説明

二フッ化カルボニルの製造方法

【課題】半導体用エッチングガスや半導体用クリーニングガスとして注目される重要な化合物である二フッ化カルボニルを、高純度で効率よく、安価で安全に製造する方法の提供を目的としている。
【解決手段】本発明の二フッ化カルボニルの製造方法は、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二フッ化カルボニルの製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、半導体用エッチングガス、半導体用クリーニングガス等として注目されている二フッ化カルボニルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二フッ化カルボニル(COF2)は、半導体用エッチングガスや半導体用クリーニング
ガス等として注目されている重要な化合物である。従来、この二フッ化カルボニルの製造方法および精製方法としては、以下の特許文献等に記載されている方法が知られている。
【0003】
(1)国際公開2005−56472号公報(特許文献1)には、一酸化炭素とフッ素ガスを、フッ化水素あるいはフッ化カルボニルの希釈ガスと共に、反応容器内に連続的に供給し、二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
【0004】
(2)特開2004−262679号公報(特許文献2)には、ホスゲン(COCl2
)とフッ化水素を第1反応装置で反応させ、得られた二フッ化カルボニル、塩化水素及びクロロフルオロカルボニル(COClF)の混合物から二フッ化カルボニルと塩化水素を蒸留により除去してクロロフルオロカルボニルを生成する第一工程と、第一工程で得られたクロロフルオロカルボニルを、触媒を含む第2反応装置に供給して不均化反応を行い、得られた反応混合物からホスゲンとクロロフルオロカルボニルを除去し、二フッ化カルボニルを回収する第二工程を用いて、二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
【0005】
(3)日本国特許第3707917号公報(特許文献3)には、二酸化炭素とフッ素ガスの反応による二フッ化カルボニルを製造する方法が記載されている。
【0006】
(4)特開2005−187312号公報(特許文献4)には、四フッ化珪素を含む二フッ化カルボニルを、アルカリ金属フッ化物またはアルカリ土類金属フッ化物と接触させて四フッ化珪素を除去する方法が記載されている。
【0007】
(5)特開2005−154203号公報(特許文献5)には、炭酸ガスと二フッ化カルボニルを含む混合ガスを、膜分離装置に供給して炭酸ガスを分離する方法が記載されている。
【0008】
(6)特開2003−221213号公報(特許文献6)には、トリフルオロメチルハイポフルオライト(CF3OF)を不純物として含む二フッ化カルボニルを、活性炭と接
触させて、CF3OFを除去する方法が記載されている。
【0009】
しかしながら、(1)の方法は、実際には、反応を高温で行う必要があるため、副生成物としてテトラフルオロメタンが生成してしまい、また、高価なフッ素ガスを使用するなどの課題を有している。
【0010】
(2)の方法では、クロロフルオロカルボニルの不均化反応を利用して、二フッ化カルボニルを製造しているため、二フッ化カルボニルの生産効率が悪い。また、二フッ化カルボニルと塩化水素は極めて沸点が近似しており、通常の蒸留分離操作では、塩化水素を分離することが極めて困難なため、この方法では、二フッ化カルボニルのロスが多くなり、高純度の二フッ化カルボニルを高収率で得ることができない。
【0011】
(3)の方法は、原料である二酸化炭素と二フッ化カルボニルの沸点が近似しており、高純度の二フッ化カルボニルを得ることができず、また、二フッ化カルボニルの収率が50%程度と低いこと等、工業的に課題を有している。
【0012】
(4)〜(6)の精製方法は、これらの製法で副生する不純物の除去、精製を目的としているが、反応原料を工夫してこれらの副生を抑えることや反応をより低温で行うこと等、工業的に効率よく、安価かつ有利な精製方法の提供として、課題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】国際公開2005−56472号公報
【特許文献2】特開2004−262679号公報
【特許文献3】日本国特許第3707917号公報
【特許文献4】特開2005−187312号公報
【特許文献5】特開2005−154203号公報
【特許文献6】特開2003−221213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、半導体用エッチングガスや半導体用クリーニングガスとして注目され、重要な化合物である二フッ化カルボニルを、高純度で効率よく、安価で安全に製造する方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させることで、効率よく高純度な二フッ化カルボニルを安価で安全に製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0016】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[20]に関する。
