前記生体液を、前記少なくとも1つの第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて前記第1の生体液受容容器へ移動させるステップとを含む方法。
【請求項46】
処理システムを使用して生体液を処理する方法であって、
前記処理システムが、
第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器に連結され、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された迂回バッグと、
第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)前記予充填されたガスを、前記迂回バッグから前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
b)血液を前記第1の生体液容器へ導入するステップと、
c)前記血液を前記第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【請求項47】
処理システムを使用して流体を処理する方法であって、
前記処理システムが、
第1の生体液容器と、
前記第1の生体液容器に連結され、当該システムの液抜きを行うのに十分な量のガスが予充填された迂回バッグと、
第1の生体液受容容器と、
前記第1の生体液容器及び前記第1の生体液受容容器と流体的に連通された生物学的機能装置とを有し、
a)血液を前記第1の生体液容器へ導入するステップと、
b)前記予充填されたガスを、前記迂回バッグから前記第1の生体液容器へ移動させるステップと、
c)前記血液を前記第1の生体液容器から前記流体処理装置を通過させて移動させるステップとを含む方法。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図20A】
【図21】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図14A】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図20A】
【図21】
【図21A】
【図21B】
【図22】
【図22A】
【図22B】
【図23】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【公表番号】特表2009−517126(P2009−517126A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542307(P2008−542307)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/037287
【国際公開番号】WO2007/064387
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508157819)ヘメラス・メディカル・エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】HEMERUS MEDICAL, LLC
【住所又は居所原語表記】5000 Township Parkway, Saint Paul, MN 55110 (US)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/037287
【国際公開番号】WO2007/064387
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(508157819)ヘメラス・メディカル・エルエルシー (5)
【氏名又は名称原語表記】HEMERUS MEDICAL, LLC
【住所又は居所原語表記】5000 Township Parkway, Saint Paul, MN 55110 (US)
【Fターム(参考)】
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