【0017】
[1]一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させることを特徴とする二フッ化カルボニルの製造方法。
【0018】
[2]前記の触媒が、活性炭であることを特徴とする[1]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0019】
[3]前記の触媒が、活性炭および酸化クロムを含む触媒であることを特徴とする[1]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0020】
[4]前記の反応が、単一反応領域で行われることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0021】
[5]前記単一反応領域が、反応器で構成されており、該反応器の上部より一酸化炭素と塩素が供給され、該反応器の中央部付近よりフッ化水素が供給されることを特徴とする[4]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0022】
[6]前記単一反応領域が、反応器で構成されており、該反応器の中央部付近より下層に、触媒として酸化クロムを含む触媒を充填し、該酸化クロムを含む触媒の上層に、触媒
として活性炭を充填することを特徴とする[4]または[5]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0023】
[7]一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物に、塩化水素と共沸混合物を形成し、かつ二フッ化カルボニルと共沸混合物を形成しない有機化合物を添加する工程を含むことを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0024】
[8]一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物Aに、塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物を添加、混合して、混合物Bを調製し、前記混合物Bを蒸留して二フッ化カルボニルを分離する工程を含むことを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0025】
[9]一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物Aを蒸留して、二フッ化カルボニルおよび塩化水素を含む混合物A’を生成させ、前記混合物A’に、塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物を添加、混合し、混合物B’を調製し、前記混合物B'を蒸留して二フッ化カルボニルを分離する工程を含むことを特徴
とする[1]〜[7]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0026】
[10]前記の有機化合物が、エーテル類、ハイドロフルオロカーボン類およびパーフルオロカーボン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[7]〜[9]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0027】
[11]前記のエーテル類が、ジメチルエーテルであることを特徴とする請求項[10]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0028】
[12]前記のハイドロフルオロカーボン類が、フルオロメタン、トリフルオロメタンおよびペンタフルオロエタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[10]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0029】
[13]前記のパーフルオロカーボン類が、ヘキサフルオロエタンであることを特徴とする[10]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0030】
[14]前記単一反応領域が、直列に結ばれた2つ以上の反応領域で構成されていることを特徴とする[4]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0031】
[15]前記単一反応領域が、第一反応器と、該第一反応器に直列に結ばれた第二反応器とで構成されており、第一反応器に一酸化炭素と塩素を供給して、触媒の存在下で反応させ、得られた反応生成物の少なくとも一部と、フッ化水素とを、第二反応器に導入して、触媒の存在下で反応させることを特徴とする[14]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0032】
[16]前記の第一反応器および第二反応器で用いる触媒が、共に活性炭であることを特徴とする[15]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0033】
[17]前記の第一反応器で用いる触媒が活性炭であり、前記の第二反応器で用いる触媒が酸化クロムを含む触媒であることを特徴とする[15]に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0034】
[18]前記の反応が、50〜400℃の温度で行なわれることを特徴とする[1]〜[17]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0035】
[19]前記の反応が、0.05〜0.6MPaの圧力で行なわれることを特徴とする[1]〜[18]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【0036】
[20]前記の一酸化炭素、塩素およびフッ化水素のモル比が、一酸化炭素/塩素/フッ化水素=1.0〜1.4/1.0/1.9〜6.0であることを特徴とする[1]〜[19]のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【発明の効果】
【0037】
本発明の製造方法によれば、高純度の二フッ化カルボニルを効率よく簡便に、かつ安価で製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の二フッ化カルボニルの製造方法について具体的に説明する。
【0039】
本発明の二フッ化カルボニルの製造方法は、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させる工程を含む。特に本発明では、後述する単一の反応領域にて、前記反応をコントロールして行うことができるため、高純度の二フッ化カルボニルを効率よく簡便に、かつ安価で製造することができる。本発明に係る製造方法としては、たとえば、後述する工程(1)または(1’)が挙げられる。
【0040】
また、本発明では、より高純度の二フッ化カルボニルを高収率で得るために、工程(1)と共に、後述する工程(2)と(3)を含むことが好ましく、また、二フッ化カルボニルの精製を効率的に行える点で、工程(1’)と共に、後述する工程(2’)と(3’)を含むことが、より好ましい。
【0041】
以下、本発明の製造方法およびこれらの工程について詳述する。
【0042】
1.工程(1)
工程(1)は、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させる工程を含む。
【0043】
本発明の特徴の一つは、ガス状の、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を同時に単一反応領域に供給して、反応を行い、主として二フッ化カルボニルを得ることにある。本発明において、単一反応領域とは、反応ゾーン(触媒充填層または反応領域と称すこともある)が一つで構成されるシステムを指すものである。このように本発明では、単一反応領域にて、高純度の二フッ化カルボニルを製造できるため、非常に効率がよく、簡便であり、経済的利点も大きい。
【0044】
この反応ゾーンへの原料の供給方法としては、(a)一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を反応ゾーンの入口より同時に供給する方法、(b)一酸化炭素および塩素を反応ゾーンの入口より供給し、反応ゾーンの中央部付近よりフッ化水素を供給する方法を選択することができる。単一反応領域では以下に示す反応(式1および式2)が起こり、目的物である二フッ化カルボニルを得ることができる。なお、本発明においては、副生物として発生する塩化水素を、たとえば、工程(1)に続いて後述する工程(2)および(3)を用いて、または工程(1’)に続いて後述する工程(2’)および(3’)を用いて、除去することで、より高純度の二フッ化カルボニルを高収率で製造することができる。
【0045】
CO + Cl2 → COCl2 (式1)
COCl2 + 2HF → COF2 + 2HCl (式2)
反応ゾーンに充填する触媒は、単一の触媒または異なる2種類を選択することができ、例えば、単一の触媒としては活性炭、異なる2種類の触媒としては活性炭および酸化クロムを含む触媒を用いることができる。活性炭は種々公知のものを用いることができる。また、酸化クロムを含む触媒は、たとえば、高純度活性アルミナなどの担体に、塩化クロム水溶液などのハロゲン化クロム水溶液を吸収させることで得ることができる。
【0046】
単一の触媒を用いて、単一反応ゾーンで上記の(式1)および(式2)で示した反応を行う場合は、活性炭触媒を用いることが、触媒の前処理が不要であるという点でより好ましい。この場合、反応器に活性炭を充填し、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を導入する。導入方法としては、(a)反応器入口より一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を同時に導入する方法、(b)反応器上部の入口より一酸化炭素および塩素を導入し、反応器の中央部付近よりフッ化水素を導入する方法、のいずれかを選択することができる。
【0047】
(a)の方法では、最初の前記の(式1)の反応が大きな発熱を伴うため、同時に導入するフッ化水素が希釈ガスとして有効に作用する等のメリットを有する。
【0048】
(b)の方法では、前記(式1)および(式2)の反応を分割することにより、反応温度や空間速度(SV)を制御でき反応の最適化が図れる等のメリットを有する。
【0049】
反応温度は、(a)および(b)の方法とも50〜400℃の温度範囲が好ましい。より好ましくは、上記(式1)の反応が50〜400℃であり、前記(式2)の反応が100〜250℃の温度範囲である。どちらの反応も反応温度が50℃未満では、反応が進行しないおそれがあり、400℃を超えると、副生成物が生成し収率や選択率が低下するおそれがあるため好ましくない。
【0050】
反応圧力は、(a)および(b)の方法とも0.05〜0.6MPaの圧力範囲が好ましく、0.6MPaを超える圧力では設備費等が大きくなる等のデメリットを有するため好ましくない。
【0051】
また、前記の供給原料である一酸化炭素、塩素およびフッ化水素の供給モル比は、(a)および(b)の方法とも1.0〜1.4/1.0/1.9〜6.0の範囲内で反応を実施することが好ましい。特にフッ化水素の供給はモル比が重要であり、(a)の場合は、(式1)の反応で発生する反応熱を除去して反応温度を制御するためにも、塩素1.0モルに対して、3.0〜6.0モルの範囲内が好ましく、(b)の場合は、(式2)の反応で発生する反応熱が多くないため反応温度を制御する必要はなく、モル比は、塩素1.0モルに対して1.9〜4.0モルの範囲内が好ましい。なお、(b)の方法において、(式1)の反応において、反応温度が高くなる場合には、全フッ化水素の供給量が、塩素1.0モルに対して、6.0モルを超えない範囲で、入口からフッ化水素を供給することが好ましい。
【0052】
また、単一反応領域に異なる触媒を充填して前記の反応を実施することも可能である。
【0053】
この場合、原料の導入口は反応器の上部に、出口は反応器の中央部より下部に配置し、反応器の上部に活性炭触媒を充填し、中央部付近より下部に酸化クロムを含む触媒を充填し反応を行うことが、(式1)および(式2)の反応を効率的に行うという点で好ましい。この場合も、前記に示した(a)および(b)の原料導入方法、それに伴う反応温度、圧力や供給モル比の範囲内で反応が実施できる。なお、(b)の方法において、活性炭お
よび酸化クロムを含む触媒の両方にフッ化水素を供給できるように、フッ化水素の導入口を配置することが、反応温度を制御するという点で好ましい。
【0054】
また、別法として、単一反応領域を直列に結ばれた2つ以上の反応ゾーンに分割、構成して反応を実施することも、(式1)および(式2)の反応において、それぞれ独立した運転条件を設定できるという点で好ましく選択できる。
【0055】
このような構成の一例としては、次に示すように、単一反応領域が、第一反応器と、第一反応器に直列に結ばれた第二反応器との2つの反応器で構成されている場合が挙げられる。
【0056】
第一反応器では、該反応器に一酸化炭素と塩素を導入して、触媒の存在下で、前記(式1)の反応を実施する。触媒としては、活性炭を充填し、反応温度としては、50〜400℃の温度範囲で実施することが好ましい。より好ましくは、100〜300℃がよく、反応熱を抑えるため冷却設備等の設置や多管式(チューブ)反応器等を設けることが望ましい。反応圧力は、0.05〜0.6MPaが望ましく、より好ましくは0.1〜0.5MPaがよい。0.6MPaを超えると、設備費等が大きくなるなどのデメリットを有するため好ましくない。原料である一酸化炭素および塩素の供給モル比は、一酸化炭素/塩素=1.0〜1.4/1.0の範囲内で実施することが望ましい。
【0057】
上記の第一反応器の出口ガスは、主として前記(式1)の反応により、ホスゲン(COCl2)を含むガスであり、この出口ガスの少なくとも一部を、第二反応器に導く。第二
反応器の入口よりフッ化水素が導入され、第一反応器の出口ガスとフッ化水素とが混合され、第二反応器に導入される。導入されるホスゲンとフッ化水素のモル比は、ホスゲン/フッ化水素=1.0/1.9〜6.0が好ましく、より好ましくは1.9〜4.0が望ましい。ホスゲンに対するフッ化水素のモル比が、6.0を超えると、反応器が大きくなるなど設備費が大きくなり好ましくない。第二反応器には、活性炭か、または、酸化クロムを含む触媒が充填され、好ましくは、(式2)の反応を効率的に行うという点で、酸化クロムを含む触媒である。酸化クロムを含む触媒は、使用する前段でフッ化水素を用いて活性化処理を実施しておくことが望ましい。第二反応器の反応温度は50〜400℃が望ましく、より好ましくは100〜250℃の温度範囲がよい。50℃未満では、反応が進行しないおそれがあり、400℃を超えると、副生成物が増加し、収率や選択率が低下するおそれがあり好ましくない。反応圧力は、0.05〜0.6MPaが望ましく、より好ましくは0.1〜0.5MPaがよい。また、第二反応器の反応圧力は、第一反応器より低い圧力を選択することが、設備費等を考慮すると好ましい。
【0058】
2.工程(2)
工程(2)および後述する工程(3)は、副生物として発生する塩化水素を効率的に除去するための工程である。本発明では、前記工程(1)に続いて、工程(2)と後述する工程(3)とを行うことで、より高純度の二フッ化カルボニルを高収率で得ることができるため、好ましい。
【0059】
工程(2)は、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含むガス状の混合物Aに、塩化水素と共沸関係にあり且つ目的物である二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物を添加、混合して、混合物Bを調製する工程であれば、特に限定されない。
【0060】
また、工程(2)では、前記混合物Aに含まれる塩化水素および二フッ化カルボニルが、前記有機化合物と均一かつ効率的に混合することができるという観点から、ガス状の混合物Aを液化させた後、工程(2)において、液状の混合物Aと有機化合物とを混合し、
液状の混合物Bを調製することが好ましい。ガス状の混合物Aを液化させる方法としては、従来公知の手段を用いて、ガス状混合物Aを冷却することにより液化させる方法が挙げられる。
【0061】
塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物としては、エーテル類、ハイドロフルオロカーボン類およびパーフルオロカーボン類からなる群より選ばれる少なくとも一種であることが、抽出効率が高く、沸点が適当な範囲にあるため回収が容易であるという点で好ましい。エーテル類としては、例えば、ジメチルエーテルが好ましい。またハイドロフルオロカーボン類として、例えば、フルオロメタン、トリフルオロメタン、ペンタフルオロエタンが好ましい。また、パーフルオロカーボン類としては、例えば、ヘキサフルオロエタンが好ましい。
【0062】
例えば、上記有機化合物としてジメチルエーテルを用いて、オスマー式気液平衡測定器を用いて二フッ化カルボニルとジメチルエーテルとの気液平衡を測定すると、共沸関係は存在しないことが分かり、この場合全組成領域で二フッ化カルボニルとジメチルエーテルとの分離は可能である。
【0063】
一方、オスマー式気液平衡測定器を用いて塩化水素とジメチルエーテルとの気液平衡を測定すると、ジメチルエーテル/塩化水素=56/44の質量比において最高共沸点が存在していることが分かる。
【0064】
このように、二フッ化カルボニルとジメチルエーテルとは共沸関係が存在せず、塩化水素とジメチルエーテルとは共沸関係が存在することを利用し、共沸蒸留および抽出蒸留によって、工程(1)で得られた二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物から、二フッ化カルボニルと塩化水素とを分離することができる。
【0065】
同様に、上記有機化合物としてヘキサフルオロエタンを用いて、オスマー式気液平衡測定器を用いて二フッ化カルボニルとヘキサフルオロエタンの気液平衡を測定すると、共沸関係は存在しないことが分かり、この場合、全組成領域で二フッ化カルボニルとヘキサフルオロエタンとの分離は可能である。
【0066】
一方、オスマー式気液平衡測定器を用いて塩化水素とヘキサフルオロエタンの気液平衡を測定すると、ヘキサフルオロエタン/塩化水素=68/32の質量比において最低共沸点が存在していることが分かる。
【0067】
つまり、二フッ化カルボニルとヘキサフルオロエタンとは共沸関係が存在せず、塩化水素とヘキサフルオロエタンとは共沸関係が存在することを利用し、たとえば、後述する共沸蒸留や抽出蒸留により、二フッ化カルボニルと塩化水素との分離が可能となる。
【0068】
3.工程(3)
工程(3)は、前記工程(2)において調製された混合物Bを蒸留して二フッ化カルボニルを分離する工程であれば、特に限定されない。
【0069】
混合物Bから二フッ化カルボニルを分離するにあたり、公知の蒸留手段を使用することができ、蒸留手段により混合物Bから二フッ化カルボニルが分離される。例えば、混合物Bから目的物である二フッ化カルボニルを蒸留により分離する方法としては、前記工程(2)で得られた混合物Bを第一蒸留塔に導入し、低沸成分である二フッ化カルボニルは塔頂に、高沸成分である塩化水素/ジメチルエーテルの共沸混合物およびフッ化水素は塔底に、それぞれ分離することができる。
【0070】
第一蒸留塔の塔底から、塩化水素/ジメチルエーテルの共沸混合物およびフッ化水素を抜き出して、これらを第二蒸留塔に導入し、前記共沸混合物とフッ化水素とを分離することができ、フッ化水素を工程(1)に循環させて再利用することができる。また、第二蒸留塔から抜き出された前記共沸混合物に、アルカリ水溶液や水等を加えることにより、前記混合物から、ジメチルエーテルと塩化水素とを分離して、ジメチルエーテルを回収し、さらに脱水等によりジメチルエーテルを分離し、前記工程(2)に循環させて再利用することができる。
【0071】
4.工程(1’)、(2’)および(3’)
本発明では、以下の工程(1’)に続いて、工程(2’)と(3’)とを行うことが、高純度の二フッ化カルボニルを効率よく簡便に、かつ安価に製造することができるだけでなく、二フッ化カルボニルの精製をより効率的に行うことができるため、好ましい。
【0072】
工程(1’)は、一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含むガス状の混合物Aを、蒸留して二フッ化カルボニルおよび塩化水素を含む混合物A’を生成させる工程である。該反応の諸条件は、前記工程(1)と同様である。
【0073】
この工程では、前記混合物Aを生成した後、前記混合物Aを第一蒸留塔に導入して、塔頂より低沸成分である塩化水素/二フッ化カルボニルの共沸混合物を含む混合物A’を抜き出し、塔底より高沸成分であるフッ化水素を抜き出す。このように、フッ化水素を予め分離することは、二フッ化カルボニルの精製を効率的に行う点において有利である。
【0074】
工程(2’)は、前記混合物A’と、塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物とを混合して混合物B’を調製する工程である。
【0075】
工程(2’)では、工程(1’)で抜き出された混合物A’と、塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物とを混合して混合物B’を調製する工程であれば、特に限定されない。塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物は、上記の工程(2)に記載した有機化合物と同様であり、中でも、ジメチルエーテルが、抽出効率が高く、沸点が適当な範囲にあるため回収が容易であるという点で好ましく使用できる。
【0076】
また、混合物B’は、前述の混合物Bと同様に、ガス状の混合物A’を液化した後に前記有機化合物(たとえば、ジメチルエーテル)と混合し、液状とすることが好ましい。
【0077】
本発明において、工程(3’)は、前記混合物B’を蒸留して二フッ化カルボニルを分離する工程であれば、特に限定されない。工程(3’)では、前記混合物B’を第二蒸留塔に導入して、塔頂より二フッ化カルボニルを抜き出し、塔底より塩化水素/ジメチルエーテルの共沸混合物を抜き出す。
【0078】
尚、工程(1’)、工程(2’)および工程(3’)で使用する蒸留手段、混合手段などの製造条件は、工程(1)、工程(2)および工程(3)に記載の条件をそのまま用いることができる。
【0079】
5.工程(4)
本発明では、工程(3)または工程(3’)で分離された二フッ化カルボニルを、ゼオライトに接触させる工程(4)をさらに含むことが好ましい。
【0080】
この工程(4)により、工程(3)で分離された二フッ化カルボニルに含まれる水分、
酸分等を除去することができる。工程(4)における温度条件は、室温以下であることが好ましく、例えば−20〜30℃が好ましい。また、上記ゼオライトとしては、特に限定されないが、モレキュラシーブス3A、モレキュラシーブス4Aおよびモレキュラシーブス5Aからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0081】
[実施例]
以下、本発明の二フッ化カルボニルの製造方法について実施例を示して説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0082】
[触媒の調製例]
[触媒1(活性炭)]
市販の(株)ツルミコール製、商品名4GSを砕き、3mmの形状に揃えて使用した。
【0083】
反応器に充填する前段で、窒素ガス流通下で約150℃にて乾燥した。
【0084】
[触媒2(酸化クロムを含む触媒)]
塩化クロム(CrCl3・6H2O)8.2gを純水52mlに溶解して触媒液を調製した。次いで、この触媒液に球状の高純度活性アルミナ(日揮ユニバーサル(株)製品NST−3)100mlを浸漬して、アルミナに触媒液を全量吸収させた。触媒液を吸収したアルミナを90℃の湯浴上で乾燥・乾固し、空気循環型の熱風乾燥器内で、110℃で10時間乾燥して乾燥触媒を得た。さらに、乾燥触媒をガラス製焼成管に充填し、空気を空間速度(SV0)500Hr-1で流し、400℃まで昇温し、8時間焼成し触媒2を得た

【0085】
得られた触媒2を反応に使用する前段で、窒素で希釈したフッ化水素ガスおよび100体積%フッ化水素を用いて、処理温度150〜350℃、処理時間約10時間で触媒2の部分フッ素化処理を行った。
【0086】
[実施例1]
内径1インチ、長さ1mのインコネル(登録商標)600型反応器に、触媒1(活性炭)を50ml充填し、窒素ガスを流しながら、温度を150℃、圧力を0.2MPaに保持し、フッ化水素ガスを200ml/minで流し、次いで塩素ガスを50ml/min、一酸化炭素ガスを52ml/minで流しながら、窒素ガスの供給を停止し、反応を開始した。なお、一酸化炭素ガス、塩素ガスおよびフッ化水素ガスの供給モル比は、CO/Cl2/HF=52/50/200であった。
【0087】
反応開始から3時間後、反応器からの出口ガスを採取し、フーリエ変換赤外分光光度計(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製Nicolet;FT−IR;セル:CaF2)に導入して分析を行った結果を下記に示す。
【0088】
[出口ガスのFT−IR分析結果]
COF2 94.16体積%
COClF 2.23体積%
COCl2 0.31体積%
CO2 0.12体積%
CO 3.06体積%
その他 0.12体積%
次いで、酸分を分析した結果を以下に示す。なお、酸分は、FT−IRを用いて分析を行った。
【0089】
塩化水素 95.88ml/min
フッ化水素 102.82ml/min
[実施例2]
内径1インチ、長さ1mのインコネル(登録商標)600型反応器の下部に触媒2(酸化クロムを含む触媒)を50ml充填し、その上部に触媒1(活性炭)を25ml充填し、窒素ガスを流しながら温度を135℃、圧力を0.2MPaに保持し、反応器の上部からフッ化水素ガスを162ml/minで流し、次いで塩素ガス50ml/min、一酸化炭素ガスを50ml/minで流しながら、窒素ガスの供給を停止し反応を開始した。なお、一酸化炭素ガス、塩素ガスおよびフッ化水素ガスの供給モル比は、CO/Cl2
HF=50/50/162であった。
【0090】
反応開始から3時間後、反応器からの出口ガスを採取し、FT−IR(セル:CaF2
)に導入して分析を行った結果を下記に示す。
【0091】
[出口ガスのFT−IR分析結果]
COF2 97.32体積%
COClF 1.82体積%
COCl2 0.46体積%
CO2 0.16体積%
CO 0.13体積%
その他 0.11体積%
[実施例3]
内径1インチ、長さ1mのインコネル(登録商標)600型反応器の下部に触媒2(酸化クロムを含む触媒)を40ml充填し、その上部に触媒1(活性炭)を35ml充填した。
【0092】
触媒1と触媒2の境界付近である反応器中央部付近にフッ化水素の供給口を設け、反応器入口より窒素ガスを流しながら温度を135℃、圧力を0.2MPaに保持し、塩素ガスを50ml/min、一酸化炭素ガスを50ml/minで流しながら、次いで上記のフッ化水素の供給口よりフッ化水素ガスを162ml/minで流しながら、窒素ガスの供給を停止し、反応を開始した。なお、一酸化炭素ガス、塩素ガスおよびフッ化水素ガスの供給モル比は、CO/Cl2/HF=50/50/162であった。
【0093】
反応開始から3時間後、反応器からの出口ガスを採取し、FT−IR(セル:CaF2
)に導入して分析を行った結果を下記に示す。
【0094】
[出口ガスのFT−IR分析結果]
COF2 99.08体積%
COClF 0.52体積%
COCl2 0.12体積%
CO2 0.14体積%
CO 0.08体積%
その他 0.06体積%
[実施例4]
実施例2の反応を継続し、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物Aを得て、冷却して液化させた。ついで、約180gの液化した混合物AをSUSシリンダー(容積500ml)中に回収した。液化した混合物Aは、以下の組成であった。
【0095】
COF2 29.23質量%
HCl 43.44質量%
HF 25.52質量%
その他 1.81質量%
次いで、この液化した混合物Aにジメチルエーテル190gを添加して、混合物Bを調製した。さらに、混合物Bを以下の条件で蒸留分離を行い、蒸留塔の塔頂留出分を分析した。得られた結果を下記に示す。
【0096】
(蒸留条件および操作)
蒸留スケール:上記混合物Bの仕込み量 約365g
蒸留塔 :充填塔 16mm×500mm
充填物 :ヘリパック No.2(東京特殊金網製)約100ml
理論段数 :15段
操作条件
圧力:約0.8MPa
油浴温度:35℃
還流比:15
(塔頂留出分の分析結果)
COF2 96.33質量%
その他 3.67質量%
なお、上記のその他の成分は主として、酸素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素であり、ジメチルエーテルはガスクロマトグラフ(検出下限値:1volppm)で分析を行ったところ、検出下限値未満であった。また酸分は、塩化水素をイオンクロマトグラフ(検出下限値:3volppm)で分析を行い、フッ化水素をFT−IR(検出下限値:2.2volppm)で分析を行ったところ、それぞれ検出下限未満であった。塔頂留出分の分析結果から明らかなように、ジメチルエーテルを添加してから蒸留することにより、高純度なCOF2を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させることを特徴とする二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項2】
前記の触媒が、活性炭であることを特徴とする請求項1に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項3】
前記の触媒が、活性炭および酸化クロムを含む触媒であることを特徴とする請求項1に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項4】
前記の反応が、単一反応領域で行われることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項5】
前記単一反応領域が、反応器で構成されており、
該反応器の上部より一酸化炭素と塩素が供給され、該反応器の中央部付近よりフッ化水素が供給されることを特徴とする請求項4に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項6】
前記単一反応領域が、反応器で構成されており、
該反応器の中央部付近より下層に、触媒として酸化クロムを含む触媒を充填し、該酸化クロムを含む触媒の上層に、触媒として活性炭を充填することを特徴とする請求項4または5に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項7】
一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物に、
塩化水素と共沸混合物を形成し、かつ二フッ化カルボニルと共沸混合物を形成しない有機化合物を添加する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項8】
一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物Aに、
塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物を添加、混合して、混合物Bを調製し、
前記混合物Bを蒸留して二フッ化カルボニルを分離する
工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項9】
一酸化炭素、塩素およびフッ化水素を、触媒の存在下、気相状態で反応させて得られた、二フッ化カルボニルと塩化水素を含む混合物Aを蒸留して、二フッ化カルボニルおよび塩化水素を含む混合物A’を生成させ、
前記混合物A’に、塩化水素と共沸関係にあり且つ二フッ化カルボニルと共沸関係にない有機化合物を添加、混合し、混合物B’を調製し、
前記混合物B'を蒸留して二フッ化カルボニルを分離する
工程を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項10】
前記の有機化合物が、エーテル類、ハイドロフルオロカーボン類およびパーフルオロカーボン類からなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項11】
前記のエーテル類が、ジメチルエーテルであることを特徴とする請求項10に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項12】
前記のハイドロフルオロカーボン類が、フルオロメタン、トリフルオロメタンおよびペンタフルオロエタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項10に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項13】
前記のパーフルオロカーボン類が、ヘキサフルオロエタンであることを特徴とする請求項10に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項14】
前記単一反応領域が、直列に結ばれた2つ以上の反応領域で構成されていることを特徴とする請求項4に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項15】
前記単一反応領域が、第一反応器と、該第一反応器に直列に結ばれた第二反応器とで構成されており、
第一反応器に一酸化炭素と塩素を供給して、触媒の存在下で反応させ、
得られた反応生成物の少なくとも一部と、フッ化水素とを、第二反応器に導入して、触媒の存在下で反応させることを特徴とする請求項14に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項16】
前記の第一反応器および第二反応器で用いる触媒が、共に活性炭であることを特徴とする請求項15に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項17】
前記の第一反応器で用いる触媒が活性炭であり、
前記の第二反応器で用いる触媒が酸化クロムを含む触媒である
ことを特徴とする請求項15に記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項18】
前記の反応が、50〜400℃の温度で行なわれることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項19】
前記の反応が、0.05〜0.6MPaの圧力で行なわれることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。
【請求項20】
前記の一酸化炭素、塩素およびフッ化水素のモル比が、一酸化炭素/塩素/フッ化水素=1.0〜1.4/1.0/1.9〜6.0であることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の二フッ化カルボニルの製造方法。

【公開番号】特開2010−241644(P2010−241644A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92883(P2009−92883)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000002004)昭和電工株式会社 (3,251)
【Fターム(参考)】